説明

メモリーカードの誤挿入防止装置

【課題】部品コストや組立工数をアップすることなく、簡単な構成でカードの挿入方向を間違えてしまってもカードコネクタ端子の損傷を防止可能なメモリーカードの誤挿入防止装置を提供すること。
【解決手段】矩形の平面形状からなり、長辺方向の前面端には接続端子を有し、対向する面の長辺方向の1辺には平面から突出する突条部を有するメモリーカードと接続端子に接続される端子1aを有するカードコネクタ1とメモリーカードを排出するためのカードスロット3とカードコネクタ及びカードスロットを支持するカードスロット支持部材4とからなるメモリーカード装置であって、メモリーカード装置のコンパクトフラッシュカードTYPEIの挿入間口寸法は、前記コンパクトフラッシュカードTYPEIに形成される突条部よりも小さくなるようにカードスロット支持部材に凸部4aを有することを特徴とする構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクトフラッシュ等のメモリーカードを記録媒体として用い、メモリーカードがカードコネクタに対し誤挿入されてもカードコネクタの端子部が損傷しないように誤挿入防止機構を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばデジタルカメラ等の装置において、撮影データの保存をするために着脱式の記録媒体が広く用いられている。
【0003】
こうした記録媒体としては、樹脂や金属によってその平面形状が矩形のカード状に形成されたパッケージ内にランダムアクセスメモリ(RAM)を収容し、その挿入方向に沿った前端部側にカードコネクタと電気的接続をするための接続端子を有する記録メディアを用いることが知られている。
【0004】
このような記録メディアとして、コンパクトフラッシュメモリーカード(サンディスクコーポレーションの登録商標、以下CFカードと呼ぶ)が広く知られている。
【0005】
CFカードは挿入方向に沿った長さよりも、挿入方向と直交する方向の幅のほうが大きい形状となっているため、これが挿入されるカードスロットに対して、正しい挿入方向に対して約90度回転させても挿入できてしまう。
【0006】
CFカードが搭載される電子機器にはこうした誤挿入を防止するために、カードスロット蓋やカードスロット部の入口近傍に、正しい挿入方向の表示が設けられているが、表示スペース自体が限られ、また、ユーザがこれに対して十分注意しない場合もあり、誤った方向からの挿入を防止することはできない。
【0007】
誤った方向からを挿入すると、カードスロット内に設けられたカードコネクタの端子がCFカードとの干渉によって変形や破損する恐れがあり、変形や破損した場合は、CFカードがカードコネクタに接続できなくなるためデータの保存ができなくなってしまう。
【0008】
このような誤挿入対策として例えば特許文献1記載の提案がなされている。
【0009】
本文献ではCFカード誤挿入防止用の誤挿入防止バネを設け、CFカードが正しく挿入されると誤挿入防止バネが回避することでCFカードの装着が可能となり、CFカードを誤った方向で挿入すると誤挿入防止バネが回避しないためCFカードがCFカード誤挿入防止バネに引っ掛かり装着ができなくするというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006-195774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1記載の誤挿入防止装置は誤挿入対策として専用の部品が必要であるため、部品コストや組立工数がアップしてしまい製品コストが上がってしまう問題があった。
【0012】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであって、部品コストや組立工数をアップすることなく、簡単な構成でカードの挿入方向を間違えてしまってもカードコネクタ端子の損傷を防止可能なメモリーカードの誤挿入防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、矩形の平面形状からなり、長辺方向の前面端には接続端子(100c)を有し、対向する面の長辺方向の1辺には前記平面から突出する突条部(100a)を有するメモリーカード(100)と前記接続端子(100c)に接続される端子(1a)を有するカードコネクタ(1)と前記メモリーカード(100)を排出するためのカードスロット(3)と前記カードコネクタ(1)及びカードスロット(3)を支持するカードスロット支持部材(4)とからなるメモリーカード装置であって、
前記メモリーカード装置の前記コンパクトフラッシュカードTYPEI(100)の挿入間口寸法(Gap−a)は、前記コンパクトフラッシュカードTYPEI(100)に形成される突条部(100a)よりも小さくなるように前記カードスロット支持部材に凸部(4a)を有することを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するために、請求項2記載の本発明は、矩形の平面形状からなり、長辺方向の前面端には接続端子(100c)を有し、対向する面の長辺方向の1辺には前記平面から突出する突条部(100a)を有するメモリーカード(100)と前記接続端子(100c)に接続される端子(1a)を有するカードコネクタ(1)と前記メモリーカード(100)を排出するためのカードスロット(3)と前記カードコネクタ(1)及びカードスロット(3)を支持するプリント基板(10)とからなるメモリーカード装置であって、
前記メモリーカード装置の前記コンパクトフラッシュカードTYPEI(1)の挿入間口寸法(Gap−a)は、前記コンパクトフラッシュカードTYPEI(100)に形成される突条部(100a)よりも小さくなるように前記プリント基板(10)に実装部品(12)が実装されていることを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するために、請求項3記載の本発明は、前記メモリーカード(100)はコンパクトフラッシュカードTYPEIに準拠したカードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の誤挿入防止装置によれば、カードスロット及びカードコネクタを支持する部材に誤挿入防止用の凸部を設けたことにより、部品コストや組立工数をアップすることなく簡単な構成でメモリーカードの誤挿入防止を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】CFカードTYPEIの三面図
【図2】メモリーカード誤挿入防止装置の斜視図及び断面図及び要所拡大図
【図3】メモリーカード誤挿入防止装置にCFカード100を挿入する場合に想定される挿入方向を示す図及び要所拡大図
【図4】第2の実施例によるメモリーカード誤挿入防止装置の斜視図及び断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
[実施例1]
以下、図1から図3を参照して、本発明の第1の実施例による、メモリーカードの誤挿入防止装置について説明する。
【0020】
図1は、CFカードTYPEIの三面図である。
【0021】
100はCFカード本体で、矩形の平面形状を有し後述するカードスロットに挿入される際の挿入方向に沿った長さ寸法Lよりも、これと直行する幅方向の寸法Wの方が大きく形成されている。また、挿入方向に沿った後端部側の辺に沿って、CFカード本体100の厚さT1よりも一方の面側に付き出した厚みT2からなる突条100aが形成されている。また、挿入方向に沿った前端部には後述するカードコネクタの端子と嵌合することで機器との電気的接続がなされる接続端子100cが設けられている。100bはカードスロットに設けられているキーと嵌合することで、カードコネクタの端子に前記接続端子100cを確実に導くためのキー溝である。
【0022】
以上、これら寸法L、寸法W、厚みT1及びT2、突条100a、キー溝100b、接続端子100cはCFA(CompactFlash Association)によって規格化されている。
【0023】
図2は本発明であるメモリーカード誤挿入防止装置で、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(b)のB部詳細図である。
【0024】
1はカードコネクタで、前記CFカード100の接続端子100cに嵌合する複数のコンタクトピンからなる端子1aを有している。2はフレキシブルプリント基板(以下フレキと呼ぶ)で、前記カードコネクタ1が実装され、先端部には本発明のメモリーカード誤挿入防止装置が組み込まれる不示図の電子機器の制御基板と接続されるコネクタ接続端子2aを有する。前記カードコネクタ1及び前記フレキ2によって電子機器の制御基板とCFカード100との通信がなされる。3は前記キー溝100bと嵌合する不示図のキーを有しCFカード100をカードコネクタ1に確実に導き、またカードコネクタ1に装着されたCFカード100を排出させるためのカードスロットである。3aは排出ボタン、3bは排出ボタン3aが取り付けられる排出アーム、3cは排出アーム3とリンクしている排出レバーで、CFカード100を排出する際には排出ボタン3aを押すことにより排出アーム3bが駆動し、排出アーム3cが回転軸3dを軸として回転駆動し、排出アーム3cと一体に形成された排出片3eによってCFカード100の接続端子100c面を押すことでCFカード100が排出される。4は前記カードコネクタ1が実装されたフレキ2及び前記カードスロット3を支持するための金属板からなるCFプレートである。フレキ2は取り付けビス5によってCFプレート4に固着され、カードスロット3は取り付けビス6によって間にCFプレート4を挟み不示図の電子機器筐体に固着される。また、CFプレート4はカードスロット3の開口近傍に凸部4aが一体に形成されており、前記凸部4aの突出量はカードスロット3とで成し得る隙間Gap−aが以下となるように形成されている。
【0025】
T2(CFカード100a厚み)>Gap−a≧T1(CFカード厚み)
図3は本発明であるメモリーカード誤挿入防止装置にCFカード100を挿入する場合に想定される挿入方向を示す図及びCFカード100が前記凸部4a近傍まで挿入された時の拡大図である。
【0026】
(a)は正常なCFカード100挿入方向を示す図である。(b)は正常にCFカード100が挿入された場合の前記凸部4a近傍部の拡大図である。
【0027】
正しい方向でCFカード100が挿入されると、前述したGap−aとCFカード100の厚みの関係からGap−aよりもCFカード100の厚み(T1)のほうが小さいためCFカード100は凸部4aに引っ掛かることなく挿入可能となる。
【0028】
(c)は正常なCFカード100の挿入方向に対してCFカード100を90度回転して挿入した状態を示す図である。(d)は正常なCFカード100の挿入方向に対してCFカード100を90度回転して挿入した場合の前記凸部4a近傍部の拡大図である。
【0029】
誤った方向でCFカード100が挿入されると、前述したGap−aとCFカード100の厚みの関係からGap−aよりもCFカード100aの厚み(T2)のほうが大きいため凸部4aでCFカード100が引っ掛かり、それ以上のCFカード100の挿入を防止することができる。つまりは、CFカード100はカードコネクタ1の端子1aまで届くことはないので端子1aの損傷を防止することが可能となる。
【0030】
[実施例2]
前述の実施形態ではカードコネクタをフレキに実装し、金属板であるCFプレートに固定するようになっているが、実施例2としてはカードコネクタの実装をリジット基板(以下基板と呼ぶ)にした場合について説明する。
【0031】
以下、図4を参照して本発明の第2の実施例によるメモリーカード誤挿入防止装置について説明する。(a)はメモリーカード誤挿入防止装置を示す斜視図、(b)は(a)のC−C断面拡大図である。尚、前記実施形態と同一部材については同一記号を記すと共に詳細説明は割愛する。
【0032】
図中、10はリジット基板からなる基板で、カードコネクタ1と後述説明するフレキコネクタ11及びオンボードプレート12が実装されている。尚、カードコネクタ1には実施例1と同様にカードスロット3が取り付けられる。これらメモリーカード誤挿入防止装置は取り付けビス13によって不示図の電子機器筐体に固着される。
【0033】
フレキコネクタ11には不示図の電子機器の制御基板に接続されるフレキが取り付けられ、これによって電子機器の制御基板とCFカード100との通信がなされる。尚、フレキコネクタに限定されるものではなく、例えばBtoBコネクタ或いは細線同軸等のハーネスでもよい。オンボードプレート12は自動実装対応の金属板であり、実装後のカードスロット3とで成し得る隙間Gap−aを以下となるようにするための部材である。
【0034】
T2(CFカード100a厚み)>Gap−a≧T1(CFカード厚み)
これによって、実施例1と同様にCFカード100を誤った方向で挿入しても、前述したGap−aとCFカード100の厚みの関係からGap−aよりもCFカード100aの厚み(T2)のほうが大きいためオンボードプレート12でCFカード100が引っ掛かり、それ以上のCFカード100の挿入を防止することができる。つまりは、CFカード100はカードコネクタ1の端子1aまで届くことはないので端子1aの損傷を防止することが可能となる。
【0035】
尚、本実施例ではCFカード100の誤挿入防止としてオンボードプレート12を実装しているが、これに限定されるものではなく、例えば基板10にレジスト開口を設けておき半田を盛ることで代用としても良い。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 カードコネクタ
2 フレキ
3 カードスロット
4 カードスロット支持部材
4a 凸部
Gap−a メモリーカード装置の挿入間口寸法
100 CFカード
100a 突条部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の平面形状からなり、長辺方向の前面端には接続端子(100c)を有し、対向する面の長辺方向の1辺には前記平面から突出する突条部(100a)を有するメモリーカード(100)と前記接続端子(100c)に接続される端子(1a)を有するカードコネクタ(1)と前記メモリーカード(100)を排出するためのカードスロット(3)と前記カードコネクタ(1)及びカードスロット(3)を支持するカードスロット支持部材(4)とからなるメモリーカード装置であって、
前記メモリーカード装置の前記コンパクトフラッシュカードTYPEI(100)の挿入間口寸法(Gap−a)は、前記コンパクトフラッシュカードTYPE(100)に形成される突条部(100a)よりも小さくなるように前記カードスロット支持部材に凸部(4a)を有することを特徴とするメモリーカードの誤挿入防止装置。
【請求項2】
矩形の平面形状からなり、長辺方向の前面端には接続端子(100c)を有し、対向する面の長辺方向の1辺には前記平面から突出する突条部(100a)を有するメモリーカード(100)と前記接続端子(100c)に接続される端子(1a)を有するカードコネクタ(1)と前記メモリーカード(100)を排出するためのカードスロット(3)と前記カードコネクタ(1)及びカードスロット(3)を支持するプリント基板(10)とからなるメモリーカード装置であって、
前記メモリーカード装置の前記コンパクトフラッシュカードTYPE(1)の挿入間口寸法(Gap−a)は、前記コンパクトフラッシュカードTYPE(100)に形成される突条部(100a)よりも小さくなるように前記プリント基板(10)に実装部品(12)が実装されていることを特徴とするメモリーカードの誤挿入防止装置。
【請求項3】
前記メモリーカード(100)はコンパクトフラッシュカードTYPEに準拠したカードであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のメモリーカードの誤挿入防止装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−185958(P2012−185958A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47197(P2011−47197)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】