説明

メトホルミン及びフィブラート系薬剤を含む医薬調製物、並びに、その取得方法

【課題】メトホルミン及びフィブラート系薬剤を含む医薬調製物、並びに、その取得方法の提供。
【解決手段】本発明は、メトホルミン粒子及びフィブラート系薬剤粒子を含む顆粒に関する。更に本発明は上記顆粒を含む医薬組成物にも関する。また本発明は、上記顆粒及び上記医薬組成物の調製方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メトホルミン及びフェノフィブラート等のフィブラート系薬剤を含む医薬組成物、並びに、上記医薬組成物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物質の併用は、あらゆる医薬品の開発に内在する課題の他にいくつかの課題を薬学者に提示する。こうした更なる課題は次のものを含むいくつかの理由から生じる:併用物が確実に安定である必要があること、作成した投与形態が(個々の構成要素の投与量が多い場合であっても)患者に確実に許容される必要があること、及び、併用物中の個々の有効成分の薬物動態学的作用が単独療法での薬剤の投与により生じる上記作用と一致する必要があること。後者の必要条件は併用物質の安全性及び効力を保証するのに特に重要である。併用する活性化合物の物理化学的特性が著しく異なる場合、上記課題はより大きい。例えば、疎水性有効成分を親水性有効成分と、又は、水溶性有効成分を非水溶性有効成分と併用する必要がある場合、調製者が面する課題は大きいであろう。これらの一般的な考察に加えて、併用物は、個々の有効成分に関連する特定の医薬分野の問題に対処する調製戦略を達成するであろう。例えば、一有効成分の圧縮性が良好でない場合はバインダー又は圧縮補助剤の選択が制限される可能性があると考えられる。あるいは、一有効成分の流動特性が高収率製造に不都合である場合には流動促進剤、滑剤又は他の外相構成要素の選択が必然的に決まる可能性があるとも考えられる。
【0003】
疎水性の非水溶性有効化合物と親水性の水溶性有効化合物との併用は、有効成分のいずれか又は両方の薬物動態学的特性が処方の影響を受けることが分かっている場合に、特に大きな課題である。
【0004】
メトホルミンは主としてその抗高血糖活性によって知られるビグアニドであり、インシュリン非依存性糖尿病の治療において広く使用されている;また、メトホルミンはインシュリンと併用して患者に投与可能である。
【0005】
メトホルミンは水に自由に溶解する(非特許文献1)。また、メトホルミンは圧縮性の低い物質であることも知られている。圧縮性の低い物質とは、圧縮力をかけても結合せず錠剤を形成しない物質である。従ってこのような物質は、圧縮して錠剤にするために更なる処理及び特別な配合を必要とする可能性がある。このような物質は直接圧縮しても効果がない可能性があるため、通常は湿式造粒段階が更に必要である。この物質は、バインダー、又は、結合力が高い(又は圧縮補助剤として作用する)他の材料と共に調製することによって、圧縮不可能な材料の非結合特性を克服可能である。圧縮を補助する他の方法は、圧縮前に配合物中に湿気が残留すること、又は、錠剤調製物中の圧縮不可能な材料の含量が非常に少量であることを含む。メトホルミン等の高用量の薬は錠剤中の希釈剤又は圧縮補助剤の割合が比較的小さく、粉末の流動性が低く、かつ、圧縮性が低いため、直接の圧縮には向かない。
【0006】
フィブラート系薬剤はその抗高脂血症特性により知られる。より具体的には、フィブラート系薬剤は総コレステロールレベル及び低密度リポタンパク質結合コレステロール(LDLコレステロール)レベルの低下、並びに、トリグリセリド、特に超低密度リポタンパク質(VLDLトリグリセリド)結合トリグリセリドのより顕著な低下を誘導することにより、高コレステロール血症に作用する。
【0007】
一般的に、フィブラート系薬剤は、高コレステロール血症、混合脂血症(mixed lipidemia)、高グリセリド血症、冠状動脈性心臓病及び(症候的頚動脈疾患を含む)末梢血管疾患等の状態、並びに、膵臓炎の予防に使用する。また、フェノフィブラートは、血液中の高レベルのトリグリセリドにより生じる膵臓炎(膵臓の炎症)の進行の予防を補助可能である。フィブラート系薬剤は、腎不全の治療に有効であることが知られる(特許文献1)。フィブラート系薬剤は、脂質制御剤を一般的に使用する他の兆候にも使用可能である。
【0008】
フェノフィブラートは2−[4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ]−2−メチル−プロパン酸1−メチルエチルエステルとしても知られる脂質制御剤である。この化合物は水に不溶性である(非特許文献2及び3)。
【0009】
フェノフィブラートは、例えば、「フェノキシアルキルカルボン酸誘導体及びその調製」についての特許文献2、「フェノフィブラートの新規投与形態」についての特許文献3、「生物学的利用能の高いフェノフィブラート医薬組成物及びその調製方法」についての特許文献4及び5中に記載される。特許文献2は、フェノフィブラートを包含するフェノキシアルキルカルボン酸化合物のクラスについて記載する。
【0010】
様々な臨床研究により、総コレステロール(総C)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)及びアポリポタンパク質B(apoB)LDL膜複合体のレベルが高い場合には、人間のアテローム性動脈硬化症に関与することが実証された。同様に、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)及びその輸送複合体(アポリポタンパク質A(apoA2及びapoAII)のレベルが低い場合に、アテローム性動脈硬化症の進行に関与する。疫学調査により、人間の心血管罹患率及び死亡率は、総Cレベル、LDL−Cレベル及びトリグリセリドレベルに正比例し、かつ、HDL−Cレベルに反比例することが分かっている。
【0011】
フェノフィブラートの活性代謝産物であるフェノフィブリン酸は、治療した患者の総コレステロール、LDLコレステロール、アポリポタンパク質B、総トリグリセリド及びトリグリセリド高含有リポタンパク質(VLDL)を低下させる。また、フェノフィブラートによる治療は、高密度リポタンパク質(HDL)並びにアポリポタンパク質apoAI及びapoAIIを増加させる(非特許文献2)。
【0012】
フェノフィブラートは血液中のトリグリセリド(脂肪状物質)のレベルの低減に使用する。具体的には、フェノフィブラートは高レベルのLDL−C、総C、トリグリセリド及びApo−Bを低下させ、HDL−Cを増加させる。また、この薬は高グリセリド血症(血漿中における高レベルの超低密度リポタンパク質(VLDL)が特徴の疾患)を治療する補助的治療として承認されている。
【0013】
フェノフィブラートの作用機構は人間では明らかには確立されていない。フェノフィブラートの活性代謝産物であるフェノフィブリン酸は、おそらくはトリグリセリド合成阻害により循環血中に放出されるVLDLを低減することによって、かつ、トリグリセリド高含有リポタンパク質(すなわちVLDL)の異化を刺激することによって、血漿トリグリセリドレベルを低下させる。また、フェノフィブラートは、尿酸の尿中排泄を増加させることによって高尿酸血症患者及び健常人の血清尿酸レベルを低下させる。
【0014】
フェノフィブラートは、経口投与後の生物学的利用能が低い化合物であり、この特性はその低溶解性及び疎水性に起因する。更に、フェノフィブラートの生物学的利用能は、断食患者に投与する場合には、摂食患者に投与する場合よりも本質的に低い。生物学的利用能が改善され、かつ、摂食患者と断食患者との間で差異の小さいフェノフィブラートの医薬品形態の開発には非常に大きな努力が費やされた。例えば、特許文献3中には、高脂血症及び高コレステロール血症の経口治療に有用な、微粉化フェノフィブラートを含むゼラチンカプセル治療用組成物が記載されている。特許文献4は、微粉化フェノフィブラート及び少なくとも一種の不活性水溶性担体を含む即時放出式フェノフィブラート組成物についてのものである。特許文献5は、指定の溶解特性を有する微粉化フェノフィブラート組成物に関する。また、「安定フィブラート系薬剤微粒子」についての特許文献6中には、リン脂質を含む微粒子フェノフィブラート組成物について記載されている。「摂食−断食効果の小さい、フィブラート系薬剤とスタチンの併用」についての特許文献7中には、リン脂質及びヒドロキシメチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)還元酵素阻害剤又はスタチンを含む微粒子フェノフィブラート組成物について記載されている。「フェノフィブラートのナノ粒子調製物」についての特許文献8中には、ビタミンE TGPS(ビタミンEのポリエチレングリコール(PEG)誘導体)を含むフィブラート系薬剤組成物について記載されている。
【0015】
特許文献9中には、メトホルミンと、フェノフィブラート及びベザフィブラートから選択されるフィブラート系薬剤の、インシュリン非依存性糖尿病を治療するための併用について開示されている。この特許中において、フィブラート系薬剤及びメトホルミンの特定の調製物、並びに、フィブラート系薬剤及びメトホルミンの医薬調製物の特定の製造方法は開示されていない。
【特許文献1】米国特許第4,250,191号
【特許文献2】米国特許第3,907,792号
【特許文献3】米国特許第4,895,726号
【特許文献4】米国特許第6,074,670号
【特許文献5】米国特許第6,277,405号
【特許文献6】国際特許WO02/24192号
【特許文献7】国際特許WO02/067901号
【特許文献8】国際特許WO03/013474号
【特許文献9】ヨーロッパ特許第1,054,665号
【非特許文献1】Martindale,33rd Ed,pp332(2002)
【非特許文献2】The Physicians’Desk Reference,56th Ed.,pp.513−516(2002)
【非特許文献3】Martindale,33rd Ed,pp889(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、医薬品の開発に伴う一般的な課題、投与形態中に配合される個々の有効化合物に関連する具体的な課題、及び、有効物質の併用に伴う課題に対処する医薬組成物の提供である。
【0017】
この併用に伴う特定の課題とは、フェノフィブラートが生物薬剤学的問題を伴い、かつ、両有効成分の物理的及び化学的性質が異なるが、個々の有効化合物と、別々に投与した場合の個々の構成要素とを生物学的に確実に同等とすることである。
【0018】
本発明の別の目的は、本発明の組成物が実際に多量のメトホルミンを含むであろうにもかかわらず、投与に好適かつ患者に許容されるサイズのフィブラート系薬剤及びメトホルミンの調製物の取得である(メトホルミンは通常、850mgを1日1回若しくは2回、又は、500mgを1日3〜4回処方する)。この多量のメトホルミンを一医薬投与単位中に、メトホルミンより少量のフィブラート系薬剤と併用する(例えば、フェノフィブラートはTricor 160(登録商標)として1日1回200mg又は160mg処方する)。従来技術は、この併用においては、許容される生物学的利用性を維持するために多量の補形薬を伴うと教示している(例えば、米国特許第6,074,670号中に教示される)。
【0019】
本発明の更なる目的は、摂取を要する投与単位数(錠剤等)を減らすことによる、患者の高い服薬コンプライアンス(compliance)を増大させる調製物の取得である。II型糖尿病は、一種以上の有効物質を使用する治療を要する場合が多い。更に、II型糖尿病のうち、薬理学的な治療を更に要する場合が多い、インシュリン抵抗性に関連する他の障害(脂質代謝異常、高血圧症)の罹患率が高い。投与を要する有効物質が多量であるという観点(上記に記載)、及び、単一投与単位として患者に投与可能な医薬組成物の大部分には実施上制限があるという観点から、個々の投与単位が必然的に非常に大きくなるため、上記状況下における患者の服薬コンプライアンスは深刻な問題である。
【0020】
本発明の更なる目的は、フィブラート系薬剤及び/又はメトホルミンの生物学的利用能を損なう可能性のある、フィブラート系薬剤とメトホルミンとの間に生じうる相互作用の回避である。
【0021】
親水性の構成要素であるメトホルミン及び疎水性の構成要素であるフィブラート系薬剤の二つの有効構成要素の生物学的利用能(biodisponibility)は、一つの組成物の中において損なわれる可能性がある。疎水性のフィブラート系薬剤が存在すると、その溶解が遅いために生物学的利用能に影響が及び、メトホルミンの生物学的利用能が実際に損なわれる可能性がある。フェノフィブラートを含むフィブラート系薬剤は非水溶性が非常に大きいため、生物学的利用能が大きいか否かは疑わしい可能性がある。
【0022】
従って、本発明の更なる目的は、メトホルミン及びフィブラート系薬剤の両有効構成要素を含み、二つの構成要素の個々の生物学的利用能をメトホルミン単独又はフィブラート系薬剤単独で得られる場合と同等又はそれ以上に維持する医薬組成物の提供である。本発明の目的は、両物質が生物学的に同等であること、又は、単独療法の生物学的利用能よりも生物学的利用能が高いことを特徴とする調製物の取得である。
【0023】
本発明の別の目的は、上記目的を達成する医薬組成物の調製方法であって、少数の異なる段階により達成可能かつ安価な方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0024】
メトホルミンがフェノフィブラートの担体として作用し、かつ、上記メトホルミン及びフィブラート系薬剤の総量が組成物総重量の少なくとも50重量%であり、かつ、メトホルミンとフィブラート系薬剤との重量比が500:90〜850:35であり、かつ、メトホルミンとフィブラート系薬剤との重量比が500:90〜500:65である場合に上記組成物が必須補形薬として分散補助剤を含むような、メトホルミン粒子及びフィブラート系薬剤粒子を含む医薬組成物により、上記目的を達成可能であることが予想外にも分かった。
【0025】
本発明の好ましい一実施形態において、メトホルミンとフィブラート系薬剤との重量比は500:54〜850:65である。本発明の別の好ましい実施形態において、メトホルミンとフィブラート系薬剤との重量比は850:54〜850:35である。上記好ましい実施形態において、補形薬としての分散補助剤の存在は必須ではないが可能である。
【0026】
分散補助剤の添加により、本発明の組成物中に併用した二種の有効物質それぞれの生物学的利用能を単独療法用に調製した同物質の生物学的利用能と最低でも同等とすることが可能であり、かつ、この添加は、メトホルミンとフィブラート系薬剤との重量比が500:65以下である場合、両有効物質の生物学的同等性を達成するために必須であることが予想外にも分かった。
【0027】
本発明の好ましい一実施形態において、本発明の医薬組成物はフィブラート系薬剤及びメトホルミンを合わせて組成物総重量の約60重量%〜約98重量%、より好ましくは約70重量%〜約95重量%、更に好ましくは約74〜約90重量%、更により好ましくは約74〜約79重量%含む。
【0028】
従って本発明によれば、医薬組成物の調製において少量の補形薬を使用可能である。これにより、単独療法との、すなわちメトホルミンとフィブラート系薬剤を別々に投与した場合との生物学的同等性を維持したまま、組成物が投与に好適なサイズとなる。
【0029】
組成物の補形薬の量は組成物総重量の約1〜約50重量%、好ましくは約2〜約40重量%、より好ましくは約5〜約30重量%、更により好ましくは約10重量%〜約26重量%、特に好ましくは約21重量%〜約26重量%である。
【0030】
従って、本発明の好ましい医薬組成物は次のものを含む:
・フィブラート系薬剤及びメトホルミンを合わせて約50重量%〜約99重量%、好ましくは約60重量%〜約98重量%、好ましくは約70重量%〜約95重量%、最も好ましくは約74重量%〜約90重量%;並びに、
・医薬品に許容される補形薬を約1重量%〜約50重量%、好ましくは約2重量%〜約40重量%、好ましくは約5重量%〜約30重量%、最も好ましくは約10重量%〜約26重量%。
【0031】
本発明の組成物中のフィブラート系薬剤とメトホルミンの比率は、本発明の医薬組成物の摂取が1日1回以上であるか、又は、1日1回のみであるかによって異なるであろう。上記比率は、選択した特定のフィブラート系薬剤によっても異なるであろう。
【0032】
本発明の好ましい一実施形態は、フィブラート系薬剤とメトホルミンを500:54〜850:65の重量比で含み、組成物総重量が約800mg〜約1600mg、好ましくは約800mg〜約1300mgである1日2回投与用組成物である。
【0033】
本発明の別の好ましい実施形態は、フィブラート系薬剤とメトホルミンを850:54〜850:35の重量比で含み、組成物総重量が約1000mg〜約1600mg、好ましくは約1100mg〜約1300mgである1日2回投与用組成物である。
【0034】
本発明の別の好ましい実施形態は、フィブラート系薬剤とメトホルミンを500:90〜500:65の重量比で含み、組成物総重量が約600mg〜約1200mg、好ましくは約700mg〜約900mgである1日3回(1日3度)投与用組成物である。
【0035】
好ましくは、本発明の組成物は、メトホルミン粒子、フィブラート系薬剤、及び、組成物総重量の20%以下の分散補助剤からなる。
【0036】
フィブラート系薬剤(好ましくはフェノフィブラート)粒子、及び、メトホルミン粒子は、好適なバインダーにより互いに結合させることが可能である。フィブラート系薬剤粒子の平均粒子径はメトホルミン粒子の平均粒子径より小さいことが好ましいであろう。
【0037】
好ましくは、メトホルミン粒子及びフィブラート系薬剤(好ましくはフェノフィブラート)粒子は、メトホルミン粒子からなる顆粒を形成し、これにフィブラート系薬剤(フェノフィブラート)粒子が付着するであろう。従って、本発明の顆粒は、分離状態又は塊状のメトホルミン粒子、及び、上記メトホルミン粒子に付着するフィブラート系薬剤の粒子を含むことが好ましい。
【0038】
また、本発明は、本発明の医薬組成物の取得を可能とする顆粒の製造方法を提供する。
【0039】
また、本発明は、上記顆粒を含む医薬組成物の製造方法を提供する。
【0040】
更に、本発明の組成物は、摂取を要する錠剤の個数を減らすことによって患者の利便性を改善可能であり、これによって患者の服薬コンプライアンスを増大可能である。
【0041】
このことは重要である、というのは、患者の服薬コンプライアンスが低いと、薬を処方中の病状の悪化、すなわちフィブラート系薬剤で又はメトホルミンで治療した患者の服薬コンプライアンスが低いために心血管障害が認められる可能性があるからである。
【0042】
本発明の医薬組成物は、インシュリン非依存性糖尿病(又は2型糖尿病)、耐糖能異常を伴う脂質代謝異常、高脂血症、高コレステロール血症の治療、心血管疾患の予防、メタボリック症候群の治療及び予防、並びに、フィブラート系薬剤及びメトホルミンによる治療が望ましい任意の病気(肥満等)の治療又は予防に使用可能である。
【0043】
添付の図面を参照して本発明を以下により詳細に記載する。
図面の簡単な説明
図1は、試験物質(メトホルミンとフィブラート系薬剤の割合850:80(A,B)、850:54(C)、500:80(E,F)、500:54(D))及びフェノフィブラート80mg基準治療の溶解特性を示す。
【0044】
図2は、メトホルミンとフェノフィブラートの比率が500:80であり、分散補助剤を使用する場合(F)又は使用しない場合(E)の、組成物の溶解特性を示す。
【0045】
好ましい実施形態の詳細な記載
本発明の組成物は、メトホルミンがフェノフィブラートの担体として作用し、かつ、上記メトホルミン及びフィブラート系薬剤の総量が組成物総重量の少なくとも50重量%であり、かつ、メトホルミンとフィブラート系薬剤の重量比が500:90〜850:35であり、かつ、メトホルミンとフィブラート系薬剤の重量比が500:90〜500:65である場合に上記組成物が必須補形薬として分散補助剤を含むような、メトホルミン粒子及びフィブラート系薬剤粒子を含む医薬組成物を含む。
【0046】
有利には、フィブラート系薬剤は結晶状態、非晶質状態、半結晶状態又は半非晶質状態である。
【0047】
フィブラート系薬剤は、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート、ベザフィブラート、クロフィブラート、シプロフィブラート、ベクロフィブラート(beclofibrate)、ビニフィブラート(binifibrate)、シプロフィブラート(ciplofibrate)、クリノフィブラート、エトフィブラート(etofibrate)、ニコフィブラート(nicofibrate)、ピリフィブラート(pirifibrate)、ロニフィブラート(ronifibrate)、シンフィブラート(simfibrate)、テオフィブラート(theofibrate)、フィブリン酸誘導体(例えばフェノフィブリン酸又はクロフィブリン酸)、又は、上記フィブリン酸誘導体の医薬品に許容される塩若しくはエステルからなる群より選択可能である。
【0048】
フィブラート系薬剤はフェノフィブラート、フェノフィブリン酸(fenofibric acid)、又は、フェノフィブリン酸の医薬品に許容される塩若しくはエステルであることが好ましい。
【0049】
本発明の好ましい一実施形態において、フィブラート系薬剤はフェノフィブラートである。本明細書中において用語「フェノフィブラート」は、(2−[4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ]−2−メチル−プロパン酸1−メチルエチルエステル)又はその塩を意味する。
【0050】
フィブラート系薬剤の粒子径は小さくてよい。フィブラート系薬剤は、例えば微粉化又は界面活性剤と共微粉化されていてよい。両性、非イオン性、カチオン性又はアニオン性の任意の界面活性剤が好適である。上記界面活性剤の例としては次が挙げられる:ラウリル硫酸ナトリウム、モノオレイン酸塩、モノラウリン酸塩、モノパルミチン酸塩、モノステアリン酸塩、又は、ポリオキシエチレンソルビタンの別のエステル、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(DOSS;ドキュセート(docusate)ナトリウムとしても知られる)、レシチン、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、コレステロール、ポリオキシエチレンリシン油(polyoxyethylene ricin oil)、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド、ポロクサマー(poloxamer)、これらの混合物も好適である。好ましい界面活性剤は、ヨーロッパ特許EP0330532号中に記載のもの等の、フェノフィブラートと(共)微粉化可能なラウリル硫酸ナトリウムである。
【0051】
本発明の好ましい一実施形態において、フィブラート系薬剤粒子の平均粒子径は約20μm未満、好ましくは約10μm未満である。
【0052】
また、フィブラート系薬剤は、例えば粉砕、ホモジナイズ又は析出法により取得可能なナノ粒子の形状としてもよい。また、ナノ粒子組成物の製造方法は、「医薬物質の粉砕方法」についての米国特許第5,518,187号;「医薬物質の連続粉砕方法」についての米国特許第5,718,388号;「医薬物質の粉砕方法」についての米国特許第5,862,999号;「結晶成長調節剤によるナノ粒子状薬品の微小共析出」についての米国特許第5,665,331号;「結晶成長調節剤によるナノ粒子状薬品の微小共析出」についての米国特許第5,662,883号;「ナノ粒子状薬品の微小析出」についての米国特許第5,560,932号;「ナノ粒子を含むX線造影組成物の調製方法」についての米国特許第5,543,133号;「安定ナノ粒子薬の調製方法」についての米国特許第5,534,270号;「ナノ粒子を含む治療用組成物の調製方法」についての米国特許第5,510,118号;「凝集を低減するための荷電リン脂質を含むナノ粒子組成物の調製方法」についての米国特許第5,470,583号;及び、「ナノ粒子状フィブラート系薬剤調製物」についての米国特許出願2003/0224058号(上記の全てを本明細書中で参照する);中に記載されている。
【0053】
ナノ粒子状フィブラート系薬剤分散体は粉砕により取得可能である:例えばナノ粒子分散体取得のためのフィブラート系薬剤(好ましくはフェノフィブラート)の粉砕は、フィブラート系薬剤がほとんど溶解しない液体分散媒中においてフィブラート系薬剤粒子を分散させること、並びに、その後、粉砕媒体存在下において機械的手段の使用によりフィブラート系薬剤粒子径を所望有効平均粒子径まで小さくすることを含む。分散媒は、例えば水、ヒマワリ油、エタノール、t−ブタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ヘキサン又はグリコールであってよい。好ましい分散媒は水である。
【0054】
フィブラート系薬剤(好ましくはフェノフィブラート)粒子は、少なくとも一種の表面安定化剤の存在下でサイズを小さくすることができる。また、フィブラート系薬剤粒子は、摩擦後に一種以上の表面安定化剤と接触させることができる。希釈剤等の他の化合物を、サイズを小さくする過程においてフィブラート系薬剤/表面安定化剤組成物に添加可能である。分散体は連続的に又はバッチ式で製造可能である。一種以上の表面安定化剤を併用可能である。使用可能な有用な表面安定化剤には公知の有機及び無機の医薬補形薬が含まれるが、これらに限定されない。このような補形薬には様々なポリマー、低分子量オリゴマー、天然物質及び界面活性剤が含まれる。表面安定化剤には非イオン性、アニオン性、カチオン性、イオン性及び両性イオン性界面活性剤が含まれる。好適な表面安定化剤は米国特許出願2003/0224058号中に記載されるものであり、その含量は本明細書中で参照し、以下に記載する。
【0055】
所望のナノ粒子状フィブラート系薬剤(好ましくはフェノフィブラート)の別の形成方法は微小析出による方法である。これは、有毒溶媒又は可溶化重金属不純物を全く含有しない一種以上の表面安定化剤、及び、一種以上のコロイド安定性増強界面活性剤の存在下における、溶解性の低い有効薬剤の安定分散体の調製方法である。この方法は例えば以下を含む:(1)好適な溶媒中へのフィブラート系薬剤の溶解;(2)段階(1)で得た調製物の、少なくとも一種の表面安定化剤を含む溶液への添加;及び、(3)段階(2)で得た調製物の、適切な非溶媒の使用による析出。この方法の実施後、形成された塩が存在する場合に、従来の方法による分散体の透析又はろ過及び濃縮によって、これを完全に除去可能である。
【0056】
また、ナノ粒子状フィブラート系薬剤はホモジナイズにより取得可能である:ナノ粒子状有効薬剤組成物を調製する典型的なホモジナイズ法は、「ナノ粒子を含む治療用組成物の調製方法」についての米国特許第5,510,118号中に記載されている。この方法は、フィブラート系薬剤(好ましくはフェノフィブラート)粒子を液体分散媒中において分散させること、これに続いて、分散体のホモジナイズによりフィブラート系薬剤の粒子径を所望粒子径まで小さくすることを含む。フィブラート系薬剤粒子は、少なくとも一種の表面安定化剤の存在下でサイズを小さくすることが可能である。また、フィブラート系薬剤粒子は、摩擦前又は摩擦後に一種以上の表面安定化剤と接触させることができる。希釈剤等の他の化合物を、サイズを小さくする前に、その間に又はその後でフェノフィブラート/表面安定化剤組成物に添加可能である。分散体は連続的に又はバッチ式で製造可能である。
【0057】
本発明によれば、ナノ粒子状フィブラート系薬剤の平均粒子径は約2000nm未満、例えば約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満;好ましくは約1500nm未満、例えば約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満;好ましくは約1000nm未満、例えば約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満;好ましくは約500nm未満、例えば約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満;好ましくは約100nm未満、例えば約75nm未満又は約50nm未満である。
【0058】
本発明の顆粒を調製する際、メトホルミンは、遊離塩基として、又は、その医薬品に許容される酸付加塩、例えば塩酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、エンボナート(embonate)、クロロフェノキシ酢酸塩、グリコール酸塩、パルモエート(palmoate)、アスパラギン酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、パラクロロフェノキシイソブチレート、ギ酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、シクロヘキサンカルボン酸塩、ヘキサン酸塩、オクトノエート(octonoate)、デカン酸塩、ヘキサデカン酸塩、オクトデカノエート(octodecanoate)、ベンゼンスルホン酸塩、トリメトキシ安息香酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、アダマンタンカルボン酸塩、グリコキシレート(glycoxylate)、グルタミン酸塩、ピロリドンカルボン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、1−グルコースリン酸、硝酸塩、亜硫酸塩、ジチオン酸塩又はリン酸塩等の状態で使用可能である。
【0059】
上記塩のうち、塩酸塩、フマル酸塩、エンボナート及びクロロフェノキシ酢酸塩がより好ましく、塩酸塩が特に好ましい。
【0060】
有利には、メトホルミン粒子の平均サイズは50μm〜500μmである。
【0061】
本発明は、メトホルミン粒子及びフィブラート系薬剤粒子を含む医薬組成物であって、上記メトホルミン及びフィブラート系薬剤の総量が組成物総重量の少なくとも50重量%より多く、かつ、メトホルミンとフィブラート系薬剤との重量比が最も著しくは次の割合;500:80、500:54、850:80又は850:54;であり、かつ、上記重量比は本発明の機能に重大な影響を及ぼすほどその正確な比から離れていないことを特徴とする医薬組成物を提供する。
【0062】
最も好ましくは、上記組成物は、ヨーロッパ薬局方による動翼法(75rpm)での測定により、0.025Mラウリル硫酸ナトリウムを含む溶解媒中に、フィブラート系薬剤の少なくとも約70%が約15分以内で溶解し、フィブラート系薬剤の少なくとも約80%が約30分以内で溶解し、フィブラート系薬剤の少なくとも約85%が約45分以内で溶解する。
【0063】
メトホルミンとフィブラート系薬剤との比率が500:65未満(すなわち500:80)である場合についての実施例9及び10中に示すように、分散補助剤の非存在下における溶解特性は上記必要条件に適合しない。この溶解の改善には分散補助剤の添加が必要である。
【0064】
本発明の好ましい一実施形態によれば、分散補助剤の量は20重量%以下、好ましくは5重量%〜15重量%、最も好ましくは5重量%〜10重量%である。
【0065】
本発明の医薬組成物は一種以上の従来公知の補形薬を含んでよい。
【0066】
上記補形薬には、(a)表面安定化剤、(b)分散補助剤、(c)バインダー、(d)充填剤、(e)滑剤、(f)流動促進剤、(g)懸濁剤、(h)甘味料、(i)着香料、(j)防腐剤、(k)バッファー、(l)湿潤剤、(m)崩壊剤、(n)発泡剤、(o)保湿剤、(p)放出制御剤、(q)吸収促進剤、(r)吸着剤、(s)可塑剤が含まれる。
【0067】
a)表面安定化剤
本発明の範囲内で使用可能な表面安定化剤の例としては、ポリマー、低分子量オリゴマー、天然物質、並びに、非イオン性、アニオン性、カチオン性、イオン性及び両性イオン性界面活性剤を含む界面活性剤、並びに、これらの混合物が挙げられる。
【0068】
表面安定化剤の代表例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(現在ヒプロメロース(hypromellose)として知られる)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸塩、ゼラチン、カゼイン、レシチン(リン脂質)、デキストラン、アラビアゴム、コレステロール、トラガカントゴム、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール(cetomacrogol)乳化ワックス、ソルビタンエステル(例えばSpan(登録商標)80及びSpan(登録商標)20等の市販のSpan(登録商標))、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えばセトマクロゴール1000等のマクロゴールエーテル)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(ポリオキソル(polyoxol))(例えば市販のCremophor(登録商標))、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えばTween 20(登録商標)及びTween 80(登録商標)(ICI Speciality Chemicals社)等の市販のTween(登録商標);ポリエチレングリコール(例えばCarbowax3550(登録商標)及び934(登録商標)(ユニオン・カーバイド社))、ポリオキシエチレンステアリン酸塩、膠質二酸化ケイ素、リン酸塩、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロースフタル酸塩、非結晶セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンオキシド及びホルムアルデヒドを有する4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー(Tyloxapol(登録商標)、Superione(登録商標)及びTriton(登録商標)としても知られる)、ポロクサマー(例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合体であるPluronic F68(登録商標)及びF108(登録商標));ポロキサミン(poloxamine)(例えばTetronic 908(登録商標)、Poloxamine 908(登録商標)としても知られる、プロピレンオキシドとエチレンオキシドのエチレンジアミンへの連続添加による三官能基ブロック共重合体(BASFワイアンドット社、ニュージャージー州パーシッパニー));Tetronic 1508(登録商標)(T−1508)(BASFワイアンドット社);アルキルアリールポリエーテルスルホン酸塩であるTriton X−200(登録商標)(Rohm and Haas社);ステアリン酸スクロース及びジステアリン酸スクロースの混合物であるCrodestas F−110(登録商標)(クローダ社);Olin−10G(登録商標)又はSurfactant 10−G(登録商標)(Olin Chemicals社、コネチカット州スタンフォード)としても知られるp−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール);Crodestas SL−40(登録商標)(クローダ社);SA9OHCO(登録商標)(イーストマン・コダック社);デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシル β−D−グルコピラノシド;n−デシル β−D−マルトピラノシド;n−ドデシル β−D−グルコピラノシド;n−ドデシル β−D−マルトシド;ヘプタノイル−N−メチルグルカミド;n−ヘプチル β−D−グルコピラノシド;n−ヘプチル β−D−チオグルコシド;n−ヘキシル β−D−グルコピラノシド;ノナノイル−N−メチルグルカミド;n−ノニル β−D−グルコピラノシド;オクタノイル−N−メチルグルカミド;n−オクチル β−D−グルコピラノシド;オクチル β−D−チオグルコピラノシド;PEG−リン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE、リゾチーム、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのランダム共重合体等が含まれる。
【0069】
望ましい場合には、本発明のナノ粒子状フィブラート系薬剤組成物(好ましくはフェノフィブラート)組成物は、リン脂質を含まずに調製してもよい。
【0070】
有用なカチオン性表面安定化剤の例としては、ポリマー、生体高分子、多糖類、セルロース化合物、アルギン酸塩、リン脂質及び非ポリマー性化合物、例えば、両性イオン性安定化剤、ポリn−メチルピリジニウム、アントリル(anthryul)ピリジニウムクロリド、カチオン性リン脂質、キトサン、ポリリシン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン(polybrene)、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミドブロミド(PMMTMABr)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDMAB)及びポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルサルフェート等が含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
他の有用なカチオン性安定化剤としては、カチオン性脂質、スルホニウム、ホスホニウム及び四級アンモニウム化合物、例えば、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ヤシ油トリメチルアンモニウムクロリド又はブロミド、ヤシ油メチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド又はブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド又はブロミド、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド又はブロミド、ヤシ油ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド又はブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド又はブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ(ethenoxy))アンモニウムクロリド又はブロミド、N−アルキル(C12−18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジル(tetradecylidmethylbenzyl)アンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライド、アルキル−トリメチルアンモニウム塩及びジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシ化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩及び/又はエトキシ化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム、クロリド一水和物、N−アルキル(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド及びドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12、C15、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド(ALIQUAT(登録商標)336)、POLYQUAT(登録商標)10、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル(脂肪酸のコリンエステル等)、塩化ベンザルコニウム、ステアラルコニウムクロリド化合物(ステアリルトリモニウムクロリド及びジステアリルジモニウムクロリド等)、セチルピリジニウムブロミド又はクロリド、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAPOL(登録商標)及びALKAQUAT(登録商標)(Alkaril Chemical社)、アルキルピリジニウム塩等;アルキルアミン、ジアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリエチレンポリアミン、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート及びビニルピリジン等のアミン、ラウリルアミン酢酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、アルキルピリジニウム塩及びアルキルイミダゾリウム塩等のアミン塩、並びに、アミンオキシド;イミドアゾリニウム(imide azolinium)塩;プロトン化四級化アクリルアミド;ポリ[ジアリルジメチルアンモニウムクロリド]及びポリ−[N−メチルビニルピリジニウムクロリド]等のメチル化四級ポリマー;並びに、カチオン性グアーガムが含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
上記典型的なカチオン性表面安定化剤及び他の有用なカチオン性表面安定化剤は文献(J.Cross and E.Singer,Cationic Surfactants:Analytical and Biological Evaluation(Marcel Dekker,1994);P.and D.Rubingh(Editor),Cationic Surfactants:Physical Chemistry (Marcel Dekker,1991);及び、J.Richmond,Cationic Surfactants:Organic Chemistry,(Marcel Dekker,1990))中に記載されている。
【0073】
本発明の範囲内で使用する特に好ましい表面安定化剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウム(ドキュセートナトリウム、DOSS)及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。
【0074】
b)分散補助剤
本発明の範囲内で使用可能な分散補助剤の例としては、ラクトース及びラクトース一水和物、ブドウ糖、デキストレート(dextrate)、スクロース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、クロスポビドン、ポリプラスドン(polyplasdone)、クロスカルメロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グアーガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ポラクリリン(polacrilin)ナトリウム、ポラクリリンカリウム、粉末セルロース、糊化デンプン、デンプンが含まれる。
【0075】
着目すべきことに、製剤学における従来技術中で、特定の補形薬は、正確な使用状況に応じて、特に使用量に応じて異なる作用を有する可能性があることが知られている。特に、本発明の分散補助剤のいくつかは、組成物総重量の20重量%より多く使用する場合に増量剤として知られ、また、本発明の分散補助剤のいくつかは、組成物総重量の5重量%未満で使用する場合に崩壊剤として知られる。本発明の範囲内で分散補助剤として使用する種は、組成物総重量の5重量%以上かつ20重量%以下で使用する。
【0076】
c)バインダー
本発明の範囲内で使用するバインダーの例としては、アラビアゴム、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシエチルセルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、硬化植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、液状グルコース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン、糊化デンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプン、キサンタンガム、トラガカントゴム、ゼイン、及び、これらの混合物が含まれる。
【0077】
メトホルミンの圧縮性を改善可能な任意のバインダー、例えば糊化デンプン、グルコース又はスクロース等を使用可能である。
【0078】
本発明の特に好ましい一実施形態において、バインダーは、ポビドン及び/又はヒドロキシプロピル(メチル)セルロースから選択される。
【0079】
d)充填剤
本発明の範囲内で使用可能な充填剤の例としては、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、スクロース、デキストレート、デキストリン、リン酸カルシウム、グリセリルパルミトステアレート(glyceryl palmitostearate)、硬化植物油、カオリン、ラクトース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、結晶セルロース、ケイ化結晶セルロース、ポリメタクリレート、塩化カリウム、粉末セルロース、糊化デンプン、塩化ナトリウム、ソルビトール、デンプン、タルク及びリン酸カルシウム、並びに、これらの混合物が含まれる。
【0080】
e)滑剤
本発明の範囲内で使用可能な滑沢剤(滑剤)の例としては、ステアリン酸カルシウム、グリセリルモノステアレート、グリセリルパルミトステアレート、硬化ヒマシ油、硬化植物油、軽油、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム(sodium stearyl fumarate)、ステアリン酸、タルク及びステアリン酸亜鉛、並びに、 これらの混合物が含まれる。
【0081】
f)流動促進剤
本発明の範囲内で使用可能な流動促進剤の例としては、膠質二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルク及びリン酸カルシウム、並びに、これらの混合物が含まれる。
【0082】
g)懸濁剤
本発明の範囲内で使用可能な懸濁剤の例としては、アラビアゴム、寒天、カラギーナン、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、デンプン、トラガカントゴム、キサンタンガム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、結晶セルロース、セルロース分散体、プロピレングリコールアルギン酸塩、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、カルボマー、膠質無水ケイ酸、ポリビニルアルコール、ポビドン及びゼラチンが含まれる。
【0083】
h)甘味料
本発明の範囲内で使用可能な甘味料の例としては、任意の天然又は人工甘味料、例えば、スクロース、ブドウ糖、グリセリン、ラクトース、液状グルコース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、及び、これらの混合物が含まれる。
【0084】
i)着香料
本発明の範囲内で使用可能な着香料の例としては、エチルマルトール(ethyl maltol)、エチルバニリン、フマル酸、リンゴ酸、マルトール、メントール、バニリン、Magnasweet(MAFCO社の商標)、バブルガム風味及び果物風味、並びに、これらの混合物が含まれる。
【0085】
j)防腐剤
本発明の範囲内で使用可能な防腐剤の例としては、アルコール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブロノポール、ブチルパラベン、セトリミド、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロルクレゾール、クレゾール、エチルパラベン、グリセリン、イミド尿素(imidurea)、メチルパラベン、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、プロピレングリコール、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸及びチオマーサル(thiomersal)が含まれる。
【0086】
(k)バッファー
本発明の範囲内で使用可能なバッファーの例としては、リン酸塩、重炭酸塩、トリス−ヒドロキシメチルエチルアミン、グリシン、ホウ酸塩、クエン酸塩が含まれる。
【0087】
(l)湿潤剤
本発明の範囲内で使用可能な湿潤剤の例としては、セチルアルコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ポロクサマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸誘導体、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリンが含まれる。
【0088】
(m)崩壊剤
本発明の範囲内で使用可能な崩壊剤の例としては、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、膠質二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、結晶セルロース、ポラクリリンナトリウム、粉末セルロース、糊化デンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、及び、これらの混合物が含まれる。
【0089】
(n)発泡剤
本発明の範囲内で使用可能な発泡剤の例としては、有機酸及び炭酸塩又は重炭酸塩等の発泡剤対が含まれる。好適な有機酸には、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸及びアルギン酸、並びに、これらの無水物及び酸性塩が含まれる。好適な炭酸塩及び重炭酸塩には、例えば炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、グリシン炭酸ナトリウム(sodium glycine carbonate)、L−リジン炭酸塩及びアルギニン炭酸塩が含まれる。また、発泡剤対は構成要素である重炭酸ナトリウムのみでもよい。
【0090】
(o)保湿剤
本発明の範囲内で使用可能な保湿剤の例としてはグリセリンを挙げることができる。
【0091】
(p)放出制御剤
本発明の範囲内で、徐放、遅延、変更等の放出制御に使用可能な放出制御剤の例としては、アルギン酸、脂肪族ポリエステル、ベントナイト、カルボマー、カラギーナン、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、セラトニア(ceratonia)、カルナバワックス、キトサン、エチルセルロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、ポリメタクリレート、ポビドン、キサンタンガム、黄ろうが含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
(q)吸収促進剤
本発明の範囲内で使用可能な吸収促進剤の例としては四級アンモニウム化合物を挙げることができる。
【0093】
(r)吸着剤
本発明の範囲内で使用可能な吸着剤の例としてはカオリン及びベントナイトを挙げることができる。
【0094】
(s)可塑剤
本発明の範囲内で使用可能な可塑剤の例としては、アセチルトリブチルクエン酸塩、アセチルトリエチルクエン酸塩、安息香酸ベンジル、クロロブタノール、デキストリン、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、マンニトール、パルミチン酸、ポリエチレングリコール、酢酸フタル酸ポリビニル(polyvinyl acetate phthalate)、プロピレングリコール、ソルビトール、ステアリン酸、トリアセチン、クエン酸トリブチル、トリエタノールアミン、クエン酸トリエチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
本発明の一実施形態において、本発明の補形薬は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、クロスポビドン、グアーガム及びキサンタンガム、ポリエチレングリコール、セルロース、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、アラビアゴム、トラガカントゴム、ポリエチレンオキシド、ステアリン酸マグネシウム、膠質二酸化ケイ素、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、及び、これらの混合物からなる群より選択可能である。
【0096】
本発明の組成物は、経口的、直腸内、眼内、非経口的(例えば静脈内、筋肉内又は皮下)、槽内、肺内、膣内、腹膜内、部分的(例えば粉末、軟膏又は滴剤)投与、又は、口腔用若しくは鼻腔用スプレーを含む(これらに限定されない)任意の従来手段で患者に投与可能である。本明細書中において、用語「患者」は、人間又は人間以外を含む動物、好ましくは哺乳動物に使用する。用語「病人」及び「患者」は同義的に使用できる。
【0097】
本発明の好ましい投与形態は固体の投与形態であるが、医薬品に許容される任意の投与形態を使用できる。典型的な固体の投与形態には錠剤、カプセル、サッシェ、トローチ剤、粉末、丸薬又は顆粒が含まれるがこれらに限定されず、また、固体の投与形態は例えば急速溶解式投与形態、チュアブル式形態、放出制御式投与形態、凍結乾燥式投与形態、放出遅延式投与形態、放出延長式投与形態、拍動式投与形態、急速放出及び放出制御混合投与形態、又は、これらの併用が可能である。錠剤又はカプセル等の固体の投与形態が好ましい。
【0098】
経口投与用の液体の投与形態は、医薬品に許容されるエマルション、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤を含む。液体の投与形態、水又は他の溶媒等の従来技術において一般に使用される不活性希釈剤、可溶化剤及び乳化剤を含んでもよい。典型的な乳化剤は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油等の油、グリセリン、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステル、又は、これらの物質の混合物等である。上記不活性希釈剤の他に、上記組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤等の佐剤、甘味料、着香料及び香料も含んでよい。
【0099】
本発明の組成物中のフィブラート系薬剤及びメトホルミンの有効量は、血糖又は血中脂質に関する障害又は疾患の治療又は予防有効量であろう。
【0100】
本明細書中において「有効量」は、患者に投与する投与量又は有効量を意味し、患者への投与頻度は、既知の技術を使用し、かつ、類似状況下における結果を観察することにより、当業者は容易に決定可能である。患者に投与する投与量又は有効量、及び、患者への投与頻度は、既知の技術を使用し、かつ、類似状況下における結果を観察することにより、当業者は容易に決定可能である。有効量又は投与量を決定する際、従事する診断医は、使用する化合物の作用の効能及び持続時間、治療する病気の性質及び重度、治療する患者の性別、年齢、体重、全身の健康状態及び反応性の個人差、並びに、関連する他の条件を含む(これらに限定されない)多くの要因を考慮する。
【0101】
フィブラート系薬剤がフェノフィブラートである一実施形態において、フェノフィブラートの量は好ましくは約10〜300mg、より好ましくは40〜160mg、更に好ましくは40〜90mgから選択される。
【0102】
更なる実施形態において、フィブラート系薬剤がフェノフィブラートである場合、本発明の組成物は、Tricor(登録商標)160としてフェノフィブラート160mg又はこのTricor(登録商標)160調製物と生物学的に同等の投与量等、一日投与量のフェノフィブラートを含む。
【0103】
メトホルミン又はその医薬品に許容される塩の一種の量は、約100mg〜2000mg、好ましくは200mg〜1500mg、更に好ましくは約500mg〜1000mgの範囲から選択可能である。
【0104】
本発明の医薬組成物は、上記組成物の摂取が1日1回であるのか1日2回以上であるのかに応じて、例えばメトホルミン850mg及びフェノフィブラート80mg;メトホルミン850mg及びフェノフィブラート54mg;メトホルミン500mg及びフェノフィブラート80mg;メトホルミン500mg及びフェノフィブラート54mg;メトホルミン500mg及びフェノフィブラート40mg;又は、メトホルミン2000mg及びフェノフィブラート160mg、メトホルミン500mg及びフェノフィブラート45mg、メトホルミン500mg及びフェノフィブラート71mg、メトホルミン850mg及びフェノフィブラート71mg、メトホルミン850mg及びフェノフィブラート145mg、メトホルミン1600mg及びフェノフィブラート145mgを含んでもよい。
【0105】
メトホルミン−フィブラート系薬剤を併用したサイズを最小にして医薬組成物を経口投与に好適なサイズとするために、単独投与用の有効化合物と同等の生物学的同等性を維持したままで組成物の総薬剤含量を減らすことが可能である。例えば、本発明の組成物は、フェノフィブラート150mg又は70mg及びそれぞれに対してメトホルミン1400又は700mgを含み、かつ、フェノフィブラート160mg又は80mg及びメトホルミン1500mg又は850mgを含む組成物との生物学的同等性を維持可能である。
【0106】
本発明の別の実施形態において、上記組成物は、例えば有効物質含有量の少ない、放出遅延式調製物であってよい。別のメトホルミンの徐放性調製物は、米国特許第6,475,521号、米国特許第5,972,389号、ヨーロッパ特許第1,335,708号等のいくつかの特許中に記載される。
【0107】
本発明の好ましい一実施形態において、上記組成物が1日1回投与用の錠剤である場合、フェノフィブラートの量は160〜130mgであり、錠剤の重量は1200mg〜2000mg、より好ましくは1200mg〜1700mg、更に好ましくは1400mg〜1500mgであってよい。
【0108】
本発明の別の好ましい一実施形態において、上記組成物が1日2回投与用の錠剤である場合、フェノフィブラートの量は65〜80mgであり、錠剤の重量は800mg〜1600mg、より好ましくは800mg〜1300mg、更に好ましくは1100mg〜1300mgであってよい。
【0109】
本発明の別の好ましい一実施形態において、上記組成物が1日3回投与用の錠剤である場合、フェノフィブラートの量は40〜54mgであり、錠剤の重量は600mg〜1200mg、より好ましくは700mg〜900mg、更に好ましくは700mg〜800mgであってよい。
【0110】
本発明の別の好ましい一実施形態において、上記組成物が1日4回投与用の錠剤である場合、錠剤の重量は500mg〜1000mg、より好ましくは600mg〜900mg、更に好ましくは650mg〜750mgであってよい。
【0111】
本発明は、本発明の組成物を投与した場合と各構成要素を個々に同時投与した場合とで薬剤吸収量又は薬剤吸収率に実質上差異がないという意味で、人間に投与した場合にフィブラート系薬剤及びメトホルミンの薬物動態学的特性が本質的に影響されない組成物を提供する。
【0112】
また、本発明は、投与時に、フィブラート系薬剤又はメトホルミンのいずれかを含む組成物を同時処方した場合と生物学的に同等である上記組成物を包含する。「生物学的同等性」は、USFDA規定ガイドラインにおいてCmax及びAUCの両方について90%信頼区間(CI)0.80〜1.25で、又は、ヨーロッパEMEA規定ガイドラインにおいてAUCについて90%CIが0.80〜1.25かつCmaxについて90%CIが0.70〜1.43で確立する。
【0113】
メトホルミンとフィブラート系薬剤の比率が500:65より小さい場合(すなわち500:80)、溶解及び生物学的同等性の必要条件を満たすためには、補形薬の含有量が少ない組成物は少量の分散補助剤を含む必要があることが予想外にも分かった。
【0114】
本発明の一実施形態において、本発明の組成物は特定の溶解特性を示す。迅速な溶解により一般的に作用が迅速に開始して生物学的利用能が大きくなるため、投与した有効薬剤は迅速に溶解されることが好ましい。フィブラート系薬剤、特にフェノフィブラートの溶解特性及び生物学的利用能を改善するためには、薬の溶解を増大させて100%に近いレベルにまですることが有用であろう。
【0115】
本発明の組成物は、フィブラート系薬剤(好ましくはフェノフィブラート)の少なくとも約70%が約15分以内で溶解するという溶解特性を有することが好ましい。本発明の更に別の実施形態において、フィブラート系薬剤(好ましくはフェノフィブラート)の少なくとも約80%が約30分以内に溶解することが好ましい。本発明の別の実施形態において、フィブラート系薬剤(好ましくはフェノフィブラート)の少なくとも約85%が約45分以内に溶解することが好ましい。
【0116】
溶解は識別用の媒体中で一般的に測定する。このような溶解媒体は、胃液中での溶解特性が顕著に異なる二種の物質について顕著に異なる2つの溶解曲線を与えるであろう;すなわち、溶解媒体により組成物のin vivoにおける溶解を予測する。典型的な溶解媒体は、界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウムを0.025M含む水性媒体である。溶解量の決定は分光測光法により実施可能である。ヨーロッパ薬局方による動翼法(75rpm)により溶解を測定可能である。
【0117】
本発明の医薬組成物は、インシュリン非依存性糖尿病(又は2型糖尿病)、(任意に耐糖能異常を伴う)脂質代謝異常、高脂血症、高コレステロール血症又は関連する状態の治療、心血管疾患、冠状動脈性心臓病及び(症候的頚動脈疾患を含む)末梢血管疾患の予防、メタボリック症候群の治療及び予防、並びに、フィブラート系薬剤及びメトホルミンによる治療が望ましい任意の病気(肥満等)の治療又は予防に使用可能である。
【0118】
また、本発明の医薬組成物は、原発性高コレステロール血症又は混合脂質代謝異常(フレデリクソン分類IIa型及びIIb型)の成人患者の治療において、食生活の調整と併せて、LDL−Cレベル、総Cレベル、トリグリセリドレベル及びApoBレベルを低減するために使用可能である。また、これらの組成物は、食生活の調整と併せて、高グリセリド血症(フレデリクソン分類IV型及びV型の高脂血症)の成人患者の治療にも使用可能である。血清トリグリセリドが顕著に上昇すると(例えば>2000mg/dL)、膵臓炎進行の危険性が実際に増大する可能性がある。
【0119】
従って、本発明は、上記疾患、障害又は状態の治療又は予防方法であって、治療又は予防を要する患者への上記医薬組成物の投与を含む方法も提供する。
【0120】
本発明の組成物は、PPARγ活性化剤、HMG CoA還元酵素阻害剤及び抗高血圧剤からなる群より選択される一種以上の有効物質を更に含んでもよい、又は、これらと併用投与してもよい。
【0121】
PPARγ活性化剤の例としては、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、シグリタゾン(ciglitazone)、エングリタゾン(englitazone)、ダルグリタゾン(darglitazone)等のチアゾリジンジオン化合物、並びに、これらの類似体及び誘導体及び医薬品に許容される塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0122】
HMG CoA還元酵素阻害剤(又はスタチン)の例としては、ロバスタチン;プラバスタチン;シムバスタチン(simavastatin)(Zocor(登録商標));ベロスタチン(velostatin);米国特許第4,647,576号中に開示されるもの等のアトルバスタチン(Lipitor(登録商標)及び他の6−[2−(置換ピロール−1−イル)アルキル]ピラン−2−オン及び誘導体;フルバスタチン(Lescol(登録商標));フルインドスタチン(fluindostatin)(Sandoz XU−62−320);国際特許WO86/03488号中に開示されるもの等のメバロノラクトン(mevalonolactone)誘導体のピラゾール類似体;ヨーロッパ特許第491226A号中に開示されるもの等のリバスタチン(rivastatin)及び他のピリジルジヒドロキシヘプテン酸;ジクロロ酢酸;国際特許WO86/07054号中に開示されるもの等のメバロノラクトンのイミダゾール類似体;フランス特許第2,596,393号中に開示されるもの等の3−カルボキシ−2−ヒドロキシ−プロパン−ホスホン酸誘導体;ヨーロッパ特許出願第0221025号中に開示されるもの等の2,3−二置換ピロール、フラン及びチオフェン誘導体;米国特許第4,686,237号中に開示されるもの等のメバロノラクトンのナフチル類似体;米国特許第4,499,289号中に開示されるもの等のオクタヒドロナフタレン;ヨーロッパ特許出願第0,142,146A2号中に開示されるもの等のメビノリン(mevinolin)のケト類似体(ロバスタチン);ホスフィン酸化合物;並びに、他のHMG CoA還元酵素阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0123】
抗高血圧剤の例としては、利尿薬(「利尿剤」)、βブロッカー、αブロッカー、α−βブロッカー、交感神経阻害剤、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬、アンギオテンシン受容体ブロッカーが含まれるが、これらに限定されない。
【0124】
本発明の好ましい実施形態は、メトホルミン粒子及びフィブラート系薬剤粒子と医薬品に許容される少なくとも一種の担体、佐剤又は他の補形薬とを含むことを特徴とする医薬組成物を含み、上記担体、佐剤又は他の補形薬は本発明の範囲内において有効物質としての直接的な薬学的効果を有さないと考えられる。メトホルミン及びフィブラート系薬剤以外の第三の又は二次的な有効物質の存在は本発明中において除外されないが、本発明の組成物はメトホルミン及び一つのフィブラート系薬剤を二種の単独の有効物質として含むことが好ましいであろう。従って、本発明の好ましい組成物は、本質的にメトホルミンとフィブラート系薬剤のみからなり、上記組成物中の他の要素は、本質的な薬学的活性を有さず、本発明の機能においてメトホルミン+フィブラート系薬剤の併用物の作用特性を著しく変化させない補形薬であろう。
【0125】
また、本発明は、上記メトホルミン粒子及びフィブラート系薬剤粒子を含む顆粒からなる医薬組成物の調製方法であって、上記メトホルミンはフィブラート系薬剤の担体として作用することを特徴とする方法にも関する。好ましくは、本発明の顆粒はメトホルミン粒子からなり、これにフェノフィブラート粒子が付着する。従って、本発明の顆粒は、分離状態又は塊状のメトホルミン粒子、及び、上記メトホルミン粒子に付着するフィブラート系薬剤の粒子を含むことが好ましい。
【0126】
本発明の好ましい方法により、メトホルミン粒子及びフィブラート系薬剤粒子を含む顆粒を製造可能である。これらの方法には、フィブラート系薬剤の水性分散体をメトホルミンの流動層上にスプレーする流動層造粒法、高剪断造粒法及び「ワンポット」造粒法が含まれる。
【0127】
本発明の好ましい実施形態において、上記顆粒の調製方法は次の段階を含む流動層造粒法である:
a)フィブラート系薬剤の水性分散体を、好ましくは少なくとも一種の分散補助剤、少なくとも一種のバインダー及び/又は表面安定化剤の存在下で、調製する段階;
b)得た分散体をメトホルミンの流動層上にスプレーし、顆粒を得る段階;
c)得た顆粒を乾燥させる段階。
【0128】
この方法の一実施形態によれば、段階a)中で調製した分散体は、例えば放出制御遮断剤、界面活性剤(又は乳化剤)及び/又は可塑剤等の一種以上の添加物を更に含んでよい。
【0129】
この方法の別の実施形態によれば、段階a)中の分散体は、例えば米国特許出願2003/0224058号中に記載される方法で取得可能なフィブラート系薬剤、好ましくはナノ粒子状フェノフィブラート分散体から調製する。
【0130】
別の好ましい実施形態において、顆粒の調製方法は次の段階を含む高剪断造粒法である:
a)メトホルミン、フィブラート系薬剤及び任意に分散補助剤の混合物を、好ましくは少なくとも一種のバインダー及び/又は表面安定化剤の存在下で、高剪断に供する段階;
b)高剪断化混合物に水を添加して顆粒を得る段階;
c)得た顆粒を流動層乾燥機中で乾燥させる段階。
【0131】
この方法の一実施形態によれば、放出制御遮断剤をメトホルミン及びフィブラート系薬剤の混合物に段階a)中で添加し、更に界面活性剤(乳化剤)及び/又は可塑剤を段階b)中で添加する。
【0132】
本発明の更に別の好ましい実施形態において、顆粒の調製方法は次の段階を含む「ワンポット」造粒法である:
a)メトホルミン、フィブラート系薬剤及び任意には少なくとも一種の分散補助剤の混合物を、好ましくは少なくとも一種のバインダー及び/又は表面安定化剤の存在下で、高剪断に供する段階;
b)高剪断化混合物に水を添加して顆粒を得る段階;
c)得た顆粒を「ワンポット」系中で乾燥させる段階。
【0133】
「ワンポット」系中での乾燥段階は、乾燥ガスを顆粒層に通過させ、例えば、外部ジャケットを通して、マイクロ波放射により、又は、これら二種以上の方法の併用により、ここに熱を加えることによって実施する。
【0134】
予想外にも、高剪断造粒法及び「ワンポット」造粒法はいずれも、流動層造粒法で製造した組成物と類似する組成物を製造可能であることが分かった。高剪断造粒により、比較的短い処理時間で処理可能である。「ワンポット」造粒法により、比較的短い処理時間で処理可能であり、かつ、物質の製造に要する処理段階の数を減らすことが可能である。
【0135】
本発明の更に別の実施形態において、医薬組成物を、a)好適な補形薬、及び、任意に、PPARγ活性剤、HMG CoA還元酵素阻害剤及び抗高血圧剤からなる群より選択される一種以上の有効物質の上記顆粒への添加、並びに、b)得た混合物又は配合物の所望の組成物への調製を含む方法により調製可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0136】
本発明のいくつかの典型的な錠剤調製物を以下に示す。これらの例示は請求項を何ら制限するものではなく、本発明の典型的な錠剤調製物を提供するものである。このような典型的な錠剤は被覆剤を更に含んでもよい。
【0137】
これらの例示の錠剤は、経口投与に好適である、すなわち容易に嚥下可能である。例示の850mg/80mgの投与形態又は850mg/71mgの放出制御投与形態の重量は、約1080〜1440gである。
【0138】
これらの例示中、薬剤総含量は錠剤総重量の約60〜90重量%である。
【0139】
上記記載及び次の例示はいずれも典型的かつ説明的なものであって、請求される本発明について更に説明するものである。本発明の記載及び例示から当業者には他の目的、利点及び新規特徴が容易に明白となるであろう。
【実施例1】
【0140】
<流動層造粒(方法A)による医薬組成物の製造>
フェノフィブラート及びメトホルミンを含む医薬組成物を以下のように調製した:
1.水、ポビドン及び(ラウリル硫酸ナトリウムと共に微粉化して平均粒子径約8μmである)フェノフィブラートを共に撹拌して分散体Aを形成する。
2.(平均粒子径125μm〜250μmの)メトホルミンを流動層造粒機のボウルに入れ、空気と共に60℃〜70℃で流体化する。
3.分散体Aをメトホルミンの流動層上にスプレーして造粒する。
4.顆粒を乾燥させる。
5.顆粒を1mmのふるいでふるう。
6.結晶セルロース、クロスポビドン、膠質二酸化ケイ素及びステアリン酸マグネシウムを顆粒に添加して混合する。
7.任意に、この配合物を圧縮して錠剤としてもよい。この錠剤を被覆してもよい。また、配合物をカプセル中に入れてもよい。
【実施例2】
【0141】
<高剪断造粒(方法B)による医薬組成物の製造>
フェノフィブラート及びメトホルミンを含む医薬組成物を以下のように調製した:
1.ポビドン、(ラウリル硫酸ナトリウムと共に微粉化して平均粒子径約8μmである)フェノフィブラート及び(平均粒子径125μm〜250μmの)メトホルミンを共に撹拌して、高剪断に供する。
2.この混合物に水を添加して造粒する。
3.得た顆粒を流動層乾燥機に移して乾燥させる。
4.乾燥させた顆粒を1mmのふるいでふるう。
5.結晶セルロース、クロスポビドン、膠質二酸化ケイ素及びステアリン酸マグネシウムを顆粒に添加して混合する。
6.任意に、この配合物を圧縮して錠剤としてもよい。この錠剤を被覆してもよい。
【実施例3】
【0142】
<「ワンポット」造粒(方法C)による併用物の製造>
フェノフィブラート及びメトホルミンを含む医薬組成物を以下のように調製した:
1.ポビドン、(ラウリル硫酸ナトリウムと共に微粉化して平均粒子径約8μmである)フェノフィブラート及び(平均粒子径125μm〜250μmの)メトホルミンを共に撹拌して、高剪断に供する。
2.この混合物に水を添加して造粒する。
3.乾燥ガスを顆粒層に通過させ、例えば外部ジャケットを通して、マイクロ波放射により、又は、これら二種以上の方法の併用によりここに熱を加えることにより、得た顆粒を「ワンポット」系中で乾燥させる。
4.顆粒を1mmのふるいでふるう。
5.結晶セルロース、クロスポビドン、膠質二酸化ケイ素及びステアリン酸マグネシウムを顆粒に添加して混合する。
6.任意に、この配合物を圧縮して錠剤としてもよい。この錠剤を被覆してもよい。
【実施例4】
【0143】
<組成物A>
次の組成の錠剤を方法Aで調製した。
【0144】
【表1】

【実施例5】
【0145】
<組成物B>
次の組成の錠剤を方法Bで調製した。
【0146】
【表2】

【実施例6】
【0147】
<組成物C>
次の組成の錠剤を方法Bで調製した。
【0148】
【表3】

【実施例7】
【0149】
<組成物D>
次の組成の錠剤を方法Bで調製した。
【0150】
【表4】

【実施例8】
【0151】
<組成物E>
次の組成の錠剤を方法Bで調製した。
【0152】
【表5】

【0153】
フェノフィブラート単独療法に対する、及び、メトホルミン単独療法に対するこれらの組成物(組成物A、B、C、D及びE)の放出特性を測定した。フェノフィブラート及びメトホルミンの生物学的同等性についても調べた。
【0154】
結果を下記表中に示し、次の略語を使用する。
AUC:薬剤濃度時間曲線下の領域
max:最大濃度(μg/ml)
CI:信頼区間
【実施例9】
【0155】
<フェノフィブラート及びメトホルミンの生物学的同等性の分析>
【0156】
【表6】

【実施例10】
【0157】
<溶解特性>
本実施例は本発明の組成物の溶解の評価を目的とした。
【0158】
実施例4〜8中で詳述する配合で実施例1及び2中で詳述するように調製したメトホルミン及びフェノフィブラート錠剤の溶解を、溶解媒体中で試験した。
【0159】
溶解媒体は、界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウムを0.025M含む水性媒体を使用した。溶解量の測定はHPLCにより実施し、試験は12回繰り返した。動翼法(ヨーロッパ薬局)は下記条件下で実施した。
媒体体積:1000ml;
媒体温度:37℃;
翼回転速度:75rpm;
サンプル取得:5、15、30、45及び60分。
【0160】
組成物A、B、C及びDについて製造した全バッチについての溶解データを下記表中に示す。
【0161】
【表7】

【0162】
メトホルミンの溶解特性はここでは報告していない。全バッチについて、メトホルミンは15分以内で100%溶解する。5分後には、メトホルミンは56.9%〜100%溶解する。
【0163】
観察から分かるように、組成物Eは他の組成物より溶解が遅く、その結果組成物Eは生物学的同等性についての必要条件を満たさない(実施例10:Cmax 0.845〜1.064)。この組成物(メトホルミンとフェノフィブラートの比率:500:80)の溶解を改善するため、更に下記実施例で示す別の配合を設計した。
【0164】
「生物学的利用能が高いフェノフィブラート医薬組成物及びその調製方法」についての米国特許第6,277,405号は、溶解特性が5分で少なくとも10%、10分で20%、20分で50%、30分で75%である微粉化フェノフィブラート組成物を提供する。
【0165】
上記結果(組成物A、B、C、D)は、本発明の組成物の溶解特性は米国6,277,405号の組成物の溶解特性と最低でも同等に迅速であることを示す。
【0166】
実施例9中に示すように、本発明の組成物(A、B、C、D)のフィブラート系薬剤及びメトホルミンの薬物動態学的パラメータは、メトホルミン又はフィブラート系薬剤を単一の組成物として人間に投与した場合のものと同等である。具体的には、組成物を投与した場合と同時投与の場合とでは、薬剤吸収率又は量に実質上の差異はなかった。従って、本発明の組成物、好ましくはメトホルミン及びフェノフィブラートの組成物の薬物動態学は、単一の物質として投与した場合のフィブラート系薬剤の薬物動態学及びメトホルミンの薬物動態学と同等である。
【実施例11】
【0167】
<組成物F>
次の組成の錠剤を方法Bで調製した。
【0168】
【表8】

【実施例12】
【0169】
<組成物Fの溶解特性>
【0170】
【表9】

【0171】
分散補助剤(ここではラクトース6.4%)の添加により、組成物F(メトホルミンとフェノフィブラートの比率:500:80)の溶解特性が著しく改善された。この分散補助剤は、生物学的同等性及び溶解性の必要条件を満たす組成物の取得には絶対的に必要である。
【実施例13】
【0172】
<組成物G>
次の組成の錠剤を以下の方法で調製した。
【0173】
【表10】

【0174】
分散体Aを水、スクロース、及び、例えば米国特許出願2003/0224058号中に記載されるように取得可能なナノ粒子状フェノフィブラート分散体と共に混合して調製する以外は実施例1中に概説した方法Aで錠剤を製造した(その含量を参照する)。
【実施例14】
【0175】
<放出制御式組成物H>
次の組成の錠剤を以下の方法で調製した。
【0176】
【表11】

【0177】
分散体Aを水、ポビドン、フェノフィブラート、ポリメタクリレート、モノ/ジグリセリド及びポリソルベート80と共に混合して調製する以外は実施例1中に概説した方法Aで錠剤を製造した。
【0178】
本実施例において、ポリメタクリレートは放出制御遮断剤として作用する。ポリソルベート80はモノ/ジ−グリセリドを乳化し、生じたモノ/ジ−グリセリドはポリメタクリレートを可塑化する。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】試験物質(メトホルミンとフィブラート系薬剤の割合850:80(A,B)、850:54(C)、500:80(E,F)、500:54(D))及びフェノフィブラート80mg基準治療の溶解特性を示す。
【図2】メトホルミンとフェノフィブラートの比率が500:80であり、分散補助剤を使用する場合(F)又は使用しない場合(E)の、組成物の溶解特性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メトホルミン粒子及びフィブラート系薬剤粒子を含む医薬組成物であって、
メトホルミンがフェノフィブラートの担体として作用し、かつ、前記メトホルミン及びフィブラート系薬剤の総量が組成物総重量の少なくとも50重量%であり、かつ、メトホルミンとフィブラート系薬剤との重量比が500:90〜850:35であり、かつ、メトホルミンとフィブラート系薬剤との重量比が500:90〜500:65である場合に前記組成物が必須補形薬として分散補助剤を含む
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
メトホルミンとフィブラート系薬剤との重量比は500:54〜850:65である
ことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
メトホルミンとフィブラート系薬剤との重量比は850:54〜850:35である
ことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
ヨーロッパ薬局方による動翼法(75rpm)での測定により、0.025Mラウリル硫酸ナトリウムを含む溶解媒中に、フィブラート系薬剤の少なくとも約70%が約15分以内で溶解し、フィブラート系薬剤の少なくとも約80%が約30分以内で溶解し、フィブラート系薬剤の少なくとも約85%が約45分以内で溶解する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
・フィブラート系薬剤及びメトホルミンを合わせて約60重量%〜約98重量%、好ましくは約70重量%〜約95重量%、最も好ましくは約74重量%〜約90重量%;並びに、
・医薬品に許容される補形薬を約2重量%〜約40重量%、好ましくは約5重量%〜約30重量%、最も好ましくは約10重量%〜約26重量%:含む
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記フィブラート系薬剤は結晶状態、非晶質状態、半結晶状態又は半非晶質状態である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
フィブラート系薬剤は、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート、ベザフィブラート、クロフィブラート、シプロフィブラート、ベクロフィブラート、ビニフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、エトフィブラート、ニコフィブラート、ピリフィブラート、ロニフィブラート、シンフィブラート又はテオフィブラート、フィブリン酸誘導体、又は、前記フィブリン酸誘導体の医薬品に許容される塩若しくはエステルからなる群より選択される
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
フィブラート系薬剤はフェノフィブラート、フェノフィブリン酸、又は、フェノフィブリン酸の医薬品に許容される塩若しくはエステルである
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
フィブラート系薬剤はフェノフィブラートである
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
フィブラート系薬剤は微粉化又は共微粉化される
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
フィブラート系薬剤は界面活性剤と共微粉化される
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
フィブラート系薬剤粒子の平均サイズは約20μm未満、好ましくは約10μm未満である
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
ナノ粒子状フィブラート系薬剤の平均サイズは約2000nm未満、好ましくは約1500nm未満、好ましくは約1000nm未満、好ましくは約500nm未満、好ましくは約100nm未満である
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
メトホルミンは、遊離塩基、又は、その医薬品に許容される塩の一種である
ことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
メトホルミン2000mg及びフェノフィブラート160mg;メトホルミン850mg及びフェノフィブラート80mg;メトホルミン850mg及びフェノフィブラート54mg;メトホルミン500mg及びフェノフィブラート80mg;メトホルミン500mg及びフェノフィブラート54mg;又は、メトホルミン500mg及びフェノフィブラート40mg;メトホルミン500mg及びフェノフィブラート45mg、メトホルミン500mg及びフェノフィブラート71mg、メトホルミン850mg及びフェノフィブラート71mg、メトホルミン850mg及びフェノフィブラート145mg、メトホルミン1600mg及びフェノフィブラート145mgを含む
ことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
経口的、肺内、直腸内、眼内、結腸内、非経口的、槽内、膣内、腹膜内、部分的、口腔内、鼻腔内又は局所投与用に調製される
ことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
錠剤である
ことを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
カプセルである
ことを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
重量約500〜約1500mgの錠剤の形態である
ことを特徴とする請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項20】
PPARγ活性化剤、HMG CoA還元酵素阻害剤及び抗高血圧剤からなる群より選択される一種以上の有効物質を更に含む
ことを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
メトホルミン及びフェノフィブラートを含む医薬組成物中におけるメトホルミンの使用であって、メトホルミンがフィブラート系薬剤の担体として作用する
ことを特徴とする使用。
【請求項22】
メトホルミン及びフィブラート系薬剤を合わせて組成物総重量の50重量%以上含む
ことを特徴とする請求項21に記載のメトホルミンの使用。
【請求項23】
前記医薬組成物は、次の段階:
a)フィブラート系薬剤の水性分散体を、好ましくは少なくとも一種のバインダー及び/又は表面安定化剤の存在下で、調製する段階;
b)得た分散体をメトホルミンの流動層上にスプレーし、顆粒を得る段階;
c)得た顆粒を乾燥させる段階:
を含む方法により得る顆粒を含む
ことを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載の医薬組成物の調製方法。
【請求項24】
前記医薬組成物は、次の段階:
a)メトホルミン及びフィブラート系薬剤の混合物を、好ましくは少なくとも一種のバインダー及び/又は表面安定化剤の存在下で、高剪断に供する段階;
b)高剪断化混合物に水を添加して顆粒を得る段階;
c)得た顆粒を流動層乾燥機中で乾燥させる段階:
を含む方法により得る顆粒を含む
ことを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載の医薬組成物の調製方法。
【請求項25】
前記医薬組成物は、次の段階:
a)メトホルミン及びフィブラート系薬剤の混合物を、好ましくは少なくとも一種のバインダー及び/又は表面安定化剤の存在下で、高剪断に供する段階;
b)高剪断化混合物に水を添加して顆粒を得る段階;
c)得た顆粒をワンポット系中で乾燥させる段階:
を含む方法により得る顆粒を含む
ことを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載の医薬組成物の調製方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−518773(P2007−518773A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550150(P2006−550150)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001524
【国際公開番号】WO2005/070396
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(505199382)フルニエ ラボラトリーズ アイルランド リミテッド (8)
【Fターム(参考)】