説明

モータ遮蔽構造

【課題】廃車時におけるモータの取り外しが容易なモータ遮蔽構造を得る。
【解決手段】ワイパ装置10を遮蔽するカウルルーバ40にはワイパモータ30に対向して引き剥がし部52が形成されている。引き剥がし部52に形成された把持部54を引き上げると、引き剥がし部52の両側端部である薄肉部50が破断する。これにより、引き剥がし部52が除去されると、カウルルーバ40が車体に取り付けられたままの状態でも、ワイパモータ30が露出する。このため、カウルルーバ40やカウルトップ18が車体に取り付けられたままの状態でもワイパモータ30を取り外すことができ、ワイパモータ30の取り外し作業の作業性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたモータを遮蔽するモータ遮蔽構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1では、ワイパユニットの取付構造の一例が開示されている。特許文献1に開示された構成では、ワイパユニットが取付ブラケットを介してカウルトップアウタに締結固定されている。カウルトップアウタは、カウルトップフロントやカウルトップインナ等と共にカウルトップパネルを構成している。カウルトップアウタ及びカウルトップインナは溶接によりダッシュパネルの上端部に結合され、カウルトップフロントはカウルトップインナに形成された作業用の切欠部を被覆するようにカウルトップインナにボルトにより締結固定されている。
【0003】
ワイパユニットのメンテナンスを行なう際には、カウルトップフロントがカウルトップインナから取り外される。これにより、露出したカウルトップインナの作業用の切欠部からワイパユニットのメンテナンスを行なう。このような構造にすることで、カウルトップアウタからワイパユニットを取り外すことなくワイパユニットのメンテナンスを行なうことができる。
【特許文献1】特開2004−314814公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワイパユニット等、車両に搭載される様々な装置の駆動手段として用いられるモータには銅が用いられている。このため、リサイクルの観点から廃車時にはモータに用いられている銅を再利用している。
【0005】
廃車時においては、カウルトップパネルを車体の他の構成部材と共にスクラップにするため、上記のように、モータの銅を再利用するためには、モータのみを車体から取り外さなくてはならない。
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1に開示された構成では、モータを取り外すにあたり、カウルトップフロントを取り外した状態でも、ワイパユニットがカウルトップアウタに取り付けられたままであるため、更に、カウルトップアウタからモータの取り外さなくてはならず、作業が煩雑になる。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して、廃車時におけるモータの取り外しが容易なモータ遮蔽構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の本発明に係るモータ遮蔽構造は、車体に固定される本体と、車両に搭載されるモータに対向して設けられる引き剥がし部と、前記本体と前記引き剥がし部との間で、前記本体及び前記引き剥がし部よりも機械的強度が弱く設定され、前記引き剥がし部を所定の方向へ引っ張ることで破断され、前記引き剥がし部を前記本体から分離させる脆弱部と、を含めて構成される遮蔽部材を備え、当該遮蔽部材により前記モータを遮蔽することを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の本発明に係るモータ遮蔽構造では、車両に搭載されたモータが遮蔽部材により遮蔽される。遮蔽部材は車体に固定される本体から連続して引き剥がし部が形成されており、引き剥がし部を引っ張ると本体と引き剥がし部との間に形成された脆弱部が破断する。
【0010】
このように脆弱部が破断することで本体から引き剥がし部の一部又は全部が分離される。脆弱部が破断される前の状態では、モータに対向するように引き剥がし部が設けられていたため、本体から引き剥がし部を分離させることでモータが露出する。このように、モータが露出することでモータを取り外し易くなる。
【0011】
請求項2に記載の本発明に係るモータ遮蔽構造は、請求項1に記載の本発明において、前記本体に対して前記引き剥がし部の識別が可能に前記引き剥がし部に設けられたマーク部を備える、ことを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の本発明に係るモータ遮蔽構造では、引き剥がし部にマーク部が設けられている。このため、モータを取り外す際にマーク部を視認することで引き剥がし部を識別できる。このように、引き剥がし部を容易に識別できることで、脆弱部を破断して引き剥がし部の一部又は全部を本体から分離する作業、すなわち、モータを露出させるための作業の作業性が向上する。
【0013】
請求項3に記載の本発明に係るモータ遮蔽構造は、請求項1又は請求項2に記載の本発明において、前記引き剥がし部に把持可能に形成され、把持した状態で前記所定の方向へ引っ張り可能な把持部を備える、ことを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の本発明に係るモータ遮蔽構造では、引き剥がし部には把持部が形成される。この把持部を作業者が直接把持し、又は、把持用の工具で把持した状態で把持部を所定の方向へ引っ張ると脆弱部が破断する。脆弱部が破断することで本体から引き剥がし部の一部又は全部が分離される。
【0015】
すなわち、本発明に係るモータ遮蔽構造では、脆弱部を破断して引き剥がし部を本体から分離する際の遮蔽部材の把持位置として、把持部が最適な位置となる。このように、把持位置が特定されることで、脆弱部を破断して引き剥がし部の一部又は全部を本体から分離する作業、すなわち、モータを露出させるための作業の作業性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係るモータ遮蔽構造では、モータを遮蔽している遮蔽部材の本体から引き剥がし部の一部又は全部を分離させることでモータを容易に露出させることができるため、モータを容易に取り外すことができる。
【0017】
請求項2に記載の本発明に係るモータ遮蔽構造では、引き剥がし部を容易に識別でき、モータを露出させるための作業の作業性を向上できる。
【0018】
請求項3に記載の本発明に係るモータ遮蔽構造では、脆弱部を破断するのに適した遮蔽部材を把持する位置が特定されることで、モータを露出させるための作業の作業性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<本実施の形態の構成>
次に、ワイパ装置10の遮蔽に本発明の一実施の形態に係るモータ遮蔽構造を適用した例について図1乃至図4を用いて説明する。
【0020】
図1に示されるように、ワイパ装置10はフレーム12を備えている。フレーム12は固定ロッド14を備えている。固定ロッド14は略車幅方向に沿って長手の棒状に形成されている。固定ロッド14の長手方向一端部には支持プレート16が固定されている。図3に示されるように、支持プレート16はカウルトップ18の車幅方向一端側に形成された固定部20にボルト等の締結手段によって締結固定されている。これに対して、固定ロッド14の長手方向他端部には支持プレート22が固定されている。支持プレート22はカウルトップ18の車幅方向他端側に形成された固定部にボルト等の締結手段によって締結固定又は溶接等の固着手段により固定されている。
【0021】
一方、固定ロッド14の長手方向略中央にはモータ取付プレート26が設けられている。モータ取付プレート26は平面視で略三角形の板状に形成されており、この一辺が固定ロッド14の長手方向に沿った状態でモータ取付プレート26が固定ロッド14に固定されている。モータ取付プレート26の固定ロッド14との固定部分の側方には、モータ支持部材側脆弱部としての薄肉部28が固定ロッド14に対して略平行に形成されている。薄肉部28はモータ取付プレート26を部分的に薄くすることで形成されており、このため、薄肉部28が形成された部分ではモータ取付プレート26の機械的強度がモータ取付プレート26の他の部分に比べて低くなっている。
【0022】
薄肉部28を介して固定ロッド14とは反対側には、モータとしてのワイパモータ30が設けられている。ワイパモータ30は、ヨークや回転子、整流子等(図示省略)により構成された有底円筒形状のモータ本体32を備えている。モータ本体32は軸方向が略車幅方向に沿っており、その軸方向一端側(略車幅方向一端側でのモータ本体32の端部)にはギヤボックス34が取り付けられている。ギヤボックス34にはモータ本体32が作動することで回転するシャフト(図示省略)の先端側が入り込んでおり、このシャフトの回転がギヤボックス34の内側に収容された減速ギヤ列(図示省略)に伝達され、シャフトの回転が減速ギヤ列の最終ギヤを所定角度の範囲で往復回動させる運動に変換する。
【0023】
ギヤボックス34の最終ギヤに設けられた出力シャフト(図示省略)は、ギヤボックス34から突出して更にモータ取付プレート26を貫通し、モータ取付プレート26の裏面側(モータ取付プレート26のワイパモータ30が設けられた側とは反対側)へ突出している。この出力シャフトには揺動アーム(図示省略)の基端部が一体的に連結されている。この揺動アームの先端側にはリンク36が設けられている。リンク36は概ね略車幅方向に沿って長手とされ、その長手方向中間部が揺動アームの先端に回動可能に連結されている。リンク36の長手方向一端側にはリンク38が設けられている。
【0024】
リンク38はその長手方向基端側で支持プレート16に対して回動可能に支持プレート16に連結されていると共に、長手方向先端側でリンク36に回動可能に連結されている。このリンク38の長手方向基端側では支持プレート16に対する回動軸心に対して同軸的にワイパピボット(図示省略)が設けられている。ワイパピボットはカウルトップ18の上方に設けられた遮蔽部材としてのカウルルーバ40を通過してカウルルーバ40の上側に突出している。このワイパピボットの先端にはワイパアーム、アームピース、ワイパブレード等により構成されたワイパアッセンブリ42が機械的に連結されており、所定の範囲(所定の角度)を往復回動するリンク38の回転力を受けたワイパピボットが、ワイパアッセンブリ42のワイパブレードをウインドシールドガラス(図示省略)のガラス面上で往復回動させる。
【0025】
これに対して、リンク36の長手方向一端側にはリンク44が設けられている。リンク44はその長手方向基端側で支持プレート22に対して回動可能に支持プレート22に連結されていると共に、長手方向先端側でリンク36に回動可能に連結されている。このリンク44の長手方向基端側では支持プレート22に対する回動軸心に対して同軸的にワイパピボット(図示省略)が設けられている。このワイパピボットもまたカウルルーバ40を通過してカウルルーバ40の上側に突出している。このワイパピボットの先端にはワイパアーム、アームピース、ワイパブレード等により構成されたワイパアッセンブリ46が機械的に連結されており、所定の範囲(所定の角度)を往復回動するリンク44の回転力を受けたワイパピボットが、ワイパアッセンブリ46のワイパブレードをウインドシールドガラス(図示省略)のガラス面上で往復回動させる。
【0026】
上述した両ワイパピボットが通過するカウルルーバ40は本体としてのルーバ本体48を備えている。ルーバ本体48は、合成樹脂材等により全体的に略車幅方向に沿って長手になるように形成されており、その長手方向両端側で車体を構成する骨格部材や補強部材等にボルト等の締結手段により一体的に締結固定されている。ルーバ本体48は車体に取り付けられた状態で、幅方向後端側は上述したウインドシールドガラスの下端部に結合され、幅方向前端側はエンジンフードの後端部近傍の下側に配置される。このように配置されたルーバ本体48はこれまでに説明したワイパ装置10を上方から覆っている(遮蔽している)。
【0027】
このルーバ本体48には各々が遮蔽部材側の脆弱部としての一対の薄肉部50が形成されている。これらの薄肉部50が形成された部分では、ルーバ本体48が他の部分よりも基本的に薄肉とされており、このため、ルーバ本体48の薄肉部50が形成された部分では、ルーバ本体48の他の部分よりも機械的強度が低い。これらの薄肉部50は、略車両前後方向、すなわち、ルーバ本体48の幅方向に沿って長手とされており、基本的には一方の薄肉部50に対して他方の薄肉部50が平行に形成されている。この一方の薄肉部50と他方の薄肉部50との間は引き剥がし部52とされている。
【0028】
引き剥がし部52の幅方向一端部、すなわち、一方の薄肉部50はルーバ本体48を車体に固定した状態でワイパモータ30よりの略車幅方向一端側に位置している。これに対して、引き剥がし部52の幅方向他端部、すなわち、他方の薄肉部50はルーバ本体48を車体に固定した状態でワイパモータ30よりの略車幅方向他端側に位置している。このため、引き剥がし部52はワイパモータ30と対向するように形成されている。略車両前方側における引き剥がし部52の端部からは連続して把持部54が形成されている。
【0029】
把持部54は、ルーバ本体48の幅方向前端部から略車両下方へ屈曲形成された壁部56と同様に略車両前方側における引き剥がし部52の端部から略車両下方へ屈曲するように形成されているが、略車幅方向に沿っては把持部54と壁部56とは連続していない。また、把持部54にはマーク部58が形成されており、カウルルーバ40における把持部54の位置、ひいては、把持部54の位置を示している。
【0030】
このマーク部58の構成的な詳細に関しては特に限定するものではないが、例えば、把持部54に貼着されたシール部材を以ってマーク部58としてもよいし、把持部54に施した刻印を持ってマーク部58としてもよい。また、カウルルーバ40を合成樹脂材により一体成形する構成であれば、成形用金型にマーク部58を形作る立体的な模様を施し、これにより、マーク部58を把持部54に形成する構成としてもよい。
【0031】
<本実施の形態の作用、効果>
次に、廃車時におけるワイパモータ30の取り外し作業の作業工程の説明を通して、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0032】
ワイパモータ30を取り外すにあたり、車両のエンジンフードが車体から予め取り外される。但し、この状態では、カウルトップ18やカウルルーバ40は車体に固定されたままである。ワイパモータ30の取り外しには、先ず、引き剥がし部除去工程で引き剥がし部52がルーバ本体48から除去される。この引き剥がし部除去工程では、先ず、マーク部58を確認(視認)することで把持部54の位置、ひいては、引き剥がし部52の位置が確認される。
【0033】
把持部54の位置が確認された後、把持部54が把持される。この把持部54の把持は、作業者が直接把持してもよいし、工具による把持でもよい。このように、把持部54が把持された状態で、把持部54がルーバ本体48の上方に引き上げられつつ更に幅方向後端側へ引っ張られる。把持部54が引っ張られることで、上記のように、ルーバ本体48の他の部位に比べて機械的強度が低い薄肉部50が把持部54の側から破断される。両薄肉部50の全域が破断されることで、引き剥がし部52が引き剥がされて除去されると、図2に示されるように、カウルトップ18やカウルルーバ40が車体に固定されたままワイパモータ30が露出する。
【0034】
次いで、図3に示されるように、引き剥がし部52を引き剥がすことでルーバ本体48に形成された開口から、モータ取外工具62がルーバ本体48の裏面側に入り込まされる。図3に示されるように、モータ取外工具62は円筒部64を備えている。円筒部64は内径寸法がモータ本体32の外径寸法よりも大きな円筒形状に形成されており、ルーバ本体48の裏面側にモータ取外工具62の円筒部64側を入り込ませた状態で、モータ本体32のギヤボックス34とは反対側から円筒部64がモータ本体32に嵌め込まれる。
【0035】
円筒部64の外周部には柄66の基端部が一体的に連結されており、円筒部64をモータ本体32に嵌め込んだ状態では、柄66の先端側が引き剥がし部52を引き剥がすことでルーバ本体48に形成された開口を通過して外部に突出している。図3に示されるように、モータ取付プレート26に取り付けられたワイパモータ30のモータ本体32はその軸方向が略車幅方向に沿っているため、円筒部64を支点にして柄66を車幅方向一端側へ回動させると、せん断応力が略車幅方向他端側の薄肉部28の端部に集中し、図4に示されるように、略車幅方向他端側から薄肉部28が破断する。
【0036】
このように、薄肉部28を破断することで、モータ取付プレート26は、カウルトップ18に機械的に連結された部分とワイパモータ30が取り付けられた部分とに分離される。これにより、ワイパモータ30が車体から取り外され、モータ本体32を構成する銅部材のリサイクルに供される。
【0037】
ここで、上記のように、本実施の形態では、車体に締結固定されたカウルルーバ40やカウルトップ18を車体から取り外さなくても、引き剥がし部52を引き剥がすだけでワイパモータ30を露出させることができる。このため、カウルルーバ40やカウルトップ18を車体に締結固定するためのボルト等の取り外し作業が不要で、ワイパモータ30を露出させるための作業性を効果的に向上させることができ、ひいては、ワイパモータ30の取り外し作業の作業性を向上させることができる。
【0038】
また、引き剥がし部52の側端部に機械的強度が弱い薄肉部50を形成しているため、把持部54を把持して引っ張れば、自然に薄肉部50が破断してワイパモータ30と相対する引き剥がし部52を確実に除去できる。これにより、ワイパモータ30が確実に露出するように引き剥がし部52を除去するための作業に、格別な熟練を要することなく、簡単にワイパモータ30を露出させることができる。この意味でも、ワイパモータ30を露出させるための作業性を効果的に向上させることができ、ひいては、ワイパモータ30の取り外し作業の作業性を向上させることができる。
【0039】
さらに、把持部54にマーク部58を形成することで、把持部54の位置、ひいては、引き剥がし部52の位置を容易に確認できる。このため、例えば、車種により、カウルルーバ40の形状やワイパモータ30の位置が異なっていたとしても、マーク部58を視認すればどの部分を把持して引っ張ればワイパモータ30を露出させることができるのか容易にわかる。したがって、この意味でも、ワイパモータ30を露出させるための作業性を効果的に向上させることができ、ひいては、ワイパモータ30の取り外し作業の作業性を向上させることができる。
【0040】
また、本実施の形態では、上記のように、ワイパモータ30が露出した後にモータ取外工具62によりワイパモータ30が取り外されるが、ワイパモータ30の取り外しにあたっては、円筒部64をモータ本体32に嵌め込んで柄66を回動させるだけでよい。しかも、柄66を回動させると応力が薄肉部28に集中して薄肉部28が破断されるが、このように、薄肉部28が破断されることでモータ取付プレート26をカウルトップ18に機械的に連結された部分とワイパモータ30が取り付けられた部分とに分離できる。これにより、フレーム12をカウルトップ18に締結固定するためのボルト等の取り外し作業や、ワイパモータ30をモータ取付プレート26に締結固定するためのボルト等の取り外し作業が不要である。これによってもワイパモータ30の取り外し作業の作業性を向上させることができる。
【0041】
なお、本実施の形態は、カウルルーバ40を遮蔽部材としてワイパ装置10の遮蔽に本発明を適用した構成であったが、本発明がワイパ装置10の遮蔽に限定されるものではなく、車両に搭載されたモータを遮蔽する構成のあらゆる箇所に本発明を適用してもよい。
【0042】
例えば、図5に示されるように、車両のバックドアパネル82にはリヤワイパ装置が設けられ、このリヤワイパ装置のモータとしてのワイパモータ84がバックドアパネル82の室内側に設けられたバックドアトリム86の裏面側に配置される。ここで、バックドアトリム86を遮蔽部材の本体とし、薄肉部50に相等する脆弱部としての薄肉部88や引き剥がし部52に相等する引き剥がし部90をバックドアトリム86に形成して、図6に示されるように、薄肉部88を破断して引き剥がし部90を引き剥がすことで形成された開口からワイパモータ84が露出する構成としてもよい。このような構成とすることで、ワイパモータ84の取り外しに際してこれまでに説明した効果と同様の効果を得ることができ、ワイパモータ84の取り外しの作業性を向上させることができる。
【0043】
また、例えば、図7に示されるように、車両のインスツルメントパネル102のうち、助手席の前方側で、所謂グローブボックスが取り付けられる部分よりもエンジンルーム側には、空調装置を構成する駆動部の駆動部104が設けられ、この駆動部104の内側には、モータとしての送風用のブロアモータ106が設けられている。ここで、駆動部104を遮蔽部材の本体とし、薄肉部50に相等する脆弱部としての薄肉部108や引き剥がし部52に相等する引き剥がし部110を駆動部104に形成して、図8に示されるように、薄肉部108を破断して引き剥がし部110を引き剥がすことで形成された開口からブロアモータ106が露出する構成としてもよい。このような構成とすることで、ブロアモータ106の取り外しに際してこれまでに説明した効果と同様の効果を得ることができ、ブロアモータ106の取り外しの作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施の形態に係るモータ遮蔽構造をワイパ装置の遮蔽に適用した例を示す概略的な分解斜視図である。
【図2】引き剥がし部を引き剥がして除去した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るモータ遮蔽構造が適用されたワイパ装置の要部の斜視図である。
【図4】ワイパモータを取り外している状態を示す図3に対応した斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るモータ遮蔽構造をリヤワイパ装置の遮蔽に適用した例を示す正面図である。
【図6】引き剥がし部を引き剥がして除去した状態を示す図5に対応した正面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るモータ遮蔽構造を空調装置の送風用ブロアモータの遮蔽に適用した例を示す正面図である。
【図8】引き剥がし部を引き剥がして除去した状態を示す図7に対応した正面図である。
【符号の説明】
【0045】
30 ワイパモータ(モータ)
40 カウルルーバ(遮蔽部材)
48 ルーバ本体(本体)
50 薄肉部(脆弱部)
52 引き剥がし部
54 把持部
58 マーク部
84 ワイパモータ(モータ)
86 バックドアトリム(本体、遮蔽部材)
88 薄肉部(脆弱部)
90 引き剥がし部
102 インスツルメントパネル(本体、遮蔽部材)
106 ブロアモータ(モータ)
108 薄肉部(脆弱部)
110 引き剥がし部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に固定される本体と、
車両に搭載されるモータに対向して設けられる引き剥がし部と、
前記本体と前記引き剥がし部との間で、前記本体及び前記引き剥がし部よりも機械的強度が弱く設定され、前記引き剥がし部を所定の方向へ引っ張ることで破断され、前記引き剥がし部を前記本体から分離させる脆弱部と、
を含めて構成される遮蔽部材を備え、当該遮蔽部材により前記モータを遮蔽することを特徴とするモータ遮蔽構造。
【請求項2】
前記本体に対して前記引き剥がし部の識別が可能に前記引き剥がし部に設けられたマーク部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ遮蔽構造。
【請求項3】
前記引き剥がし部に把持可能に形成され、把持した状態で前記所定の方向へ引っ張り可能な把持部を備える、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモータ遮蔽構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−313991(P2007−313991A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144366(P2006−144366)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】