説明

モータ制御装置および電動車両

【課題】容易に又は効率的に高機能化を実現可能なモータ制御装置を提供する。
【解決手段】例えば、モータ制御装置IC内に、スロットル電圧THRTLに基づいてPWM信号を生成するPWMコンパレータ部PWMCMP1と、PWM信号を用いてインバータ部IV_BKを所定のシーケンスで制御するPWM制御部PWM_CTL等に加えて、FV変換部FVCおよび外部端子P9を設ける。FVCは、モータ部MTのホールセンサからの周波数信号を受け、この周波数信号の周期をカウントし、その逆数を演算した結果をアナログ電圧に変換することで、周波数に比例した速度電圧信号FVをP9より出力する。このP9にはスピードメータ等が直接接続される。さらに、FVCは、車両速度を一定に保つクルーズコントロール部CRUS等でも利用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータ制御装置および電動車両に関し、特にエレクトリックバイクと呼ばれる電動モータ付き二輪車両およびこれに用いられるモータ制御装置に適用して有益な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、スタート時および登坂時にモータの駆動によって車両の回転を補助し、ブレーキ作動時および高速走行時にモータの回生制動動作により得られた電力をコンデンサに充電する電動補助自転車が示されている。具体的には、車輪の回転速度をF−V変換器で変換した電圧値と基準速度に対応した基準電圧値とを比較し、車輪の回転速度が基準速度よりも遅い場合にはモータに電流を供給し、逆に速い場合或いはブレーキを作動させた場合にはモータに回生制動動作を行わせ、その電圧をコンデンサに充電する。このようなコンデンサへの充電により、走行時における充電効率を高め、充電作業を低減可能となる。
【0003】
また、特許文献2には、きめの細かいアシストトルク量のリアルタイム制御を行うことが可能な電動アシスト自転車が示されている。具体的には、ペダルにかかる踏力トルクを検出する手段と、このトルク検出信号に対してフィルタ処理を行う手段と、このフィルタ処理後の信号と前述したトルク検出信号とに基づいてアシストトルクを算出する手段とを含み、加えて前述したフィルタ特性を切り替える手段とを備えたものとなっている。このフィルタ特性(カットオフ周波数)を切り替える手段によって、走行の快適性(いわゆる乗り味)を容易に向上させることができる。
【特許文献1】特開2001−30974号公報
【特許文献2】特開2004−322809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、エレクトリックバイク(E−Bike)と呼ばれる電動モータ付き二輪車両の需要が拡大している。E−Bikeは、特許文献1および特許文献2に記載されているようなペダルの踏力の一部をモータでアシストする電動アシスト自転車と異なり、ペダルやスロットルを速度調整機構とする自動車のような車両となっている。図20は、本発明の前提として検討した電動車両において、それに用いられるモータ制御装置の構成例を示すブロック図である。
【0005】
図20に示すモータ制御装置ICは、外部端子P1よりスロットル電圧THRTLを受け、6つのパワートランジスタTuh,Tvh,Twh,Tul,Tvl,Twlからなるインバータ部IV_BKを介して3相のモータ部MTを制御するものとなっている。具体的には、モータ制御装置ICは、三角波発振部PWMOSCと、PWMコンパレータ部PWMCMP1と、ドライバ部DRVと、ワンショットマルチバイブレータMVなどを含んでいる。PWMCMP1は、スロットル電圧THRTLとPWMOSCからの三角波を比較することで、THRTLに応じたPWM(Pulse Width Modulation)信号をPWM_CTLに出力する。PWM_CTLは、複数のサイクルからなる所定の制御シーケンスに基づいて、各サイクル毎に、インバータ部IV_BK内の所定のパワートランジスタをDRVを介してPWM信号で制御すると共に、残りのパワートランジスタのオン又はオフもDRVを介して制御する。
【0006】
図21は、図20のモータ制御装置におけるPWM信号の一例を示す波形図であり、(a)はスロットル電圧が高い場合、(b)はスロットル電圧が低い場合を示すものである。図21(a),(b)に示すように、PWM信号は、スロットル電圧THRTLが高い程‘H’レベル期間が長くなる。この‘H’レベルの期間では、インバータ部IV_BK内の所定のパワートランジスタがオンに駆動され、これに伴いモータ部MTに駆動電流が流れ、モータトルクが発生する。したがって、スロットル電圧THRTLが高い程、モータ部MTに多くの駆動電流が流れ、モータトルクが大きくなる。
【0007】
また、モータ部MTには、モータ回転速度を検出するためのホールセンサが備わっている。このホールセンサからの位置検出信号HU,HV,HWは、モータ制御装置IC内のワンショットマルチバイブレータMVに入力される。MVからは、所定のパルス幅のパルス信号が位置検出信号HU,HV,HWの周期で出力される。このMVからの出力信号は、外部端子P40を介してモータ制御装置ICの外部に設けたフィルタ回路(ロウパスフィルタ回路)FILで平滑化され、その出力となる速度電圧信号FVが車両に取り付けられたスピードメータSMに入力される。
【0008】
しかしながら、図20に示すような構成では、抵抗や容量からなる外付けのフィルタ回路FILを用いているため、部品数の増加が懸念される。また、モータ制御装置の高機能化を図る際に、図20のようなワンショットマルチバイブレータMVを用いた構成では、高機能化を容易に又は効率的に実現することが困難である。
【0009】
本発明は、このようなことを鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、容易に又は効率的に高機能化を実現可能なモータ制御装置およびそれを搭載した電動車両を提供することにある。また、本発明の他の目的の一つは、部品数の低減を可能にするモータ制御装置およびそれを搭載した電動車両を提供することにある。本発明の前記ならびにそれ以外の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0011】
本発明の一実施の形態によるモータ制御装置は、外部端子から入力されたスロットル電圧に基づいてPWM信号を生成する機能と、PWM信号を用いてモータ部に接続されるインバータ部を制御するPWM制御機能と、周波数信号を電圧信号に変換するFV変換機能と、この変換後の電圧信号を出力する外部端子とを有するものとなっている。FV変換機能は、例えば、モータ部に設けられたセンサから外部端子を介してモータ部の回転速度を示す周波数信号を受け、この周波数に比例した電圧値を持つ電圧信号を外部端子より出力する。この外部端子の先にはスピードメータなどが接続される。
【0012】
このように、モータ制御装置にFV変換機能とその出力を受ける外部端子を設けることで、外部端子から直にスピードメータに電圧信号を出力することができ、従来必要であった外付け部品が不要となるため、このモータ制御装置を含む電動車両において部品数の低減が実現可能となる。
【0013】
また、前述したモータ制御装置は、電動車両の速度を一定に保つクルーズコントロール機能を備え、FV変換機能は、このクルーズコントロール機能でも利用される構成となっている。すなわち、クルーズコントロール機能は、外部端子からクルーズ信号が入力された時点でのFV変換機能における電圧信号を保持し、この保持した電圧信号と以降にFV変換機能によって生成される電圧信号とを比較し、この比較結果に応じてデューティ比が調整されたPWM信号を生成する。PWM制御機能は、このPWM信号を用いてインバータ部を制御し、これによって、電動車両は、クルーズ信号が入力された時点の速度を維持する。このように、モータ制御装置にFV変換機能を設けることで、クルーズコントロール機能を容易又は効率的に実現でき、電動車両の高機能化が図れる。
【0014】
また、前述したモータ制御装置は、ペダルの回転速度に応じて電動車両の速度を制御するペダル制御機能を備え、FV変換機能は、このペダル制御機能でも利用される構成となっている。すなわち、FV変換機能は、外部端子から電動車両におけるペダルの回転速度を示す周波数信号を受け、この周波数に比例した電圧値を持つ電圧信号を生成し、ペダル制御機能は、この電圧信号に基づいてPWM信号を生成する。PWM制御機能は、このPWM信号を用いてインバータ部を制御し、これによって、電動車両は、ペダルの回転速度に応じた速度で走行する。このように、モータ制御装置にFV変換機能を設けることで、ペダル制御機能を容易又は効率的に実現でき、電動車両の高機能化が図れる。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0016】
本発明の一実施の形態のモータ制御装置およびそれを搭載した電動車両によると、モータ制御装置および電動車両の高機能化を容易に又は効率的に実現可能となる。また、電動車両の部品数の低減が実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0018】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による電動車両において、その機能概要の一例を示すブロック図である。図1に示す電動車両は、二輪車両本体BDと、これに搭載されるモータ制御装置IC、インバータ部IV_BK、モータ部MT、バッテリBAT、およびスピードメータSMなどによって構成される。モータ部MTは、例えば、3相ブラシレスモータであり、二輪車両本体BDの車輪を回転させる手段となっている。
【0020】
インバータ部IV_BKは、6個のパワートランジスタTuh,Tul,Tvh,Tvl,Twh,Twlと電流検出用の抵抗Rdを含み、モータ制御装置ICの制御に基づいてモータ部MTに所定の駆動電流を供給する。ここでは、6個のパワートランジスタはNMOSトランジスタとなっており、それぞれは、ソース−ドレイン間にボディダイオードを備えている。Tuh,Tvh,Twhのドレインは、電源電圧PVCCに接続され、Tul,Tvl,Twlのソースは、抵抗Rdを介して接地電圧PGNDに接続される。PVCCは、バッテリBATによって供給される。
【0021】
TuhのソースはTulのドレインと共通に接続され、この接続ノードからモータ部MTのU相に駆動電流が供給される。TvhのソースはTvlのドレインと共通に接続され、この接続ノードからモータ部MTのV相に駆動電流が供給される。TwhのソースはTwlのドレインと共通に接続され、この接続ノードからモータ部MTのW相に駆動電流が供給される。
【0022】
モータ制御装置ICは、1つの半導体チップ上に形成され、三角波発振部PWMOSC、PWMコンパレータ部PWMCMP、クルーズコントロール部CRUS、サーマル監視部TMNI、ホールアンプ部HALL_AMP、ドライバ部DRV、過電流検出部ILMT、全体制御部CTLおよびその一部となるFV変換部FVCなどを含んでいる。モータ制御装置ICは、バッテリBATによって電源電圧VCCが供給され、例えば、インバータ部IV_BKと共に1つの実装基板上に実装される。
【0023】
PWMOSCは、外部端子P2に接続された容量Ccを用いて三角波を生成する。PWMCMPは、外部端子P1から入力されたスロットル電圧THRTLと、PWMOSCからの三角波を比較し、その比較結果となるPWM信号をCTLに出力する。スロットル電圧THRTLは、二輪車両本体BDに備わったスロットルから、その開き具合に応じて生成される。CRUSは、外部端子P5から入力されたクルーズ信号CRSを受け、全体制御部CTLを介してモータ部MTの回転速度が一定となるような制御を行う。ここでは、この一定速度を保つためのPWM制御電圧が、外部端子P6に接続された容量Cvで保持される。また、クルーズ信号CRSは、二輪車両本体BDに備わったボタン等を作動した際に入力され、CRUSは、このボタンを押した時点の速度を保持するように制御を行う。TMNIは、モータ制御装置ICの温度を監視し、所定の温度を越えた場合に全体制御部CTLに対して緊急停止信号などを出力する。
【0024】
HALL_AMPは、モータ部MTに取り付けられたホールセンサから外部端子P10〜P12を介して入力された位置検出信号HU,HV,HWを増幅し、全体制御部CTLに出力する。この位置検出信号HU,HV,HWによって、モータ部MTの回転位置と回転速度を認識することが可能となる。FVCは、周波数信号を、周波数の高さに比例した電圧値に変換する機能を備える。具体的には、ホールセンサから得られた回転速度情報(周波数信号)を速度電圧信号FVに変換して外部端子P9より出力し、二輪車両本体BDに備わったスピードメータSMに供給する。また、外部端子P7を介して入力されたペダル信号PEDALの周波数を電圧値に変換したり、更には、クルーズコントロール部CRUSの動作でも用いられる。ILMTは、インバータ部IV_BK内の抵抗Rdの両端を外部端子P22,P23を介してモニタし、抵抗Rdに流れる電流(すなわちIV_BKの駆動電流)が過大となった場合に、その過電流検出信号をCTLに出力する。
【0025】
全体制御部CTLは、前述したような各種信号を受け、ドライバ部DRVを介してインバータ部IV_BK内のパワートランジスタTuh,Tul,Tvh,Tvl,Twh,Twlを制御し、これによってモータ部MTの回転を制御する。DRVからは、外部端子P13〜P18を介して制御信号UH,UL,VH,VL,WH,WLが出力される。パワートランジスタTuh,Tul,Tvh,Tvl,Twh,Twlのゲートは、それぞれ、この制御信号UH,UL,VH,VL,WH,WLによって制御される。なお、外部端子P19、P20、P21は、それぞれ、モータ部MTのU相、V相、W相への出力をモニタするために設けられている。
【0026】
全体制御部CTLは、主な機能として、次の7つの制御機能を含んでいる。第1の制御機能は、スロットル制御機能であり、前述したスロットル電圧THRTLを反映したPWMCMPからのPWM信号によってモータ部MTの回転を制御する機能である。第2の制御機能は、ペダル制御機能であり、二輪車両本体BDに備わったペダルから回転速度を示すペダル信号PEDALを受け、この回転速度に応じてモータ部MTの回転を制御する機能である。すなわち、前述したスロットルによる速度調整の他にペダルによる速度調整を実現する機能である。
【0027】
第3の制御機能は、クルーズコントロール機能であり、前述したクルーズコントロール部CRUSと連動してモータ部MTの回転速度を一定に制御する機能である。第4の制御機能は、E−ABS機能であり、二輪車両本体BDに備わったE−ABSスイッチを作動させた際に外部端子P4より入力されるE−ABS信号EABSNを受け、モータ部MTにブレーキをかけると共にモータ部MTからの回生電流がバッテリBATに充電されるように制御する機能である。第5の制御機能は、セキュリティ機能であり、二輪車両本体BDに備わったセキュリティスイッチを作動させた際に外部端子P8を介して入力されるセキュリティ信号SCRTYを受け、モータ部MTを回転困難な状態に固定する機能である。
【0028】
第6の制御機能は、駆動電流制限機能であり、前述したILMTからの過電流検出信号を受け、駆動電流が増加しないようにPWM信号のパルス幅を調整する機能である。第7の制御機能は、ブレーキ機能であり、二輪車両本体BDに備わったブレーキ機構を作動させた際に外部端子P3を介して入力されるブレーキ信号BRKNを受け、モータ部MTにブレーキをかける機能である。具体的には、6つのパワートランジスタTuh,Tul,Tvh,Tvl,Twh,Twlを全てオフに駆動する。
【0029】
このような構成において、本実施の形態による電動車両の主要な特徴は、1つの半導体チップからなるモータ制御装置IC内にFV変換部FVCを備えたことと、このFVCを活用して第2の制御機能(ペダル制御機能)や第3の制御機能(クルーズコントロール機能)を実現していることにある。また、他の主要な特徴は、第4の制御機能(E−ABS機能)、第5の制御機能(セキュリティ機能)、第6の制御機能(駆動電流制限機能)を備えたことにある。これらの特徴の詳細は、以降の複数の実施の形態の中で説明する。
【0030】
図2は、図1の電動車両において、そのモータ制御装置内のFV変換部およびスロットル制御機能に関する詳細な構成例を示すブロック図である。図2において、PWMコンパレータ部PWMCMP1は、スロットル電圧THRTLと三角波発振部PWMOSCからの三角波を比較し、スロットル電圧の大きさに応じたパルス幅を持つPWM信号を出力する。PWM制御部PWM_CTLは、このPWM信号を用い、ドライバ部DRVを介してインバータ部IV_BK内のパワートランジスタTuh,Tul,Tvh,Tvl,Twh,Twlを制御する。
【0031】
具体的には、PWM制御部PWM_CTLは、位置検出信号HU,HV,HWの状態に基づいて、モータ部MTを回転させるための複数のサイクルからなる所定のシーケンスを実行する。このシーケンス内の各サイクルでは、パワートランジスタTuh,Tul,Tvh,Tvl,Twh,Twl内の所定のパワートランジスタをPWMCMP1からのPWM信号によって駆動することが規定され、残りのパワートランジスタをそれぞれ当該サイクル内でオンするかオフするかも規定されている。PWM_CTLは、このシーケンスに基づいて、DRVを介してTuh,Tul,Tvh,Tvl,Twh,Twlを駆動する。これによって、モータ部MTは、スロットル電圧THRTLを反映した回転速度で回転することになる。
【0032】
また、FV変換部FVCは、クロック生成部CGと、カウンタ部CUNTと、逆数演算部RCALと、レジスタREG1と、ディジタル−アナログ変換部DAC1と、エッジ検出部EDなどを備えている。クロック生成部CGは、三角波発振部PWMOSCからの三角波を方形波に変換してCUNTに出力する。エッジ検出部EDは、モータ部MTのホールセンサからの位置検出信号HU,HV,HWのいずれかに対してその立ち上がりおよび立ち下がりエッジを検出し、その検出結果をCUNTに出力する。図3は、図2のFV変換部の動作の一例を示す波形図である。
【0033】
図3では、三角波発振部PWMOSCの出力ノードNaの波形例と、クロック生成部CGの出力ノードNbの波形例と、エッジ検出部EDの入力ノードNcの波形例(位置検出信号HU,HV,HWのいずれかの波形例)と、エッジ検出部EDの出力ノードNdの波形例が示されている。図3に示すように、エッジ検出部EDは、入力ノードNcにおいてエッジを検出した際にノードNbのクロック信号に同期してその1クロック分のパルス信号を生成している。カウンタ部CUNTは、ノードNbのクロック信号に同期してカウント動作を行うと共に、ノードNdにパルス信号が入力された際には、その時点のカウント値を逆数演算部RCALに転送し、その後にカウント値をリセットする。これによって、CUNTは、モータ部MTの回転周期の長さを算出することになる。
【0034】
逆数演算部RCALは、この回転周期の逆数を演算することによって周波数の高さを算出し、その結果をレジスタREG1に格納する。また、この際に、CUNTのビット数となるk(例えばk=13)ビットからDAC1のビット数のなるj(例えばj=7)ビットへの圧縮も行う。そして、レジスタREG1の出力は、DAC1によってアナログ電圧に変換され、このアナログ電圧値が、速度電圧信号FVとして外部端子P9を介して図1に示したスピードメータSMに出力される。
【0035】
以上、本実施の形態1の電動車両を用いると、モータ制御装置IC内にFV変換部FVCを設けることで、図20に示したような外付け部品となるフィルタ回路FILが不要となり、電動車両の部品数の低減またはコスト低減が実現可能となる。
【0036】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2による電動車両において、図1のモータ制御装置内のクルーズコントロール機能に関する詳細な構成例を示すブロック図である。図4に示すモータ制御装置ICは、図2の構成例に対して、クルーズコントロール部CRUSと、第2のPWMコンパレータ部PWMCMP2と、最大速度選択部MSELなどが加わったものとなっている。
【0037】
クルーズコントロール部CRUSは、レジスタREG2と、ディジタル−アナログ変換部DAC2と、コンパレータ部CMP1と、スイッチSW1〜SW3などによって構成される。SW3は、クルーズ信号CRSが入力された際に所定の期間オンとなり、これに伴い、REG2は、このCRSが入力された時点での前述したFV変換部FVC内のレジスタREG1の値をSW3を介してラッチする。このREG2でラッチされた値は、DAC2によってアナログ電圧に変換された後、CMP1の一方の入力となる。すなわち、このCMP1の一方の入力には、CRSが入力された時点の速度電圧信号FVが保持されることになる。CMP1の他方の入力は、前述したFVC内のDAC1の出力となる速度電圧信号FVである。
【0038】
また、SW1は、スロットル電圧THRTLと容量Cvの間を接続し、SW2は、CMP1の出力と容量Cvの間を接続する。SW1は、クルーズ信号CRSが入力された際にオンからオフに遷移し、SW2は、CRSが入力された際にオフからオンに遷移する。したがって、CRSが入力された際には、容量Cvに初期状態としてスロットル電圧THRTLが保持され、この保持電圧に対してCMP1からの比較結果に基づく充電または放電が行われる。具体的には、DAC2の出力電圧をクルーズ設定電圧信号V2とすると、DAC1の出力電圧となる速度電圧信号FVと比較して、V2>FVの場合(例えば路面状況等に応じて実際の回転速度がクルーズに伴う設定回転速度よりも遅くなった場合)は、容量Cvに対して充電が行われ、逆にV2<FVの場合は容量Cvに対して放電が行われる。この結果、容量Cvの電圧は、クルーズに伴う設定回転速度を常に維持できるような電圧値に収束することになる。
【0039】
容量Cvの電圧は、PWMCMP2の一方の入力となる。PWMCMP2の他方の入力は、三角波発振部PWMOSCが生成した三角波である。これにより、PWMCMP2は、容量Cvの電圧値に応じたPWM信号を生成する。言い換えれば、クルーズに伴う設定回転速度を維持するPWM信号を生成する。また、MSELは、このPWMCMP2からのPWM信号と、図2で述べたような、スロットル電圧THRTLに基づくPWMCMP1からのPWM信号とを受け、オンデューティが大きい方のPWM信号(つまりTHRTLと容量Cvの電圧の内いずれか大きい方の電圧に対応するPWM信号)を選択し、PWM制御部PWM_CTLに出力する。MSELは、具体的には例えば、THRTLと容量Cvの電圧とを比較する回路と、この比較結果に応じて選択を行うセレクタ回路などによって実現できる。PWM_CTLは、図2と同様の動作により、ドライバ部DRVおよびインバータ部IV_BKを介してモータ部MTを制御する。
【0040】
図5は、図4のクルーズコントロール機能の動作例を概念的に表す波形図である。図5には、実際にモータ部MTを制御する電圧(すなわちPWM制御部PWM_CTLに入力されるPWM信号に対応するPWM制御電圧)と、スロットル電圧THRTLと、クルーズ信号CRSが示されている。クルーズ信号CRSを作動させると、その時点のスロットル電圧THRTLに応じたPWM制御電圧でモータ部MTが制御される。その後、仮にスロットル電圧THRTLを下げた場合でも、最大速度選択部MSELによってPWMCMP2側のPWM信号が選択されるためPWM制御電圧のレベルはそのまま維持される。
【0041】
一方、仮にスロットル電圧THRTLを上げた場合は、最大速度選択部MSELによってPWMCMP1側のPWM信号が選択されるため、PWM制御電圧がこのスロットル電圧THRTLとなり、モータ部MTでは加速動作が行われる。クルーズ信号CRSが解除されると、スロットル電圧THRTLに基づく通常の動作に復帰する。なお、ブレーキ信号BRKNを作動させることでもクルーズコントロール機能は解除できる。
【0042】
以上、本実施の形態2の電動車両を用いると、モータ制御装置IC内にFV変換部FVCを設けることで、このFVCを利用して容易に又は効率的にクルーズコントロール機能が実現可能となる。また、これにより電動車両の高機能化が図れる。
【0043】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3による電動車両において、その構成の一例を示すブロック図である。図6に示す電動車両は、実施の形態2で述べた図4の構成例を変形した構成例となっており、モータ制御装置ICと、図4と同様のインバータ部IV_BKおよびモータ部MTを含んでいる。すなわち、図4のモータ制御装置ICは、アナログ信号に基づいてスロットル制御機能やクルーズコントロール機能を実現するものであったが、図6のモータ制御装置ICは、これらの機能をディジタル信号に基づいて実現するものである。これは、例えば、プロセッサ等による演算を主としてモータ部MTを制御したい場合に適している。
【0044】
図6のモータ制御装置ICは、スロットル電圧THRTLをディジタル信号に変換するアナログ−ディジタル変換部ADCと、クルーズコントロール部CRUSと、FV変換部FVCと、オンデューティ演算部ODCと、PWM制御部PWM_CTLと、ドライバ部DRVなどを含んでいる。FV変換部FVCは、図4等と同様に、クロック信号を生成するクロック生成部CGと、このクロック信号を用いてホールセンサからの信号の周期をカウントするカウンタ部CUNTと、このカウント値の逆数を演算し、その結果をラッチする逆数演算部RCALおよびレジスタREG1と、REG1の出力を変換するディジタル−アナログ変換部DAC1等で構成される。
【0045】
クルーズコントロール部CRUSは、レジスタREG3と、コンパレータ部CMP2と、加減算演算部PMCALと、スイッチSW4などで構成される。REG3は、クルーズ信号CRSをトリガとしてREG1の値をラッチする。CMP2は、REG1とREG3の値を比較し、その結果をPMCALに出力する。PMCALは、CMP2によるREG1とREG3の大小関係に応じて加算値または減算値を演算する。例えば、(REG3の値)>(REG1の値)の場合には加算となり、(REG3の値)<(REG1の値)場合には減算となり、その絶対値は|(REG3の値)−(REG1の値)|によって定められる。SW4は、CRSが作動した際にオフからオンに遷移し、PMCALからの加減算値は、このSW4を介してオンデューティ演算部ODCに出力される。
【0046】
オンデューティ演算部ODCは、ADCの出力となるディジタル値とCRUSの出力となるディジタル値を受け、これらのディジタル値の大きさに基づいてPWM信号のオン時間を演算する。例えば、CRUSの出力に関しては、CRSを作動させた時点でのADCからのディジタル値を基準として、CRUSからの加算値に応じて当該ディジタル値を増大させ、減算値に応じて当該ディジタル値を減少させるような演算を行う。また、図5の動作と同様に、この加減算が反映されたディジタル値とADCからのディジタル値とを比較し、いずれか大きい方のディジタル値に基づいてPWM信号のオン時間を設定する。PWM_CTLは、図4等で示したPWMコンパレータPWMCMPからのPWM信号の代わりに、このオンデューティ演算部ODCによってオン時間が設定されたPWM信号を用いて、ドライバ部DRVを介してモータ部MTを制御する。
【0047】
以上、本実施の形態3の電動車両を用いると、実施の形態2の場合と同様にモータ制御装置IC内にFV変換部FVCを設けることで、このFVCを利用して容易に又は効率的にクルーズコントロール機能が実現可能となる。また、これにより電動車両の高機能化が図れる。さらに、実施の形態2の場合と異なり、PWMコンパレータを備えないモータ制御装置を用いる場合でも、高機能化が実現可能となる。
【0048】
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4による電動車両において、図1のモータ制御装置内のペダル制御機能に関する詳細な構成例を示すブロック図である。図7に示すモータ制御装置ICは、スロットル制御機能とペダル制御機能を備えている。スロットル制御機能は、図2等と同様に、三角波発振部PWMOSCからの三角波とスロットル電圧THRTLとをPWMコンパレータ部PWMCMP1で比較し、その出力となるPWM信号を用いてモータ部MTを駆動することで実現される。
【0049】
一方、ペダル制御機能は、FV変換部FVC2とPWMコンパレータ部PWMCMP3を用いてPWM信号を生成し、このPWM信号でモータ部MTを駆動することで実現される。FV変換部FVC2は、クロック生成部CGと、分周回路NDIVと、カウンタ部CUNTと、逆数演算部RCALと、レジスタREG1と、ディジタル−アナログ変換部DAC1等で構成される。クロック生成部CGは、PWMOSCからの三角波を方形波に変換することでクロック信号を生成する。分周回路NDIVは、このクロック信号を分周してカウンタ部CUNTに出力する。
【0050】
カウンタ部CUNTは、このNDIVを介したクロック信号を用いて、外部端子P7を介して入力されたペダル信号PEDALの周期をカウントする。ペダル信号PEDALは、二輪車両本体BDのペダルに取り付けられたセンサから例えば図3で述べたホールセンサの場合と同様の信号形態で入力される。この場合、CUNTは、図示はしないが、図2の場合と同様に例えばエッジ検出部EDを用いてカウント動作を行う。CUNTの出力は、逆数演算部RCALによって周波数の大きさに変換され、この変換された値がREG1に取り込まれる。そして、REG1の値がDAC1によってアナログ電圧に変換され、このアナログ電圧がPWMCMP3の一方の入力となる。
【0051】
このように、FV変換部FVC2は、図2や図4に示したFV変換部FVCに対して分周回路NDIVが付加されたものとなっており、それ以外は図2や図4と同様の構成となっている。この分周回路NDIVは、図2や図4に示したようなモータ部MTの回転数を示すホールセンサからの信号の周波数と比較して、ペダル信号PEDALの周波数が非常に低いため、CUNTのカウント数を図2や図4におけるCUNTのカウント数と同等レベルに整合させるために設けている。
【0052】
PWMCMP3は、このDAC1の出力と、PWMOSCからの三角波を比較して、ペダルの回転数に応じたPWM信号を生成する。このPWMCMP3からのPWM信号と前述したスロットル電圧THRTLに基づくPWMCMP1からのPWM信号は、共に最大速度選択部MSEL1に入力される。MSEL1は、図4の場合と同様に、この2つのPWM信号の中からいずれかオンデューティが大きい方のPWM信号(つまりTHRTLとDAC1の出力電圧の内のいずれか大きい方に対応するPWM信号)を選択し、PWM制御部PWM_CTLに出力する。PWM_CTLは、図2と同様の動作により、ドライバ部DRVおよびインバータ部IV_BKを介してモータ部MTを制御する。これによって、スロットルかペダルのいずれかによって速度調整が可能となり、また、両方で行った場合にはいずれか速い方の速度が選択される。
【0053】
以上、本実施の形態4の電動車両を用いると、モータ制御装置IC内にFV変換部FVC2を設けることで、このFVC2を利用して容易に又は効率的にペダル制御機能が実現可能となる。また、これにより電動車両の高機能化が図れる。
【0054】
(実施の形態5)
図8は、本発明の実施の形態5による電動車両において、図1のモータ制御装置内のセキュリティ機能に関する詳細な構成例を示すブロック図である。図8に示すモータ制御装置ICは、前述したPWM制御部PWM_CTLの入力にスイッチSW5が設けられ、このSW5を介して例えばスロットル電圧THRTLに基づくPWMCMP1からのPWM信号が伝達される構成となっている。
【0055】
このSW5は、図1で述べたセキュリティ信号SCRTYを作動させた際に、オンからオフに遷移する。セキュリティ信号SCRTYは、例えば、二輪車両本体BDの鍵などに連動させることができる。このようにセキュリティ信号SCRTYによってSW5をオフにすることで、セキュリティ信号SCRTYを解除しない限りモータ部MTに動力を伝達させることができなくなる。
【0056】
また、セキュリティ信号SCRTYを作動させると、PWM制御部PWM_CTLは、ドライバ部DRVを介してインバータ部IV_BK内の電源電圧PVCC側のパワートランジスタTuh,Tvh,Twhをオフに固定し、接地電圧PGND側のパワートランジスタTul,Tvl,Twlをオンに固定する。これによって、モータ部MTのU相、V相、W相の各入力端子を接地電圧PGNDにショートさせることができるため、モータ部MTを回転困難な状態に保つことができる。すなわち、モータ部MTでは常にブレーキが作動している状態となるため、二輪車両本体BDを動かすことが困難となる。これらによって、盗難防止といったセキュリティ機能が容易に実現できる。
【0057】
以上、本実施の形態5の電動車両を用いることで、盗難防止といったセキュリティ機能を実現でき、電動車両の高機能化が図れる。
【0058】
(実施の形態6)
図9は、本発明の実施の形態6による電動車両において、図1のモータ制御装置内のE−ABS機能に関する詳細な構成例を示すブロック図である。図9のモータ制御装置ICは、外部端子P4を介してE−ABS信号EABSNが入力された際に、これに応じてPWM制御部PWM_CTLが、ドライブ部DRVを介してインバータ部IV_BKを制御する構成となっている。すなわち、PWM_CTLは、IV_BK内の電源電圧PVCC側のパワートランジスタTuh,Tvh,Twhをオフに駆動し、接地電圧PGND側のパワートランジスタTul,Tvl,Twlを同時に所定のPWM信号で駆動する。
【0059】
図10は、図9のモータ制御装置において、E−ABS機能の動作の一例を示す波形図である。図9に示すように、E−ABS信号EABSNが入力されると、所定のE−ABS設定電圧と三角波との比較によって所定のデューティ比のPWM信号が生成される。このPWM信号は、図示はしないがE−ABS設定電圧を生成する固定電圧生成部を設け、例えば、この電圧を、前述したスロットル電圧THRTLの代わりにPWMコンパレータ部PWMCMP1に入力したり、あるいは、別途設けたPWMコンパレータ部で三角波発振部PWMOSCからの三角波と比較させることなどで生成可能である。
【0060】
このようにして生成したPWM信号は、インバータ部IV_BK内の接地電圧PGND側のパワートランジスタTul,Tvl,Twlに同時に入力される。ここで、このPWM信号が‘H’レベルの期間では、モータ部MTのU相、V相、W相の入力ノードが接地電圧PGNDにショートされるためブレーキ動作が行われる。一方、PWM信号が‘H’レベルから‘L’レベルに遷移すると、その直後からモータ部MTのU相、V相、W相のノードに誘起電圧が生じる。この誘起電圧が電源電圧PVCCよりも高くなると、モータ部MTから、電源電圧PVCC側のパワートランジスタTuh,Tvh,Twhのボディダイオードを介してPVCCに向けた回生電流が流れ、この回生電流がバッテリBATに充電される。したがって、ブレーキ動作とバッテリBATへの充電動作を両立して行うことができ、バッテリBATの電力使用効率を高めることが可能となる。
【0061】
以上、本実施の形態6の電動車両を用いることで、ブレーキ動作と共にバッテリBATへの充電動作も行うE−ABS機能を実現でき、電動車両の高機能化が図れる。
【0062】
(実施の形態7)
図11は、本発明の実施の形態7による電動車両において、その構成の一例を示すブロック図である。図11に示す電動車両は、モータ制御装置ICが、これまでに述べたようなスロットル制御機能、クルーズコントロール機能、およびペダル制御機能に加えて過充電保護機能を備え、更に、PWM制御部PWM_CTLが、同期整流によるPWM制御機能を備えたことが主要な特徴となっている。
【0063】
モータ制御装置ICは、3個のPWMコンパレータ部PWMCMP1,PWMCMP2,PWMCMP3を含む。PWMCMP1の一方の入力は、スロットル電圧THRTLである。PWMCMP2の一方の入力は、クルーズ信号CRSに伴い図4に示したようなFV変換部FVCおよびクルーズコントロール部CRUSで生成されたPWM制御電圧である。PWMCMP3の一方の入力は、ペダル信号PEDALに伴い図7に示したようなFV変換部FVC2で生成されたPWM制御電圧である。図11では、このようなFVC、CRUS、FVC2をPWM制御電圧生成部PBKとして記載している。また、PWMCMP1〜PWMCMP3の他方の入力は、三角波発振部PWMOSCからの三角波である。
【0064】
PWMCMP1〜PWMCMP3から生成されるPWM信号は、図4等でも述べたような最大速度選択部MSEL2によって最大速度に該当するPWM信号が選択され、PWM制御部PWM_CTLに出力される。PWM_CTLは、この選択されたPWM信号を用いて、ドライバ部DRVを介してインバータ部IV_BKを制御する。また、モータ制御装置ICは、過充電保護部CPを含む。過充電保護部CPは、バッテリBATの電源電圧PVCCを抵抗R1,R2によって抵抗分割した電圧が外部端子P30を介して入力される。過充電保護部CPは、この外部端子P30からの電圧によってバッテリBATの電源電圧PVCCを監視し、PVCCが所定の値を超えた場合にPWM_CTLに過充電検出信号を出力する。
【0065】
図12は、図11のPWM制御部の動作例を示すものであり、(a)は通常動作時および過充電保護時の動作シーケンス図であり、(b)は(a)の補足図である。図12に示すように、PWM制御部PWM_CTLは、通常動作時、モータ部MTのホールセンサからの位置検出信号HU,HV,HWに応じて、例えばS11〜S16のシーケンスを実行する。例えば、S12では、パワートランジスタTuh、Tvh、Twhが、それぞれ、‘H’、‘L’、同期整流用パルス信号で駆動され、パワートランジスタTul、Tvl、Twlが、それぞれ、‘L’、‘L’、PWM信号で駆動される。この場合、電流が、モータ部MTのU相とW相の間で流れる。
【0066】
なお、図12(b)に示すように、同期整流用パルス信号は、PWM信号の逆相の信号である。また、他のシーケンスS11,S13〜S16においても同様に、パワートランジスタTuh、Tvh、Twh,Tul、Tvl、Twlのいずれか3つが、それぞれ、‘H’、PWM信号、同期整流用パルス信号で駆動され、残りの3つが‘L’で駆動される。
【0067】
一方、PWM制御部PWM_CTLは、過充電保護部CPから過充電検出信号を受けた場合に、S11〜S16とは異なるシーケンスS21〜S26を実行する。S21〜S26は、S11〜S16にそれぞれ対応しており、S11〜S16内の同期整流用パルス信号を‘L’に変更したシーケンスとなっている。例えば、S22では、パワートランジスタTuh、Tvh、Twhが、それぞれ、‘H’、‘L’、‘L’で駆動され、パワートランジスタTul、Tvl、Twlが、それぞれ、‘L’、‘L’、PWM信号で駆動される。
【0068】
図13は、図12の各シーケンスの一つを例にインバータ部の詳細動作を示す説明図であり、(a)はモータ部の誘起電圧が小さい場合の動作例、(b)はモータ部の誘起電圧が大きい場合の動作例である。図13(a),(b)は、図12のシーケンスS12に対応するインバータ部IV_BKの動作例を示している。図13(a)は、モータ部MTの誘起電圧Vemfと電源電圧PVCCの関係がPVCC>Vemfの場合である。この場合において、PWM信号が‘H’レベルの期間では、パワートランジスタTuh,Twlがオンとなり、Tuh→MT→Twlの経路で電流が流れる。
【0069】
一方、PWM信号が‘L’レベルの期間では、同期整流用パルス信号に伴いパワートランジスタTuh,Twhがオンとなり、Tuh→MT→Twhの経路で電流が流れる。なお、この場合は、PVCC>{Vemf+PVCC×(Twhのオンデューティ)}の関係となる。このように、同期整流用パルス信号を用いてTwhをオンに駆動することで、Twhと並列接続されたボディダイオードを介して電流を流す場合と比べて電力損失が小さくなり、バッテリBATの電力使用効率を高めることが可能となる。
【0070】
図13(b)は、PVCC<Vemfの場合である。この条件は、例えば下り坂などでモータ部MTに外力が加わった場合などで発生する。この場合において、PWM信号が‘H’レベルの期間では、Tuh,Twlがオンとなり、図13(a)の場合とは逆に、Twl→MT→Tuhの経路で回生電流が流れる。一方、PWM信号が‘L’レベルの期間では、同期整流用パルス信号に伴いTuh,Twhがオンとなり、図13(a)の場合とは逆に、Twh→MT→Tuhの経路で回生電流が流れる。なお、この場合は、PVCC<{Vemf+PVCC×(Twhのオンデューティ)}の関係となる。
【0071】
ここで、このPWM信号が‘L’レベルの期間において、仮に同期整流用パルス信号を用いずにTwhを常にオフ状態とした場合には、Twlに並列接続されたボディダイオード→MT→Tuhの経路で回生電流が流れることになるが、この場合、ボディダイオードにおいて電力損失が発生する。一方、同期整流用パルス信号を用いるとTwhを通る経路で回生電流を流せるため電力損失が小さくなり、また、Twhを介してモータ部MTの一端のノード電圧を{PVCC×(Twhのオンデューティ)}分持ち上げることができるため、より回生電流が発生し易くなる。これにより、バッテリBATに対する充電効率を高めることが可能となる。
【0072】
以上のような回生電流または実施の形態6で述べたようなE−ABS機能に伴う回生電流によって、バッテリBATに充電を行うことができる。ただし、バッテリBATが過剰に充電されると、各種部品が破損する恐れがあるため、これを防止する必要がある。そこで、過充電保護部CPが過充電検出信号を発生した場合、図12で述べたように、PWM制御部PWM_CTLが同期整流用パルス信号を停止することで、前述したようなボディダイオードの電力損失等を利用して充電効率を低下させる。そして、これによってバッテリBATに対する過剰な充電を保護する。
【0073】
また、過充電保護部CPは、例えばスロットル電圧THRTLを監視することでPWM信号のオンデューティが小さくなる場合を検出し、この場合に過充電検出信号を出力する。すなわち、PWM信号のオンデューティが例えば20%未満程度に小さくなると、同期整流用パルス信号のオンデューティが過大となり、これに伴い、部品に破損が生じたり、モータ部MTの制動を調整できないような事態が生じ得る。そこで、このような場合に、過充電保護部CPは、過充電検出信号を出力することで、同期整流用パルス信号を停止させ、前述したような不具合を回避する。
【0074】
以上、本実施の形態7の電動車両を用いると、同期整流用パルス信号によってバッテリへの充電効率を高めることができ、電動車両の高機能化が図れる。また、過充電保護機能によって信頼性の確保も可能となる。
【0075】
(実施の形態8)
図14は、本発明の実施の形態8による電動車両において、図1のモータ制御装置内の駆動電流制限機能に関する基本概念を示す説明図である。図15は、本発明の実施の形態8による電動車両において、図1のモータ制御装置内の駆動電流制限機能に関する詳細な構成例を示すブロック図である。
【0076】
一般的に、モータ部MTのトルクを上げるためには、駆動電流を増加させればよいが、駆動電流が過大になると、インバータ部IV_BKのパワートランジスタが破損する恐れがあるため、これを保護する必要がある。そこで、通常、図15に示すように、インバータ部IV_BKに電流検出用の抵抗Rdを設け、この抵抗Rdに発生する電圧が所定値を超えないように駆動電流の制限が行われる。
【0077】
図14には、X軸をオンデューティ(%)、Y軸を駆動電流(A)とした関係図が示されている。A線は、オンデューティが100%時の電流リミット値を起点としたAC電流を表す線であり、「電流リミット値/オンデューティ」を示す線である。B線は、モータ部MTに流す事のできる理論的最大電流であり、「(電源電圧/モータ抵抗)×オンデューティ」の線となる。
【0078】
ここで、従来においては、C線に示すように、オンデューティが100%時の電流リミット値を、オンデューティの比率に関わらず固定の電流リミット値としている。したがって、従来においては、本来、A線とB線が交わるレベルまで電流を流す事ができるにもかかわらず電流を過剰に制限することになっていた。そこで、本実施の形態では、D線に示すように、オンデューティが減少するにつれて電流リミット値を増加させる機能を実現する。これによって、従来では領域Bの範囲でしか流す事ができなかった電流が、領域A+領域Bの範囲まで流せるようになり、インバータ部IV_BKを保護した上で、よりモータトルクが上げられるようになる。
【0079】
このような機能を実現するため、図15に示すモータ制御装置ICは、過電流検出部ILMTを備える。ILMTは、三角波発振部PWMOSCからの三角波を反転および増幅(又は減衰)するアンプ部AMPと、AMPの出力の直流レベルを調整するレベルシフト部LSと、LSの出力を一方の入力とするコンパレータ部CMP3を含んでいる。CMP3の他方の入力には、IV_BK内の電流検出用の抵抗Rdから外部端子P22を介して入力された電圧が印加される。また、CMP3は、P22からの入力電圧がLSの出力電圧を超えた場合に過電流検出信号をPWM制御部PWM_CTLに出力する。
【0080】
図16は、図15のモータ制御装置の動作例を示すものであり、(a)はその比較対象として従来構成を用いた場合の動作例を示す波形図、(b)は図15の構成を用いた場合の動作例を示す波形図である。まず、従来においては、図16(a)に示すように、電流リミット値に該当するリミット電圧が固定となっており、電流検出用の抵抗Rdによって検出した電圧がこのリミット電圧を超えた場合に、PWM制御部PWM_CTLがPWM信号を‘L’に遷移させる構成となっていた。具体的には、例えば、図15におけるコンパレータ部CMP3の一端が固定電圧であるような回路構成となっている。
【0081】
一方、本実施の形態においては、図16(b)に示すように、電流リミット値に該当するリミット電圧が、PWM信号の各サイクル毎に時間の経過とともに減少するように変動し、電流検出用の抵抗Rdによって検出した電圧がこのリミット電圧を超えた場合に、PWM制御部PWM_CTLがPWM信号を‘L’に遷移させる構成となっている。このようなリミット電圧の波形は、図15に示したように、PWMOSCからの三角波を反転され、その振幅レベルをアンプ部AMPによって調整し、更に直流レベルをレベルシフト部LSによって調整することで実現可能である。これによって、図16(b)に示すように、インバータ部IV_BKを保護した上で、図16(a)の場合よりも更にオンデューティを増加させることができ、これに伴う電流によってモータトルクを限界まで引き出すことが可能となる。
【0082】
以上、本実施の形態8の電動車両を用いると、駆動電流制限機能によってインバータ部の保護と、従来に比べてモータトルクの限界値の向上が可能となり、電動車両の高機能化が図れる。
【0083】
(実施の形態9)
図17は、本発明の実施の形態9による電動車両において、図1のモータ制御装置内の駆動電流制限機能に関する詳細な構成例を示すブロック図であり、当該機能を図15と異なる構成で実現するものである。すなわち、図15のモータ制御装置ICは、アナログ信号に基づいて駆動電流制限機能を実現するものであったが、図17のモータ制御装置ICは、前述した図6の場合と同様に、この機能をディジタル信号に基づいて実現するものである。これは、例えば、プロセッサ等による演算を主としてモータ部MTを制御したい場合に適している。
【0084】
図17に示すモータ制御装置ICは、オンデューティ演算部ODCおよびアナログ−ディジタル変換部ADC,ADC1を含み、前述した抵抗Rdの電圧が外部端子P22およびADC1を介してODCに入力され、例えばスロットル電圧THRTLがADCを介してODCに入力される構成となっている。ここで、ODCは、例えば、オンデューティのディジタル値(D)とこの値に対応する電流リミット値のディジタル値(I)との関係式等を保持している。この関係式は、例えば、(D)の増加に伴い(I)が減少するような式である。
【0085】
そして、例えば、外部端子P22からADC1を介してディジタル値I1が入力された際に、ODCは、それを当該関係式の(I)に代入してオンデューティのディジタル値D1を算出する。一方、ADCからはスロットル電圧THRTLに対応するオンデューティのディジタル値D2が入力されており、ODCは、このD1とD2を比較して、D2>D1の場合にはD1をオンデューティとするPWM信号を生成し、D2<D1の場合にはD2をオンデューティとするPWM信号を生成する。
【0086】
以上、本実施の形態9の電動車両を用いると、駆動電流制限機能によってインバータ部の保護と、従来に比べてモータトルクの限界値の向上が可能となり、電動車両の高機能化が図れる。さらに、実施の形態8の場合と異なり、PWMコンパレータを備えないモータ制御装置を用いる場合でも、高機能化が実現可能となる。
【0087】
(実施の形態10)
図18は、本発明の実施の形態10による電動車両において、図15の変形例を示すブロック図である。図18に示すモータ制御装置ICは、図15に示した過電流検出部ILMT内において、更に、マスク制御部MCとスイッチSW6が加わったものとなっている。マスク制御部MCは、三角波発振部PWMOSCからの三角波と、レベルシフト部LSからの出力とを受けて、PWMOSCからの三角波の立ち下がりの期間と、LSからの出力の立ち上がりの期間とでマスク信号を出力する。SW6は、コンパレータ部CMP3の出力とPWM制御部PWM_CTLの間に設けられ、マスク制御部MCからのマスク信号を受けた期間でオフに駆動される。
【0088】
図19は、図18のモータ制御装置の動作例を示す波形図である。図19に示すように、PWN信号が‘H’レベルに遷移した瞬間、インバータ部IV_BKでのパワートランジスタのスイッチングによってスパイク電流が発生することがある。電流検出用の抵抗Rdは、このスパイク電流に伴ってスパイク電圧を発生し、このスパイク電圧は、通常、過電流検出部ILMTでのリミット電圧を超えるレベルまで上昇する。しかしながら、これに伴ってILMTが過電流検出信号を出力してしまうと、PWM制御部PWM_CTLにおいて誤動作が生じてしまう恐れがある。
【0089】
そこで、マスク制御部MCによって、PWMOSCからの三角波の立ち下がりの期間と、LSからの出力(電流リミット波形)の立ち上がりの期間とでマスク信号を出力し、この期間でSW6をオフに駆動することで、このスパイク電圧に伴って生じ得る過電流検出信号を無効にすることが可能となる。このように、本実施の形態10の電動車両を用いると、駆動電流制限機能の信頼性を向上させることが可能となり、電動車両の高機能化が図れる。
【0090】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本実施の形態によるモータ制御装置および電動車両は、特に、エレクトリックバイクで用いられるモータ制御装置および電動車両に適用して有益な技術であり、これに限らず、モータ制御装置およびそれを搭載した電動車両全般に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態1による電動車両において、その機能概要の一例を示すブロック図である。
【図2】図1の電動車両において、そのモータ制御装置内のFV変換部およびスロットル制御機能に関する詳細な構成例を示すブロック図である。
【図3】図2のFV変換部の動作の一例を示す波形図である。
【図4】本発明の実施の形態2による電動車両において、図1のモータ制御装置内のクルーズコントロール機能に関する詳細な構成例を示すブロック図である。
【図5】図4のクルーズコントロール機能の動作例を概念的に表す波形図である。
【図6】本発明の実施の形態3による電動車両において、その構成の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態4による電動車両において、図1のモータ制御装置内のペダル制御機能に関する詳細な構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態5による電動車両において、図1のモータ制御装置内のセキュリティ機能に関する詳細な構成例を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態6による電動車両において、図1のモータ制御装置内のE−ABS機能に関する詳細な構成例を示すブロック図である。
【図10】図9のモータ制御装置において、E−ABS機能の動作の一例を示す波形図である。
【図11】本発明の実施の形態7による電動車両において、その構成の一例を示すブロック図である。
【図12】図11のPWM制御部の動作例を示すものであり、(a)は通常動作時および過充電保護時の動作シーケンス図であり、(b)は(a)の補足図である。
【図13】図12の各シーケンスの一つを例にインバータ部の回路動作を示す説明図であり、(a)はモータ部の誘起電圧が小さい場合の動作例、(b)はモータ部の誘起電圧が大きい場合の動作例である。
【図14】本発明の実施の形態8による電動車両において、図1のモータ制御装置内の駆動電流制限機能に関する基本概念を示す説明図である。
【図15】本発明の実施の形態8による電動車両において、図1のモータ制御装置内の駆動電流制限機能に関する詳細な構成例を示すブロック図である。
【図16】図15のモータ制御装置の動作例を示すものであり、(a)はその比較対象として従来構成を用いた場合の動作例を示す波形図、(b)は図15の構成を用いた場合の動作例を示す波形図である。
【図17】本発明の実施の形態9による電動車両において、図1のモータ制御装置内の駆動電流制限機能に関する詳細な構成例を示すブロック図である。
【図18】本発明の実施の形態10による電動車両において、図15の変形例を示すブロック図である。
【図19】図18のモータ制御装置の動作例を示す波形図である。
【図20】本発明の前提として検討した電動車両において、それに用いられるモータ制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図21】図20のモータ制御装置におけるPWM信号の一例を示す波形図であり、(a)はスロットル電圧が高い場合、(b)はスロットル電圧が低い場合を示すものである。
【符号の説明】
【0093】
PWMCMP PWMコンパレータ部
PWMOSC 三角波発振部
CRUS クルーズコントロール部
TMNI サーマル監視部
HALL_AMP ホールアンプ部
DRV ドライバ部
ILMT 過電流検出部
CTL 全体制御部
FVC FV変換部
IC モータ制御装置
IV_BK インバータ部
T パワートランジスタ
MT モータ部
BD 二輪車両本体
SM スピードメータ
BAT バッテリ
C 容量
R 抵抗
P 外部端子
PWM_CTL PWM制御部
CG クロック生成部
CUNT カウンタ部
RCAL 逆数演算部
REG レジスタ
DAC ディジタル−アナログ変換部
ED エッジ検出部
MSEL 最大速度選択部
CMP コンパレータ部
SW スイッチ
PMCAL 加減算演算部
ODC オンデューティ演算部
ADC アナログ−ディジタル変換部
NDIV 分周回路
PBK PWM制御電圧生成部
CP 過充電保護部
FIL フィルタ回路
MV ワンショットマルチバイブレータ
AMP アンプ部
LS レベルシフト部
MC マスク制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットル電圧が入力される第1外部端子と、
モータ部に設けられたセンサから、前記モータ部の回転速度に応じたクロック周波数を持つセンサ検出信号が入力される第2外部端子と、
前記スロットル電圧に応じたデューティ比を持つ第1PWM信号を生成するスロットル制御部と、
前記第1PWM信号を用いて、前記モータ部に接続されるインバータ部を所定の動作シーケンスで制御するPWM制御部と、
前記センサ検出信号を受けて、前記センサ検出信号のクロック周波数に比例した電圧値を持つ速度電圧信号を生成するFV変換部と、
前記速度電圧信号を出力する第3外部端子とを有することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
請求項1記載のモータ制御装置において、さらに、
クルーズ信号が入力される第4外部端子と、
前記クルーズ信号が入力された時点での前記FV変換部の前記速度電圧信号をクルーズ設定電圧信号として保持し、前記モータ部の実際の回転速度に対応する前記速度電圧信号と前記クルーズ設定電圧信号とを比較し、この比較結果に応じてデューティ比が調整された第2PWM信号を生成するクルーズ制御部とを備え、
前記PWM制御部は、前記第2PWM信号を用いて、前記モータ部に接続されたインバータ部を所定の動作シーケンスで制御することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項3】
請求項2記載のモータ制御装置において、
さらに、前記第1PWM信号と前記第2PWM信号が入力され、前記モータ部の回転速度をより速くする側のPWM信号を選択して出力する最大速度選択部を備え、
前記PWM制御部は、前記最大速度選択部で選択されたPWM信号を用いて、前記モータ部に接続されたインバータ部を所定の動作シーケンスで制御することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項4】
請求項1記載のモータ制御装置において、さらに、
ペダルの回転速度に応じたクロック周波数を持つペダル信号が入力される第5外部端子と、
ペダル制御部とを備え、
前記FV変換部は、さらに、前記ペダル信号を受けて、前記ペダル信号のクロック周波数に比例した電圧値を持つペダル速度電圧信号を生成し、
前記ペダル制御部は、前記ペダル速度電圧信号の電圧値に応じたデューティ比を持つ第3PWM信号を生成し、
前記PWM制御部は、前記第3PWM信号を用いて、前記モータ部に接続されたインバータ部を所定の動作シーケンスで制御することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項5】
請求項1記載のモータ制御装置において、さらに、
クルーズ信号が入力される第4外部端子と、
ペダルの回転速度に応じたクロック周波数を持つペダル信号が入力される第5外部端子と、
クルーズ制御部と、
ペダル制御部と、
最大速度選択部とを備え、
前記クルーズ制御部は、前記クルーズ信号が入力された時点での前記FV変換部の前記速度電圧信号をクルーズ設定電圧信号として保持し、前記モータ部の実際の回転速度に対応する前記速度電圧信号と前記クルーズ設定電圧信号とを比較し、この比較結果に応じてデューティ比が調整された第2PWM信号を生成し、
前記FV変換部は、さらに、前記ペダル信号を受けて、前記ペダル信号のクロック周波数の高さに比例した電圧値を持つペダル速度電圧信号を生成し、
前記ペダル制御部は、前記ペダル速度電圧信号の電圧値に応じたデューティ比を持つ第3PWM信号を生成し、
前記最大速度選択部は、前記第1PWM信号と前記第2PWM信号と前記第3PWM信号とを入力として、前記モータ部の回転速度をより速くする側のPWM信号を選択して出力し、
前記PWM制御部は、前記最大速度選択部で選択されたPWM信号を用いて、前記モータ部に接続されたインバータ部を所定の動作シーケンスで制御することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項6】
スロットル電圧が入力される第1外部端子と
モータ部に設けられたセンサから、前記モータ部の回転速度に応じたクロック周波数を持つセンサ検出信号が入力される第2外部端子と、
三角波を生成する三角波発振部と、
前記三角波発振部からの三角波と前記スロットル電圧とを比較して第1PWM信号を生成する第1PWMコンパレータ部と、
前記第1PWM信号を用いて、前記モータ部に接続されたインバータ部を所定の動作シーケンスで制御するPWM制御部と、
前記センサ検出信号を受けて、前記センサ検出信号のクロック周波数の高さに比例した電圧値を持つ速度電圧信号を生成するFV変換部と、
前記速度電圧信号を出力する第3外部端子とを備え、
前記FV変換部は、
前記三角波を用いて方形波の基準クロック信号を生成するクロック生成部と、
前記センサ検出信号のクロック周期の長さを前記基準クロック信号のカウント値によって算出するカウンタ部と、
前記カウンタ部のカウント値に対して逆数を演算する逆数演算部と、
前記逆数演算部の出力をラッチする第1レジスタと、
前記第1レジスタの値をアナログ電圧に変換することで前記速度電圧信号を生成する第1ディジタル・アナログ変換部とを有することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項7】
請求項6記載のモータ制御装置において、さらに、
クルーズ信号が入力される第4外部端子と、
クルーズ制御部と、
最大速度選択部と、
第2PWMコンパレータ部とを備え、
前記クルーズ制御部は、
前記クルーズ信号が入力された時点での前記FV変換部の前記第1レジスタの値をラッチする第2レジスタと、
前記第2レジスタの値をアナログ電圧に変換する第2ディジタル・アナログ変換部と、
容量が接続される第1ノードと、
前記クルーズ信号が入力された時点での前記スロットル電圧を前記第1ノードに保持するための第1スイッチと、
前記第2ディジタル・アナログ変換部の出力電圧と前記第1ディジタル・アナログ変換部の出力電圧とを比較し、この比較結果に応じて前記第1ノードに対して充放電を行うコンパレータ部とを有し、
前記第2PWMコンパレータ部は、前記第1ノードの電圧と前記三角波とを比較して第2PWM信号を生成し、
前記最大速度選択部は、前記第1PWM信号と前記第2PWM信号とを入力として、前記モータ部の回転速度をより速くする側のPWM信号を選択して出力し、
前記PWM制御部は、前記最大速度選択部で選択されたPWM信号を用いて、前記モータ部に接続されたインバータ部を所定の動作シーケンスで制御することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項8】
車輪を含む車両本体と、
前記車両本体に搭載されたバッテリと、
前記車両本体に搭載され、前記車輪を回転させるモータ部と、
前記モータ部に搭載され、前記モータ部の回転位置および回転速度に応じて所定のクロック周波数を持つセンサ検出信号を生成するセンサと、
前記車両本体に搭載され、スロットル電圧を生成し、前記スロットル電圧の大きさによって前記車両本体の走行スピードを指示するスロットル機構と、
前記車両本体に搭載され、前記車両本体の走行スピードを表示するスピードメータと、
前記モータ部に接続され、複数のパワートランジスタを介して前記モータ部に電流を供給するインバータ部と、
前記インバータ部の複数のパワートランジスタのオン・オフを制御し、1個の半導体チップによって形成されたモータ制御装置とを備え、
前記モータ制御装置は、
前記スロットル電圧が入力される第1外部端子と、
前記センサ検出信号が入力される第2外部端子と、
前記スロットル電圧に応じたデューティ比を持つ第1PWM信号を生成するスロットル制御部と、
前記第1PWM信号を用いて、前記インバータ部の複数のパワートランジスタのオン・オフを所定の動作シーケンスで制御するPWM制御部と、
前記センサ検出信号を受けて、前記センサ検出信号のクロック周波数に比例した電圧値を持つ速度電圧信号を生成するFV変換部と、
前記速度電圧信号を前記スピードメータに出力する第3外部端子とを有することを特徴とする電動車両。
【請求項9】
請求項8記載の電動車両において、
さらに、前記車両本体に搭載され、前記車両本体の走行スピードを一定に保つ指示を受けた際にクルーズ信号を生成するクルーズスイッチ機構を備え、
前記モータ制御装置は、さらに、
前記クルーズ信号が入力される第4外部端子と、
前記クルーズ信号が入力された時点での前記FV変換部の前記速度電圧信号をクルーズ設定電圧信号として保持し、前記モータ部の実際の回転速度に対応する前記速度電圧信号と前記クルーズ設定電圧信号とを比較し、この比較結果に応じてデューティ比が調整された第2PWM信号を生成するクルーズ制御部とを備え、
前記PWM制御部は、前記第2PWM信号を用いて、前記インバータ部の複数のパワートランジスタのオン・オフを所定の動作シーケンスで制御することを特徴とする電動車両。
【請求項10】
請求項9記載の電動車両において、
前記モータ制御装置は、さらに、前記第1PWM信号と前記第2PWM信号が入力され、前記モータ部の回転速度をより速くする側のPWM信号を選択して出力する最大速度選択部を備え、
前記PWM制御部は、前記最大速度選択部で選択されたPWM信号を用いて、前記インバータ部の複数のパワートランジスタのオン・オフを所定の動作シーケンスで制御することを特徴とする電動車両。
【請求項11】
請求項8記載の電動車両において、
さらに、前記車両本体に搭載され、自身の回転速度に応じたクロック周波数を持つペダル信号を出力するペダル機構を備え、
前記モータ制御装置は、さらに、
前記ペダル信号が入力される第5外部端子と、
ペダル制御部とを備え、
前記FV変換部は、さらに、前記ペダル信号を受けて、前記ペダル信号のクロック周波数に比例した電圧値を持つペダル速度電圧信号を生成し、
前記ペダル制御部は、前記ペダル速度電圧信号の電圧値に応じたデューティ比を持つ第3PWM信号を生成し、
前記PWM制御部は、前記第3PWM信号を用いて、前記インバータ部の複数のパワートランジスタのオン・オフを所定の動作シーケンスで制御することを特徴とする電動車両。
【請求項12】
請求項8記載の電動車両において、さらに、
前記車両本体に搭載され、前記車両本体の走行スピードを一定に保つ指示を受けた際にクルーズ信号を生成するクルーズスイッチ機構と、
前記車両本体に搭載され、自身の回転速度に応じたクロック周波数を持つペダル信号を出力するペダル機構とを備え、
前記モータ制御装置は、さらに、
前記クルーズ信号が入力される第4外部端子と、
前記ペダル信号が入力される第5外部端子と、
クルーズ制御部と、
ペダル制御部と、
最大速度選択部とを備え、
前記クルーズ制御部は、前記クルーズ信号が入力された時点での前記FV変換部の前記速度電圧信号をクルーズ設定電圧信号として保持し、前記モータ部の実際の回転速度に対応する前記速度電圧信号と前記クルーズ設定電圧信号とを比較し、この比較結果に応じてデューティ比が調整された第2PWM信号を生成し、
前記FV変換部は、さらに、前記ペダル信号を受けて、前記ペダル信号のクロック周波数の高さに比例した電圧値を持つペダル速度電圧信号を生成し、
前記ペダル制御部は、前記ペダル速度電圧信号の電圧値に応じたデューティ比を持つ第3PWM信号を生成し、
前記最大速度選択部は、前記第1PWM信号と前記第2PWM信号と前記第3PWM信号とを入力として、前記モータ部の回転速度をより速くする側のPWM信号を選択して出力し、
前記PWM制御部は、前記最大速度選択部で選択されたPWM信号を用いて、前記インバータ部の複数のパワートランジスタのオン・オフを所定の動作シーケンスで制御することを特徴とする電動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−83710(P2009−83710A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257635(P2007−257635)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】