説明

メッキ方法及びメッキ装置並びにシリコンデバイスの製造方法

【課題】メッキ時間を短縮すると共に異常析出及び析出不良を防止して、特性に影響の無い安定したメッキ層を得ることができるメッキ方法及びメッキ装置並びにシリコンデバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】被メッキ部材1をメッキ液11が充填されたメッキ槽12に浸漬し、前記被メッキ部材1の少なくともメッキ層を形成するメッキ領域3に最頻度気泡径がマイクロメートルオーダーの気泡の流れを発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被メッキ部材に無電解メッキによりメッキ層を形成するメッキ方法及びメッキ装置に関し、さらにメッキ方法によりシリコン基板にメッキ層を形成したシリコンデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンデバイスなどに用いられるシリコン基板等に無電解メッキにより所定形状の金属からなるメッキ層を形成する場合、シリコン基板の全面に亘ってメッキ層を形成後、所定形状にレジストを形成してメッキ層をパターニングすることで、所望の形状のメッキ層を形成することや、シリコン基板に予め所定形状の金属層を形成し、この金属層上にメッキ層を選択的に形成することで行っていた。
【0003】
また、シリコン基板等の被メッキ部材にメッキ層を形成する場合、メッキ層を形成したい領域にメッキ液を流しながらメッキを行う方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1〜3の何れの方法であっても無電解メッキの析出速度は非常に遅く、例えば、80℃以上の高温浴に3〜4時間、基板をメッキ液に浸漬させ、且つ高精度の温度管理を行うことで1μmの厚さのメッキ層を形成するに過ぎなかった。
【0005】
また、長時間のメッキ槽内の温度管理や基板の表面のイオン濃度を一定に管理することは非常に難しく、メッキムラの大きな要因となっていた。このようなメッキムラは、電子デバイスのような電気的に精度の要求されるものには実用化されていなかった。このため、電子デバイスにおいては、無電解メッキによって形成するメッキ層の厚さは0.5μm程度が限界であったという問題がある。
【0006】
さらに、基板の異物や汚れを除去するために高速回転させてスクラブ洗浄すると、基板にクラックが発生してしまい異物や汚れを確実に除去することができないため、異物や汚れによってメッキの異常析出及び析出不良が発生してしまうという問題がある。
【0007】
また、メッキ層内に発生するマイクロバブルが起因するビット欠陥を消滅させるために、メッキ層をCMP研磨する方法も提案されているが(例えば、特許文献4参照)、メッキ層をCMP研磨すると、基板の表面や配線の表面を荒らしたり、基板に応力をかけることになり、配線及びメッキ層への光学的な特性や電気的特性を阻害するといった特性面に影響を及ぼしてしまうという問題がある。
【0008】
【特許文献1】特開2000−290796号公報(第4〜5頁、第1〜3図)
【特許文献2】特開平11−36096号公報(第3〜6頁、第1〜2図)
【特許文献3】特開平5−98455号公報(第2〜3頁、第2〜3図)
【特許文献4】特開2002−146594号公報(第3〜4頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような事情に鑑み、メッキ時間を短縮すると共に異常析出及び析出不良を防止して、特性に影響の無い安定したメッキ層を得ることができるメッキ方法及びメッキ装置並びにシリコンデバイスの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、被メッキ部材をメッキ液が充填されたメッキ槽に浸漬し、前記被メッキ部材の少なくともメッキ層を形成するメッキ領域に最頻度気泡径がマイクロメートルオーダーの気泡の流れを発生させることを特徴とするメッキ方法にある。
かかる第1の態様では、気泡によって非メッキ領域の異物や汚れを除去してメッキ層の異常析出及び析出不良を防止することができると共に選択的にメッキ層を高速で形成することができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、前記気泡の最頻度気泡径が1〜100μmであることを特徴とする第1の態様のメッキ方法にある。
かかる第2の態様では、気泡の最頻度気泡径を規定することで、析出されるメッキ層のムラを防止することができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、前記気泡の最頻度気泡径が10〜30μmであることを特徴とする第1又は2の態様のメッキ方法にある。
かかる第3の態様では、気泡の最頻度気泡径を規定することで、析出されるメッキ層のムラを防止することができる。
【0013】
本発明の第4の態様は、前記気泡が、少なくとも酸素を含有する気体からなることを特徴とする第1〜3の何れかの態様のメッキ方法にある。
かかる第4の態様では、メッキ領域の活性化を図ることができると共に、メッキ液中の余分な還元剤を酸化させて、非メッキ領域にメッキ層が異常析出及び析出不良されるのを防止することができると共に、選択的にメッキ層を高速で形成することができる。
【0014】
本発明の第5の態様は、前記気泡による前記メッキ液の流速を90〜110ml/minとすることを特徴とする第1〜4の何れかの態様のメッキ方法にある。
かかる第5の態様では、気泡によるメッキ液の流速を規定することで、析出されるメッキ層のムラを防止することができる。
【0015】
本発明の第6の態様は、前記気泡の気体流量を3〜8cc/minとすることを特徴とする第1〜5の何れかの態様のメッキ方法にある。
かかる第6の態様では、気泡の気体流量を規定することで、析出されるメッキ層のムラを防止することができる。
【0016】
本発明の第7の態様は、前記気泡の流れを前記被メッキ部材の前記メッキ領域の面方向に向かって発生させることを特徴とする第1〜6の何れかの態様のメッキ方法にある。
かかる第7の態様では、気泡をメッキ領域に均一に流すことができ、メッキ層のムラを防止することができる。
【0017】
本発明の第8の態様は、前記メッキ層を形成しない非メッキ領域の前記気泡の流れを、前記メッキ領域に比べて強くすることを特徴とする第1〜7の何れかの態様のメッキ方法にある。
かかる第8の態様では、非メッキ領域にメッキ層が異常析出及び析出不良するのを確実に防止することができる。
【0018】
本発明の第9の態様は、前記メッキ領域が、パターニングされた所定形状の金属層であることを特徴とする第1〜8の何れかの態様のメッキ方法にある。
かかる第9の態様では、所定形状の金属層に選択的にメッキ層を形成することができる。
【0019】
本発明の第10の態様は、第1〜9の何れかの態様のメッキ方法により、前記メッキ層をシリコン単結晶基板からなる前記被メッキ部材に形成したことを特徴とするシリコンデバイスの製造方法にある。
かかる第10の態様では、高精度で良好なメッキ層が形成されたシリコンデバイスを得ることができる。
【0020】
本発明の第11の態様は、被メッキ部材が浸漬されるメッキ液が充填されたメッキ槽と、前記被メッキ部材の少なくともメッキ層を形成するメッキ領域に最頻度気泡径がマイクロメートルオーダーの気泡の流れを発生させる気泡発生手段とを具備することを特徴とするメッキ装置にあるにある。
かかる第11の態様では、非メッキ領域にメッキ層の異常析出及び析出不良するのを防止して、選択的にメッキ層を高速で形成することができる。また、メッキ液の劣化を防止して、コストを低減することができると共に環境破壊を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るメッキ装置の断面図である。図1に示すように、メッキ装置10は、被メッキ部材である基板1に無電解メッキによってメッキ層を形成するものであり、本実施形態では、メッキ装置10によってメッキ層が形成される被メッキ部材としてシリコン単結晶基板からなる基板1を用いた。なお、基板1には、詳しくは後述するが、一方の表面2にスパッタリング法及びフォトリソグラフィ法によって所定形状にパターニングされた金属層である配線3が設けられており、メッキ装置10は、この配線3にメッキ層を形成するものである。すなわち、本実施形態では、表面2の配線3がメッキ層を形成するメッキ領域であり、表面2の配線3以外の領域及び基板1の他方の裏面4は、メッキ層を形成しない非メッキ領域となっている。
【0022】
メッキ装置10は、メッキ液11が充填されたメッキ槽12と、メッキ槽12内でメッキ液11に最頻度気泡径がマイクロメートルオーダーの気泡の流れを発生させる気泡発生手段13とを具備する。
【0023】
メッキ槽12は、上面に開口を有する箱型形状を有し、内部にメッキ液11が充填されている。このようなメッキ槽12には、基板1のメッキ領域である配線3が存在する表面2の面方向を鉛直方向として複数並設されて保持される。本実施形態では、メッキ槽12内に複数の基板1を、互いに隣接する基板1のメッキ領域が存在する表面2同士及び非メッキ領域である裏面4同士を所定の間隔で相対向させた状態で保持させるようにした。
【0024】
メッキ液11は、基板1の配線3上にメッキ層が形成されるものであれば、特に限定されないが、メッキ層が形成されやすいように、メッキ液には還元剤を多く含有させる方が好ましい。このように還元剤を多く含有させたメッキ液11を用いた場合、基板1のメッキ層を形成しない非メッキ領域にもメッキが異常析出され易く、且つメッキ領域のメッキ層にピンホールが発生し易いが、詳しくは後述する気泡発生手段13が発生した気泡によって余分な還元剤を酸化させることができ、基板1の非メッキ領域にメッキ層を異常析出させないようにすると共にメッキ層にピンホールが発生するのを防止することができる。
【0025】
気泡発生手段13は、メッキ槽12の底面側に設けられて、メッキ槽12の底面側から開口部側に向かって最頻度気泡径がマイクロメートルオーダーの気泡を発生させるものである。このような気泡発生手段13としては、例えば、メッキ液11をメッキ槽12内で噴射又は循環させるポンプ、アスピレーター及びフィルタとで構成される気泡発生装置、予めメッキ液11中に気体を溶解させておきメッキ液11を約50℃以上に加熱して気泡を発生させる加熱装置などが挙げられる。本実施形態では、気泡発生手段13として、ポンプ、アスピレーター及びフィルタからなる気泡発生装置を用いた。
【0026】
このように気泡発生手段13から発生させた気泡は、その浮力によりメッキ槽12の底面側から開口側に向かって、すなわち、基板1のメッキ領域が存在する表面2の面方向に向かって流れるようになっている。このとき、気泡の流れる方向が、基板1の配線3の延設方向となるように基板1をメッキ槽12内に配置するのが好ましい。これにより、気泡発生手段13が発生した気泡を、基板1の配線3からなるメッキ領域全面に亘って、効率よく流すことができる。なお、例えば、気泡発生手段13が発生した気泡を、メッキ領域に対して垂直に当接させると、配線3からなるメッキ領域に均一にメッキ液11を当てることができず、メッキ層にムラが出てしまう虞がある。
【0027】
また、気泡発生手段13が発生する最頻度気泡径がマイクロメートルオーダーの気泡とは、最頻度気泡径が1〜999μmの気泡のことを言う。ここで、気泡発生手段13が発生させる気泡は、最頻度気泡径が1〜100μmが好ましく、好適には10〜30μmである。また、気泡発生手段13が発生する気泡の流れによるメッキ液11の流速は、90〜110ml/minが好適である。また、気泡流量は、3〜8cc/minが好適である。例えば、気泡が大きすぎると、メッキ液11の流れが速くなり、メッキ層にムラが出てしまう虞がある。また、気泡が大きすぎると、気泡がメッキ領域(配線3)に付着し、メッキ層にピンホールが形成されてしまうと共に、メッキ液11中に不溶性の物質ができ、配線3上に析出物が発生してしまうからである。なお、気泡によるメッキ液11の流速及び気泡流量も同様の理由から上記範囲が好適である。
【0028】
また、気泡は、例えば、酸素(O)又は酸素(O)を含有する空気などの気体を用いるのが好ましい。
【0029】
このような気泡発生手段13によって、気泡の流れを発生させながら配線3にメッキ層を形成することによって、基板1の表面2(配線3の表面)を常に汚れのない活性化状態で保つことができると共に、メッキ液11中の余分な還元剤を酸化させて、基板1の表面2の電解層に常に新液が流れてくることで、メッキ層を高速で析出させることができる。すなわち、マイクロメートルオーダーの気泡の流れを発生させることで、配線3以外の非メッキ領域で余分な還元剤(ベンゾキノン)が沈積され、且つ非メッキ領域に付着した異物、汚れ及び既存の泡が除去されると共に新液が配線3を流れていくため、配線3のみに選択的にメッキ層を高速で形成することができると共に安定したメッキ層を得ることができる。これにより、メッキ析出時間を短縮しても所望の厚さのメッキ層を得ることができ、製造時間を短縮することができる。また、気泡発生手段13が工場エアーなどを用いることで、メッキ装置10のコストを低減させることができる。
【0030】
ここで、本発明のメッキ装置10により、基板1にメッキ層を形成するメッキ方法について詳細に説明する。なお、図2は、本発明の実施形態1に係るメッキ方法を示す断面図である。
【0031】
まず、図2(a)に示すように、基板1の一方の表面2の全面に亘って金属からなる金属層103を形成する。この金属層103の形成方法は特に限定されず、例えば、スパッタリング法やメッキ法などが挙げられる。本実施形態では、スパッタリング法を用いた。このような金属層103の材料としては、特に限定されないが、例えば、ニッケル(Ni)やニッケルクロム(NiCr)などが挙げられる。本実施形態では、金属層103としてニッケル(Ni)を用いた。
【0032】
次に、図2(b)に示すように、金属層103をパターニングして所定形状の配線3を形成する。本実施形態では、金属層103上に所定形状のレジスト(図示なし)を形成後、レジストをマスクとして金属層103をエッチングすることによりパターニングする、所謂フォトリソグラフィ法により形成した。
【0033】
次に、基板1の配線3に金(Au)からなるメッキ層を形成する。詳しくは、図1に示すように、基板1をメッキ槽12のメッキ液11内に浸漬し、気泡発生手段13によってマイクロメートルオーダーの気泡を発生させて気泡による流れを生じさせる。このとき、配線3の設けられた方向に向かって気泡による流れが生じるように基板1を配置する。そして、気泡の流れを生じさせた状態で、所定時間放置しておくと、図2(c)に示すように、基板1の配線3上に金(Au)からなるメッキ層5が形成される。
【0034】
なお、マイクロメートルオーダーの気泡は、最頻度気泡径が1〜100μmが好ましく、好適には10〜30μmである。また、このような気泡の流れによるメッキ液11の流速は、90〜110ml/minが好適である。また、気泡流量は、3〜8cc/minが好適である。さらに、気泡としては、酸素(O)又は酸素(O)を含有する空気などの気体を用いた。
【0035】
このように、配線3に気泡の流れを当てながらメッキ層5を形成することによって、基板1の表面2(配線3の表面)を常に汚れのない活性化状態を保つことができると共に、メッキ液11中の余分な還元剤を酸化させて、基板1の表面2の電解層に常に新液が流れてくることで、メッキ層5を高速で析出させることができる。すなわち、マイクロメートルオーダーの気泡の流れを発生させることで、配線3以外の裏面4などの非メッキ領域で余分な還元剤(ベンゾキノン)が沈積され、且つ非メッキ領域に付着した異物や既存の泡が除去されると共に新液が配線3を流れていくため、配線3のみに選択的にメッキ層を形成することができると共に安定したメッキ層を高速で形成することができる。
【0036】
これにより、非メッキ領域にメッキ層が異常析出及び析出不良するのを防止して、配線3の導通不良が発生するのを防止することができると共に、所望のメッキ領域に所望の厚さのメッキ層をメッキ析出時間を短縮して得ることができる。
【0037】
また、メッキ層5の異常発生や異常析出を防止することができるため、メッキ液11の劣化を防止して、コストを低減することができると共に環境破壊を防止することができる。
【0038】
さらに、本発明のメッキ方法によれば、基板1の表面2や配線3の表面を荒らしたり、基板1に応力をかけることがないため、配線3及びメッキ層5への光学的な特性や電気的特性を阻害するといった特性面への影響を防止して、安定したメッキ層5を形成することができる。
【0039】
なお、上述した実施形態1では、基板1のメッキ領域が存在する表面2の気泡の流速を上記範囲とし、非メッキ領域である裏面4の気泡の流速を表面2に比べて速くした。これにより、メッキ層5を形成したくない非メッキ領域にメッキ層5が異常析出されるのをさらに確実に防止することができる。
【0040】
また、このような良質な膜質のメッキ層5が形成されたシリコン単結晶基板からなる基板1は、例えば、シリコンデバイスとして用いることができる。さらに、本発明のメッキ方法は、シリコンデバイスの製造方法に用いることができる。
【0041】
(実施例)
上述したメッキ方法により、基板の一方面にニッケル(Ni)からなる所定形状の配線を形成し、この配線が設けられた基板をメッキ液に浸漬し、最頻度気泡径が30〜60μmの気泡をメッキ液の流速が100ml/minとなり、且つ3〜8cc/minの気体流量で発生させて、厚さが1.38μmの金(Au)からなるメッキ層を形成した。
【0042】
(比較例)
実施例と同様に、基板の一方面に配線を形成し、配線が形成された基板をメッキ液に浸漬し、厚さが1.38μmの金(Au)からなるメッキ層を形成した。
【0043】
(試験例)
実施例及び比較例のメッキ層、すなわち、厚さが1.38μmのメッキ層が形成されるまでの時間を測定したところ、実施例では、メッキ液に浸漬する時間が1〜2時間であったのに対し、比較例では5〜6時間かかった。
【0044】
また、実施例及び比較例の基板の非メッキ領域の状態を観察した。この結果を図3に示す。なお、図3は、本発明の実施例及び比較例のメッキ状態を示す画像である。図3(a)に示すように、実施例の気泡の流れを発生させてメッキ層を形成した場合、非メッキ領域Aには、メッキ層が異常析出していなかったのに対し、図3(b)に示すように、気泡の流れを発生させずにメッキ層を形成した場合、非メッキ領域A′にはメッキ層が異常析出していることが分かった。
【0045】
このように、本発明のメッキ方法によれば、メッキ領域にマイクロメートルオーダーの気泡を発生させてメッキを行うため、メッキ層を高速に形成することができると共に、非メッキ領域へのメッキ層の異常析出及び析出不良を防止することができる。
【0046】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、メッキ方法として、メッキ層を形成する前の前処理が不要としたが、勿論、配線をエッチングによりパターニングした後に、不要となったレジストを除去する酸素(O)によるアッシングや、硫酸(HSO)による洗浄を行うようにしてもよい。
【0047】
また、上述した実施形態1のメッキ装置10では、メッキ槽12内に複数の基板1を表面2同士及び非メッキ領域である裏面4同士を所定の間隔で相対向させた状態で保持させるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、上述した実施形態1では、基板1の裏面4にメッキ領域が存在しないため、複数の基板1の裏面4同士を当接させた状態で、表面2同士を所定の間隔で相対向させるようにしてもよい。
【0048】
さらに、上述した実施形態1では、基板1の平面な表面2にメッキ層5を形成するようにしたが、本発明によれば、メッキ層を形成するメッキ領域や非メッキ領域に貫通孔や凹部などが形成されていても、メッキ層を選択的に高速で形成することができる。
【0049】
また、上述した実施形態1では、基板1の配線3上にメッキ層5を形成するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、基板1の表面2の全面に亘ってメッキ層5を形成するようにしてもよい。この場合、メッキ層を配線として使用する場合には、メッキ層をリソグラフィ法により所定形状にパターニングすればよい。このように基板1の表面2の全面に亘ってメッキ層を形成する場合にも上述したのと同様の効果を得ることができる。
【0050】
さらに、上述した実施形態1では、基板1のメッキ領域及び非メッキ領域に気泡の流れを発生させるようにしたが、少なくともメッキ領域に気泡の流れを発生させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施形態1に係るメッキ装置の断面図である。
【図2】実施形態1に係るメッキ方法を示す断面図である。
【図3】実施例及び比較例のメッキ状態を示す画像である。
【符号の説明】
【0052】
1 基板、 2 表面、 3 配線、 4 裏面、 5 メッキ層、 10 メッキ装置、 11 メッキ液、 12 メッキ槽、 13 気泡発生手段、 A、A′ 非メッキ領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被メッキ部材をメッキ液が充填されたメッキ槽に浸漬し、前記被メッキ部材の少なくともメッキ層を形成するメッキ領域に最頻度気泡径がマイクロメートルオーダーの気泡の流れを発生させることを特徴とするメッキ方法。
【請求項2】
前記気泡の最頻度気泡径が1〜100μmであることを特徴とする請求項1記載のメッキ方法。
【請求項3】
前記気泡の最頻度気泡径が10〜30μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のメッキ方法。
【請求項4】
前記気泡が、少なくとも酸素を含有する気体からなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のメッキ方法。
【請求項5】
前記気泡による前記メッキ液の流速を90〜110ml/minとすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のメッキ方法。
【請求項6】
前記気泡の気体流量を3〜8cc/minとすることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のメッキ方法。
【請求項7】
前記気泡の流れを前記被メッキ部材の前記メッキ領域の面方向に向かって発生させることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のメッキ方法。
【請求項8】
前記メッキ層を形成しない非メッキ領域の前記気泡の流れを、前記メッキ領域に比べて強くすることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のメッキ方法。
【請求項9】
前記メッキ領域が、パターニングされた所定形状の金属層であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のメッキ方法。
【請求項10】
請求項1〜9の何れかに記載のメッキ方法により、前記メッキ層をシリコン単結晶基板からなる前記被メッキ部材に形成したことを特徴とするシリコンデバイスの製造方法。
【請求項11】
被メッキ部材が浸漬されるメッキ液が充填されたメッキ槽と、前記被メッキ部材の少なくともメッキ層を形成するメッキ領域に最頻度気泡径がマイクロメートルオーダーの気泡の流れを発生させる気泡発生手段とを具備することを特徴とするメッキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−177257(P2007−177257A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373454(P2005−373454)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】