説明

メチリデン−D−キシロピラノシル置換及びオキソ−D−キシロピラノシル置換フェニル、これらの化合物を含む薬剤、それらの使用及びそれらの製造方法

基R1〜R5、X、Z及びR7a、R7b及びR7cが、請求項1におけるように定義される、一般式(I)のD−キシロピラノシル置換フェニルは、ナトリウム依存性グルコース−共輸送体SGLTに抑制効果を示す。本発明は、また、代謝性疾患を治療するための薬剤に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、一般式I:
【化1】

【0002】
(式中、基R1〜R5、X、Z及びR7a、R7b、R7cは、上で定義したとおりである。)のD−キシロピラノシル置換フェニル、それらの互変体、立体異性体、混合物又は塩に関する。本発明は、更に、代謝性疾患の治療用医薬組成物を製造するための、本発明の化合物の使用及び本発明の式Iの化合物を含む医薬組成物に関する。本発明はまた、本発明による医薬組成物及び化合物を製造するための方法に関する。
ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTに抑制効果を有する化合物は、文献において、疾患、特に糖尿病治療に提案されている。
グルコピラノシル置換芳香族基及びそれらの製造及びそれらのSGLT2抑制剤として可能性の有る活性は、公開された特許出願WO 98/31697、WO 01/27128、WO 02/083066、WO 03/099836、WO 04/13118、WO 04/80990、WO 04/52902、WO 04/52903及びWO 05/12326から公知である。
【0003】
発明の目的
本発明の目的は、新規のピラノシル置換フェニル、特にナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT,特にSGLT2に効果を有するものを提供することである。本発明の更なる目的は、構造上類似の既知の化合物との比較により、インビトロ及び/又はインビボで、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT2に大きな抑制効果を有する及び/又は改良された薬理学的又は薬物速度論的特性を有する、ピラノシル置換フェニルを提供することである。
更に、本発明はまた、代謝性疾患、特に糖尿病の予防及び/又は治療に適切である新規の医薬組成物を製造することを目指す。
本発明はまた、本発明の化合物を製造するための方法に関する。
本発明の更なる目的は、上で述べたことと以下に説明することとを読めば、当業者には直ちに明らかになるであろう。
発明の対象
第一態様において、本発明は、一般式IのD−キシロピラノシル置換フェニルに関する。
【0004】
【化2】

【0005】
(式中、R1は、水素、フッ素、塩素、臭素、C1-6−アルキル、C2-6−アルキニル、C2-6−アルケニル、C3-7−シクロアルキル、C3-7−シクロアルキル−C1-3−アルキル、C5-7−シクロアルケニル、C5-7−シクロアルケニル−C1-3−アルキル、C1-4−アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1-3−アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、4−(C1-4−アルキル)ピペラジン−1−イルカルボニル、C1-4−アルコキシカルボニル、アミノ、C1-4−アルキルアミノ、ジ−(C1-3−アルキル)アミノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、4−(C1-4−アルキル)ピペラジン−1−イル、C1-4−アルキルカルボニルアミノ、C1-6−アルキルオキシ、C3-7−シクロアルキルオキシ、C5-7−シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、C1-4−アルキルスルファニル、C1-4−アルキルスルフィニル、C1-4−アルキルスルホニル、C3-7−シクロアルキルスルファニル、C3-7−シクロアルキルスルフィニル、C3-7−シクロアルキルスルホニル、C5-7−シクロアルケニルスルファニル、C5-7−シクロアルケニルスルフィニル、C5-7−シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヒドロキシ、シアノ又はニトロを示し、
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的に又は完全にフッ素化されていてもよく、又は塩素、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される、同一又は異なる置換基により一置換又は二置換されていてもよく、及び
シクロアルキル及びシクロアルケニル基における1又は2つのメチレン基は、互いに独立して、O、S、CO、SO又はSO2により置換されていてもよく、及び
N−ヘテロシクロアルキル基におけるメチレン基は、CO又はSO2により置換されていてもよく、及び
【0006】
2は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、C1-4−アルキル、C1-4−アルコキシ、シアノ又はニトロを示すが、アルキル基は、フッ素により一置換又は多置換されていてもよく、又は
1及びR2が、フェニル環の互いに隣接する2個のC原子に結合している場合、R1及びR2が一緒になってC3-5−アルキレン又はC3-5−アルケニレンブリッジを形成してもよく、R1及びR2は部分的に又は全体的に、塩素、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換又はフッ素化されていてもよく、1又は2つのメチレン基は、互いに独立して、O、S、CO、SO、SO2又はNRNにより置換されていてもよく、
3は、水素、フッ素、塩素、臭素、C1-6−アルキル、C2-6−アルキニル、C2-6−アルケニル、C3-7−シクロアルキル、C3-7−シクロアルキル−C1-3−アルキル、C5-7−シクロアルケニル、C5-7−シクロアルケニル−C1-3−アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1-4−アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1-3−アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、4−(C1-4−アルキル)ピペラジン−1−イルカルボニル、ヒドロキシカルボニル、C1-4−アルコキシカルボニル、C1-4−アルキルアミノ、ジ−(C1-3−アルキル)アミノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、4−(C1-4−アルキル)ピペラジン−1−イル、C1-4−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-4−アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、C1-6−アルコキシ、C3-7−シクロアルキルオキシ、C5-7−シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4−アルキルスルファニル、C1-4−アルキルスルフィニル、C1-4−アルキルスルホニル、C3-7−シクロアルキルスルファニル、C3-7−シクロアルキルスルフィニル、C3-7−シクロアルキルスルホニル、C5-7−シクロアルケニルスルファニル、C5-7−シクロアルケニルスルフィニル、C5-7−シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ又はニトロを示し、
【0007】
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的に又は全体的に、塩素、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換又はフッ素化されていてもよく、及び
シクロアルキル及びシクロアルケニル基における1又は2つのメチレン基は、互いに独立して、O、S、CO、SO又はSO2により置換されていてもよく、及び
N−ヘテロシクロアルキル基におけるメチレン基は、CO又はSO2により置換されていてもよく、及び
4は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、C1-3−アルキル、C1-3−アルコキシ又は1〜3個のフッ素原子により置換されるメチル又はメトキシを示し、又は
3及びR4が、フェニル環の互いに隣接する2個のC原子に結合している場合、R3及びR4が一緒になってC3-5−アルキレン又はC3-5−アルケニレンブリッジを形成していてもよく、R3及びR4は、部分的に又は全体的に、塩素、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換又はフッ素化されていてもよく、1又は2つのメチレン基は、互いに独立して、O、S、CO、SO、SO2又はNRNにより置換されていてもよく、
5は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、C1-3−アルキル、C1-3−アルコキシ又は1〜3個のフッ素原子により置換されるメチル又はメトキシを示し、及び
Nは、互いに独立して、H又はC1-4−アルキルを示し、
Lは、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-3−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3−アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びシアノより選択され、
7a,R7b、R7cは、互いに独立して、水素、(C1-18−アルキル)カルボニル、(C1-18−アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール−(C1-3−アルキル)−カルボニルより選択される意味を有し、
【0008】
Xは、酸素を示し、又は
メチリデン、フルオロメチリデン、C1-6−アルキル−メチリデン、C2-6−アルケニル−メチリデン、C2-6−アルキニル−メチリデン、C3-7−シクロアルキル−メチリデン、C5-7−シクロアルケニル−メチリデン、C3-7−シクロアルキリデン、C5-7−シクロアルケニリデン、C3-7−シクロアルキル−C1-3−アルキル−メチリデン、C5-7−シクロアルケニル−C1-3−アルキル−メチリデン、アリールメチリデン、ヘテロアリールメチリデン、アリール−C1-3−アルキル−メチリデン又はヘテロアリール−C1-3−アルキル−メチリデンを示し、
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的に又は全体的に、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換又はフッ素化されていてもよく、及び
上記の無置換メチリデン基又は上記の一置換メチリデン基は、更に、フッ素、塩素、C1-3−アルキル、シアノ又はニトロにより一置換されていてもよく、及び
シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキリデン及びシクロアルケリニデン基における1又は2つのメチレン基は、互いに独立して、O、S、CO、SO、SO2又はNRNにより置換されていてもよく、又は
Xは、式による基を示し、
【0009】
【化3】

【0010】
式中、RXは、水素、フッ素、塩素、シアノ、トリフルオロメチル又はC1-3−アルキルを示し、
Bは、単結合、−O−又は−NRN−を示し、
Bは、水素、C1-6−アルキル、C3-6−アルケニル、C3-6−アルキニル、C3-7−シクロアルキル、C5-7−シクロアルケニル、C3-7−シクロアルキル−C1-3−アルキル、C5-7−シクロアルケニル−C1-3−アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C1-3−アルキル又はヘテロアリール−C1-3−アルキルを示し、
ここで、アルキル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的に又は完全に、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換又はフッ素化されていてもよく、又は
B及びBが一緒になって、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン及び4−(C1-4−アルキル)−ピペラジンより選択される複素環を形成し、該複素環は、イミノ基を経てC=O−基に結合しており、
Zは、酸素、メチレン、ジメチルメチレン、ジフルオロメチレン又はカルボニルを示し;
【0011】
ここで、上述した基の定義に使用した用語アリール基は、フェニル又はナフチル基を示し、それは、互いに独立して、同一又は異なる基Lにより一置換又は二置換されていてもよく;及び
上記の基の定義において使用した用語ヘテロアリール基は、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル又はイソキノリニル基、
又はピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル又はピリジル基(1又は2つのメチレン基は、窒素原子により置換されている)、
又はインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル又はイソキノリニル基(1〜3つのメチレン基は、窒素原子により置換されている)を示し、
ここで、上記のヘテロアリール基は、互いに独立して、同一又は異なる基Lにより一置換又は二置換されていてもよく;
上記の基の定義において記載したN−ヘテロシクロアルキル基は、環中にイミノ基を含む飽和炭素環を意味するが、それは、更にイミノ基で置換されていてもよく、環中にO又はS原子を含んでいてもよく、及び
他に記載のない限り、上記のアルキル基は、直鎖又は分岐鎖であり得る)。
【0012】
一般式Iの本発明の化合物及びそれらの医薬的に許容できる塩は、価値ある薬理学的特性、特にナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、特にGGLT2に抑制効果を有する。更に、本発明の化合物は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT1に抑制効果を有し得る。
SGLT1に対して可能性のある抑制効果と比較して、本発明の化合物は、好ましくはSGLT2を選択的に抑制する。
本発明は、また、本発明の化合物と無機又は有機酸との医薬的に許容できる塩に関する。
従って、本発明はまた、本発明の化合物又は医薬的に許容できる塩の医薬組成物としての使用に関する。
本発明はまた、本発明の少なくとも1つの化合物又は本発明の医薬的に許容できる塩を、場合により1又は2以上の不活性担体及び/又は希釈剤と一緒に含む医薬組成物に関する。
本発明の更なる対象は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT,特にSGLT2を抑制することにより影響され得る疾患又は状態の治療又は予防に適切である医薬組成物を製造するための、本発明の少なくとも1つの化合物又は該化合物の医薬的に許容できる塩の使用である。
本発明はまた、代謝性疾患の治療に適切である医薬組成物を製造するための、本発明の少なくとも1つの化合物の使用に関する。
【0013】
本発明はまた、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、特にSGLT2を抑制するための医薬組成物を製造するための、本発明の少なくとも1つの化合物の使用に関する。
本発明は更に、本発明の化合物が、非化学的方法により、1又は2以上の担体及び/又は希釈剤に組み込まれる、本発明の医薬組成物を製造するための方法に関する。
本発明はまた、本発明の一般式Iの化合物を製造するための方法に関する。本発明の製造方法は、以下のa)、b)を特徴とする。
a)本明細書において定義される一般式Iの化合物を製造するために、
一般式IIの化合物を、
【0014】
【化4】

【0015】
(式中、R1は、H、C1-4−アルキル、(C1-18−アルキル)カルボニル、(C1-18−アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル又はアリール−(C1-3−アルキル)−カルボニルを示し、アルキル又はアリール基は、ハロゲンにより一置換又は多置換されていてもよく;
8a、R8b、R8cは、互いに独立して、基R7a、R7b、R7cについて上及び下で説明したうちの一の定義と同じであり、ベンジル基又はRabcSi基又はケタール又はアセタール基、特にアルキリデン又はアリールアルキリデンケタール又はアセタール基を示すが、それぞれ2つの隣接する基R8a、R8b、R8c、R8dは、環状ケタール又はアセタール基又は1,2−ジ(C1-3−アルコキシ)−1,2−ジ(C1-3−アルキル)−エチレンブリッジを形成してもよく、ここで該エチレンブリッジは、ピラノース環の2つの炭素原子及び2個の酸素原子と一緒になって置換ジオキサン環、特に2,3−ジメチル−2,3−ジ(C1-3−アルコキシ)−1,4−ジオキサン環を形成していてもよく、ここでアルキル、アリール及び/又はベンジル基は、ハロゲン又はC1-3−アルコキシにより一置換又は多置換されていてもよく、該ベンジル基はまた、ジ−(C1-3−アルキル)アミノ基により置換されていてもよく;及び
a、Rb、Raは、互いに独立して、C1-4−アルキル、アリール又はアリール−C1-3−アルキルを表し、アリール又はアルキル基は、ハロゲンにより一置換又は多置換されていてもよく;
ここで、上の基の定義において使用した用語アリール基は、フェニル又はナフチル基、好ましくはフェニル基を示し;
基X及びR1〜R5及びブリッジZは本明細書に定義したとおりである。);
酸の存在下で還元剤と反応させ、保護基を同時に又は続いて開裂するか;又は
b)R7a、R7b及びR7cが水素を表す一般式Iの化合物を製造するために、一般式IIIの化合物において、
【0016】
【化5】

【0017】
(式中、X、Z、R8a、R8b、R8c及びR1〜R5は本明細書で定義したとおりであり、基R8a、R8b及びR8cの少なくとも1つは水素を示さず、
水素でない基R8a、R8b又はR8cは、除去、特に加水分解されている);
必要により、方法a)又はb)による上に記載される反応において使用されるいくつかの保護基を開裂し、及び/又は
所望により、このようにして得られる一般式Iの化合物を、選択的に、ヒドロキシ基で誘導体化するか又はこの基を置換し、及び/又は
所望により、このようにして得られる一般式Iの化合物を、その立体異性体に分解し、及び/又は
所望により、このようにして得られる一般式Iの化合物を、それらの塩に、特に、製薬学的用途のために、それらの医薬的に許容できる塩に変換する。
【0018】
発明の詳細な記載
他に記載のない限り、基、残基及び置換基、特にR1〜R5、Rx、RB、B、X、Z、L、RN、R7a、R7b、R7cは、本明細書で定義したとおりである。
残基、置換基又は基が、化合物中に複数個含まれる場合、それらは同一でも又は異なっていてもよい。
基R3は、好ましくは−Z−ブリッジに対してメタ又はパラ位に位置し、以下の式I.1及びI.2、特に式I.2の化合物が好ましいことを意味する。
【0019】
【化6】

【0020】
本明細書において用語アリール、例えば基X、RB、R1及びR3におけるアリールは、好ましくはフェニルを示す。一般的な定義により、他に記載のない限り、アリール基、特にフェニル基は、同一又は異なる基Lにより一置換又は二置換されていてもよい。
本明細書において用語ヘテロアリールは、例えば基X、RB、R1及びR3におけるヘテロアリールは、好ましくは、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル又はチアジアゾリルを示す。一般的な定義により、他に記載のない限り、ヘテロアリール基は、同一または異なる基Lにより一置換又は二置換されていてもよい。
好ましくは、R1は、水素、フッ素、塩素、臭素、C1-6−アルキル、C2-6−アルキニル、C2-6−アルケニル、C3-7−シクロアルキル、C5-7−シクロアルケニル、C1-4−アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1-4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1-3−アルキル)アミノカルボニル、C1-4−アルコキシカルボニル、C1-4−アルキルアミノ、ジ−(C1-3−アルキル)アミノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、C1-4−アルキルカルボニルアミノ、C1-6−アルキルオキシ、C3-7−シクロアルキルオキシ、C5-7−シクロアルケニルオキシ、C1-4−アルキルスルファニル、C1-4−アルキルスルホニル、C3-7−シクロアルキルスルファニル、C3-7−シクロアルキルスルホニル、C5-7−シクロアルケニルスルファニル、C5-7−シクロアルケニルスルホニル、ヒドロキシ及びシアノを示し、
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的に又は全体的に、塩素、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルから選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換又はフッ素化されていてもよく、及び
シクロアルキル及びシクロアルケニル基における1又は2つのメチレン基は、互いに独立して、O、S、CO、SO又はSO2により置換されていてもよく、
及びN−ヘテロシクロアルキル基におけるメチレン基は、CO又はSO2により置換されていてもよい。
【0021】
基R1が、シクロアルキル又はシクロアルケニル基(該基中1又は2つのメチレン基は互いに独立して、O、S、CO、SO又はSO2により置換されている)を示す場合、基R1の好ましい意味は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラノニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピラノニル、ジオキサニル及びトリオキサニルから選択される。
基R1が、N−ヘテロシクロアルキル基(該基中メチレン基はCO又はSO2により置換されている)を示す場合、基R1の好ましい意味は、ピロリジノン、ピペリジノン、ピペラジノン及びモルホリノンから選択される。
特に好ましくは、基R1が、水素、フッ素、塩素、臭素、C1-6−アルキル、C2-6−アルキニル、C2-6−アルケニル、C3-7−シクロアルキル、C5-7−シクロアルケニル、C1-6−アルキルオキシ、C3-7−シクロアルキルオキシ又はシアノを示すが、シクロアルキル及びシクロアルケニル基における1又は2つのメチレン単位は、互いに独立して、O又はCOにより置換されていてもよく、アルキル、アルケニル及びアルキニル基は、部分的に又は全体的にフッ素化されていてもよい。
最も特に好ましい基R1の例は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、メトキシ、シクロペンチルオキシ及びシアノである。
【0022】
基R3は、好ましくは、フッ素、塩素、臭素、C1-6−アルキル、C2-6−アルキニル、C2-6−アルケニル、C3-7−シクロアルキル、C3-7−シクロアルキル−メチル、C5-7−シクロアルケニル、C3-7−シクロアルケニル−メチル、アリール、ヘテロアリール、C1-4−アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1-4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1-3−アルキル)アミノカルボニル、C1-4−アルコキシカルボニル、ジ−(C1-3−アルキル)アミノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、C1-4−アルキルカルボニルアミノ、C1-6−アルコキシ、C3-7−シクロアルキルオキシ、C5-7−シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4−アルキルスルファニル、C1-4−アルキルスルホニル、C3-7−シクロアルキルスルファニル、C3-7−シクロアルキルスルホニル、C5-7−シクロアルケニルスルファニル、C5-7−シクロアルケニルスルホニル、ヒドロキシ及びシアノを示し、
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的に又は全体的に、塩素、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換又はフッ素化されていてもよく、及び
シクロアルキル及びシクロアルケニル基における1又は2つのメチレン基は、互いに独立して、O、S、CO、SO又はSO2により置換されていてもよく、及び
N−ヘテロシクロアルキル基におけるメチレン基は、CO又はSO2により置換されていてもよく、
ここで、用語アリール及びヘテロアリールは、上で定義したとおりであり、アリール及びヘテロアリール基は、互いに独立して、同一又は異なる基Lにより一置換又は二置換されていてもよい。
【0023】
基R3は、シクロアルキル又はシクロアルケニル基(該基中1又は2つのメチレン基は、互いに独立して、O、S、CO、SO又はSO2により置換される)を示す場合、基R3の好ましい定義は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラノニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトアヒドロピラノニル、ジオキサニル及びトリオキサニルから選択される。
基R3が、N−ヘテロシクロアルキル基(該基中メチレン基は、CO又はSO2により置換される)を示す場合、基R3の好ましい意味は、ピロリジノン、ピペリジノン、ピペラジノン及びモルホリノンから選択される。
3の特に好ましい定義は、C1-6−アルキル、C2-6−アルキニル、C1-4−アルキルオキシ、C3-7−シクロアルキル、C3-7−シクロアルキルオキシ及びヒドロキシであるが、シクロアルキル基における1又は2つのメチレン単位は、互いに独立して、O又はCOにより置換されていてもよく、アルキル基は、部分的に又は全体的にフッ素化されていてもよい。
最も特に好ましい基R3は、メチル、エチル、エチニル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ジフルオロメトキシ、シクロペンチルオキシ、テトラヒドロ−フラン−3−イルオキシ及びヒドロキシである。
最も特に好ましくはR3は、メチル、エチル、エチニル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメトキシ、シクロペンチルオキシ、及びヒドロキシを含む。
【0024】
基Xは、好ましくは酸素、メチリデン、フルオロメチリデン、C1-6−アルキル−メチリデン、C2-6−アルキニル−メチリデン、C2-6−アルケニル−メチリデン、C3-7−シクロアルキル−メチリデン又はC3-7−シクロアルキリデンを示し、
ここで、上記のアルキル、アルケニル及びアルキニル基は、部分的に又は完全にフッ素化されていてもよく、互いに独立して、塩素、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルから選択される置換基により一置換又は二置換されていてもよく、及び
上記の無置換メチリデン基又は上記の一置換メチリデン基は、更にフッ素、塩素、C1-3−アルキル又はシアノにより一置換されていてもよく、及び
シクロアルキリデン基におけるメチレン基は、O、S又はNRNにより置換されていてもよく、又はエチレン基は、−NRN−CO−、−CO−NRN−、−O−CO−又は−CO−O−により置換されていてもよく、
又は
Xは、好ましくは、式Tで表される基を示す。
【0025】
【化7】

【0026】
(式中、RXは、水素、フッ素、シアノ、トリフルオロメチル又はC1-3−アルキルを示し、
Bは、単結合、−O−又は−NRN−を示し、
Bは、C1-6−アルキル、C3-7−シクロアルキル、C5-7−シクロアルケニル、C3-7−シクロアルキル−C1-3−アルキル、C5-7−シクロアルケニル−C1-3−アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C1-3−アルキル又はヘテロアリール−C1-3−アルキルを示し、
ここで、アルキル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的に又は完全に、シアノ、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルから選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換又はフッ素化されていてもよく、又は
B及びBは、一緒になって、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン及び4−(C1-4−アルキル)−ピペラジンから選択される複素環を形成し、複素環は、イミノ基を介してC=O−基に結合している。)
基Xの最も特に好ましい基は、酸素、メチリデン、フルオロメチリデン、ジフルオロメチリデン、C1-6−アルキル−メチリデン及びC3-7−シクロアルキリデンである。
最も特に好ましいXの例は、酸素、メチリデン、フルオロメチリデン、ジフルオロメチリデン、エチリデン、イソブチリデン及びシクロペンチリデンである。
【0027】
本発明の化合物の第一実施態様により、Xは、好ましくは、酸素を示す。
本発明の化合物の第二実施態様により、Xは、好ましくは、メチリデン、フルオロメチリデン、C1-6−アルキル−メチリデン、C2-6−アルキニル−メチリデン、C2-6−アルケニル−メチリデン、C3-7−シクロアルキル−メチリデン又はC3-7−シクロアルキリデンを示し、
ここで、上記アルキル、エルケニル及びアルキニル基は、部分的に又は完全にフッ素化されていてもよく、互いに独立して、塩素、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される置換基により一置換又は二置換されていてもよく、及び
上記の無置換メチリデン基又は上記の一置換メチリデン基は更に、フッ素、塩素、C1-3−アルキル又はシアノにより一置換されていてもよく、及び
シクロアルキリデン基におけるメチレン基は、O、S又はNRNにより置換されていてもよく、又はエチレン基は、−NRN−CO−、−CO−NRN−、−O−CO−又は−CO−O−により置換されていてもよい。
シクロアルキリデン基におけるメチレン基が、O、S又はNRNにより置換されているか又はエチレン基が、−NRN−CO−、−CO−NRN−、−O−CO−又は−CO−O−により置換されている場合、置換シクロアルキリデン基の定義は、好ましくは、ジヒドロフラニリデン、ジヒドロピラニリデン、ジヒドロチオフェニリデン、ピロリジニリデン、ピペリジニリデン、ジヒドロフラノニリデン、ジヒドロピラノニリデン、ピロリジノニリデン、N−メチルピロリジノニリデン、ピペリジノニリデン及びN−メチルピペリジノニリデンより選択される。
【0028】
この第二実施態様の基Xの特に好ましい基は、メチリデン、フルオロメチリデン、ジフルオロメチリデン、C1-6−アルキル−メチリデン、C3-7−シクロアルキル−メチリデン及びC3-7−シクロアルキリデン、特にメチリデン、フルオロメチリデン、ジフルオロメチリデン及びC1-4−アルキル−メチリデンである。
最も特に好ましい基Xは、メチリデン、フルオロメチリデン及びジフルオロメチリデンである。
本発明の化合物の第三実施態様により、Xは、好ましくは、式Tで表される基を示す。
【0029】
【化8】

【0030】
(式中、RXは、水素、フッ素、シアノ、トリフルオロメチル又はC1-3−アルキルを示し、
Bは、単結合、−O−又は−NRN−を示し、
Bは、C1-6−アルキル、C3-7−シクロアルキル、C5-7−シクロアルケニル、C3-7−シクロアルキル−C1-3−アルキル、C5-7−シクロアルケニル−C1-3−アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C1-3−アルキル又はヘテロアリール−C1-3−アルキルを示し、
ここで、アルキル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的に又は完全に、シアノ、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換又はフッ素化されていてもよく、又は
B及びBは、一緒になって、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン及び4−(C1-4−アルキル)−ピペラジンより選択される複素環を形成し、複素環は、イミノ基を介してC=O−基に結合している)。
特に好ましくは、Xは、上の式Tで表される基である。
(式中、RXは、水素又はC1-3−アルキルを示し、
Bは、単結合、−O−又は−NRN−を示し、
Bは、C1-6−アルキル、C3-7−シクロアルキル又はアリール−C1-3−アルキルを示し、又はBが単結合又は−NRN−を示す場合、RBはまたアリールを示し、
ここで、アルキル及びシクロアルキル基は、部分的に又は完全に、シアノ、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ又はC1-3−アルキルにより一置換又はフッ素化されていてもよく、又は
B及びBは、一緒になって、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン及び4−(C1-4−アルキル)−ピペラジンより選択される複素環を形成し、複素環は、イミノ基を介してC=O−基に結合している)。
第三実施態様の基Xの最も特に好ましい定義は、以下の式T1、T2及びT3より選択される。
【0031】
【化9】

【0032】
(式中、RBは、メチル、エチル、イソプロピル又はフェニルを示す);
【化10】

【0033】
(式中、RBは、メチル、エチル、イソプロピル又はベンジルを示す);又は
【化11】

【0034】
(式中、RBは、メチル、エチル、イソプロピル又はフェニルを示し及び、RNは、H又はメチルを示す)
2つのメチレン基がO又はSにより置換されているか又はCO、SO又はSO2により置換されているか又は場合によりNRNにより又は基X、R1又はR3により置換されているシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキリデン又はシクロアルケニリデン環が存在する場合、これらのメチレン基は、直接結合していないのが好ましい。しかしながら、2つのメチレン基がO及びCOにより置換されている場合、それらが直接結合して−O−CO又は−CO−O−基を形成してもよい。X、R1又はR3が、本発明の1又は2つのメチレン基が置換されているシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキリデン又はシクロアルケニリデン基である場合、関連する基X、R1又はR3は、好ましくは、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキリデン又はシクロアルケニリデン基(該基中メチレン基は、O、S、CO、SO又はSO2により置換され又はエチレン基は、−O−CO又は−CO−O−により置換されている)を示す。
他の基及び置換基の定義を以下に記載するが、一般式I、式I.1及びI.2及び上に記載した実施態様により好ましいものであると考えられる:
基R2の好ましい定義は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ及び1〜3個のフッ素原子により置換されるメチルである。
【0035】
基R2の特に好ましい定義は、水素、フッ素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ及びメチル、特に水素及びメチルである。
1及びR2が、フェニル環の互いに隣接する2個のC原子に結合している場合、R1及びR2が一緒になってC3-4−ブリッジを形成するのが好ましく、該ブリッジ中の1又は2つのメチレン単位は、互いに独立して、O、NRN又はCOにより置換されていてもよい。好ましくは、互いに結合する基R1及びR2が、それらが結合しているフェニル環と一緒に、ジヒドロインダン、ジヒドロインドール、ジヒドロベンゾフラン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロキノリノン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリノン及びテトラヒドロナフタレンより選択される二環式の環系を形成する。
基R4の好ましい意味は、水素及びフッ素、特に水素である。
3及びR4が、フェニル環の互いに隣接する2個のC原子に結合している場合、R3及びR4が一緒になって、C3-4−ブリッジを形成するのが好ましく、該ブリッジ中の1又は2つのメチレン単位は、互いに独立して、O、NRN又はCOにより置換されていてもよい。好ましくは、互いに連結している基R3及びR4は、それらが結合しているフェニル環と一緒に、ジヒドロインダン、ジヒドロインドール、ジヒドロベンゾフラン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロキノリノン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリノン及びテトラヒドロナフタレンより選択される二環式環を形成する。
【0036】
基R5の好ましい意味は、水素及びフッ素、特に水素である。
基Zの好ましい意味は、酸素及びメチレン、特にメチレンである。
置換基R7a、R7b、R7cは、好ましくは、互いに独立して、水素、(C1-8−アルキル)オキシカルボニル、(C1-18−アルキル)カルボニル、ベンゾイル、特に水素又は(C1-6−アルキル)オキシカルボニル、(C1-8−アルキル)カルボニル、特に好ましくは、水素、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メチルカルボニル又はエチルカルボニルを表す。最も特に好ましくは、R7a、R7b及びR7cは、水素を示す。
7a、R7b及びR7cが、水素、例えばC1-8−アルキルカルボニル以外の本発明の意味を有する式Iの化合物は、好ましくは、R7a、R7b及びR7cが、水素を示す式Iの化合物の合成における中間生成物に適する。
置換基Lは、好ましくは、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、C1-3−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3−アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びシアノから成る基より、特に好ましくは、フッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ及びジフルオロメトキシから成る基より選択される。
一般式Iの特に好ましい化合物は式I.2a〜I.2dより選択され、特に式I.2cである。
【0037】
【化12】

【0038】
(式中、R1〜R5、X、Z、R7a、R7b、R7cは上で定義したとおりである)。
最も特に好ましいのは、式I.2a、I.2b、I.2c及びI.2dの化合物、特に式I.2cの化合物、互変体、立体異性体、それらの混合物又はそれらの塩、特にそれらの医薬的に許容できる塩であり、式中、基R1〜R5、X、Z、R7a、R7b、R7cは、好ましいものとして上に記載したとおりであり、特に、
1が、水素、フッ素、塩素、臭素、C1-6−アルキル、C2-6−アルキニル、C2-6−アルケニル、C3-7−シクロアルキル、C5-7−シクロアルケニル、C1-6−アルキルオキシ、C3-7−シクロアルキルオキシ又はシアノを示すが、シクロアルキル及びシクロアルケニル基における1又は2つのメチレン単位は、互いに独立して、O又はCOにより置換されていてもよく、アルキル、アルケニル及びアルキニル基は、部分的に又は完全にフッ素化されていてもよく、特に好ましくは、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、メトキシ、シクロペンチルオキシ又はシアノを示し、及び
3が、C1-6−アルキル、C2-6−アルキニル、C1-4−アルキルオキシ、C3-7−シクロアルキル、C3-7−シクロアルキルオキシ又はヒドロキシを示すが、シクロアルキル基における1又は2つのメチレン単位は、互いに独立して、O又はCOにより置換されていてもよく、アルキル基は、部分的に又は完全にフッ素化されていてもよく、特に好ましくは、メチル、エチル、エチニル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ジフルオロメトキシ、シクロペンチルオキシ、テトラヒドロ−フラン−3−イルオキシ又はヒドロキシを示し、及び
Xが(1)酸素を示し;又は
(2)メチリデン、フルオロメチリデン、C1-6−アルキル−メチリデン、C2-6−アルキニル−メチリデン、C2-6−アルケニル−メチリデン、C3-7−シクロアルキル−メチリデン又はC3-7−シクロアルキリデンを示し、
ここで、上記のアルキル、アルケニル及びアルキニル基は、部分的に又は完全にフッ素化されていてもよく、互いに独立して、塩素、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される置換基により一置換又は二置換されていてもよく、
上記の無置換メチリデン基又は上記の一置換メチリデン基は、更に、フッ素、塩素、C1-3−アルキル又はシアノにより一置換されていてもよく、及び
シクロアルキリデン基におけるメチレン基は、O、S又はNRNにより置換されていてもよく、又はエチレン基は、−NRN−CO−、−CO−NRN−、−O−CO−又は−CO−O−により置換されていてもよく;
特に好ましくは、Xが、メチリデン、フルオロメチリデン、ジフルオロメチリデン、C1-6−アルキル−メチリデン又はC3-7−シクロアルキリデンを示し;又は
(3)式Tで表される基を示し
【0039】
【化13】

【0040】
(式中、RXは、水素、フッ素、シアノ、トリフルオロメチル又はC1-3−アルキルを示し、
Bは、単結合、−O−又は−NRN−を示し、
Bは、C1-6−アルキル、C3-7−シクロアルキル、C5-7−シクロアルケニル、C3-7−シクロアルキル−C1-3−アルキル、C5-7−シクロアルケニル−C1-3−アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C1-3−アルキル又はヘテロアリール−C1-3−アルキルを示し、
ここで、アルキル、シクロアルキル−及びシクロアルケニル基は、部分的に又は完全に、シアノ、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換又はフッ素化されていてもよく、又は
B及びBが一緒になって、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン及び4−(C1-4−アルキル)−ピペラジンより選択される複素環を形成し、複素環は、イミノ基を介してC=O−基に結合している);
最も特に好ましくは、(3)によりXが上記の式Tを示し、式中、
xが水素又はC1-3−アルキルを示し、
Bが単結合、−O−又は−NRN−を示し、
Bが、C1-6−アルキル、C3-7−シクロアルキル又はアリール−C1-3−アルキルを示し、Bが、単結合又は−NRN−を示す場合、RBはまた、アリールを表してもよく、
ここで、アルキル及びシクロアルキル基は、部分的に又は完全に、シアノ、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ又はC1-3−アルキルにより一置換又はフッ素化されていてもよく、又は
【0041】
B及びBが一緒になって、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン及び4−(C1-4−アルキル)−ピペラジンより選択される複素環を形成し、複素環は、イミノ基を介してC=O−基に結合しており、及び
2は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ又は1〜3個のフッ素原子により置換されているメチルを示し、特に好ましくは、水素、フッ素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ又はメチル、特に水素又はメチルを示し、及び
4は、水素又はフッ素、特に水素を示し、及び
5は、水素又はフッ素、特に水素を示し、及び
Zは、酸素又はメチレン、特にメチレンを示し、及び
7a、R7b、R7cは、互いに独立して、水素、(C1-8−アルキル)オキシカルボニル、(C1-18−アルキル)カルボニル又はベンゾイル、特に水素又は(C1-6−アルキル)オキシカルボニル、(C1-8−アルキル)カルボニル、特に好ましくは、水素、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メチルカルボニル又はエチルカルビボニル、最も特に好ましくは水素を表し、及び
Nは、互いに独立して、H又はC1-4−アルキルを示し、
Lは、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、C1-3−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3−アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びシアノを表す。
【0042】
上記の実施態様を変更することにより、これらの化合物(式中、置換基R3を有するフェニル基は、水素以外の少なくとも1つの他の置換基R4及び/又はR5を含む)がまた好ましい。このような変更によれば、フッ素を表す置換基R4を含む化合物が好ましい。
置換基R3を有するフェニル基は、多くても二フッ素化であるのが好ましい。
一般式Iの特に好ましい化合物は、以下から選択される化合物、その互変体、立体異性体又はそれらの混合物である。
(a)1−クロロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−4−(6−メチリデン−β−D−キシロピラノース−1−イル)−ベンゼン
(b)1−クロロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−4−(6−フルオロメチリデン−β−D−キシロピラノース−1−イル)−ベンゼン
(c)1−クロロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−4−(6−ジフルオロメチリデン−β−D−キシロピラノース−1−イル)−ベンゼン
(d)1−クロロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−4−(6−オキソ−β−D−キシロピラノース−1−イル)−ベンゼン。
本発明の化合物を説明するために本明細書において使用したいくつかの用語について以下により詳しく説明する。
用語ハロゲンは、F、Cl、Br及びI、特にF、Cl及びBrからなる群から選択される原子を示す。
用語C1-n−アルキル(式中nは1〜18の値を有することができる)は、1〜n個のC原子を有する飽和、分岐又は非分岐炭化水素基を示す。そのような基の例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、ネオ−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、イソ−ヘキシルなどが挙げられる。
用語メチリデンは、二重結合により結合している式:
【0043】
【化14】

【0044】
で表される基を示す。
用語C1-n−アルキル−メチリデンは、水素原子が、C1-n−アルキル基により置換されているメチリデン基を示す。
用語C2-n−アルキニル(式中nは、3〜6の値を有する)は、2〜n個のC原子及びC≡C三重結合を有する分岐又は非分岐炭化水素を示す。そのような基の例として、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、4−メチル−2−ペンチニルなどが挙げられる。他に記載のない限り、アルキニル基は、一位におけるC原子を介して分子の残りに結合している。従って、例えば1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニルなどは、用語1−プロピン−1−イル、2−プロピン−1−イル、1−ブチン−1−イルなどに相当する。これはまた、C2-n−アルケニル基に同様にあてはまる。
用語C1-n−アルコキシ又はC1-n−アルキルオキシは、C1-n−アルキル−O基を示す(式中C1-n−アルキルは上で定義したとおりである)。そのような基の例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、イソ−ペントキシ、ネオ−ペントキシ、t−ペントキシ、n−ヘキソキシ、イソ−ヘキソキシなどが挙げられる。
【0045】
用語C1-n−アルキルカルボニルは、C1-n−アルキル−C(=O)基を示す(式中C1-n−アルキルは上で定義したとおりである)。そのような基の例として、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソ−プロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、イソ−ブチルカルボニル、s−ブチルカルボニル、t−ブチルカルボニル、n−ペンチルカルボニル、イソ−ペンチルカルボニル、ネオ−ペンチルカルボニル、t−ペンチルカルボニル、n−ヘキシルカルボニル、イソ−ヘキシルカルボニルなどが挙げられる。
用語C3-n−シクロアルキルは、3〜n個のC原子を有する、飽和モノ−、ジ−、トリ−又はスピロ炭素環式族を示す。そのような基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロドデシル、デカリン、ビシクロ[3.2.1.]オクチル、スピロ[4.5]デシル、ノルピニル、ノルボニル、ノルカリル、アダマンチルなどが挙げられる。特に用語C3-7−シクロアルキルは、飽和単環式基を示す。
用語C3-7−シクロアルキリデンは、二重結合によりC3-7−シクロアルカン基に結合しているC3-7−シクロアルカン基を示す。C3-7−シクロアルキリデン基の例として、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデンが挙げられる。
【0046】
用語C3-n−シクロアルキルオキシは、C3-n−シクロアルキル−O基を示す(式中C3-n−シクロアルキルは上で定義したとおりである)。そのような基の例として、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシなどが挙げられる。
用語C5-n−シクロアルケニルは、上で定義したとおりであるC5-n−シクロアルキル基でありかつ更に、少なくとも1つの不飽和C=C二重結合を含む。
用語C3-n−シクロアキルカルボニルは、C3-n−シクロアルキル−C(=O)基を示す(式中C3-n−シクロアルキルは上で定義したとおりである)。
用語、トリ−(C1-4−アルキル)シリルは、同一のアルキル基又は2又は3つの異なるアルキル基を含むシリル基を含む。
用語ジ−(C1-3−アルキル)アミノは、同一のアルキル基又は2つの異なるアルキル基を有するアミノ基を含む。
用語N−ヘテロシクロアルキルは、環中にイミノ基を含む飽和炭素環を示し、更に、環中に場合により置換されていてもよい別のイミノ基又はO又はS原子を含んでいてもよい。イミノ基は基−NH−を意味する。そのようなN−ヘテロシクロアルキル基の例は、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、N−アルキル−ピペラジン及びモルホリンである。
【0047】
基、例えばX、R1又はR3基中のアルキル基が、置換、例えばフッ素化されていてもよい場合、アルキルを直接表す基におけるアルキル基のみならず、アルキル基を含む他の定義、例えばアルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシアルキルなどにおけるアルキル基も包含する。従って、例えばアルコキシを表すX、R1及びR3(式中アルキル基は、部分的に又は全体的にフッ素化されていてもよい)はまた、ジフルオロメトキシ及びトリフルオロメトキシを含む。
本明細書において、フェニル基における置換基の結合をフェニル環の中央に向かって示している場合、他に記載のない限り、この置換基が、H原子を有するフェニル環のあらゆる位置に自由に結合し得ることを示す。
本発明の化合物は、原理上知られる合成の方法を使用して製造することができる。好ましくは、本発明の化合物は、以下により詳細に説明した本発明の方法により得ることができる。
以下に記載するD−キシロースは、6−ヒドロキシ基を置換することにより又は適切に誘導体化することにより、続いて所望の基により置換することにより、D−グルコースから得ることができる。以下に、例として、本発明の化合物を合成するいくつかの方法を示す。個々の反応は、概して、有機化学における標準的な変換反応(transformation)であり、当業者であれば容易に行うことができる。簡単のため、以下の式において、本発明により置換される式:
【0048】
【化15】

【0049】
の基を、基:
【0050】
【化16】

【0051】
とする。基PGは保護基を表し、例えば、基、R8a、R8b及びR8cの意味の1つを有する。
図1:Xが酸素又はメチリデンを示す一般式Iの化合物の合成
【0052】
【化17】

【0053】
図1は、XがO又はメチリデンを示す本発明の式Iの化合物の可能な合成方法を示す。D−グルコース誘導体Xから出発して、6−OH基を除去し、メチリデンアナログXIを形成する。試薬、例えばバージェス試薬(Et3NSO2NCOOMe)を用いる工程において変換することができる。2段階の合成方法は、OH基を脱離基Aに一旦変更すること、好ましくはクロリド、臭化物、ヨウ化物又はスルホネート、例えばトシレート、メシレート又はトリフルオロメチルスルホネートに変更すること、次いで、脱離基Aを有機又は無機塩基により、特にDBU、水酸化物又はアルコキシド、例えばメトキシド、エトキシド又はt−ブトキシドにより除去することを含む(実施例1参照)。更にOH基はまた、ミツノブ変形(Mitsunobu variant)(Synthesis 1981、1-28及びOrg.React.1993、42、335-656参照)により直接的に又は脱離基Aを導入することにより間接的にアリールチオ又はアリールセレノ基に変換することができ、酸化後、スルホキシド(アリール−SO−)又は酸化セレン(アリール−SeO−)を形成し、不活性溶剤、例えばトルエン、キシレン、メシチレン又はジクロロエタン中で加熱して、このアリールチオ又はアリールセレノ基を、熱的シン除去(thermal syn elimination)に供し、生成物XIを得ることができる。メチリデン化合物XIは、オゾン分解によるC=C−開裂に供し、対応ラクトースXIIを得る。オゾン分解から得られる第一級又は第二級オゾニドは、還元的に、例えばホウ化水素、ジアルキルスルフィド又はトリアリールホスフィンを用いて、又は酸化的に、例えば過酸化水素を用いて得ることができる。
図2:Xが基RHC=を示す一般式Iの化合物の合成
【0054】
【化18】

【0055】
基Xが置換メチリデン基=CHRを示す式Iの化合物(式中Rは、C1-6−アルキル、C2-6−アルケニル、C2-6−アルキニル、C3-7−シクロアルキル、C5-7−シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C1-3−アルキル又はヘテロアリール−C1-3−アルキルを示し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的に又は完全に、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換又はフッ素化されていてもよく、シクロアルキル及びシクロアルケニル基における1又は2つのメチレン基は、互いに独立して、O、S、CO、SO、SO2又はNRNにより置換されていてもよい)は、図2に従って製造することができる。図2により、D−グルコース誘導体Xは、6−OH基において酸化されてアルデヒドXIIIを形成する。適切な酸化剤は、特にDMSO及び塩化オキサリルであり、例えばSwernに記載されるような、デス・マーチンペルヨージナン、二酸化マンガン、クロミウム(VI)試薬、例えばPCC又は重クロム酸カリウム、テトラメチルピペリジン酸化物(TEMPO)又はペルルテネート(perrhutenate)である。基Rは、対応する有機金属化合物、例えばリチウム、マグネシウム、セリウム、亜鉛、クロミウム又はインジウム化合物を添加することにより挿入することができ、これら化合物は1又は2以上の対応する基Rを有していてもよく、アルコールXIVを得ることができる(M.Schlosser、Organometallics in Synthesis、John Wiley&Sons、Chichester/New York/Brisbane/Toronto/Singapore、1994参照)。目的化合物XVはXからXIへの変換について記載した既述の方法を使用して脱水することにより、アルコールXIVから得ることができる。基Rは、立体選択的に添加されかどうかに依存して、1つの二重結合異性体又は2つの混合物のいずれかのみが得られる。
【0056】
合成の第二方法を使用して、遷移金属活性化基LG、例えばトシレート、トリフレート、ノンアフレート(nonaflate)、塩素、臭素又はヨウ素を有するオレフィンXVIは、必要により塩基、例えばトリエチルアミンを使用して、アルデヒドXIIIから製造する。遷移金属、例えばパラジウム、ニッケル、ロジウム、銅又は鉄により、XVIにおける活性化官能基LGが基Rと置換することができ、例えばシリコン(例えばヒヤマカップリング)、ホウ素(例えばスズキカップリング)、スズ(例えばスチレカップリング)、亜鉛又はジルコニウム(例えばネギシカップリング)、マグネシウム(例えばクマダカップリング又はコウチカップリング)、リチウム(例えばクマダカップリング)、アルミニウム、インジウム、クロミウム(例えばノザキ−ヒヤマ−キシ反応)又は銅(例えばソノガシラカップリング)(L.Brandsma、S.F.Vasilevsky、H.D.Verkruijsse、Application of transition Metal Catalysts in Organic Synthesis、springer-Verlag、Berlin.Hodelberg、1998参照)に結合した後、カップリング反応に導入することができる。Rが二重結合を有する場合、XVIはまた、ニッケル、パラジウム又はロジウム触媒を使用して、ヘック反応(Heck reaction)又はそれらの変化により結合され得る。基Rは、立体選択的に反応を用いて導入され、付加化合物XVI(Chem.Rev.2000、100(8)、3009-3066参照)における二重結合の形状の機能として、E又はZ形状を有する生成物XVIIを得る。
【0057】
図3:Xが基RR’C=を示す一般式Iの化合物の合成
【0058】
【化19】

【0059】
図3は、Rが上で定義したとおりであり、R’がC1-3−アルキル又はシアノである置換メチリデンピラン誘導体の製造について説明する。R’及びRはまた一緒になってC3-7−シクロアルキリデン又はC5-7−シクロアルケニリデン単位を形成し得るが、シクロアルキリデン及びシクロアルケニリデン基における1又は2つのメチレン基は、互いに独立して、O、S、CO,SO、SO2又はNRNにより置換されていてもよい。
カルボン酸XVIIIは、アルデヒドXIII(図2と同じように製造され得る)から出発して、例えば塩化ナトリウムを用いて酸化することにより製造される。カルボン酸はまた、テトラメチルピペリジン酸化物(TEMPO)及びハイポクロリド(hypochloride)により又は重クロム酸カリウムにより酸化することによりグルコース誘導体Xから得ることができる。カルボン酸(−CO−OH基)を対応するWeinrebアミド(−CO−NMe−OMe基)に変換し、そこに基RをR−金属化合物としてモノ添加し、ケトンXIXを製造することができる。金属は、例えばリチウム又はマグネシウムである。或いは、カルボン酸塩化物をカルボン酸から製造し、そこに再びR−金属化合物を同じように添加することができる。これは、触媒、例えば、パラジウム、銅、ニッケル又は鉄の存在下で行うことができる。しかしながら、カルボン酸XVIIIそれ自体を、更にRを有する有機リチウム化合物と直接反応させてケトンXIXを形成することができる。別の工程において、第2の基R’を、対応する有機金属化合物を添加することによりケトンXIXに結合させてアルコールXXを得ることができる。この場合、有機金属化合物は、例えば、リチウム、グリニャール、クロム又はセリウム化合物であってもよい。第2有機金属反応はまた、対応するシクロアルカノール又はシクロアルケノールであってもよい。連続の最後の反応工程において再度脱水する。脱水は、上述したように行うことができる。
【0060】
図4:Xが基RHC=又はRB−B−CO−(RX)C=を示す一般式Iの化合物の合成
【0061】
【化20】

【0062】
図4により、図1と同様にしてラクトンXIIから出発してタイプXVの化合物を製造することができる代替方法を示す。ラクトンXIIを、所望の基Rの混合物と反応させる。該混合物は、ジハロゲン化物、例えば二臭化物又は二ヨウ化物、亜鉛及び四塩化チタンを含有する(J.Org.Chem.1987、52(19)、4410-4412参照)。同様に、フルオロ−及びジフルオロメチリデン化合物は、ラクトンXIIをFCHBr2又はE2CBr2、(Me2N)3P及びZnを反応させることにより製造することができる(J.Chem.Soc., Chem.Commun.1989, 19, 1437-1439参照)。図4の下半分は、基XがRB−B−COCRX=である化合物を用いる本発明の化合物の製造を示す。ここで、RB及びBは、上で定義したとおりであり、RXは、水素、臭素、塩素、C1-3−アルキル、シアノ又はニトロである。目的化合物XXIIIを直接得るには、ラクトンXIIから出発し、RB−B−COCH2Xからのエノラートと反応させ、例えばリチウムジイソプロピルアミド(LDA)又はリチウムヘキサメチルジシルアジドと反応させることにより得ることができる。XXIIIを合成する代替方法としては、例えばニトリルXXIIを経て、トリフェニルホスファニリデンアセトニトリル又はそれらの誘導体と反応させることによりラクトンXIIから得ることができる(Tetrahedron Asymmetry 2000、11(2)、417-421参照)。アニオン又は中性化合物として対応するRB−B基、例えばRB−O-/RB−OH、RB−NRN−/RB−NRNH又はRB-/RB−Hを添加し、次いで、イミン中間体を加水分解することにより目的の化合物XXIIIを得ることができる。ニトリル化合物XXIIを加水分解して対応カルボン酸を形成すること、該カルボン酸又はその活性化誘導体、例えばカルボン酸塩化物又は無水物に添加することによっても生成物XXIIIを得ることができる。
【0063】
一般式Iの化合物を製造する別の可能な方法において、一般式II
【化21】

【0064】
(式中、X、Z及びR’、R1〜R5は上で定義したとおりであり、R8a、R8b及びR8cは上で定義したとおりであり、互いに独立して、例えばアセチル、ピバロイル、ベンゾイル、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、トリアルキルシリル、ベンジル又は置換ベンジルを表す)の化合物を、酸の存在下で還元剤と反応させる。
反応のための適切な還元剤として、例えばシラン、例えばトリエチル、トリプロピル、トリイソプロピル又はジフェニルシラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素化ナトリウム、水素化ホウ素亜鉛、ボラン、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム又はサマリウムヨウ化物が挙げられる。還元は、適切な酸、例えば塩酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、三フッ化ホウ素エーテル、トリメチルシリルトリフレート、四塩化チタン、四塩化スズ、スカンジウムトリフレート又は亜鉛ヨウ化物の存在下で行うのが好ましい。還元剤及び酸により、反応は、溶剤、例えば塩化メチレン、クロロフルム、アセトニトリル、トルエン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノール、水又はそれらの混合物中、−60〜120℃の間の温度で行うことができる。試薬の特に適切な組み合わせは、例えばトリエチルシランと三フッ化ホウ素エーテルからなり、それは、便宜上、アセトニトリル又はジクロロメタン中で−60〜60℃の温度で使用される。更に、水素は、所望な変換のために、遷移金属触媒、例えばパラジウム炭素又はラネーニッケルの存在下で、溶剤、例えばテトラヒドロフラン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、水又は酢酸中で使用され得る。
あるいはまた、本発明の方法b)による一般式Iの化合物を製造するために、一般式III
【0065】
【化22】

【0066】
(式中、X、Z及びR1〜R5は上で定義したとおりであり及びR8a〜R8cは上で記載される保護基の1つ、例えばアシル、アリールメチル、アセタール、ケタール又はシリル基を表す)の化合物において、保護基を開裂する。
使用されるアシル、アセタール又はケタール保護基は、加水分解的に、例えば水性溶剤中で、例えば水、イソプロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水又はジオキサン/水中で、酸、例えばトリフルオロ酢酸、塩酸又はスルホン酸の存在下で、又は非プロトン的に、例えばヨウドトリメチルシランの存在下で、0〜120℃の間の温度で、好ましくは10〜100℃の温度で開裂させる。アセチル基はまた、アルキル金属塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの存在下において開裂することができる。トリフルオロアセチル基は、好ましくは酸、例えば塩酸を用いて、場合により溶剤、例えば酢酸の存在下で、50〜120℃の間の温度で処理することにより又は水酸化ナトリウム溶液を用いて、場合により溶剤、例えばテトラヒドロフラン又はメタノールの存在下で、0〜50℃の間の温度で処理することにより開裂させる。
トリメチルシリル基は、例えば水、水性溶剤混合物又は低アルコール、例えばメタノール又はエタノール中で、塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム又はナトリウムメトキシドの存在下で開裂させる。水性又はアルコール溶剤中では、酸、例えば塩酸、トリフルオロ酢酸又は酢酸もまた適切である。フッ化物試薬、例えばテトラブチルアンモニウムフッ化物もまた、有機溶剤、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジクロロメタン中で開裂するのに適切である。
【0067】
ベンジル、メトキシベンジル又はベンジルオキシカルボニル基は、有利に、水素添加的に、例えば水素を用いて、触媒、例えばパラジウム炭素の存在下で、適切な溶剤、例えばメタノール、エタノール、酢酸エチル又は氷酢酸中で、場合により酸、例えば塩酸を添加することにより、0〜100℃の間の温度で、好ましくは20〜60℃の間の周囲温度で開裂させる。しかしながら、2,4−ジメトキシベンジル基は、トリフルオロ酢酸中でアニソールの存在下で開裂させるのが好ましい。t−ブチル又はt−ブトキシカルボニル基は、酸、例えばトリフルオロ酢酸又は塩酸を用いる処理により又はヨウドトリメチルシランを用いる処理により、場合により溶剤、例えば塩化メチレン、ジオキサン、メタノール又はジエチルエーテルを使用して開裂させるのが好ましい。
上に記載した反応において、いくつかの反応基は、例えばエチニル、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノを示し、又はイミノ基は、反応の間、例えば上で記載されるような反応後再び開裂される従来の保護基により保護され得る。
例えば、エチニル基のための保護基は、トリメチルシリル又はトリイソプロピル基であり得る。2−ヒドロキシイソプロパン−2−イル基はまた保護基として使用され得る。
例えば、ヒドロキシ基のための保護基は、トリメチルシリル、アセチル、トリチル、ベンジル又はテトラヒドロピラニル基であり得る。
【0068】
アミノ、アルキルアミノ又はイミノ基のための保護基の例として、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ベンジル、メトキシベンジル又は2,4−ジメトキシベンジル基が挙げられる。
更に、このようにして得られる一般式Iの化合物は、選択的に、ヒドロキシ基で誘導体化され得又はそれ自身のヒドロキシ基は、置換されていてもよい(実施例VII、VIII、1、2、4、5、6参照)。
更に、得られる一般式Iの化合物は、上述したように、それらの光学異性体及び/又はジアステレオマーに分解することができる。従って、例えばシス/トランス混合物は、それらのシス及びトランス異性体に分解することができる、及び少なくとも1つの光学的に活性な炭素原子を有する化合物はそれらの光学異性体に分離することができる。
従って、例えばシス/トランス混合物は、クロマトグラフィによりそれらのシス及びトランス異性体に分解することができる、ラセメートとして発生する一般式Iの化合物はそれ自体周知の方法(cf.Allinger N.L.and Eliel E.L.in “Topics in Stereochemistry”、Vol.6、Wiley Interscience、1971)により、それらの光学対掌体に分離することができ、少なくとも2つの非対称の炭素原子を有する一般式Iの化合物は、それ自体周知の方法を使用して、例えばクロマトグラフィ及び/又は分別結晶により、それらの物理化学的差違に基づいてそれらのジアステレオマーに分解することができ、これらの化合物がラセミ形態において得られる場合、それらは続いて、既述の光学異性体に分解することができる。
【0069】
光学異性体は、好ましくは、キラル相でのカラム分離により又は光学的に活性な溶剤からの再結晶により又はラセミ化合物を有する塩又は誘導体、例えばエステル又はアミドを形成する光学的に活性な物質、特に酸及び活性誘導体又はそれらのアルコールと反応させること、このようにして得られる塩又は誘導体のジアステレオマー混合物を、例えば溶解度におけるそれらの差違に基づいて分離することにより分離されるが、遊離アンチポード(antipode)は、純ジアステレオマー塩又は誘導体から適切な薬剤の作用により放散され得る。一般的使用における光学的に活性な酸は、例えば酒石酸又はジベンゾイル酒石酸、ジ−o−トリ酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、カンファールスルホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸又はキナ酸のD−及びL−形態である。光学的に活性なアルコールは、例えば(+)又は(−)−メタノールであり得及びアミドにおける光学的に活性なアシル基は、例えば(+)又は(−)−メトキシカルボニルであり得る。
更に、得られる式Iの化合物は、それらの塩に、特に無機又は有機酸を有する医薬的に許容できる塩に医薬的使用のために変換され得る。この目的のために使用され得る酸として、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸又はマレイン酸が挙げられる。
更に、得られる化合物を、混合物、例えばアミノ酸、特にα−アミノ酸、例えばプロリン又はフェニルアラニンを有する1:1又は1:2の混合物に変換することができ、それは、特に有利な特性、例えば高結晶化度を有し得る。
【0070】
出発物質として使用される一般式II及びIIIの化合物は、ある程度文献から公知である又は文献から公知の方法により得ることができるし、実施例に記載の方法と同じように、場合により保護基を付けて得ることができる。
本発明の化合物はまた、有利に、以下の実施例において記載される方法により得られ得、それはまた、文献より当業者に知られる方法、例えば、特にWO 98/31697、WO 01/27128、WO 02/083066、WO 03/099836、WO 04/063209及びWO 04/76470において記載される方法と組み合わせられ得る。
既述のように、本発明の一般式Iの化合物及びそれらの医薬的に許容できる塩は、価値ある薬理学的特性、特にナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT,好ましくはSGLT2に抑制効果を有する。
本発明の新規化合物の生物学的特性は、以下のようにして調べることができる:
SGLT−2活性を抑制するための物質の能力は、CHO-K1細胞株(ATCC No.CCL 61)又はHEK293細胞株(ATCC No.CRL-1573)の試験設定に示すことができる。発現ベクターpZeoSV(Invitrogen、EMBL 受入番号 L36849)により安定にトランスフェクトされており、ヒトナトリウムグルコース共輸送体2の配列をコードするためのcDNA (Genbank Acc. No. NM 003041)(CHO-hSGLT2又はHEK-hSGLT2)を含む。これらの細胞株は、14C-標識α-メチル-グルコピラノシド(14C-AMG、Amersham)をナトリウム依存方法により細胞の内部に移送する。
【0071】
SGLT-2アッセイは以下のようにして行う:
CHO-hSGLT2細胞を、10%のウシ胎仔血清及び250μg/mlのゼオシン(Invitrogen)を含むハムF12培地(BioWhittaker)中で培養し、HEK293-hSGLT2細胞を、10%のウシ胎仔血清及び250μg/mlのゼオシン(Invitrogen)を含むDMEM培地中で培養する。
PBSで2回洗浄し、続いてトリプシン/EDTAで処理することにより、培養フラスコから細胞を分離する。細胞培地を添加した後、細胞を遠心分離機にかけ、培地中に再懸濁し、Casy cell counterで計測する。次いで、ウェルあたり40,000の細胞を、ポリ-D-リシンでコーティングした白色の96-ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2で一晩インキュベートする。細胞を、250μlのアッセイ緩衝液(ハンクス平衡塩溶液、137mM NaCl、5.4mM KCl、2.8mM CaCl2、1.2mM MgSO4及び10mM HEPES(pH 7.4)、50μg/mlのゲンタマイシン)を用いて2回洗浄する。300μlのアッセイ緩衝液及び5μlの試験化合物を、次いで各々のウェルに添加し、プレートを更に15分間インキュベーターに中でインキュベートする。5μlの10%DMSOをネガティブコントロールとして使用する。反応を、5μlの14C-AMG(0.05μCi)を各々のウェルに添加することにより開始する。37℃、5%CO2で2時間インキュベーションした後、細胞を再び300μlのPBS(20℃)で洗浄し、次いで25μlの0.1N NaOH(5分間、37℃)を添加することにより溶解させる。200μlのマイクロシント20(MicroScint20)(Packard)を各々のウェルに添加し、インキュベーションを更に20分間37℃で続ける。インキュベーション後、吸収される14C-AMGの放射能を、Topcount(Packard)で14Cシンチレーションプログラムを使用して測定する。
【0072】
ヒトSGLT1に関する選択性を求めるために、hSGLT2 cDNAの代わりにhSGLT1(Genbank, Acc. NO. NM000343)のcDNAが、CHO-K1又はHEK293細胞において発現する同様の試験を設定する。
又は、物質の生物学的試験のために、hSGLT1及びhSGLT2のための細胞膜電位を測定することができる。既述の細胞モデルをこの目的のために使用することができる。試験のために、ポリ-D-リシンでコーティングされた透明な塩基を有する黒色384-ウェルプレートのウェルあたり10,000の細胞を培地中に播種し、37℃、5%CO2で16時間インキュベートする。次いで、細胞を、グルコースを含有しないHBSS緩衝液(12.67mol/l CaCl2、4.93mmol/l MgCl2、4.07mmol/l MgSO4、4.41mmol/l KH2PO4;pH7.4)で2回洗浄し、20μlのHBSSで被覆する。20μlの荷電(charging)緩衝液(細胞膜電位アッセイキットエクスプローラーR8126、Molecular Devices GmbH, Ismaning)と、適切な濃度において試験されるための20μlの物質を添加した後、更に30分間37℃、5%CO2でインキュベーションを続ける。測定は、Fluorescent Imaging Plate Reader(Molecular Devices GmbH, Ismaning)において485nmの励起波長で行い、20μlの刺激(stimulant)緩衝液(140mM NaCl及び120mMグルコース)を添加することにより開始する。Na+のグルコース誘発流入により引き起こされる細胞の減極を測定し、蛍光における変化として定量化することができる。
【0073】
本発明の一般式Iの化合物は、例えば1000nM未満、特に200nM未満、特に好ましくは50nM未満のEC50値を有し得る。
SGLT活性を抑制する本発明の化合物の能力を考慮すると、本発明の一般式Iの化合物及び対応する医薬的に許容できる塩は、SGLT活性、特にSGLT−2活性の阻害により影響を受け得る全ての状態又は疾患を、治療及び/又は予防的な処置に適切である。従って、本発明の化合物は、特に疾患、特に代謝性疾患又は状態、例えばタイプ1及び/又はタイプ2の糖尿病、糖尿病の合併症(例えば網膜症、腎症又はニューロパシー、糖尿病足、潰瘍、粥状変化)、代謝性アシドーシス又はケトーシス、反応性低血糖、高インスリン血、グルコース代謝性疾患、インスリン耐性、メタボリックシンドローム、異なる源の異常脂質血しょう、アテローム性動脈硬化及び関連疾患、肥満、高血圧、慢性心不全、浮腫及び高尿酸血の予防又は治療に適切である。本発明の化合物はまた、ベータ細胞変性、例えば膵臓ベータ細胞のアポトーシス又は壊死を予防するのに適切である。本発明の化合物はまた、膵臓細胞の機能を改善又は復元したり、膵臓ベータ細胞の数及び大きさを増加したりするのに適切である。本発明の化合物はまた、利尿薬又は降圧剤として使用され得及び急性腎不全の予防及び治療に適切である。
特に、本発明の化合物又はそれらの医薬的に許容できる塩は、糖尿病、特にタイプ1及びタイプ2の糖尿病及び/又は糖尿病合併症の予防又は治療に適切である。
【0074】
治療又は予防のための対応する活性を達成するために必要とされる用量は、通常、投与されるべきである化合物、患者、病気又は状態の性質及び重要性及び投与の方法及び頻度に依存し、担当医が決定することである。都合のよいことに、用量は、静脈内投与の場合1〜100mg、好ましくは1〜30mg、経口投与の場合1〜1000mg、好ましくは1〜100mgであり得る。いずれの場合も1日に1〜4回投与される。この目的のために、本発明に従って製造される式Iの化合物は、場合により他の活性物質と一緒に、1又は2以上の不活性な従来の担体及び/又は希釈剤と、例えばトウモロコシデンプン、ラクトース、グルコース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース又は脂肪物質、例えば硬い脂肪又はそれらの適切な混合物と一緒に配合し、従来のガレン製剤、例えばそのままで又は錠剤、カプセル、粉末、液体、懸濁液又は座薬を生成し得る。
【0075】
本発明の化合物はまた、他の活性物質と併せて、特に既述の疾患及び状態の治療及び/又は予防のために使用することができる。そのように組み合わせて使用するのに適切な他の活性物質は、記載した兆候に関して、本発明によるSGLT抑制剤の治療的効果を増強するもの及び/又は本発明によるSGLT抑制剤の用量を低減することを可能にするものを特に含む。そのような組み合わせに適切である治療薬としては、例えば抗糖尿病薬、例えばメトホルミン、スルホニルウレア(例えばグリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド)、ナテグリニド、レパグリニド、チアゾリジンジオン(例えばロシグリタゾン、ピオグリタゾン)、PPAR−ガンマ−アゴニスト(例えばGI262570)及びアタゴニスト、PPAR−ガンマ/アルファモジュレータ(例えばKRP297)、アルファ−グルコシ−ダーゼ抑制剤(例えばアクラボス、ボグリボース)、DPPIV抑制剤(例えばLAF237、MK−431)、アルファ2−アンタゴニスト、インスリン及びインスリン類似体、GLP−1及びGLP−1類似体(例えばエキセンディン−4)又はアミリンがあげられる。組み合わせる相手として適切な他の活性物質としては、タンパク質チロシンホスファターゼ1、肝臓における無秩序なグルコース生成に影響を及ぼす物質の抑制剤、例えばグルコース−6−ホスファターゼの抑制剤、又はフルクトース−1,6−ビスホスファターゼ、グリコーゲンホスホリラーゼ、グルカゴン受容体アンタゴニスト、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、グリコーゲンシンターゼキナーゼ又はピルビン酸デヒドロキナーゼの抑制剤、高脂血症治療薬、例えばHMG−CoA−レグクターゼ抑制剤(例えばシンバスタチン、アトルバスタチン)、フィブラート(例えばベザフィブラート、フェノフィブラート)、ニコチン酸及びそれらの誘導体、PPAR−アルファアゴニスト、PPAR−デルタアゴニスト、ACAT抑制剤(例えばアバシミブ)又はコレステロール吸収抑制剤、例えばエゼミチブ、胆汁酸結合物質、例えばコレスチラミン、回腸の胆汁酸輸送、HDL−増加化合物の抑制剤、例えばCETP抑制剤又はABC1レギュレータ又は活性物質(肥満治療用)、例えばジブトラミン又はテトラヒドロリポスタチン、デクスフェンフルラミン、アクソキン、カンナビノイド1受容体のアンタゴニスト、MCH−1受容体アンタゴニスト、MC4受容体アゴニスト、NPY5又はNPY2アンタゴニスト又はβ3−アゴニスト、例えばSB−418790又はAD−9677及び5HT2c受容体のアゴニストがあげられる。
【0076】
更に、高血圧、慢性心不全又はアテローム性動脈硬化に影響を及ぼす薬剤との組み合わせ、例えばA−IIアンタゴニスト又はACE抑制剤、ECE抑制剤、利尿剤、β−遮断薬、Ca−アンタゴニスト、中枢作用性降圧剤、アルファ−2−アドレナリン受容体のアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼの抑制剤、血小板凝集抑制剤及び他のもの又はそれらの組み合わせが適切である。アンジオテンシンII受容体アンタゴニストの例は、カンデサルタンシレキセチル、ロサルタンカリウム、エプロサルタンメシレート、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、EXP−3174、L−158809、EXP−3312、オルメサルタン、メドキソミル、タソサルタン、KT−3−671、GA−0113、RU−64276、EMD−90423、BR−9701などである。アンジオテンシンII受容体アンタゴニストは、しばしば利尿薬、例えばヒドロクロロチアジドと組み合わせて、高血圧及び糖尿病の合併症の治療又は予防のために使用するのが好ましい。
尿酸合成抑制剤又は尿酸排泄剤との組み合わせは、痛風の治療又は予防に適切である。
GABA−受容体アンタゴニスト、Na−チャンネル遮断薬、トピラマット(topiramat)、タンパク質キナーゼC抑制剤、糖化最終産物抑制剤又はアルドースレダクターゼ抑制剤は、糖尿病の合併症の治療又は予防のために使用され得る。
【0077】
上記の組み合わせ相手の用量は、通常推奨される用量の最低量の1/5から通常推奨される量の1/1までであるのが効果的である。
従って、別の態様において、本発明は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTを抑制することにより影響され得る疾患又は状態の治療又は予防に適切である医薬組成物を製造するための、組み合わせの相手として上に記載される活性物質の少なくとも1つと組み合わされる、本発明の化合物又はそのような化合物の医薬的に許容できる塩に関する。これらは、好ましくは、代謝性疾患、特に上に挙げられる疾患又は状態の1つ、最も特に糖尿病又は糖尿病の合併症である。
本発明の化合物又はそれらの医薬的に許容できる塩を別の活性物質と組み合わせて使用するとき、同時に又は時間差で、しかし特に短時間内に使用することができる。同時に投与する場合、2つの活性物質を一緒に患者に与える一方、時間差で投与する場合、2つの活性物質を12時間以内、特に6時間以内に患者に投与する。
その結果、別の態様において、本発明は、本発明の化合物又は医薬的に許容できる塩と組み合わせ相手として上記の活性物質の少なくとも1つとを、場合により1又は2以上の不活性担体及び/又は希釈剤と一緒に含む医薬組成物に関する。
従って、例えば本発明による医薬組成物は、本発明の式Iの化合物又はそのような化合物の医薬的に許容できる塩及び少なくとも1つのアンジオテンシンII受容体アンタゴニストの組み合わせを、場合により1又は2以上の不活性担体及び/又は希釈剤と一緒に含む。
本発明の化合物、又はそれらの医薬的に許容できる塩、及びそれらと一緒に組み合わせられるべき追加の活性物質は、一緒に1つの配合物、例えば錠剤又はカプセルにおいて、又は分離して、2つの同一の又は異なる配合物、例えばいわゆるキット−オブ−パート(kit-of-part)においての双方で表され得る。
前述及び以下の文章において、ヒドロキシル基のH原子は、構造式に明確には示していない。以下の実施例は本発明を具体的に説明するものであって、それらに制限されるものではない。
【0078】
出発化合物の製造:
実施例I
【化23】

【0079】
1−クロロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−4−(6−デソキシ−6−ヨード−β−D−グルコピラノ−ス−1−イル)−ベンゼン
0.53gのトリフェニルホスフィン、0.13gのイミダゾール及び0.48gのヨードを、5mlのジクロロメタン中、0.60gの1−クロロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−4−(1−β−D−グルコピラノシル)−ベンゼンの溶液に添加した。18時間周囲温度で攪拌し、次いで30mlのジクロロメタンで溶液を希釈した。溶液を1M塩酸で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤から除いた。残渣をシリカゲル(ジクロロメタン/メタノール1:0->20:1)を通して精製した。
収量:0.66g(理論の87%)
質量スペクトル(ESI+):m/z=522/524(塩素)[M+NH4]+
最終化合物の製造:
実施例1
【0080】
【化24】

【0081】
1−クロロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−4−(6−メチリデン−β−D−キシロピラノース−1−イル)−ベンゼン
0.15gのナトリウムメトキシドを、2.5mlのメタノール中、0.15gの1−クロロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−4−(6−デソキシ−6−ヨード−β−D−グルコピラノ−ス−1−イル)−ベンゼンの氷冷した溶液に添加した。2時間周囲温度で、次いで16時間45℃で溶液を攪拌した。次いで、1M塩酸で溶液を中和し、ジクロロメタンで抽出し、有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥した。次いで、溶剤を除去し、残渣をシリカゲル(ジクロロメタン/メタノール1:0−>15:1)を通してクロマトグラフィにかけた。
収量:0.062g(理論の83%)
質量スペクトル(ESI+):m/z=394/396(塩素)[M+NH4]+
実施例2
【0082】
【化25】

【0083】
(3S、4R、5R、6S)−6−[4−クロロ−3−(4−メトキシ−ベンジル)−フェニル]−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−オン
20mlのジクロロメタン及び5mlのテトラヒドロフラン中、0.33gの1−クロロ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−4−(6−メチリデン−β−D−キシロピラノース−1−イル)−ベンゼンの溶液を、−78℃に冷却した。次いで、溶液が青色になるまで、オゾンを通液した。次いで、溶液が再び無色になるまで、酸素を通液した。次いで、0.32gのトリフェニルホスフィンを添加し、溶液を1時間周囲温度で攪拌した。溶剤を除去した後、残渣をシリカゲル(ジクロロメタン/メタノール1:0−>10:1)を通してクロマトグラフィにかけた。
収量:0.10g(理論の30%)
質量スペクトル(ESI-):m/z=377/379(塩素)[M−H]-
以下の化合物はまた、前述の実施例及び文献により知られる方法と同じように製造される:
【0084】
【化26】

【0085】
【化27】

【0086】
【化28】

【0087】
【化29】

【0088】
【化30】

【0089】
以下は、“活性物質”が、本発明の1又は2以上の化合物又はそれらの塩である処方例である。1又は2以上の他の活性物質を含む組み合わせの場合、用語“活性物質”はまた、追加の活性物質もいう。
実施例A
100mgの活性物質を含む錠剤
組成物:
1錠剤は以下を含む:

【0090】
製造の方法:
活性物質、ラクトース及びデンプンを一緒に混合し、ポリビニルピロリドンの水性溶液で均一に湿らせた。湿らせた組成物を篩にかけ(2.0mmメッシュサイズ)、50℃でrack-type drierで乾燥した後、再び篩にかけ(1.5mmメッシュサイズ)、滑剤を添加した。最終混合物を圧縮して、錠剤を形成した。
錠剤の質量:220mg
直径 :10mm、二平面、両側にファセットを形成し、片側にノッチを入れた。
実施例B
150mgの活性物質を含む錠剤
組成物:
1錠剤は以下を含む:

【0091】
製造:
ラクトース、トウモロコシデンプン及びシリカと混合した活性物質を、20%の水性ポリビニルピロリドン溶液で湿らせ、1.5mmのメッシュサイズの篩にかけた。45℃で顆粒を乾燥し、再び同じ篩にかけ、特定量のステアリン酸マグネシウムと混合した。混合物から錠剤を圧縮した。
錠剤の重量:300mg
直径:10mm、平面
実施例C
150mgの活性物質を含む硬質ゼラチンカプセル
1カプセルは、以下を含む:

【0092】
製造:
活性物質を賦形剤と混合し、0.75mmのメッシュサイズの篩にかけ、適切な器具を使用して均一に混合した。最終混合物をサイズ1の硬質のゼラチンカプセルに充填した。
カプセル充填:約320mg
カプセルシェル:サイズ1の硬質ゼラチンカプセル
実施例D
150mgの活性物質を含む座薬
1座薬は、以下を含む:

【0093】
製造方法:
座薬の塊を溶解した後、活性物質を均一に分配し、その溶融物を冷却した型に注いだ。
実施例E
10mgの活性物質を含むアンプル
組成物:

製造方法:
活性物質を必要量の0.01N HClに溶解し、塩化ナトリウムで等張にし、ろ過殺菌し及び2mlのアンプル内に移した。
実施例F
50mgの活性物質を含むアンプル
組成物:

【0094】
製造方法:
活性物質を必要量の0.01N HClに溶解し、塩化ナトリウムで等張にし、ろ過殺菌し及び10mlのアンプル内に移した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式IのD−キシロピラノシル置換フェニル、それらの互変体、立体異性体、混合物又は塩、特にそれらの医薬的に許容できる塩。
【化1】

(式中、R1は、水素、フッ素、塩素、臭素、C1-6−アルキル、C2-6−アルキニル、C2-6−アルケニル、C3-7−シクロアルキル、C3-7−シクロアルキル−C1-3−アルキル、C5-7−シクロアルケニル、C5-7−シクロアルケニル−C1-3−アルキル、C1-4−アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1-3−アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、4−(C1-4−アルキル)ピペラジン−1−イルカルボニル、C1-4−アルコキシカルボニル、アミノ、C1-4−アルキルアミノ、ジ−(C1-3−アルキル)アミノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、4−(C1-4−アルキル)ピペラジン−1−イル、C1-4−アルキルカルボニルアミノ、C1-6−アルキルオキシ、C3-7−シクロアルキルオキシ、C5-7−シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、C1-4−アルキルスルファニル、C1-4−アルキルスルフィニル、C1-4−アルキルスルホニル、C3-7−シクロアルキルスルファニル、C3-7−シクロアルキルスルフィニル、C3-7−シクロアルキルスルホニル、C5-7−シクロアルケニルスルファニル、C5-7−シクロアルケニルスルフィニル、C5-7−シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヒドロキシ、シアノ又はニトロを示し、
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的に又は完全にフッ素化されていてもよく又は塩素、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換されていてもよく、及び
シクロアルキル及びシクロアルケニル基における1又は2つのメチレン基は、互いに独立して、O、S、CO、SO又はSO2により置換されていてもよく、及び
N−ヘテロシクロアルキル基におけるメチレン基は、CO又はSO2により置換されていてもよく、及び
2は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、C1-4−アルキル、C1-4−アルコキシ、シアノ又はニトロを示すが、アルキル基は、フッ素により一置換又は多置換されていてもよく、又は
1及びR2が、フェニル環の2個の互いに隣接するC原子に結合している場合、R1及びR2が一緒になってC3-5−アルキレン又はC3-5−アルケニレンブリッジを形成してもよく、部分的に又は全体的に、フッ素化され又は塩素、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換されていてもよく、該基における1又は2つのメチレン基は、互いに独立して、O、S、CO、SO、SO2又はNRNにより置換されていてもよく、
3は、水素、フッ素、塩素、臭素、C1-6−アルキル、C2-6−アルキニル、C2-6−アルケニル、C3-7−シクロアルキル、C3-7−シクロアルキル−C1-3−アルキル、C5-7−シクロアルケニル、C5-7−シクロアルケニル−C1-3−アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1-4−アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1-3−アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、4−(C1-4−アルキル)ピペラジン−1−イルカルボニル、ヒドロキシカルボニル、C1-4−アルコキシカルボニル、C1-4−アルキルアミノ、ジ−(C1-3−アルキル)アミノ、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、4−(C1-4−アルキル)ピペラジン−1−イル、C1-4−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-4−アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、C1-6−アルコキシ、C3-7−シクロアルキルオキシ、C5-7−シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4−アルキルスルファニル、C1-4−アルキルスルフィニル、C1-4−アルキルスルホニル、C3-7−シクロアルキルスルファニル、C3-7−シクロアルキルスルフィニル、C3-7−シクロアルキルスルホニル、C5-7−シクロアルケニルスルファニル、C5-7−シクロアルケニルスルフィニル、C5-7−シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ又はニトロを示し、
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的に又は全体的に、フッ素化され又は塩素、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換されていてもよく、及び
シクロアルキル及びシクロアルケニル基における1又は2つのメチレン基は、互いに独立して、O、S、CO、SO又はSO2により置換されていてもよく、及び
N−ヘテロシクロアルキル基におけるメチレン基は、CO又はSO2により置換されていてもよく、及び
4は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、C1-3−アルキル、C1-3−アルコキシ又は1〜3個のフッ素原子により置換されるメチル又はメトキシを示し、又は
3及びR4が、フェニル環の互いに隣接する2個のC原子に結合している場合、R3及びR4が一緒になってC3-5−アルキレン又はC3-5−アルケニレンブリッジを形成してもよく、部分的に又は全体的に、フッ素化され又は塩素、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換されていてもよく、該基における1又は2つのメチレン基は、互いに独立して、O、S、CO、SO、SO2又はNRNにより置換されていてもよく、
5は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、C1-3−アルキル、C1-3−アルコキシ又は1〜3個のフッ素原子により置換されるメチル又はメトキシを示し、及び
Nは、互いに独立して、H又はC1-4−アルキルを示し、
Lは、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-3−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3−アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びシアノより選択され、
7a,R7b、R7cは、互いに独立して、水素、(C1-18−アルキル)カルボニル、(C1-18−アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール−(C1-3−アルキル)−カルボニルより選択される意味を有し、
Xは、酸素、又は
メチリデン、フルオロメチリデン、C1-6−アルキル−メチリデン、C2-6−アルケニル−メチリデン、C2-6−アルキニル−メチリデン、C3-7−シクロアルキル−メチリデン、C5-7−シクロアルケニル−メチリデン、C3-7−シクロアルキリデン、C5-7−シクロアルケニリデン、C3-7−シクロアルキル−C1-3−アルキル−メチリデン、C5-7−シクロアルケニル−C1-3−アルキル−メチリデン、アリールメチリデン、ヘテロアリールメチリデン、アリール−C1-3−アルキル−メチリデン又はヘテロアリール−C1-3−アルキル−メチリデンを示し、
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的に又は全体的に、フッ素化され又は塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換されていてもよく、及び
上記の無置換メチリデン基又は上記の一置換メチリデン基は、更に、フッ素、塩素、C1-3−アルキル、シアノ又はニトロにより一置換されていてもよく、及び
シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキリデン及びシクロアルケリニデン基における1又は2つのメチレン基は、互いに独立して、O、S、CO、SO、SO2又はNRNにより置換されていてもよく、又は
Xは、式:
【化2】

で表される基を示し、
式中、RXは、水素、フッ素、塩素、シアノ、トリフルオロメチル又はC1-3−アルキルを示し、
Bは、単結合、−O−又は−NRN−を示し、
Bは、水素、C1-6−アルキル、C3-6−アルケニル、C3-6−アルキニル、C3-7−シクロアルキル、C5-7−シクロアルケニル、C3-7−シクロアルキル−C1-3−アルキル、C5-7−シクロアルケニル−C1-3−アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C1-3−アルキル又はヘテロアリール−C1-3−アルキルを示し、
ここで、アルキル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的に又は完全に、フッ素化され又は塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換されていてもよく、又は
B及びBは一緒になって、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン及び4−(C1-4−アルキル)−ピペラジンより選択される複素環を形成し、複素環は、イミノ基を介してC=O−基に結合しており、
Zは、酸素、メチレン、ジメチルメチレン、ジフルオロメチレン又はカルボニルを示し;
ここで、上の基の定義において使用される用語アリール基は、フェニル又はナフチル基を示し、それは、互いに独立して、同一又は異なる基Lにより一置換又は二置換されていてもよく;及び
上記の基の定義において使用される用語ヘテロアリール基は、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル又はイソキノリニル基、
又は1又は2つのメチレン基が窒素原子により置換されているピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル又はピリジル基、
又は1〜3つのメチレン基が窒素原子により置換されているインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル又はイソキノリニル基を示し、
ここで、上記のヘテロアリール基は、互いに独立して、同一又は異なる基Lにより一置換又は二置換されていてもよく;
上記の基の定義においてN−ヘテロシクロアルキル基は、環中にイミノ基を含む飽和炭素環を意味するが、更にイミノ基で置換されていてもよく、環中にO又はS原子を含んでいてもよく、及び
他に記載のない限り、上記のアルキル基は、直鎖又は分岐鎖であり得る)。
【請求項2】
式I.2で表される請求項1に記載のD−キシロピラノシル置換フェニル。
【化3】

(式中、R1〜R5、X、Z、R7a、R7b、R7cは請求項1で定義した通りである)
【請求項3】
式I.2cで表される請求項1に記載のD−キシロピラノシル置換フェニル。
【化4】

(式中、R1〜R5、X、Z、R7a、R7b、R7cは請求項1で定義した通りである)
【請求項4】
1が、水素、フッ素、塩素、臭素、C1-6−アルキル、C2-6−アルキニル、C2-6−アルケニル、C3-7−シクロアルキル、C5-7−シクロアルケニル、C1-6−アルキルオキシ、C3-7−シクロアルキルオキシ又はシアノを示し、ここで、シクロアルキル及びシクロアルケニル基における1又は2つのメチレン単位が、互いに独立して、O又はCOにより置換されていてもよく、アルキル、アルケニル及びアルキニル基が、部分的に又は完全にフッ素化されていてもよい請求項1〜3のいずれか1項に記載のD−キシロピラノシル置換フェニル。
【請求項5】
3が、C1-6−アルキル、C2-6−アルキニル、C1-4−アルキルオキシ、C3-7−シクロアルキル、C3-7−シクロアルキルオキシ又はヒドロキシを示し、ここで、シクロアルキル基における1又は2つのメチレン単位が、互いに独立してO又はCOにより置換されていてもよく、アルキル基が、部分的に又は完全にフッ素化されていてもよい請求項1〜4のいずれか1項に記載のD−キシロピラノシル置換フェニル。
【請求項6】
Xが、酸素、メチリデン、フルオロメチリデン、C1-6−アルキル−メチリデン、C2-6−アルキニル−メチリデン、C2-6−アルケニル−メチリデン、C3-7−シクロアルキル−メチリデン又はC3-7−シクロアルキリデンを示し、
ここで、上記アルキル、アルケニル及びアルキニル基が、部分的に又は完全にフッ素化されていてもよく、互いに独立して塩素、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される置換基により一置換又は二置換されていてもよく、
上記の無置換メチリデン基又は上記の一置換メチリデン基が、更に、フッ素、塩素、C1-3−アルキル又はシアノにより一置換されていてもよく、
シクロアルキリデン基におけるメチレン基が、O、S又はNRNにより置換されていてもよく又はエチレン基が、−NRN−CO−、−CO−NRN−、−O−CO−又は−CO−O−により置換されていてもよく;又は
Xが、好ましくは、式T:
【化5】

で表される基を示し、
式中、Rxが、水素、フッ素、シアノ、トリフルオロメチル又はC1-3−アルキルを示し、
Bが、単結合、−O−又は−NRN−を示し、
Bが、C1-6−アルキル、C3-7−シクロアルキル、C5-7−シクロアルケニル、C3-7−シクロアルキル−C1-3−アルキル、C5-7−シクロアルケニル−C1-3−アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C1-3−アルキル又はヘテロアリール−C1-3−アルキルを示し、
ここで、アルキル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基が、部分的に又は完全に、フッ素化され又はシアノ、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換されていてもよく、又は
B及びBが一緒になって、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン及び4−(C1-4−アルキル)−ピペラジンより選択される複素環を形成し、該複素環がイミノ基を介してC=O−基に結合しており、及び
Nが、請求項1に定義した通りである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のD−キシロピラノシル置換フェニル。
【請求項7】
Xが酸素を示す請求項1〜5のいずれか1項に記載のD−キシロピラノシル置換フェニル。
【請求項8】
Xが、メチリデン、フルオロメチリデン、C1-6−アルキル−メチリデン、C2-6−アルキニル−メチリデン、C2-6−アルケニル−メチリデン、C3-7−シクロアルキル−メチリデン又はC3-7−シクロアルキリデンを示し、
ここで、上記アルキル、アルケニル及びアルキニル基が、部分的に又は完全にフッ素化されていてもよく、互いに独立して塩素、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される置換基により一置換又は二置換されていてもよく、及び
上記無置換メチリデン基又は上記一置換メチリデン基が、更に、フッ素、塩素、C1-3−アルキル又はシアノにより一置換されていてもよく、及び
シクロアルキリデン基におけるメチレン基が、O、S又はNRNにより置換されていてもよく、又はエチレン基が、−NRN−CO−、−CO−NRN−、−O−CO−又は−CO−O−により置換されていてもよく、及び
Nが、請求項1に定義した通りである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のD−キシロピラノシル置換フェニル。
【請求項9】
Xが、式T:
【化6】

で表される基であり、
式中、RXが、水素、フッ素、シアノ、トリフルオロメチル又はC1-3−アルキルを示し、
Bが、単結合、−O−又は−RN−を示し、
Bが、C1-6−アルキル、C3-7−シクロアルキル、C5-7−シクロアルケニル、C3-7−シクロアルキル−C1-3−アルキル、C5-7−シクロアルケニル−C1-3−アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C1-3−アルキル又はヘテロアリール−C1-3−アルキルを示し、
ここで、アルキル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基が、部分的に又は完全に、フッ素化され又はシアノ、ヒドロキシ、C1-3−アルコキシ及びC1-3−アルキルより選択される同一又は異なる置換基により一置換又は二置換されていてもよく、又は
B及びBが一緒になってピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン及び4−(C1-4−アルキル)−ピペラジンより選択される複素環を形成し、該複素環がイミノ基を介してC=O−基に結合しており、及び
Nが、請求項1に定義した通りである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のD−キシロピラノシル置換フェニル。
【請求項10】
2が、水素、フッ素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ又はメチルを示す請求項1〜9のいずれか1項に記載のD−キシロピラノシル置換フェニル。
【請求項11】
4及びR5が、互いに独立して水素又はフッ素を表す請求項1〜10のいずれか1項に記載のD−キシロピラノシル置換フェニル。
【請求項12】
Zが、酸素又はメチレンを示す請求項1〜11のいずれか1項に記載のD−キシロピラノシル置換フェニル。
【請求項13】
7a、R7b、R7cが、互いに独立して水素、(C1-6−アルキル)オキシカルボニル、(C1-8−アルキル)カルボニル又はベンゾイル、好ましくは水素を表す請求項1〜12のいずれか1項に記載のD−キシロピラノシル置換フェニル。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物と無機又は有機酸との医薬的に許容できる塩。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又は請求項14に記載の医薬的に許容できる塩の医薬組成物としての使用。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又は請求項14に記載の医薬的に許容できる塩を、場合により1又は2以上の不活性担体及び/又は希釈剤と一緒に含む医薬組成物。
【請求項17】
ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTを阻害することにより影響され得る疾患又は状態の治療又は予防に適切である医薬組成物を製造するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物又は請求項14に記載の医薬的に許容できる塩の使用。
【請求項18】
代謝性疾患の治療又は予防に適切である医薬組成物を製造するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物又は請求項14に記載の医薬的に許容できる塩の使用。
【請求項19】
代謝性疾患が、タイプ1又はタイプ2の糖尿病、糖尿病の合併症、代謝性アシドーシス又はケトーシス、反応性低血糖、高インスリン血、グルコース代謝性疾患、インスリン耐性、メタボリック症候群、異なる源の異常脂質血症、アテローム性動脈硬化及び関連疾患、肥満、高血圧、慢性心不全、浮腫及び高尿酸血からなる群より選択される請求項18に記載の使用。
【請求項20】
ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTを阻害するための医薬組成物を製造するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物又は請求項14に記載の医薬的に許容できる塩の使用。
【請求項21】
膵臓ベータ細胞の変性を予防するための及び/又は膵臓ベータ細胞の機能性を改善及び/又は回復するための医薬組成物を製造するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物又は請求項14に記載の医薬的に許容できる塩の使用。
【請求項22】
利尿薬及び/又は降圧剤を製造するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物又は請求項14に記載の医薬的に許容できる塩の使用。
【請求項23】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又は請求項14に記載の医薬的に許容できる塩が、非化学的方法により1又は2以上の不活性担体及び/又は希釈剤に導入される請求項16に記載の医薬組成物を製造するための方法。

【公表番号】特表2008−506734(P2008−506734A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521855(P2007−521855)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007582
【国際公開番号】WO2006/008038
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】