説明

モータ起動用回路

【課題】安価なトライアックが用いられたとしても、正常に動作することができるモータ起動用回路を提供することである。
【解決手段】200V以上220V以下の交流電圧の供給を受けて、起動時に動作する補助コイル12b及び定常時に動作する主コイル12aを含むモータ12を起動させるモータ起動用回路1。サーミスタ20は、補助コイル12bに直列に接続されている。トライアック24は、補助コイル12b及びサーミスタ20に直列に接続されている。サーミスタ22は、トライアック24のゲートに接続され、かつ、サーミスタ20に対して並列に接続されており、1.5mm3以上10mm3以下の体積を有する直方体状をなすサーミスタ素体を含み、かつ、25℃において、800Ω以上3000Ω以下の抵抗値を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ起動用回路に関し、より特定的には、起動時に動作する補助コイル及び定常時に動作する主コイルを含むモータを起動させるモータ起動用回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモータ起動用回路としては、例えば、特許文献1に記載の単相誘導モータの起動回路が知られている。図18は、特許文献1に記載の単相誘導モータの起動回路500の回路図である。
【0003】
起動回路500は、モータ501、モータ起動用正特性サーミスタ(以下、単に正特性サーミスタと称す)504、スイッチ505、電源506、トライアック507及びトライアック制御用正特性サーミスタ(以下、単に正特性サーミスタと称す)508を備えている。
【0004】
モータ501は、起動時に動作する補助コイル502及び定常回転駆動を行う主コイル503を含んでいる。正特性サーミスタ504及びトライアック507は、補助コイル502に直列に接続されている。正特性サーミスタ508は、正特性サーミスタ504に並列に接続されていると共に、トライアックのゲート端子Gに接続されている。また、モータ501には、スイッチ505を介して、電源506が接続されている。
【0005】
スイッチ505を閉じて電源506の電力をモータ501に供給すると、モータ501の起動の初期には、正特性サーミスタ504を介して、比較的大きな電流が補助コイル502に流れ、モータ501を起動させる。このような単相誘導モータの起動回路500では、起動時においてモータ501の電源506の電力が供給されると、トライアック507のゲート端子Gに正特性サーミスタ508を通じてゲート信号が印加されることによりトライアック507が通電され、正特性サーミスタ504を介して補助コイル502にモータ起動用電流が流れる。そして、モータ501の起動が完了した一定時間後には、正特性サーミスタ504が、その自己発熱に基づく抵抗値の上昇により、補助コイル502に流れる電流を小さくするとともに、正特性サーミスタ508が、その自己発熱に基づく抵抗値の上昇により、トライアック507のゲート端子Gに加わる電流を小さくし、トライアック507をオフ状態とする。
【0006】
以上のような特許文献1には、第1の実施例として、電源電圧が220Vであり、使用温度が−10℃の時にオンするゲート電流が20mAであるトライアック507が記載されている。また、正特性サーミスタ508に関して、直径が2.5mm、厚みが2.5mm、体積が12.3mm3であること、及び、−10℃の抵抗値が11kΩであることが記載されている。また、特許文献1には、第2の実施例として、電源電圧が100Vであり、使用温度が−10℃の時にオンするゲート電流が30mAであるトライアック507が記載されている。また、正特性サーミスタ508に関して、直径が2.5mm、厚みが2.5mm、体積が12.3mm3であること、及び、−10℃の抵抗値が3.3kΩであることが記載されている。
【0007】
ところで、特許文献1に記載の単相誘導モータの起動回路500は、以下に説明するように、安価なトライアックが用いられた場合に、正常に動作できないおそれがある。より詳細には、安価なトライアックでは、トライアックが導通するゲート電流が大きく、トライアックが遮断するゲート電流が小さい。一例としては、トライアックが導通するゲート電流が40mA以上であり、トライアックが遮断するゲート電流が3mA以下である。このような安価なトライアックが特許文献1に記載の単層誘導モータの起動回路500に用いられた場合には、トライアック507に十分に大きなゲート電流が流れずに、トライアック507が導通しないおそれがある。同様に、トライアック507に十分に小さなゲート電流が流れずに、トライアック507が遮断しないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−60992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、安価なトライアックが用いられたとしても、正常に動作することができるモータ起動用回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態に係るモータ起動用回路は、200V以上220V以下の交流電圧の供給を受けて、起動時に動作する補助コイル及び定常時に動作する主コイルを含むモータを起動させるモータ起動用回路であって、前記補助コイルに直列に接続されている第1の正特性サーミスタと、前記補助コイル及び前記第1の正特性サーミスタに直列に接続されているトライアックと、前記トライアックのゲートに接続され、かつ、前記第1の正特性サーミスタに対して並列に接続されている第2の正特性サーミスタであって、1.5mm3以上10mm3以下の体積を有する直方体状をなすサーミスタ素体を含み、かつ、25℃において、800Ω以上3000Ω以下の抵抗値を有している第2の正特性サーミスタと、を備えていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、安価なトライアックが用いられたとしても、正常に動作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】サーミスタ装置を含むモータ起動用回路の等価回路図である。
【図2】サーミスタ装置の外観斜視図である。
【図3】サーミスタ装置の分解斜視図である。
【図4】サーミスタ装置内部を平面視した図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るサーミスタの構成図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るサーミスタの構成図である。
【図7】端子電極及びサーミスタを平面視した図である。
【図8】サーミスタ近傍の断面構造図である。
【図9】800Ωの抵抗値を有するサーミスタにおいて、定常時にサーミスタに流れるゲート電流の電流値とサーミスタ素体の体積との関係を示したグラフである。
【図10】3000Ωの抵抗値を有するサーミスタにおいて、スイッチが導通されてからトライアックが遮断するまでの時間(遮断時間)とサーミスタ素体の体積との関係を示したグラフである。
【図11】サーミスタ素体の体積が10mm3である場合において、定常時にサーミスタに流れるゲート電流の電流値とA1/A2との関係を示したグラフである。
【図12】サーミスタ素体の体積が1.5mm3である場合において、スイッチが導通されてからトライアックが遮断するまでの時間(遮断時間)とA1/A2との関係を示したグラフである。
【図13】サーミスタの抵抗値とサーミスタの温度との関係を示したグラフである。
【図14】変形例に係るサーミスタ装置の分解斜視図である。
【図15】変形例に係るサーミスタ装置内部を平面視した図である。
【図16】変形例に係るサーミスタ装置のサーミスタ近傍の断面構造図である。
【図17】その他の実施形態に係るサーミスタの接触部を示した図である。
【図18】特許文献1に記載の単相誘導モータの起動回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一形態に係るモータ起動用回路について図面を参照しながら説明する。
【0014】
(モータ起動用回路の構成)
まず、モータ起動用回路の回路構成について説明する。図1は、モータ起動用回路1の等価回路図である。
【0015】
モータ起動用回路1は、冷蔵庫のコンプレッサに使用されるモータの起動用回路であり、より詳細には、交流電源から200V又は220Vの交流電圧の供給を受けて、モータを起動する回路である。モータ起動用回路1は、サーミスタ装置10、モータ12、スイッチ16及びコンデンサ18を備えている。
【0016】
モータ12は、主コイル12a及び補助コイル12bを含んでいる。また、サーミスタ装置10は、サーミスタ20,22、トライアック24及び外部端子26a,28a,28bを備えている。
【0017】
主コイル12aは、定常時に動作し、交流電源14と外部端子28aとの間に接続されている。補助コイル12bは、起動時に動作し、交流電源14と外部端子26aとの間に接続されている。定常時とは、モータ12の起動から十分な時間が経過して、モータ12が安定して動作している期間を意味する。定常時には、補助コイル12bは動作していない。また、起動時とは、モータ12の起動から十分な時間が経過しておらず、モータ12が安定して動作していない期間を意味する。
【0018】
外部端子26aは、トライアック24のアノードに接続されている。サーミスタ20は、正特性サーミスタであり、トライアック24のカソードと外部端子28a,28bとの間に接続されている。よって、サーミスタ20及びトライアック24は、補助コイル12bに直列に接続されている。サーミスタ22は、正特性サーミスタであり、トライアック24のゲートと外部端子28a,28bとの間に接続されている。すなわち、サーミスタ22は、サーミスタ20に対して並列に接続されている。
【0019】
コンデンサ18は、外部端子26aと外部端子28bとの間に接続されている。スイッチ16は、外部端子28aと交流電源14との間に接続されている。
【0020】
次に、モータ起動用回路1の動作について説明する。スイッチ16が閉じられると、交流電源14を介してモータ12に対して電力が供給される。応じて、主コイル12aに電流が流れる。また、トライアック24のゲートにサーミスタ22を介して所定電流値より大きなゲート電流が印加されることにより、トライアック24が通電される。これにより、サーミスタ20を介して補助コイル12bに対して電流が流れる。モータ12は、主コイル12a及び補助コイル12bによって駆動を開始する。
【0021】
モータ12の起動から一定時間が経過したら、サーミスタ20の温度が自己発熱によって上昇し、サーミスタ20の抵抗値が上昇する。これにより、サーミスタ20を流れる電流が減少する。また、サーミスタ22の温度が自己発熱によって上昇し、サーミスタ22の抵抗値が上昇する。これにより、サーミスタ22を流れるゲート電流が減少する。応じて、トライアック24に流れる電流が減少し、トライアック24が遮断状態となる。よって、サーミスタ20を介して補助コイル12bに対して電流が流れなくなり、サーミスタ22を介して補助コイル12bにわずかにゲート電流が流れるのみとなる。そのため、モータ12は、主コイル12aによって駆動を継続するようになる。
【0022】
次に、サーミスタ装置10の構成について図面を参照しながら説明する。図2は、サーミスタ装置10の外観斜視図である。図3は、サーミスタ装置10の分解斜視図である。図4は、サーミスタ装置10内部を平面視した図である。以下では、図3において、上下方向をz軸方向と定義し、z軸方向から平面視したときに、ケース32の長手方向をx軸方向と定義し、ケース32の短手方向をy軸方向と定義する。
【0023】
サーミスタ装置10は、図2及び図3に示すように、サーミスタ20,22、トライアック24、ケース32及び端子電極T1〜T4を備えている。ケース32は、概略、直方体状をなしており、図3に示すように、サーミスタ20,22、トライアック24及び端子電極T1〜T4を収容している。ケース32は、例えば、樹脂により作製され、上ケース32a及び下ケース32bにより構成されている。
【0024】
下ケース32bは、ケース32のz軸方向の負方向側の半分を構成している。下ケース32bには、図3及び図4に示すように、z軸方向から平面視したときに、貫通孔H1〜H3が設けられていると共に、隔壁により空間Sp1〜Sp4に区分されている。
【0025】
貫通孔H1は、下ケース32bにおいて、y軸方向の負方向側であってx軸方向の負方向側の角近傍をz軸方向に貫通している。貫通孔H2は、下ケース32bにおいて、y軸方向の正方向側であってx軸方向の正方向側の角近傍をz軸方向に貫通している。貫通孔H3は、下ケース32bにおいて、y軸方向の正方向側であってx軸方向の負方向側の角近傍をz軸方向に貫通している。
【0026】
また、空間Sp1は、z軸方向から平面視したときに、下ケース32bの中央においてx軸方向に延在している長方形状の空間である。空間Sp2は、z軸方向から平面視したときに、下ケース32bのy軸方向の負方向側であってx軸方向の正方向側の角に設けられている長方形状の空間である。空間Sp4は、z軸方向から平面視したときに、空間Sp2のy軸方向の正方向側に設けられており、x軸方向に延在している長方形状の空間である。空間Sp3は、z軸方向から平面視したときに、空間Sp2のy軸方向の正方向側に設けられており、y軸方向に延在していると共に空間Sp4と繋がっている長方形状の空間である。
【0027】
以上のように構成された下ケース32bには、以下に説明するように、サーミスタ20,22、トライアック24及び端子電極T1〜T4が取り付けられる。
【0028】
サーミスタ20は、温度が上昇すると抵抗値が上昇する正特性のサーミスタである。以下に、図5を参照しながらサーミスタ20の構成について説明する。図5は、本発明の一実施形態に係るサーミスタ20の構成図である。図5(a)は、サーミスタ20を主面の法線方向から平面視した図であり、図5(b)は、図5(a)のサーミスタ20のA−Aにおける断面構造図である。
【0029】
サーミスタ20は、温度が上昇すると抵抗値が増加する正の抵抗温度特性を有している。サーミスタ20は、図5(a)及び図5(b)に示すように、サーミスタ素体50及び外部電極52(52a,52b),54(54a,54b)を備えている。
【0030】
サーミスタ素体50は、正の抵抗温度特性を有する半導体材料(例えば、チタン酸バリウム系半導体セラミック)により作製されており、図5(a)に示すように、直径が14mm以上17mm以下であり厚さが2mm以上3mm以下である円板形状をなしている。
【0031】
外部電極52は、図5(a)及び図5(b)に示すように、サーミスタ素体50の両主面(表面)の全面に設けられているニッケル(Ni)からなる電極であり、直径が14mm以上17mm以下であり膜厚が5μm以下である円形をなしている。すなわち、外部電極52は、サーミスタ素体50の側面には形成されていない。外部電極52は、サーミスタ素体50に対してオーミック接触している。そのため、外部電極52は、サーミスタ素体50に対してオーミック接触し得る材料で作製されていればよい。よって、外部電極52の材料は、ニッケルに限らず、例えば、アルミニウム等であってもよい。ただし、外部電極52の材料は、外部電極52a,52b間でショートが発生することを防止するために、イオンマイグレーションが発生しにくい(イオン化しにくい)材料が望ましい。
【0032】
外部電極54は、図5(a)及び図5(b)に示すように、外部電極52上に設けられている銀(Ag)を含有する金属粉からなる電極であり、直径が12mm以上15mm以下であり膜厚が2μm以上15μmである円形をなしている。外部電極52a,54aは、サーミスタ素体50に対して電圧を印加するための一つの外部電極を構成している。同様に、外部電極52b,54bは、サーミスタ素体50に対して電圧を印加するための一つの外部電極を構成している。
【0033】
また、外部電極54の外縁は、図5(a)に示すように、外部電極52の外縁及びサーミスタ素体50の外縁内に収まっている。これにより、外部電極54中の銀がイオンマイグレーションによってサーミスタ素体50の側面上に析出して外部電極54a,54b間でショートが発生することを防止している。
【0034】
以上のように構成されたサーミスタ20は、外部電極52a,54aがy軸方向の正方向側を向き、外部電極52b,54bがy軸方向の負方向側を向くように、空間Sp1に取り付けられる。
【0035】
サーミスタ22は、温度が上昇すると抵抗値が上昇する正特性のサーミスタである。以下に、図6を参照しながらサーミスタ22の構成について説明する。図6は、本発明の一実施形態に係るサーミスタ22の構成図である。
【0036】
サーミスタ22は、図6に示すように、サーミスタ素体60及び外部電極62(62a,62b)を備えている。サーミスタ22は、25℃において、800Ω以上3000Ω以下の抵抗値を有していることが好ましい。また、サーミスタ22のキュリー温度は、70℃以上125℃以下であることが好ましい。キュリー温度とは、25℃における抵抗値が2倍になるときの温度を意味する。
【0037】
サーミスタ素体60は、正の抵抗温度特性を有する半導体材料(例えば、チタン酸バリウム系半導体セラミック)により作製されており、図6に示すように、長手方向において互いに対向する2つの端面を有する直方体状をなしている。サーミスタ素子60の体積は、1.5mm3以上10mm3以下であることが好ましい。サーミスタ素体60のサイズは、例えば、1.2mm×1.2mm×2.5mmである。
【0038】
外部電極62は、図6に示すように、サーミスタ素体60の両端面に設けられており、Cr層と、Ni/Cu層と、Ag層と、Sn層とが下層から上層へと重なって構成されている。Cr層は、サーミスタ素体60に対してオーミック接触している。また、外部電極62は、サーミスタ素体60の端面からはみ出していない。ここで、サーミスタ素体60において外部電極62a,62bに覆われていない部分の面積A1は、外部電極62a,62bの面積の合計面積A2の2倍以上6倍以下であることが好ましい。以上のように構成されたサーミスタ22は、図3及び図4に示すように、空間Sp3に取り付けられる。
【0039】
トライアック24は、図3に示すように、直方体状をなしており、端子24a〜24cを含んでいる。端子24a〜24cは、トライアック24の本体のz軸方向の正方向側の面から突出している。端子24aは、アノード端子である。端子24bは、ゲート端子である。端子24cは、カソード端子である。トライアック24は、ゲート電流の電流値が40mAよりも大きくなった場合に導通し、ゲート電流の電流値が3mAよりも小さくなった場合に遮断する。
【0040】
端子電極T1は、一枚の金属板が折り曲げ加工されることによって作製されており、外部端子26a及び保持部26bを含んでいる。外部端子26aは、z軸方向に延在する長方形状の板状をなしており、貫通孔H1に挿入されている。これにより、端子電極T1は、下ケース32bに取り付けられている。また、外部端子26aは、図2に示すように、ケース32外に露出している。保持部26bは、外部端子26aのz軸方向の正方向側の端部からz軸方向の正方向側に延在している2枚の板状部材により構成されている。保持部26bは、端子24aを狭持する。これにより、トライアック24のアノードは、図1に示すように、保持部26bを介して外部端子26aに接続されている。
【0041】
端子電極T4は、1枚の金属板が折り曲げ加工されることによって作製されており、接触部38a、保持部38b、接続部38c及び取り付け部38dを含んでいる。接触部38a及び取り付け部38dは、E字型を構成している。すなわち、接触部38a及び取り付け部38dは、z軸方向に延在する3本の棒状部材のz軸方向の正方向側の端部が、x軸方向に延在する棒状部材によって接続されることによって構成されている。接触部38aは、z軸方向に延在する3本の棒状部材の内の真ん中の棒状部材である。また、取り付け部38dは、E字型の部材の接触部38aを除く残余の部分である。取り付け部38dが空間Sp4に挿入されることにより、端子電極T4は、下ケース32bに取り付けられている。接触部38aは、取り付け部38dに対してy軸方向の正方向側に折り曲げられており、空間Sp3内に進入している。これにより、接触部38aは、サーミスタ22の外部電極62bに圧接している。
【0042】
接続部38cは、取り付け部38dに対してy軸方向の負方向側に折り曲げられた棒状部材であり、y軸方向に延在している。保持部38bは、接続部38cのy軸方向の負方向側の端部からz軸方向の正方向側に延在している2枚の板状部材により構成されている。保持部38bは、端子24bを狭持する。これにより、トライアック24のゲートは、図1に示すように、端子電極T4を介してサーミスタ22に接続されている。
【0043】
端子電極T3は、1枚の金属板が折曲げ加工されることによって作製されており、接触部36a、保持部36b及び取り付け部36cを含んでいる。接触部36a及び取り付け部36cは、E字型を構成している。すなわち、接触部36a及び取り付け部36cは、z軸方向に延在する3本の棒状部材のz軸方向の正方向側の端部が、x軸方向に延在する棒状部材によって接続されることによって構成されている。接触部36aは、3本の棒状部材の内の真ん中の棒状部材である。また、取り付け部36cは、E字型の部材の接触部36aを除く残余の部分である。なお、接触部36aを構成している棒状部材は、取り付け部36cを構成している棒状部材よりも幅広に構成されている。そして、接触部36aは、取り付け部36cに対してy軸方向の正方向側に折り曲げられている。端子電極T3は、空間Sp1内において、サーミスタ20と空間Sp1のy軸方向の負方向側の内周面との間に取り付けられている。これにより、接触部36aは、サーミスタ20の外部電極54bに圧接している。
【0044】
保持部36bは、取り付け部36cのx軸方向の正方向側の端部からz軸方向の正方向側に延在している2枚の板状部材により構成されている。保持部36bは、端子24cを狭持する。これにより、トライアック24のカソードは、図1に示すように、端子電極T3を介してサーミスタ20に接続されている。
【0045】
端子電極T2は、1枚の金属板が折り曲げ加工されることによって作製されており、外部端子28a,28b、接続部28c、接触部28d、折り曲げ部28e及び接触部28fを含んでいる。外部端子28aは、z軸方向に延在する長方形状の板状をなしており、貫通孔H2に挿入されている。これにより、外部端子28aは、図2に示すように、ケース32外に露出している。また、外部端子28bは、z軸方向に延在する長方形状の板状をなしており、貫通孔H3に挿入されている。これにより、外部端子28bは、図2に示すように、ケース32外に露出している。外部電極28a,28bが貫通孔H2,H3に挿入されることにより、端子電極T2は、下ケース32bに取り付けられている。
【0046】
接触部28dは、y軸方向(サーミスタ素体50の主面の法線方向)から平面視したときに、外部電極54aの外縁内に収まっていると共に、外部電極54aに接触している。以下に、接触部28dについて図面を参照しながらより詳細に説明する。図7は、端子電極T2及びサーミスタ20を平面視した図である。
【0047】
接触部28dは、y軸に垂直な面であり、空間Sp1内において、サーミスタ20と空間Sp1のy軸方向の正方向側の内周面との間に取り付けられている。これにより、接触部28dは、サーミスタ20の外部電極54aに対向している。また、接触部28dは、外部電極54aよりも小さな面積を有する四角形状をなしており、外部電極54aの外縁内に収まっている。すなわち、接触部28dは、y軸方向から平面視したときに、外部電極54aからはみ出していない。
【0048】
また、接触部28dには、図3及び図4に示すように、y軸方向の負方向側に向かって(すなわち、外部電極54aに向かって)突出している3つの突起40a〜40cが設けられている。そして、突起40a〜40cは、外部電極54aに接触している。なお、突起40a〜40cは、外部電極54aの中心と略一致する重心を有する正三角形の頂点に位置している。
【0049】
接続部28cは、接触部28dのx軸方向の負方向側の端部に接続され、かつ、接触部28dに対してy軸方向の正方向側に向かって(すなわち、外部電極54aから遠ざかる方向に向かって)折り曲げられており、y軸方向に延在している。接続部28cは、図7に示すように、y軸方向から平面視したときに、外部電極54aと重なっている。よって、接続部28cは、y軸方向から平面視したときに、外部電極52aとは重なっていない。また、接続部28cのy軸方向の正方向側の端部は、外部端子28bに接続されている。これにより、外部端子28bは、接続部28c及び接触部28dを介してサーミスタ20に接続されている。
【0050】
折り曲げ部28eは、接触部28dのx軸方向の正方向側の端部に接続され、かつ、接触部28dに対してy軸方向の正方向側に向かって(すなわち、外部電極54aから遠ざかる方向に向かって)折り曲げられており、y軸方向に延在している。折り曲げ部28eは、図7に示すように、y軸方向から平面視したときに、外部電極54aと重なっている。よって、折り曲げ部28eは、y軸方向から平面視したときに、外部電極52aとは重なっていない。
【0051】
接触部28f(対向部)は、折り曲げ部28eのy軸方向の正方向側の端部に接続され、かつ、折り曲げ部28eに対してx軸方向の正方向側に折り曲げられることによって、x軸方向に延在している。すなわち、接触部28d、折り曲げ部28e及び接触部28fは、階段状をなしており、接触部28dと接触部28fとの間には段差が形成されている。更に、接触部28fは、接触部28dよりもサーミスタ素体50のy軸方向の正方向側の主面から離れた位置において外部電極52aと対向している。
【0052】
また、接触部28fには、図4に示すように、y軸方向の負方向側に向かって突出している突起42が設けられている。そして、突起42は、サーミスタ22の外部電極62aに圧接している。
【0053】
更に、接触部28fのx軸方向の正方向側の端部は、外部端子28aに接続されている。これにより、外部端子28aは、図1に示すように、接触部28fを介してサーミスタ22と接続されていると共に、接触部28f、折り曲げ部28e及び接触部28dを介してサーミスタ20と接続されている。
【0054】
サーミスタ20,22、トライアック24及び端子電極T1〜T4が取り付けられた下ケース32bには、上ケース32aが取り付けられる。この際、上ケース32a及び下ケース32bにより、サーミスタ22が支持される。以下に、サーミスタ22の支持構造について図面を参照しながら説明する。図8は、サーミスタ22近傍の断面構造図である。
【0055】
下ケース32bは、支持部76を備えている。支持部76は、サーミスタ素体60の2つの端面の間を繋ぐ面(すなわち、z軸方向の負方向側の側面)に対して接触しており、接触部74a,74bを有している。接触部74a,74bは、端面が対向している方向(すなわち、y軸方向)に離間して並んでおり、z軸方向の正方向側に向かって突出する棒状部材である。接触部74a,74bは、z軸方向の正方向側の端部において、サーミスタ素体60のz軸方向の負方向側の側面に接触している。よって、支持部76は、端面が対向している方向(すなわち、y軸方向)において、サーミスタ素体60のz軸方向の負方向側の側面全体に接触しておらず、サーミスタ素体60のz軸方向の負方向側の側面の一部に接触している。
【0056】
上ケース32aは、支持部72を備えている。支持部72は、サーミスタ素体60の2つの端面の間を繋ぐ面(すなわち、z軸方向の正方向側の側面)に対して接触しており、接触部70a,70bを有している。接触部70a,70bは、端面が対向している方向(すなわち、y軸方向)に離間して並んでおり、z軸方向の負方向側に向かってに突出する棒状部材である。接触部70a,70bは、z軸方向の負方向側の端部において、サーミスタ素体60のz軸方向の正方向側の側面に接触している。よって、支持部72は、端面が対向している方向(すなわち、y軸方向)において、サーミスタ素体60のz軸方向の正方向側の側面全体に接触しておらず、サーミスタ素体60のz軸方向の正方向側の側面の一部に接触している。これにより、サーミスタ22は、支持部70と支持部72とによりz軸方向の両側から挟まれている。
【0057】
また、端子電極T2と端子電極T4とは、図3、図4及び図8に示すように、外部電極62aに端子電極T2が接触している部分(接触部28fの突起42)と外部電極62bに端子電極T4が接触している部分(接触部38a)とにおいて最も近接している。
【0058】
(効果)
以上のように構成されたモータ起動用回路10は、安価なトライアック24が用いられたとしても、正常に動作することができる。より詳細には、安価なトライアックでは、トライアックが導通するゲート電流が大きく、トライアックが遮断するゲート電流が小さい。一例としては、トライアックが導通するゲート電流が40mA以上であり、トライアックが遮断するゲート電流が3mA以上である。このような安価なトライアックが特許文献1に記載の単相誘導モータの起動回路500に用いられた場合には、トライアック507に十分に大きなゲート電流が流れずに、トライアック507が導通しないおそれがある。同様に、トライアック507に十分に小さなゲート電流が流れずに、トライアック507が遮断しないおそれがある。
【0059】
そこで、モータ起動用回路10では、25℃におけるサーミスタ22の抵抗値は、800Ω以上3000Ω以下である。これにより、以下に説明するように、安価なトライアック24が用いられたとしても、トライアック24が正常に導通するようになる。
【0060】
まず、サーミスタ22の抵抗値が3000Ω以下であることが好ましい理由について説明する。モータ起動用回路10には、−10℃〜85℃の範囲で正常に動作することが要求される。トライアック24が導通するゲート電流の電流値は、−10℃において最大値となる。したがって、−10℃において、トライアック24は、正常に導通することができれば、−10℃〜85℃の全範囲で正常に導通することができる。
【0061】
ここで、サーミスタ22の抵抗値が25℃において3000Ωである場合には、サーミスタ22の−10℃における抵抗値は4000Ωとなる。一方、25℃においてトライアック24が導通するゲート電流が40mAである場合には、−10℃においてトライアック24が導通するゲート電流は60mA程度となる。交流電源14が供給する交流電圧が220Vである場合には、サーミスタ22を介してトライアック24のゲートに流れるゲート電流は、55(220/4000)mAとなる。ただし、55mAの電流値は、実効値である。そこで、ゲート電流の振幅を算出すると、77.8(55×√2)mAとなる。故に、トライアック24は導通する。また、交流電源14が供給する交流電圧が200Vである場合には、サーミスタ22を介してトライアック24のゲートに流れるゲート電流は、50(200/4000)mAとなる。ただし、50mAの電流値は、実効値である。そこで、ゲート電流の振幅を算出すると、70.7(50×√2)mAとなる。故に、トライアック24は導通する。よって、サーミスタ22の抵抗値が25℃において3000Ωであることによって、トライアック24が正常に導通するようになる。
【0062】
次に、サーミスタ22の抵抗値が25℃において800Ω以上であることが好ましい理由について説明する。交流電源14が供給する交流電圧が220Vである場合には、該交流電圧は、350V程度まで変動するおそれがある。よって、サーミスタ22に350Vの交流電圧が印加されても、サーミスタ22に破損が生じない必要がある。
【0063】
ここで、後述するように、サーミスタ22のサーミスタ素体60の体積は、1.5mm3以上10mm3以下であることが好ましい。そして、サーミスタ素体60の体積が1.5mm3以上10mm3以下である場合には、800Ωよりも小さな抵抗値を有するサーミスタに350Vの交流電圧が印加されると、サーミスタが破損するおそれがある。したがって、サーミスタ22の抵抗値は、25℃において800Ω以上であることが好ましい。
【0064】
また、モータ起動用回路10では、サーミスタ素体60の体積は、比較的に小さな体積に設定されている。具体的には、サーミスタ22のサーミスタ素体60は、1.5mm3以上10mm3以下の体積を有する直方体状をなしている。これにより、以下に説明するように、安価なトライアック24が用いられたとしても、トライアック24が正常に遮断するようになる。
【0065】
まず、サーミスタ素体60の体積が10mm3以下であることが好ましい理由について説明する。図9は、800Ωの抵抗値を有するサーミスタ22において、定常時にサーミスタ22に流れるゲート電流の電流値とサーミスタ素体60の体積との関係を示したグラフである。縦軸は電流値を示し、横軸は体積を示している。なお、図9は、コンピュータシミュレーションによって得たデータである。
【0066】
トライアック24は、ゲート電流が3mAより小さくなったときに遮断する。図9によれば、サーミスタ素体60の体積が10mm3のときに、サーミスタ22に流れるゲート電流の電流値が3mAとなっている。したがって、サーミスタ素体60の体積は、10mm3以下であることによって、トライアック24が正常に遮断するようになる。
【0067】
次に、サーミスタ素体60の体積が1.5mm3以上であることが好ましい理由について説明する。図10は、3000Ωの抵抗値を有するサーミスタ22において、スイッチ16が導通されてからトライアック24が遮断するまでの時間(遮断時間)とサーミスタ素体60の体積との関係を示したグラフである。縦軸は遮断時間を示し、横軸は体積を示している。なお、図10は、コンピュータシミュレーションによって得たデータである。
【0068】
トライアック24は、モータ12の動作が定常状態となった後に遮断する必要がある。そして、モータ12の動作が定常状態となる時間の下限値は、0.35秒である。図10によれば、サーミスタ素体60の体積が1.5mm3のときに、遮断時間が0.35秒となっている。したがって、サーミスタ素体60の体積は、1.5mm3以上であることによって、トライアック24が正常に遮断するようになる。
【0069】
また、モータ起動用回路10では、サーミスタ素体60において外部電極62a,62bに覆われていない部分の面積A1は、外部電極62a,62bの面積の合計面積A2の2倍以上6倍以下とされている。これにより、以下に説明するように、安価なトライアック24が用いられたとしても、トライアック24が正常に動作できる。
【0070】
まず、面積A1が面積A2の2倍以上であることが好ましい理由について説明する。図11は、サーミスタ素体60の体積が10mm3である場合において、定常時にサーミスタ22に流れるゲート電流の電流値とA1/A2との関係を示したグラフである。縦軸は電流値を示し、横軸はA1/A2を示している。なお、図11は、コンピュータシミュレーションによって得たデータである。
【0071】
トライアック24は、ゲート電流の電流値が3mA以下になったときに遮断する。よって、トライアック24が正常に遮断するためには、定常状態において、ゲート電流の電流値が3mA以下になっている必要がある。図11によれば、A1/A2が2倍であるときに、ゲート電流の電流値が3mAとなっている。したがって、A1/A2は、2倍以上であることが好ましい。なお、A1/A2が2倍よりも小さい場合には、外部電極62a,62bの面積が大きすぎて、サーミスタ22の温度が下がりすぎる。そのため、サーミスタ22を流れるゲート電流の電流値が3mAより大きくなる。
【0072】
次に、面積A1が面積A2の6倍以下であることが好ましい理由について説明する。図12は、サーミスタ素体60の体積が1.5mm3である場合において、スイッチ16が導通されてからトライアック24が遮断するまでの時間(遮断時間)とA1/A2との関係を示したグラフである。縦軸は電流値を示し、横軸はA1/A2を示している。なお、図12は、コンピュータシミュレーションによって得たデータである。
【0073】
トライアック24は、モータ12の動作が定常状態となった後に遮断する必要がある。そして、モータ12の動作が定常状態となる時間の下限値は、0.35秒である。図12によれば、A1/A2が6倍であるときに、遮断時間が0.35秒となっている。したがって、A1/A2は、6倍以下であることが好ましい。なお、A1/A2が6倍よりも大きい場合には、外部電極62a,62bの面積が小さすぎて、サーミスタ22の温度が急激に上昇する。そのため、遮断時間が0.35秒よりも短くなる。
【0074】
また、サーミスタ22のキュリー温度が70℃以上125℃以下であるので、サーミスタ22は、−10℃〜85℃の範囲において正常に動作できる。図13は、サーミスタ22の抵抗値とサーミスタ22の温度との関係を示したグラフである。図13によれば、サーミスタ22のキュリー温度が70℃以上125℃以下であることが好ましいことが分かる。
【0075】
また、サーミスタ装置10は、外部電極62a,62b間においてショートが発生することを抑制できる。より詳細には、サーミスタ装置10では、支持部72,76が、図8に示すように、サーミスタ素体60のz軸方向の両側面に接触している。支持部72,76は、サーミスタ素体60の側面全面に接触しているのではなく、棒状の接触部70a,70b,74a,74bの先端においてサーミスタ素体60の側面の一部に接触している。更に、支持部72,76と端子電極T2,T4とは接触していない。したがって、高温・多湿環境下において長期間使用されても、水分によって、支持部72,76を伝って、外部電極62aと外部電極62bとの間に電流が流れるおそれがない。すなわち、サーミスタ装置10では、ショートが発生することが抑制される。
【0076】
また、サーミスタ装置10では、サーミスタ22は、支持部72,76によって支持されているので、振動等によって、本体32から容易に脱落することが抑制される。
【0077】
また、サーミスタ装置10では、端子電極T2と端子電極T4とは、図3、図4及び図8に示すように、外部電極62aに端子電極T2が接触している部分(接触部28fの突起42)と外部電極62bに端子電極T4が接触している部分(接触部38a)とにおいて最も近接している。これにより、端子電極T2,T4間においてショートが発生することが低減される。
【0078】
また、サーミスタ装置10は、以下に説明するように、サーミスタ20の外部電極52aと端子電極T2との間でショートが発生することを抑制できる。端子電極T2の接触部28dは、外部電極54aに接触していると共に、サーミスタ基体50の主面の法線方向から平面視したときに、外部電極54aの外縁内に収まっている。更に、接触部28dに接続されている折り曲げ部28eは、接触部28dに対して外部電極54aから遠ざかる方向に向かって折り曲げられている。これにより、折り曲げ部28eに接続されている接触部28fは、接触部28dよりもサーミスタ素体50の主面から離れた位置において外部電極52aと対向するようになる。すなわち、サーミスタ装置10の外部電極54aと接触部28fとの間隔は、大きくなる。その結果、サーミスタ装置10は、サーミスタ20の外部電極52aと端子電極T2との間でショートが発生することを抑制できる。
【0079】
また、接触部28dには、外部電極54aに向かって突出する突起40a〜40cが設けられている。これにより、接触部28dは、突起40a〜40cにおいて外部電極54aに接触するようになる。そのため、突起40a〜40cの高さの分だけ接触部28fが外部電極52aから離れるようになる。その結果、サーミスタ装置10は、サーミスタ20の外部電極52aと端子電極T2との間でショートが発生することをより効果的に抑制できる。
【0080】
また、突起40a〜40cは、外部電極54aの中心と略一致する重心を有する正三角形の頂点に位置している。これにより、接触部28dは、突起40a〜40cにより外部電極54a上において安定して支持されるようになる。その結果、接触部28dが外部電極54aに対して傾くことが抑制される。よって、接触部28fが外部電極52aに近接することが抑制され、サーミスタ20の外部電極52aと端子電極T2との間でショートが発生することがより効果的に抑制される。
【0081】
(変形例)
以下に変形例に係るサーミスタ装置10aについて図面を参照しながら説明する。図14は、変形例に係るサーミスタ装置10aの分解斜視図である。図15は、変形例に係るサーミスタ装置10a内部を平面視した図である。図16は、変形例に係るサーミスタ装置10aのサーミスタ22近傍の断面構造図である。
【0082】
サーミスタ装置10では、サーミスタ22は、直方体状をなしていた。一方、サーミスタ装置10aでは、サーミスタ22は、円柱状をなしている。このように、サーミスタ22の形状は、直方体状であってもよいし、円柱状であってもよい。サーミスタ22が円柱状である場合には、支持部72は、サーミスタ素体60の側面のz軸方向の正方向側の部分に対して接触している。支持部76は、サーミスタ素体60の側面のz軸方向の負方向側の部分に対して接触している。
【0083】
なお、サーミスタ装置10,10aにおいて、支持部72は、2つの接触部70a,70bにおいてサーミスタ素体60に接触し、支持部76は、2つの接触部74a,74bにおいてサーミスタ素体60に接触している。しかしながら、支持部72,76はそれぞれ、1つの接触部においてサーミスタ素体60に接触していてもよい。
【0084】
なお、接触部38aは、図3に示すように、z軸方向の正方向側の端部において、取り付け部38dに対してy軸方向の正方向側に向かって折り曲げられている。しかしながら、接触部38aの形状はこれに限らない。図17は、その他の実施形態に係るサーミスタ10の接触部38aを示した図である。
【0085】
図17に示すように接触部38aは、取り付け部38dの接続部分においてz軸方向の正方向側に向かって折り曲げられた後に、z軸方向の負方向側に向かって折り曲げられていてもよい。これにより、接触部38aは、S字型をなしている。そのため、接触部38aは、外部電極54bに接触する際に、折り畳まれるようにy軸方向に圧縮され、z軸方向に殆ど変位しなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように、本発明は、モータ起動用回路に有用であり、特に、安価なトライアックが用いられたとしても、正常に動作することができる点において優れている。
【符号の説明】
【0087】
H1〜H3 貫通孔
Sp1〜Sp4 空間
T1〜T4 端子電極
1 モータ起動用回路
10,10a サーミスタ装置
12 モータ
12a 主コイル
12b 補助コイル
14 交流電源
16 スイッチ
18 コンデンサ
20,22 サーミスタ
24 トライアック
24a〜24c 端子
26a,28a,28b 外部端子
26b,36b,38b 保持部
28c,38c 接続部
28d,28f,36a,38a 接触部
28e 折り曲げ部
32 ケース
32a 上ケース
32b 下ケース
36c,38d 取り付け部
40a〜40c,42 突起
50,60 サーミスタ素体
52a,52b,54a,54b,62a,62b 外部電極
72,76 支持部
70a,70b,74a,74b 接触部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
200V以上220V以下の交流電圧の供給を受けて、起動時に動作する補助コイル及び定常時に動作する主コイルを含むモータを起動させるモータ起動用回路であって、
前記補助コイルに直列に接続されている第1の正特性サーミスタと、
前記補助コイル及び前記第1の正特性サーミスタに直列に接続されているトライアックと、
前記トライアックのゲートに接続され、かつ、前記第1の正特性サーミスタに対して並列に接続されている第2の正特性サーミスタであって、1.5mm3以上10mm3以下の体積を有する直方体状をなすサーミスタ素体を含み、かつ、25℃において、800Ω以上3000Ω以下の抵抗値を有している第2の正特性サーミスタと、
を備えていること、
を特徴とするモータ起動用回路。
【請求項2】
前記トライアックは、ゲートに流れる電流の電流値が40mAよりも大きくなった場合には導通し、ゲートに流れる電流の電流値が3mAよりも小さくなった場合には遮断すること、
を特徴とする請求項1に記載のモータ起動用回路。
【請求項3】
前記サーミスタ素体は、互いに対向する2つの端面を有しており、
前記第2の正特性サーミスタは、
前記2つの端面のそれぞれに設けられている第1の外部電極及び第2の外部電極を、
更に含んでおり、
前記サーミスタ素体において前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極に覆われていない部分の面積は、該第1の外部電極の面積及び該第2の外部電極の面積の合計の2倍以上6倍以下であること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のモータ起動用回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−38954(P2013−38954A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173905(P2011−173905)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】