説明

メラミン樹脂化粧板の製造方法

【課題】抜けやムラが生じることなく、平面部分が白っぽくなることの無い、表面保護層を有したり、凹部に着色インキを充填させたりしたメラミン樹脂化粧板の製造方法を提供すること。
【解決手段】上下の加熱加圧用盤間に、下側から耐熱クッションシート、離型シート、バッカー紙とコア紙とメラミン樹脂含浸紙とオーバーレイ紙からなるメラミン樹脂化粧シート、凹凸賦型シート、耐熱クッションシートを少なくともこの順に積層し、加熱加圧後に冷却してメラミン樹脂を硬化させ、前記離型シートと前記賦型シートとから前記メラミン樹脂化粧シートを取り出した後、前記メラミン樹脂化粧シートを、支持板の上に平置した状態で硬化型樹脂を塗布することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具、器物の表面や建築物の内装材、床材、車両、航空機等に用い、特に天板の表面等に使用するメラミン樹脂化粧板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メラミン樹脂化粧板、一般には高圧メラミン樹脂化粧板と呼ばれるものは、複数の化粧紙用紙をメラミン樹脂を含浸した状態で加熱加圧してメラミン樹脂と化粧紙を一体硬化させてなるものである。しかしながら厚みが数ミリ程度しかないので、反りが生じやすく、成形後に、表面保護層を設けたり、賦型シートにより設けた凹部に着色インキを充填させるなどの処理を行うと、抜けやムラが生じやすかった。
【0003】
また、平面の賦型シートや鏡面板により表面を鏡面状としようとしても、表面に微細な凹凸やクラックが発生しやすいため、白っぽくなりやすかった。
【特許文献1】特開平02−207871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の技術における上記した様な問題点を解決すべくなされたものであり、その課題とするところは、、抜けやムラが生じることなく、平面部分が白っぽくなることの無い、表面保護層を有したり、凹部に着色インキを充填させたりしたメラミン樹脂化粧板の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこの課題を解決するものであり、すなわち請求項1記載の発明は、上下の加熱加圧用盤間に、下側から耐熱クッションシート、離型シート、バッカー紙とコア紙とメラミン樹脂含浸紙とオーバーレイ紙からなるメラミン樹脂化粧シート、凹凸賦型シート、耐熱クッションシートを少なくともこの順に積層し、加熱加圧後に冷却してメラミン樹脂を硬化させ、前記離型シートと前記賦型シートとから前記メラミン樹脂化粧シートを取り出した後、前記メラミン樹脂化粧シートを、厚み4.5〜20mmで曲げ強度が5.0N/mm以上の中密度繊維板やハードボード、厚み4.5〜20mmで曲げ強度が8.0N/mm以上のパーティクルボー、厚み1〜10mmのアルミ板や厚み1〜5mmのステンレス板、のいずれかからなる支持板の上に平置した状態で硬化型樹脂を塗布し、硬化後さらにその表面に表面保護層を設けることを特徴とするメラミン樹脂化粧板の製造方法である。
【0006】
またその請求項2記載の発明は、上下の加熱加圧用盤間に、下側から耐熱クッションシート、離型シート、バッカー紙とコア紙とメラミン樹脂含浸紙とオーバーレイ紙からなるメラミン樹脂化粧シート、凹凸賦型シート、耐熱クッションシートを少なくともこの順に積層し、加熱加圧後に冷却してメラミン樹脂を硬化させ、前記離型シートと前記賦型シートとから前記メラミン樹脂化粧シートを取り出した後、前記メラミン樹脂化粧シートを、厚み4.5〜20mmで曲げ強度が5.0N/mm以上の中密度繊維板やハードボード、厚み4.5〜20mmで曲げ強度が8.0N/mm以上のパーティクルボー、厚み1〜10mmのアルミ板や厚み1〜5mmのステンレス板、のいずれかからなる支持板の上に平置した状態で着色インキを塗布し、余分なインキを掻き落として凹部に着色インキを充填させることを特徴とするメラミン樹脂化粧板の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1、2記載の発明により、表面保護層となる樹脂を塗布する際や凹部に着色インキを埋め込む際に、メラミン樹脂化粧シートを、厚み4.5〜20mmで曲げ強度が5.0N/mm以上の中密度繊維板やハードボード、厚み4.5〜20mmで曲げ強度が8.0N/mm以上のパーティクルボー、厚み1〜10mmのアルミ板や厚み1〜5mmのステンレス板、のいずれかからなる支持板の上に平置した状態で行うことで、前記ワイピング層又は及び表面保護層を設けるときに、メラミン樹脂化粧板の下にメラミン樹脂化粧板を平坦にするための支え板を設けることにより、反りが生じやすいメラミン樹脂化粧板を平坦にする事により、塗りムラ、スジなどが生じにくくなるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。図1に本発明のメラミン樹脂化粧板の製造方法における上下の加熱加圧用盤間に積層した状態を示す。上下の加熱加圧用盤間1,1’の間に、耐熱クッションシート2、離型シート3、バッカー紙4とコア紙5とメラミン樹脂含浸紙6とオーバーレイ紙7からなるメラミン樹脂化粧シート8、賦型シート9、鏡面板10、耐熱クッションシート2’を積層してなる。
【0009】
上下の加熱加圧用盤1、1’、耐熱クッションシート2、2’としては、後述する本発明の製造方法における加熱加圧に耐えうる構造のものであれば良く、特に限定するものではない。
【0010】
離型シート3としては、下部の耐熱クッションシート2へのメラミン樹脂の付着を防止するものであれば良く、特に限定するものではない。
【0011】
バッカー紙4としては、坪量55〜160g/mのチタン紙にメラミン樹脂を40〜100%含浸し、乾燥した含浸紙であり、化粧板の表面となるメラミン樹脂含浸紙52やオーバーレイ紙51とバランスをとり、化粧板のソリ防止の役割をはたすものであれば良く、特に限定するものではない。
【0012】
コア紙5としては、51はコアー紙であり、坪量140〜180g/mの紙にフェノール樹脂を30〜60%含浸し、乾燥したものが用いられる。コア紙5はメラミン樹脂化粧板の厚さを決定するもので、概ね4〜5枚を重ねて使用するのが好ましいが、特に限定するものではない。
【0013】
メラミン樹脂含浸紙6としては、坪量55〜160g/mのチタン紙に場合により柄模様を印刷し、メラミン樹脂を40〜100%含浸し、乾燥したものであれば良く、特に限定するものではない。
【0014】
メラミン樹脂としては従来から熱硬化性化粧板において用いられているものから適宜選択して使用できるが、特に比較的低圧で短時間の加熱で硬化し、しかも加圧したままでの冷却を必要としないホットホット方式対応の所謂ショートサイクル用メラミン樹脂が、大量生産に適し製造コストも低減可能な点から好ましい。
【0015】
オーバーレイ紙7としては、53はオーバーレイ紙で、坪量25〜45g/mのレーヨンパルプや不織布にメラミン樹脂を40〜100%含浸し、乾燥した透明樹脂含浸紙であれば良く、特に限定するものではない。
【0016】
賦型シート9としては、前記メラミン樹脂化粧板8やジアリルフタレート樹脂化粧板等の加熱加圧を必要とする化粧板を製造するに際し、その表面に重ねて、化粧板表面に凹凸とを設けるのに使用することができるものであればよく、特に限定されるものではないが、具体的には任意の基材シートに熱可塑性樹脂を凹凸を設けて押出したものが好適であり、熱可塑性樹脂としては例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテンなどが使用可能である。基材シートとしては紙、ポリエステルフィルムあるいはこれらの積層シートなどが使用可能である。
【0017】
鏡面板10としては、下側の表面はメラミン樹脂とは直接接触せず、メラミン樹脂含浸紙52との間に賦型シート3があるため、十分研磨されたものである必要はない。
【0018】
本発明のメラミン樹脂化粧板の製造方法においては、図1の状態に積層し、最高温度140〜150℃、圧力8〜10MPa、時間15〜30分間加熱加圧成形し、加圧したままで冷水にて15〜60分間冷却することによりメラミン樹脂を硬化させて一体化したメラミン樹脂化粧板8を得ることができる。硬化の際、流動した樹脂により凹凸が再現される。
【0019】
図2に、本発明におけるメラミン樹脂化粧板の一実施例の断面の構造を示す。
一体成形されたメラミン樹脂化粧シート8の凹部にワイピングにより着色インキ11を有し、表面全面に表面保護層12を有する。
【0020】
ワイピングにより設けられる着色インキ11としては、硝化綿系、酢酸セルロース系、塩酢ビ系、アクリル系、ブチラール系、塩素化ポリオレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、塩化ゴム系等のインキから選択することができる。
【0021】
本発明の特徴となる、ワイピングや表面保護層を設ける際にメラミン樹脂化粧シート8を平置する支持板としては、厚み4.5〜20mmで曲げ強度が5.0N/mm以上の中密度繊維板やハードボード、厚み4.5〜20mmで曲げ強度が8.0N/mm以上のパーティクルボー、厚み1〜10mmのアルミ板や厚み1〜5mmのステンレス板などのものが用いられる。これらであれば、ワイピング層又は及び表面保護層を設けるときに、塗りムラ、スジなどを生じることがない。
【実施例1】
【0022】
<賦型シートの製造>
坪量60g/mの上質紙に、押出し温度320℃で、ポリメチルペンテン樹脂を、厚さ220μmに押出しラミネートした。ポリメチルペンテン樹脂がおよそ70〜110℃になった時点で、上記凹凸シートを圧着し、ニップロールと冷却ロール間で加圧すると共に冷却した。十分に冷却した後、凹凸シートのみを剥離除去して、賦型シート3を製造した。賦型シートのポリメチルペンテン樹脂層には、凹凸を反転した形状の凹凸が忠実に再現された。
【0023】
<メラミン樹脂化粧シートの製造>
図1に示すように、下部熱盤上に順に耐熱クッションシート、離型シート、バッカー紙、4枚のフェノール樹脂含浸コアー紙、坪量80g/mのチタン紙(紀州製紙(株)製:「OKE80」)にオーク柄を印刷し、水溶性メチロールメラミン樹脂(日本カーバイド工業(株)製:「ニッカレジンS−260」)を含浸した含浸紙、オーバーレイ紙を重ね、更に賦型シート、鏡面板、耐熱クッションシートを重ね、上部熱盤により加熱加圧した。加熱は最高温度140℃、圧力は8MPa、時間は20分である。次いで加圧したまま冷水で40分冷却し、メラミン樹脂化粧シートを取り出した。出来上がったメラミン樹脂化粧シートは、バッカー紙、コアー紙、樹脂含浸紙、オーバーレイ紙がメラミン樹脂やフェノール樹脂の硬化で一体化したもので、その表面にオーク柄木目導管模様の凹凸が正確に形成された。
【0024】
<メラミン樹脂化粧板の製造>
厚み4.5mm幅1200mm長さ1800mmで曲げ強度が32N/mmの中密度繊維板上に前記メラミン樹脂化粧シートを置き、着色インキとして一液ウレタン樹脂系インキ(東洋インキ製造(株)製:「V351UR−T」)をメラミン樹脂化粧板表面にワイピングによりを塗工した後、スキージーにて余分なインキを掻き落とした後、表面保護層として2液ウレタン樹脂(大谷塗料(株)製:「ウレタンフラット」)を乾燥後の塗布量で10g/mとなるように設けて、ライン速度5/分、50℃の雰囲気で10分程度乾燥養生させて、本発明のメラミン樹脂化粧板を得た。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のメラミン樹脂化粧板の製造方法における上下の加熱加圧用盤間に積層した状態を示す説明図である。
【図2】本発明におけるメラミン樹脂化粧板の一実施例の断面の構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1、1’…加熱加圧用盤間
2、2’…耐熱クッションシート
3…離型シート
4…バッカー紙
5…コア紙
6…メラミン樹脂含浸紙
7…オーバーレイ紙
8…メラミン樹脂化粧シート
9…賦型シート
10…鏡面板
11…着色インキ
12…表面保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下の加熱加圧用盤間に、下側から耐熱クッションシート、離型シート、バッカー紙とコア紙とメラミン樹脂含浸紙とオーバーレイ紙からなるメラミン樹脂化粧シート、凹凸賦型シート、耐熱クッションシートを少なくともこの順に積層し、加熱加圧後に冷却してメラミン樹脂を硬化させ、前記離型シートと前記賦型シートとから前記メラミン樹脂化粧シートを取り出した後、前記メラミン樹脂化粧シートを、厚み4.5〜20mmで曲げ強度が5.0N/mm以上の中密度繊維板やハードボード、厚み4.5〜20mmで曲げ強度が8.0N/mm以上のパーティクルボー、厚み1〜10mmのアルミ板や厚み1〜5mmのステンレス板、のいずれかからなる支持板の上に平置した状態で硬化型樹脂を塗布し、硬化後さらにその表面に表面保護層を設けることを特徴とするメラミン樹脂化粧板の製造方法。
【請求項2】
上下の加熱加圧用盤間に、下側から耐熱クッションシート、離型シート、バッカー紙とコア紙とメラミン樹脂含浸紙とオーバーレイ紙からなるメラミン樹脂化粧シート、凹凸賦型シート、耐熱クッションシートを少なくともこの順に積層し、加熱加圧後に冷却してメラミン樹脂を硬化させ、前記離型シートと前記賦型シートとから前記メラミン樹脂化粧シートを取り出した後、前記メラミン樹脂化粧シートを、厚み4.5〜20mmで曲げ強度が5.0N/mm以上の中密度繊維板やハードボード、厚み4.5〜20mmで曲げ強度が8.0N/mm以上のパーティクルボー、厚み1〜10mmのアルミ板や厚み1〜5mmのステンレス板、のいずれかからなる支持板の上に平置した状態で着色インキを塗布し、余分なインキを掻き落として凹部に着色インキを充填させることを特徴とするメラミン樹脂化粧板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−168601(P2008−168601A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6428(P2007−6428)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(593173840)株式会社トッパン・コスモ (243)
【Fターム(参考)】