説明

モレキュラーシーブSSZ−65

本発明は、1−[1−(4−クロロフェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウム又は1−エチル−1−(1−フェニル−シクロプロピルメチル)−ピロリジニウムカチオンを鋳型分子として用いて調製された新規結晶性モレキュラーシーブSSZ−65、触媒中にSSZ−65を合成するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規結晶性モレキュラーシーブSSZ−65、1−[1−(4−クロロフェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウム又は1−エチル−1−(1−フェニル−シクロプロピルメチル)−ピロリジニウムカチオンを鋳型分子(structure directing agent, SDA)として用いてSSZ−65を調製するための方法、及び、例えば、炭化水素転化反応に用いる触媒中のSSZ−65の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
独特の篩特性及び触媒特性のために、結晶性モレキュラーシーブ及びモレキュラーシーブは、炭化水素の転化、ガスの乾燥及び分離などの用途で特に有用である。多くの異なった結晶性モレキュラーシーブが開示されてきたが、ガス分離及び乾燥、炭化水素及び化学転化、及び他の用途にとって望ましい性質を有する新しいモレキュラーシーブが絶えず要求されている。新規モレキュラーシーブは、新規な内部細孔構造を有することができ、これらの工程において、さらに改善された選択性を提供する。
【0003】
結晶性アルミノケイ酸塩は、通常、アルカリ又はアルカリ土類金属酸化物、シリカ、及びアルミナを含有する水溶性反応混合物から調製される。結晶性ホウケイ酸塩は、通常、アルミニウムの代わりにホウ素が使用されることを除いて、同様の反応条件下で調製される。合成条件及び反応混合物の組成を変化させることにより、異なるモレキュラーシーブを形成することができる場合がしばしばある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明は、独特の性質を有する結晶性モレキュラーシーブの一群を対象とする。本明細書においては「モレキュラーシーブSSZ−65」又は単に「SSZ−65」と呼ぶ。好ましくは、SSZ−65は、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、チタノケイ酸塩、ゲルマノケイ酸塩、バナドケイ酸塩又はホウケイ酸塩の形態で得られる。「ケイ酸塩」という用語は、酸化アルミニウムと比較して酸化ケイ素のモル比が大きい、好ましくはモル比が100を超えるモレキュラーシーブをいい、全体が酸化ケイ素からなるモレキュラーシーブを含む。本明細書で使用される「アルミノケイ酸塩」と云う用語は、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素の両方を含有するモレキュラーシーブを指し、「ホウケイ酸塩」と云う用語は、ホウ素及びケイ素の両方の酸化物を含有するモレキュラーシーブを指す。
【0005】
本発明によれば、(1)第一4価元素の酸化物の、(2)3価元素、5価元素、前記第一4価元素とは異なる第二4価元素又はそれらの混合物の酸化物に対するモル比が約15を超え、焼成後に、表IIのX線回折線を有する、モレキュラーシーブが提供される。
【0006】
さらに、本発明によれば、(1)酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム及びそれらの混合物から選択される酸化物の、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化バナジウム及びそれらの混合物から選択される酸化物に対するモル比が約15を超え、焼成後に、下の表IIのX線回折線を有するモレキュラーシーブが提供される。第一酸化物又は第一酸化物類の混合物の、第二酸化物に対するモル比が無限大になりうること、すなわち、モレキュラーシーブ中に第二酸化物が存在しない場合があることに注意すべきである。これらの場合は、モレキュラーシーブは、全シリカモレキュラーシーブであるか又はゲルマノケイ酸塩である。
【0007】
本発明は、さらに、合成されたままで、かつ、無水状態で、モル比で表して以下のような組成を有するモレキュラーシーブを提供する。
YO/W 15〜∞
2/n/YO 0.01〜0.03
Q/YO 0.02〜0.05
(式中、Yはケイ素、ゲルマニウム又はそれらの混合物であり、Wはアルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム、バナジウム又はそれらの混合物であり、cは1又は2であり、cが1のときdは2であり(すなわち、Wが4価である)、cが2のときdは3又は5であり(すなわち、Wが3価のときはdは3、Wが5価のときはdは5である)、Mはアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン又はそれらの混合物であり、nはMの原子価であり(すなわち、1又は2)、Qは1−[1−(4−クロロフェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウム又は1−エチル−1−(1−フェニル−シクロプロピルメチル)−ピロリジニウムカチオンである。)
【0008】
本発明によれば、また、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム及びそれらの混合物から選択される酸化物の、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化バナジウム及びそれらの混合物から選択される酸化物に対するモル比が約15を超えるモレキュラーシーブを、約200℃〜約800℃の温度で熱処理することにより調製されたモレキュラーシーブが提供され、こうして調製されたモレキュラーシーブは表IIのX線回折線を有する。また、本発明は、主に水素形の、このようにして調製されたモレキュラーシーブを含み、その水素形は、酸又はアンモニウム塩溶液とイオン交換し、次いで、第二焼成を行うことによって調製される。モレキュラーシーブが、鋳型分子カチオンのナトリウムイオンに対する比が十分大きい条件で合成される場合は、焼成だけで十分な場合もある。高触媒活性を得るためには、SSZ−65モレキュラーシーブは、主に水素イオン形でなければならない。焼成後に、カチオンサイトの少なくとも80%が、水素イオン及び/又は希土類イオンにより占有されていることが好ましい。本明細書で使用される「主に水素形で」という語句は、焼成後に、カチオンサイトの少なくとも80%が、水素イオン及び/又は希土類イオンにより占有されていることを意味する。
【0009】
また、本発明によれば、(1)第一4価元素の酸化物及び(2)3価元素、5価元素、前記第一4価元素とは異なる第二4価元素又はそれらの混合物の酸化物を含み、第一酸化物の第二酸化物に対するモル比が15を超える結晶性材料を調製するための方法であって、前記酸化物源を、1−[1−(4−クロロフェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウム又は1−エチル−1−(1−フェニル−シクロプロピルメチル)−ピロリジニウムカチオンを含む鋳型分子と、結晶化条件下で接触させるステップを含む、上記方法が提供される。
【0010】
さらに、本発明によれば、炭化水素供給原料を本発明のモレキュラーシーブを含む触媒と、炭化水素転化条件下で接触させるステップを含む、炭化水素を転化するための方法が提供される。そのモレキュラーシーブは、主に水素形とすることができる。また、そのモレキュラーシーブを実質的に酸性度を有していないものとすることもできる。
【0011】
さらに、本発明により、炭化水素供給原料を、本発明のモレキュラーシーブを含む触媒、好ましくは主に水素形の触媒と、水素化分解条件下で接触させるステップを含む、水素化分解法が提供される。
【0012】
また、本発明は、炭化水素供給原料を本発明のモレキュラーシーブを含む触媒、好ましくは、主に水素形の触媒と、脱ろう条件下で接触させるステップを含む脱ろう法を含む。
【0013】
また、本発明は、ろう質の炭化水素供給原料を本発明のモレキュラーシーブを含む触媒、好ましくは、主に水素形の触媒と、異性化脱ろう条件下で接触させるステップを含む、ろう質炭化水素供給原料の脱ろう製品の粘度指数を改善するための方法を含む。
【0014】
さらに、本発明は、オレフィン供給原料を、本発明のモレキュラーシーブを含む触媒上で、異性化条件下で異性化するステップを含む、C20+オレフィン供給原料からC20+潤滑油を製造するための方法を含む。そのモレキュラーシーブは主に水素形とすることができる。その触媒は、少なくとも1種のVIII族金属を含むことができる。
【0015】
本発明によれば、約350°F(177℃)を超える温度で沸騰し、直鎖及び若干分岐した鎖を含む炭化水素油供給原料を接触脱ろうするための方法であって、添加された水素ガスの約15〜3000psi(0.103〜20.7MPa)の水素圧での存在下で、前記炭化水素油供給原料を、本発明のモレキュラーシーブを、好ましくは主に水素形で含む触媒と接触させるステップを含む方法も提供される。触媒は、少なくとも1種のVIII族金属を含むことができる。触媒は、本発明のモレキュラーシーブを含む第1層、及び前記第1層のモレキュラーシーブより形状選択的であるアルミノケイ酸塩のモレキュラーシーブを含む第2層を含む層状触媒とすることができる。前記第1層は、少なくとも1種のVIII族金属を含むことができる。
【0016】
また、本発明には、炭化水素供給原料を水素化分解領域で水素化分解して、水素化分解油を含む流出液を得るステップ、及び添加された水素ガスの存在下で、少なくとも約400°F(204℃)の温度で、約15psig〜約3000psig(0.103〜20.7MPaゲージ圧)の圧力下で、本発明のモレキュラーシーブを含む触媒によって、水素化分解油を含む前記流出液を接触脱ろうするステップを含む、潤滑油を調製するための方法が含まれる。そのモレキュラーシーブは、主に水素形とすることができる。その触媒は、少なくとも1種のVIII族金属を含むことができる。
【0017】
さらに、本発明には、添加された水素の存在下で、ラフィネートを本発明のモレキュラーシーブを含む触媒と接触させるステップを含む、ラフィネートを異性化脱ろうするための方法が含まれる。そのラフィネートはブライトストックとすることができ、そのモレキュラーシーブは、主に水素形とすることができる。その触媒は、少なくとも1種のVIII族金属を含むことができる。
【0018】
また、本発明には、炭化水素供給原料のオクタンを増大させて、芳香族化合物の含有量が増大した製品を製造するための方法であって、約40℃を超え、約200℃未満の沸点範囲を有するノルマル及び若干分岐した炭化水素を含む炭化水素供給原料を、モレキュラーシーブを塩基性金属により中和して実質的に酸性度を有していないように作製された本発明のモレキュラーシーブを含む触媒と、芳香族転化条件下で接触させるステップを含む方法が含まれる。また、本発明において、モレキュラーシーブがVIII族金属成分を含む方法が提供される。
【0019】
また、本発明により、添加された水素の非存在下で、接触分解条件下に、反応領域において、炭化水素供給原料を、本発明のモレキュラーシーブを、好ましくは主に水素形で含む触媒と接触させるステップを含む、接触分解法が提供される。また、本発明には、触媒が大細孔径の結晶性分解成分をさらに含む、接触分解法が含まれる。
【0020】
さらに、本発明は、異性化条件下で、ノルマル及び若干分岐したC〜Cの炭化水素を有する供給原料を、本発明のモレキュラーシーブを、好ましくは主に水素形で含む触媒と接触させるステップを含む、C〜Cの炭化水素を異性化するための異性化法を提供する。そのモレキュラーシーブは、少なくとも1種のVIII族金属、好ましくは白金で含浸することができる。その触媒は、VIII族金属で含浸した後、高温で蒸気/空気の混合物中で焼成することができる。
【0021】
また、本発明により、アルキル化条件下で、少なくともモル過剰の芳香族炭化水素を、少なくとも部分的に液相である条件下で、本発明のモレキュラーシーブを、好ましくは主に水素形で含む触媒の存在の下に、C〜C20のオレフィンと接触させるステップを含む、芳香族炭化水素をアルキル化するための方法が提供される。オレフィンは、C〜Cのオレフィンとすることができ、芳香族炭化水素及びオレフィンは、それぞれ、約4:1〜約20:1のモル比で存在しうる。芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ナフタレン、ナフタレン誘導体、ジメチルナフタレン又はそれらの混合物からなる群より選択することができる。
【0022】
さらに、本発明によれば、トランスアルキル化条件下で、芳香族炭化水素を、少なくとも部分的に液相である条件下で、本発明のモレキュラーシーブを、好ましくは主に水素形で含む触媒の存在下に、ポリアルキル芳香族炭化水素と接触させるステップを含む、芳香族炭化水素をトランスアルキル化するための方法が提供される。芳香族炭化水素及びポリアルキル芳香族炭化水素は、それぞれ、約1:1〜約25:1のモル比で存在することができる。
【0023】
芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、又はそれらの混合物からなる群より選択されることができ、ポリアルキル芳香族炭化水素は、ジアルキルベンゼンとすることができる。
【0024】
さらに、本発明により、パラフィンを芳香族化合物に転化させる条件下で、パラフィンを、本発明のモレキュラーシーブ、及びガリウム、亜鉛、又はガリウム若しくは亜鉛の化合物を含む触媒と接触させるステップを含む、パラフィンを芳香族化合物へ転化するための方法が提供される。
【0025】
また、本発明によれば、オレフィンの異性化を起こす条件下で、オレフィンを、本発明のモレキュラーシーブを含有する触媒と接触させるステップを含む、オレフィンを異性化するための方法が提供される。
【0026】
さらに、本発明によれば、キシレン異性体又はキシレン異性体とエチルベンゼンとの混合物である芳香族Cの流れを含む異性化供給原料を異性化して、より平衡に近いオルト−、メタ−及びパラ−キシレン比を得るための方法であって、異性化条件下で、前記供給原料を、本発明のモレキュラーシーブを含有する触媒と接触させるステップを含む方法が提供される。
【0027】
さらに、本発明は、オリゴマー化条件下で、オレフィン供給原料を、本発明のモレキュラーシーブを含有する触媒と接触させるステップを含む、オレフィンをオリゴマー化するための方法を提供する。
【0028】
また、本発明は、酸素化された炭化水素を、液体生成物を製造する条件下で、本発明のモレキュラーシーブを含む触媒と接触させるステップを含む、酸素化された炭化水素を転化するための方法を提供する。酸素化された炭化水素は、低級アルコールとすることができる。
【0029】
さらに、本発明によれば、
(a)より低分子量の炭化水素を含有するガスを反応領域に導入し、前記ガスを、C2+炭化水素合成条件下に、前記領域において、触媒及び前記のより低分子量の炭化水素をより高分子量の炭化水素へ転化することのできる金属又は金属化合物と接触させるステップ、及び
(b)前記反応領域から、より高分子量の炭化水素を含有する流れを抜き出すステップ
を含む、より低分子量の炭化水素からより高分子量の炭化水素を製造するための方法が提供される。
【0030】
また、本発明によれば、ガス流を、(1)第一4価元素の酸化物の、(2)前記第一4価元素とは異なる第二4価元素、3価元素、5価元素又はそれらの混合物の酸化物に対するモル比が約15を超え、焼成後に、表IIのX線回折線を有するモレキュラーシーブと接触させるステップを含む、酸素の存在下でガス流中に含有されている窒素の酸化物を還元するための方法が提供される。モレキュラーシーブは、窒素の酸化物の還元を触媒することのできる金属又は金属イオン(例えば、コバルト、銅、白金、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、ランタン、パラジウム、ロジウム又はそれらの混合物)を含むことができ、前記方法は、化学量論的に過剰な酸素の存在下で実施することができる。好ましい実施形態においては、ガス流は、内燃機関の排気流である。
【0031】
発明の詳細な説明
本発明は、本明細書において「モレキュラーシーブSSZ−65」又は単に「SSZ−65」と呼ぶ、一群の結晶性大細孔径モレキュラーシーブを含む。本明細書において使用される「大細孔径(large pore)」と云う用語は、約6.0Åを超える、好ましくは約6.5Å〜約7.5Åの平均細孔径を有することを意味する。
【0032】
SSZ−65を調製する際には、1−[1−(4−クロロフェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウム又は1−エチル−1−(1−フェニル−シクロプロピルメチル)−ピロリジニウムカチオンが、結晶化テンプレートとしても知られる鋳型分子(「SDA」)として使用される。SSZ−65の製造に有用なSDAは、以下の構造を有する:
【化1】

【0033】
SDAカチオンは、アニオン(X)と会合しており、アニオン(X)はモレキュラーシーブの形成に害を及ぼすことのない、いかなるアニオンであってもよい。典型的なアニオンには、ハロゲン、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物及び沃化物、水酸化物、酢酸塩、硫酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、カルボン酸塩などが含まれる。水酸化物は、最も好ましいアニオンである。
【0034】
一般に、SSZ−65は、1価元素酸化物、2価元素酸化物、3価元素酸化物、4価元素酸化物及び/又は5価元素酸化物からなる群より選択される1種又は複数種の酸化物の活性源を、1−[1−(4−クロロフェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウム又は1−エチル−1−(1−フェニル−シクロプロピルメチル)−ピロリジニウムカチオンSDAと接触させることによって調製される。
【0035】
SSZ−65は、下の表Aに示されている組成を有する反応混合物から調製される。
【表1】


ただし、Y、W、Q、M及びnは、上で定義されたとおりであり、aは1又は2であり、aが1(すなわち、Wは4価である)のときbは2であり、aが2(すなわち、Wは3価である)のときbは3である。
【0036】
実際には、SSZ−65は、
(a)結晶性モレキュラーシーブを形成することができる少なくとも1種の酸化物の供給源及びSSZ−65の形成に害を及ぼすことのないアニオン対イオンを有する1−[1−(4−クロロフェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウム又は1−エチル−1−(1−フェニル−シクロプロピルメチル)−ピロリジニウムカチオンを含有する水溶液を調製するステップ、
(b)その水溶液を、SSZ−65の結晶を形成するのに十分な条件に維持するステップ、及び
(c)SSZ−65の結晶を回収するステップ、
を含む方法によって調製される。
【0037】
従って、SSZ−65は、結晶性材料及びSDAと、共有酸素原子を介して四面体配位で結合されることで架橋三次元結晶構造を形成する金属及び非金属酸化物との組合せを含むことができる。金属及び非金属酸化物は、第一4価元素の酸化物の1種又は組合せ、及び3価元素、5価元素、第一4価元素とは異なった第二4価元素又はそれらの混合物の1種又はそれらの組合せを含む。
第一4価元素は、好ましくは、ケイ素、ゲルマニウム及びそれらの組合せからなる群より選択される。より好ましくは、第一4価元素はケイ素である。3価元素、5価元素及び第二4価元素(第一4価元素とは異なる)は、好ましくは、アルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム、バナジウム及びそれらの組合せからなる群より選択される。より好ましくは、第二3価又は4価元素は、アルミニウム又はホウ素である。
【0038】
反応混合物用の酸化アルミニウムの典型的な供給源には、アルミン酸塩、アルミナ、アルミニウムコロイド、シリカゾルにコーティングされた酸化アルミニウム、Al(OH)などの水和アルミナゲル並びにAlCl及びAl(SOなどのアルミニウム化合物が含まれる。酸化ケイ素の典型的な供給源には、ケイ酸塩、シリカヒドロゾル、ケイ酸、ヒュームドシリカ、コロイド状シリカ、テトラアルキルオルトシリケート、及びシリカ水酸化物が含まれる。ホウ素、並びにガリウム、ゲルマニウム、チタン、インジウム、バナジウム及び鉄は、それらのアルミニウム及びケイ素の同等物に相当する形態で添加することができる。
【0039】
供給源モレキュラーシーブ試薬は、アルミニウム又はホウ素の供給源を提供することができる。ほとんどの場合、供給源モレキュラーシーブは、また、シリカの供給源となる。脱アルミニウム又は脱ホウ素の形をした供給源モレキュラーシーブもまた、例えば、上に列挙された慣用の供給源を使用して追加のケイ素を添加し、シリカの供給源として使用することができる。供給源モレキュラーシーブ試薬を、本方法のアルミナの供給源として使用することは、1993年7月6日にNagaokaに対して発行された「モレキュラーシーブの製造方法(Method of Making Molecular Sieves)」と題する米国特許第5225179号に、より徹底的に記載されており、前記特許の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
典型的には、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム、ルビジウム、カルシウム、及びマグネシウムの水酸化物などのアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物が、反応混合物中で使用される。しかし、この成分は、等価の塩基性度が維持されるならば、省略することができる。SDAは、水酸化物イオンを供給するために使用することができる。従って、例えば、ハロゲン化物イオンを水酸化物イオンにイオン交換し、それによって、必要とされるアルカリ金属水酸化物の量を減少又は消失させるのは有益かもしれない。アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類カチオンは、合成されたままの結晶性酸化物材料の一部とし、価電子の電荷を釣り合わすことができる。
【0041】
反応混合物は、SSZ−65の結晶が形成されるまで高温に維持される。水熱結晶化は、通常、100℃〜200℃の温度、好ましくは135℃〜160℃の温度において、自生圧力下で実施される。結晶化期間は、典型的には1日を超え、好ましくは、約3日〜約20日である。
【0042】
好ましくは、モレキュラーシーブは、穏やかな混合及び攪拌を用いて調製される。
【0043】
水熱結晶化ステップの間、SSZ−65結晶は、反応混合物から自発的に核形成させることができる。種晶材料としてSSZ−65結晶を使用することは、完全な結晶化が生じるのに必要な時間を短縮するのに有利であり得る。加えて、種晶添加は、望ましくない相の上にSSZ−65の核形成及び/又は形成を促進することにより得られる生成物の純度を向上させることができる。種晶として使用される場合、SSZ−65結晶は、反応混合物中で使用される第一4価元素酸化物、例えばシリカ、の重量の0.1〜10%の量で添加される。
【0044】
一旦モレキュラーシーブの結晶が形成されると、濾過などの標準的な機械的分離法により、固形生成物は反応混合物から分離される。結晶は水で洗浄され、次いで、例えば、90℃〜150℃で8〜24時間、乾燥され、合成されたままのSSZ−65結晶が得られる。乾燥ステップは、大気圧又は真空下で実施することができる。
【0045】
調製されたSSZ−65は、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム及びそれらの混合物から選択される酸化物の、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化バナジウム及びそれらの混合物から選択される酸化物に対するモル比が約15を超え、焼成後は、下の表IIのX線回折線を有する。さらに、SSZ−65は、合成されたまま(すなわち、SSZ−65からSDAが除去される前の)で、かつ、無水状態において、モル比で表して、下の表Bに示された組成を有する。
【表2】


ただし、Y、W、c、d、M、n及びQは、上で定義したとおりである。
【0046】
SSZ−65は、∞(無限大)のYO/Wモル比で、すなわち、SSZ−65内に本質的にWが存在していないものとして作製することができる。この場合は、SSZ−65は全シリカ材料又はゲルマノケイ酸塩となろう。従って、ケイ素及びアルミニウムの酸化物が用いられる典型的な場合には、SSZ−65は、本質的にアルミニウムを含有しない、すなわち、シリカのアルミナに対する∞のモル比を有するように作製することができる。シリカのアルミナに対するモル比を増大させる方法は、標準的な酸浸出又はキレート処理を用いることによるものである。しかし、本質的にアルミニウムを含有しないSSZ−65は、もしホウ素も存在する場合は、主たる四面体金属酸化物として、本質的にアルミニウムを含有しないケイ素供給源を使用して合成することができる。次いで、ホウ素は、所望の場合は、ホウケイ酸塩のSSZ−65を高温で酢酸により処理することにより除去され(Jonesら、Chem.Mater.、2001年、13巻、1041〜1050頁に記載のように)、SSZ−65の全シリカ形が得られる。SSZ−65は、また、ホウケイ酸塩として直接調製することができる。所望する場合は、ホウ素は上述の如く除去され、当該技術分野で公知の技法により金属原子によって置換され、例えば、SSZ−65のアルミノケイ酸塩形を作製することができる。SSZ−65は、また、アルミノケイ酸塩として直接調製することができる。
【0047】
シリカのアルミナに対するより低い比は、アルミニウムを結晶骨格に挿入する方法を用いることにより得られる。例えば、アルミニウムの挿入は、モレキュラーシーブをアルミナ結合剤又は溶解されたアルミナ供給源と共に熱処理することによって起こり得る。そのような手順は、1985年12月17日にChangらに対して発行された米国特許第4559315号に記載されている。
【0048】
SSZ−65は、そのX線回折パターンによって特徴づけられる新しい骨格構造又はトポロジーからなると考えられている。合成されたままのSSZ−65は、その粉末X線回折パターンが表Iに示されている特性線を示し、それによって他のモレキュラーシーブから識別される結晶構造を有している。
【表3】


(b)与えられたX線パターンは、X線パターンにおける最強線を100という数値に指定した相対的強度スケールに基づく。W(弱い)は20未満である、M(中程度)は20〜40である、S(強い)は40〜60である、VS(非常に強い)は60を超える。
【0049】
下の表IAは、実際の相対強度を含む、合成されたままのSSZ−65の粉末X線回折線を示す。
【表4】

【0050】
焼成後、SSZ−65モレキュラーシーブは、その粉末X線回折パターンが表IIに示されている特性線を含む結晶構造を有する。
【表5】

【0051】
下の表IIAは、実際の相対強度を含む、焼成されたSSZ−65の粉末X線回折線を示す:
【表6】

【0052】
粉末X線回折パターンは、標準技法により測定された。放射は、銅のK−α/二重線であった。θがブラッグ角であるところの2θの関数として、ピーク高さ及び位置を、ピークの相対強度から読み取り、記録された線に対応し、Åで表された面間隔であるdを計算することができる。
【0053】
測定器の誤差及び個々の試料間の差による散乱角(2θ)測定値の変動は、±0.1°であると見積もられている。
【0054】
表IのX線回折パターンは、「合成されたままの」又は「造られたままの」SSZ−65モレキュラーシーブの代表例を示す。回折パターンの小さな変動は、格子定数の変化による、具体的な試料のシリカ対アルミナ又はシリカ対ホウ素のモル比の変動から生じうる。加えて、結晶が十分小さい場合は、ピークの形状及び強度に影響を与え、ピーク巾を大幅に広げることになる。
【0055】
焼成されたSSZ−65のX線回折パターンからの代表的なピークが表IIに示されている。また、焼成により、「造られたままの」材料のパターンと比較して、ピーク強度の変化及び回折パターンの小さなシフトがもたらされうる。モレキュラーシーブに存在する金属又は他のカチオンを、さまざまな他のカチオン(H又はNHなど)と交換することによって作製したモレキュラーシーブは、本質的に同一の回折パターンをもたらすが、やはり、面間隔における小さなシフト及びピークの相対強度における変化が生じうる。これらの小さな変動にも係わらず、基本的な結晶格子は、これらの処理によって変化することなく維持されている。
【0056】
結晶性SSZ−65は、合成されたままで使用することができるが、好ましくは、熱処理される(焼成される)ことになる。通常、アルカリ金属カチオンをイオン交換によって除去し、それを水素、アンモニウム、又は所望の金属イオンで置換することが望ましい。モレキュラーシーブを、キレート試薬、例えばEDTA又は希酸溶液によって浸出することができ、シリカ対アルミナのモル比を増加させることができる。またモレキュラーシーブを蒸気で処理することができ、蒸気処理は、酸からの攻撃に対して結晶格子を安定化するのに役立つ。
【0057】
モレキュラーシーブは、例えば、タングステン、バナジウム、モリブデン、レニウム、ニッケル、コバルト、クロム、マンガン、又はパラジウム若しくは白金などの貴金属などの水素化成分と密接に組合わせて、水素化−脱水素機能が望まれる用途に使用することができる。
【0058】
また標準的なイオン交換技法を用いて、モレキュラーシーブのカチオンの幾分かを金属カチオンと置換することにより、金属をモレキュラーシーブに導入することができる(例えば、1964年7月7日にPlankらに対して発行された米国特許第3140249号、1964年7月7日にPlankらに対して発行された米国特許第3140251号、及び1964年7月7日にPlankらに対して発行された米国特許第3140253号を参照)。典型的な置換カチオンには、例えば、希土類、IA族、IIA族及びVIII族金属などの金属カチオン、並びにそれらの混合物が含まれる。置換金属カチオンの中では、希土類、Mn、Ca、Mg、Zn、Cd、Pt、Pd、Ni、Co、Ti、Al、Sn、及びFeなどの金属のカチオンが特に好ましい。
【0059】
水素、アンモニウム、及び金属成分は、SSZ−65の中へイオン交換することができる。SSZ−65は、また、当該技術分野で公知の標準的な方法を用いて、金属を含浸することができるか、又は金属がSSZ−65と物理的に、密接に混合することができる。
【0060】
典型的なイオン交換技術では、合成モレキュラーシーブを、所望の置換カチオン又はカチオン類の塩を含有する溶液と接触させることが必要である。広範囲のさまざまな塩を使用することができるが、塩化物及びその他のハロゲン化物、酢酸塩、硝酸塩、及び硫酸塩が特に好ましい。そうすることにより、イオン交換の効率がよりよくなるので、通常、モレキュラーシーブをイオン交換手順に先だって焼成し、流路及び表面に存在する有機物を除去する。代表的なイオン交換技術は、1964年7月7日にPlankらに対して発行された米国特許第3140249号、1964年7月7日にPlankらに対して発行された米国特許第3140251号、及び1964年7月7日にPlankらに対して発行された米国特許第3140253号を含むさまざまな特許に開示されている。
【0061】
所望の置換カチオンの塩の溶液に接触した後、モレキュラーシーブは、典型的には、水で洗浄され、65℃〜約200℃の範囲の温度で乾燥される。洗浄後、モレキュラーシーブは、空気又は不活性ガス中で、約200℃〜約800℃の範囲の温度で、1〜48時間又はそれ以上焼成し、炭化水素転化工程で特に有用な触媒活性製品を作製することができる。
【0062】
合成形態のSSZ−65に存在するカチオンとは無関係に、モレキュラーシーブの基本的な結晶格子を形成する原子の空間配置は、本質的に変化しないまま維持されている。
【0063】
SSZ−65は、さまざまな物理的形状に成形することができる。一般的に言えば、モレキュラーシーブは、粉末、顆粒、又は2メッシュ(タイラー(Tyler))の篩を通過し、400メッシュ(タイラー)の篩の上に保持されるのに十分な粒径を有する押出し物などの成形物の形態をとることができる。触媒が、例えば、有機結合剤を用いて押出しなどにより成形される場合は、SSZ−65は、乾燥する前に押出成形されるか、又は、乾燥された後で、又は部分的に乾燥された後で、押出成形することができる。
【0064】
SSZ−65は、有機転化方法で使用される温度及びその他の条件に対して耐久性のある他の材料によって複合化することができる。そのようなマトリックス材料には、活性及び不活性材料、並びに合成及び天然に産するモレキュラーシーブ、並びに粘土、シリカ及び金属酸化物などの無機材料が含まれる。そのような材料の例及びそれらが使用されうる方法は、1990年5月20日にZonesらに対して発行された米国特許第4910006号、及び1994年5月31日にNakagawaに対して発行された米国特許第5316753号に開示されており、前記特許は両方とも、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0065】
SSZ−65モレキュラーシーブは、炭化水素の転化反応に有用である。炭化水素転化反応は、炭素を含有する化合物が別の炭素含有化合物に変化させられる、化学及び触媒過程である。SSZ−65が役立つと期待される炭化水素転化反応の例には、水素化分解、脱ろう、接触分解並びにオレフィン及び芳香族化合物生成反応が含まれる。また、触媒も、他の石油精製並びにn−パラフィン及びナフテンの異性化、イソブチレン及びブテン−1などのオレフィン又はアセチレン化合物の重合及びオリゴマー化、改質、ポリアルキル置換された芳香族化合物(例えば、m−キシレン)の異性化、並びにベンゼン、キシレン及びより高級のメチルベンゼン類の混合物を得るための芳香族化合物(例えば、トルエン)の不均化並びに酸化反応などの炭化水素転化反応において役立つと期待される。また、さまざまなナフタレン誘導体を作製するための転位反応、及びより低分子量の炭化水素からより高分子量の炭化水素を形成すること(例えば、メタンのアップグレード)も含まれる。SSZ−65触媒は、高い選択性を有することができ、炭化水素転化条件下で、全生成物に対して高いパーセンテージで所望の生成物を得ることができる。
【0066】
高い触媒活性を得るためには、SSZ−65モレキュラーシーブは、主に水素イオン形でなければならない。一般に、モレキュラーシーブは、アンモニウム交換の後で焼成することにより水素形に転化される。モレキュラーシーブが、SDAカチオンのナトリウムイオンに対する比を十分大きくして合成される場合は、焼成のみで十分であり得る。焼成後、カチオンサイトの少なくとも80%が、水素イオン及び/又は希土類イオンにより占有されることが好ましい。本明細書で用いられる「主に水素形で」という語句は、焼成後、カチオンサイトの少なくとも80%が、水素イオン及び/又は希土類イオンにより占有されることを意味する。
【0067】
SSZ−65モレキュラーシーブは、炭化水素供給原料を処理するのに用いることができる。炭化水素供給原料は、炭素化合物を含有しており、直留(virgin)石油留分、リサイクル石油留分、頁岩油、液化石炭、タールサンド油、NAOからの合成パラフィン、リサイクルプラスチック供給原料などのさまざまな多くの供給源に由来し、一般に、ゼオライト触媒反応を受ける任意の炭素含有供給原料とすることができる。炭化水素供給原料が受けるべき処理の種類に応じて、供給原料は金属を含むことができるか、又は金属を含まないことができ、また、高濃度又は低濃度の窒素又は硫黄不純物を含むことができる。しかし、一般に、供給原料の金属、窒素、及び硫黄含有量が低ければ低いほど、一般的処理がますます効率的になる(触媒がより活性になる)はずであることが理解されうる。
【0068】
炭化水素原料の転化は、任意の慣用的な仕方で、例えば、所望の方法の種類に応じて、流動床、移動床又は固定床反応装置において実施することができる。触媒粒子の調合は、転化方法及び操業方法に応じて変化することになる。
【0069】
金属、例えば、白金などのVIII族金属を含む本発明の触媒を用いて行われうるその他の反応には、水素化−脱水素反応、脱窒素及び脱硫反応が含まれる。
【0070】
下記の表は、本発明の炭化水素転化反応においてSSZ−65を含む触媒を使用する場合に、使用することができる典型的な反応条件を示す。好ましい条件は、括弧内に示されている。
【表7】


数百気圧
気相反応
炭化水素の分圧
液相反応
重量空間速度
その他の反応条件及びパラメータは、以下に与えられている。
【0071】
水素化分解
SSZ−65を、好ましくは主に水素形で含む触媒及び水素化促進剤を使用し、前述の米国特許第4910006号及び米国特許第5316753号に開示されている工程条件及び触媒成分を用いて、重油残留物供給原料(heavy petroleum residual feedstocks)、循環原料(cyclic stocks)、及び他の水素添加分解転化装置の原料(hydrocrackate charge stocks)を水素化分解することができる。
【0072】
水素化分解触媒は、水素化分解触媒で普通に使用される種類の、少なくとも1種の水素化成分を有効量含有している。水素化成分は、一般に、VIB族及びVIII族の1種又は複数の金属(それらを含有する塩、錯体及び溶液を含む)からなる水素化触媒の群から選択される。好ましくは、水素化触媒は、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム及びそれらの混合物の少なくとも1種からなる群又はニッケル、モリブデン、コバルト、タングステン、チタン、クロム及びそれらの混合物の少なくとも1種からなる群の金属、塩、及びそれらの錯体から選択される。触媒活性金属又は金属類に言及するのは、元素状態又は酸化物、硫化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩などの、ある形態をしている金属又は金属類を包含することを意図するものである。水素化触媒は、水素化分解触媒の水素化機能をもたらすのに有効な量で、好ましくは0.05〜25重量%の範囲で存在する。
【0073】
脱ろう
SSZ−65、好ましくは主に水素形のSSZ−65は、直鎖パラフィンを選択的に除去することにより、炭化水素供給原料を脱ろうするために使用することができる。典型的には、ろう質の供給原料が異性化脱ろう条件下でSSZ−65と接触させられる際に、脱ろうされた生成物の粘度指数が(ろう質の供給原料と較べて)改善される。
【0074】
触媒の脱ろう条件は、使用される供給原料及び所望の流動点に大きく依存する。好ましくは、接触脱ろう工程の間、反応領域には水素が存在する。水素の供給原料に対する比は、典型的には、約500〜約30,000SCF/bbl(標準立方フィート/バレル)(0.089〜5.34SCM/リットル(標準立方メートル/リットル))、好ましくは、約1000〜約20,000SCF/bbl(0.178〜3.56SCM/リットル)である。一般に、水素は生成物から分離され、反応領域へ再循環される。典型的な供給原料には、軽油、重質軽油及び約350°F(177℃)を超える温度で沸騰する常圧残油が含まれる。
【0075】
典型的な脱ろう法は、約15〜3000psi(0.103〜20.7MPa)の水素圧で、添加された水素ガスの存在下で、炭化水素油供給原料を、SSZ−65及び少なくとも1種のVIII族金属を含む触媒と接触させることによって、約350°F(177℃)を超える温度で沸騰し、直鎖及び若干分岐された炭化水素を含有する鎖の炭化水素油供給原料を接触脱ろうすることである。
【0076】
SSZ−65水素化脱ろう触媒は、任意選択的に、脱ろう触媒で普通に使用される種類の水素化成分を含有することができる。これらの水素化成分の例に関しては、前述の米国特許第4910006号及び米国特許第5316753号を参照すること。
【0077】
水素化成分は、有効な水素化脱ろう及び水素異性化触媒を提供するのに有効な量で、好ましくは約0.05〜5重量%の範囲の量で存在する。触媒は、分解反応を犠牲にして異性化脱ろうを増大させるやり方で使用することができる。
【0078】
供給原料は、水素化分解し、次いで脱ろうすることができる。この型の2段階工程及び典型的な水素分解条件は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、1990年5月1日にMillerに対して発行された米国特許第4921594号に記載されている。
【0079】
SSZ−65は、また、層状触媒の形態で脱ろう触媒として利用することができる。すなわち、触媒は、モレキュラーシーブSSZ−65及び少なくとも1種のVIII族金属を含む第1層、及びモレキュラーシーブSSZ−65より形状選択性の大きいアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブを含む第2層を備えている。層状の触媒を使用することは、参照により全体が本明細書に組み込まれる、1992年9月22日にMillerに対して発行された米国特許第5149421号に開示されている。層状化には、また、水素化分解又は水素化精製用に設計された非ゼオライト型の成分と共に層状化されたSSZ−65の床(bed)が含まれる。
【0080】
また、SSZ−65は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、1980年1月1日にGillespieらに対して発行された米国特許第4181598号に開示されている条件などの条件下で、ブライトストックを含むラフィネートを脱ろうするために使用することができる。
【0081】
穏和な水素化(時に、水素化精製と呼ばれる)を利用して、より安定な脱ろう生成物を製造することはしばしば望ましい。水素化精製ステップは、脱ろうステップの前又は後のいずれかで、好ましくは後で実施することができる。水素化精製は、典型的には、約190℃〜約340℃の範囲の温度、約400psig〜約3000psig(2.76〜20.7MPaゲージ)の圧力、約0.1〜20の空間速度(LHSV)及び約400〜1500SCF/bbl(0.071〜0.27SCM/リットル)の水素リサイクル比で実施される。使用される水素化触媒は、オレフィン、ジオレフィン及び存在していることもある着色物を水素化するのみならず、芳香族含有量を低減させることができるほどに、活性でなければならない。適切な水素化触媒は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、1990年5月1日にMillerに対して発行された米国特許第4921594号に開示されている。水素化分解された原料から調製された脱ろう生成物は、空気及び光に対して不安定になり、自発的に、素早くスラッジを形成する傾向があるので、許容できる程度に安定な生成物(例えば、潤滑油)を調製する際には、水素化精製段階は有益である。
【0082】
潤滑油は、SSZ−65を使用して調製することができる。例えば、C20+潤滑油は、水素形のSSZ−65及び少なくとも1種のVIII族金属を含む触媒上で、C20+オレフィン供給原料を異性化することによって製造することができる。別法として、潤滑油は、水素化分解領域内で炭化水素供給原料を水素化分解することにより、水素化分解油を含む流出液を得、この流出液を、少なくとも約400°F(204℃)の温度で、添加された水素ガスの存在下で、約15psig〜約3000psig(0.103〜20.7MPaゲージ)の圧力下で、水素形のSSZ−65及び少なくとも1種のVIII族金属を含む触媒を使用して、脱ろうすることによって製造することができる。
【0083】
芳香族化合物の形成
SSZ−65は、LSRナフサ(light straight run naphthas)及び類似の混合物を、芳香族化合物を多く含む混合物に転化するために使用することができる。従って、ノルマル及び若干分岐された鎖の炭化水素は、好ましくは、約40℃を超え、約200℃未満の沸点範囲を有するノルマル及び若干分岐された鎖の炭化水素は、炭化水素供給原料を、SSZ−65を含む触媒と接触させることにより、実質的により高いオクタン芳香族化合物含有量を有する生成物に転化することができる。SSZ−65を含む触媒を使用して、より重質の供給原料をBTX(ベンゼン、トルエン、キシレンの混合物)又は価値のあるナフタレン誘導体に転化することも可能である。
【0084】
転化触媒は、商業的に用いるのに十分な触媒活性を持つように、好ましくは、VIII族金属化合物を含有する。本明細書において用いられるVIII族金属化合物は、金属自体又はそれらの化合物を意味する。VIII族の貴金属及びそれらの化合物、白金、パラジウム、及びイリジウム、又はそれらの組合せを使用することができる。レニウム又はスズ又はそれらの混合物は、VIII族金属化合物と共に、好ましくは貴金属化合物と共に、使用することもできる。最も好ましい金属は白金である。転化触媒中に存在するVIII族金属の量は、改質触媒で使用される通常の範囲内でなければならず、約0.05〜2.0重量%、好ましくは0.2〜0.8重量%の範囲である。
【0085】
例えば、モレキュラーシーブを、塩基性金属、例えばアルカリ金属化合物を用いて中和することによって、転化触媒が、酸性度を実質的に有していないようになっていることは、実用的な量で芳香族化合物を選択的に生産する場合には、決定的に重要である。触媒を酸性度を有さないようにする方法は、当該技術分野において公知である。そのような方法の記載については、前述の米国特許第4910006号及び米国特許第5316753号を参照すること。
【0086】
好ましいアルカリ金属は、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムである。モレキュラーシーブ自体は、シリカ:アルミナのモル比が非常に高いところでのみ、実質的に酸性度を有していない。
【0087】
接触分解
炭化水素分解原料は、水素の存在しない状態で、好ましくは主に水素形のSSZ−65を使用して接触分解することができる。
【0088】
SSZ−65が、水素の存在しない状態で接触分解触媒として使用される場合は、その触媒は、伝統的な分解触媒、例えば、分解触媒中の一成分としてこれまで使用されてきた任意のアルミノケイ酸塩と一緒に使用することができる。典型的にはこれらは、大細孔径の結晶性アルミノケイ酸塩である。伝統的な分解触媒の例は、前述の米国特許第4910006号及び米国特許第5316753号に開示されている。伝統的な分解触媒(TC)成分が使用される場合は、TCのSSZ−65に対する相対的な重量比は、一般的に、約1:10〜約500:1、望ましくは、約1:10〜約200:1、好ましくは約1:2〜約50:1、最も好ましくは、約1:1〜約20:1である。新規なモレキュラーシーブ及び/又は伝統的な分解成分は、希土類イオンとさらにイオン交換し、選択性を変更することができる。
【0089】
典型的には、分解触媒は、無機酸化物のマトリックス成分と共に使用される。そのようなマトリックス成分の例に関しては、前述の米国特許第4910006号及び米国特許第5316753号を参照すること。
【0090】
異性化
本触媒は、C〜C炭化水素を異性化するための高度に活性な、高度に選択的な触媒である。この活性は、高度に分岐されたパラフィンに対して熱力学的に有利な比較的低温で、この触媒が機能することができることを意味する。従って、この触媒は、ハイオクタン生成物を製造することができる。高度の選択性は、触媒をハイオクタンで使用するとき、比較的高い液体収量が達成できることを意味する。
【0091】
本方法は、異性化触媒、すなわち、水素形のSSZ−65を含む触媒を、異性化条件下で炭化水素供給原料と接触させることを含む。好ましくは、供給原料は、30°F〜250°F(−1℃〜121℃)、好ましくは、60°F〜200°F(16℃〜93℃)の範囲内で沸騰する、LSR留分(light straight run fraction)である。好ましくは、この方法のための炭化水素供給原料は、実質量のC〜Cのノルマル及び若干分岐された低オクタン炭化水素、より好ましくは、C及びC炭化水素である。
【0092】
水素の存在下で異性化反応を実施することが好ましい。水素の炭化水素に対する比(H/HC)が、好ましくは、0.5〜10H/HC、より好ましくは、1〜8H/HCであるように水素が添加される。異性化工程の条件のさらなる考察については、前述の米国特許第4910006号及び米国特許第5316753号を参照すること。
【0093】
本方法においては、低硫黄の供給原料が特に好まれる。供給原料は、好ましくは10ppm未満、より好ましくは1ppm未満、最も好ましくは0.1ppm未満の硫黄を含有する。まだ硫黄が低くない供給原料の場合は、予備飽和領域(presaturation zone)において、供給原料を、硫黄被毒現象に対して耐久性のある水素化触媒を用いて水素化することにより、許容できる水準に到達しうる。この水素化脱硫方法のさらなる考察については、前述の米国特許第4910006号及び米国特許第5316753号を参照すること。
【0094】
供給原料の窒素濃度及び水含有量を制限することが好ましい。これらの目的に適した触媒及び方法は、当業者には公知である。
【0095】
操業期間の後で、触媒は、硫黄又はコークスによって失活された状態になりうる。この硫黄及びコークスを除去する方法、及び触媒を再生する方法のさらなる考察については、前述の米国特許第4910006号及び米国特許第5316753号を参照すること。
【0096】
転化触媒は、好ましくは、商業的に使用するための十分な活性を備えるために、VIII族金属化合物を含有する。本明細書において使用されるVIII族金属化合物は、金属自体又はそれらの化合物を意味する。VIII族の貴金属及びそれらの化合物、白金、パラジウム、及びイリジウム、又はそれらの組合せを使用することができる。レニウム及びスズもまた、貴金属と一緒に使用することができる。最も好ましい金属は白金である。転化触媒に存在するVIII族金属の量は、異性化触媒で使用される通常の範囲内、約0.05〜2.0重量%、好ましくは0.2〜0.8重量%の範囲とすべきである。
【0097】
アルキル化及びトランスアルキル化
SSZ−65は、芳香族炭化水素のアルキル化及びトランスアルキル化のための方法において使用することができる。この方法は、少なくとも部分的液相条件下で、かつ、SSZ−65を含む触媒を存在下に、芳香族炭化水素を、C〜C16のオレフィンアルキル化剤又はポリアルキル芳香族炭化水素のトランスアルキル化剤と接触させることを含む。
【0098】
SSZ−65は、上述の如くベンゼンをアルキル化することにより、ガソリンからベンゼンを除去するため、及びガソリンからアルキル化された生成物を回収するために使用することもできる。
【0099】
高い触媒活性を得るためには、SSZ−65モレキュラーシーブは、主に水素イオン形でなければならない。焼成後、カチオンサイトの少なくとも80%が、水素イオン及び/又は希土類イオンにより占有されることが好ましい。
【0100】
本発明の方法によりアルキル化又はトランスアルキル化することができる、適切な芳香族炭化水素供給原料の例には、ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの芳香族化合物が含まれる。好ましい芳香族炭化水素はベンゼンである。ジメチルナフタレンなどのナフタレン又はナフタレン誘導体が望ましい場合もあり得る。芳香族炭化水素の混合物を使用することもできる。
【0101】
芳香族炭化水素のアルキル化のための適切なオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、トランス−ブテン−2及びシス−ブテン−2、又はそれらの混合物などの、2〜20個、好ましくは2〜4個の炭素原子を含有するものである。ペンテンが望ましい場合があり得る。好ましいオレフィンは、エチレン及びプロピレンである。より長鎖のα−オレフィンもまた使用することができる。
【0102】
トランスアルキル化が所望される場合は、トランスアルキル化剤は、それぞれ2〜約4個の炭素原子を有することのできる、2個又はそれ以上のアルキル基を含有するポリアルキル芳香族炭化水素である。例えば、適切なポリアルキル芳香族炭化水素には、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジエチルメチルベンゼン(ジエチルトルエン)、ジ−イソプロピルベンゼン、ジ−イソプロピルトルエン、ジブチルベンゼンなどの、ジ−、トリ−及びテトラ−アルキル芳香族炭化水素が含まれる。好ましいポリアルキル芳香族炭化水素は、ジアルキルベンゼンである。特に好ましいポリアルキル芳香族炭化水素は、ジ−イソプロピルベンゼンである。
【0103】
アルキル化が実施される工程である場合、反応条件は以下の通りである。芳香族炭化水素供給原料は、化学量論的に過剰に存在していなければならない。芳香族化合物のオレフィンに対するモル比は、触媒の急速な汚損を防ぐために、4:1より大きいことが好ましい。反応温度は、100°F〜600°F(38℃〜315℃)、好ましくは250°F〜450°F(121℃〜232℃)にわたることができる。反応圧力は、触媒の汚損を遅らせるために、少なくとも部分的な液相を維持するのに十分でなければならない。これは、典型的には、供給原料及び反応温度に応じて、50psig〜1000psig(0.345〜6.89MPaゲージ)である。接触時間は、10秒〜10時間にわたり得るが、通常は、5分〜1時間である。重量時間空間速度(WHSV)は、時間当たり、触媒のグラム(ポンド)当たりの芳香族炭化水素及びオレフィンのグラム(ポンド)で表して、一般に、約0.5〜50の範囲内である。
【0104】
トランスアルキル化が実施される工程である場合は、芳香族炭化水素のモル比は、一般に、約1:1〜25:1、好ましくは、約2:1〜約20:1にわたることになる。反応温度は、約100°F〜600°F(38℃〜315℃)にわたり得るが、好ましくは約250°F〜450°F(121℃〜232℃)である。反応圧力は、少なくとも部分的な液相を維持するのに十分でなければならず、典型的には約50psig〜1000psig(0.345〜6.89MPaゲージ)の範囲、好ましくは300psig〜600psig(2.07〜4.14MPaゲージ)である。重量時間空間速度は、約0.1〜10の範囲にわたることになる。1992年1月21日にHsiehらに対して発行された米国特許第5082990号は、そのような方法を記載しており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0105】
パラフィンの芳香族化合物への転化
SSZ−65は、軽質ガス(light gas)C〜Cパラフィンを、芳香族化合物を含む、より高分子量の炭化水素へ転化するのに使用することができる。好ましくは、モレキュラーシーブは、周期表のIB、IIB、VIII及びIIIA属からなる群より選択される金属の触媒金属又は金属酸化物を含有することになる。好ましくは、金属は、約0.05〜5重量%の範囲にあるガリウム、ニオブ、インジウム又は亜鉛である。
【0106】
オレフィンの異性化
SSZ−65は、オレフィンを異性化するのに使用することができる。供給原料流は、少なくとも1種のC4〜6オレフィン、好ましくはC4〜6のノルマルオレフィン、より好ましくはノルマルブテンを含有する炭化水素の流れである。本明細書において使用されるノルマルブテンは、ノルマルブテンのあらゆる形状、例えば、1−ブテン、cis−2−ブテン、及びtrans−2−ブテンを意味する。典型的には、ノルマルブテン又は他のC4〜6ノルマルオレフィン以外の炭化水素が供給原料に存在することになる。その他の炭化水素には、例えば、アルカン、他のオレフィン、芳香族化合物、水素、及び不活性ガスが含まれ得る。
【0107】
典型的には、供給原料流は、流動接触分解装置又はメチル−tert−ブチルエーテル装置からの流出液であり得る。流動接触分解装置流出液は、典型的には、約40〜60重量%のノルマルブテンを含有している。メチル−tert−ブチルエーテル装置流出液は、典型的には、40〜100重量%のノルマルブテンを含有している。供給原料の流れは、好ましくは、少なくとも約40重量%のノルマルブテン、より好ましくは、少なくとも約65重量%のノルマルブテンを含有している。本明細書においては、イソ−オレフィン及びメチル分岐イソ−オレフィンと云う用語は、互換的に使用されることがある。
【0108】
この方法は、異性化条件下で実施される。炭化水素供給原料は、SSZ−65を含む触媒と、気相で接触させられる。この方法は、一般に、ブテンについては、約625°F〜約950°F(329℃〜510℃)、好ましくは約700°F〜約900°F(371℃〜482℃)の温度で、ペンテン及びヘキセンについては、約350°F〜約650°F(177℃〜343度)の温度で実施することができる。圧力は、大気圧以下〜約200psig(1.38MPaゲージ)、好ましくは、約15psig〜約200psig(0.103〜1.38MPaゲージ)、より好ましくは、約1psig〜約150psig(0.00689〜1.03MPaゲージ)にわたる。
【0109】
接触中の液時間空間速度は、一般に、炭化水素の供給原料を基準にして、約0.1〜約50hr−1、好ましくは約0.1〜約20hr−1、より好ましくは約0.2〜約10hr−1、最も好ましくは約1〜約5hr−1である。水素/炭化水素のモル比は、約0〜約30又はそれより高く維持される。水素は、供給原料流に直接、又は異性化領域に直接添加することができる。反応は、好ましくは実質的に無水、典型的には供給原料を基準にして約2重量%未満の水分である。この工程は、充填床反応器、固定床、流動床反応器、又は移動床反応器において実施することができる。触媒の床は、上方又は下方に移動することができる。例えば、ノルマルブテンのiso−ブテンへのモル%転化率は、少なくとも10、好ましくは少なくとも25、より好ましくは少なくとも35である。
【0110】
キシレンの異性化
SSZ−65は、C芳香族供給原料中の1種又は複数のキシレン異性体を異性化し、平衡値に近づく割合でオルト−、メタ−、及びパラ−キシレンを得るための方法においても有用である。特に、キシレンの異性化は、パラ−キシレンを製造するための別の方法と共に使用される。例えば、混合されたC芳香族化合物の流れにおけるパラ−キシレンの一部は、結晶化及び遠心分離によって回収することができる。結晶化装置からの母液は、次いで、キシレンの異性化条件下で反応させ、オルト、メタ−、及びパラ−キシレンを平衡に近い割合に戻す。同時に、母液中のエチルベンゼンの一部は、キシレン又は濾過により容易に分離される生成物へ転化される。異性化されたもの(isomerate)は、新しい供給原料と混合され、合流された流れは、重質及び軽質の副生物を除去するために蒸留される。その結果得られたC芳香族化合物の流れは、次いで、結晶化装置へ送られ、このサイクルを繰り返す。
【0111】
任意選択的に、アルキルベンゼン(例えば、エチルベンゼン)1モル当たり、水素3.0〜30.0モルの存在下で、気相における異性化が実施される。水素が使用される場合は、触媒は、(周期表の)VIII族金属成分、特に白金又はニッケルから選択される水素化/脱水素成分約0.1〜2.0重量%を含まなければならない。VIII族金属成分は、金属並びに酸化物及び硫化物などの金属化合物を意味する。
【0112】
任意選択的に、異性化供給原料は、トルエン、トリメチルベンゼン、ナフテン又はパラフィンなどの希釈剤を10〜90wt.含有することができる。
【0113】
オリゴマー化
SSZ−65は、約2〜21個の、好ましくは2〜5個の炭素原子を有する直鎖及び分岐鎖オレフィンをオリゴマー化するために使用することもできると期待される。この方法の生成物であるオリゴマーは、燃料、すなわち、ガソリン又はガソリンブレンド用原料及び化学製品のいずれにも有用な、中質から重質(medium to heavy)のオレフィンである。
【0114】
オリゴマー化の方法は、気相又は液相のオレフィン供給原料を、SSZ−65を含む触媒と接触させることを含む。
【0115】
モレキュラーシーブは、当該技術分野で公知の技法により広範囲のさまざまな他のカチオンによって置換された、それに会合した元のカチオンを有することができる。典型的なカチオンには、水素、アンモニウム、金属カチオン及びそれらの混合物が含まれる。置換金属カチオンの中では、希土類金属、マンガン、カルシウム、及び周期表のII族金属、例えば亜鉛、及び周期表のVIII族金属、例えばニッケルなどの金属のカチオンが特に好ましい。第1必要条件の中の1つは、モレキュラーシーブの芳香族化活性がかなり低いこと、すなわち、その中で生成される芳香族化合物の量が、約20重量%を超えないことである。これは、n−ヘキサンを分解する能力によって測定したとき、約0.1〜約120、好ましくは約0.1〜約100である制御された酸性度(α値)を有するモレキュラーシーブを使用することによって達成される。
【0116】
α値は、例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる、1976年6月1日にGivensらに対して発行された米国特許第3960978号に示されているような、当該技術分野で公知の標準的な試験によって定義される。必要な場合は、そのようなモレキュラーシーブは、蒸気処理、転化工程における使用又は当業者が思いつくその他のいずれの方法によっても得ることができる。
【0117】
アルコールの縮合
SSZ−65を使用して、1〜10個の炭素原子を有する低級脂肪族アルコールを、混合された脂肪族及び芳香族炭化水素を含む、ガソリン沸点炭化水素生成物に縮合することができる。1975年7月8日にButterらに対して発行された、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第3894107号に開示されている方法には、この方法で用いられる工程条件が記載されている。
【0118】
触媒は水素形であるか、又は塩基で交換又は含浸されて、アンモニウム又は金属カチオン補完物を、好ましくは、約0.05〜5重量%の範囲で含有することができる。存在することができる金属カチオンには、周期表のI族からVIII族までの金属のいずれも含まれる。しかし、IA族金属の場合は、カチオン含有量は、触媒を実際上不活性化するほど多量であっては決してならず、交換もまたすべての酸性度を消失させるようなものであってはならない。塩基性触媒が所望される場合は、酸素化基質の処理を含む他の方法があり得る。
【0119】
メタンのアップグレード
より低分子量の炭化水素を、SSZ−65及びより低分子量の炭化水素をより高分子量の炭化水素に転化することのできる金属又は金属化合物を含む触媒と接触させることによって、より低分子量の炭化水素からより高分子量の炭化水素を形成することができる。そのような反応の例には、メタンの、エチレン又はベンゼン又はその両方などのC2+炭化水素への転化が含まれる。有用な金属及び金属化合物の例には、ランタニド及び又はアクチニド金属又は金属化合物が含まれる。
【0120】
これらの反応、使用された金属又は金属化合物及びそれらが使用されうる条件は、1988年3月29日にDevriesらに対して発行された米国特許第4734537号;1990年7月3日にWashecheckらに対して発行された米国特許第4939311号;1990年10月9日にAbrevayaらに対して発行された米国特許第4962261号;1992年3月10日にAbrevayaらに対して発行された米国特許第5095161号;1992年4月14日にHanらに対して発行された米国特許第5105044号;1992年4月14日にWashecheckに対して発行された米国特許第5105046号;1993年8月24日にHanらに対して発行された米国特許第5238898号;1994年6月14日にvan der Vaartに対して発行された米国特許第5321185号;1994年8月9日にChoudharyらに対して発行された米国特許第5336825号に開示されており、前記特許のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0121】
SSZ−65は、ガス流中の窒素酸化物の接触還元に使用することができる。典型的には、ガス流は、酸素、しばしば化学量論的には過剰な酸素も含有する。また、SSZ−65は、窒素酸化物の還元を触媒することのできる金属又は金属イオンを、その内部又はその表面上に含有することができる。そのような金属又は金属イオンの例には、銅、コバルト、白金、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、ランタン、パラジウム、ロジウム及びそれらの混合物が含まれる。
【0122】
モレキュラーシーブの存在下において窒素酸化物を接触還元するためのそのような方法の一例は、参照により本明細書に組み込まれる、1981年10月27日にRitscherらに対して発行された米国特許第4297328号に開示されている。そこでは、触媒工程は、一酸化炭素及び炭化水素を燃焼させること及び内燃機関からの排ガスなどのガス流に含まれている窒素酸化物を接触還元することである。使用されたモレキュラーシーブは、モレキュラーシーブの内部又は表面上に触媒の銅金属又は銅イオンを有効量提供するのに十分に、金属がイオン交換され、ドーピングされ、又は充填されている。加えて、この方法は、酸化剤、例えば酸素が過剰に存在する中で実施される。
【実施例】
【0123】
以下の例は、本発明を説明するものであり、制限するものではない。
【0124】
(例1)
SDA 1−[1−(4−クロロフェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウムカチオンの合成
【化2】

【0125】
以下に示す合成スキーム(スキーム1)により、鋳型分子を合成した。
【0126】
1−[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウムイオダイドを、親アミンである1−[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピルメチル]−ピロリジンとヨウ化エチルを反応させることにより調製した。アミンである1−[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピルメチル]−ピロリジン100gm(0.42モル)を、3リットルの3つ口反応フラスコ(機械的攪拌機及び還流冷却器を装備している)内で、1000mlの無水メタノールに溶解する。この溶液に対して、ヨウ化エチル98gm(0.62モル)を添加し、混合物を室温で72時間攪拌する。次いで、ヨウ化エチル39gm(0.25モル)を添加し、混合物を還流しながら3時間加熱する。反応混合物を冷却し、過剰のヨウ化エチル及び溶媒を、ロータリエバポレータを用いて減圧下で除去する。得られた暗黄褐色の固形物(162gm)を、アセトン(500ml)に溶解し、次いで、ジエチルエーテルを添加して沈殿させることにより、さらに精製する。得られた固形物を濾過し、空気乾燥することによって、所望の1−[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウムイオダイド153gm(93%収率)が、白色の粉末として得られる。H及び13C−NMR分析によれば、生成物は純粋である。
【0127】
沃化物の塩をIon−Exchange Resin(イオン交換樹脂)−OH(BIO RAD(登録商標)AH1−X8)を用いて、イオン交換処理を行うことにより、1−[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウムカチオンの水酸化物形を得る。1リットルの体積のプラスチックボトルの中で、1−[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウムイオダイド100gm(255ミリモル)を、300mlの脱イオン水中に溶解する。次いで、イオン交換樹脂320gmを添加し、溶液を一晩穏やかに攪拌する。次いで混合物を濾過し、脱イオン水を最小限量用いて樹脂ケークをすすぎ洗いする。その溶液の少量の試料について、0.1N HClによる滴定を行い、水酸化物の濃度について濾液の分析を行う。この反応によれば、96%(245ミリモル)の、所望の1−[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウムヒドロキシド(0.6モルのヒドロキシド濃度)が得られる。
【0128】
前駆体アミド[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピル]−ピロリジン−1−イル−メタノンをLiAlHにより還元して、親アミン1−[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピルメチル]−ピロリジンを得る。機械的攪拌機及び還流冷却器を装備した3リットルの3つ口反応フラスコ内で、LiAlH45.5gm(1.2モル)を、無水テトラヒドロフラン(THF)750mlに懸濁させる。懸濁液を0℃(氷浴)まで冷却し、250mlのTHF中に溶解した[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピル]−ピロリジン−1−イル−メタノン120gm(0.48モル)を、添加漏斗を通して、(懸濁液に)滴下する。すべてのアミド溶液を添加した後、氷浴を加熱マントルに置き換え、反応混合物を一晩還流加熱する。次いで、反応溶液を0℃に冷却し(加熱マントルは氷浴に取りかえた)、その混合物をジエチルエーテル500mlで希釈する。15重量%のNaOH水溶液160mlを、激しく攪拌しながら、(添加漏斗を通して)滴加することにより、反応をワークアップする。出発時の灰色の反応溶液は、白色粉末状の沈殿物を伴いながら無色液体に変化する。溶液混合物を濾過し、濾液を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させる。その濾液を濾過し、濃縮すると、所望のアミン1−[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピルメチル]−ピロリジン106gm(94%の収率)が、薄黄色の油質の物質として得られる。清浄なH及び13C−NMRスペクトル分析に示されるとおり、アミンは純粋である。
【0129】
ピロリジンを、1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボニルクロリドと反応させることにより、親アミド[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピル]−ピロリジン−1−イル−メタノンを調製する。機械的攪拌機を装備した2リットルの反応フラスコに、乾燥ベンゼン1000ml、ピロリジン53.5gm(0.75モル)及びトリエチルアミン76gm(0.75モル)を仕込む。この混合物に(0℃で)、(100mlのベンゼンに溶解した)1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボニルクロリド108gm(0.502モル)を、(添加漏斗を通して)滴加する。滴加が終了した後、得られた混合物を室温で一晩攪拌する。反応混合物(2相の混合物:液体及び褐色の沈殿物)を、ロータリエバポレータにより減圧下で濃縮し、過剰のピロリジン及び溶媒(通常、ヘキセン又はベンゼン)を除去する。残った残留物を750mlの水で希釈し、分液漏斗内で750mlのクロロホルムを用いて抽出する。有機層を500mlの水で2回、塩水で1回洗浄する。次いで、有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、ロータリエバポレータにより減圧下で濃縮すると、上記アミド122gm(0.49モル、97%収率)が、黄褐色の固形物として得られる。
【0130】
アミンの合成に使用する1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボニルクロリドを、下記のように、親酸である1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸を塩化チオニル(SOCl)で処理することによって合成する。機械的攪拌機及び還流冷却器を装備した3つ口反応フラスコ内の、塩化チオニル200gm及びジクロロメタン200mlに対して、1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボン酸100gm(0.51モル)を、15分掛けて少量ずつ(一度に5gm)添加する。酸を全部添加した後、反応混合物を還流しながら加熱する。反応容器は、酸性の気体副生物を収集してトラップし、反応を監視するのに用いられるトラップ(水を満たしてある)を装備してある。気体副生物の発生が一旦止まると、反応は、通常、終了する。次いで、反応混合物を冷却し、ロータリエバポレータを用いて減圧下で濃縮し、過剰の塩化チオニル及びジクロロメタンを除去する。この反応では、1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロパンカルボニルクロリド109gm(98%)が、赤みを帯びた粘性の油として生成する。
【化3】

【0131】
(例2)
SDA 1−エチル−1−(1−フェニル−シクロプロピルメチル)−ピロリジニウムカチオンの合成
1−フェニル−シクロプロパンカルボニルクロリド及びピロリジンから合成が出発することを除いて、例1の合成手順を用いて、SDA1−エチル−1−(1−フェニル−シクロプロピルメチル)−ピロリジニウムカチオンを合成する。
【0132】
(例3)
SSZ−65の合成
23ccのテフロン(登録商標)ライナ(Teflon liner)に、1−エチル−1−(1−フェニル−シクロプロピルメチル)−ピロリジニウムヒドロキシドの0.6M水溶液5.4gm(3ミリモル SDA)、NaOHの1M水溶液1.2gm(1.2ミリモル NaOH)及び脱イオン水5.4gmを仕込む。この混合物に対して、ホウ酸ナトリウム10水和物0.06gm(Na・10HO 0.157ミリモル;〜0.315ミリモル B)を添加し、完全に溶解するまで攪拌する。次いで、CAB−O−SIL(登録商標)M−5ヒュームドシリカ0.9gm(〜14.7ミリモル SiO)をその溶液に添加し、混合物を徹底的に攪拌する。その結果得られたゲルの覆いを取り去り、そのゲルをParrボンベ鋼の反応器内に入れ、43rpmで回転させながらオーブン内において160℃で加熱する。ゲルのpHを調べること、及び走査電子顕微鏡(SEM)を使用して結晶が形成するのを捜すことにより、反応を監視する。通常、上記の条件で9〜12日間加熱した後、反応は完了する。結晶化が一旦完了すると、出発時の反応ゲルは、透明な液体及び粉末沈殿物を含む混合物に変化する。この混合物をガラス濾過器(fritted−glass funnel)により濾過する。収集した固形物を水で完全に洗浄し、次いで、アセトン(10ml)ですすぎ洗いをして、有機残留物を除去する。その固形物を、一晩空気乾燥し、次いで、オーブン内において120℃で1時間乾燥する。反応により微粉末0.85gを得る。SEMによれば、唯一種の結晶相が存在するのみである。粉末XRDデータ分析により、生成物はSSZ−65であると同定する。
【0133】
(例4)
種晶添加によるホウケイ酸塩SSZ−65の合成
結晶化過程の速度を上げるために、SSZ−65を種結晶として0.04gm添加することを除いて、上の例3に記載のホウケイ酸塩SSZ−65(B−SSZ−65)の合成を繰り返す。反応条件は、前の例と厳密に同じである。結晶化は4日後に完了し、B−SSZ−65を0.9gmもたらす。
【0134】
(例5)
アルミノケイ酸塩SSZ−65の合成
23ccのテフロン(登録商標)ライナ(Teflon liner)に、1−エチル−1−(1−フェニル−シクロプロピルメチル)−ピロリジニウムヒドロキシドの0.6M水溶液4gm(2.25ミリモル SDA)、NaOHの1M水溶液1.5gm(1.5ミリモル NaOH)及び脱イオン水2gmを仕込む。この混合物に対して、Na−Yモレキュラーシーブ(ユニオンカーバイドのLZY−52;SiO/Al=5)0.25gmを添加し、完全に溶解するまで攪拌する。次いで、CAB−O−SIL(登録商標)M−5ヒュームドシリカ0.85gm(〜14.ミリモル SiO)をその溶液に添加し、その混合物を徹底的に攪拌する。その結果得られたゲルの覆いを取り去り、そのゲルをParrボンベ鋼の反応器内に入れ、43rpmで回転させながらオーブン内において160℃で加熱する。ゲルのpHを調べること(pHの上昇は、通常、結晶化の間にケイ酸塩種が凝縮することから生じ、pHの減少は、しばしば、SDAが分解していることを示す)、及び走査電子顕微鏡を使用して結晶が形成するのを捜すことにより、反応を監視する。通常、上記の条件で12日間加熱した後、反応は完了する。結晶化が一旦完了すると、出発時の反応ゲルは、液体及び粉末沈殿物を含む混合物に変化する。この混合物をガラス濾過器(fritted−glass funnel)により濾過する。収集した固形物を水で完全に洗浄し、次いで、アセトン(10ml)ですすぎ洗いをして、有機残留物を除去する。固形物を、一晩空気乾燥し、次いで、オーブン内において120℃で1時間乾燥する。この反応により、SSZ−65が0.8gmもたらされる。
【0135】
(例6〜15)
SiO/B比が変化するSSZ−65の合成
出発合成ゲルのSiO/Bモル比を変えてSSZ−65を合成する。これは、出発ゲルのSiO/Bモル比を変化させつつすべてを同一に保ちながら、例3に記載された合成条件を使用することにより達成する。このことは、各合成においてホウ酸ナトリウムの量を変化させながら、CAB−O−SIL(登録商標)M−5(98%SiO及び2%HO)の量を同一に保つことによって達成する。従って、ホウ酸ナトリウムの量を変化させることが、出発ゲルのSiO/Naモル比の変化を引き起こすことになる。下記の表1に、出発合成ゲルのSiO/Bを変化させたいくつかの合成結果を示す。
【表8】


OH/SiO=0.28、R/SiO=0.2、HO/SiO=44
(R=有機カチオン(SDA))
【0136】
(例16)
SSZ−65の焼成
以下に記載するように、例3において合成したSSZ−65を焼成して、鋳型分子(SDA)を除去する。焼成用の皿に載っているSSZ−65の薄床を、マッフル炉で、室温から120℃まで1℃/分の速度で加熱し、2時間保持する。次いで、1℃/分で温度540℃まで急上昇させ、5時間保持する。次いで、1℃/分で温度を595℃まで再び急上昇させ、その温度に5時間保持する。焼成工程の間、空気及び窒素の50/50混合物が、20標準立方フィート(0.57標準立方メートル)/分の割合でマッフル炉を通過する。
【0137】
(例17)
ホウケイ酸塩SSZ−65のアルミノケイ酸塩SSZ−65への転化
ホウケイ酸塩SSZ−65の焼成形(例3のように合成し、例16のように焼成した)は、硝酸アルミニウム九水和物の1M溶液(1M Al(NO・9HO溶液15ml/1gm SSZ−65)に、ホウケイ酸塩SSZ−65を懸濁させることにより、容易にアルミノケイ酸塩SSZ−65形に転化する。懸濁液は、還流しながら一晩加熱する。その結果得られた混合物を、次いで、濾過し、収集した固形物を脱イオン水で完全にすすぎ、一晩空気乾燥する。固形物をさらにオーブン内で120℃で2時間乾燥する。
【0138】
(例18)
SSZ−65のアンモニウムイオン交換
SSZ−65(例3又は例5のように調製し、例16のように焼成した)のNa形は、その材料をNHNOの水溶液(典型的には、1gmのNHNO/20mlのHO中の1gmのSSZ−65)中で90℃で2〜3時間加熱することにより、NH4−SSZ−65形に転化する。次いで、その混合物を濾過し、得られたNH−交換された生成物を脱イオン水で洗浄し、乾燥する。SSZ−65のNH形を、540℃に焼成する(例16に記載のように)ことにより、H形に転化させることができる。
【0139】
(例19)
アルゴン吸着分析
Micromerities社のASAP 2010装置で記録された87.5°K(−186℃)におけるアルゴン吸着等温線に基づくSSZ−65のミクロ細孔容積は、0.16cc/gmである。試料は、アルゴンの吸着に先立って、先ず400℃で16時間脱気する。低圧での使用量は、6.00cm/g(標準状態;STP=Standard Tempeature and Pressure)である。1回の使用量当たりの、1時間の平衡時間における最大値を使用し、全運転時間は35時間である。Horvarth−Kawazoe形式のSaito Foleyの修正(adaptation)(Microporous Materials、1995年3巻531頁)を用いて、Olivier(Porous Mater.1995年2巻9頁)により、活性炭素スリットのために開発された密度汎関数法(DFT)形式及びパラメータ、並びに従来のt−プロット法(J.Catalysis、1965年4巻319頁)を使用して、アルゴンの吸着等温線を解析する。
【0140】
(例20)
拘束指数(constraint index)
例3の水素形のSSZ−65(例16、17及び18による処理後)を、3KPSIでペレット化し、粉砕し、20〜40メッシュに造粒する。造粒した材料の試料0.6gmを、空気中で540℃で4時間焼成し、乾燥を確保するためにデシケータ中で冷却する。次いで、モレキュラーシーブ床の両側にアランダムを有する、3/8インチ径のステンレス鋼管内に、0.5gmを充填する。Lindburg炉を使用して反応管を加熱する。反応管に10cc/分の割合で大気圧でヘリウムを導入する。反応管を約315℃に加熱し、n−ヘキサン及び3−メチルペンタンの50/50供給原料を、8μl/分の割合で反応器に導入する。供給原料は、Brownleeポンプで送達する。10分間の供給原料導入の後、GCへの直接試料採取を開始する。拘束指数(CI)値を、当該技術分野で公知の方法を用いてGCデータから計算する。SSZ−65は、稼働状態で20分後に0.67のCI及び92%の転化率を有する。この材料は急速に汚れて、218分が経過した時点ではCIは0.3であり、転化率は15.7%である。このデータから、おそらく大きな空洞を有する大細孔径のモレキュラーシーブが示唆される。
【0141】
(例21)
n−へキサデカンの水素化分解
SSZ−65(例3のように調製し、例16、17及び18のように処理した)の試料1gmを、脱イオン水10gm中に懸濁させる。この懸濁液に対して、Pd(NH(NOの溶液を、モレキュラーシーブ試料の乾燥重量に対して0.5重量%のPdを与えると思われる濃度で添加する。水酸化アンモニウム希釈溶液を滴加することにより、前記溶液のpHを〜9に調節する。次いで、混合物をオーブン内で、75℃で48時間加熱する。次いで、その混合物をガラスフリットを通して濾過し、脱イオン水で洗浄し、空気乾燥する。収集したPd−SSZ−65の試料を、空気中でゆっくりと482℃まで焼成し、その温度に3時間保持する。
【0142】
焼成したPd/SSZ−65触媒を、Carverプレスでペレット化し、造粒して、20/40メッシュの寸法を有する粒子を製造する。n−へキサデカン水素化転化のためのマイクロユニット内の外径1/4インチの管状反応器に、所定の大きさの触媒(0.5g)を充填する。下の表に、n−へキサデカンについての水素化分解試験の稼働条件及び生成物データを示す。
【0143】
n−へキサデカンについて触媒を試験した後、ブチルアミンをヘキサンに溶解した溶液を用いて滴定する。温度は上昇し、滴定条件下で、転化率及び生成物のデータを再び評価する。下の表に示した結果から、SSZ−65が水素化分解の触媒として有効であることが分かる。
【表9】

【0144】
(例22)
SSZ−65の合成
1−[1−(4−クロロフェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウムカチオンをSDAとして用いて、例3の方法と同様の方法で、SSZ−65を合成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)第一4価元素の酸化物の、(2)3価元素、5価元素、前記第一4価元素とは異なる第二4価元素又はそれらの混合物の酸化物に対するモル比が約15を超え、焼成後に、表IIのX線回折線を有するモレキュラーシーブ。
【請求項2】
(1)酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム及びそれらの混合物からなる群より選択される酸化物の、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化バナジウム及びそれらの混合物から選択される酸化物に対するモル比が約15を超え、焼成後に、表IIのX線回折線を有するモレキュラーシーブ。
【請求項3】
酸化物が酸化ケイ素及び酸化アルミニウムを含む、請求項2に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項4】
酸化物が酸化ケイ素及び酸化ホウ素を含む、請求項2に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項5】
酸化物が酸化ケイ素を含む、請求項2に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項6】
主に水素形である、請求項1に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項7】
実質的に酸性度を有していない、請求項1に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項8】
主に水素形である、請求項2に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項9】
実質的に酸性度を有していない、請求項2に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項10】
合成されたままで、かつ、無水状態で、モル比で以下の組成を有するモレキュラーシーブ。
YO/W >15
2/n/YO 0.01〜0.03
Q/YO 0.02〜0.05
(式中、Yはケイ素、ゲルマニウム又はそれらの混合物であり、Wはアルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム、バナジウム又はそれらの混合物であり、cは1又は2であり、cが1のとき、dは2であり、cが2のとき、dは3又は5であり、Mはアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン又はそれらの混合物であり、nはMの原子価であり、Qは1−[1−(4−クロロフェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウム又は1−エチル−1−(1−フェニル−シクロプロピルメチル)−ピロリジニウムカチオンである。)
【請求項11】
Wがアルミニウムであり、Yがケイ素である、請求項10に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項12】
Wがホウ素であり、Yがケイ素である、請求項11に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項13】
Qが1−[1−(4−クロロフェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウムカチオンである、請求項11に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項14】
Qが1−エチル−1−(1−フェニル−シクロプロピルメチル)−ピロリジニウムカチオンである、請求項11に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項15】
(1)第一4価元素の酸化物及び(2)3価元素、5価元素、前記第一4価元素とは異なる第二4価元素又はそれらの混合物の酸化物を含み、第一酸化物の第二酸化物に対するモル比が15を超える結晶性材料を調製するための方法であって、前記酸化物の源を、1−[1−(4−クロロフェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウム又は1−エチル−1−(1−フェニル−シクロプロピルメチル)−ピロリジニウムカチオンを含む鋳型分子と、結晶化条件下で接触させるステップを含む、上記方法。
【請求項16】
第一4価元素が、ケイ素、ゲルマニウム及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
3価元素、5価元素又は第二4価元素が、アルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム、バナジウム及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
3価元素、5価元素又は第二4価元素が、アルミニウム、ホウ素、チタン及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第一4価元素がケイ素である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
鋳型分子が1−[1−(4−クロロフェニル)−シクロプロピルメチル]−1−エチル−ピロリジニウムカチオンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
鋳型分子が1−エチル−1−(1−フェニル−シクロプロピルメチル)−ピロリジニウムカチオンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
結晶性材料が、焼成後、表IIのX線回折線を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
炭化水素供給原料を、炭化水素転化条件下で、(1)第一4価元素の酸化物の、(2)3価元素、5価元素、前記第一4価元素とは異なる第二4価元素又はそれらの混合物の酸化物に対するモル比が約15を超え、焼成後に、表IIのX線回折線を有するモレキュラーシーブを含む触媒と接触させるステップを含む、炭化水素を転化するための方法。
【請求項24】
モレキュラーシーブが実質的に酸性度を有していない、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
水素化分解条件下で、触媒を炭化水素供給原料と接触させるステップを含む水素化分解法である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
脱ろう条件下で、触媒を炭化水素供給原料と接触させるステップを含む脱ろう法である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
異性化脱ろう条件下で、触媒をろう質の炭化水素供給原料と接触させるステップを含む、ろう質炭化水素供給原料の脱ろう製品の粘度指数を改善するための方法である、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
20+オレフィン供給原料を、異性化条件下で、触媒上で異性化するステップを含む、C20+オレフィン供給原料からC20+潤滑油を製造するための方法である、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
触媒が少なくとも1種のVIII族金属をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
約350°F(177℃)を超える温度で沸騰し、直鎖及び若干分岐した鎖の炭化水素を含む炭化水素油供給原料を接触脱ろうするための方法であって、添加された水素ガスの約15〜3000psi(0.103〜20.7MPa)の水素圧での存在下に、前記炭化水素油供給原料を、脱ろう条件下で、触媒と接触させるステップを含む方法である、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
触媒が少なくとも1種のVIII族金属をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記触媒が、モレキュラーシーブ及び少なくとも1種のVIII族金属を含む第1層と、前記第1層のモレキュラーシーブより形状選択的であるアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブを含む第2層とを備えた層状触媒を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
炭化水素供給原料を水素化分解領域で水素化分解して、水素化分解油を含む流出液を得るステップ、及び
添加された水素ガスの存在下で、少なくとも約400°F(204℃)の温度で、約15psig〜約3000psig(0.103〜20.7MPaゲージ)の圧力で、触媒で、水素化分解油を含む前記流出液を接触脱ろうするステップ
を含む、潤滑油を調製するための方法である、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
触媒が、少なくとも1種のVIII族金属をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
異性化脱ろう条件下において、添加された水素の存在下で、ラフィネートを触媒と接触させるステップを含む、ラフィネートを異性化脱ろうするための方法である、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
触媒が、少なくとも1種のVIII族金属をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
ラフィネートがブライトストックである、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
炭化水素供給原料のオクタンを増大させて、芳香族化合物の含有量が増大した製品を製造するための方法であって、約40℃を超え、約200℃未満の沸点範囲を有するノルマル及び若干分岐した炭化水素を含む炭化水素供給原料を、芳香族転化条件下で、触媒と接触させるステップを含む方法である、請求項23に記載の方法。
【請求項39】
モレキュラーシーブが実質的に酸を含有しない、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
モレキュラーシーブがVIII族金属成分を含有する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
添加された水素の非存在下で、接触分解条件下に、反応領域において、炭化水素供給原料を触媒と接触させるステップを含む接触分解法である、請求項23に記載の方法。
【請求項42】
触媒が、大細孔径の結晶性分解成分をさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
異性化条件下で、ノルマル及び若干分岐したC〜Cの炭化水素を有する供給原料を触媒と接触させるステップを含む、C〜Cの炭化水素を異性化するための異性化法である、請求項23に記載の方法。
【請求項44】
モレキュラーシーブが、少なくとも1種のVIII族金属で含浸されたものである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
触媒が、VIII族金属で含浸された後、高温で蒸気/空気の混合物中で焼成されたものである、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
VIII族金属が白金である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
アルキル化条件下で、少なくともモル過剰の芳香族炭化水素を、少なくとも部分的に液相である条件下で、触媒の存在の下に、C〜C20のオレフィンと接触させるステップを含む、芳香族炭化水素をアルキル化するための方法である、請求項23に記載の方法。
【請求項48】
オレフィンが、C〜Cのオレフィンである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
芳香族炭化水素及びオレフィンが、それぞれ約4:1〜約20:1のモル比で存在する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
芳香族炭化水素が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ナフタレン、ナフタレン誘導体、ジメチルナフタレン又はそれらの混合物からなる群より選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
トランスアルキル化条件下で、芳香族炭化水素を、少なくとも部分的に液相である条件下で、触媒の存在下に、ポリアルキル芳香族炭化水素と接触させるステップを含む、芳香族炭化水素をトランスアルキル化するための方法である、請求項23に記載の方法。
【請求項52】
芳香族炭化水素及びポリアルキル芳香族炭化水素が、それぞれ、約1:1〜約25:1のモル比で存在する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
芳香族炭化水素が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、又はそれらの混合物からなる群より選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
ポリアルキル芳香族炭化水素がジアルキルベンゼンである、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
パラフィンを芳香族化合物に転化させる条件下で、パラフィンを、モレキュラーシーブ、及びガリウム、亜鉛、又はガリウム若しくは亜鉛の化合物を含む触媒と接触させるステップを含む、パラフィンを芳香族化合物へ転化するための方法である、請求項23に記載の方法。
【請求項56】
オレフィンの異性化を起こす条件下で、オレフィンを触媒と接触させるステップを含む、オレフィンを異性化するための方法である、請求項23に記載の方法。
【請求項57】
キシレン異性体又はキシレン異性体とエチルベンゼンとの混合物である芳香族Cの流れを含む異性化供給原料を異性化して、より平衡に近いオルト−、メタ−及びパラ−キシレン比を得るための方法であって、異性化条件下で、前記供給原料を、触媒と接触させるステップを含む方法である、請求項23に記載の方法。
【請求項58】
オリゴマー化条件下で、オレフィン供給原料を、触媒と接触させるステップを含む、オレフィンをオリゴマー化するための方法である、請求項23に記載の方法。
【請求項59】
(a)より低分子量の炭化水素を含有するガスを反応領域に導入し、前記ガスを、C2+炭化水素合成条件下に、前記領域において、触媒及び前記のより低分子量の炭化水素をより高分子量の炭化水素へ転化することのできる金属又は金属化合物と接触させるステップ、及び
(b)前記反応領域から、より高分子量の炭化水素を含有する流れを抜き出すステップ
を含む、より低分子量の炭化水素からより高分子量の炭化水素を製造するための方法である、請求項23に記載の方法。
【請求項60】
金属又は金属化合物が、ランタニド又はアクチニド金属又は金属化合物を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
より低分子量の炭化水素がメタンである、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
モレキュラーシーブが主に水素形である、請求項23、25、26、27、28、30、33、35、41、43、47又は51に記載の方法。
【請求項63】
酸素化された炭化水素を、液体生成物を製造する条件下で、第一4価元素の酸化物の、前記第一4価元素とは異なる第二4価元素、3価元素、5価元素又はそれらの混合物の酸化物に対するモル比が約15を超え、焼成後に、表IIのX線回折線を有するモレキュラーシーブを含む触媒と接触させるステップを含む、酸素化された炭化水素を転化するための方法。
【請求項64】
酸素化された炭化水素が低級アルコールである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
低級アルコールがメタノールである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
ガス流を、(1)第一4価元素の酸化物の、(2)3価元素、5価元素、前記第一4価元素とは異なる第二4価元素又はそれらの混合物の酸化物に対するモル比が約15を超え、焼成後に、表IIのX線回折線を有するモレキュラーシーブと接触させるステップを含む、酸素の存在下でガス流中に含有されている窒素の酸化物を還元するための方法。
【請求項67】
前記モレキュラーシーブが、窒素の酸化物の還元を触媒することができる金属又は金属イオンを含有する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
金属が、銅、コバルト、白金、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、ランタン、パラジウム、ロジウム又はそれらの混合物である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
ガス流が、内燃機関の排気流である、請求項67に記載の方法。

【公表番号】特表2006−521275(P2006−521275A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507159(P2006−507159)
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/007754
【国際公開番号】WO2004/094347
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(503148834)シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド (258)
【Fターム(参考)】