説明

メッシュフェンス及びその構築方法

【課題】フェンスにおける線材端部の取り付け構造およびフェンスを提供すること。
【解決手段】フェンスパネル1と支柱5または胴縁8とを備えたメッシュフェンスにおいて、縦線材2または横線材3の端部に、筒状の螺旋状連結部4が設けられ、縦線材端部の螺旋状連結部4にあっては胴縁軸方向に対して傾斜するように設けられ、横線材端部の筒状の螺旋状連結部4にあっては、支柱軸方向に対して傾斜するように設けられ、その傾斜するように設けられた筒状の螺旋状連結部4の外側に、支柱5または胴縁8が挿入されて、筒状の螺旋状連結部4の外側が、支柱5または胴縁8の内側面に押圧するように係合することで、螺旋状連結部4が支柱5または胴縁8に対してがたつくのを防止されて、円筒状連結部4が胴縁8または支柱5に連結されている。螺旋状連結部の中心軸線を胴縁または支柱の中心軸線に近づけた状態で、螺旋状連結部を挿入するメッシュフェンスの構築方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路または鉄道等との境界あるいは私有地境界部に設置されるフェンスに関し、特に、メッシュフェンス及びその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縦線材と横線材を接合してなるフェンスパネルを胴縁または支柱に取り付ける構造として、線材の端部を巻曲げることにより環部を形成し、胴縁等の芯材に巻き付けるようにすることが知られている(例えば、特許文献1または2参照)。
また、クリンプされた線材を使用したフェンスも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】実公昭63−17544号公報
【特許文献2】実公昭63−45481号公報
【特許文献3】特開2006−152616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来の場合は、線材端部のリング状の環状部を、胴縁あるいは鋼管製支柱に装着した状態では、線材端部のリング状の環状部と胴縁または支柱との間に、がたが生じる恐れがあるという問題があった。また、密に巻き付ける場合には、現場施工が煩雑になったり、高い寸法精度が要求されるという問題がある。
本発明は前記の課題を有利に解消することができるフェンスにおける線材端部の取り付け構造およびフェンスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明のメッシュフェンスにおいては、縦線材と横線材を組み合わせて形成されるフェンスパネルと、支柱または胴縁とを備えたメッシュフェンスにおいて、
縦線材または横線材のいずれか一方の線材または双方の線材の端部に、筒状の螺旋状連結部が設けられ、前記縦線材端部の筒状の螺旋状連結部にあっては胴縁軸方向に対して傾斜するように設けられ、前記横線材端部の筒状の螺旋状連結部にあっては、支柱軸方向に対して傾斜するように設けられ、
その傾斜するように設けられた筒状の螺旋状連結部が、前記支柱または胴縁の内側に配置されて、筒状の螺旋状連結部の外側が、支柱または胴縁の内側面に押圧するように係合することで、螺旋状連結部が支柱または胴縁に対してがたつくのを防止されるようにして、円筒状連結部が胴縁または支柱に連結されていることを特徴とする。
また、第2発明では、第1発明のメッシュフェンスにおいて、螺旋状連結部は、支柱または胴縁の半径方向一方の押圧する力と、半径方向他方の押圧する力が吊り合うように弾性力を付与して支柱または胴縁の内側に挿入されていることを特徴とする。
第3発明では、第1発明または第2発明のメッシュフェンスにおいて、支柱または胴縁の内側に挿入された間隔をおいて隣り合う前記螺旋状連結部は、互いに逆向きの螺旋とされていることを特徴とする。
第4発明では、第1発明または第2発明のメッシュフェンスにおいて、支柱または胴縁の内側に挿入された隣り合う前記螺旋状連結部は、互いに同一向きの螺旋とされていることを特徴とする。
第5発明では、第1発明〜第4発明のいずれかのメッシュフェンスにおいて、縦線材と横線材が波形線材からなり、互いの波形の凹部と凸部をかみ合わせたクリンプ金網からなるフェンスパネルであることを特徴とする。
第6発明では、第1発明〜第4発明のいずれかのメッシュフェンスにおいて、縦線材と横線材が波形線材からなり、縦線材の波形の凹部に横線材の直線部が嵌合し、横線材の凹部に縦線材の直線部が嵌合して形成された金網からなるフェンスパネルであることを特徴とする。
第7発明では、第1発明〜第5発明のいずれかのメッシュフェンスにおいて、支柱が、傾斜した地盤に立設されて、前記フェンスパネルが平行四辺形に変形して取り付けられた傾斜地対応のフェンスパネルであることを特徴とする。
第8発明では、第1発明〜第7発明のいずれかのメッシュフェンスにおいて、螺旋状連結部の外径側が、前記胴縁または支柱の内側に圧着されていることを特徴とする。
第9発明では、第1発明〜第8発明のいずれかのメッシュフェンスにおいて、横方向または上下方向に間隔をおいて配置された多数の線材端部における多数の螺旋状連結部は、一方に傾斜する螺旋状連結部と、これに対称に他方に傾斜する螺旋状連結部とが組をなすように配置されていることを特徴とする。
第10発明では、第7発明のメッシュフェンスにおいて、前記フェンスパネルは、波型凹凸部分が形成された縦線材と横線材が編まれて平行四辺形に変形可能な金網であることを特徴とする。
第11発明では、第1発明〜第10発明のいずれかのメッシュフェンスにおいて、筒状の螺旋状連結部は、円筒状の螺旋状連結部とされていることを特徴とする。
第12発明では、第1発明〜第11発明のいずれかのメッシュフェンスにおいて、筒状の螺旋状連結部は、手動により胴縁または支柱の内側に挿入するための握り部とされていることを特徴とする。
第13発明では、第1発明〜第12発明のいずれかのメッシュフェンスにおいて、間隔をおいて設置された一対の支柱に渡って胴縁が横軸により連結され、前記各支柱と横線材とが、および胴縁と縦線材とが、螺旋状連結部を介して取り付けられていることを特徴とする。
第14発明のメッシュフェンスの構築方法においては、縦線材と横線材を組み合わせて形成されるフェンスパネルと、支柱及び胴縁とを備えたメッシュフェンスの構築方法であって、
前記フェンスパネルの縦線材または横線材のいずれか一方の線材または双方の線材の端部に筒状の螺旋状連結部を有し、
前記螺旋状連結部は、予め、胴縁または支柱の軸方向に対して傾斜した状態で、螺旋が形成された螺旋状連結部とされ、
傾斜した螺旋状連結部の中心軸線を胴縁または支柱の中心軸線に近づけた状態で、螺旋状連結部を胴縁または支柱の内側に挿入することを特徴とする。
第15発明では、第14発明のメッシュフェンスの構築方法において、胴縁に装着された複数の螺旋状連結部、または胴縁に装着された複数の螺旋状連結部は、それぞれ、胴縁軸方向で複数の螺旋状連結部が胴縁に作用する力が吊り合うように、または支柱軸方向で複数の螺旋状連結部が支柱に作用する力が吊り合うように、それぞれ胴縁または支柱に対する傾斜角が異なる螺旋状連結部とされ、前記螺旋状連結部を手動操作により、傾斜した螺旋状連結部の中心軸線を胴縁の中心軸線または支柱の中心軸線に近づけた状態で、螺旋状連結部を胴縁または支柱の内側に挿入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によると、胴縁または支柱に装着されるフェンスパネルにおける線材端部の筒状の螺旋状連結部を胴縁軸方向または支柱軸方向に対して傾斜させる簡単な構成で、傾斜した螺旋状連結部を胴縁または支柱の軸方向に沿うように、螺旋状連結部の傾斜を矯正するように弾性変形させて、フェンスパネルにおける胴縁または支柱の内側面に、螺旋状連結部の外径側を押圧するように係合させて、螺旋状連結部とこれを装着する胴縁または支柱とのがたつきを確実に防止した状態で連結することができる効果が得られる。また、螺旋状連結部は胴縁または支柱の内側に配置されるので、胴縁または支柱の外側に突出部がないので、美観がよくなる。
また、螺旋状連結部は、支柱または胴縁の内側面に対してその半径方向一方の押圧する力と、半径方向他方の押圧する力が吊り合うように弾性力を付与して挿入されていると、螺旋状連結部に接続している線材に分力が作用することがないので、フェンスパネルの編み目の形態を変形させることはない。
また、支柱または胴縁に挿入される間隔をおいて隣り合う螺旋状連結部は、互いに逆向きの螺旋とされていると、胴縁または支柱に対して、左右方向(または上下方向)に隣り合う一方の線材(例えば、左右方向の左に位置する縦線材)を正面側から、隣り合う他方の線材(例えば、左右方向の右に位置する縦線材)を背面側から胴縁または支柱の内側に圧着するように装着する場合、これに交差する線材(例えば、縦線材)を、前記隣り合う一方および他方の線材で、胴縁(または支柱)に最も近い位置に配置されている横線材(または縦線材)の表裏に配置し、その線材を表裏から保持するように配置することも容易になる。
また、支柱または胴縁の内側に挿入される隣り合う前記螺旋状連結部は、互いに同一向きの螺旋とされていると、フェンスパネルに統一した美観を付与することができ、また製作も容易に安価になり、メッシュフェンスを安価に構築することができる。
また、縦線材と横線材が波形線材からなり、互いの波形の凹部と凸部をかみ合わせたクリンプ金網からなるフェンスパネルであると、平行四辺形等に変形することができるので、境界地等の勾配に合わせて、フェンスパネルを配置することができる。
また、縦線材と横線材が波形線材からなり、縦線材の波形の凹部に横線材の直線部が嵌合し、横線材の凹部に縦線材の直線部が嵌合して形成された金網からなるフェンスパネルであると、フェンスパネルの片面が平滑になり、また網目の目動きがないので、安定したフェンスパネルである。
また、支柱が、傾斜した地盤に立設されて、前記フェンスパネルが平行四辺形に変形して取り付けられた傾斜地対応のフェンスパネルであるので、フェンスパネルを平行四辺形に変形して、傾斜地に対応させ美観にも優れたフェンスパネルを使用したメッシュフェンスとすることができる。
また、螺旋状連結部の外径側が、前記胴縁または支柱の内側面に圧着されているので、螺旋状連結部の外側を胴縁または支柱の内面に押すように係合させて、螺旋状連結部が胴縁または支柱の半径方向あるいは長手方向にずれ移動するのを防止することができる。
また、傾斜方向が対称に異なる螺旋状連結部を、組をなすように配置すると、胴縁または支柱に作用する分力あるいは縦線材または横線材が受ける反力により金網が受ける分力が相殺されるため、縦線材あるいは横線材が横線材あるいは縦線材に対して移動することがないので、線材端部がずれてフェンスパネルが変形する恐れがなく、設置されたフェンスパネルの形態を安定させることができる。
また、波型凹凸部分が形成された縦線材と横線材が編まれて平行四辺形に変形可能な金網であるので、道路縦断勾配あるいは境界地の勾配にあわせて金網を平行四辺形に変形させて容易に対応させることができる。
また、筒状の螺旋状連結部が円筒状の螺旋状連結部であると、その部分の傾斜を手動操作により弾性変形させる場合に、作業員が握り部として利用して、胴縁または支柱の長手方向に沿うように一時的に弾性変形させて、胴縁または支柱の内側に容易に挿入することができ、また、作業員が螺旋状連結部を解放した後には、螺旋状連結部の外径側を胴縁または支柱の内側に容易に押圧するように係合させることができる。
また、フェンスパネルにおける胴縁または支柱の内側面または外側面に、螺旋状連結部の外径側または内径側を圧着させて、線材端部とこれを装着する胴縁または支柱とのがたつきを確実に防止したメッシュフェンスであるので、風荷重等により騒音を発生することがなく、安定したメッシュフェンスとすることができる。
また、間隔をおいて設置された一対の支柱に渡って胴縁が横軸により連結されていると、支柱をコンクリート基礎に固定する前の状態では、支柱と胴縁とを相対的に回動させて、道路あるいは隣接地等の縦断勾配等に容易に対応することができ、施工の自由度が高い。
また、傾斜している螺旋状連結部の中心軸線を胴縁または支柱の中心軸線に近づけた状態とするだけで、容易に、螺旋状連結部を胴縁または支柱の内側に挿入することができるため、フェンスパネルと胴縁または支柱の組立が短時間に容易に組み立てることができ、そのためメッシュフェンスを容易に構築することができる。
また、胴縁に装着された複数の螺旋状連結部、または支柱に装着された複数の螺旋状連結部は、それぞれ、胴縁軸方向で複数の螺旋状連結部が胴縁に作用する力が吊り合うように、または支柱軸方向で複数の螺旋状連結部が支柱に作用する力が吊り合うように、それぞれ胴縁または支柱に対する傾斜角が異なる螺旋状連結部とされ、螺旋状連結部を手動操作により、傾斜した螺旋状連結部の中心軸線を胴縁または支柱の中心軸線に近づけた状態で、螺旋状連結部を胴縁または支柱の内側を挿入すると、胴縁または支柱に装着される複数の螺旋状連結部が胴縁または支柱に作用する力が吊り合っているため、胴縁または支柱の内側に装着された縦線材または横線材が胴縁または支柱に対してずれ移動することはなく、メッシュフェンスが変形することはなく、また、螺旋状連結部を作業が握るなどして手動操作により、螺旋状連結部の中心軸線を胴縁または支柱の中心軸線に近づけて、螺旋状連結部を胴縁または支柱の内側に容易に装着することができ、作業によりメッシュフェンスを容易に短時間で組み立てて設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0007】
本発明の実施形態のフェンスパネル1は、複数の縦線材2と横線材3を格子状に編成して構成される。縦線材2と横線材3は、波形に屈曲されて、この波形部分を組み合わせてクリンプ金網としている。なお、クリンプ金網以外のフェンスパネルにも本発明を適用できる。
【0008】
図3(a)に示すように、本発明では、フェンスパネル1を構成している縦線材2および横線材3の端部には、円筒状等の筒状で螺旋状に巻回された螺旋状連結部4が設けられている。
【0009】
前記の縦線材2および横線材3の各螺旋状連結部4は、縦線材2および横線材3の端部付近の直線状部19(図2または図11参照)に接続するように設けられ、図示形態では、直線状部19先端から螺旋状に加工が施されて螺旋状連結部4が形成されている。各縦線材2の直線状部19および各横線材3の直線状部19は、螺旋状連結部4の直径方向の中心または中心付近を通る位置に設けられ、スリットを備えた胴縁またはスリットを備えた支柱における前記各スリット17の内部に、縦線材2または横線材3の直線状部19を配置可能にされている。
【0010】
前記の螺旋状連結部4は、図示の形態では、線材の端部が連続して螺旋状に巻回加工が施されて、外径が螺旋状連結部4の長手方向に渡ってほぼ同径であると共に、内径が螺旋状連結部4の長手方向に渡ってほぼ同径である螺旋状連結部4とされ、かつ前記螺旋状連結部4は、線材の本体側(フェンスパネル側)に対して、直角以外の傾斜角αを付与されて加工されている。具体的には、螺旋状連結部4を胴縁または支柱の軸方向(長手方向)に沿って配置するため、胴縁または支柱の長手方向に対して傾斜するように加工されている。
【0011】
前記の傾斜角αは、線径および螺旋ピッチ、あるいは螺旋の巻き数等により適宜設定される。作業員が手動で螺旋状連結部4の傾斜角αを弾性的に変えて、胴縁または支柱を挿入する上では、45°を超える急傾斜角よりも緩傾斜角(例えば、5°〜30°〜45°)であるのが望ましい。
【0012】
しかし、急傾斜角であると、螺旋状連結部4と胴縁または支柱とが押圧し合って係合する圧着力が高まるので、緩傾斜角よりも望ましい。前記のように、螺旋状連結部4の傾斜角が急傾斜であるか緩傾斜であるかは、一長一短があり、縦線材または横線材の線径および螺旋の巻き数等設計により適宜設定されるが、手動操作により、傾斜角αを弾性的に変化できるのが望ましい。
【0013】
前記の螺旋状連結部4としては、線材の本体部とは別個の螺旋状連結部を溶接等により固定するようにしてもよいが、前記実施形態のように、フェンスパネル1本体部を構成する各線材から連続して曲げ加工して螺旋状連結部4を形成すると、作業員が手動操作で傾斜角を弾性的に変化させることが容易な安価な螺旋状連結部4を形成することができ、安価な螺旋状連結部4を有する線材とすることができる。
【0014】
螺旋状連結部4の外径寸法は、螺旋状連結部4の外側に配置される胴縁8あるいは鋼管製の支柱5を外装配置するので、胴縁8あるいは支柱5の内径寸法よりも僅かに小さい寸法とすればよい。また、この場合の前記の螺旋状連結部4の長手方向Yで、螺旋状連結部4基端側の半径方向の外側の位置と、螺旋状連結部4先端側の半径方向の外側の位置との変位差Aは、前記の胴縁8あるいは支柱5の内径寸法から螺旋状連結部4の外径寸法を引いた寸法差以上とすればよい。
【0015】
螺旋状の螺旋状連結部4の中間部は、直線状に傾斜するばかりでなく、多少蛇行するような螺旋状連結部であってもよい。螺旋状の螺旋状連結部4が全体として直線状に傾斜する形態では、少なくとも、螺旋状連結部4の基端側と先端側のリング状部がスリット17を有する胴縁8または支柱5の内側に圧着することができ、螺旋状連結部4がさらに上下方向あるいは前後方向さらには、左右方向に蛇行するような螺旋状連結部であると、3次元的に2点あるいは3点以上で胴縁8あるいは支柱5に圧着係合することができ、ガタ付きを一層防止することができる。
螺旋状連結部4の外径は、同径である必要はなく、多少径が変化していてもよい。
【0016】
前記実施形態の場合、螺旋状連結部4の外径寸法Dは、螺旋状連結部4の外側に配置される胴縁8を外挿配置する形態であるので、胴縁8あるいは支柱5の内径あるいはその内側における上下方向(または左右方向)の内側面の端部間に接する内接円よりも僅かに小さい寸法とすればよい。また、この場合、前記の螺旋状連結部4の長手方向で、螺旋状連結部4基端側の半径方向の外側の位置と、螺旋状連結部4先端側の半径方向の外側の位置との変位差Aは、胴縁8あるいは支柱5の内径あるいはその内側における上下方向の内側面端部間に接する内接円と螺旋状連結部4の外径寸法Dとの差よりも大きい寸法とすれば、弾性変形によりスプリング作用を発揮して、胴縁8(またはスリットを有する支柱5)の内面に圧着して係止することができる。
【0017】
また、前記の螺旋状に巻回された螺旋状連結部4の外側に胴縁8あるいは支柱5が外挿されるため、螺旋状連結部4の螺旋のピッチは、胴縁8あるいは支柱5を外挿する場合に、螺旋状の螺旋状連結部4が弾性変形しながら、胴縁8あるいは支柱5にガイドされながら外挿すればよいので、胴縁8あるいは支柱5の外挿時に障害とならない程度であればよい。
【0018】
次に、前記のような縦線材2と横線材3の各線材の螺旋状連結部4を装着する胴縁8あるいは支柱5との着脱可能な連結構造について説明する。
なお、本発明において使用する胴縁8には、部材長手方向に連続したスリット17を有する胴縁とされ、また支柱5には、部材長手方向に連続したスリット17を有する支柱5とされている。
【0019】
図1および図4に示すように、鋼管製支柱5の上端部には、胴縁8側に向かって円弧状に彎曲したブラケット9の基端部を固定した蓋材が嵌合等により固定され、また、鋼管製胴縁8の両端部には、支柱5側に向かって円弧状に彎曲したブラケット9の基端部を固定した蓋材が嵌合等により固定され、支柱5側のブラケット9と、胴縁8側のブラケット9相互が重合されて、これらのブラケット9,9とに渡って挿通された横方向の連結軸10(フェンスパネル面に対してほぼ直角な方向の連結横軸)により、支柱5と胴縁8とは、着脱可能に連結されていると共に、上下方向に多少回動可能に連結されているメッシュフェンス11とされている。
【0020】
従って、支柱をコンクリート基礎に固定する前の状態では、支柱5と胴縁8とを相対的に回動させて、道路あるいは隣接地等の縦断勾配等に容易に対応することができるメッシュフェンスとされている。
【0021】
螺旋状連結部4を胴縁8または支柱5内に挿通する場合、図3(a)に示すように、螺旋状連結部4の傾斜をつけて、図3(b)に示すように支柱または胴縁8内に挿入する。
【0022】
この場合、フェンスパネル1を構成している各横線材3の端部の傾斜した円筒状の螺旋状連結部4を手動操作用の把持部として利用して、作業員の手動操作により、フェンスパネル1における上下方向の多数の螺旋状連結部4を支柱5内に渡って、例えば上部から下部に向かって、各横線材3の端部の傾斜した各螺旋状連結部4の中心軸線を支柱5の中心軸線に近づけるように、螺旋状連結部4の基端側およびこれに接続する縦線材または横線材を弾性変形させて、螺旋状連結部4の中心軸線を支柱5の中心軸線に近づけた状態で支柱5内に挿入配置可能にされている。各螺旋状連結部4を支柱5の基端部から挿入する場合には、支柱5の基端部側から順次挿通配置可能にされている。
【0023】
また、各縦線材2の上端部の螺旋状連結部4内に渡って、左右方向一端側から他端側に向かって、順次、各縦線材2の端部の螺旋状連結部4を手動操作用の把持部として利用して、前記と同様に螺旋状連結部4の基端側を弾性変形させて、各螺旋状連結部4の中心軸線を胴縁8の中心軸線に近づけるようにして、胴縁8の端部側に挿通配置する。
その後、螺旋状連結部4を傾斜して挿入した後に設置地面に合わせて胴縁8を水平または傾斜状態にしたり、支柱5を鉛直にすることで、各螺旋状連結部4の外周側が胴縁8(a)または支柱5の内側面に圧着されて係止される。
このようにして、各螺旋状連結部4の外周側が胴縁8または支柱5の内側面に圧着されて係止されて、図9あるいは平行四辺形に変形した図14に示す形態の1ユニットのメッシュフェンス11が構成されている。なお、1ユニットのメッシュフェンス11は適宜、地組みしてもよい。
【0024】
この形態の胴縁8の場合には、下面側にスリット17を有すると共に内向き支承部18を有する鋼製胴縁8とされ、各内向き支承部18先端部とこれに対向する胴縁内側頂面T(図11参照)に内接する内接円よりも僅かに小さい外径の螺旋状連結部4とされ、前記の胴縁8の内側により、螺旋状連結部4が弾性変形されて、螺旋状連結部4の軸方向先端部および軸方向基端側等の螺旋状連結部4外周面が、胴縁8の内側面あるいは前記内向き支承部18に弾性的に圧着されることで係止されるようにした形態である。
【0025】
なお、前記胴縁8の部材長手方向の両端部には、これに設けられた横孔にブラケット9を固定した蓋材が横軸により固定され、胴縁8側のブラケット9と支柱5側のブラケット9に渡って、ボルト等からなる連結軸10が挿通されると共にこれに装着されるナットにより、回動可能に取り付けられている。
【0026】
前記のフェンスパネル1は、縦線材2と横線材3が波形線材からなり、互いの波形の凹部と凸部をかみ合わせたクリンプ金網からなるフェンスパネルであるので、互いの波形の凹部と凸部とは固定されていないために、全体として平行四辺形に変形可能にされている。
これらの場合において、前記の傾斜角αは、漸次変化して、圧着力が生じている。
【0027】
なお、前記のメッシュフェンス11における胴縁8の端部のブラケット9と支柱5の上端部のブラケット9とは、前記のようにボルト・ナットまたはピン接合等からなる連結軸10により連結されて、前記2つの連結軸10を中心にして変形可能な門型のフレーム構造とされている。
【0028】
前記の門型フレーム内に配置されているフェンスパネル1は、これを構成している縦線材2の上端部に螺旋状連結部4を備え、横線材3の左右方向の両端部に螺旋状連結部4を備え、これらが編成されて、フェンスパネル1を構成している。
【0029】
前記のフェンスパネル1を構成している間隔をおいて平行に配置されている各縦線材2の凹部7と凸部6は、間隔をおいて平行に配置されている横線材3の凸部6と凹部7に直交して係合している。縦線材2と横線材3が絡み合ってフェンスパネル1が形成されて、相互にずれないように編み込まれている。そのようなフェンスパネル1が胴縁8と支柱5に圧着係止されるように連結されている。
【0030】
なお、各縦線材2および横線材3の線径は、図19に示すように、波型の凹部7の深さ(h)以下に設けるのが望ましい。このように構成することにより縦線材2と横線材3は、相手側の縦線材2と横線材3波型の凹部7内に納まって係合するので、凹部7から脱出しにくく安定した編成となると共に美観も向上する。また、縦線材2と横線材3は、例えば線径1.6mm〜2.6あるいは線径4mm等のものを適宜使用され、例えば、4Φmmの線径を規準として、線径(d)と波型の凹部の深さ(h)とピッチ(p)は、略2:4:5に設けてもよく、それ以外の比率で設けてもよく、このように構成すると隣接する波型凹凸部分に互いに係合する縦線材2と横線材3は、互いに係合する相手側の線材の軸線方向にずれることがなく、しかも、前記線径に対して余裕を持たせて深さ(h)とピッチ(p)を設定しているため、縦線材2と横線材3とは互いに回動自在となる。即ち、縦線材2と横線材3の交差部を支点として、網目の平行四辺形を保って円滑に変形できる。
【0031】
前記実施形態のように構成された1ユニットのメッシュフェンス11は、図9の状態から、図14に示すような平行四辺形の状態に変形可能であり、道路あるいは私有地等の境界地における勾配に対応可能にされている。
【0032】
前記のようなメッシュフェンス11を直列(または屈折して)に配置する場合には、図1および図8に示すように、隣り合うメッシュフェンス11における支柱5の上端部に渡って、横方向の両端部に凹部を有する一対のバンド片12が対向するように配置され、締め付け用ボルト・ナット13により、前記各バンド片12を接近するように締め付け固定して、支柱5の上端部相互が連結される。
前記の各バンド片12とボルト・ナット13により上部固定バンド14が構成されている。
【0033】
また、隣り合うメッシュフェンス11における支柱5の下端部に渡って、図1および図8に示すバンド片12と同様で高さ寸法を高くした図10に示すような高さのバンド片12が配置されて、前記と同様に、上下方向に間隔をおいた複数のボルト・ナット13により、支柱5の下端部相互が、下部固定バンド15により連結固定されている。
【0034】
また、前記の下部固定バンド15および各支柱5の下端部は、コンクリート基礎16内に埋め込み固定される。
【0035】
次に、縦線材2と横線材3の端部の螺旋状連結部4の配置形態について、図5〜図7を参照して説明する。
図5〜図7および図17または図18に示す形態は、一方に傾斜する螺旋状連結部4を有する縦線材2(または横線材3)と、他方に傾斜する螺旋状連結部4を有する縦線材2(または横線材3)を、1本または複数本対称に組みをなすように配置して、螺旋状連結部に作用する力の吊り合いを取りながら、フェンスの美観を変化させた形態を示すものである。
【0036】
より具体的に説明すると、図11に示すように、螺旋状連結部4は、予め胴縁8または支柱5に対して傾斜するように形成されているため、間隔をおいた複数の螺旋状連結部4は互いに螺旋状連結部4の先端側のみがタッチした状態(または先端側が基端側よりも強くタッチした状態)では基端側に戻ろうとする力が作用する(胴縁に対して螺旋状連結部は左右方向等の胴縁長手方向に対してずれ移動、支柱に対して螺旋状連結部は上下方向の支柱に対してずれ移動)ので、傾斜方向を対称に配置された螺旋状連結部4相互では、互いに逆方向に戻ろうとする力が胴縁または支柱に作用する。
【0037】
そのため、螺旋状連結部4は、支柱5または胴縁8をその半径方向一方に押圧する力と、半径方向他方に押圧する力が吊り合うように弾性力を付与して挿入されているのが、望ましい。このようにする場合には、例えば、螺旋状連結部4を円筒状として、一定の傾斜角αとすると、基端側および先端側がほぼ支柱5または胴縁8の外周面に対して一方および他方側からほぼ均等に押圧するようになるので、望ましい。
【0038】
また、図11に示すように、間隔をおいて隣り合う組みをなす縦線材2(または横線材3)の螺旋状連結部4相互の傾斜、または、1本または複数本の縦線材を間に挟んで間隔をおいて組をなす螺旋状連結部4相互の傾斜を、螺旋状連結部4の基端側相互が、螺旋状連結部4の先端側に比べて遠い位置となるように対称に配置するようにしてもよく、あるいは、図12に示すように、螺旋状連結部4の基端側相互が、螺旋状連結部4の半径方向で対称に偏心配置されていると共に、螺旋状連結部4の先端側相互が、螺旋状連結部4の半径方向で対称に偏心配置された状態でもよい。
【0039】
例えば、図5(a)では、螺旋状連結部を備えていない縦線材2を1本挟んで、それぞれ螺旋状連結部4の傾斜方向が対称に異なる螺旋状連結部4を有する縦線材2を配置した形態で、このようにすると、胴縁8(支柱の場合も同様である)等に作用する分力あるいは縦線材(または横線材)が受ける反力によりフェンスパネル1が受ける分力が相殺されるため、縦線材あるいは横線材がずれ移動することがないので、フェンスパネル1が変形する恐れがなく、フェンスパネル1の形態が安定させることができる。
【0040】
前記の応用形態として、図5(b)に示すように、螺旋状連結部を備えていない縦線材2の1本置きに、同じ方向に傾斜する螺旋状連結部4を有する左側の3本の縦線材2に対称に、螺旋状連結部を備えていない縦線材2の1本置きに、前記と対称な方向に傾斜地する螺旋状連結部4を有する縦線材2を右側に3本連続するように配置するようにしてもよい。
【0041】
また、図6に示すように、図6の左側から、螺旋状連結部4の傾斜方向で、一方に傾斜する螺旋状連結部4を4Aとし、対称に他方に傾斜する螺旋状連結部4を4Bとした場合、4A、4A、4B、4B、4B、4A、4A、4Bとし、一方に傾斜する螺旋状連結部4Aと、前記と対称に他方に傾斜する螺旋状連結部4Bとを、それぞれ同数にすることにより、胴縁8(支柱の場合も同様である)等に作用する力あるいは縦線材または横線材が受ける反力によりフェンスパネル1が受ける力が相殺されるようにしてもよい。
【0042】
また、図7(a)に示すように、傾斜方向が対称に異なるそれぞれの螺旋状連結部4を有する縦線材2間に、螺旋状連結部を備えていない間隔をおいた2本の縦線材2を挟んで1単位とし、隣り合う前記1単位間に、螺旋状連結部4を備えていない1本の縦線材2を挟むようにする配置形態でもよい。
【0043】
また、図5(b)の変形形態として、図7(b)に示すように、螺旋状連結部を備えていない縦線材2の2本置きに配置された一方に傾斜する螺旋状連結部4(4A)を有する左側の3本の縦線材2に対称に、螺旋状連結部を備えていない縦線材2の2本置きに配置された他方に傾斜する螺旋状連結部4(4B)を有する右側の3本の縦線材2を配置するようにしてもよい。
【0044】
前記各形態のように組をなすように配置する形態以外にも、螺旋状連結部を備えていない縦線材2の本数を変える形態が可能である。また、図示を省略するが、支柱5に対する横線材3の配置形態も前記と同様にしてもよい。
【0045】
前記の場合に、左右方向に間隔をおいて隣り合う縦線材2は、最上部の横線材3を表裏から抱きこむように配置するために、正面視で、最上部の横線材3の前側に配置される縦線材2の螺旋状連結部4の基端側は、胴縁8に対して背面側から巻き付くようになり、最上部の横線材3の背面側に配置される縦線材2の螺旋状連結部4の基端側は、胴縁8に対して前側から巻き付くようになり、螺旋状連結部4の傾斜方向には左右されない。
【0046】
また、上下方向に間隔をおいて隣り合う横線材3は、左右方向で最端部の縦線材2を表裏から抱きこむように配置するために、正面視で、最端部の縦線材2の前側に配置される横線材3の螺旋状連結部4の基端側は、支柱5に対して背面側から巻き付くようになり、最端部の縦線材2の背面側に配置される横線材3の螺旋状連結部4の基端側は、支柱5に対して前側から巻き付くようになり、螺旋状連結部4の傾斜方向には左右されない。
【0047】
前記のように構成されたメッシュフェンス11であるので、これを道路あるいは境界地等に沿って配置する場合、図13(a)(b)、図13(c)(d)、図13(e)(f)、図13(g)(h)に隣り合うフェンス相互の概略配置形態を示すように、道路等の曲がり、あるいは道路縦断勾配によって、対応することが可能な、傾斜地対応のフェンスパネル1を用いたである。
例えば、図13(a)に示す平面形態で隣り合うメッシュフェンス11を直線状に設置し、(b)に示す正面形態で隣り合うメッシュフェンス11を同レベルに設置する形態が可能である。
また、例えば、図13(c)に示す平面形態で隣り合うメッシュフェンス11を「く」の字状に屈折するように設置し、(b)に示す正面形態で隣り合うメッシュフェンス11を同レベルに設置する形態が可能である。
また、例えば、図13(e)に示す平面形態で隣り合うメッシュフェンス11を直線状に設置し、(f)に示す正面形態で隣り合うメッシュフェンス11を道路縦断勾配等に合わせて傾斜状態で設置する形態が可能である。
また、例えば、図13(g)に示す平面形態で隣り合うメッシュフェンス11を「く」の字状に屈折するように設置し、(h)に示す正面形態で隣り合うメッシュフェンス11を道路縦断勾配等に合わせて、一方のメッシュフェンス11を傾斜状態で設置し、他方のメッシュフェンス11を水平形態で設置することが可能である。
【0048】
尚、図15は、図13(b)の形態を拡大して示す正面図であり、図16は、図13(f)の形態を拡大して示す正面図である。
【0049】
前記の実施形態のメッシュフェンス11を設置する場合は、1ユニットのメッシュフェンス11の状態で搬送し、各支柱5を所定の位置に配置すると共に、隣り合うメッシュフェンス11における支柱相互を適宜固定バンド14,15により固定し、下部固定バンド15を埋め込むようにコンクリートを打設して、コンクリート基礎16を構築すればよい。
【0050】
なお、支柱5と胴縁8とフェンスパネル1を分離した状態で現場近くまで搬送し、現場においてメッシュフェンスに組み立て、所定の矩形または平行四辺形に変形して設置し、コンクリート基礎16により立設固定するようにしてもよい。
【0051】
なお、前記のブラケット9の基端部を固定した蓋材が、支柱5の上端部の穴あるいは胴縁8の両端部の穴に、着脱可能可能に圧入固定して装着する形態では、前記のブラケット9を取り外した状態で、フェンスパネル1の螺旋状連結部4を装着すると施工性がよく、このようにして螺旋状連結部を支柱5または胴縁8に装着した後、ブラケット9の基端部を固定した蓋材を支柱5または胴縁8の端部に圧入固定するようにすればよい。支柱5または胴縁8に直角な方向のブラケット9の張出し寸法が小さい場合には、ブラケット9の基端部を固定した蓋材8を支柱5または胴縁8に圧入固定した状態で螺旋状連結部4を装着するようにすることもできる。
【0052】
前記実施形態のメッシュフェンス11では、隣り合うメッシュフェンス11における支柱5がそれぞれ独立し、固定バンド14,15により連結されているので、しかも各固定バンド14,15のバンド片12はボルト13を弛めた状態では、隣接するメッシュフェンス11を水平回動してその支柱5を固定することができるので、メッシュフェンス11の配置の自由度が高い。また、道路あるいは隣接地の縦断勾配にも容易に平行四辺形にフェンスを変形させて対応することができるので、施工の自由度が高く、また各メッシュフェンス11は支柱5により仕切られて独立しているので、フェンスの剛性も高くなる。
【0053】
本発明を実施する場合、螺旋状連結部4は、上下方向の一方向にのみ傾斜する形態を示したが、螺旋状連結部長手方向に直角な横方向にのみ傾斜する形態でもよく、あるいは、上下方向に傾斜する部分および横方向にのみ傾斜する部分を有する螺旋状連結部4であってもよい。
筒状の螺旋状連結部4は、基端部の螺旋部に対して先端部の螺旋部が、筒状の螺旋状連結部4の半径方向のいずれの方向に偏心して、傾斜させるようにしてもよい。
【0054】
なお、前記の螺旋状連結部4の胴縁8あるいは支柱5に対する傾斜角は、線材端部の線径および剛性により設計に適宜設定される。
【0055】
また、本発明を実施する場合、クリンプ金網以外のフェンスパネルとして、例えば、フラットトップ金網からなるフェンスパネルに螺旋状連結部を設けるようにしてもよい。前記のフラットトップ金網は、横線材および縦線材として、直線部を有する横線材および縦線材が用いられ、両方の線材に設ける波谷部を、例えば線材長手方向の片側に2ピッチおきに設けて、横線材または縦線材のいずれか一方の線材の波谷部を、他方の線材の直線部に収容するように網組まれたフェンスパネルである。横線材の凹部に縦線材の直線部が嵌合して形成された金網からなるフェンスパネルであると、フェンスパネルの片面が平滑になり、また網目の目動きがないので、安定したフェンスパネルを使用したメッシュフェンスとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態のフェンスにおける線材端部の取り付け構造を示す部分拡大正面図である。
【図2】(a)は図1のA−A線断面図、(b)は図1のB−B線断面図である。
【図3】(a)は、胴縁または支柱により矯正される前の状態の螺旋状連結部を示す正面図、(b)は、胴縁または支柱により矯正された状態の螺旋状連結部を示す正面図である。
【図4】図1における胴縁と支柱との連結部を示す平面図である。
【図5】(a)および(b)は螺旋状連結部の傾斜方向の異なる線材の配置形態を示す説明図である。
【図6】(a)および(b)は螺旋状連結部の傾斜方向の異なる線材の配置形態を示す説明図である。
【図7】(a)および(b)は螺旋状連結部の傾斜方向の異なる線材の配置形態を示す説明図である。
【図8】図1における隣合う支柱相互の連結部を示す横断平面図である。
【図9】フェンスの全体を示す正面図である。
【図10】図1における隣り合う支柱の下端部相互の連結部およびコンクリート基礎との関係を示す正面図である。
【図11】胴縁内に線材における螺旋状連結部が弾性変形されて矯正された状態で配置される形態を示すものであって、(a)は一部縦断正面図、(b)は(a)の縦断側面図である。
【図12】図11に示す形態における胴縁と支柱との上端部付近の連結構造を示す一部切欠正面図である。
【図13】隣り合うフェンスユニットの概略配置形態を示すものであって、(a)は平面図、(b)は(a)の正面図、(c)は平面図、(d)は(c)の正面図、(e)は平面図、(f)は(e)の正面図、(g)は平面図、(h)は(g)の正面図である。
【図14】本発明のフェンスが平行四辺形状に変形した状態を示す正面図である。
【図15】図13(b)に示す形態を拡大して示す正面図である。
【図16】図13(f)に示す形態を拡大して示す正面図である。
【図17】傾斜方向の異なる隣り合う螺旋状連結部の配置形態の一例を示す説明図である。
【図18】傾斜方向の異なる隣り合う螺旋状連結部の配置形態を示す他の例を示す説明図である。
【図19】縦線と横線の線径と波型凹凸部分の深さ(h)の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1 フェンスパネル本体(フェンスパネル)
2 縦線材
3 横線材
4 螺旋状連結部
5 支柱
6 凸部
7 凹部
8 胴縁
9 ブラケット
10 連結軸
11 メッシュフェンス
12 バンド片
13 ボルト・ナット
14 上部固定バンド
15 下部固定バンド
16 コンクリート基礎
17 スリット
18 内向き支承部
19 直線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦線材と横線材を組み合わせて形成されるフェンスパネルと、支柱または胴縁とを備えたメッシュフェンスにおいて、
縦線材または横線材のいずれか一方の線材または双方の線材の端部に、筒状の螺旋状連結部が設けられ、前記縦線材端部の筒状の螺旋状連結部にあっては胴縁軸方向に対して傾斜するように設けられ、前記横線材端部の筒状の螺旋状連結部にあっては、支柱軸方向に対して傾斜するように設けられ、
その傾斜するように設けられた筒状の螺旋状連結部が、前記支柱または胴縁の内側に配置されて、筒状の螺旋状連結部の外側が、支柱または胴縁の内側面に押圧するように係合することで、螺旋状連結部が支柱または胴縁に対してがたつくのを防止されるようにして、円筒状連結部が胴縁または支柱に連結されていることを特徴とするメッシュフェンス。
【請求項2】
螺旋状連結部は、支柱または胴縁の半径方向一方の押圧する力と、半径方向他方の押圧する力が吊り合うように弾性力を付与して支柱または胴縁の内側に挿入されていることを特徴とする請求項1に記載のメッシュフェンス。
【請求項3】
支柱または胴縁の内側に挿入された間隔をおいて隣り合う前記螺旋状連結部は、互いに逆向きの螺旋とされていることを特徴とする請求項1または2に記載のメッシュフェンス。
【請求項4】
支柱または胴縁の内側に挿入された隣り合う前記螺旋状連結部は、互いに同一向きの螺旋とされていることを特徴とする請求項1または2に記載のメッシュフェンス。
【請求項5】
縦線材と横線材が波形線材からなり、互いの波形の凹部と凸部をかみ合わせたクリンプ金網からなるフェンスパネルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のメッシュフェンス。
【請求項6】
縦線材と横線材が波形線材からなり、縦線材の波形の凹部に横線材の直線部が嵌合し、横線材の凹部に縦線材の直線部が嵌合して形成された金網からなるフェンスパネルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のメッシュフェンス。
【請求項7】
支柱が、傾斜した地盤に立設されて、前記フェンスパネルが平行四辺形に変形して取り付けられた傾斜地対応のフェンスパネルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のメッシュフェンス
【請求項8】
螺旋状連結部の外径側が、前記胴縁または支柱の内側に圧着されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のメッシュフェンス。
【請求項9】
横方向または上下方向に間隔をおいて配置された多数の線材端部における多数の螺旋状連結部は、一方に傾斜する螺旋状連結部と、これに対称に他方に傾斜する螺旋状連結部とが組をなすように配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のメッシュフェンス。
【請求項10】
前記フェンスパネルは、波型凹凸部分が形成された縦線材と横線材が編まれて平行四辺形に変形可能な金網であることを特徴とする請求項7に記載のメッシュフェンス。
【請求項11】
筒状の螺旋状連結部は、円筒状の螺旋状連結部とされていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のメッシュフェンス。
【請求項12】
筒状の螺旋状連結部は、手動により胴縁または支柱の内側に挿入するための握り部とされていることを特徴とする請求項1〜11に記載のメッシュフェンス。
【請求項13】
間隔をおいて設置された一対の支柱に渡って胴縁が横軸により連結され、前記各支柱と横線材とが、および胴縁と縦線材とが、螺旋状連結部を介して取り付けられていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のメッシュフェンス。
【請求項14】
縦線材と横線材を組み合わせて形成されるフェンスパネルと、支柱及び胴縁とを備えたメッシュフェンスの構築方法であって、
前記フェンスパネルの縦線材または横線材のいずれか一方の線材または双方の線材の端部に筒状の螺旋状連結部を有し、
前記螺旋状連結部は、予め、胴縁または支柱の軸方向に対して傾斜した状態で、螺旋が形成された螺旋状連結部とされ、
傾斜した螺旋状連結部の中心軸線を胴縁または支柱の中心軸線に近づけた状態で、螺旋状連結部を胴縁または支柱の内側に挿入することを特徴とするメッシュフェンスの構築方法。
【請求項15】
胴縁に装着された複数の螺旋状連結部、または胴縁に装着された複数の螺旋状連結部は、それぞれ、胴縁軸方向で複数の螺旋状連結部が胴縁に作用する力が吊り合うように、または支柱軸方向で複数の螺旋状連結部が支柱に作用する力が吊り合うように、それぞれ胴縁または支柱に対する傾斜角が異なる螺旋状連結部とされ、前記螺旋状連結部を手動操作により、傾斜した螺旋状連結部の中心軸線を胴縁の中心軸線または支柱の中心軸線に近づけた状態で、螺旋状連結部を胴縁または支柱の内側に挿入することを特徴とする請求項14に記載のメッシュフェンスの構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−215742(P2009−215742A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58785(P2008−58785)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【出願人】(593211636)株式会社ニッケンフェンスアンドメタル (26)
【Fターム(参考)】