説明

モーター装置及びモーター速度制御システム

【課題】モーター装置とモーター速度制御システムを提供する。
【解決手段】速度制御信号を生成する制御装置22、フィードバック信号を生成するモーター装置24、及び前記モーター装置24と前記制御装置22間に接続されたフィードバック/速度制御信号線263を含み、前記速度制御信号が前記フィードバック/速度制御信号線263によって前記モーター装置24に伝送され、且つ前記フィードバック信号が前記フィードバック/速度制御信号線263によって前記制御装置22に伝送されるモーター速度制御システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーター装置及びモーター速度制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のモーター装置の制御と、その回転を制御するための制御装置との間には、通常、かなりの量で接続関係が複雑な信号線が接続されている。例えば、モーター装置を制御するのによく見られるモーター速度制御システムが図1に示されている。制御装置12とモーター装置14間は、正電源線すなわち正電源信号線161、負電源線すなわち負電源信号線162が接続され、制御装置12とモーター装置14を互いに電気接続する。また、速度制御信号線163は、制御装置12が生成した速度制御信号をモーター装置14に伝送し、モーター装置14内部の処理器(図示せず)が制御装置12の速度制御信号に基づいてモーター装置14を駆動し、特定速度の回転を行えるようにしている。また、制御装置12とモーター装置14間に接続された回転速度フィードバック信号線164は、モーター装置14内部の処理器が生成したフィードバック信号を制御装置12内に伝送し、制御装置12が受けたフィードバック信号に基づいて、各タイミングにおけるモーター装置14の回転速度が、前記タイミングにおける速度制御信号に対応する回転速度と合うかどうかを確認して設定できるようにしている。
【0003】
これより分かるように、モーター装置14の回転を正確に監視できるようにするために、モーター装置14とその作動を制御する制御装置12との間は、少なくとも4本の信号線、即ち、上述の正電源信号線161、負電源信号線162、速度制御信号線163と、回転速度フィードバック信号線164で接続しなければならない。速度制御信号線163と回転速度フィードバック信号線164は、制御装置12からモーター装置14、モーター装置14から制御装置12の信号をそれぞれ伝送する。つまり、速度制御信号線163と回転速度フィードバック信号線164の両方とも単一方向に伝送する信号線である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、制御装置12とモーター装置14間の制御信号は、上述の制御信号、フィードバック信号だけでなく、駆動信号、タイミング信号...などを更に備える。これらの信号を伝送するために、実際の応用では、制御装置12とモーター装置14間は、上述の4本の信号線以外に、多くの信号線と接続している。よって全体の回路構造は、かなり複雑なだけでなく、部材コスト、組立作業時間と、装置故障率全てにマイナスの影響がある。
【0005】
よって、如何にして回転装置の制御回路を簡易化しながら制御効果には影響を及ぼさないようにするかが速度制御の技術で非常に重要な課題の1つとなる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、モーター速度の制御効果に影響を及ぼさないように、全体の制御回路構造の簡易化を図ることができると共に、装置の故障率を低下させることのできるモーター装置とモーター速度制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、双方向に信号を伝送できるフィードバック/速度制御信号線を用いて制御装置とモーター装置間の回路設計を簡易化する。よって、制御装置からの速度制御信号とモーター装置からのフィードバック信号の両方が同一の信号線によって伝送を行うため、回路を簡易化し、コストと装置の故障率を下げる目的を達成することができる。
【0008】
上述の目的を達成するため、先ず、本発明は、制御装置、モーター装置と、前記制御装置と前記モーター装置間に接続された複数の信号線とを備えたモーター速度制御システムを提供する。前記信号線は、2つの電源信号線と1つのフィードバック/速度制御信号線を備える。よって、前記制御装置が速度制御信号を生成した後、前記制御装置と前記モーター装置間に接続された前記フィードバック/速度制御信号線によって前記モーター装置内に伝送される。また、前記モーター装置内の制御回路がこの速度制御信号を受けた後、この速度制御信号に基づいて前記モーター装置を駆動し、対応する回転を行いながら同時にフィードバック信号を生成し、且つこのフィードバック信号を前記フィードバック/速度制御信号線を通して前記制御装置内に再度フィードバックし、前記フィードバック信号に基づいて前記モーター装置が正常に作動されているかどうかを前記制御装置に判断させる。
【0009】
また本発明は、制御装置に電気接続されたモーター装置を提供する。このモーター装置は、制御回路と複数の信号線を備え、これらの信号線は、前記制御回路と前記制御装置間に接続され、且つ2つの電源信号線と1つのフィードバック/速度制御信号線を備える。前記制御装置は、速度制御信号を発生し、前記モーター装置の回転を制御する。前記モーター装置は回転後、フィードバック信号を生成し、前記制御装置内にフィードバックする。上述の速度制御信号とフィードバック信号は、双方向伝送能力を有する前記フィードバック/速度制御信号線を通して伝送される。
【0010】
上述により、本発明のモーター装置とモーター速度制御システムは、双方向伝送能力を有する信号線を用いて制御装置とモーター装置からの信号を伝送する。よって、従来技術に比べると、本発明のモーター装置とモーター速度制御システムは、より簡易化した回路設計を有するだけでなく、制御装置がモーター装置の回転速度を正確に制御することができ、同時にモーター装置も回転速度のフィードバックを行ってモーターが正常に作動できるように確保することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明が提供するモーター装置とモーター速度制御システムは、双方向伝送能力を有する信号線を用いて、制御信号とフィードバック信号を伝送し、全体の回路構造を簡易化させ、同時に全体のハードウェアコストの支出を下げ、組立作業時間を減少する。また、部材の減少により、ある単一の部材が機能しなくなって構造全体を故障させる可能性を減少することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明についての目的、特徴、長所が一層明確に理解されるよう、以下に実施形態を例示し、図面を参照にしながら、詳細に説明する。
【実施例】
【0013】
図2は、本発明のモーター速度制御システムのブロック図を表している。モーター速度制御システム2は、制御装置22、モーター装置24、制御装置22とモーター装置24の間に接続された正電源線すなわち正電源信号線261、負電源線すなわち負電源信号線262と、フィードバック/速度制御信号線(feedback/speed−controllingsignal line)263を備える。制御装置22は、モーター装置24を制御し、モーター装置24がモーター装置と接続した回転体242の動作を駆動できるようにする。また、モーター装置24は、回転体242の回転状態を制御装置22にも同時にフィードバックし、制御装置22がモーター装置24と回転体242の動作を同時に監視できるようにする。
【0014】
モーター装置24の回転速度を正確に制御できるようにするために、制御装置22は、速度制御信号を生成する。また、回転後のモーター装置24は、回転の状態に基づいて対応するフィードバック信号を生成する。よって、制御装置が速度制御信号を生成した後、フィードバック/速度制御信号線263によって、速度制御信号をモーター装置24内の制御回路241に伝送する。制御回路の演算を経た後、対応する回転速度でモーター装置24を駆動して回転させ、回転体242の動作を連動させる。続いて、制御回路241は、モーター装置242の実際の回転速度(または回転装置に基づいた切換動作の周波数信号、または周波数信号に基づいて換算して得られた回転速度信号)に基づいて、対応するフィードバック信号を生成し、フィードバック/速度制御信号線263によって、制御装置22にフィードバックさせる。よって、制御装置22は、受けたフィードバック信号に基づいて、モーター装置24が特定のタイミングにおいて正確な回転速度で作動しているかどうかを判断することができる。
【0015】
前記制御装置22が生成した速度制御信号は、パルス信号(例えば電圧信号または電圧制御信号)、パルス幅変調信号、または上述のパルス信号とパルス幅変調信号の統合した信号であることができる。モーター装置24は、ブラシレスモーターであることができ、モーター装置24と接続した回転体242は、ファンであることができる。モーター装置24が生成したフィードバック信号は、モーター装置24の回転速度信号、または周波数信号であることができる。制御回路241が信号とデータを演算した後、その内部のモーターによってチップ、マイクロプロセッサ...などの制御素子を駆動して実現することができる。また、スイッチング素子(図示せず)によって制御素子とフィードバック/速度制御信号線263間を接続することができる。
【0016】
図3と図4をそれぞれ参照して、以下、本発明のモーター装置とモーター速度制御システムに基づいて2種類の異なる実施態様を提供する。
【0017】
図3は、本発明のブラシレスモーター34を用いて、ファン342に接続され、このファン342を駆動して回転を行っている。また、ブラシレスモーター34は、正電源線すなわち正電源信号線261、負電源線すなわち負電源信号線262と、フィードバック/速度制御信号線263によって制御装置22に接続される。制御装置22は、ブラシレスモーター34を制御する速度制御信号を生成し、フィードバック/速度制御信号線263を通してブラシレスモーター34に伝送する。また、本実施態様の速度制御信号は、電圧信号であり、ブラシレスモーター34が速度制御の電圧信号を受けた後、その内部の制御素子、例えば、モーター駆動IC、またはマイクロプロセッサ341がこの電圧信号と駆動電圧(例えばフルレベルのVcc)間の関係に基づいて、対応する回転速度を演算する。算出された回転速度を用いてブラシレスモーター34を駆動し、ファン342を連動して回転させる。同時にマイクロプロセッサ341は、位相検出回路によってブラシレスモーター34の実際の切換周波数(即ちファン342の実際の回転速度)を検出し、対応するフィードバック信号(例えば周波数信号)を生成して、フィードバック/速度制御信号線263によってフィードバック信号を制御装置22に伝送する。
【0018】
速度を制御するための電圧信号とフィードバック信号が両方ともフィードバック/速度制御信号線263によって伝送されるのだが、2種類の信号の伝送方向、性質と、周波数がそれぞれ異なることから、2種類の信号間の干渉を起こすことがなく、制御装置22のブラシレスモーター34の回転速度に対する制御効果、またはブラシレスモーター34のフィードバックの相対速度の正規分布に影響を及ぼすこともない。
【0019】
また、この実施態様のブラシレスモーター34が生成するフィードバック信号が用いる回路構造は、オープンコレクタ(opencollector)の設計であるため、ダイオード42とコンデンサ44を含む。ダイオード42の一端は、フィードバック/速度制御信号線263に接続され、コンデンサ44の一端は、ダイオード42のもう一端に接続されて、ブラシレスモーター34内のマイクロプロセッサ341に接続される。コンデンサ44のもう一端は、接地される。また、マイクロプロセッサ341は、スイッチング素子46と更に接続される。スイッチング素子46は、トランジスタであることができる。例えば、実際の応用では、スイッチング素子46は、NPN型バイポーラトランジスタであることができるが、これを限定するものではない。しかし、上述の回路構造は、この実施態様の中の一種の実現方法だけであって、本発明の実際の応用時の回路設計を限定するものではない。即ち、上述の回路設計と等価、または類似の回路構造は全て本発明に含まれる範囲と見なすことができる。
【0020】
図4は、本発明の一種のブラシレスモーターであり、図3に示す実施態様と類似している。異なる所は、フィードバック/速度制御信号線263が制御装置22とブラシレスモーター34との間でフィルターユニットに接続している所である。このフィルターユニットは、ハイパスフィルタ521とローパスフィルタ522を備える。ハイパスフィルタ521は、ブラシレスモーター34内に統合され、その内部のマイクロプロセッサ341と接続される。ローパスフィルタ522は、制御装置22内に統合される。
【0021】
制御装置22は、ブラシレスモーター34を制御する速度制御信号を生成し、フィードバック/速度制御信号線263を通してブラシレスモーター34に伝送する。また、本実施態様の速度制御信号は、より高い周波数のパルス幅変調信号を有するため、ブラシレスモーター34が高周波のパルス幅変調信号を受けた後、先ずその内部のハイパスフィルタ521を用いて、その他のより低い周波数の信号をフィルターした後、マイクロプロセッサ341に入力し、マイクロプロセッサ341がこのパルス幅変調信号に基づいて、対応する回転速度を演算する。算出された回転速度を用いてブラシレスモーター34を駆動して回転し、ファン342を連動して回転させる。同時にマイクロプロセッサ341は、ブラシレスモーター34の実際の切換周波数に基づいて、対応するフィードバック信号(例えば周波数信号)を生成し、フィードバック/速度制御信号線263によって伝送する。フィードバック信号の周波数は、パルス幅変調信号に比べて低いため、ブラシレスモーター34からのフィードバック信号は、先にローパスフィルタ522を通してその他の周波数の雑音をフィルタリングした後、制御装置22に入ることができる。
【0022】
また、上述の2種類の実施態様がそれぞれブラシレスモーターの応用であることから、ブラシレスモーターの実際の回転速度をフィードバック信号の位相信号に換算するサンプリング回路は、ホール素子であることができる。よって、ホール素子によって先にブラシレスモーターの切換周波数を検出し、検出した切換周波数をブラシレスモーター内の制御回路の制御素子に伝送して演算を行い、制御装置が読み取り可能なフィードバック信号に変換する。この信号の検出と変換方法は従来技術であるため、ここでは述べない。
【0023】
以上、本発明の好適な実施例を例示したが、これは本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいては、当業者であれば行い得る少々の変更や修飾を付加することは可能である。従って、本発明が保護を請求する範囲は、特許請求の範囲を基準とする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来のモーター速度制御システムのブロック図である。
【図2】本発明のモーター速度制御システムのブロック図である。
【図3】本発明のモーター速度制御システムを用いたブラシレスモーターのブロック構造図である。
【図4】本発明のモーター速度制御システムを用いたブラシレスモーターのもう1つのブロック構造図である。
【符号の説明】
【0025】
12、22 制御装置
14、24 モーター装置
161 正電源信号線
162 負電源信号線
163 速度制御信号線
164 フィードバック信号線
2 モーター速度制御システム
241 制御回路
242 回転体
261 正電源信号線
262 負電源信号線
263 フィードバック/速度制御信号線
34 ブラシレスモーター
341 マイクロプロセッサ
342 ファン
42 ダイオード
44 コンデンサ
46 スイッチング素子
521 ハイパスフィルタ
522 ローパスフィルタ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
速度制御信号を生成する制御装置、
フィードバック信号を生成するモーター装置、及び
前記モーター装置と前記制御装置間に接続されたフィードバック/速度制御信号線を含み、
前記速度制御信号が前記フィードバック/速度制御信号線によって前記モーター装置に伝送され、且つ前記フィードバック信号が前記フィードバック/速度制御信号線によって前記制御装置に伝送されるモーター速度制御システム。
【請求項2】
前記速度制御信号は、パルス信号、パルス幅変調信号、または前記パルス信号と前記パルス幅変調信号の統合した信号である請求項1に記載のモーター速度制御システム。
【請求項3】
前記速度制御信号は、電圧信号または電圧制御信号であり、前記フィードバック信号は、電圧信号、電圧制御信号、または前記モーター装置の回転速度信号、周波数信号である請求項1に記載のモーター速度制御システム。
【請求項4】
前記モーター装置は、
前記モーター装置の回転時に生成される切換位相信号を検出し、対応する位相信号を得て出力する位相信号サンプリング回路、及び
前記位相信号サンプリング回路と接続され、前記位相信号を受けて前記フィードバック信号を生成し、出力する制御回路を更に含む請求項1に記載のモーター速度制御システム。
【請求項5】
前記モーター装置は、前記フィードバック/速度制御信号線と接続され、前記フィードバック信号を出力する制御回路を更に含む請求項1に記載のモーター速度制御システム。
【請求項6】
前記制御回路は、
制御素子、及び
前記制御素子と前記フィードバック/速度制御信号線に接続されたスイッチング素子を含む請求項4または請求項5に記載のモーター速度制御システム。
【請求項7】
前記制御回路は、ダイオードとコンデンサを更に含み、前記ダイオードの一端は、前記フィードバック/速度制御信号線に接続され、前記ダイオードのもう一端は、前記コンデンサの一端に接続されて前記制御素子に接続され、前記コンデンサのもう一端は、接地される請求項7に記載のモーター速度制御システム。
【請求項8】
前記制御装置は、第1フィルター素子を更に有し、前記モーター装置は、第2フィルター素子を有し、前記第1フィルター素子と前記第2フィルター素子は、前記フィードバック/速度制御信号線と接続される請求項1に記載のモーター速度制御システム。
【請求項9】
前記第1フィルター素子は、ローパスフィルタ素子であり、前記第2フィルター素子は、ハイパスフィルタ素子である請求項9に記載のモーター速度制御システム。
【請求項10】
制御装置と電気接続されたモーター装置であって、前記モーター装置は、
フィードバック信号を生成して出力する制御回路、及び
前記制御回路と前記制御装置間に接続されたフィードバック/速度制御信号線を含み、
前記制御装置が前記モーター装置を制御する速度制御信号がフィードバック/速度制御信号線によって伝送され、前記フィードバック信号が前記フィードバック/速度制御信号線によって前記制御装置に伝送されるモーター装置。
【請求項11】
前記制御回路は、
制御素子、及び
前記制御素子と前記フィードバック/速度制御信号線に接続されたスイッチング素子を含む請求項11に記載のモーター装置。
【請求項12】
その一端が前記フィードバック/速度制御信号線に接続されたダイオード、及び
その一端が前記ダイオードのもう一端と接続されて前記制御素子に接続され、そのもう一端が接地されるコンデンサを更に含む請求項14に記載のモーター装置。
【請求項13】
前記制御装置は、第1フィルター素子を更に有し、前記モーター装置は、第2フィルター素子を有し、前記第1フィルター素子と前記第2フィルター素子は、前記フィードバック/速度制御信号線と接続される請求項11に記載のモーター装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−124932(P2009−124932A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151122(P2008−151122)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(596039187)台達電子工業股▲ふん▼有限公司 (192)
【Fターム(参考)】