説明

モジュラー式ステント及びステントの製造方法

【課題】
【解決手段】体腔内介入法、再構築、又は治療の分野にて適用するために、モジュラー式医療装置及び装置のセグメントを製造する製造方法が提供される。この方法は、金属射出成形する工程及びモジュラー化の工程を含み、装置の製造可能性を向上させ且つ(又は)装置に対する設計上の選択範囲を拡大する。本発明の方法により製造されるモジュラー式医療装置及びそれらのセグメントは、体腔内治療の汎用性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュラー式(modulated)ステント、及びステントを製造する方法に関する。ステントのセグメントは、ステントの設計の汎用性を増し、上記ステントモジュラー化における能力を許容し、ステントの従来の製造過程にて一般に遭遇する変動を減少させる金属射出成形工程により製造されている。
【背景技術】
【0002】
人間又はその他の動物の身体には、色々な管状又は体腔構造体(全体的に「体腔」)がある。かかる体腔の例は、脈管及び神経脈管血管、気管支、胆管、肝臓管、膵管、胃、食道、結腸、回腸、空腸、直腸、尿道、耳道及び耳管、涙管、鼻涙管、副鼻道である。これらの体腔は、栄養物及び老廃物を貯え、又は栄養物及び老廃物を器官の間にて又は身体外に又は身体外から輸送する機能を果たす。体腔内を栄養物又は老廃物が制限されずに流れることは、身体の健康を維持する上にて必須である。
【0003】
老化、ライフスタイル(例えば、食習慣、運動の習慣、生活及び仕事環境)、病気(例えば、悪性腫瘍、狭窄症)、負傷、外科手術又は薬物による効果は、体腔の閉塞、詰まり、狭小化又は潰れ(全体的に「閉塞」)を生じさせ、これにより命を維持するそれらの機能を低下させる。構造体内ステント挿入法は、閉塞を修復するため、場合によっては、その他の外科的(例えば、アブレーション、バルーン拡張、レーザ治療、又はアテローム切除術)又は非外科的方法と共に行われる良く認識された方法である。
【0004】
構造体内ステント挿入法において、非膨張状態又は圧縮した(ステントを治療箇所まで送り込むことを容易にすることを1つの理由として)ステントを送り込み、膨張させ且つ、閉塞箇所にて固定し、栄養物又は老廃物に対する通路を維持する。上述した機能を十分に果たすため、ステントは、全体として、次のこと、即ち、バルーンカテーテルのような展開器具に適合して(例えば、非膨張状態の形態から膨張した形態まで変化するのに必要な自己膨張可能な力又は最小力を有すること)蛇行経路を通じての展開の容易性(例えば、ステント構造にて最適な可撓性及び明確な放射線不透過性を有すること)、体腔からの半径方向圧縮力に耐え得るように膨張した形態を維持する能力(即ち、低又は零反発性)、ステントの有効寿命の全体に亙って十分な流れ容量を提供する能力(例えば、再狭窄症の防止可能性)、体腔に対する侵襲性の影響を回避し又は緩和する能力及び必要とされたとき、その他の治療法を提供する能力を考慮して設計される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ステントは、生物適合性金属又は非金属にて製造することができる。各種の金属ステント及び金属ステントを製造する方法に関する多数の特許が発行され又は出願が公告されている。ウォルステン(Wallsten)に対して発行された米国特許明細書4,655,771号には、糸状ワイヤーにて形成されたステントが開示されている。ステントは、収縮した形態にて展開され、その後、血管内にて解放されたとき、自己膨張する。メイヤー(Mayer)に対して発行された米国特許明細書5,628,787号には、編組の形態にて配置された多数のフィラメントにて形成されたクラッド複合ステントが開示されている。フィラメントの各々は、中央コアと、該コアを取り囲むケースとを有する。
【0006】
シュワルツ(Schwartz)他の者に対して発行された米国特許明細書5,651,174号には、ジグザグのパターンにて形成された平らなワイヤーバンドを提供する工程と、重合系フィルムを平らなワイヤーバンドに付与する工程と、バンド及び重合系フィルムを曲げて円筒状の形状体にする工程とによりステントを製造する方法が開示されている。リアン(Ryan)他の者に対して発行された米国特許明細書5,984,963号には、平坦な材料シートから切断した脈管内ステントが記載されている。該ステントは、また、ステントの管腔内に実質的に突き出さず、また、ステントの体積を著しく増大させない掛止機構も備えている。
【0007】
アチアイ(Acciai)その他の者に対して発行された米国特許明細書6,193,829号及び同一の出願人に対して公告された米国特許出願明細書US2001/0012960号には、2つのフィラメントにより接続されたステントが記載されている。フィラメントを接続するため接続材料のレーザ溶接又は射出成形法が使用される。ステントを形成する関連する方法及び装置も開示されている。ファーガン(Fagan)その他の者に対して発行された米国特許明細書6,206,915号には、内側管腔及び外側管腔と、内側部材及び外側部材の少なくとも一方に設けられ且つ、内側管腔と外側管腔との間にて摩擦嵌めを実現し得るよう空間を亙って伸びる少なくとも1つの突出部とを備えるステントが記載されている。該ステントは、また、内側部材と外側部材との双方を亙る孔パターンを含み、ステントが半径方向に膨張するのを許容する。
【0008】
ソロベイ(Solovay)その他の者に対して発行された米国特許出願明細書US2002/0138131号には、複数の支持要素を有するステントが記載されている。ステントは、第一及び第二の端末端と、端末端の間を伸びる長さとを有する。マクギィネス(McGuinness)に対して発行された欧州特許明細書EP1,208,814号には、複数のリングを有するよう製造された中空の円筒体を有する、金属管で製造したステントが開示されている。リングの各々は、円筒体の回りを周方向に伸びており、また、起伏を繰り返す一連の斜めの頂部及び谷部を有する。ジャリシィ(Jalisi)に対して発行された国際出願公開WO00/54704号には、金属クラッディング管内に配置された基層管を有する複合的ステントが開示されている。次に、積層管に対して、蓄積した応力を解放するため、熱処理を介在させた一連の圧延及び冷間引抜き工程が行われる。次に、仕上がった積層管を切断し又はエッチングしてステントパターンを形成する。
【0009】
上述した特許及び出願にて記載された金属ステントは、全体として、管状又は同様の形態をしており且つ、薄いシート金属、ワイヤー又は管により便宜に製造される。より具体的には、それらの構造体は、典型的に、反復的なセグメント、即ちクラウン部又はフープ部を有するように形成される、即ち、クラウン部又はフープ部の各々は、同一又は同様の設計パターンを有する。また、クラウン部又はフープ部は、従来通り、金属ワイヤー、管又はシート材料にて出来たリングの回路網を有する構造とされる。
【0010】
管状ステントをワイヤー、管又はシート材料から製造することは、面倒で且つ、多数の二次的工程を含むことがしばしばである。従って、最初の工程において、多数の細い部分(即ち、全体として、数1000分の1インチの直径又は厚さ)は、金属管又はシート材料から切断され又は金属ワイヤーから形成され又は溶接される。次に、通常、管又はワイヤーの細い部分から曲げることにより、所定の正弦波状パターンが形成される。次に、正弦波状部分を色々な箇所にてスポット溶接し、クラウン部の回路網を形成する。次に、必要な長さに依存して、幾つかの管状クラウン部を色々な箇所にて互いに溶接し、ステントを形成する。更に、所定のパターン及び特定の機械的必要条件を実現するため、心合せ、タンブリング、焼鈍、研磨、又は矯正のような関係した工程がしばしば実行される。治療した体腔(例えば、冠状又は頸動脈血管)の内径により制限されるため、クラウン部の寸法は小さいものと考えられる。更に、金属対動脈の比、及びストラッツの厚さを減少させ、細い血管内のステントの操作性及び性能を向上させることが常に要求されている。
【0011】
その結果、かかる小さいクラウン部及び細いストラッツを取り扱い且つ、心合せすることは、ステントの製造に本質的な障害となることが知られている。製造の変動(例えば、細い部分間の接続部間の心合せ外れ、レーザ又は焼鈍工程の結果として弱体化した接続部、研磨、タンブリング又は焼鈍による機械的性質又は一体性の変化、色々な工程工程により検出されず且つ、望ましくない残留物の発生)が生ずることは、ステントの製造メーカにとって等しく負担となる。その結果、製造時の変動を減少させ且つ、取り扱いを向上させる努力により生ずるコストは、ステントの全体コストの顕著な部分を占めることがしばしばである。高額な装置及び使い捨て型の製造装置は、生産能力及び製造収率を向上させるため費用の顕著な部分を占めることがしばしばである。このため、ステント製造時の取り扱いを向上させ且つ、変動を減少させ、最終的に、ステントの全体コストを低減する代替的な製造方法が必要とされている。
【0012】
従来のステント製造方法はまた、ステントの設計の革新的技術の導入を妨げているものとも考えられる。より認識し得ることは、ステント材料の選択は、ワイヤー、シート又は管の成形工程に適した金属群に制限されている。ワイヤー引抜き又は管/シート成形工程における冷間加工法は、既に制限されている選択範囲内での材料の性質に更に悪影響を与える可能性がある。ワイヤー、シート又は管の工程はステントを設計することが可能な特徴を制限する結果となっている。
【0013】
例えば、デュエリング(Duering)その他の者に対して発行された米国特許明細書6,503,271号には、捩れ又ははね返りを減少させ又は防止するためステントの設計が従うことを要する特徴上の制限が記載されている。ステントの設計における明確でない革新的技術(例えば、薬貯蔵リザーバ、結合パッド、相互係止パッド)は、金属ワイヤー、シート又は管を原材料として使用する分野にて殆ど活用されていないと考えられる。ステントの設計者は、可能な又はコスト効果のある製造技術を欠如するため、何らの選択肢を有さず、それらの革新的技術の着想を棚上げしていると考えられる。
【0014】
このため、ステントの製造と設計との間の調和(例えば、ステントの設計における一般的に遭遇する制約を除去し且つ(又は)自由度を許容すること)は、長年懸案とされ又は強く指摘されてきた課題を実現することができるのみならず、ステントの業界に対し永続的な景気づけ効果を与えることができる可能性が最も大きい。このステントの適用例における革新的技術は、金属ワイヤー、シート又は管を使用するパラダイムに卓越するとき、優れたものとなることが予想される。
【0015】
ステントは、典型的に、カテーテル又は等価的な送り込みシステムにより治療箇所まで送り込まれる。担当外科医は、ステントを操作し、位置決めし且つ植え込み箇所に固定するため、診断画像技術(例えば、X線、蛍光透視法、CTスキャン、MRI)にしばしば頼る。このため、明確な放射線不透過性を備えるステントが必要とされている。
【0016】
パセッティ(Pacetti)その他の者に対して発行された国際出願公開WO01/72349号には、単一の金属管に対する化学的エッチング、レーザ機械加工、従来の機械加工、電子放電機械加工、イオンミリング、スラリージェット又は電子ビーム処理又はこれらの処理の組み合わせ、又は、ワイヤーの溶接、平らなシート金属材料の圧延及び溶接により形成された放射線不透過性ステントが記載されている。上述した米国特許明細書6,503,271号には、血管内にて視覚し得るよう材料をミクロ合金化した組み合わせから製造されたマーカタブを有するステントが記載されている。ステントが金属シート材料から製造された後、マーカタブをステントの端部に取り付ける。
【0017】
しかし、ステントの放射線不透過性の最適化は、金属ワイヤー、シート又は管を使用する従来のステント製造法により依然として妨げられている。従来のステント業界における加工材料、即ちステンレス鋼は、ステント付近にて細胞の放射線不透過性を歪ませる傾向がある。優れた放射線不透過性及びその他の機械的性質を有する金属合金は、ワイヤー引抜き又は管の成形にとって不適当であるため、利用されていない。このため、ステントの放射線不透過性を最適にし且つ(又は)これらのステントを製造する製造工程をストリームライン化するため選択の幅を広げる新たな製造方法が必要とされている。新たな製造方法は、放射線不透過性の特徴をステント自体の性質状の部分とすることが可能であるならば、更に一層有益であろう。
【0018】
ステント挿入法は、自然であるが、望ましくない身体反応を生じさせる侵襲的方法である。例えば、植え込んだ後、数ヶ月に亙って体腔の局所的な再狭窄化(即ち、再狭窄症)が生じることがある。再狭窄症の原因の1つとなる組織の炎症は、植え込んだ直後に生じ、また、数週間、続く可能性がある。このため、かかる望ましくない身体反応を緩和するため、ステント挿入法と共に治療薬剤が一般に採用される。従来の方法は、薬剤をステントの表面に施し又は治療用フィルムをステントに取り付ける方策を採用している。
【0019】
ディーン(Dinh)その他の者に対して発行された米国特許明細書5,571,166号には、浸漬又は吹付けにより、生物学的薬剤をステントの表面に固定する方法が開示されている。該米国特許明細書には、治療物質をステントにより脈管壁に提供するその他の方法を開示する、国際出願公開WO91/12779号及び国際出願公開90/13332号も引用されている。
【0020】
上述した米国特許明細書5,651,174号には、剤を保持するマイクロカプセルを有する重合系フィルムを持つステントを製造する方法も開示されている。治療用フィルムは、植え込んだステントの半径方向への膨張可能性及び軸方向への可撓性を保持するため撓み又は延伸可能であると記載されている。テデッシェ(Tedeschi)その他の者に対する米国特許明細書6,361,819号には、医療装置の基層に対し生物ポリマーの共有結合鎖を提供する被覆方法が記載されている。該被覆は多数の層にて施すことができる。
【0021】
しかし、治療薬剤は、性質上、弱体であり、このため、取り扱いによる損傷を受け易い。接着性を向上させ、又はポリマーバインダ又はポリマー保護層の機械的性質を改良するための努力が為されているが、ポリマーは、機械的保護が存在しないとき、性質上、損傷を受け易い。更に、薬剤の量及び溶出率の制御は、薬剤が被覆又はフィルムの形態にて送り込まれるとき、依然として困難である。更に、治療薬剤の特定の高濃度は、重合系被覆が厚い結果、薬剤が低可溶性であり又は弱い接着であるため、実現不可能である。このため、保護及び溶出の制御のための追加的な機械的手段を使用する努力が為されている。
【0022】
上述した米国特許明細書6,206,915号には、内側部材と、外側部材とにより分離された空間内に治療薬剤を貯えるステントが開示されている。しかし、かかる形態は、より広い金属面及び金属体積を要求し、このため、ステントの剛性を増し且つ、ステントの送り込みの容易性を低下させる傾向にある。このため、薬剤の溶出率を制御し且つ、薬剤を一層良く保護し、また、ステントのその他の性質を損なうことがない薬剤−貯蔵ステントを製造する代替的な製造方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、ステント内の物品、ステントのセグメント及びモジュラー式ステントに関し、また、これら物品を製造する方法にも関する。モジュラー式ステントは、体腔内治療法にて色々な促進効果(医学的、機械的又は送り込みの目的を含むが、これに限定されない)を提供するよう組み合わせ且つ、適合させることのできる多数のステント又はセグメントを備える構造とされる。ステント又はセグメントは、ワイヤー、管又はシート材料を使用する従来の製造方法と相違する金属射出成形法(「MIM」)によって製造される。本発明におけるモジュラー式の製法は、MIMと共に、製造の容易性を向上させ且つ、最終的に、ステントのコストを低減し、また、従来のステント製造法の下にて不可能又は実際的でない設計上の特徴を提供することができる。
【0024】
本発明の1つの形態は、ストラッツと一体的に連結されたナビゲーションパッドを有するステント又はステントの1つのセグメントに関するものである。ナビゲーションパッドは、ステントを植え込む間、診断画像技術(例えば、X線機械、蛍光透視法、CRスキャン、MRI)下にて見たとき、特徴的なパターン、即ち放射線不透過性を提供する。放射線不透過性パッドのパターン及び位置は、本発明の方法により最適化することができる。
【0025】
本発明の別の形態は、生物学的薬剤を貯蔵し、保護し且つ、送り込む能力を有するステント又はステントの1つのセグメントに関するものである。本発明の特徴は、主要な機械的構造体−金属ストラッツと一体的に連結される。その結果、生物学的薬剤は、ストラッツの構造体により保護され、このことは、従来の薬剤送り込みステントにて被覆又はストリップを使用する方策に勝る有利な点である。ストラッツの材料、設計、向き、寸法及び機械的性質は、ステントの色々な用途に作用し得るように特別に設定することができる。
【0026】
リザーバの量、寸法及び位置は、生物学的薬剤の型式、投薬分及び適用例に対応し得るよう構成することができる。この形態の1つの実施の形態は、リザーバをストラッツ内に成形することである。このように、成形されたリザーバは、2つの機能、即ち生物学的薬剤を貯蔵し且つ、ステントの構造体を支持するという機能を果たす。別の実施の形態は、金属粉体技術及び熱処理方法を介して金属ストラッツに多孔質の面を形成することである。多孔質の面における孔の深さは、金属粉体技術と共にエッチング工程により向上させることができる。
【0027】
本発明の更に別の形態は、ストラッツと一体的に連結された相互係止パッドを有するステントのセグメントを提供することである。相互係止パッドは、ステントを1つのセグメントを別のセグメントに結合するため使用される。一方、相互係止パッドは、ステントセグメント間の相互接続を確実にすることができる。他方、相互係止パッドは、依然として、モジュラー式ステントが展開の容易性を1つの目的として、体腔の蛇行形状に順応することができるような要領にて相互係止接続部にて曲がり又は撓むことを許容することができる。
【0028】
本発明の更に別の形態は、ストラッツと一体的に連結された結合パッドを有するステント又はステントの1つのセグメントを提供することである。結合パッドは、生物学的膜をステントに取り付けるために使用される。結合パッドの設計及び位置は、取り付けられた生物学的膜の型式及び用途と適合するように特別に設定することができる。本発明の更に別の形態は、本発明にて説明したように、1つ又はより多くの実施の形態(及びその他の等価物)を互いに結合することにより製造されるモジュラー式ステントに関するものである。モジュラー式ステントは、ステントの多数の目的を果たし得る構造とされる。
【0029】
本発明の更なる形態は、金属ステント又はステントセグメントを製造する方法を提供することである。該方法は、射出成形法、粉体金属加工学、及びその他の従来の金属製造工程の1つ又はより多くの製造工程を含む。更に、モジュラー化の工程は、コスト効果的で且つ(又は)オペレータに配慮した仕方にて幾つかのステント又はステントのセグメントを共に結合するためにも提供される。本発明の更なる形態は、金属射出成形工程及び後続の熱処理工程を通じて材料の性質を変更し又は最適化することができる、ステントを製造する材料を選択することを可能にするものである。ステント又はモジュラー式ステントは、ステントの異なるセグメントにて色々な材料又は材料の性質を有することができる。
定義
「生物適合可能(biocompatible)」又は「生物適合可能性(biocompatibility)」という語は、接触し又は植え込んだとき、材料が細胞及び組織に与える効果を意味する。生物適合可能な材料は、接触し又は植え込んだとき、細胞及び組織に対し有害な効果を全く与えず又は最小程度与える材料である。
【0030】
「生物学薬剤(biological)」という語は、植え込み箇所にて医薬又は遺伝子治療のための薬、医薬、細胞の複製又はステントの性質を改良するためのその他の化学的コンパウンド(有機質又は無機質)を意味する。「薬」という語は、本出願にて「生物学的薬剤」に代えてしばしば使用される。
【0031】
「溶出(elution)」という語は、植え込み方法を行う間、又は行った後、生物学的薬剤がステントのリザーバから植え込み箇所付近の組織に解放する工程を意味する。生物学的薬剤の溶出は、全体として体液によって実行される。
【0032】
「一体的に連結された(integrally coupled)」という語は、本発明の1つの実施の形態にて金属射出成形工程を介して2つ以上の要素を形成し又は接続することを意味する。2つの「一体的に連結した」要素間の遷移領域は、視覚的に識別することはできない。
【0033】
「ステントのセグメント」又はステントのセグメントを意味するその他の同様の語は、ステントの1つの構成要素又は一部分に限定されるものではない。この語は、かかる表現が本発明を説明するのに役立つであろうときに使用される。「ステントのセグメント」は、臨床的観点から見てそれ自体、完全に機能可能なステントとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1には、ステントの構造体が示されている。組立体構造体50には、複数の金属ストラッツ60を含んで形成されている。典型的に、金属ワイヤー又はシートで出来た従来のステントは、図1に示したステントと同様である単一パターンの設計である(ストラッツ60のパターンがステントの全体に亙ってそれ自体繰り返すことを意味する)。組立体(scaffold)50は、従来通り、図示するようにほぼ円形の管状の形状であり、2つの開放した端部55、56を有する。
【0035】
本発明の1つの実施の形態は、図2に示すような単一のパターンとすることもできる。組立体50´には、一連のストラッツ60´が形成される。該組立体は、2つの開放した端部55´、56´を有することもできる。更に、以下に詳細に説明するように、組立体は、支持構造体70の膜を有することもできる。
【0036】
図3には、本発明におけるモジュラー式ステントの1つの実施の形態の一部分が示されている。組立体50”は、色々な接続部80にて連続的に接続する多数のセグメント101、102、103、104、105、106、107を有する。組立体50”におけるセグメント101、102、103、104、105、106、107の順序は、正確に図3に示す通りである必要はない。また、セグメント101、102、103、104、105、106、107の各々の数も図3に示すものに限定されるものではない。換言すれば、モジュラー式組立体50”は、セグメント101、102、103、104、105、106、107の順序に限定されず、また、その数も限定されず(即ち、零の数も含む)、1つのストラットのセグメントは、接続部80にて別のセグメントに接続する。同様に、モジュラー式ステントにおける1つのセグメントは、同一のステントにおける別のセグメントの一部分とすることもできる。例えば、図3に示すように、セグメント104は、セグメント103の右側部分とし、セグメント106はセグメント105及びセグメント107の左側部分を含む。
【0037】
比較して、従来の金属ステント(即ち、ワイヤー、管又はシート材料にて出来たステント)は、全体として、単一パターンの設計を有する(図1に示す)、即ち、セグメント101、102、103、104、105、106、107のように視覚的に識別可能なセグメントと相違する。本発明の方法は、以下に詳細に説明するように、図3に示したようなモジュラー式ステントをコスト効果的に製造する方策を提供するものである。単一パターンの設計を有するステントも本発明の範囲に属すると考えられる(即ち、セグメント101、102、103、104、105、106、107は、全て視覚的に同一とすることができる)。
【0038】
組立体50”は、図1又は図2に示すようなほぼ円形の管状の形状(即ち組立体50及び組立体50´)を含むが、これらにのみ限定されない形状を有する。今日の業界は、ほぼ円形の管状の形状を標準品として受容しているものと考えられる。かかる形状は、送り込み可能性(即ち、蛇行経路を通じての操作の容易性)、可撓性(即ち、植え込み箇所の形状に順応する能力)、及びステントの組立体の能力(即ち、体腔からの半径方向圧力に耐える能力又は体腔の組織脱出の危険性を減少させる能力)及び植え込む結果としての体腔に対する急激な効果(例えば、炎症)を最小限にする能力の点にて全体的に許容可能なレベルを備えるものと考えられる。しかし、ほぼ円形の管状の形状に人気があるのは、単に、ワイヤー又は管を使用する従来の技術に勝る代替的な製造方法が欠如する結果であろう。本発明の方法(以下に詳細に説明)によれば、組立体50”は、最早、従来のほぼ円形の管状の形状には限定されない。
【0039】
組立体50”の端部(図3は、モジュラー式ステントの一部分の平面図であるため、該端部は図3に図示されていない。しかし、図1、図2に示したように2つの端部、即ち図1の端部55、56及び図2の端部55´、56´を参照することにより、端部の位置を理解することができる)は、典型的に開放した端部である。開放した端部の設計は、現在の業界の標準であると考えられ、かかる設計は、展開時(例えば、展開器具としてバルーンカテーテルを使用するとき)また、流れの妨害程度を最小にする点にてその有利な効果を有すると考えられる。しかし、開放した端部の設計に人気があるのは、単に、ワイヤー又は管を使用する従来の技術に勝る代替的な製造方法が欠如する結果であろう。本発明の方法は、ステントの製造メーカが図1又は図2に示した形態(即ち、端部55、56、55´、56´)を含むが、これらにより限定されない端部に対して色々な形態を設計することを可能にするであろう。
【0040】
セグメント101、102、103、104、105、106、107の各々は、各種のパターンの設計、例えば、ストラッツ110、120、130、140、150、160、170をそれぞれ有することができる。現在、長手方向ストラッツ180及びループ形ストラッツ190は、業界にて一般に受容された2つのストラッツの設計であると考えられる。上述したように、ワイヤー、管又はシート金属にて出来たステント構造体の捩れ又ははね返る傾向を緩和するため、長手方向ストラッツ180及びループ形ストラッツ190を配置する努力が為されてきた(例えば、米国特許明細書6,503,271号におけるように)。本発明のステントは、捩れ又ははね返りを生じさせる幾つかの助長ファクタ(例えば、ワイヤー引抜き及び管成形時の冷間加工、レーザ切断に起因する鋭角な隅部)を回避することのできる金属射出成形法(「MIM」)により製造される。
【0041】
その結果、本発明は、例えば、ナビゲーションパッド111、薬貯蔵リザーバ121、131、相互係止パッド141、151、結合パッド161のようなその他のストラッツの設計を許容し、これについては以下に且つ図4ないし図8に関して詳細に説明する。長手方向ストラッツ180、ループ形ストラッツ190の数及び位置又はその他ストラッツのパターンの設計(例えば、ナビゲーションパッド111、薬貯蔵リザーバ121、131、相互係止パッド141、151及び結合パッド161)は、植え込み箇所(例えば、冠状血管、胆管、腎臓血管、直腸、又は小腸)、ステントを送り込む方法(例えば、送り込みカテーテル、バルーンカテーテル)、ステントの材料(例えば、ステンレス鋼、タンタル、ニチノール、コバルト系合金)及びその他の特定の必要性(例えば、薬貯蔵能力、明確な放射線不透過性)を含むが、これらにのみ限定されない条件に基づいて決定し且つ最適化することができる。
【0042】
セグメント101、102、103、104、105、106、107は、本発明に従ったMIM工程に適した任意の生物適合可能な金属合金又は金属組成物にて出来たものとすることができる。チタン、316SS、MP35Nの合金及び組成物は、適宜な材料の幾つかの例である。セグメント101、102、103、104、105、106、107に対する材料の選択は、MIM技術の進歩が続く限り、進展する。セグメント101、102、103、104、105、106、107の各々の金属合金又は金属組成物は、異なるものとし又は同一とすることができる。セグメント101、102、103、104、105、106、107の各々を個別的に本発明の方法に従って製造することができる。セグメント101、102、103、104、105、106、107の各々の機械的性質は、熱処理工程により変更し又は改良することもできる。このため、本発明は、製造メーカが臨床的必要性に合うようモジュラー式ステントを設計すべく広範囲の選択を許容することができる。
【0043】
本発明における1つの実施の形態(図4)は、ステントの展開を助けることである。外科医は、一般に、正確に配置し且つ、疾患部を評価するため診断画像技術(例えば、X線、蛍光透視法、CTスキャン、MRI)下にて見るとき、明確な放射線不透過性を備えるステントを好む。図4は、図3のセグメント101の拡大平面図である。明確な放射線不透過性を呈するナビゲーションパッド111は、ストラッツ110と一体的に連結されている。ナビゲーションパッド111の放射線不透過性の明確な特徴は、特定の形状又はパターンとなるようナビゲーションパッド111を設計し、又は微粒子材料を使用することにより実現することができる。例えば、チタン合金及びそれらの組成物のような明確な放射線不透過性を備える材料は、本発明の方法に従ってストラッツ110に一体的に連結するための幾つかの好ましい材料である。これらの好ましい材料は、ワイヤー引抜き又は管成形に不適合であるため、従来のステントの製造にて利用されていなかった。
【0044】
図5は、図3のセグメント102の拡大平面図である。生物学的薬剤を貯蔵し且つ、送り込むリザーバ121は、ストラッツ120に一体的に連結されている。生物学的薬剤(「薬剤」)は、植え込む前、リザーバ121内に貯蔵されている。薬剤は、平滑筋の細胞増殖(動脈の再狭窄症又は再閉塞の主要な原因であると考えられる)を阻止する設計とされた薬とし、又は植え込み箇所における筋肉細胞の炎症を緩和するステロイド剤とし、又は遺伝子治療のための細胞複製物とすることができる。薬は、注射又は分与(固体又は溶液の形態にて)、浸漬(多分、溶媒又は重合系液体中の溶液の形態である可能性が大きい)又はその他の適宜な方法によりリザーバに施すことができる。剤の量は、計量(例えば、注射体積の制御)又はリザーバ121の寸法(例えば、リザーバ121の特定の寸法は浸漬工程中、薬剤を充填する毛管効果を生じさせる可能性がある)により制御することができる。
【0045】
拭き取り又は空気吹き込み法を使用して過剰な薬剤を除去することができる。真空圧を使用して溶液中に取り込まれた空気を除去することができる。溶媒は、乾燥させ、重合系液体は任意の従来の工程を使用して硬化させることができる。ステントを植え込んだ後、薬剤をリザーバ121から溶出させ、ステントを取り囲む組織又はステントの近くの組織を治療する。リザーバ121は、その寸法及び形状の点にて異なる形態を有し、薬剤の型式、薬剤の担体の型式、薬剤を使用する所期の治療法又は植え込み位置と適合するよう異なる形態を有することができる。
【0046】
図5の線X-Xに沿った断面図としての図5A及び図5Bは、リザーバ121の2つの例を示す。リザーバ121は、2つの開放した端部122、123(図5A)、又は1つの開放した端部124及び1つの閉じた端部125(図5B)を有することができる。薬剤がリザーバ121に施された後、薬剤を更に保護し又は保存し又はリザーバ121からの薬剤の溶出を調節するため、開放した端部122、123又は124を被覆するべく被覆を施すことができる。植え込んだとき、多量の薬剤を迅速に解放することができるよう溶融性被覆を使用することができる。
【0047】
図6は、図3のセグメント103の拡大平面図である。生物学的剤を貯蔵し且つ、送り込むリザーバ131は、ストラッツ130に一体的に連結されている。図5に関して上述した本明細書の説明は、図6にもほぼ当て嵌まる。更に、この実施の形態におけるリザーバ131は、ストラッツ130の2つのセグメント間の接続部としても機能する。リザーバ121(図5)と同様に、リザーバ131は、2つの開放した端部(図5Aに図示)又は1つの開放した端部と、1つの閉じた端部(図5Bに示すように)とを有することもできる。薬剤を更に保護し又は保存し、或いはリザーバ131からの薬剤の溶出を調節するため、開放した端部を被覆すべく被覆を施すことができる。
【0048】
薬貯蔵リザーバ121(図5)131(図6)は、セグメント102又は103の機械的構造体の有益な効果を得るためそれぞれ使用することができる。例えば、リザーバ121(図5)又はリザーバ131(図6)は、ストラッツ120(図5)及びストラッツ(図6)と一体的にそれぞれ連結し、ステント102又は103の半径方向強度を向上させ且つ(又は)はね返りを最小限にするような設計とすることもできる。リザーバ121(図5)、131(図6)の各々は、ストラッツ120(図5)、130(図6)のそれぞれの構造体の必須の部分となるような設計とされている。
【0049】
図7は、図3のセグメント140、105の拡大平面図である。相互係止パッド141、151は、ストラッツ140、150の外周にそれぞれ一体的に連結されている。ストラッツ140、ストラッツ150は、図7に示すように視覚的に同様である場合でさえ、これらのストラッツは異なる形態を有することができる。相互係止パッド141、151は、ストラッツ140、151を互いに接続する。
【0050】
図7Aには、本発明による相互係止の別の例が示されている、即ち、2つのセグメント104´、104”は、対にて設けられた相互係止パッド141´により接続されている。図7、図7Aの実施の形態には、2つの設計が示されており、その内、対にて設けられた相互係止パッド141、151(図7)又は対にて設けられた相互係止パッド141´、141´(図7A)は、長手方向への動きを制限することができるが、2つの接続したセグメントの間にて曲がり又は回転を許容することもできる。幾つかのステントセグメントは対にて設けられた相互係止パッド141/151又は対にて設けられたパッド141´/141´により互いに接続し、組立体及び疾患部をカバーする範囲を最大限にすることができる。
【0051】
図7において、合わさる相互係止パッド141、151は、スナップ嵌め可能な設計としてもよい。より具体的には、相互係止パッド141の外径は、相互係止パッド151の内径よりも僅かに大きい。ボール形状の相互係止パッド141は、ドーナツ形状の相互係止パッド151に圧縮嵌めされている。このように、図7の2つの合わさる相互係止パッド141、151の間の摩擦は、2つのセグメント104、105を互いに結合された状態に保つことができる。図7の2つの合わさるパッド141、151の間の摩擦は依然として2つのセグメント1014、105の間の回転動作を許容し得るようにすることも選択可能である。回転動作し得ることは、ステントの蛇行した植え込み箇所に対する適合可能性を向上させることができ、しかも血管壁の支持能力を損なうことはない。典型的に、図7に示したような相互係止したセグメント104/105は、ステントを展開させる前に互いに相互係止される。
【0052】
対にて設けられた141´/141´(図7A)の間の相互接続機構は、対にて設けられたパッド141/151(図7)のものと同様である。換言すれば、設計者は、対にて設けられたパッド141´/141´の間の多岐に亙る隙間を選ぶことができる、即ち、より大きい隙間であれば、2つの接続したセグメント141´、104”の間の回転又は曲がりを容易にすることを許容するであろう。外科医は、双方のセグメントが個別に植え込み箇所まで展開された後、2つのセグメント104´、104”を身体の体腔内にて相互係止することが可能であると考えられる。
【0053】
図8は、図3のセグメント106の拡大平面図である。結合パッド161は、ストラッツ160の外周に一体的に結合されている。薬のような生物学的薬剤、遺伝子又は栄養物を運ぶことができる膜165を取り付けるため、結合パッド161が使用される。膜165は、接着剤接合、加圧、溶融、縫合又は組み合わせを含むが、これらに限定されない任意の従来の方法により結合パッド161に取り付けることができる。
【0054】
図9は、図3のストラッツ170の写真断面図である。図9Aは、色々な寸法及び形状の孔172を示す、図9の一部分の拡大図であり、孔172の幾つかは、通路173と相互に接続されている。多孔質面171は、以下に詳細に説明する本発明の方法に従って形成される。多孔質面171を有するストラッツ170は、生物学的薬剤を貯蔵し且つ、送り込むことができる。薬剤は、植え込む前に孔172及び通路173内に貯蔵される。薬剤は、平滑筋細胞の増殖(動脈の再狭窄症又は再閉塞の主要な原因であると考えられる)を阻止する設計とされた薬とし、又は植え込み箇所まで組織細胞の炎症を緩和するステロイド薬とし、又は遺伝子治療のための細胞複製物とすることができる。植え込んだ後、薬剤は、孔172及び通路173から溶出してステントを取り囲む組織又はステントの付近の組織を治療する。
【0055】
孔172及び通路173の形状及び寸法は、以下に詳細に説明する本発明の方法(例えば、熱処理工程を施し、金属の寸法及び粉体/バインダの比を変化させ、焼結温度及び圧力を調節する)に従って特別に設計することができる。図9、図9Aに示すように、孔172を亙る開放した空間の長さは、1μm以下ないし約20μmの範囲にある。しかし、数百μmのようなより大きい寸法のものは、以下に詳細に説明する、本発明の方法(例えば、エッチング工程)に従って製造することもできる。孔172及びストラッツ170の面を接続する外方通路174は、薬剤の溶出率を調節することができる。薬剤を孔172又は通路173、174内に保護し又は保存し、又は薬剤の溶出を調節するため追加的な被覆をストラッツ170の面に施すことができる。
【0056】
多孔質面171は、植え込み箇所に対する機械的固定を向上させるよう細胞の内部成長を促進することもできる。向上した固定機構は、例えば、半径方向強度又は固定能力が損なわれたであろう大きい可撓性を有する材料及び(又は)より小型のステントに対して材料を使用することを許容することができる。
【0057】
多孔質面171を任意のセグメント101、102、103、104、105、又は106の面に提供することができる。換言すれば、任意のストラッツ110、120、130、140、150、160、又は170は、生物学的薬剤を貯蔵し且つ、送り込み且つ(又は)細胞の内部成長を促進する多孔質面170を有することができる。更に、異なる量又は溶出率を有する多数型式の生物適合可能な薬剤を開示した薬貯蔵機構(即ち、リザーバ121、リザーバ131、多孔質面171)の任意のものにより送り込むことができる。本発明のステントに対する好ましい材料は、以下に説明する本発明の方法に関して本明細書に記載されている。
【0058】
本明細書の説明は、本発明のステントを製造する方法に関するものである。説明の容易化のため、本発明の方法は、多分、独立しているが、時々、重複する4つの段階、即ち部品の成形、特徴の細部の形成、性質の向上及びステントのモジュラー化という段階にグループ化される。見易くするため、本発明の方法の説明図にて長手方向ストラッツ180及びループ形ストラッツ190のみを使用する。
【0059】
「部品の成形」段階は、本発明のステントの各々を製造するために使用される1つの最初の工程である。部品を成形する段階に対する1つの好ましい方法は、コンパウンド化(compounding;混合化)、成形(molding)、脱接着(de-binding)、焼結を備える、金属射出成形(metal injection molding;MIM)技術である。
【0060】
コンパウンド化において、金属粉体は、典型的にバッチミキサー内にてポリマー又はその他の合成バインダと組み合わされる。次に、混合体を粒状化し(即ち、典型的に押出し成形機内にて更に混合し且つ、混合体を粒に形成する)、成形機械に対する供給材料を形成する。本発明の物品に対し、金属粉体は、生物適合可能な金属(例えば、チタン、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、モリブデン、アルミニウム、バナジウム、白金、イリジウム、金、銀、パラジウム、タンタル、ニオビウム、ジルコニウム、銅、コロンビウム、マンガン、カドミウム、亜鉛、タングステン、ホウ素)、合金又は特定のステント挿入用途のための複合材(即ち、生物適合可能な金属又は補強粒子と混合させた合金)の群から選ぶことができる。
【0061】
合金又は複合材は、例えば、製造の容易性(例えば、射出成形、レーザ溶接、熱処理及びその他の二次的工程)、展開方法との適合可能性(例えば、非膨張形態と膨張形態との間の変態の容易性、蛇行経路を介しての操作の自由度)、体腔からの半径方向圧縮力に耐える能力及び設計の多様性(例えば、ストラッツ、薬貯蔵リザーバ、マイクロリザーバ、相互係止パッド、ナビゲーションパッド又は結合パッド)のため、最適化し得るよう選ぶことができる。バインダを選ぶためのファクタは、(a)成形工程との適合可能性、(b)必要であるならば、成形後で且つ焼結前に除去(即ち、脱接着)の容易性を含むが、これらにのみ限定されるものではない。
【0062】
その後、コンパウンド化した粉体を成形して素地部品にする。射出成形、圧縮成形及びトランスファー成形は、この作用を実現する選択肢の1つである。多数キャビティ鋳型を使用して生産性を向上させ且つ、全体的な生産コストを削減することができる。多数ショット技術を使用して異なる材料又は異なる特徴を有するステントを形成することができる。例えば、図4に示したようなステントは、次の2ショット成形工程、即ち(1)ストラッツ110の主構造体を高強度の金属材料にて成形する工程と、その後、(2)高放射線不透過性材料の層又は塊をナビゲーションパッド111が必要とされるストラッツ110の主構造体上に成形する工程とにより製造することができる。
【0063】
上述したように、円形又はほぼ円形の管状の形状体は、現在の業界にて最も一般的に製造される金属ステントであると考えられる。今日の管状ステントの直径は、全体としてステントの全体を通じてほぼ同一である。かかるステントの設計に人気があるのは、ワイヤー又は管を使用する従来の技術に優る代替的な製造方法が欠如する結果に過ぎないであろう。しかし、本発明における成形技術は、円形又はほぼ円形の管状の形状体以外の色々なステントの形状体を製造することができる。
【0064】
次に、バインダを成形した素地部品から除去する(即ち、脱接着)。バインダの型式に依存して、溶媒又は熱工程を使用してバインダを除去することができる。次の焼結工程を続ける前に、バインダを除去すれば、通常、成形した構造体の圧密度が向上することになろう。脱接着後、構造体を金属合金の溶融温度以下の温度まで加熱し、金属合金が再流動することを可能にする(即ち、焼結)。
【0065】
焼結する間、成形した構造体の多孔率を減少させるため圧力を加えることができる。図10A、図10B、図10Cには、長手方向ストラッツ180と、外層におけるループ形ストラッツ190とを備えるストラッツ構造体と、内側層における支持構造体70という重なり合う2つの構造体から成る、成形し且つ、焼結した部品の幾つかの例が示されている。図10Aには、固体部品を最初に成形し且つ、焼結し、次に、支持構造体の中央部分を除去することが示されている。図10Bには、支持構造体の中央部分無しにて部品を成形し且つ、焼結することのできる別の方策が示されている。図10Cには、リング構造体191と、支持構造体70とを有する別の物品の実施の形態が示されている。リング構造体191は、特定の用途にて該構造体が必要とされるとき使用することができる。図10A、図10B、図10Cにおける一例としての実施例から、当該技術の当業者は、本発明の方法は多数のその他のステントの形態を製造することが可能であることが理解されよう。
【0066】
焼結工程の間、この段階まで、圧力を加えず又は最小限の圧力のみが加えられるならば、図9、図9Aに示した多孔質面171を形成することができる。コンパウンド化条件(例えば、粉体/バインダの比、粉体の寸法)及び焼結条件(例えば、温度、持続時間及び圧力)を変更することにより、孔172、通路173、174の色々な形態を製造することができる。
【0067】
MIM技術及びMIMと関係した物品の更なる詳細は、サカモト(Sakamoto)その他の者に対して発行された米国特許明細書6,298,901号、ハヤシ(Hayashi)その他の者に対して発行された米国特許明細書6,428,595号及びグレッセル(Gressel)その他の者に対して発行された米国特許明細書6,478,842号に見ることができ、これらの内容は参考として引用し本明細書に含めてある。
【0068】
支持構造体70は、後続の工程にて成形、取り扱い又は心合わせを容易にする目的のためにのみ成形した部品上に維持する。支持構造体70は、最早、必要でないならば、除去することができる。除去工程は、上述したように「特徴の細部の仕上げ」の一部とみなすことができる。図11は、支持構造体70が完全に除去されたときの形態にて互いに80´にて接続された3つのストラッツセグメントを示す斜視図である。支持構造体70を除去する技術は、ステント構造体に対する損傷を防止し得るよう選ぶことができる。レーザトリミング法は、一般に金属合金又は複合材を除去する効果的で且つ、精密な技術であることが知られている。
【0069】
しかし、ステント構造体(例えば、図10Bに示すように、長手方向構造体80及びループ形ストラッツ190)と支持構造体70との間の境界が明確に画成されないことがある。即ち、支持構造体70の一部分は、ステント構造体180、190の一部とすることを目的とすることがある。ステント構造体の一部として又は後続の製造過程にて取り扱い易いよう図12に示すように、支持構造体70の薄い層が意図的に維持される。図2には、支持構造体70の薄い層を有するモジュラー式ステントも示されている。その他の場合、図5Bに示すように閉じた端部のリザーバ125を形成し得るよう支持構造体70の薄い層を維持することができる。更に、幾つかのその他の場合、支持構造体70の薄い層を有するステントは、植え込んだ箇所にて管腔からのより大きい半径方向応力に耐えることができる。
【0070】
バリ取りは、「特徴の細部の仕上げ」段階における選択可能な工程である。ステント又はステントセグメントは、手動ポリシング、電解ポリシング又はタンブリングのような従来技術によりバリ取りすることができる。バリ取りは、支持構造体70が除去される前、又は除去された後の何れかにて実行することができる。支持構造体70を除去する前にバリ取りすることの1つの有利な効果は、支持構造体70は構造体を強化し且つ、後続の取り扱いにて部品を損傷させる機会を減少させることができる点である。
【0071】
更に別の選択可能な工程、即ちエッチングは、本発明における「特徴の細部の仕上げ」段階の範囲に属するものと分類することができる。エッチング工程は、例えば、20μm以上のような大きい寸法の孔172(図9A)を形成することができる。エッチング工程は、第二の金属粉体が「部品の成形」段階にて追加されるとき、一層良く機能する。その後、第二の金属粉体をエッチングして除去し、孔172及び(又は)通路173、174を形成する。例えば、銅及び別の構造用金属合金を射出成形用に混合し且つ、コンパウンド化する。ステントが形成され且つ、焼結されたならば、次に、銅を化学的に又は電気化学的にエッチングして除去し、表面下孔172、通路173、174の回路網が残るようにする。
【0072】
銅の異なる寸法及び形状を選び且つ、混合することにより、孔172、通路173、174の分布状態、寸法及び形状を制御することができる。エッチング工程の持続時間、又は強さは、孔172が配置されるストラッツの表面の内部に向けた深さを制御することができる。析出技術又はMIMを使用して、孔172及び通路173、174の寸法及び形状を決定するため色々な寸法及び形状の銅の粒子又は銅の集合物を形成することができる。
【0073】
「性質の改良工程」は、形成されたステントの性質(例えば、優れた順応性及び血管壁の支持、光学的にきれいなナビゲーションの外観等)を変更し又は改良するための工程である。熱処理における各種の工程を使用して成形したステントを改良することができる。色々な粒子寸法及び機械的性質を熱処理により実現することができる。
【0074】
孔172及び通路173、174の寸法及び形状(図9及び図9A)は、熱処理工程にて形成し又は変更することもできる。例えば、最初に、高度に圧密化したステントを本発明の方法に従って成形し且つ焼結する。高度に圧密化したステントは、最適化した機械的性質を有することになろう。次に、バインダを使用し又は使用せずに、金属粉体を高度に圧密化したステントの表面に撒き広げる。静電気を使用して後続の工程のため金属粉体がステント表面に止まる状態を維持することができる。次に、粉体化したステント表面を金属粉体の溶融温度以下の温度にて焼結する。焼結工程の前、又は後の何れかにてバインダを除去することができる。孔172及び通路173、174の形態は、粉体の異なる寸法を使用し、異なる粉体/バインダの比にて混合し又は異なる焼結温度、圧力又は持続時間を適用することにより、変更することができる。
【0075】
モジュラー式ステント(図3)は、本発明の方法の「ステントモジュラー化」工程により形成される。図13において、支持構造体70(図10Bに示したものと同様のもの)を有する4つの成形したステントをマンドレル200に装填し且つ、マンドレルにて横に並べた状態に心合わせする。4つのステントがマンドレル200に装填されている間、これら4つのステントを色々な接続部80にて互いに選択的に結合する(例えば、レーザ溶接、熱融着、超音波溶接等)。マンドレル200の寸法は、支持構造体70の内壁と僅かな摩擦を有するよう設計される。僅かな摩擦は、ステントの向きを心合わせすることを容易にし、また、最終的に心合わせ時の高精度及び結合時の高品質を実現するのを助けることを目的とする。マンドレルの形状は、
図13に示したロッド形状と異なるものとすることができる。モジュラー式ステントは、上述したように成形したステントの任意の組み合わせにより試行錯誤によって形成する。次に、マンドレル200を除去する。支持構造体は、例えば、レーザトリミング工程により除去し、図11に示したモジュラー式ステントと同様の組立体構造体を形成することもできる。本発明の説明は、一例として説明することを目的とする。その他の実施の形態、形態変更及び等価物がその精神から逸脱せずに当該技術の当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】単一パターンのストラッツの設計を有するステントの組立体構造体を示すステントの斜視図である。
【図2】図1に示した構造体と同様の組立体構造体と、支持構造体の膜とを有する別のステントの斜視図である。
【図3】本発明の物品の組み合わせた実施の形態を示す、モジュラー式ステントの平面図である。
【図4】ナビゲーションパッドを有するステント又はステントセグメントを示す、図3のセグメント101の拡大平面図である。
【図5】図5は薬貯蔵リザーバを有するステント又はステントセグメントを示す、図3のセグメント102の拡大平面図である。図5Aは、1つの代替的な薬貯蔵リザーバを示す、図5の断面図である。図5Bは、別の代替的な薬貯蔵リザーバを示す、図5の断面図である。
【図6】別の形態の薬貯蔵リザーバを有するステント又はステントセグメントを示す、図3のセグメント103の拡大平面図である。
【図7】相互係止パッドにより共に結合される2つのステント又はステントセグメントを示す、図3のセグメント104、105の拡大平面図である。
【図7A】別の形態の相互係止パッドにより共に結合される2つのステントを示す平面図である。
【図8】結合パッドを有するステント又はステントセグメントを示す、図3のセグメント106の拡大平面図である。
【図9】相互接続した表面下通路を有する多孔質面の1つの実施の形態を示す、ストラッツの断面の写真である。
【図9A】相互接続した表面下通路を有する多孔質面の1つの実施の形態を示す、ストラッツの断面の写真である。
【図10A】成形した固体部品の支持構造体の中央部分が除去される状態を示す、本発明に従って形成された成形し且つ焼結した部品の斜視図である。
【図10B】支持構造体の中央部分無しにて部品が成形された状態を示す(図10Aと比較して)、本発明の方法に従って形成された成形し且つ焼結した部品の斜視図である。
【図10C】本発明の方法に従って形成されたストラッツ構成要素の別の実施の形態を示す、部分的に切断した成形し且つ焼結した部品の斜視図である。
【図11】3つのステントセグメントを有するモジュラー式ステントの斜視図であり、支持構造体が除去された状態を示す。
【図12】支持構造体の薄い層が維持される点を除いて図11と同様のモジュラー式ステントの斜視図である。
【図13】ステントモジュラー化の1つの工程を示す斜視図であり、そこでは4つの成形したステントがマンドレル上に装填され且つ横に並べられ、隣接する幾つかのストラッツが互いに結合されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立体の部材を有するステントであって、前記組立体が複数の金属ストラッツ及び以下のものから選ばれる少なくとも1つの部材を含むステント:
(a)明確な放射線像を表し、前記ストラッツと一体的に連結される少なくとも1つのナビゲーションパッド、
(b)前記ストラッツと一体的に連結される少なくとも1つの薬貯蔵リザーバ、
(c)前記ストラッツと一体的に連結される少なくとも1つの相互係止パッド、
(d)生物学的膜を前記ステントに取り付ける少なくとも1つの結合パッドであって、前記ストラッツに一体的に連結される結合パッド、及び
(e)多孔質面を有する前記金属ストラッツ。
【請求項2】
前記組立体が、金属、金属合金、チタンの金属複合体、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、モリブデン、アルミニウム、バナジウム、白金、イリジウム、金、銀、パラジウム、タンタル、ニオビウム、ジルコニウム、銅、コロンビウム、マンガン、カドミウム、亜鉛、タングステン、ホウ素から選ばれる材料で作られる、請求項1のステント。
【請求項3】
前記薬貯蔵リザーバが1つの開放した端部を有する、請求項1のステント。
【請求項4】
前記薬貯蔵リザーバが開放した前側端部及び後側端部を有する、請求項1のステント。
【請求項5】
前記開放した端部が前記リザーバからの薬の溶出を制御し得るよう重合系被覆手段の少なくとも1つの層にて被覆される、請求項3又は請求項4のステント。
【請求項6】
前記多孔質面の要素が複数の孔及び通路を有し、該孔及び通路の外周が材料及び前記ストラッツの面により画成される、請求項1のステント。
【請求項7】
金属射出成形法を含む製法により製造される、請求項1のステント。
【請求項8】
組立体の部材を有するステントであって、該組立体が複数の金属ストラッツを含み、該金属ストラッツが薬を前記ステントの植え込み箇所まで送り込む多孔質の面手段を有する、ステント。
【請求項9】
組立体の部材を有するステントであって、該組立体が複数の金属ストラッツを含み、該金属ストラッツが前記ストラッツを前記ステントの植え込み箇所に機械的に固定するのを向上させる多孔質の面手段を有する、ステント。
【請求項10】
前記組立体の面が重合系被覆の少なくとも1つの層により被覆される、請求項8又は請求項9のステント。
【請求項11】
金属射出成形工程を含む製法により製造されるステント。
【請求項12】
2以上のステントセグメントを成形する金属射出工程と、該ステントセグメントを結合する工程とを含む製法により製造されるモジュラー式ステント。
【請求項13】
金属ステントを製造する方法であって、
(a)少なくとも1つの金属合金と少なくと1つのポリマーバインダとの混合体をコンパウンド化する工程と、
(b)前記混合体を成形してストラッツ部材と、支持部材とを備える複合的構造体を形成する工程と、
(c)前記成形した複合的構造体を焼結する工程とを含む、金属ステントを製造する方法。
【請求項14】
前記支持部材又は前記支持部材の顕著な量を除去する工程を更に含む、請求項13の方法。
【請求項15】
前記ステントの多孔質面を形成するエッチング工程を更に含む、請求項14の方法。
【請求項16】
前記ステントの表面形態又は機械的性質を変更するため、前記金属合金の融点以下の温度にて熱処理する工程を更に含む、請求項14又は請求項15の方法。
【請求項17】
モジュラー式ステントを製造する方法において、
(a)少なくとも1つの金属合金と、少なくとも1つのポリマーバインダとの混合体をコンパウンド化する工程と、
(b)各々がストラッツ部材と、支持部材とを備える2つ又はより多数の複合的構造体を形成するため前記混合体を成形する工程と、
(c)前記成形した複合的構造体を焼結する工程と、
(d)前記支持部材又は前記支持部材の顕著な量を除去する工程と、
(e)前記複合的構造体の2つ又はより多数をマンドレルにて心合わせする工程と、
(f)前記心合わせした複合的構造体を結合する工程と、
(g)前記マンドレルを除去する工程と、を含む方法。
【請求項18】
前記ステントの多孔質面を形成するエッチング工程を更に含む、請求項17の方法。
【請求項19】
前記ステントの表面形態又は機械的性質を変更するため、前記金属合金の融点以下の温度にて熱処理する工程を更に含む、請求項17又は請求項18の方法。
【請求項20】
前記ステントの表面形態又は機械的性質を変更するため、機械的に操作する工程を更に含む、請求項19の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図9】
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【図9A】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2007−503951(P2007−503951A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526166(P2006−526166)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/028440
【国際公開番号】WO2005/025453
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(591007804)メドトロニック・インコーポレーテッド (243)
【Fターム(参考)】