説明

メタン発酵方法およびメタン発酵装置

【課題】発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を高濃度かつ好適範囲に維持することが容易なメタン発酵方法を提供する。
【解決手段】有機性廃棄物を発酵槽に供給する工程と、発酵槽内の有機性廃棄物をメタン発酵する工程と、発酵槽内の有機性廃棄物を膜ろ材により固液分離して膜ろ過水を得る工程と、発酵槽内の有機性廃棄物を余剰汚泥として排出する工程とを有し、発酵槽内の有機性廃棄物の可溶化量を設定して、発酵槽への有機性廃棄物供給量、膜ろ過水量、および余剰汚泥排出量を調整し、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を30,000mg/L〜45,000mg/Lの範囲に維持することを特徴とするメタン発酵方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物のメタン発酵方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、有機性廃棄物を発酵槽でメタン発酵を行うとともに、膜ろ材を用いて発酵槽内の有機性廃棄物を固液分離することにより、固形分濃度を高めてメタン発酵(高濃度メタン発酵)をする方法が知られている。一般にメタン発酵は、固形分濃度を高めるほど汚泥容量当たりのメタン発生量を増やすことができ、効率的となる。従って、メタン発酵を効率的に行うためには、汚泥固形分濃度の制御が重要となる。
【0003】
膜ろ材を用いたメタン発酵における固形分濃度(含水率)の制御方法として、例えば特許文献1には、発酵槽内の有機性廃棄物中の発酵阻害物質が上限濃度を超えない範囲で有機性廃棄物の固形分濃度(含水率)を制御する方法が開示されている。しかし特許文献1に開示される方法は、有機性廃棄物の固形分濃度を直接的に制御するものとは言えず、有機性廃棄物中の発酵阻害物質の濃度に応じて有機性廃棄物を希釈することにより、結果として有機性廃棄物の固形分濃度が変わるものである。膜ろ材を用いたメタン発酵において、発酵槽に投入する有機性廃棄物の性状から発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を予測しながら、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を所望する範囲に調整できれば、長期にわたりより安定的かつ効率的にメタン発酵を行うことができるため好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−70908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を高濃度かつ好適範囲に維持することが容易な膜ろ材を用いたメタン発酵方法およびその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することができた本発明のメタン発酵方法とは、有機性廃棄物を発酵槽に供給する工程と、発酵槽内の有機性廃棄物をメタン発酵する工程と、発酵槽内の有機性廃棄物を膜ろ材により固液分離して膜ろ過水を得る工程と、発酵槽内の有機性廃棄物を余剰汚泥として排出する工程とを有し、発酵槽内の有機性廃棄物の可溶化量を設定するとともに、発酵槽への有機性廃棄物供給量、膜ろ過水量、および余剰汚泥排出量を調整し、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を30,000mg/L〜45,000mg/Lの範囲に維持するところに特徴を有する。本発明のメタン発酵方法によれば、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を30,000mg/L〜45,000mg/Lの範囲に維持することによって、膜ろ材による固液分離を安定して行うことができ、メタン発酵によるガス発生量およびガス発生速度を高めることが容易になる。
【0007】
有機性廃棄物の可溶化量は500mg−SS/L/日〜1,000mg−SS/L/日の範囲に設定することが好ましい。可溶化量をこのような範囲に設定することで、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を所望の範囲に調整することが容易になる。
【0008】
本発明はまた、本発明のメタン発酵方法に用いられるメタン発酵装置であって、発酵槽と、膜ろ材が設けられた膜ろ過槽と、発酵槽と膜ろ過槽とに連通した管路と、発酵槽に有機性廃棄物を供給する有機性廃棄物供給手段と、膜ろ過槽または/および発酵槽から有機性廃棄物を排出する有機性廃棄物排出手段と、膜ろ材に連通し有機性廃棄物から膜ろ過水を得る吸引手段とを有するメタン発酵装置も提供する。このようなメタン発酵装置を用いれば、本発明のメタン発酵方法を好適に行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のメタン発酵方法およびその装置によれば、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を30,000mg/L〜45,000mg/Lの範囲に維持することによって、膜ろ材による固液分離を安定して行うことができ、メタン発酵によるガス発生量およびガス発生速度を高めることが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のメタン発酵装置の一例を表す。
【図2】発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度の予測値と実測値を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のメタン発酵方法は、有機性廃棄物を発酵槽に供給する工程(原料供給工程)と、発酵槽内の有機性廃棄物をメタン発酵する工程(発酵工程)と、発酵槽内の有機性廃棄物を膜ろ材により固液分離して膜ろ過水を得る工程(膜ろ過工程)と、発酵槽内の有機性廃棄物を余剰汚泥として排出する工程(汚泥排出工程)とを有する。
【0012】
本発明で用いられる有機性廃棄物は、有機物を含むものであれば特に制限されず、有機物のほかに無機物を含んでいてもよい。有機性廃棄物としては、例えば、下水処理、し尿処理、浄化槽処理、食品工場等から発生する工場排水の処理、家畜糞尿等の畜産廃棄物の処理等により発生する汚泥;生ゴミ;草木等が挙げられる。これらの有機性廃棄物は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。下水処理等により発生する汚泥は、処理プロセスに応じて様々な種類が存在するが、本発明で用いられる有機性廃棄物は処理プロセスに制限を受けるものではなく、例えば、初沈汚泥、余剰汚泥、濃縮汚泥、これらの混合物等を用いることができる。
【0013】
発酵槽に供給する有機性廃棄物は液状(スラリー状)であることが好ましい。また、有機性廃棄物の媒体としては水を用いることが好ましい。発酵槽に供給する有機性廃棄物は、固形分濃度が高いほどメタンガス発生量を高めることができるが、固形分濃度が高すぎると有機物負荷量当たりのメタンガス発生効率が低下したり、有機性廃棄物を膜ろ材により固液分離しにくくなる。従って、メタン発酵効率と膜ろ過効率のバランスを勘案して、発酵槽に供給する有機性廃棄物の固形分濃度は、5,000mg/L以上とすることが好ましく、10,000mg/L以上とすることがより好ましく、また50,000mg/L以下とすることが好ましく、40,000mg/L以下とすることがより好ましい。なお、本発明において、有機性廃棄物の固形分濃度とは、下水試験法に従って測定されるSS濃度(浮遊物質濃度)を意味する。
【0014】
発酵槽に供給する有機性廃棄物は、前処理として、破砕処理や可溶化処理が行われてもよい。このような処理を行えば、有機性廃棄物のメタン発酵効率を一層高めることが容易になる。
【0015】
原料供給工程は、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。後者の例では、例えば1日1回〜数回あるいは2日〜数日に1回といった頻度で有機性廃棄物を発酵槽に供給する。
【0016】
発酵槽への有機性廃棄物の供給は、有機性廃棄物供給手段により行えばよい。有機性廃棄物供給手段としては、ポンプ、スクリューフィーダー、定量ホッパ等が挙げられる。
【0017】
有機性廃棄物の発酵槽への供給に際しては、発酵槽のHRT(水理学的滞留時間)に基づき、有機性廃棄物の発酵槽への1日当たりの供給量を適宜調整することが好ましい。なお、有機性廃棄物の発酵槽への供給がn日(nは1を超える数を表す)に1回の場合は、1回当たりの供給量をnで割ることで1日当たりの供給量を求めればよい。有機性廃棄物を発酵槽内で安定的にメタン発酵する点から、有機性廃棄物は2日(48時間)に1回以上供給することが好ましく、1.5日(36時間)に1回以上供給することがより好ましく、1日(24時間)に1回以上供給することがさらに好ましい。
【0018】
発酵工程では、発酵槽に供給された有機性廃棄物はメタン発酵される。有機性廃棄物は発酵槽内で嫌気状態に置かれることで、有機性廃棄物が発酵(分解)し、メタンや二酸化炭素を含むガス(いわゆる、バイオガス)が発生する。発酵工程では、発酵槽に供給された有機性廃棄物が一部可溶化される。従って、発酵工程により、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度が低下する。
【0019】
本発明では、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を30,000mg/L〜45,000mg/Lの範囲に維持する。本発明では、後述するように発酵槽内の有機性廃棄物を膜ろ材により固液分離するため、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を高めることが容易になる。発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を30,000mg/L以上とすることで、有機性廃棄物からのバイオガス発生量や発生速度を高めることができる。発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度は35,000mg/L以上に維持することがより好ましい。一方、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度が45,000mg/Lを超えると膜ろ材が目詰まりしたりして、膜ろ材による固液分離に支障を来す場合がある。従って、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度は45,000mg/L以下に維持することが好ましい。
【0020】
発酵槽内の有機性廃棄物は、発酵効率を高めるために適宜撹拌することが好ましい。撹拌は、例えばインペラ等の機械撹拌により行ってもよく、発酵槽で発生したバイオガスをガスホルダーに収集し、それを発酵槽の底部から供給することにより行ってもよい。
【0021】
有機性廃棄物の発酵槽のHRT(水理学的滞留時間)は特に限定されないが、有機性廃棄物の処理量を高めつつ、ある程度の分解率(ガス発生率)が得られるように適宜設定することが好ましい。HRTは、有機性廃棄物の構成(易分解性有機物の割合や含有元素組成)、固形分濃度、発酵温度等により至適範囲が変わり得るが、本発明では発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を30,000mg/L〜45,000mg/Lと比較的高濃度に維持することにより、HRTを短くすることが可能になる。発酵槽のHRTは、例えば、4日以上が好ましく、5日以上がより好ましく、14日以下が好ましく、12日以下がより好ましい。HRTを4日以上とすることで有機性廃棄物の分解率を高めやすくなり、HRTを14日以下とすることで有機性廃棄物のメタン発酵効率(処理量)を高めやすくなる。HRT(水理学的滞留時間)は、(発酵槽の有効容積)/(発酵槽への有機性廃棄物の1日当たりの供給量)により求められる。
【0022】
発酵槽では、有機性廃棄物の温度を一定範囲に保つことが好ましい。例えば、中温発酵でメタン発酵を行う場合は、発酵槽内の有機性廃棄物の温度を35℃〜40℃の範囲に維持することが好ましい。
【0023】
発酵槽から発生したバイオガスは、エネルギー源として利用することができる。例えば、ガスタービンに供給して燃焼させることによりエネルギー回収してもよいし、バイオガスに含まれるメタンを燃料電池の燃料として用いてもよい。もちろん、単に燃焼して熱利用してもよい。
【0024】
膜ろ過工程では、発酵槽内の有機性廃棄物が膜ろ材により固液分離され、膜ろ過水が得られる。得られた膜ろ過水は系外に排出され、例えば別途処理(例えば、活性汚泥処理)される。膜ろ過工程により、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度が上がる。
【0025】
膜ろ材としては、いわゆる精密ろ過膜が好ましい。つまり、膜ろ材の平均孔径としては、0.02μm〜2μm(より好ましくは0.1μm〜1μm)の範囲にあることが好ましい。膜ろ材の孔径がこのような範囲にあれば、膜ろ材により安定して固液分離を行いつつ、発酵槽内の液状の有機性廃棄物を効率的に分離して、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を高めることが容易になる。
【0026】
膜ろ材の種類(形状)としては、中空糸膜、管状膜、平板状膜等、種類は限定されない。なお、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を30,000mg/L〜45,000mg/Lの範囲に維持し、この範囲で膜ろ材により好適に固液分離を行うようにする点からは、膜ろ材として中空糸膜を用いることが好ましい。
【0027】
膜ろ材には、吸引手段が連通して設けられていることが好ましい。吸引手段としては、例えば、吸引ポンプと、膜ろ材と吸引ポンプを繋ぐ管路が挙げられる。膜ろ材に吸引手段が連通していれば、膜ろ材の二次側圧力を低下させて膜透過流速(膜ろ過水量)を上げることができ、膜ろ材による効率的な固液分離を実現できる。
【0028】
膜ろ過水量は、吸引手段による吸引の程度、すなわち膜ろ材の二次側圧力を調整することにより、調整することができる。膜ろ材が目詰まりしていない場合は、膜ろ材の二次側圧力を低下させることにより膜ろ過水量を上げることができる。しかし、膜ろ材の二次側圧力を下げすぎたり膜ろ過水量を上げすぎたりしても、かえって膜ろ材の目詰まりを促進させる場合があることから、膜ろ材の二次側圧力は下げ過ぎないようにすることが好ましい。従って、膜ろ過に当たっては、膜ろ材の二次側圧力を適正範囲に調整しつつ、膜ろ過水量が適正範囲内で推移するように適宜調整することが好ましい。なお、一次側を加圧することにより膜ろ過水量を制御することも可能であるが、設備面の簡略化の点、あるいは設備全体の有機性廃棄物の流れを円滑に行う点からは、上記した二次側圧力の制御が好ましい。
【0029】
膜ろ過水量は、後述する余剰汚泥排出量との和が発酵槽への有機性廃棄物供給量とほぼ等しくなるように、調整することが好ましい。これにより、発酵槽内の有機性廃棄物量が一定に保たれるようになる。膜ろ過水量と余剰汚泥排出量と有機性廃棄物供給量のバランスは、例えば1日(24時間)の時間スパンで調整すればよい。膜ろ材による固液分離は連続的に行われても断続的に行われてもよい。
【0030】
膜ろ過水量と余剰汚泥排出量のバランスは、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度に応じて調整することが好ましい。すなわち、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度が目標値より低い場合(固形分濃度が薄い場合)は、膜ろ過水量を増やして余剰汚泥排出量を減らし、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度が目標値より高い場合(固形分濃度が濃い場合)は膜ろ過水量を減らして余剰汚泥排出量を増やせばよい。このように膜ろ過水量と余剰汚泥排出量のバランスを調整することで、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を調整することができる。さらに有機性廃棄物の発酵槽への供給量を変えて、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を調整してもよい。
【0031】
膜ろ材は、発酵槽内に設けられてもよいし、発酵槽とは別の膜ろ過槽に設けられてもよい。つまり、膜ろ材は、発酵槽内の有機性廃棄物を固液分離できるものであれば、発酵槽内に設けられても膜ろ過槽に設けられてもよい。この際、膜ろ材は有機性廃棄物に浸漬して設けられることが好ましい。
【0032】
膜ろ材は、好ましくは、発酵槽とは別の膜ろ過槽に設けられる。この場合、例えば膜ろ材に不具合が生じたりして膜ろ材の交換をする際、発酵槽内の好気化(酸化還元電位の上昇)を低く抑えることが容易になり、発酵槽内を嫌気状態に維持することが容易になる。従って、膜ろ材の交換等の際に、メタン発酵への悪影響を低く抑えることができる。
【0033】
膜ろ材を発酵槽とは別の膜ろ過槽に設ける場合は、発酵槽と膜ろ過槽に連通した管路を設けることが好ましく、このような管路を設けることにより発酵槽と膜ろ過槽との間を有機性廃棄物が行き来できるようになる。この場合、管路は発酵槽から膜ろ過槽に有機性廃棄物を移送する往路用管路と、膜ろ過槽から発酵槽に有機性廃棄物を移送する復路用管路を設けることが好ましい。また、往路用管路と復路用管路の少なくとも一方には、ポンプ等の移送手段が備えられることが好ましい。
【0034】
汚泥排出工程では、発酵槽内の有機性廃棄物が余剰汚泥として排出される。排出された余剰汚泥は、例えば別途脱水処理され減容化された後、脱水汚泥として処分されたり、コンポスト化されたり、焼却処理されたりする。
【0035】
汚泥排出工程は、発酵槽内の有機性廃棄物が直接的または間接的に排出される限り、例えば発酵槽から有機性廃棄物を排出してもよく、膜ろ過槽から有機性廃棄物を排出してもよい。有機性廃棄物の排出は有機性廃棄物排出手段により行えばよい。有機性廃棄物排出手段としては、ポンプ、スクリューフィーダー、定量ホッパ等が挙げられる。
【0036】
余剰汚泥排出量は、前述したように、膜ろ過水量と発酵槽への有機性廃棄物供給量に関連して、1日当たりの排出量を適宜調整することが好ましい。汚泥排出工程は、原料供給工程と連動して原料供給工程の直前に行ってもよいし、原料供給工程の実行タイミングとは無関係に連続的または断続的に行ってもよい。
【0037】
本発明のメタン発酵方法は、以上説明したように、原料供給工程と発酵工程と膜ろ過工程と汚泥排出工程とを有するが、有機性廃棄物からのバイオガス発生量や発生速度を高めるという点からは、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を高めることが好ましい。しかし固形分濃度を高めすぎると、膜ろ材による固液分離に支障を来す場合がある。従って、本発明においては、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を30,000mg/L〜45,000mg/Lの範囲に維持している。その結果、有機性廃棄物の膜ろ過を良好に行いつつ、有機性廃棄物のメタン発酵を高効率に行うことができるようになる。
【0038】
メタン発酵の高効率化のためには、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度をできるだけ速やかに30,000mg/L〜45,000mg/Lの範囲内の目標値(目標範囲)に維持することが好ましい。従ってそのためには、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度に応じて、膜ろ過水量と余剰汚泥排出量のバランスを調整することが好ましい。一方で、膜ろ材により発酵槽内の有機性廃棄物を固液分離する場合は、膜ろ材による固液分離を安定して継続するために、有機性廃棄物の固形分濃度の上限を厳しく管理することが必要となる。一旦膜ろ材が目詰まりすると膜ろ材の洗浄や交換が必要になったりして、発酵槽への新たな有機性廃棄物の受け入れが困難になって、メタン発酵に支障を来すおそれがある。
【0039】
発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を一定範囲に維持するためには、発酵槽の入と出に関する固形分収支を制御することが必要となる。つまり、発酵槽への有機性廃棄物供給量、膜ろ過水量、および余剰汚泥排出量を制御することが必要となる。なお、固形分収支を制御するためには固形分濃度を合わせて把握することが好ましいが、膜ろ過水の固形分濃度は実質0と見なせる。また、発酵槽へ供給する有機性廃棄物の固形分濃度の日変動は一般に小さく、発酵槽へ供給する有機性廃棄物の固形分濃度をその都度測定する必要はなく、さらに、発酵槽へ供給する有機性廃棄物の性状の季節変動は経験的に把握可能である。従って、発酵槽へ供給する有機性廃棄物の固形分濃度の測定は必須ではない。一方、余剰汚泥の固形分濃度は、発酵工程により発酵槽内の有機性廃棄物が可溶化(分解)するため、発酵槽内の有機性廃棄物の可溶化量を適切に把握しなければ、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を一定範囲に維持することが困難となる。なお、可溶化量とは、メタン発酵により新たに溶解する量を意味する。つまり本発明においては、発酵槽内の有機性廃棄物の可溶化量(有機性廃棄物が新たに溶解する予測量)を設定して、発酵槽への有機性廃棄物供給量、膜ろ過水量、および余剰汚泥排出量を調整することで、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を一定範囲に維持することが可能となる。
【0040】
発酵槽内の有機性廃棄物の可溶化量は、事前に実験的に把握することが好ましい。可溶化量は、次の手順に従い求めることができる。
【0041】
発酵槽内の有機性廃棄物の容量をVv、固形分濃度をCrとし、発酵槽に供給する有機性廃棄物の容量をVf、固形分濃度をCfとし、有機性廃棄物の発酵工程における可溶化量(単位容量当たりの可溶化量を意味する)をCdとし、膜ろ過水量をVpmとし、余剰汚泥排出容量をVprとする。なお、Vf、Vpm、Vprについては1日当たりの量を計算に用いることが好ましい。
【0042】
発酵槽では、原料供給工程と発酵工程と膜ろ過工程と汚泥排出工程がこの順番でバッチ的に行われると仮定する。このとき、さらに次のように仮定する。すなわち、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度は、原料供給工程では有機性廃棄物の供給前で濃度(初期濃度)がCr0となり、有機性廃棄物の供給後で濃度がCr1になる。発酵工程では、有機性廃棄物の一部が可溶化することにより、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度がCr2になる。膜ろ過工程では、発酵槽内の有機性廃棄物が濃縮されて固形分濃度(終期濃度)がCr3になる。汚泥排出工程では、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度はCr3のまま変化しない。膜ろ過水の固形分濃度は0と見なし、余剰汚泥の固形分濃度は発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度に等しいと考える。
【0043】
原料供給工程では、発酵槽への有機性廃棄物の供給前後で次式の固形分収支が成立する。
Cr0×Vv+Cf×Vf=Cr1×(Vv+Vf) ・・・(1)
発酵工程では、有機性廃棄物の発酵(可溶化)の前後で固形分濃度に関し次式の関係が成立する。
Cr1−Cd=Cr2 ・・・(2)
膜ろ過工程では、有機性廃棄物の膜ろ材による固液分離の前後で次式の固形分収支が成立する。
Cr2×(Vv+Vf)=Cr3×(Vv+Vf−Vpm) ・・・(3)
汚泥排出工程では、余剰汚泥の排出量が有機性廃棄物投入量と膜ろ過水量と関連して次式のように表される。
Vf=Vpm+Vpr ・・・(4)
上記式(1)〜(4)から、可溶化量に関し下記式(5)が算出される。
Cd={Cr0×Vv+Cf×Vf−Cr3×(Vv+Vpr)}/(Vv+Vf) ・・・(5)
【0044】
上記式(5)より、可溶化量は、発酵槽内の有機性廃棄物の量と初期の固形分濃度、発酵槽に供給する有機性廃棄物の量と固形分濃度、余剰汚泥排出量、発酵槽内の有機性廃棄物の終期の固形分濃度から求められることが分かる。なお、発酵槽内の有機性廃棄物の初期と終期の固形分濃度は、余剰汚泥の初期と終期の固形分濃度で代替可能である。
【0045】
初期から終期までの時間スパンは例えば1日とすればよく、この場合、発酵槽に有機性廃棄物を少なくとも1日1回供給し、1日ごと(24時間ごと)に余剰汚泥の固形分濃度を測定すればよい。発酵槽への有機性廃棄物供給量と膜ろ過水量と余剰汚泥排出量は1日(24時間)の積算値を採用すればよい。なお、発酵槽内の有機性廃棄物の量(例えば1日1回発酵槽に有機性廃棄物を供給した時点での量)は、通常ほぼ同じ値となる。
【0046】
可溶化量Cdとしては、500mg−SS/L/日〜1,000mg−SS/L/日の範囲(より好ましくは600mg−SS/L/日〜900mg−SS/L/日の範囲)に設定することが好ましい。可溶化量Cdをこのような範囲に設定することで、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を所望の範囲に調整することが容易になる。本発明は特に中空糸膜の膜ろ材を用いた場合に、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を所望の範囲に調整することが容易になる。また本発明は、有機性廃棄物として下水汚泥、し尿汚泥、浄化槽汚泥、生ゴミ等の人間の生活により発生する廃棄物(特に汚泥)や食品工場等の事業所から発生する有機性廃棄物(例えば、食品製造副産物)を対象とする場合に、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を所望の範囲に調整することが容易になる。
【0047】
本発明のメタン発酵方法は、上記のように可溶化量Cdを設定することにより、上記式(5)より算出される下記式(6)により、発酵槽内の有機性廃棄物の終期の固形分濃度Cr3を予測することが可能となる。
Cr3={Cr0×Vv+Cf×Vf−Cd(Vv+Vf)}/(Vv+Vpr) ・・・(6)
【0048】
従って、上記式(6)において、余剰汚泥排出量Vprを調整し、さらに発酵槽内の有機性廃棄物のHRTを適宜設定した上で発酵槽に供給する有機性廃棄物量Vfを調整し、上記式(4)に基づき膜ろ過水量Vpmを求めることで、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を所望の範囲に維持できるようになる。
【0049】
次に、本発明のメタン発酵方法とそれに好適に用いられるメタン発酵装置について、図1を参照して説明する。なお、本発明は、下記実施態様に限定されるものではない。
【0050】
メタン発酵装置は、発酵槽2と、膜ろ材4が設けられた膜ろ過槽3と、発酵槽2と膜ろ過槽3とに連通した管路12,13とを有する。メタン発酵装置には、発酵槽2に有機性廃棄物1aを供給する有機性廃棄物供給手段としてポンプ11が備えられている。有機性廃棄物1aは、ポンプ11により発酵槽2に供給される。
【0051】
発酵槽2は有機性廃棄物1bをメタン発酵するための槽である。発酵槽2では、有機性廃棄物1bがメタン発酵され、バイオガス8aが発生する。ガス8aは管路14を通じてガスホルダー5に移送され、貯留される。ガスホルダー5に貯留されたガス8bは、管路15を通じて取り出してエネルギー利用することができる。
【0052】
発酵槽2は、有機性廃棄物1bを撹拌するための撹拌手段を備えることが好ましい。図1では、発酵槽2の底部に撹拌手段として散気装置9が備えられている。ガスホルダー5に貯留されたガス8bの一部は、管路16を通じてブロア19により発酵槽2内の散気装置9に供給され、発酵槽2内の有機性廃棄物1bの撹拌に用いられる。
【0053】
膜ろ過槽3は膜ろ材4を内部に浸漬して設けるための槽であり、膜ろ過槽3内の有機性廃棄物1cが膜ろ材4により固液分離される。発酵槽2内の有機性廃棄物1bは管路12を通じて膜ろ過槽3に移送され、膜ろ過槽3内の有機性廃棄物1cが管路13を通じて発酵槽2に返送される。図1では、膜ろ材4が発酵槽2とは別の膜ろ過槽3内に、有機性廃棄物1cに浸漬して設けられているが、膜ろ材4は発酵槽2内の有機性廃棄物1bに浸漬して設けられてもよい。
【0054】
膜ろ過槽3には膜ろ材4の下部に散気装置10が設けられることが好ましい。ガスホルダー5に貯留されたガス8bの一部は、管路16を通じてブロア20により膜ろ過槽3内の散気装置10に供給され、膜ろ過槽3内の有機性廃棄物1cの撹拌および膜ろ材4の膜表面の洗浄に用いられている。
【0055】
図1では、膜ろ材4に連通し、有機性廃棄物1cから膜ろ過水6を得る吸引手段としてポンプ17が設けられている。ポンプ17で吸引することにより膜ろ材4の二次側圧力を低下させ、有機性廃棄物1cを膜ろ材4により固液分離して膜ろ過水6を得ることができる。
【0056】
メタン発酵装置には、膜ろ過槽3または/および発酵槽2から有機性廃棄物1b、1cを排出する有機性廃棄物排出手段が設けられることが好ましい。図1では、有機性廃棄物排出手段として、膜ろ過槽3に連通してポンプ18が設けられている。発酵槽内2の有機性廃棄物1bは、膜ろ過槽3を介して、余剰汚泥7として排出されている。
【0057】
本発明のメタン発酵方法によれば、発酵槽2内の有機性廃棄物1bの可溶化量を設定して、発酵槽2への有機性廃棄物1aの供給量、膜ろ過水6の量、および余剰汚泥7の排出量を調整し、発酵槽2内の有機性廃棄物1bの固形分濃度を30,000mg/L〜45,000mg/Lの範囲に維持することができる。その結果、発酵槽2内の有機性廃棄物1bの固形分濃度を好適範囲に維持することが容易になり、メタン発酵を効率よく行うことができるようになる。また、有機性廃棄物1cを膜ろ材4により安定して固液分離することができるようになる。
【実施例】
【0058】
以下に、実施例を示すことにより本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0059】
(1)メタン発酵方法
図1に示したような実験装置(発酵槽容量21.15L)を用い、メタン発酵を行った。膜ろ材として、公称孔径0.2μmのポリフッ化ビニリデン製の中空糸膜(外径1mmφ、内径0.6mmφ、長さ400mm、64本)を用いた。発酵槽に投入する有機性廃棄物としては、下水処理の最初沈殿池汚泥と下水処理の余剰汚泥と屎尿汚泥との混合汚泥(体積混合比=1:5:7)を用いた。最初沈殿池汚泥は、目開き0.5mmのメッシュで篩い分けした通過分を用いた。発酵槽に投入する混合汚泥の固形分濃度(SS濃度)は約18,500mg/Lであった。
【0060】
発酵槽では混合汚泥を38℃に維持した。原料供給工程と発酵工程と膜ろ過工程と汚泥排出工程は、24時間を1サイクルとして行った。すなわち、混合汚泥を発酵槽に投入した後、膜ろ過および余剰汚泥の排出をすることなく6時間メタン発酵を行い、その後18時間メタン発酵をしながら膜ろ過を行い、その後発酵槽から余剰汚泥を引き抜いた。発酵槽内は、1時間に10分、底部に設けられた散気装置からバイオガスを供給することにより、撹拌をした。
【0061】
(2)実験
(2−1)実験1:発酵槽内の混合汚泥の固形分濃度の調整
実験1では、事前に発酵槽内の混合汚泥の可溶化量を実験的に求め、この可溶化量に基づき膜ろ過水量と余剰汚泥排出量を調整し、発酵槽内の混合汚泥の固形分濃度を36,000mg/L程度に維持するようにメタン発酵を行った。可溶化量は、上記説明したように、発酵槽内の混合汚泥の量、発酵槽内の混合汚泥の1日ごとの固形分濃度、発酵槽に供給する混合汚泥の量と固形分濃度、余剰汚泥排出量を測定することにより上記式(5)に従い求め、782mg−SS/L/日と設定した。なお、発酵槽への混合汚泥供給量は、発酵槽での混合汚泥のメタン発酵効率を見ながらHRTを調整することにより、設定した。
【0062】
結果を図2に示す。図2には、発酵槽内の混合汚泥の固形分濃度の予測値と実測値を示した。予測値は、可溶化量Cdを782mg−SS/L/日と設定して上記式(6)に基づき算出した。発酵槽内の混合汚泥の固形分濃度は運転開始当初約28,000mg/Lであったため、運転初期3〜4日は膜ろ過水量を上げて、発酵槽内の混合汚泥の固形分濃度を高めた。その後は、膜ろ過水量を下げて、発酵槽内の混合汚泥の固形分濃度がほぼ一定になるように膜ろ過水量と余剰汚泥排出量とのバランスを調整した。その結果、発酵槽内の混合汚泥の固形分濃度の実測値は、予測値から多少の上下は出たものの、ほぼ予測値に基づく固形分濃度の変化を示した。
【0063】
(2−2)実験2:発酵槽内の混合汚泥の固形分濃度のガス発生量に及ぼす影響検討
実験2では、発酵槽内の混合汚泥の固形分濃度がバイオガス発生量に及ぼす影響について検討した。発酵槽への混合汚泥供給量、膜ろ過水量、および余剰汚泥排出量を調整することにより、発酵槽のHRTと固形分濃度を調整し、メタン発酵を行った。表1に結果を示すが、発酵槽内の混合汚泥の固形分濃度を高めるほど、ガス発生量が増加するとともに、HRT(水理学的滞留時間)が少なくても良好にメタン発酵を行えることが明らかになった。特に固形分濃度を30,000mg/L以上とすることで、従来下水汚泥の消化(メタン発酵)に30日程度要していたところ、その半分以下の時間で効率的にメタン発酵できた。バイオガス中のメタンと二酸化炭素の各濃度は各々約70%と約30%であった。なお、固形分濃度が45,000mg/Lを超えると数日で中空糸膜が目詰まりし、固液分離が困難となった。
【0064】
【表1】

【0065】
(2−3)実験3:ガス発生速度の検討
発酵槽内の混合汚泥の固形分濃度30,000mg/L、HRT6日、有機物負荷量1.84kg−VS/m3/日の条件で、図1に示したような実験装置でメタン発酵を行った(試験区)。また、図1に示した実験装置で膜ろ材および膜ろ過槽がない装置を用いて、発酵槽内の混合汚泥の固形分濃度19,620mg/L、HRT6日、有機物負荷量1.84kg−VS/m3/日の条件で、試験区と同じ混合汚泥を用いてメタン発酵を行った(対照区)。発酵槽に混合汚泥を投入して24時間で発生する総ガス発生量を100%として、0時間から24時間までの1時間ごとのガス発生量を百分率で求めた。表2に結果を示すが、初期の1〜9時間では試験区の方が対照区よりもガス発生割合が高くなった。すなわち、発酵槽内の混合汚泥を膜ろ材により固液分離し、発酵槽内の混合汚泥の固形分濃度を高めることにより、バイオガスが速やかに発生する結果となった。
【0066】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、下水処理、し尿処理、浄化槽処理、食品工場等から発生する工場排水の処理、家畜糞尿等の畜産廃棄物の処理等により発生する汚泥;生ゴミ;草木等の処理に用いることができる。
【符号の説明】
【0068】
1a,1b,1c: 有機性廃棄物
2: 発酵槽
3: 膜ろ過槽
4: 膜ろ材
6: 膜ろ過水
7: 余剰汚泥

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物を発酵槽に供給する工程と、
発酵槽内の有機性廃棄物をメタン発酵する工程と、
発酵槽内の有機性廃棄物を膜ろ材により固液分離して膜ろ過水を得る工程と、
発酵槽内の有機性廃棄物を余剰汚泥として排出する工程とを有し、
発酵槽内の有機性廃棄物の可溶化量を設定するとともに、発酵槽への有機性廃棄物供給量、膜ろ過水量、および余剰汚泥排出量を調整し、発酵槽内の有機性廃棄物の固形分濃度を30,000mg/L〜45,000mg/Lの範囲に維持することを特徴とするメタン発酵方法。
【請求項2】
有機性廃棄物の可溶化量を500mg−SS/L/日〜1,000mg−SS/L/日に設定する請求項1に記載のメタン発酵方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のメタン発酵方法を行うためのメタン発酵装置であって、
発酵槽と、
膜ろ材が設けられた膜ろ過槽と、
発酵槽と膜ろ過槽とに連通した管路と、
発酵槽に有機性廃棄物を供給する有機性廃棄物供給手段と、
膜ろ過槽または/および発酵槽から有機性廃棄物を排出する有機性廃棄物排出手段と、
膜ろ材に連通し、有機性廃棄物から膜ろ過水を得る吸引手段とを有することを特徴とするメタン発酵装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−230100(P2011−230100A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105515(P2010−105515)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000205627)大阪府 (238)
【出願人】(593012181)東洋紡エンジニアリング株式会社 (20)
【Fターム(参考)】