説明

モータの可変速制御装置

【課題】モータの可変速制御において、ゼロ速度領域での持続的な振動をなくし、しかもゼロ速度領域から通常速度領域へのスムースな速度移行ができる。
【解決手段】ゼロ速度判定回路9はモータの速度制御状態がゼロ速度領域か通常速度領域かの判定を行う。保持回路10は通常速度領域にある場合はモータのロータ位置検出信号を1制御周期だけ保持し、ゼロ速度領域にある場合はゼロ速度領域になる前の位置信号を保持し続ける。位置補償アンプ11は、ロータ位置信号と保持信号との偏差を増幅した位置補償トルク信号を得て速度制御アンプ3の出力に加算すると共に積分項の積分バッファをリセットしておく。速度制御アンプの積分項は、通常速度領域では通常の積分ゲインにし、ゼロ速度領域では積分ゲインを0にする。ゼロ速度から通常運転に切り換えるときに位置補償アンプの出力をリセットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの可変速制御装置に係り、特にエレベータ駆動用モータなど、ゼロ速度領域(ゼロ速度または極低速度)における安定化制御に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は可変速制御装置の速度制御回路図を示し、位置型速度制御の場合である。モータ1はインバータなどの電力変換器2の出力(周波数と電圧制御した出力)によって可変速駆動される。電力変換器2の出力制御は、速度指令とモータ速度検出信号との偏差を速度制御アンプ3によって比例積分(PI)演算を行い、この演算結果をトルクリミッタ4で制限したものを電流指令とし、この電流指令とモータ電流検出信号との偏差を電流制御アンプ5によって比例積分演算し、この演算結果で電力変換器2の出力を制御する。
【0003】
モータ速度検出は、エンコーダ6のパルス出力から、位相&時刻検出部7でモータのロータ回転位置を位相(位置)と時刻として検出し、この回転位置から速度検出部8による速度検出を行う。
【0004】
このような速度制御方式においては、その精度が速度検出器の精度に依存するが、ゼロ速度制御を行う場合(モータを停止させる場合)、従来の比例積分(PI)制御ではエンコーダからの位相情報が来ないために極低速域にて制御系が振動し、比例ゲインや積分ゲインを大きくすることができない。よって、ゼロ速度での保持が難しく、負荷外乱の変化によりモータが回転してしまう(ゼロ速度を維持できない)問題がある。特に、エレベータやホイストのような昇降機においては、ブレーキを開放した直後にゼロ速度を保てないために荷が下がってしまう。
【0005】
このため、従来のエレベータ等では機械ブレーキによる制動と停止を得る方式、または電気的なトルク制御や位置制御でブレーキ動作を得る方式のものもある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−32826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のように、速度制御系で速度制御した場合、ゼロ速度で保持したい場合に制御ゲインを大きくできず、十分な制御性能が得られない。制御ゲインを大きくできない理由を以下に示す。
【0007】
(1)エンコーダは位置分解能に限界があるため、停止時には分解能分の離散化誤差が発生する。速度検出はある時刻間の位置情報変化により演算するため、停止時や極低速域では正確な速度情報が得られない。そのため、速度誤差が発生する。
【0008】
(2)従来の比例積分(PI)制御では上記速度誤差を積分してトルクを発生してしまうため、極低速域でトルクまたは速度が振動してしまう。
【0009】
(3)極低速でのトルクまたは速度の振動を防止するために制御ゲインを小さくしなければならない。よって、制御性能が劣化してしまう。
【0010】
上記の問題点より、ゼロ速度でモータを保持したい場合(例えばエレベータやホイストのブレーキ開放時)に保持できない問題がある。
【0011】
図9はゼロ速度領域での持続的な振動の例を示す。モータのゼロ速度(停止)制御状態で、エレベータにおけるブレーキ開放等によって負荷トルクが加わった場合(時刻t1)、この負荷によってモータが逆転することでエンコーダからは少しの逆転パルスが発生する。このモータの逆転による誤差速度を積分項が積分してその保持出力が高くなり、次の演算周期(時刻t2)で正転側に出力トルクを高めるが、モータの逆転が続く。このモータの逆転が続いた次の演算周期(t3)では逆転パルスによって出力トルクが増加し、モータ速度が正転側に上昇し始める。このモータ速度がゼロ速度に近づくと逆転パルスが発生しないため、次の演算周期(t5)ではモータがゼロ速度を超えて正転するが、この正転に対してエンコーダからの正転パルス数が充分でないと、ゼロ速度を大きく越えた速度まで上昇してしまう。このようにエンコーダから充分なパルスが発生しないゼロ速度近辺ではモータ速度が振動的に変化する。
【0012】
なお、前記の特許文献1では位置制御とリミッタの関係について記載されているが、実際にはゼロ速度の保持制御とその後の速度制御との連動性が重要となる。つまり、エレベータを例に取ると、ブレーキを開放した直後はゼロ速度を保持し、その後目的の階まで速度制御にて運転する必要があり、これらの制御間をスムースに移行できる必要がある。さらに、上記の図9に示すように、速度制御の積分項が振動の1つの要因となっており、これを解決する必要がある。
【0013】
本発明の目的は、ゼロ速度領域での持続的な振動をなくし、しかもゼロ速度領域から通常速度領域へのスムースな速度移行ができるモータの可変速制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ゼロ速度領域の速度制御の場合、速度制御アンプにおける積分項が振動の要因であることに着目し、速度偏差の積分動作を位置の比例制御に置き換えることで、速度検出パルスが得られない場合のトルク増加を防止し、ゼロ速度領域での安定した制御を得るようにしたもので、以下の構成を特徴とする。
【0015】
(1)位置型速度制御アンプの比例積分演算結果に応じて、モータをゼロ速度領域を含めて可変速制御する装置において、
モータの速度制御状態がゼロ速度領域か通常速度領域かの判定を行うゼロ速度判定回路と、
前記ゼロ速度判定回路による判定が通常速度領域にある場合はモータのロータ位置検出信号を1制御周期だけ保持し、ゼロ速度領域にある場合はゼロ速度領域になる前の位置信号を保持し続ける保持回路と、
前記モータのロータ位置信号と、前記保持回路の保持信号との偏差を固定のゲインで増幅した位置補償トルク信号を得、この位置補償トルク信号を前記速度制御アンプの出力に加算すると共に積分項の積分バッファをリセットしておく位置補償アンプと、
前記速度制御アンプの積分項は、通常速度領域では通常の積分ゲインに設定され、ゼロ速度領域では積分ゲインを0にする手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
(2)ゼロ速度領域から通常速度領域に移行するときに、移行前の前記位置補償トルク信号を前記速度制御アンプの積分項の積分バッファに加算する手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
(3)速度型速度制御アンプの比例積分演算結果に応じて、モータをゼロ速度領域を含めて可変速制御する装置において、
モータの速度制御状態がゼロ速度領域か通常速度領域かの判定を行うゼロ速度判定回路と、
前記ゼロ速度判定回路による判定が通常速度領域にある場合はモータのロータ位置検出信号を1制御周期だけ保持し、ゼロ速度領域にある場合はゼロ速度領域になる前の位置信号を保持し続ける保持回路と、
前記モータのロータ位置信号と、前記保持回路の保持信号との偏差を固定のゲインで増幅した位置補償トルク信号を得、ゼロ速度領域にあるときに該位置補償トルク信号を前記速度制御アンプの出力に加算する位置補償アンプと、
前記速度制御アンプの積分項は、通常速度領域では通常の積分ゲインに設定され、ゼロ速度領域では積分ゲインを0にする手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
(4)前記速度制御アンプの比例項は、積分項のゲインを0にしたゼロ速度領域での比例制御時に最適ゲインに切換える手段を備えたことを特徴とする。
【0019】
(5)前記ゼロ速度判定回路による判定がゼロ速度領域にある場合は前記位置補償アンプの出力がもつピークの1周期間の平均トルクを求め、ゼロ速度領域から通常速度領域に切り換える直前に、該位置補償アンプの出力から該平均トルクに切り換える平均化切換手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明によれば、ゼロ速度領域の速度制御の場合には、速度偏差の積分動作を位置の比例制御に置き換えるようにしたため、モータの速度検出パルス出力が少ない場合でも、ゼロ速度領域での持続的な振動をなくし、安定制御ができる。
【0021】
また、位置型速度制御においては、ゼロ速度領域から通常速度領域に移行するときに、移行前の位置補償トルク信号を速度制御アンプの積分項の積分バッファに加算することにより、ゼロ速度領域から通常速度領域へのスムースな速度移行ができる。
【0022】
また、速度型速度制御においては、ゼロ速度領域でのみ位置補償トルク信号を加算することにより、ゼロ速度領域から通常速度領域へのスムースな速度移行ができる。
【0023】
また、速度制御アンプの比例項は、積分項のゲインを0にしたゼロ速度領域での比例制御時に最適ゲインに切換えることにより、ゼロ速度領域での制御性能を改善できる。
【0024】
また、ゼロ速度領域にあるときに、位置補償アンプの出力がもつピークの1周期間の平均トルクを求め、ゼロ速度領域から通常速度領域に切り換える直前に、位置補償アンプの出力から平均トルクに切り換えることにより、通常運転に切り換えたときにモータが不要に回転するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施形態1)
図1は、本実施形態を示す可変速制御装置の速度制御回路図であり、図8と異なる部分は回路要素9〜11を追加し、ゼロ速度領域では位置型速度制御を行う点にある。
【0026】
図8の回路構成において、速度制御の積分項による演算は、速度検出部8では位置情報を微分して速度検出値を得、この速度検出値と速度指令の差分を積分する。つまり、位置情報を微分して積分するため、位置指令と位置検出の比例項と等価になる。しかし、速度制御の積分項は、極低速では安定化に悪影響を及ぼす。つまり、微分をするため演算精度が悪化し、また位置情報が少ない場合に前記のような振動的な振る舞いが生じる。
【0027】
本実施形態では、回路要素9〜11により、ゼロ速度領域での速度制御で振動の要因になる速度制御アンプの積分項を、速度の積分動作から位置の比例制御に置き換えることで、速度検出パルスが得られない場合のトルク増加を防止し、ゼロ速度領域での制御性能を改善する。
【0028】
図1において、ゼロ速度判定回路9は、速度検出部8の検出速度を閾値と大小比較することで、モータの速度制御状態がゼロ速度領域か通常速度領域かの判定を行う。
【0029】
保持回路10は、ゼロ速度判定回路9による判定が通常速度領域にある場合には、位相&時刻検出部7で検出する位相(位置)信号を1制御周期だけ保持する。また、ゼロ速度領域にある場合はゼロ速度領域になる前の位置信号を保持し続ける。
【0030】
位置補償アンプ11は、位相&時刻検出部7で検出する位相(位置)信号と、保持回路10の保持信号との偏差を固定のゲインで増幅した位置補償トルク信号を得る。この位置補償トルク信号は速度制御アンプ3の出力に加算される。
【0031】
速度制御アンプ3の積分項は、そのゲインがゼロ速度判定回路9によって切換えられ、通常速度領域では通常の積分ゲインに設定され、ゼロ速度領域では積分動作を停止させるために積分ゲインを0にする。さらに、積分項の積分バッファ(Z-1)は、位置補償アンプ11が位置補償トルク信号を発生しているときはリセットされており、ゼロ速度領域から通常速度領域に移行するときに、移行前の位置補償トルク信号を積分バッファに加算して移行時のトルク変動を防止する。
【0032】
以上の構成により、ゼロ速度領域での制御性能を改善すると共に、ゼロ速度領域と通常速度領域での制御をスムースに切換える。
【0033】
図2は、本実施形態におけるゼロ速度領域での制御動作を示す。モータのゼロ速度(停止)制御状態では積分項のゲインが0に切換えられ、この状態で負荷トルクが加わった場合(時刻t1)、この負荷によってモータが逆転することでエンコーダからは少しの逆転パルスが発生する。このモータの逆転による誤差速度の発生で位置補償アンプ11から位置補償トルク信号を発生し、正転側の出力トルクを発生させる(時刻t2)。同様に、次の演算周期(時刻t3)で正転側に出力トルクを高め、逆転パルスによって出力トルクが増加し、モータ速度が正転側に上昇し始める。このモータ速度がゼロ速度に近づくと、逆転パルスの発生が少なくなって位置制御アンプ11の位置補償トルク信号が低下し、緩やかにゼロ速度に近づく。次の演算周期(t5)ではモータがゼロ速度を超えて正転側になるが、この正転に対しては位置補償アンプ11の位置補償トルク信号が反転してゼロ速度に向けた出力トルクになる。
【0034】
このように、ゼロ速度領域での速度制御では、積分項による積分動作をリセットしておき、位置制御アンプによる位置補償制御を行うため、エンコーダからのパルス出力に応じた位置制御によってゼロ速度領域への収束になり、持続的な振動は発生せず、安定化制御ができる。また、通常速度領域に移行する場合には積分バッファに直前の位置補償トルクを加算することで、負荷トルク分の出力トルクは保持され、スムースな移行が可能となる。
【0035】
(実施形態2)
図3は、本実施形態を示す可変速制御装置の速度制御回路図であり、図1と異なる部分は速度型速度制御に適用した点にある。
【0036】
図3の構成では、位置補償アンプ11に積分バッファをもち、その出力になる位置補償トルク信号は切換スイッチ12によってゼロ速度領域と通常速度領域の判定に応じて切換える。なお、速度制御アンプ3の積分項の積分バッファ(Z-1)のリセット処理を不要にしながらスムースな移行が可能となる。
【0037】
本実施形態においても、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
(実施形態3)
図4は、本実施形態を示す可変速制御装置の速度制御回路図であり、図3と異なる部分は速度制御アンプの比例ゲインを切換え可能にした点にある。
【0039】
速度制御アンプ3の比例項において、比例積分(PI)制御時と積分項のゲインを0にした比例(P)制御時の最適ゲインが異なる。よって、本実施形態では比例項のゲイン切換えをすることにより、ゼロ速度領域のみゲインを変更することで、ゼロ速度領域での制御性能を改善する。
【0040】
なお、この比例項のゲインの最適化は実施形態1の位置型速度制御にも適用できる。
【0041】
(実施形態4)
図4に示す実施形態3の速度制御回路において、保持回路10によって設定された位相を保持する場合、モータ1に負荷がかかると、位置制御が比例制御であるため、負荷に比例した位相角だけモータが回転してしまう。この位相角を小さくしたい場合、位置補償アンプ11のゲインを大きくする必要がある。例えば、エンコーダ11が1回転で1000パルスを発生する場合、100%負荷時のモータ角度を5°に抑制しようとすると、100%負荷時には14パルスしかずれてはいけないことになる。よって、エンコーダ6より得られたパルスに対し、100/14=7.14(%/パルス)のゲインを位置補償アンプ11に設定する必要がある。言い換えると、1パルスの情報で7.14%のトルク分解能しか出力できないため、ゼロ速度から通常の運転状態に移行するときに、実際の負荷トルクから7.14%の誤差をもつことになる。この誤差トルクにより、切り替え時にモータが回転してしまう問題がある。
【0042】
本実施形態は、ゼロ速度から通常運転への移行時の誤差トルク発生を防止し、これによってモータが不要に回転するのを防止するものである。
【0043】
図5は本実施形態の制御回路図である。同図が図4と異なる部分は、切換スイッチ13と平均処理回路14からなる平均化切換回路を追加した点にある。切換スイッチ13は、ゼロ速度運転時には図示の切換位置にし、図4と同様に位置補償アンプ11の出力を積分バッファを通して出力し、通常運転に切り換える直前には平均処理回路14の出力に切り換える。平均処理回路14は、ゼロ速度制御時に位置補償アンプ11の補償トルク出力を取り込み、そのピークを検出し、1周期間の平均トルクを算出しておき、通常運転に切り換える直前にこの平均トルクを積分バッファ(Z-1)の入力としてそのリセットを得る。
【0044】
図6は出力トルクの振動と平均処理の原理的な説明図である。前記のように、ゼロ速度制御時には位置補償アンプ11から補償トルクを出力しており、この補償トルクはトルクの分解能が粗いために振動的に正負に変化する。この振動的な正負の変化を平均処理回路14であるピークから次のピークまでの出力トルクを平均化することで、ゼロ速度から通常速度への運転切換時に積分バッファの出力をリセットすることができる。つまり、図6における面積Aからピーク間の時間で割った平均出力トルクを用いてリセットすることで、通常運転に切り換えた際の誤差トルク発生を防止することができる。
【0045】
図7は、誤差トルク発生を防止できる具体的な波形図を示し、(a)には平均処理回路を持たない場合の波形図を、(b)には平均処理回路を付加した場合の波形図を示す。両波形共に、切換直前に出力トルクが振動的に変化しており、この状態でゼロ速度から通常運転に切換得られた時点では、(a)ではモータ速度の収束が遅れ、出力トルクが収束するまでの面積分だけモータが回転する。一方、(b)では、切換時点で振動の平均化により積分バッファがリセットされるため、モータは回転することなく速やかに停止する。
【0046】
したがって、本実施形態では、ゼロ速度から通常運転に切換えた時にモータが不要に回転するのを防止できる。
【0047】
なお、本実施形態による位置補償アンプの出力の平均処理は、実施形態1,2に適用して同等の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態1を示す可変速制御装置の速度制御回路図。
【図2】ゼロ速度領域での制御動作の説明図。
【図3】本発明の実施形態2を示す可変速制御装置の速度制御回路図。
【図4】本発明の実施形態3を示す可変速制御装置の速度制御回路図。
【図5】本発明の実施形態4を示す可変速制御装置の速度制御回路図。
【図6】実施形態4の原理的な説明図。
【図7】誤差トルク発生防止の波形図。
【図8】従来の可変速制御装置の速度制御回路図。
【図9】ゼロ速度領域での持続的な振動の例。
【符号の説明】
【0049】
1 モータ
2 電力変換器
3 速度制御アンプ
6 エンコーダ
7 位相&時刻検出部
8 速度検出部
9 ゼロ速度判定回路
10 保持回路
11 位置補償アンプ
12 切換スイッチ
13 切換スイッチ
14 平均処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置型速度制御アンプの比例積分演算結果に応じて、モータをゼロ速度領域を含めて可変速制御する装置において、
モータの速度制御状態がゼロ速度領域か通常速度領域かの判定を行うゼロ速度判定回路と、
前記ゼロ速度判定回路による判定が通常速度領域にある場合はモータのロータ位置検出信号を1制御周期だけ保持し、ゼロ速度領域にある場合はゼロ速度領域になる前の位置信号を保持し続ける保持回路と、
前記モータのロータ位置信号と、前記保持回路の保持信号との偏差を固定のゲインで増幅した位置補償トルク信号を得、この位置補償トルク信号を前記速度制御アンプの出力に加算すると共に積分項の積分バッファをリセットしておく位置補償アンプと、
前記速度制御アンプの積分項は、通常速度領域では通常の積分ゲインに設定され、ゼロ速度領域では積分ゲインを0にする手段と、
を備えたことを特徴とするモータの可変速制御装置。
【請求項2】
ゼロ速度領域から通常速度領域に移行するときに、移行前の前記位置補償トルク信号を前記速度制御アンプの積分項の積分バッファに加算する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のモータの可変速制御装置。
【請求項3】
速度型速度制御アンプの比例積分演算結果に応じて、モータをゼロ速度領域を含めて可変速制御する装置において、
モータの速度制御状態がゼロ速度領域か通常速度領域かの判定を行うゼロ速度判定回路と、
前記ゼロ速度判定回路による判定が通常速度領域にある場合はモータのロータ位置検出信号を1制御周期だけ保持し、ゼロ速度領域にある場合はゼロ速度領域になる前の位置信号を保持し続ける保持回路と、
前記モータのロータ位置信号と、前記保持回路の保持信号との偏差を固定のゲインで増幅した位置補償トルク信号を得、ゼロ速度領域にあるときに該位置補償トルク信号を前記速度制御アンプの出力に加算する位置補償アンプと、
前記速度制御アンプの積分項は、通常速度領域では通常の積分ゲインに設定され、ゼロ速度領域では積分ゲインを0にする手段と、
を備えたことを特徴とするモータの可変速制御装置。
【請求項4】
前記速度制御アンプの比例項は、積分項のゲインを0にしたゼロ速度領域での比例制御時に最適ゲインに切換える手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のモータの可変速制御装置。
【請求項5】
前記ゼロ速度判定回路による判定がゼロ速度領域にある場合は前記位置補償アンプの出力がもつピークの1周期間の平均トルクを求め、ゼロ速度領域から通常速度領域に切り換える直前に、該位置補償アンプの出力から該平均トルクに切り換える平均化切換手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータの可変速制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−199760(P2008−199760A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31485(P2007−31485)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】