説明

モータの絶縁構造及びその製造方法

【課題】 従来のモータの絶縁構造の問題点であった、鉄心とインシュレータ間、及び、インシュレータとコイル間の隙間に空気層が存在する点を解決し、モータ運転時にコイルで発生する熱を効率よく鉄心に逃がすことが可能なモータの絶縁構造を得る。
【解決手段】 モータの絶縁構造は、板状の電磁鋼板を複数枚重ね合わせた鉄心1と、鉄心1のティース部2と、ティース部2にはめ込み、鉄心1のティース部2の側面の大半を露出させることが可能な樹脂製のインシュレータ21と、露出したティース部2に絶縁被覆電線3aを巻回して構成されたコイル3と、ティース部2間に充填された主絶縁材料4と、露出したティース部2とコイル3間に充填され、熱硬化性の液状樹脂5bに鉄心1とコイル3の間に必要な絶縁距離に相当する粒子直径を持つ絶縁性の充填剤5aを配合した副絶縁材料5を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モータのティース部とコイルの間に絶縁部材を挿入した絶縁構造とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモータ用の固定子コイルは、板状の電磁鋼板を複数枚重ね合わせた鉄心のティース部の上側から、構造がロ字型形状で樹脂製のインシュレータをはめ込み、そのインシュレータ表面に絶縁被覆された銅線を所定回数巻回してコイルを形成した後、全体を金型に設置して、主絶縁材料である液状の熱硬化性または熱可塑性樹脂をポッティングまたは射出成形にて注入し、主絶縁材料を加熱硬化(熱硬化樹脂の場合)または冷却(熱可塑性樹脂の場合)し、固体状に相変化させた後、一体成形して作製される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、インシュレータを分割してティースの両端部に配置し、コイルが巻回されるティースの側面にスロット絶縁紙で覆うことにより、ティースとコイルの絶縁距離を保つ構成が開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第WO2009/101852号明細書(第5/11頁、図6)
【特許文献2】特許第4449121号公報(第11頁、第1図)
【特許文献3】特開2010−45868号公報(第13頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のモータ用の固定子コイルは、以上のように構成されているので、例えば、特許文献1の場合においては、インシュレータをティース部の上側からはめ込むため、鉄心とインシュレータの間、及び、インシュレータとコイルの間の隙間は非常に狭く、固定子コイルの作製過程で、この隙間に液状の主絶縁材料が充填されにくいため、この隙間に空気層が存在することになる。従って、この空気層が大きな熱抵抗となり、モータ運転時にコイルで発生する熱を効率よく鉄心に逃がすことが困難などの問題点があった。
【0006】
また、例えば、特許文献2や特許文献3の場合においても、ティースと絶縁紙の間、及び絶縁紙とコイルの間の隙間も非常に狭く、固定子コイルの作製過程で、この隙間に液状の主絶縁材料が充填されにくいため、この隙間に空気層が存在することになる。従って、この空気層が大きな熱抵抗となり、モータ運転時にコイルで発生する熱を効率よく鉄心に逃がすことが困難などの問題点があった。
【0007】
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたもので、その目的は、鉄心とコイル間に絶縁材料を充填することで、鉄心とコイル間の熱抵抗を小さくし、モータ運転時にコイルで発生する熱を効率的に鉄心に伝えることが可能なモータの絶縁構造及びその製造方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るモータの絶縁構造においては、鉄心と、鉄心に立設された複数のティース部の側面に電線を巻回して構成されたコイルと、複数のティース部とコイル間の絶縁性を確保するために設けられた絶縁部と、コイルが形成された複数のティース間に充填された第1電気絶縁部材とを有するモータの絶縁構造であって、絶縁部は、鉄心とコイル間、及びティース部の側面の一部とコイル間の絶縁性確保のためにティース部に被着されるティース部の高さよりも低い高さを有するインシュレータと、インシュレータ被着時のティース部の側面露出部に塗布され、側面露出部とコイル間の絶縁性確保に必要な絶縁距離に相当する粒子直径の絶縁性充填剤を含有した第2電気絶縁部材とを備える。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、コイルと鉄心間に副絶縁材料が空隙なく充填されるため、コイルで発生した熱を効率よく鉄心に放熱することができ、モータ運転時の電気効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1を示すモータ用の固定子コイルの断面構造図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示すモータ用の固定子コイルの構造拡大図である。
【図3】この発明の実施の形態1を示すモータ用の固定子コイルの製造プロセスである。
【図4】この発明の実施の形態2を示すモータ用の固定子コイルの構造拡大図である。
【図5】この発明の実施の形態3を示すモータ用の固定子コイル構造に用いる絶縁糸の構成図である。
【図6】この発明の実施の形態3を示すモータ用の固定子コイルの構造拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1におけるモータ用の固定子コイルの断面構造図である。図1において、1は鉄心、2は鉄心1のティース部、21はティース部2にはめ込む、例えば、200μmの厚みを有するインシュレータ、3はコイルである。インシュレータ21は、インシュレータ21の被着時にティース部2の側面に露出部分(側面露出部)が現れるように、ティース部2の高さよりも低い高さを有している。ティース部2の高さ及びインシュレータ21の高さとは、鉄心1に対してティース部2が立設している時の立設方向に沿った長さである。4は第1電気絶縁部材である主絶縁材料で、例えば、熱硬化性のエポキシ樹脂である。また、5は第2電気絶縁部材である副絶縁材料であり、インシュレータ21の被着時のティース部2の側面露出部の全面に塗布される。なお、インシュレータ21と副絶縁材料5が絶縁部を構成する。
【0012】
まず、板状の電磁鋼板を複数枚重ね合わせた鉄心1のティース部2に樹脂製のインシュレータ21をはめ込む。インシュレータ21は、鉄心1のティース部2の側面の大半を露出させた筒状部と、この筒状部の一端から外側に突出するフランジ部から成るロ字型構造となっている。インシュレータ21をティース部2の上側からはめ込むことによるティース部2の側面露出部の露出割合として、ティース部2の高さを1とすると、露出の高さは0.9以上となるように設計する。インシュレータ21により露出されたティース部2の側面露出部に、副絶縁材料5を介して電線を巻回し、コイル3が構成される。その後、主絶縁材料4にて一体成形し、固定子コイルを形成させる。
【0013】
図2にモータ用の固定子コイルの構造を拡大した構造図を示す。図2において、3aはコイル3を構成する、例えば、直径1mmの絶縁被覆電線、5aは充填剤、5bは樹脂である。副絶縁材料5は、熱硬化性の液状樹脂5bに、鉄心1のティース部2とコイル3の間に必要な絶縁距離に相当する粒子直径を持つ絶縁性の充填剤5aを配合したものである。この実施の形態1では、鉄心1のティース部2とコイル3の間に必要な絶縁距離はおよそ200μmであるとする。
【0014】
副絶縁材料5として、200μmの粒子直径を持つ充填剤5aを含有させれば、鉄心1のティース部2に最も近い絶縁被覆電線3aは、充填剤5aの粒子直径分だけ鉄心1のティース部2より離されることとなり、この距離は200μmの絶縁距離に相当するため、絶縁被覆電線3aと鉄心1のティース部2との接触が防止される。このため、鉄心1のティース部2と絶縁被覆電線3aとの距離を鉄心1のティース部2とコイル3間の必要絶縁距離として扱うことができるため、鉄心1のティース部2の側面露出部に巻回すコイル3の占積率を大きくすることができる。また、鉄心1のティース部2とコイル3の間には、副絶縁材料5が充填されているため、鉄心1のティース部2とコイル3の間の熱抵抗を小さくすることができ、モータ運転時にコイル3で発生する熱を効率的に鉄心1のティース部2に放熱することができ、その結果、モータ運転時の電気効率が向上する。
【0015】
ここで、副絶縁材料5に配合する充填剤5aは、絶縁性を持つものであれば良い。例えば、結晶シリカ、溶融シリカ、窒化ホウ素、アルミナ、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛等がある。また、充填剤5aの形状は、球状が望ましいが、鱗片状、破砕、針状等でも良い。また、充填剤5aの粒度分布は、粒子径が均一であることが望ましいが、粒度分布を持ったものでも問題は無い。また、副絶縁材料5に配合する樹脂5bは、絶縁性を持つ熱硬化性樹脂であれば良く、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等があり、主絶縁材料4に用いているマトリックス樹脂であっても良い。
【0016】
次に、この発明の固定子コイルの製造方法について説明する。図3は、この発明の実施の形態1を示すモータ用の固定子コイルの製造プロセスである。図3において、7は加熱プレス治具である。製造方法は以下の工程より構成される。まず、板状の電磁鋼板を複数枚重ね合わせた鉄心1のティース部2に樹脂製のインシュレータ21をはめ込む(図3(a))。次に、熱硬化性液状樹脂5bに充填剤5aを配合した副絶縁材料5を鉄心1のティース部2の4面ある側面露出部に塗布する(図3(b))。次に、副絶縁材料5を塗布した4面に加熱プレス治具7を押し当て、鉄心1のティース部2の4面に塗布した副絶縁材料5を半硬化状態とさせる(図3(c))。次に、半硬化状態の副絶縁材料5の外周部に、絶縁被覆電線3aを所定回数巻回し、コイル3を形成する(図3(d))。最後に、主絶縁材料4にて一体成形し、固定子コイルを形成させる。
【0017】
ここで、図3(c)の製造プロセスで実施した半硬化状態について説明する。通常、熱硬化性樹脂は、硬化前は液状状態であるが適切な温度と時間を与えると、架橋反応が進みゲル化を経て最終的に三次元の網目構造を形成し固体状態となる。半硬化状態とは、硬化前の液状状態と完全に固体となる前の中間状態のことである。この発明の目的は、鉄心1のティース部2とコイル3の間に副絶縁材料5を隙間無く充填することにある。図3(d)の製造プロセスの状態から最終プロセスに至る主絶縁材料4にて一体成形する工程では、液状の主絶縁材料4を金型内にて加熱硬化させるが、この加熱硬化の工程にて、半硬化状態の副絶縁材料5も一旦溶融し、鉄心1のティース部2とコイル3の間に隙間無く充填され、主絶縁材料4の硬化と同時に副絶縁材料5も完全硬化する。
【0018】
実施の形態2.
実施の形態1では、例えば、200μmの粒子径を持つ充填剤5aを含有している副絶縁材料5を用いて、鉄心1のティース部2と絶縁被覆電線3aとの距離を、鉄心1のティース部2とコイル3間の必要絶縁距離として扱う構成について説明したが、図4に示すように、副絶縁材料5を絶縁性の繊維で作製した絶縁布に塗布し、テープ状としたものを鉄心1のティース部2の側面露出部に巻きつける構成にしても良い。図4において、5cは絶縁性の繊維で作製した絶縁布で、例えば、50μmの厚みを有する不織布またはクロスである。鉄心1のティース部2とコイル3間の必要絶縁距離を200μmとすると、鉄心1のティース部2と絶縁被覆電線3aとの距離は、絶縁布5cの厚み50μmに充填剤5aの直径200μmが加算された距離250μmとなり、絶縁被覆電線3aと、鉄心1のティース部2との接触が防止される。
【0019】
この実施の形態2のように、副絶縁材料5をテープ状とすることにより、工作性が格段に向上し、生産性を向上させることができる。なお、製造方法は実施の形態1で説明した製造プロセスと同様の製造方法である。
【0020】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3について、図5と図6を用いて説明する。図5において、6は第3電気絶縁部材である絶縁糸、6aは、例えば、直径100μmを有する絶縁された心線である。図5に示すように、心線6aの外周部には副絶縁材料5に使用した樹脂5bがコーティングされており、この構成をもって絶縁糸6としている。コーティングの厚みは、例えば、50μmであり、この結果、絶縁糸6の直径は、およそ200μmである。この絶縁糸6を、鉄心1のティース部2の側面露出部に巻回す。コーティングされた樹脂5bは、絶縁糸6を巻きつけた後、加熱プレス治具7にて加熱することで半硬化状態となり、その結果、心線6aが鉄心1のティース部2の側面露出部に巻回され、その間を樹脂5bが半硬化状態で充填された状態になった後、一体成形する際に樹脂5bが一旦溶融し、隙間無く充填される。従って、絶縁糸6を、例えば、図6に示すように巻きつけることで、絶縁被覆電線3aが鉄心1のティース部2に接触することを防止できる。
【0021】
必要最低限の巻回数として、図6では絶縁被覆電線3aを鉄心1のティース部2に2回巻回しているが、この2回の巻回数の理由は、絶縁糸6を鉄心1のティース部2に1回だけ巻く場合では、絶縁被覆電線3aが鉄心1のティース部2に直に触れてしまう、すなわち、短絡の可能性があるためであり、短絡を防止するために、2回の巻回数を必要最低限の巻回数としている。この時、鉄心1のティース部2とコイル3に一番近い面の間の最低限必要な絶縁距離をL、例えば、200μmとすると、図6に示す2回巻回している場合の心線6aに求められる必要な直径はL/2、例えば、100μmとなる。従って、絶縁糸6を用いることで、鉄心1のティース部2と絶縁被覆電線3aとの距離を鉄心1のティース部2とコイル3の間の必要絶縁距離として扱うことができるため、鉄心1のティース部2の側面露出部に巻回すコイル3の占積率を大きくすることができる。
【0022】
この実施の形態3のように、副絶縁材料5を糸状にしたことにより工作が容易に行えるため、生産性を向上させることができる。なお、製造方法は実施の形態1で説明した製造プロセスと同様の製造方法である。
【符号の説明】
【0023】
1 鉄心、2 ティース部、21 インシュレータ、3 コイル、3a 絶縁被覆電線、4 主絶縁材料、5 副絶縁材料、5a 充填剤、5b 樹脂、5c 絶縁布、6 絶縁糸、6a 心線、7 加熱プレス治具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄心と、該鉄心に立設された複数のティース部の側面に電線を巻回して構成されたコイルと、複数の前記ティース部と前記コイル間の絶縁性を確保するために設けられた絶縁部と、前記コイルが形成された複数の前記ティース間に充填された第1電気絶縁部材と、を有するモータの絶縁構造であって、
前記絶縁部は、
前記鉄心と前記コイル間、及び前記ティース部の側面の一部と前記コイル間の絶縁性確保のために前記ティース部に被着される前記ティース部の高さよりも低い高さを有するインシュレータと、
前記インシュレータ被着時の前記ティース部の側面露出部に塗布され、該側面露出部と前記コイル間の絶縁性確保に必要な絶縁距離に相当する粒子直径の絶縁性充填剤を含有した第2電気絶縁部材と、
を備えたことを特徴とするモータの絶縁構造。
【請求項2】
前記絶縁部は、
前記インシュレータと、
前記側面露出部に巻きつけられ、前記第2電気絶縁部材を塗布した絶縁布と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のモータの絶縁構造。
【請求項3】
鉄心と、該鉄心に立設された複数のティース部の側面に電線を巻回して構成されたコイルと、複数の前記ティース部と前記コイル間の絶縁性を確保するために設けられた絶縁部と、前記コイルが形成された複数の前記ティース間に充填された第1電気絶縁部材と、を有するモータの絶縁構造であって、
前記絶縁部は、
前記鉄心と前記コイル間、及び前記ティース部の側面の一部と前記コイル間の絶縁性確保のために前記ティース部に被着される前記ティース部の高さよりも低い高さを有するインシュレータと、
前記インシュレータ被着時の前記ティース部の側面露出部に巻回され、該側面露出部と前記コイル間の絶縁性確保に必要な絶縁距離に相当する線直径を有する絶縁糸と、該絶縁糸の表面にコーティングされた絶縁樹脂で構成された第3電気絶縁部材と、
を備えたことを特徴とするモータの絶縁構造。
【請求項4】
前記インシュレータは、前記側面露出部を前記ティース部の側面に形成するための筒状部と、該筒状部の一端から外側に突出するフランジ部から成る構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のモータの絶縁構造。
【請求項5】
鉄心と、該鉄心に立設された複数のティース部の側面に電線を巻回して構成されたコイルと、複数の前記ティース部と前記コイル間の絶縁性を確保するために設けられた絶縁部と、前記コイルが形成された複数の前記ティース間に充填された第1電気絶縁部材と、を有するモータの絶縁構造の製造方法であって、
前記鉄心と前記コイル間、及び前記ティース部の側面の一部と前記コイル間の絶縁性確保のために、前記ティース部の高さよりも低い高さを有するインシュレータを前記ティース部に被着させる第1工程と、
前記インシュレータ被着時の前記ティース部の側面露出部と前記コイル間の絶縁性確保に必要な絶縁距離に相当する粒子直径の絶縁性充填剤を含有した第2電気絶縁部材を、前記側面露出部に塗布する第2工程と、
前記第2電気絶縁部材の外周部に前記コイルを形成する第3工程と、
複数の前記ティース間に前記第1電気絶縁部材を充填した後、硬化させて一体成形する第4工程と、
から成ることを特徴とするモータの絶縁構造の製造方法。
【請求項6】
鉄心と、該鉄心に立設された複数のティース部の側面の大半に電線を巻回して構成されたコイルと、複数の前記ティース部と前記コイル間の絶縁性を確保するために設けられた絶縁部と、前記コイルが形成された複数の前記ティース間に充填された第1電気絶縁部材と、を有するモータの絶縁構造の製造方法であって、
前記鉄心と前記コイル間、及び前記ティース部の側面の一部と前記コイル間の絶縁性確保のために、前記ティース部の高さよりも低い高さを有するインシュレータを前記ティース部に被着させる第1工程と、
前記インシュレータ被着時の前記ティース部の側面露出部と前記コイル間の絶縁性確保に必要な絶縁距離に相当する粒子直径を有する絶縁性の充填剤を含有した第2電気絶縁部材を塗布した絶縁布を、前記側面露出部に巻きつける第2工程と、
前記第2電気絶縁部材の外周部に前記コイルを形成する第3工程と、
複数の前記ティース間に前記第1電気絶縁部材を充填した後、硬化させて一体成形する第4工程と、
から成ることを特徴とするモータの絶縁構造の製造方法。
【請求項7】
鉄心と、該鉄心に立設された複数のティース部の側面の大半に電線を巻回して構成されたコイルと、複数の前記ティース部と前記コイル間の絶縁性を確保するために設けられた絶縁部と、前記コイルが形成された複数の前記ティース間に充填された第1電気絶縁部材と、を有するモータの絶縁構造の製造方法であって、
前記絶縁部の製造方法は、
前記鉄心と前記コイル間、及び前記ティース部の側面の一部と前記コイル間の絶縁性確保のために、前記ティース部の高さよりも低い高さを有するインシュレータを前記ティース部に被着させる第1工程と、
前記インシュレータ被着時の前記ティース部の側面露出部と前記コイル間の絶縁性確保に必要な絶縁距離に相当する線直径を有する絶縁糸と、該絶縁糸の表面にコーティングされた絶縁樹脂で構成された第3電気絶縁部材を、前記側面露出部に巻回す第2工程と、
前記第3電気絶縁部材の外周部に前記コイルを形成する第3工程と、
複数の前記ティース間に前記第1電気絶縁部材を充填した後、硬化させて一体成形する第4工程と、
から成ることを特徴とするモータの絶縁構造の製造方法。
【請求項8】
前記第2工程後に、
前記第2電気絶縁部材あるいは前記第3電気絶縁部材を半硬化状態とさせる工程を追加したことを特徴する請求項5乃至請求項7のいずれかに記載のモータの絶縁構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−105420(P2012−105420A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250827(P2010−250827)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】