説明

メモリカード、アクセス装置及びメモリカードの処理方法

メモリカード(3〜6)は各々、異なる種別を持ち、複数の状態を取り得る。メモリカードはデータをファイルシステムにより管理し、アクセス装置から、データの読み出し、書き込みが可能である。メモリカードは、データが記録され、独立したファイルシステムにより管理される記録領域(31、41、…)と、メモリカードの種別と状態の組み合わせに毎に割り当てられ、その組み合わせを一意に判別可能とするステートを保持するステート格納部(33、44、…)と、メモリカードが取り得るステートの数だけ設けられ、記録領域に関する物理的な特性を格納するカード情報格納部(32、42、…)とを備える。アクセス装置(1)は、メモリカードの種別及び状態を一意に判別可能なステートをメモリカードから取得し、取得したステートに基づいてメモリカードの種別及び状態を判定し、メモリカードのステートに応じた処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の種別や状態を有するメモリカードに関する。また、本発明は、種別が異なる複数のメモリカードや、複数の状態を有するメモリカードにアクセスするアクセス装置及びメモリカードの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽コンテンツや映像データ等のデジタルデータを記録する記録媒体には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等、様々な種類が存在する。これらの記録媒体の1つであるメモリカードは、記録素子としてFlash ROM等の半導体メモリを主に使用しており、記録媒体の小型化が図れることから、デジタルスチルカメラや携帯電話端末等、小型の携帯機器を中心に急速に普及しつつある。
【0003】
メモリカードに格納されたデータはファイルシステムにより管理されており、ユーザは格納されたデータをファイルとして容易に取り扱うことができる。従来使用されているファイルシステムには、FATファイルシステム(非特許文献1参照)や、UDFファイルシステム(Universal Disk Format)(非特許文献2参照)、NTFSファイルシステム(New Technology File System)等が存在する。これらのファイルシステムによりデータが管理されたメモリカードは、同一のファイルシステムを解釈する機器間でファイルを共有することができるため、機器間でデータを授受することが可能となる。
【0004】
近年、メモリカードが普及するにつれ、当初主流であった音楽コンテンツ、静止画コンテンツの記録媒体としての用途から、大容量高画質動画コンテンツの記録へとその応用用途は広がりつつある。そのため、このようなニーズに応えるべく、年々倍化する勢いでメモリカードの大容量化が進んでいる。しかしながら、メモリカードの内部レジスタに格納されているカード容量を表現するフィールドのビット長や、コマンドでアドレスを指定する引数のビット幅等には限界があり、メモリカードの大容量化に対応するためには、従来のレジスタ構成やコマンド等を拡張する必要がある。また、同様にファイルシステムにも管理可能な容量の上限が存在するため、従来のファイルシステムが管理可能な容量の上限を超えた大容量メモリカードの領域を管理するために、新しいファイルシステムを使用する必要がある。
【0005】
従来、このような問題を解決する方法として、メモリカード内の領域を複数に分割し、各領域を切り替えて使用することにより、レジスタやコマンド等の物理的な上限容量、ファイルシステムの上限容量を超えることなく、メモリカードの大容量化を図る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−86503号公報
【非特許文献1】ISO/IEC9293,“Information Technology−Volume and file structure of disk cartridges for information”,1994
【非特許文献2】OSTA Universal Disk Format Specification Revision 1.50,1997
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の方法ではメモリカード内の領域を複数に分割し、個々の領域を独立したファイルシステムにより管理するため、メモリカード全容量を1領域として扱うことができず、作成可能なファイルの最大サイズ、ディレクトリ構成が制限されるという課題が生じる。この課題を解決するため、メモリカードの容量を変更可能とする方法が考えられる。すなわち、従来のアクセス装置でアクセス可能な上限容量と、メモリカードの最大容量とのいずれかをメモリカードに設定し、メモリカードを使用するユーザの用途に適した容量でメモリカードを使用することを可能とする。
【0007】
このようにメモリカードの大容量化を実現するための手段は複数種類存在するため、将来的に、それぞれの実現手段を用いて作られた複数種類のメモリカードが市場に混在する可能性がある。
【0008】
この場合、アクセス装置は、メモリカードに対して、領域切り替えが可能なのか、容量変更が可能なのか、現在のカード状態はどのように設定されているのか等、メモリカードの種別、状態を把握する必要がある。しかし、従来のアクセス装置では、メモリカードの種類を判別することはできず、そのため、アクセス装置は各メモリカードの種別、状態に応じた適切な処理を提供することができないという問題が生じる。
【0009】
本発明では上記問題点に鑑み、メモリカードの種別、状態を一意に判別可能なメモリカード、並びに、メモリカードの種別、状態を判別し各メモリカードに応じた処理を実施するアクセス装置及びメモリカードの処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るメモリカードは、格納データをファイルシステムにより管理し、アクセス装置からデータの読み出し、書き込みが可能なメモリカードである。メモリカードは、データが記録され、独立したファイルシステムにより管理される1つ以上の記録領域と、メモリカードの種別と状態の組み合わせ毎に割り当てられ、その組み合わせを一意に判別可能とするステートを保持するステート格納部と、メモリカードが取り得るステートの数だけ設けられ、記録領域に関する物理的な特性を格納するカード情報格納部とを具備する。
【0011】
第1のタイプのメモリカードは、記録領域及びカード情報格納部の数がそれぞれ1であってもよい。その場合、ステート格納部に保持されたステートの取得、解釈が可能なアクセス装置からアクセスされた場合、記録領域の全領域に対するアクセスを許可し、ステート格納部に保持されたステートの取得、解釈が不可能なアクセス装置からアクセスされた場合、記録領域に対するアクセスを禁止するようにしてもよい。
【0012】
第2のタイプのメモリカードは、記録領域の数が1であり、カード情報格納部が第1のカード情報格納部と第2のカード情報格納部とを有してもよく、さらに、メモリカードは、第1のステートまたは第2のステートを取ることが可能であってもよい。このとき、メモリカードが第1のステートである場合、第1のカード情報格納部をアクセス装置から参照可能とし、第1のカード情報格納部に格納されている物理的な特性に応じて前記記録領域へのアクセスを許可し、メモリカードが第2のステートである場合、第2のカード情報格納部をアクセス装置から参照可能とし、第2のカード情報格納部に格納されている物理的な特性に応じて前記記録領域へのアクセスを許可する。
【0013】
第3のタイプのメモリカードは、記録領域が第1の記録領域と第2の記録領域を有し、カード情報格納部が第1のカード情報格納部と第2のカード情報格納部を有し、さらに、メモリカードは第1のステートまたは第2のステートを取ることが可能であってもよい。このとき、メモリカードが第1のステートである場合、第1のカード情報格納部をアクセス装置から参照可能とし、第1のカード情報格納部に格納されている物理的な特性に応じて前記第1の記録領域へのアクセスを許可し、メモリカードが第2のステートである場合、第2のカード情報格納部をアクセス装置から参照可能とし、第2のカード情報格納部に格納されている物理的な特性に応じて第2の記録領域へのアクセスを許可する。
【0014】
第4のタイプのメモリカードは、記録領域が第1の記録領域と第2の記録領域を有し、カード情報格納部が、第1のカード情報格納部と、第2のカード情報格納部と、第3のカード情報格納部とを有し、ステート格納部に保持され得るステートの数は3であってもよい。このとき、メモリカードが第1のステートにある場合、第1のカード情報格納部をアクセス装置から参照可能とし、第1のカード情報格納部に格納されている物理的な特性に応じて第1の記録領域へのアクセスを許可してもよい。メモリカードが第2のステートにある場合、第2のカード情報格納部をアクセス装置から参照可能とし、第2のカード情報格納部に格納されている物理的な特性に応じて第2の記録領域へのアクセスを許可してもよい。メモリカードが第3のステートにある場合、第3のカード情報格納部をアクセス装置から参照可能とし、第3のカード情報格納部に格納されている物理的な特性に応じて第1の記録領域及び第2の記録領域の双方へのアクセスを許可してもよい。
【0015】
さらに、メモリカードの転送レートに関するアクセス性能を示す性能情報をメモリカードのステート毎に格納する性能情報格納部を、ステート格納部に保持されるステートの数と同数だけ備えてもよい。
【0016】
ステート格納部は物理スイッチで構成してもよい。
【0017】
本発明に係るアクセス装置は、メモリカードにアクセスするアクセス装置であって、メモリカードを装着するカードスロットと、ユーザからの指示を受けとる操作部と、メモリカードやアクセス装置の状態、ユーザが指定可能な処理の一覧等を表示する表示部と、メモリカードの種別及び状態を一意に判別可能なステートをメモリカードから取得し、取得したステートに基づいてメモリカードの種別及び状態を判定するステート判定部と、ステート判定部の判定結果を参照し、メモリカードのステートに応じた処理を実行するステート依存処理部と、操作部からの入力に応じて、メモリカードに対し、データの読み出しもしくは書き込み処理を含む所定の処理を実施するメイン処理部と具備する。
【0018】
本発明に係るメモリカードの処理方法は、アクセス装置にメモリカードが装着されたときに、メモリカードを初期化するステップと、メモリカードからメモリカードの種別、状態を一意に判別可能なステートを取得するステップと、アクセス装置に対するユーザの処理要求がステートに依存する要求であるか否かを判定するステップと、判定結果に基づき、処理要求がステートに依存する場合、取得したステートを参照して、メモリカードに対し、メモリカードのステートに応じた処理を実行するステップとを有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、メモリカードの種別、状態を一意に判別可能な識別子をメモリカード内に格納し、アクセス装置が識別子を取得してメモリカードの種別、状態に応じて処理内容を変更することにより、各メモリカードに応じた適切な処理をユーザに提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1におけるメモリカード、及びアクセス装置の実施方法を示した図
【図2】本発明の実施の形態1におけるメモリカードB(ステート“1”)の一例を示した図
【図3】本発明の実施の形態1におけるメモリカードC(ステート“2”)の一例を示した図
【図4】本発明の実施の形態1におけるメモリカードC(ステート“3”)の一例を示した図
【図5】本発明の実施の形態1におけるメモリカードD(ステート“4”)の一例を示した図
【図6】本発明の実施の形態1におけるメモリカードD(ステート“5”)の一例を示した図
【図7】本発明の実施の形態1におけるメモリカードE(ステート“6”)の一例を示した図
【図8】本発明の実施の形態1におけるメモリカードE(ステート“7”)の一例を示した図
【図9】本発明の実施の形態1・におけるメモリカードE(ステート“8”)の一例を,示した図
【図10】本発明の実施の形態1におけるアクセス装置の基本動作フローを示したフローチャート
【図11】本発明の実施の形態1におけるステート一覧表の一例を示した図
【図12】本発明の実施の形態1における領域切り替え処理の一例を示した図
【図13】本発明の実施の形態1における静止画撮影処理の一例を示したフローチャート
【図14】本発明の実施の形態2におけるメモリカード、及びアクセス装置の実施方法を示した図
【図15】本発明の実施の形態2における性能情報の一例を示した図
【図16】本発明の実施の形態2における記録モード設定処理の一例を示した図
【図17】本発明の実施の形態2における領域切り替え処理の一例を示した図
【図18】物理スイッチを設けたメモリカードを示す図
【図19】物理スイッチによりメモリカードのステートが切り替えられる場合の領域切り替え処理の一例を示した図
【符号の説明】
【0021】
1 アクセス装置
2,3,4,5,6 メモリカード
11 カードスロット
12 操作部
13 表示部
14 ステート判定部
15 メイン処理部
16 ステート依存処理部
21,31,41,51,52,61,62 記録領域
22,32,42,43,53,54,63,64,65 カード情報格納部
33,44,55,66 ステート格納部
34,45,46,56,57,67,68,69 性能情報格納部
190 物理スイッチ
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明のメモリカード、アクセス装置及びメモリカードの処理方法について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるメモリカード、及びアクセス装置の構成図である。アクセス装置1は、メモリカードを装着する部位であるカードスロット11、アクセス装置1が実行する処理をユーザが指定するためのボタン等の操作部12、ユーザに提供する操作メニューの一覧やメモリカードに格納されているファイルの一覧等を表示する表示部13、メモリカードからステートを取得しメモリカードの種別、状態を判定するステート判定部14、操作部12からの入力に応じてメモリカードに対する様々な処理を実施するメイン処理部15を含む。
【0024】
メイン処理部15は更に、ステート判定部14のステート判定結果を参照しステート毎に異なる処理を実行するステート依存処理部16を含む。本発明のアクセス装置1はこのようにステート判定部14とステート依存処理部16を備え、メモリカードの種別、状態(ステート)を判定し、各メモリカードに応じた適切な処理をユーザに提供する点に特徴がある。
【0025】
アクセス装置1には、デジタルスチルカメラや携帯電話端末、メモリカードムービー、オーディオプレーヤ、PC、PDA等の、メモリカードにアクセスする機能を持った装置が含まれる。
【0026】
<種々のタイプのメモリカード>
メモリカードについて説明する。図1に示すように、メモリカードには、タイプAからタイプEまでの5種類のメモリカードが存在し、それぞれ異なる特性を有する。各種のメモリカードの概略を説明する。なお、以降の説明では、種別がX(X=A、B、C、D、E)のメモリカードを「メモリカードX」と表記する。
【0027】
メモリカードA(2)は、大容量化に対応していない従来のメモリカードであり、カード容量や最小アクセス単位、最大入力クロック数、電流値等のメモリカードの物理的な特性を示す情報を格納するカード情報格納部22と、従来のアクセス装置でアクセス可能な容量の上限以下の容量を持つ記録領域21とを含む。
【0028】
メモリカードB(3)、メモリカードC(4)、メモリカードD(5)、メモリカードE(6)はいずれも大容量化に対応した次世代のメモリカードであり、各々従来のアクセス装置がアクセス可能な上限容量を超える大容量の領域の大きさを表現できる1つ以上のカード情報格納部と、1つ以上の記録領域とを含む。
【0029】
さらに、次世代のメモリカードB〜E(3〜6)はそれぞれステート格納部33、44、55、66を含む。ステート格納部33、44、55、66は、メモリカードの種別、状態を一意に判別可能なステートを格納しており、本発明の特徴的な構成要素である。また、メモリカードB〜E(3〜6)のそれぞれは、それぞれのカードが取り得るステートの数だけカード情報格納部32、42、…を含む。カード情報格納部32、42、…は、各ステートに応じた、カード容量、最小アクセス単位、最大入力クロック数、電流値等のメモリカードの物理的な特性を示す情報を格納する。
【0030】
このように、メモリカードB〜Eはステート格納部33、44、55、66を有する。アクセス装置1はこのステート格納部33、44、55、66に格納されたステートを用いてメモリカードの種別、状態を判別し、ステートに依存して、実行すべき処理を切り替える。これらメモリカードとアクセス装置の組み合わせにより、各メモリカードの種別、状態に応じた適切な処理をユーザに提供することが可能となる。
【0031】
また、メモリカードC〜E(4〜6)は、複数のカード情報格納部のうちの有効なカード情報格納部を指定する情報を所定の管理情報領域(レジスタ等)に格納しており、メモリカードC〜E(4〜6)はその管理情報領域の値を参照することで、複数のカード情報格納部のうちの有効な1つのカード情報格納部を認識できる。なお、管理情報領域には、一般的にメモリカードの制御に必要な種々の管理情報が格納される。
【0032】
図2から図9を用いてタイプB〜Eのメモリカード2〜6の詳細について説明する。なお、メモリカードA(2)は従来のメモリカードであり、以下の説明では、従来のアクセス装置がアクセス可能な上限容量を2GBとして説明する。この値は現在のメモリカードで広く使用されているFAT16ファイルシステムの上限容量である。
【0033】
図2はメモリカードB(3)の一例を説明した図である。メモリカードB(3)は大容量化に対応した次世代のメモリカードであり、2GBを超える大容量領域として8GBの記録領域31を備えている。また、メモリカードB(3)は、記録領域の大きさを表現可能なカード情報格納部32を1つだけ保持しており、カード情報格納部32はその容量として8GBの値を格納している。メモリカードB(3)を本発明のアクセス装置1で使用した場合、アクセス装置1は大容量化に対応しているため、8GBの全領域にアクセス可能となる。また、メモリカードB(3)を大容量化に対応していない従来のアクセス装置100で使用した場合、容量0のカードとして認識し一切アクセスが行えない。これは従来のアクセス装置100が誤動作により、メモリカードB(3)内に格納されたデータを破壊することを防止するための対策である。このような特徴を持つメモリカードB(3)は、1つの状態しか有さず、この状態を示す識別子として“1”がステート格納部33に格納される。
【0034】
図3、図4はメモリカードC(4)の一例を説明した図である。メモリカードC(4)は大容量化に対応した次世代のメモリカードであり、2GBを超える大容量領域として8GBの記録領域41を備えている。また、メモリカードC(4)は、2GB以下の容量を表現するカード情報格納部1(42)と、大容量領域の大きさを表現可能なカード情報格納部2(43)とを保持しており、それぞれ容量として2GB、8GBの値を格納している。メモリカードC(4)は、従来のメモリカードとして動作するステートと、大容量メモリカードとして動作するステートの2つのステートを有している。
【0035】
図3は、メモリカードC(4)が従来のメモリカードとして動作するステートである場合を示している。この場合、カード情報格納部1(42)が有効であり、記録領域41の先頭2GBにアクセス可能な状態となっている。一方、図4は、メモリカードC(4)が大容量メモリカードとして動作するステートの場合を示しており、この場合、カード情報格納部2(43)が有効であり、記録領域41の8GB全てにアクセス可能な状態となっている。
【0036】
図3に示すメモリカードC(4)は、本実施形態のアクセス装置1及び従来のアクセス装置100のいずれで使用しても記録領域41の先頭2GBのみにアクセス可能であり、両方のアクセス装置で1枚のカードを共有することが可能となる。また、図4に示すメモリカードC(4)は、アクセス装置1からは、記録領域41の8GB全てにアクセス可能であるが、従来のアクセス装置100からは、容量0のカードとして認識され、一切アクセスできない。これは従来のアクセス装置が誤動作により、メモリカードC(4)の大容量領域に格納されたデータを破壊することを防止するための対策である。図3の状態(ステート)を示す識別子として”2”が、図4の状態を示す識別子として”3”がメモリカードC(4)内のステート格納部44に格納される。
【0037】
図5、図6はメモリカードD(5)の一例を説明した図である。メモリカードDは大容量化に対応した新しいメモリカードであり、2GBの記録領域1(51)と、2GBを超える大容量領域として6GBの記録領域2(52)とを備えている。また、2GB以下の容量を表現するカード情報格納部1(53)、大容量領域の大きさを表現可能なカード情報格納部2(54)を保持しており、それぞれ容量として2GB、6GBの値を格納している。メモリカードD(5)は記録領域1(51)を使用するステートと、記録領域2(52)を使用するステートの2つのステートを有している。
【0038】
図5は記録領域1(51)を使用するステートの場合を示し、カード情報格納部1(53)が有効であり、記録領域1(51)の2GBにアクセス可能な状態となっている。また図6は記録領域2(52)を使用するステートの場合を示し、カード情報格納部2(54)が有効であり、記録領域2(52)の6GBにアクセス可能な状態となっている。
【0039】
図5のメモリカードD(5)は本実施形態のアクセス装置1と従来のアクセス装置100のいずれで使用しても記録領域1(51)の2GBにアクセス可能であり、両方のアクセス装置で1枚のカードを共有することが可能となる。また、図6のメモリカードD(5)は本実施形態のアクセス装置1からは記録領域2(52)の6GBにアクセス可能であるが、従来のアクセス装置100からは容量0のカードとして認識され、一切アクセスできない。これは従来のアクセス装置が誤動作により、メモリカードD(5)の記録領域2(52)に格納されたデータを破壊することを防止するための対策である。図5の状態を示す識別子として”4”が、図6の状態を示す識別子として”5”がメモリカードD(5)内のステート格納部55に格納される。
【0040】
図7、図8、図9はメモリカードE(6)の一例を説明した図である。メモリカードEは大容量化に対応した新しいメモリカードであり、2GBの記録領域1(61)と、2GBを超える大容量領域として6GBの記録領域2(62)とを備えている。また、2GB以下の容量を表現するカード情報格納部1(63)と、大容量領域の大きさを表現可能なカード情報格納部2(64)と、カード情報格納部3(65)とを保持しており、それぞれ、容量として2GB、6GB、8GBの値を格納している。
【0041】
メモリカードE(6)は記録領域1(61)を使用するステート、記録領域2(62)を使用するステート、記録領域1(61)と記録領域2(62)の両方を同時に使用するステートの3つのステートを有している。
【0042】
図7は記録領域1(61)を使用するステートの場合を示し、カード情報格納部1(63)が有効で、記録領域1(61)の2GBにアクセス可能な状態となっている。図8は記録領域2〈62)を使用するステートの場合であり、カード情報格納部2(64)が有効で記録領域2(62)の6GBにアクセス可能な状態となっている。図9は記録領域1(61)と記録領域2(62)の両方を同時に使用するステートの場合であり、カード情報格納部3(65)が有効で、記録領域1(61)及び記録領域2(62)の合計8GBの領域全てにアクセス可能な状態となっている。また、このステートで使用する場合、8GBは連続したアドレス空間上に存在する領域であり、1種類のファイルシステムにより8GB全てが一括管理されている。
【0043】
図7のメモリカードE(6)は本発明のアクセス装置1と従来のアクセス装置100のいずれで使用しても記録領域1(61)の2GBにアクセス可能であり、両方のアクセス装置で1枚のカードを共有することが可能となる。
【0044】
また図8のメモリカードE(6)は本発明のアクセス装置1からは記録領域2(62)の6GBにアクセス可能であるが、従来のアクセス装置100からは容量0のカードとして認識され、一切アクセスできない。これは従来のアクセス装置が誤動作により、メモリカードE(6)の記録領域2(62)に格納されたデータを破壊することを防止するための対策である。
【0045】
同様に図9のメモリカードE(6)は、本発明のアクセス装置1からは記録領域1(61)と記録領域2(62)の合計8GBの領域全てにアクセス可能であるが、従来のアクセス装置100からは容量0のカードとして認識され、一切アクセスできない。
【0046】
図7の状態を示す識別子として“6”が、図8の状態を示す識別子として“7”が、図9の状態を示す識別子として“8”がメモリカードE(6)内のステート格納部66に格納される。
【0047】
このようにメモリカードの種別はメモリカードAからメモリカードEまでの5種類が存在する。各種別のメモリカードは1つ以上の状態を取り得る場合がある。本発明ではこのカード種別と状態の組み合わせを一意に判別可能とするために、従来のメモリカードAを除く、他の4種類のメモリカード3〜6にステート格納部33、44、55、66を設け、その中に判別するための識別子としてステートの値を格納する。
【0048】
このステートはカード種別と状態の組み合わせに対して一意に割り当てられる。例えば図5、図7にそれぞれ示すカードのように、従来のアクセス装置100から2GBの領域にアクセス可能となる同様のカード状態を持つ場合でも、カード種別が異なるため、それらのカードに対して“4”、“6”という異なるステートが割り当てられる。これにより、アクセス装置1は同様のカード状態であってもカード種別を一意に判別することが可能であり、カード種別に応じた適切な処理をユーザに提供することが可能である。
【0049】
また、従来のメモリカードであるメモリカードAはステート格納部を有していないが、本実施形態のアクセス装置1は、メモリカードAからはステートを取得する際に正常に取得できないため、メモリカードAを他の種類のメモリカードと判別することは可能である。
【0050】
<アクセス装置>
次に本発明のアクセス装置1の動作について図10から図13を用いて説明する。
【0051】
最初に図10を用いて本発明のアクセス装置1における基本動作フローを説明する。アクセス装置1にA〜Eのいずれかのタイプのメモリカードが挿入されると、メモリカードが挿入されたことを示す割り込み信号がカードスロット11からメイン処理部15に通知され、メイン処理部15にてカードの初期化処理が実行される(S1001)。カード初期化処理は、メモリカードがアクセス装置1からのリード/ライトコマンドを受付可能な状態にするための前処理を行う。カード初期化処理は、例えば、メモリカードに対する初期化コマンドの発行、有効なカード情報格納部22、32、…に存在するレジスタの値の取得、メモリカードの固有IDの取得、記録領域のサイズの取得等の処理を含む。
【0052】
次にアクセス装置1のステート判定部14は、メモリカードのステート格納部33、44、…に格納されているステートを取得し(S1002)、メモリカードの種別、ステートを判定する。ここで、ステート格納部を有する種別B、C、D、Eのメモリカード3、4、5、6は、アクセス装置1からのステート取得要求に応答して、ステート格納部33、44、…に格納しているステートの情報をアクセス装置1に通知する。アクセス装置1はステート情報に基づいてステート判定部14により、挿入されたメモリカードの種別及びステートを判定する。種別Aのメモリカード2はステート格納部を有しないため、アクセス装置1からステート取得要求を受けても、そのステート取得要求を解釈できず、アクセス装置1にエラーを通知する。アクセス装置1のステート判定部14は、ステート取得要求に対してエラー応答を受信したことにより、種別Aのメモリカード2が挿入されたと判定する。
【0053】
カード初期化、ステート取得が完了すると、アクセス装置1はメモリカードに対するアクセスの準備を完了し、操作部12への入力待ちの状態となる(S1003)。
【0054】
ユーザによる入力を操作部12上で検出するとメイン処理部15に割り込み信号が入り、メイン処理部15はユーザが入力した命令の種別を判定する(S1004)。入力された命令が終了命令であった場合(S1005でYes)、メモリ退避等の必要な終了処理を実行し、アクセス装置1の電源を遮断する。
【0055】
入力された命令が終了命令でない場合(S1005でNo)、入力された命令が、ステート毎に異なる処理を行うステート依存処理を指示する命令であるか否かを判定する(S1006)。
【0056】
ステート依存処理であった場合(S1006でYes)、ステート依存処理部16によりステート依存処理を行う(S1007)。ステート依存処理部16は、ステート判定部14のステート判定結果を参照し、メモリカードの種別やステートに応じて実行内容が異なるステート依存処理を実行する。つまり、メモリカードのステートに応じて、アクセス装置1で表示される画面や、出力されるコマンドが異なる。
【0057】
ステート依存処理でなかった場合(S1006でNo)、またはステート依存処理の終了後に、メイン処理部15は、メモリカードの種別に依存しない共通の処理(メイン処理)を実行する(S1008)。メイン処理が完了するとメイン処理部15は再度ユーザからの入力待ちの状態に戻る。
【0058】
図10の基本動作フローにおいて、ステート取得(S1002)、ステート依存処理(S1007)が本発明の特徴を表す処理である。本発明のアクセス装置1は、メモリカードがアクセス装置1に挿入された後、メモリカードに対してステート取得を行い、取得したステートに基づき、必要に応じて、実行する処理の内容を変更する。これにより、各メモリカードの種別、状態に応じてアクセス装置の処理を変更し、各メモリカードに適した処理をユーザに提供することが可能となる。
【0059】
次に図11、図12を用いて、本発明のアクセス装置1によるステート依存処理の具体的な例について説明する。
【0060】
図11はステート判定部14が保持するステート一覧表の一例を示した図である。ステート判定部14は図11に示すようなステート一覧表を保持しており、メモリカードからステートを取得し、保持した後、この一覧表を参照して、取得したステートが持つ意味を判定する。ステート一覧表には、メモリカードの種別とステートを一意に識別可能とする情報であるステート、メモリカードの種別、メモリカード内のアクセス可能な領域を示すアクセス領域、アクセス可能な領域の容量、各タイプのカードに許されるステートの数、ステート切り替え時にフォーマットが必要か否かを示す情報、及び、ファイルシステムの種別が格納されている。
【0061】
一覧表を参照すると、例えば、ステート“5”のメモリカードは、種別がDで、アクセス可能な領域が記録領域2であり、容量が2GBを超える大容量で、有する全ステート数は2つであり、ステート切り替え時にフオーマットは不要であり、ファイルシステムはFAT32を使用する、メモリカードであることを示している。このようにステート判定部14がステート一覧表を有することにより、各メモリカードから取得したステートを元に、挿入されたメモリカードの種別、状態を把握することが可能となる。
【0062】
図11のステート一覧表をステート判定部14が有していることを踏まえ、図12を用いて領域切り替え時の処理の具体例を説明する。図12では、種別Eのメモリカード6のステートを“6”から“8”に切り替える場合の例を説明する。
【0063】
領域切り替えの処理手順として、ユーザにより、アクセス装置1の操作部12を操作し、表示部13に表示されているメニューリストから「3.初期設定」、「4.領域切り替え」を順次選択されたとする。この操作により、メモリカードE(6)の領域切り替えを実行するためのメニュー画面が表示部13上に表示される。
【0064】
「領域切り替え」に関する処理はステートに依存した処理である。このため、ステート依存処理部16はステート判定部14から現在のメモリカードのステートに関する情報を取得する。ステート判定部14はメモリカードから取得したステートとステート一覧表を元に、ステートに関する情報をステート依存処理部16に通知する。図12の例では、ステート判定部14は、メモリカードE(6)のステート“6”をメモリカードから取得しており、図11のステート一覧表を参照し、カード種別やアクセス領域に関する情報等をステート依存処理部16に通知する。ステート依存処理部16は、ステート判定部14からの情報に基づいて、現在挿入されているメモリカードの種別が”E”であり、ステートが“6”であることを認識する。また、ステート依存処理部16は、カードのステート数が3であることから、このメモリカードは3つの状態に切り替え可能であることを認識する。
【0065】
次にステート依存処理部16は、現在のステート以外の残りの2つのステートに関する情報をステート判定部14より取得して、領域切り替え可能な領域である3つの領域を表示部13に表示し、ユーザに領域切り替え先の選択を促す(図12参照)。また、ステート“6”からステート“8”に切り替える場合はフォーマットが必要であることから(図11参照)、ユーザにより領域切り替えの実行が選択されたときは、ユーザに対して領域切り替えと共にフォーマットが発生することを、表示部13を介して通知する。ユーザがフォーマットしても良いと判断し、領域切り替え、フォーマットの実行を許可する旨を操作部12に入力すると、領域切り替え、フォーマット処理が実行される。
【0066】
このように図12の例では、本発明のアクセス装置1のメモリカードの種別、状態を判別して、領域切り替え可能な領域の数や情報をユーザに通知する。また領域切り替え時にフォーマットが必要か否かを判定し、ユーザに適切なメッセージを表示する。これにより、領域切り替え時においてユーザに必要な情報、選択肢を提供し、ユーザにとって自由度の高い領域切り替え処理を実現することが可能となる。
【0067】
また、図12の例では、3つの領域を表示する際に、各領域の容量とファイルシステムの種別を表示している。しかし、図11のステート一覧表には各領域の正確な容量が格納されていない。このため、アクセス装置1はメモリカードに対し、別途、各領域の容量を問い合わせて取得し、表示している。
【0068】
このようにステート一覧表はステートに関連する一般的な情報のみを格納しているため、同一ステートであっても異なる可能性のある情報については、メモリカードから直接取得し、ステート一覧表に格納された情報と組み合わせてユーザに表示するのが好ましい。
【0069】
次に図13を用いて、アクセス装置1によるステート依存処理の別の具体例について説明する。ここでは、静止画を撮影し、撮影した静止画データをメモリカードに記録する例を説明する。
【0070】
アクセス装置1の操作部12を介して、ユーザによる静止画撮影の開始指示を入力する(S1301)。次にアクセス装置1のメイン処理部15は静止画撮影の前処理として、メモリカード内に空き領域が存在するか判定する(S1302)。
【0071】
空き領域が存在する場合、メイン処理部15は静止画撮影を実行し、メモリカードに静止画データを記録して処理を終了する(S1303)。
【0072】
空き領域が存在しない場合、メイン処理部15は領域切り替えが可能か否かを判定する(S1304)。この判定はステート依存処理部16からの情報に基づいて行われる。具体的には、この判定は、メモリカードが排他的に使用される2つの記録領域を有し、それらの領域間で切替えが可能なメモリカードであるか否かを判断することで行われる。例えば、図11を参照し、メモリカードDにおいてステート“4”からステート“5”に切り替える場合や、メモリカードEにおいてステート“6”からステート“7”に切り替える場合は、領域切替えが可能であると判断される。
【0073】
領域切り替えが可能な場合、ユーザに対して現在の記録領域に空き領域が存在しない旨と、領域切り替えが可能なメモリカードである旨を表示部13に表示し(S1305)、ユーザに記録領域の切り替えを促す。ユーザが領域切り替えを選択した場合、メモリカード上の記録領域とステートを切り替え、静止画撮影を実行する。ユーザが領域切り替えを選択しなかった場合、静止画を記録する十分な空き領域が存在しないため、静止画撮影を中止し、処理を終了する。
【0074】
また、領域切り替えが不可能な場合、静止画を記録する十分な空き領域が存在しないため、ユーザに空き領域不足を通知し、処理を終了する(S1306)。
【0075】
このように図13の例では、静止画撮影時に空き領域が不足した場合に、メモリカードの種別、状態を判別し、領域切り替え可能なメモリカードの場合は、ユーザに領域切り替えを促し、静止画撮影を継続する。これにより、メモリカードに対するデータ記録時に空き領域が不足しても、領域切り替えという空き領域不足を解消するための手段をユーザに提供し、データ記録を継続することでユーザ利便性を高めることが可能となる。また、図13の例では、静止画撮影中にユーザに領域切り替えを促す方法について説明したが、自動的に領域を切り替えるようにしても良い。特にデータ記録中に領域切り替えを手動で行った場合、切り替えの間、データが記録できないため、特に動画撮影等の連続記録が必要な場合に自動的に領域切り替えを行うと更に効果的である。
【0076】
以上のように、本発明のメモリカードはカードの種別、状態等を一意に判別可能なステートを格納するステート格納部を有し、アクセス装置がステートを取得できるようにする。更にアクセス装置はステート判定部、ステート依存処理部を有し、メモリカードから取得したステートを判定し、ステートに応じて処理内容を変更する。このようなメモリカードとアクセス装置を組み合わせることにより、各メモリカードに応じた適切な処理をユーザに提供することが可能となる。
【0077】
尚、本実施の形態では、ステート取得に専用コマンドを用いて実施する場合について記載したが、カード情報格納部のレジスタに含まれる空きビットを利用して、ステートを格納し、カード情報格納部のレジスタ値を取得するコマンドを使用して実現しても良い。
【0078】
また、カード情報格納部のレジスタに記載されているカードのバージョン番号を利用してステート格納部の有無を判定しても良い。例えば、メモリカードAのような従来のメモリカードのバージョン番号を“1.0”と、メモリカードBからメモリカードEのようなステート格納部を有する次世代のメモリカードのバージョン番号を“2.0”となるように設定する。これにより、バージョン番号を参照することでステート格納部の有無判定ができる。
【0079】
また、図11で記載したステート一覧表の項目は一例であり、ステート依存処理部が必要とするステートに依存した情報を格納していれば、必ずしも図11の全項目が含まれる必要はなく、更に別の項目を追加しても良い。また、ステート格納部を有するメモリカードとして、種別Bから種別Eまでの4種類のメモリカードについて記載したが、必ずしもこれら4種類全てのメモリカードに対しステートを割り当てる必要はなく、少なくとも1種類のメモリカードに対してステートを割り当てれば良い。また、ステート格納部を有する他の種類のメモリカードを追加しても良い。
【0080】
(実施の形態2)
図14は本発明の実施の形態2におけるメモリカード及びアクセス装置の構成図である。図14において図1と異なる点は、メモリカードBからメモリカードEが、カード情報格納部に対応して設けられた性能情報格納部34、45、46、…をさらに含む点である。また、本実施形態のメモリカードは、有効な性能情報格納部を指定する情報を管理情報領域内に保持している。
【0081】
複数のステートを有するメモリカードは、ステートが変更されると、アクセス可能な領域長が変化し、同時にリード/ライト性能などのアクセス性能が変化する場合がある。そこで、本実施形態では、ステート格納部を有するメモリカードに更に性能情報格納部を設け、ステートの切り替えと同時に有効な性能情報格納部を切り替え、現在のステートにおける性能情報を変化させることを特徴とする。
【0082】
図15は性能情報格納部34、45、46、…に格納される性能情報の一例を示す図である。図15の例では、処理内容としてリード、ライト、イレースの3種類の処理について、また、入力クロックとして12.5MHz、25MHz、50MHzの3種類の条件について、各々の組合せにおける性能値を表形式で記載している。例えば25MHzの入力クロックをメモリカードに入力し、16KB単位でライトする場合のアクセス性能は、Table2−Bの2行目を参照し、シーケンシャルアクセス時に標準で6MB/sec、ランダムアクセス時に0.7MB/secであることが分かる。
【0083】
このようにアクセス装置1が性能情報格納部34、…に格納された性能情報を参照することで、各条件下でメモリカードにアクセスした際のアクセス性能を把握することが可能となる。しかしながら、このアクセス性能はメモリカードが複数のステートを有する場合に、全てのステートで同一の性能になるとは限らず、ステート毎にアクセス性能が変化する可能性がある。そのため本実施形態ではステートの切り替えと同時に有効な性能情報格納部を切り替え、現在のステートにおける性能情報を変化させる。このように性能情報格納部を切り替えることにより、各ステートに応じたアクセス性能をアクセス装置が取得することが可能となり、各ステートに応じて処理内容を変更することが可能となる。
【0084】
図16に、処理内容の変更に関する一例を示す。図16(a)は、ステートが”6”のメモリカードEにおける記録モードの設定画面を、図16(b)は、ステートが“8”のメモリカードEにおける記録モードの設定画面を示す。
【0085】
図16に示す記録モードの設定画面は、ユーザが動画撮影時の記録画質を選択するときに表示される画面である。記録画質の選択肢としては、“エコノミー”、“ノーマル”、“ファイン”、“スーパーファイン”の4種類があり、後者になる程、動画データの記録ビットレートが高くなり、より高画質で動画データを記録することが可能となる。
【0086】
本例では、メモリカードEにおいてステート“6”よりもステート“8”のときの方がより高速にデータを記録することが可能であると仮定する。この場合、メモリカードEのステート“6”に対応する図16(a)では、低速なデータ記録しかできないため、記録ビットレートが低い“エコノミー”、“ノーマル”のみが選択可能であり、“ファイン”、“スーパーファイン”は選択することができないように表示がなされる。一方、メモリカードEのステート“8”に対応する図16(b)では、低速に加えて高速なデータ記録も可能であるため、全ての記録モードが選択可能となるように表示がなされる。このように、各ステートのアクセス性能をアクセス装置が取得できるようにすることで、アクセス装置において各ステートに応じて処理内容を変更することが可能となる。
【0087】
図16では、アクセス装置がステートと一対一に対応する性能情報のみを取得する場合の例について説明したが、アクセス装置がステートに関わらず、全ステートにおける性能情報を一括して取得するようにしてもよい。図17を用いて、性能情報を一括して取得する場合の例を説明する。
【0088】
図17は、図12と同様の、領域切り替え処理のために表示される領域切り替え画面である。図17の画面が図12の画面と異なる点は、各領域に対して許される録画可能モードを表示している点である。アクセス装置1は図17の領域切り替え画面を表示する際に、メモリカードの全ての性能情報格納部から性能情報を取得する。性能情報の一括取得においては、1つのコマンドで全性能情報をリスト形式で取得しても良いし、1つの性能情報を取得するコマンドを複数回実行することで取得しても良い。取得した性能情報に基づいて、各ステートにおいてサポート可能な録画可能モードを決定し、決定した録画モードの名称を領域切り替え画面に表示する。このように使用可能な録画可能モードの名称を領域切り替え前に表示することにより、ユーザは領域切り替え後に使用可能な録画モード予め認識することが可能であり、領域選択の一つの指標として役立てることができる。
【0089】
以上のように、本発明のメモリカードはカードの種別、状態等を一意に判別可能なステートを格納するステート格納部に加えてさらに、各ステートに応じたメモリカードの性能情報を格納する性能情報格納部を有し、ステートの切り替えと同時に有効な性能情報格納部を切り替え、現在のステートにおける性能情報を変化させる。このように性能情報格納部を切り替えることにより、各ステートに応じたアクセス性能をアクセス装置が取得することが可能となり、各ステートに応じて処理内容を変更することが可能となる。
【0090】
なお、図15で記載した性能情報は一例であり、単位時間当たりのデータ転送量や、単位データ量の転送に必要な処理時間等、各ステートに応じて変化するメモリカードのアクセス性能を示す値であれば、別の表現方法を用いても良い。また、アクセス性能を直接的に表現する値を格納するのではなく、特定のアクセス性能を示すフラグを格納しても良い。例えば、入力クロック25MHz、アクセス単位16KBと仮定した場合のライト性能値が2MB/sec以上のカードを“クラス1”、4MB/sec以上のカードを“クラス2”と定め、“クラス1”、“クラス2”を識別するフラグを性能情報格納部に格納しても良い。更に、性能情報格納部34、…に格納する情報量が少ない場合、性能情報を格納する領域としてカード情報格納部32、…の一部の領域を使用することも可能である。
【0091】
また、上記の各実施形態では、メモリカードの種別、状態を示す情報は、メモリカード内の所定の領域であるステート格納部に格納され、ステート格納部からアクセス装置1に供給される例を説明したが、このステート格納部を物理スイッチで構成してもよい。つまり、メモリカードの種別、状態を示す情報を、メモリカードに物理的に設けられたスイッチにより切り替えられるようにしてもよい。メモリカードは物理スイッチの状態に基づいてステートの情報をアクセス装置に送り、また、有効なカード情報格納部を認識する。物理スイッチは、複数の状態を切り換えられるものであればよく、ダイヤル式スイッチ、スライド式スイッチ、ディップスイッチ等を含む。例えば、図18に示すようなディップスイッチ190をメモリカード外部に設け、ステートの値を切り替えられるようにしてもよい。
【0092】
図19は、物理スイッチによりステート切り替えを行うメモリカードであってタイプDのものについての「領域切り替え」画面の表示例を示した図である。物理スイッチによりステート切り替えを行う場合は、このように、手動によるスイッチの切り替え設定を行う必要がある旨をユーザに通知する必要がある。メモリカードDは物理スイッチの設定に基づきステートを認識し、有効なカード情報格納部を指定する情報を書き換えるとともに、アクセス装置1に対して物理スイッチの設定に基づいたステート情報を送信する。アクセス装置1は、物理スイッチの設定に基づいてメモリカードから送信されたステートの情報に基づいて、メモリカードのステートを認識する。なお、メモリカードの種別がタイプC、Eの場合、領域切り替えにより新たにフォーマットが生じる場合がある。この場合、物理スイッチの設定と、メモリカード内部の設定との間で不整合が生じるおそれがあるので、アクセス装置1は、物理スイッチの設定と、メモリカード内部の設定(情報)との間で不整合を検出したときは、その旨をユーザに通知するとともに、物理スイッチの設定に合致するよう、メモリカード内部の設定を書き換えるようにするのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係るメモリカード及びアクセス装置は、メモリカードの種別、状態を一意に判別可能な識別子をメモリカード内に格納し、アクセス装置が識別子を取得してメモリカードの種別、状態に応じて処理内容を変更することにより、各メモリカードに応じた適切な処理をユーザに提供することが可能となる。よって、本発明は、音楽コンテンツや動画コンテンツ等のデジタルデータを格納する記録媒体や、デジタルスチルカメラや携帯電話端末、メモリカードムービー、オーディオプレーヤ、PC、PDA等の技術分野に利用できる。
【0094】
本発明は、特定の実施形態について説明されてきたが、当業者にとっては他の多くの変形例、修正、他の利用が明らかである。それゆえ、本発明は、ここでの特定の開示に限定されず、添付の請求の範囲によってのみ限定され得る。なお、本出願は日本国特許出願、特願2004−127813号(2004年4月23日提出)に関連し、それらの内容は参照することにより本文中に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納データをファイルシステムにより管理し、アクセス装置からデータの読み出し、書き込みが可能なメモリカードであって、
データが記録され、独立したファイルシステムにより管理される1つ以上の記録領域と、
メモリカードの種別と状態の組み合わせ毎に割り当てられ、前記組み合わせを一意に判別可能とするステートを保持するステート格納部と、
前記メモリカードが取り得るステートの数だけ設けられ、前記記録領域に関する物理的な特性を格納するカード情報格納部と
を具備することを特徴とするメモリカード。
【請求項2】
前記記録領域及び前記カード情報格納部の数はそれぞれ1であり、
前記ステート格納部に保持されたステートの取得、解釈が可能なアクセス装置からアクセスされた場合、前記記録領域の全領域に対するアクセスを許可し、
前記ステート格納部に保持されたステートの取得、解釈が不可能なアクセス装置からアクセスされた場合、前記記録領域に対するアクセスを禁止することを特徴とする請求項1に記載のメモリカード。
【請求項3】
前記記録領域の数は1であり、
前記カード情報格納部は第1のカード情報格納部と第2のカード情報格納部とを有し、
前記メモリカードは、第1のステートまたは第2のステートを取ることが可能であり、
前記メモリカードが第1のステートである場合、前記第1のカード情報格納部をアクセス装置から参照可能とし、前記第1のカード情報格納部に格納されている物理的な特性に応じて前記記録領域へのアクセスを許可し、
前記メモリカードが第2のステートである場合、前記第2のカード情報格納部をアクセス装置から参照可能とし、前記第2のカード情報格納部に格納されている物理的な特性に応じて前記記録領域へのアクセスを許可する
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリカード。
【請求項4】
前記記録領域は第1の記録領域と第2の記録領域を有し、
前記カード情報格納部は第1のカード情報格納部と第2のカード情報格納部を有し、
前記メモリカードは、第1のステートまたは第2のステートを取ることが可能であり、
前記メモリカードが第1のステートである場合、前記第1のカード情報格納部をアクセス装置から参照可能とし、前記第1のカード情報格納部に格納されている物理的な特性に応じて前記第1の記録領域へのアクセスを許可し、
前記メモリカードが第2のステートである場合、前記第2のカード情報格納部をアクセス装置から参照可能とし、前記第2のカード情報格納部に格納されている物理的な特性に応じて前記第2の記録領域へのアクセスを許可する
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリカード。
【請求項5】
前記記録領域は第1の記録領域と第2の記録領域を有し、
前記カード情報格納部は、第1のカード情報格納部と、第2のカード情報格納部と、第3のカード情報格納部とを有し、
前記ステート格納部に保持され得るステートの数は3であり、
前記メモリカードが第1のステートにある場合、前記第1のカード情報格納部をアクセス装置から参照可能とし、前記第1のカード情報格納部に格納されている物理的な特性に応じて前記第1の記録領域へのアクセスを許可し、
前記メモリカードが第2のステートにある場合、前記第2のカード情報格納部をアクセス装置から参照可能とし、前記第2のカード情報格納部に格納されている物理的な特性に応じて前記第2の記録領域へのアクセスを許可し、
前記メモリカードが第3のステートにある場合、前記第3のカード情報格納部をアクセス装置から参照可能とし、前記第3のカード情報格納部に格納されている物理的な特性に応じて前記第1の記録領域及び第2の記録領域の双方へのアクセスを許可する
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリカード。
【請求項6】
さらに、メモリカードの転送レートに関するアクセス性能を示す性能情報をメモリカードのステート毎に格納する性能情報格納部を、前記ステート格納部に保持されるステートの数と同数だけ備えることを特徴とする請求項1記載のメモリカード。
【請求項7】
前記性能情報格納部に格納された性能情報のうち、メモリカードのステートに対応する性能情報のみをアクセス装置から参照可能とすることを特徴とする請求項6に記載のメモリカード。
【請求項8】
前記性能情報格納部に格納された性能情報の全ては、メモリカードのステートに関わらず、アクセス装置から参照可能とすることを特徴とする請求項6に記載のメモリカード。
【請求項9】
前記ステート格納部は物理スイッチであることを特徴とする請求項1に記載のメモリカード。
【請求項10】
メモリカードにアクセスするアクセス装置であって、
前記メモリカードを装着するカードスロットと、
ユーザからの指示を受けとる操作部と、
前記メモリカードやアクセス装置の状態、ユーザが指定可能な処理の一覧等を表示する表示部と、
メモリカードの種別、状態を一意に判別可能なステートを前記メモリカードから取得し、該取得したステートに基づいて前記メモリカードの種別、状態を判定するステート判定部と、
前記ステート判定部の判定結果を参照し、前記メモリカードのステートに応じた処理を実行するステート依存処理部と、
前記操作部からの入力に応じて、前記メモリカードに対し、データの読み出しもしくは書き込み処理を含む所定の処理を実施するメイン処理部と
を備えたことを特徴とするアクセス装置。
【請求項11】
前記ステート判定部は、メモリカードの種別、メモリカードのアクセス領域、メモリカードの容量、メモリカードの取り得るステート数、ステート切り替え時のフォーマットの要否、及びファイルシステムの種別をステート毎に含むステート一覧表を具備することを特徴とする請求項10に記載のアクセス装置。
【請求項12】
前記メモリカードから、前記ステートに加えてさらに、転送レートに関するメモリカードのアクセス性能を示す性能情報を取得することを特徴とする請求項10記載のアクセス装置。
【請求項13】
前記メモリカードから、メモリカードのステートに対応する性能情報のみを取得することを特徴とする請求項12に記載のアクセス装置。
【請求項14】
前記メモリカードから、メモリカードのステートに関わらず全ての性能情報を取得することを特徴とする請求項12に記載のアクセス装置。
【請求項15】
アクセス装置にメモリカードが装着されたときに、前記メモリカードを初期化するステップと、
前記メモリカードから前記メモリカードの種別、状態を一意に判別可能なステートを取得するステップと、
前記アクセス装置に対するユーザの処理要求が前記ステートに依存する要求であるか否かを判定するステップと、
該判定結果に基づき、前記処理要求がステートに依存する場合、前記取得したステートを参照して、メモリカードに対し、メモリカードのステートに応じた処理を実行するステップと
を有することを特徴とするメモリカードの処理方法。
【請求項16】
前記メモリカードから、メモリカードの転送レートに関するアクセス性能を示す性能情報を取得するステップを含むことを特徴とする請求項15記載のメモリカードの処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【国際公開番号】WO2005/104021
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【発行日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−512530(P2006−512530)
【国際出願番号】PCT/JP2005/007386
【国際出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】