説明

モータ駆動回路

【課題】駆動コイルにブレーキ電流が流れたとき、回生電流が電源に向かって供給されることによる電源電圧の上昇を抑え、電源の損傷やIC等の耐圧破壊を防止する。
【解決手段】第1シンク側トランジスタ14から第2ソース側トランジスタ11の方向へ、又は、第2シンク側トランジスタ13から第1ソース側トランジスタ12の方向へ流れる逆方向電流を検出する検出回路と、検出回路が逆方向電流の検出を開始してから所定期間、検出回路の検出出力を無効にする無効回路と、検出回路が逆方向電流の検出を開始してから所定期間が経過した場合、検出回路の検出出力に従って同期整流を禁止する第1禁止回路と、第1又は第2シンク側トランジスタをオンするPWM信号の各オンデューティ期間が所定期間よりも短い場合、第1禁止回路の動作に関わらず、同期整流を禁止する第2禁止回路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、駆動電流を供給するHブリッジ回路で同期整流を行うモータ駆動回路が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−272162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1に開示されるモータ駆動回路は、図2に示されるHブリッジ回路を有する。このHブリッジ回路は、駆動コイル300に駆動電流I1を供給するためのソース側トランジスタとしてのN型MOSFET11、12、駆動コイル300から駆動電流I1が供給されるシンク側トランジスタとしてのN型MOSFET13、14を有する。例えば、駆動コイル300に対して駆動コイル300の一端(接続点P1側の端部)から他端(接続点P2側の端部)に向かう方向に駆動電流I1を供給する際、オンしているN型MOSFET14がPWM信号に従ってオフした後に、再度オンするときのHブリッジ回路を流れる電流について、図2乃至図5を用いて説明する。例えば、N型MOSFET14がオンしている場合、図2の一点鎖線で示される駆動電流I1がHブリッジ回路を流れる。その後、例えば、N型MOSFET14がPWM信号に従ってオフした場合、同期整流によってN型MOSFET12がオンされる。この場合、図3の一点鎖線で示される回生電流I2がHブリッジ回路を流れる。その後、駆動コイル300にコイル電圧が発生し、そのコイル電圧を打ち消すために、回生電流I2が流れる方向とは反対方向に、図4の一点鎖線で示されるブレーキ電流I3が流れる。その後、例えば、N型MOSFET12がオフした後、N型MOSFET14がPWM信号に従って再度オンされる。この場合、駆動コイル300がブレーキ電流I3を維持しようとするために、図5の一点鎖線で示される逆方向電流I4がHブリッジ回路を流れる。従って、例えば、N型MOSFET12がオフしたとき、図5の一点鎖線で示される逆方向電流I4が電源に対して供給されるので、電源電圧Vccが上昇し、電源の損傷やIC等の耐圧破壊を引き起こす虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決する主たる本発明は、直列接続される第1ソース側トランジスタ及び第1シンク側トランジスタの第1接続点と、直列接続される第2ソース側トランジスタ及び第2シンク側トランジスタの第2接続点と、の間に接続される駆動コイルに対して駆動電流を供給するべく、前記第1ソース側トランジスタ及び前記第2シンク側トランジスタと、前記第2ソース側トランジスタ及び前記第1シンク側トランジスタと、を相補的にオンオフする場合、前記第1又は第2シンク側トランジスタをPWM信号に従ってオンオフし、前記第1又は第2シンク側トランジスタが前記PWM信号に従ってオフする期間、オフしている前記第1又は第2ソース側トランジスタをオンする同期整流を行うモータ駆動回路であって、前記第1シンク側トランジスタから前記第2ソース側トランジスタの方向へ、又は、前記第2シンク側トランジスタから前記第1ソース側トランジスタの方向へ流れる逆方向電流を検出する検出回路と、前記検出回路が前記逆方向電流の検出を開始してから所定期間、前記検出回路の検出出力を無効にする無効回路と、前記検出回路が前記逆方向電流の検出を開始してから前記所定期間が経過した場合、前記検出回路の検出出力に従って前記同期整流を禁止する第1禁止回路と、前記第1又は第2シンク側トランジスタをオンする前記PWM信号の各オンデューティ期間が前記所定期間よりも短い場合、前記第1禁止回路の動作に関わらず、前記同期整流を禁止する第2禁止回路と、を備えたことを特徴とするモータ駆動回路である。
【0006】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、逆方向電流の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るモータ駆動回路を示す図である。
【図2】駆動電流を説明するための回路図である。
【図3】回生電流を説明するための回路図である。
【図4】ブレーキ電流を説明するための回路図である。
【図5】逆方向電流を説明するための回路図である。
【図6】本発明の実施形態におけるPWM信号のオンデューティ期間が短くなる場合のモータ駆動回路の信号を示す波形図である。
【図7】本発明の実施形態におけるPWM信号の周波数が低くなる場合のモータ駆動回路の信号を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
===モータ駆動回路===
図1は、本実施形態に係るモータ駆動回路を示す図である。
モータ駆動回路100は、例えば集積回路であって、例えば単相モータ(不図示)を駆動するための回路である。モータ駆動回路100は、Hブリッジ回路110、同期整流回路120、PWM合成回路130、通電制御回路140、同期整流制御回路400、例えば6個の端子PWMt、CLKt、Vcct、Vt、Ut、Gtを備えて構成される。
【0011】
端子Vcctには電源電圧Vccが印加され、端子Gtは接地される。端子Vt、Utの間には、駆動コイル300が接続される。端子PWMt、CLKtには夫々、外部のマイコン200からPWM信号、クロック信号(CLK)が入力される。尚、PWM信号とクロック信号の詳細については後述する。
【0012】
Hブリッジ回路110は、単相モータを回転させるための駆動電流I1を駆動コイル300に供給するための回路である。尚、Hブリッジ回路110の詳細については後述する。
【0013】
同期整流回路120、PWM合成回路130、通電制御回路140は、単相モータの回転数に応じた周波数を有するFG信号に基づいて、Hブリッジ回路110を制御する回路である。尚、同期整流回路120、PWM合成回路130、通電制御回路140の詳細については後述する。
【0014】
同期整流制御回路400は、モータ駆動回路100に入力されるPWM信号、シンク電源ラインL2からソース電源ラインL1の方向へ逆方向電流I4が流れるか否かに応じて、同期整流回路120による同期整流の禁止/許可を制御する回路である。尚、同期整流制御回路400、PWM信号、逆方向電流I4、同期整流の詳細については後述する。
【0015】
===Hブリッジ回路===
以下、図1を参照して、本実施形態におけるHブリッジ回路について説明する。
Hブリッジ回路110は、4個のN型MOSFET11乃至14を含んで構成されており、N型MOSFET11乃至14のドレイン・ソース間には夫々寄生ダイオードD11乃至D14が形成されている。尚、N型MOSFET11、12がソース側トランジスタに相当し、N型MOSFET13、14がシンク側トランジスタに相当する。
【0016】
ここで、ソース電源ラインL1には、端子Vcctを介して電源電圧Vccが印加される。シンク電源ラインL2は、検出抵抗21、端子Gtを介して接地されている。尚、検出抵抗21の詳細については後述する。
【0017】
N型MOSFET11とN型MOSFET13は、ソース電源ラインL1とシンク電源ラインL2との間に直列接続される。N型MOSFET11のソースとN型MOSFET13のドレインとの接続点P1は、端子Utを介して駆動コイル300の一端に接続される。N型MOSFET11、13に夫々形成される寄生ダイオードD11、D13のカソード及びアノードは夫々、N型MOSFET11、13のドレイン及びソースに夫々接続される。N型MOSFET12とN型MOSFET14は、ソース電源ラインL1とシンク電源ラインL2との間に直列接続される。N型MOSFET12のソースとN型MOSFET14のドレインとの接続点P2は、端子Vtを介して駆動コイル300における一端とは反対側の他端に接続される。N型MOSFET12、14に夫々形成される寄生ダイオードD12、D14のカソード及びアノードは夫々、N型MOSFET12、14のドレイン及びソースに夫々接続される。
【0018】
===通電制御回路140、PWM合成回路130、同期整流回路120===
以下、図1を参照して、本実施形態における通電制御回路140、PWM合成回路130、同期整流回路120について説明する。
【0019】
通電制御回路140には、単相モータの回転数に応じた周波数を有するFG信号が入力される。FG信号は、例えばホール素子等の出力を基に生成される。通電制御回路140は、FG信号に基づいて、N型MOSFET11乃至14のオンオフを夫々制御するための論理信号UH2、VH2、UL2、VL2を出力する。駆動コイル300に対して駆動コイル300の一端から他端に向かう方向に駆動電流I1を供給する場合、通電制御回路140は、ハイレベルの論理信号UH2、VL2、ローレベルの論理信号VH2、UL2を出力する。駆動コイル300に対して駆動コイル300の他端から一端に向かう方向に駆動電流(以下、「駆動電流I1´」という)を供給する場合、通電制御回路140は、ハイレベルの論理信号VH2、UL2、ローレベルの論理信号UH2、VL2を出力する。駆動コイル300に駆動電流I1、I1´を供給しない場合、通電制御回路140は、ローレベルの論理信号UH2、UL2、VH2、VL2を出力する。尚、例えば、ハイレベルの論理信号UH2、VH2、UL2、VL2が夫々、N型MOSFET11乃至14を夫々オンするための論理信号であり、ローレベルの論理信号UH2、VH2、UL2、VL2が夫々、N型MOSFET11乃至14を夫々オフするための論理信号であるものとする。
【0020】
PWM合成回路130は、通電制御回路140から出力された論理信号UH2、UL2、VH2、VL2のうち論理信号UL2、VL2夫々とPWM信号とを合成して制御信号UL、VLを出力する。例えば、駆動コイル300に対して駆動電流I1を供給する場合、前述の通り、論理信号UL2、VL2は夫々、ローレベル、ハイレベルとなる。PWM合成回路130は、論理信号UL2、VL2夫々と、PWM信号との論理積をとって制御信号UL、VLを生成する。つまり、PWM合成回路130は、ローレベルの制御信号ULと、ハイレベルの期間にPWM信号のローレベルが間欠的に現れる制御信号VLとを出力する。例えば、駆動コイル300に対して駆動電流I1´を供給する場合、前述の通り、論理信号UL2、VL2は夫々、ハイレベル、ローレベルとなる。PWM合成回路130は、論理信号UL2、VL2夫々と、PWM信号との論理積をとって制御信号UL、VLを生成する。つまり、PWM合成回路130は、ローレベルの制御信号VLと、ハイレベルの期間にPWM信号のローレベルが間欠的に現れる制御信号ULとを出力する。論理信号UL2、VL2夫々とPWM信号との論理積に基づく制御信号を生成することを、論理信号UL2、VL2夫々とPWM信号とを合成するという。PWM合成回路130は、通電制御回路140から出力された論理信号UH2、UL2、VH2、VL2のうち論理信号UH2、VH2と同様な論理信号UH1、VH1を出力する。ここで、PWM信号は、単相モータの回転速度に比例したオンデューティが設定される、モータの回転速度を制御するための論理信号である。尚、オンデューティの詳細について後述する。駆動コイル300に対して駆動電流I1を供給する際、PWM信号がハイレベルの期間、N型MOSFET14はオンし、PWM信号がローレベルの期間、N型MOSFET14はオフする。駆動コイル300に対して駆動コイルI´を供給する際、PWM信号がハイレベルの期間、N型MOSFET13はオンし、PWM信号がローレベルの期間、N型MOSFET13はオフする。PWM信号のオンデューティは、PWM信号1周期内のパルス幅の比率のことであり、例えばN型MOSFET13、14におけるオンタイムとスイッチング周期(オンタイム+オフタイム)との比率である。尚、オンタイム(PWM信号が例えばハイレベルの期間)をオンデューティ期間、オフタイム(PWM信号が例えばローレベルの期間)をオフデューティ期間と称する。モータを最速の回転速度で回転させる場合、オンデューティは例えば100パーセントに設定される。モータを停止する場合、オンデューティは例えば0パーセントに設定される。モータを最速の回転速度の半分の回転速度で回転させる場合、オンデューティは例えば50パーセントに設定される。
【0021】
同期整流回路120は、例えばPWM合成回路130からの出力を、同期整流を行うための波形に変換して出力する。同期整流回路120には、例えばPWM合成回路130から出力された論理信号UH1、VH1、同期整流制御回路400の第5イネーブル信号ENB5が入力される。尚、同期整流、第5イネーブル信号ENB5の詳細については後述する。例えば、同期整流回路120は、論理信号UH1、VH1から夫々同期整流を行うための波形に変換した制御信号UH、VHを夫々N型MOSFET11、12のゲート夫々に対して印加する。
【0022】
===同期整流、逆流現象===
以下、図2乃至図5を参照して、本実施形態における同期整流、逆流現象について説明する。図2は駆動電流を説明するための回路図である。図3は回生電流を説明するための回路図である。図4はブレーキ電流を説明するための回路図である。図5は逆方向電流を説明するための回路図である。尚、図2乃至図5は、図1におけるHブリッジ回路110、検出抵抗21、比較回路22、駆動コイル300を、説明の便宜上、取り出した回路図であり、その他の構成については省略されている。
【0023】
例えば、駆動コイル300に対して駆動電流I1を供給する際の同期整流、逆流現象について説明する。
【0024】
<同期整流>
同期整流は、例えば、モータを駆動するときの発熱、消費電力を抑える際に用いられるモータ駆動回路の制御手法である。
【0025】
例えば、N型MOSFET11乃至14が夫々、オン、オフ、オフ、オン(以下、「第1の状態」という)の場合、電源、N型MOSFET11のドレインソース路、接続点P1、駆動コイル300、接続点P2、N型MOSFET14のドレインソース路、検出抵抗21、接地GNDの順に、駆動電流I1が流れる。その後、例えば、オンしているN型MOSFET14がPWM信号のオフデューティに従ってオフすると、駆動コイル300は、第1の状態の場合に駆動コイル300の一端から他端に向かって流れる駆動電流I1を維持しようとする。そのため、N型MOSFET11のドレインソース路、接続点P1、駆動コイル300、接続点P2、寄生ダイオードD12、N型MOSFET11のドレインソース路の順に、回生電流I2が流れる。この場合、回生電流I2と寄生ダイオードD12の順方向バイアスとによって、消費電力が増大する。そこで、PWM信号に従ってN型MOSFET14がオンからオフする場合、オフしているN型MOSFET12をオンすることによって、回生電流I2は、寄生ダイオードD12の順方向の抵抗よりも低いオン抵抗のN型MOSFET12のドレインソース路に流れて、発熱、消費電力を抑えることができる。このように、PWM信号に従ってN型MOSFET14がオンからオフする場合、N型MOSFET14と直列接続されて、オフしているN型MOSFET12をオンして、発熱、消費電力を抑える制御手法を同期整流という。
【0026】
<逆流現象>
逆流現象は、例えば、同期整流を行っている際に、接地GNDから電源に向かって逆方向電流I4が流れる現象である。つまり、シンク側電源ラインL2からソース側電源ラインL1に向けて逆方向電流I4が流れる現象である。
【0027】
例えば、第1の状態の場合、前述の通り、駆動電流I1が流れる。その後、例えばPWM信号に従ってN型MOSFET14がオフする場合に同期整流を行った際、前述の通り、回生電流I2が流れる。この場合、駆動コイル300にコイル電圧が発生し、そのコイル電圧を打ち消す方向にブレーキ電流I3が流れる。尚、ブレーキ電流I3は、N型MOSFET12のドレインソース路、接続点P2、駆動コイル300、接続点P1、N型MOSFET11のドレインソース路、N型MOSFET12のドレインソース路の順に流れる。このブレーキ電流I3は、駆動コイル300に対して駆動電流I1とは反対方向に供給される電流なので、モータの回転速度を減速させることになる。その後、例えば、オンしているN型MOSFET12がオフすると、駆動コイル300は、駆動コイル300の他端から一端に向かって流れるブレーキ電流I3を維持しようとする。そのため、接地GND、検出抵抗21、寄生ダイオードD14、接続点P2、駆動コイル300、接続点P1、N型MOSFET11のドレインソース路、電源の向きに、逆方向電流I4が流れる。
【0028】
例えば、駆動コイル300に対して駆動電流I1´を供給する際、N型MOSFET11乃至14が夫々、オフ、オン、オン、オフ(以下、「第2の状態」という)する。N型MOSFET13はPWM信号に従ってオンオフする。オンしているN型MOSFET13がPWM信号のオフデューティに従ってオフする場合に同期整流を行った際、回生電流I2とは反対方向に向かって回生電流(以下、「回生電流I2´」という)が流れる。この場合、駆動コイル300にコイル電圧が発生し、そのコイル電圧を打ち消す向き(回生電流I2´が流れる方向とは反対の向き)にブレーキ電流(以下、「ブレーキ電流I3´」という)が流れる。その後、例えば、オンしているN型MOSFET11がオフすると、駆動コイル300は、駆動コイル300の一端から他端に向かって流れるブレーキ電流I3´を維持しようとする。そのため、接地GND、検出抵抗21、寄生ダイオードD13、接続点P1、駆動コイル300、接続点P2、N型MOSFET12のドレインソース路、電源の向きに逆方向電流(以下、「逆方向電流I4´」という)が流れる。逆方向電流I4、I4´が流れる現象が、逆流現象である。
【0029】
===同期整流制御回路===
以下、図1を参照して、本実施形態における同期整流制御回路について説明する。
同期整流制御回路400は、検出抵抗21、比較回路22、マスク回路150(無効回路)、逆流防止回路160(第1禁止回路)、パルス幅測定回路170(第2禁止回路)、周波数カウンタ回路180(第3禁止回路)、AND回路31、32を有する。尚、検出抵抗21、比較回路22が検出回路に相当する。
【0030】
検出抵抗21は、Hブリッジ回路110を流れる電流を検出するための例えばシャント抵抗である。検出抵抗21は、シンク電源ラインL2におけるN型MOSFET13、14夫々のソースの接続点よりも端子Gt側に接続される。尚、検出抵抗21の端子Gt側の端部を一端P5とし、検出抵抗21における一端P5とは反対側の端部を他端P4とする。
【0031】
比較回路22は、検出抵抗21の一端P5と他端P4とに現れる電位を比較して、その比較結果を示す比較信号CMPを出力する。比較回路22の非反転入力端子は、検出抵抗21の他端P4と接続される。比較回路22の反転入力端子は、検出抵抗21の一端P5と接続される。他端P4の電位が一端P5の電位よりも高い場合、比較回路22は、ハイレベルの比較信号CMPを出力する。一方、他端P4の電位が一端P5の電位よりも低い場合、比較回路22は、ローレベルの比較信号CMPを出力する。
【0032】
マスク回路150は、比較信号CMPがハイレベルからローレベルに変化したときから、比較信号CMPを第1期間(所定期間)(例えば1.5マイクロ秒)マスクしてマスク信号MSKを出力する例えばアナログフィルタ回路である。ここで、比較信号CMPをマスクするとは、例えば後段の処理で比較信号CMPが使われるのを禁止することを示す。マスク回路150には、比較信号CMPが入力される。例えば、比較信号CMPがハイレベルになると、マスク回路150は、マスクを行わないでハイレベルのマスク信号MSKを出力する。一方、例えば、比較信号CMPがローレベルになると、マスク回路150は、比較信号CMPがローレベルになってからの第1期間は、比較信号をマスクするべくハイレベルになるマスク信号MSKを出力する。つまり、比較信号CMPがローレベルになってから第1期間が経過するまでは、マスク回路150は、ハイレベルのマスク信号MSKを出力し、比較信号CMPがローレベルになってから第1期間が経過した後、マスク回路150は、マスク回路150に入力された比較信号CMPと同様な論理レベルのマスク信号MSKを出力する。
【0033】
逆流防止回路160は、マスク信号MSKに基づいて、同期整流回路120による同期整流の許可/禁止を制御する回路である。逆流防止回路160は、マスク信号MSK、PWM信号が入力され、第1イネーブル信号ENB1を出力する。例えば、ハイレベルのマスク信号MSKが逆流防止回路160に入力された場合、逆流防止回路160は、PWM信号の論理レベルに関わらず、同期整流を許可するためのハイレベルの第1イネーブル信号ENB1を出力する。一方、例えば、ローレベルのマスク信号MSKが逆流防止回路160に入力された場合、逆流防止回路160は、ローレベルのマスク信号MSKが逆流防止回路160に入力されてから、例えばPWM信号の略2周期に相当する期間だけ同期整流を禁止するためのローレベルの第1イネーブル信号ENB1を出力した後、ハイレベルの第1イネーブル信号ENB1を出力する。尚、逆流防止回路160は、マスク信号MSKがハイレベルからローレベルになった後、逆流防止回路160に入力されるPWM信号の論理レベルがハイレベルからローレベルに変化する立下りエッジを計数することによって、ローレベルの第1イネーブル信号ENB1を出力する期間を計時する。PWM信号の略2周期に相当する期間は、例えば、ローレベルのマスク信号MSKが逆流防止回路160に入力されてから、逆流防止回路160がPWM信号の立下りエッジを例えば3回計数するまでの期間である。
【0034】
パルス幅測定回路170は、モータ駆動回路100に入力されたPWM信号のオンデューティ期間に基づいて、同期整流回路120による同期整流の許可/禁止を制御する第2イネーブル信号ENB2を出力する。パルス幅測定回路170は、PWM信号、クロック信号が入力される。クロック信号は、例えばPWM信号のオンデューティ期間を計時するための、PWM信号の周波数よりも十分に高い周波数の信号である。パルス幅測定回路170は、例えば、PWM信号の論理レベルがローレベルからハイレベルに変化する立上りエッジを検出してから、直後の立下りエッジを検出するまでの期間に基づいて、第2イネーブル信号ENB2を出力する。尚、上述したPWM信号の立上りエッジを検出してから直後の立下りエッジを検出するまでの期間が、PWM信号のオンデューティ期間に対応する。
【0035】
例えば、パルス幅測定回路170がPWM信号の立上りエッジを検出したとき、パルス幅測定回路170は、ローレベルの第2イネーブル信号ENB2を出力する。例えば、パルス幅測定回路170がPWM信号の立上りエッジを検出してから第1期間以内に、PWM信号の立下りエッジを検出しない(以下、「オンデューティ期間が第1期間よりも長い」という)場合、パルス幅測定回路170は、パルス幅測定回路170がPWM信号の立上りエッジを検出してから第2期間が経過したときにハイレベルの第2イネーブル信号ENB2を出力する。つまり、オンデューティ期間が第1期間よりも長い場合、パルス幅測定回路170は、ハイレベルの第2イネーブル信号ENB2を出力する。一方、例えば、パルス幅測定回路170がPWM信号の立上りエッジを検出してから第1期間以内に、PWM信号の立下りエッジを検出した(以下、「オンデューティ期間が第1期間よりも短い」という)場合、パルス幅測定回路170は、パルス幅測定回路170がPWM信号の立上りエッジを検出してから第2期間が経過した後もローレベルの第2イネーブル信号ENB2を出力し続ける。つまり、オンデューティ期間が第1期間よりも短い場合、パルス幅測定回路170は、ローレベルの第2イネーブル信号ENB2を出力する。この場合、パルス幅測定回路170は、オンデューティ期間が第2期間よりも長いPWM信号が検出されるまで、ローレベルの第2イネーブル信号ENB2を出力し続けるものとする。その後、例えば、オンデューティ期間が第2期間よりも長いPWM信号が検出された場合、パルス幅測定回路170は、ハイレベルの第2イネーブル信号ENB2を出力するものとする。
【0036】
周波数カウンタ回路180は、モータ駆動回路100に入力されたPWM信号の周波数に基づいて、同期整流回路120による同期整流の許可/禁止を制御する第3イネーブル信号ENB3を出力する。周波数カウンタ回路180は、PWM信号、クロック信号が入力される。周波数カウンタ回路180は、例えば、PWM信号の立上りエッジを検出してから、次の立上りエッジを検出するまでの期間に基づいて、第3イネーブル信号ENB3を出力する。尚、上述したPWM信号の立上りエッジを検出してから、次の立上りエッジを検出するまでの期間がPWM信号の周期に対応し、PWM信号の周期の逆数がPWM信号の周波数に対応する。
【0037】
例えば、PWM信号の周波数が所定周波数(例えば10キロヘルツ)よりも低い場合、周波数カウンタ回路180は、同期整流を禁止するためのローレベルの第3イネーブル信号ENB3を出力する。一方、例えば、PWM信号の周波数が所定周波数よりも高い場合、周波数カウンタ回路180は、同期整流を許可するためのハイレベルの第3イネーブル信号ENB3を出力する。尚、所定周波数の詳細については、後述する。
【0038】
AND回路32は、パルス幅測定回路170から出力される第2イネーブル信号ENB2、周波数カウンタ回路180から出力される第3イネーブル信号ENB3が入力され、第4イネーブル信号ENB4を出力する。AND回路31は、逆流防止回路160から出力される第1イネーブル信号ENB1、AND回路32から出力される第4イネーブル信号ENB4が入力され、第5イネーブル信号ENB5を出力する。例えば、第1乃至第3イネーブル信号ENB1、ENB2、ENB3が全てハイレベルの場合、第5イネーブル信号ENB5はハイレベルとなる。例えば、第1乃至第3イネーブル信号ENB1、ENB2、ENB3のうち、何れかのイネーブル信号がローレベルの場合、第5イネーブル信号ENB5はローレベルとなる。
【0039】
ここで、例えば、ハイレベルの第5イネーブル信号ENB5が同期整流回路120に入力された場合、同期整流回路120は、同期整流を行うものとする。一方、例えば、ローレベルの第5イネーブル信号ENB5が同期整流回路120に入力された場合、同期整流回路120は、同期整流を行わないものとする。よって、例えば、第1乃至第3イネーブル信号ENB1、ENB2、ENB3が全てハイレベルの場合、同期整流回路120の同期整流は許可された状態となる。例えば、第1乃至第3イネーブル信号ENB1、ENB2、ENB3のうち、何れかのイネーブル信号がローレベルの場合、同期整流回路120の同期整流は禁止された状態となる。
【0040】
===所定周波数===
以下、図1乃至図4を参照して、本実施形態における周波数カウンタ回路180で用いられる所定周波数について説明する。
【0041】
例えば、第1の状態の場合、前述の通り、駆動電流I1が流れる。その後、例えばN型MOSFET14がPWM信号のオフデューティに従ってオンからオフする場合に同期整流を行った際、前述の通り、駆動コイル300の一端から他端へ向かって回生電流I2が流れる。その後、駆動コイル300にコイル電圧が発生し、そのコイル電圧を打ち消すように、駆動コイル300の他端から一端へ向かってブレーキ電流I3が流れる。ここで、所定周波数は、例えば同期整流を開始してからブレーキ電流I3が流れるまでの時間T100の逆数とする。尚、同期整流を開始してからブレーキ電流I3が流れるまでの時間が、「駆動コイルに供給される電流の方向が同期整流を開始したときの方向とは反対方向に変化するような周期」に対応する時間である。同期整流を開始してからブレーキ電流I3が流れるまでの時間よりも短い時間が、「駆動コイルに供給される電流の方向が同期整流を開始したときの方向から変化しないような周期」に対応する時間である。
【0042】
例えば、PWM信号の周波数が所定周波数よりも低い周波数に設定された場合、回生電流I2が減衰して、回生電流I2とは反対方向に流れるブレーキ電流I3が発生する状態となる。一方、例えば、PWM信号の周波数が所定周波数よりも高い周波数に設定された場合、回生電流I2が減衰する前に、同期整流が停止する。よって、例えば、PWM信号の周波数が所定周波数よりも高い周波数に設定された場合、ブレーキ電流I3が発生しない状態となる。
【0043】
===モータ駆動回路の動作===
以下、図1乃至図7を参照して、本実施形態におけるモータ駆動回路の動作について説明する。図6は、本実施形態におけるPWM信号のオンデューティ期間が短くなる場合のモータ駆動回路の信号を示す波形図である。図7は、本実施形態におけるPWM信号の周波数が低くなる場合のモータ駆動回路の信号を示す波形図である。
【0044】
例えば、PWM信号のオンデューティ期間が短くなる場合、PWM信号の周波数が低くなる場合に分けて説明する。尚、駆動コイル300に対して、駆動コイル300の一端から他端に向かう方向に駆動電流I1を供給する際のモータ駆動回路100の動作と、駆動コイル300の他端から一端に向かう方向に駆動電流I1´を供給する際のモータ駆動回路100の動作は同様であるので、駆動コイル300に対して、駆動コイル300の一端から他端に向かう方向に駆動電流I1を供給する際のモータ駆動回路100の動作について説明し、駆動コイル300の他端から一端に向かう方向に駆動電流I1´を供給する際のモータ駆動回路100の動作の説明は省略する。
【0045】
例えば、N型MOSFET11乃至13が夫々、オン、オフ、オフのとき、N型MOSFET14がPWM信号に従ってオンオフする際の動作について説明する。
【0046】
<PWM信号のオンデューティ期間が短くなる場合>
例えば、PWM信号のオンデューティ期間が短くなる際、逆方向電流I4が発生しない場合(時刻T1から時刻T6)、オンデューティ期間が短い場合(時刻T6から時刻T13)、逆方向電流I4が発生する場合(時刻T13から時刻T20)に分けて説明する。尚、PWM信号のオンデューティ期間が短くなる場合のPWM信号の周波数は、所定周波数よりも高いものとし、周波数カウンタ回路180は、ハイレベルの第3イネーブル信号ENB3を出力し続けるものとする。
【0047】
(1)逆方向電流I4が発生しない場合(時刻T1から時刻T6)
例えば、PWM信号がローレベルからハイレベルに変化して、N型MOSFET14がオンした際(時刻T1)、逆方向電流I4が検出されない場合、比較回路22は、ハイレベルの比較信号CMPを出力する。このとき、マスク回路150、逆流防止回路160は夫々、ハイレベルのマスク信号MSK、第1イネーブル信号ENB1を出力する。パルス幅測定回路170は、ローレベルの第2イネーブル信号ENB2を第2期間(時刻T1から時刻T2までの期間)出力した後、ハイレベルの第2イネーブル信号ENB2を出力する。第4イネーブル信号ENB4、第5イネーブル信号ENB5は、第2イネーブル信号ENB2と同様な論理レベルの信号となる。よって、例えば、時刻T3から時刻T4、時刻T5から時刻T6までの期間、PWM信号がローレベルとなってN型MOSFET14がオフする際、第5イネーブル信号ENB5はハイレベルとなるので、同期整流回路120の同期整流は許可される。同期整流回路120によって行われる同期整流の動作については、前述したのでその説明は省略する。
【0048】
(2)オンデューティ期間が短い場合(時刻T6から時刻T13)
例えば、PWM信号がローレベルからハイレベルに変化して、N型MOSFET14がオンした際(時刻T6)、逆方向電流I4が検出された場合、比較回路22は、ローレベルの比較信号CMPを出力する。このときのPWM信号のオンデューティ期間(時刻T6から時刻T7)が第1期間、第2期間よりも短いものとする。尚、前述の通り、PWM信号がローレベルからハイレベルに変化して、オフしているN型MOSFET14がオンする直前に、ブレーキ電流I3が発生している場合、PWM信号のオンデューティ期間の長さに関わらず、PWM信号がローレベルからハイレベルに変化してN型MOSFET14がオンする際、オンしているN型MOSFET12がオフするときに逆方向電流I4は発生する。例えば、時刻T5から時刻T6までの期間にブレーキ電流I3が発生していたために、時刻T6にPWM信号がローレベルからハイレベルに変化したとき、逆方向電流I4が発生するものとする。比較回路22は、時刻T6から時刻T7までの期間ローレベルの比較信号CMPを出力する。マスク回路150は、第1期間ローレベルの比較信号CMPをマスクするので、ハイレベルのマスク信号MSKを出力し続ける。逆流防止回路160は、ハイレベルの第1イネーブル信号ENB1を出力する。パルス幅測定回路170は、PWM信号の立上りエッジを検出したとき(時刻T6)からローレベルの第2イネーブル信号ENB2を出力する。パルス幅測定回路170で検出されるPWM信号のオンデューティ期間が第1期間よりも短いので、パルス幅測定回路170は、オンデューティ期間が第2期間よりも長いPWM信号が検出される時刻T11までローレベルの第2イネーブル信号ENB2を出力し続ける。その後、パルス幅測定回路170は、ハイレベルの第2イネーブル信号ENB2を出力する(時刻T11から時刻T13)。第4イネーブル信号ENB4、ENB5は、第2イネーブル信号ENB2と同様な論理レベルの信号となる。よって、例えば、時刻T7から時刻T8、時刻T9から時刻T10までの期間、PWM信号がローレベルとなってN型MOSFET14がオフする際、第5イネーブル信号ENB5はローレベルとなるので、同期整流回路120の同期整流は禁止される。例えば、時刻T12から時刻T13までの期間、PWM信号がローレベルとなってN型MOSFET14がオフする際、第5イネーブル信号ENB5はハイレベルとなるので、同期整流回路120の同期整流は許可される。
【0049】
(3)逆方向電流I4が発生する場合(時刻T13から時刻T20)
例えば、PWM信号がローレベルからハイレベルに変化して、N型MOSFET14がオンする際、オンしているN型MOSFET12がオフするとき(時刻T13)、逆方向電流I4が検出された場合、比較回路22は、ローレベルの比較信号CMPを出力する。尚、逆方向電流I4は、例えば第1期間、第2期間よりも長い期間(時刻T13から時刻T15)検出されるものとする。比較回路22は、時刻T13から時刻T15までの期間ローレベルの比較信号CMPを出力する。マスク回路150は、第1期間(時刻T13から時刻T14)ローレベルの比較信号CMPをマスクして、時刻T13から時刻T14までの期間、ハイレベルのマスク信号MSKを出力した後、時刻T14から時刻T15までの期間ローレベルのマスク信号MSKを出力する。逆流防止回路160は、ローレベルのマスク信号MSKが出力されてから(時刻T14)、例えばPWM信号の略2周期に相当する期間(時刻T14からT20)、ローレベルの第1イネーブル信号ENB1を出力する。パルス幅測定回路170は、逆方向電流I4が発生しない場合(時刻T1から時刻T6)と同様な第2イネーブル信号ENB2を出力する。第4イネーブル信号ENB4は、第2イネーブル信号ENB2と同様な論理レベルの信号となる。第5イネーブル信号ENB5は、第1イネーブル信号ENB1と同様な論理レベルの信号となる。よって、例えば、時刻T16から時刻T17、時刻T18から時刻T19までの期間、PWM信号がローレベルとなってN型MOSFET14がオフする際、第5イネーブル信号ENB5はローレベルとなるので、同期整流回路120の同期整流は禁止される。
【0050】
<PWM信号の周波数が低くなる場合>
例えば、時刻T21から時刻T29までの期間では、PWM信号の周波数は所定周波数よりも高く、時刻T29から時刻T35までの期間では、PWM信号の周波数は所定周波数よりも低いものとする。例えば、PWM信号の周波数が低くなる際、PWM信号の周波数が所定周波数よりも高い場合(時刻T21から時刻T29)、PWM信号の周波数が所定周波数よりも低い場合(時刻T29から時刻T35)に分けて説明する。尚、PWM信号の周波数が低くなる場合のPWM信号のオンデューティ期間は、第1期間より長いものとし、パルス幅測定回路170は、逆方向電流I4が発生しない場合(時刻T1から時刻T6)と同様な第2イネーブル信号ENB2を出力するものとする。
【0051】
(1)PWM信号の周波数が所定周波数よりも高い場合(時刻T21から時刻T29)
例えば、PWM信号がローレベルからハイレベルに変化して、N型MOSFET14がオンした際(時刻T21)、逆方向電流I4が検出された場合、比較回路22は、ローレベルの比較信号CMPを出力する。尚、逆方向電流I4は、例えば第1期間、第2期間よりも長い期間(時刻T21から時刻T23)検出されるものとする。比較回路22は、時刻T21から時刻T23までの期間ローレベルの比較信号CMPを出力する。マスク回路150は、第1期間(時刻T21から時刻T22)ローレベルの比較信号CMPをマスクして、時刻T21から時刻T22までの期間、ハイレベルのマスク信号MSKを出力した後、時刻T22から時刻T23までの期間ローレベルのマスク信号MSKを出力する。逆流防止回路160は、ローレベルのマスク信号MSKが出力されてから(時刻T22)、例えばPWM信号の略2周期に相当する期間(時刻T22から時刻T28)、ローレベルの第1イネーブル信号ENB1を出力した後、ハイレベルの第1イネーブル信号ENB1を出力する。前述の通り、時刻T21から時刻T29までの期間では、PWM信号の周波数は所定周波数よりも高いので、周波数カウンタ回路180は、時刻T21から時刻T29までの期間、ハイレベルの第3イネーブル信号ENB3を出力する。第4イネーブル信号ENB4は、第2イネーブル信号ENB2と同様な論理レベルの信号となる。第5イネーブル信号ENB5は、時刻T21から時刻T28までの期間ローレベルとなり、時刻T28から時刻T29までの期間ハイレベルとなる。よって、例えば、時刻T24から時刻T25、時刻T26から時刻T27までの期間、PWM信号がローレベルとなってN型MOSFET14がオフする際、第5イネーブル信号ENB5はローレベルとなるので、同期整流回路120の同期整流は禁止される。例えば、時刻T28から時刻T29までの期間、PWM信号がローレベルとなってN型MOSFET14がオフする際、第5イネーブル信号ENB5はハイレベルとなるので、同期整流回路120の同期整流は許可される。
【0052】
(2)PWM信号の周波数が所定周波数よりも低い場合(時刻T29から時刻T35)
例えば、PWM信号がローレベルからハイレベルに変化して、N型MOSFET14がオンする際、オンしているN型MOSFET12がオフするとき(時刻T29)、逆方向電流I4が検出されない場合、比較回路22は、ハイレベルの比較信号CMPを出力する。このとき、マスク回路150、逆流防止回路160は夫々、ハイレベルのマスク信号MSK、第1イネーブル信号ENB1を出力する。前述の通り、時刻T29から時刻T35までの期間では、PWM信号の周波数は所定周波数よりも低いので、周波数カウンタ回路180は、例えば時刻T29から時刻T32までの期間に対応するPWM信号の周期に基いて、所定周波数よりも低いPWM信号の周波数を検出する。周波数カウンタ回路180は、時刻T29から時刻T32までの期間ハイレベルの第3イネーブル信号ENB3を出力し、時刻T32から時刻T35までの期間ローレベルの第3イネーブル信号ENB3を出力する。第4イネーブル信号ENB4は、時刻T29から時刻T30までの期間ローレベルとなり、時刻T30から時刻T32までの期間ハイレベルとなり、時刻T32から時刻T35までの期間ローレベルとなる。第5イネーブル信号ENB5は、第4イネーブル信号ENB4と同様な論理レベルの信号となる。よって、例えば、時刻T31から時刻T32までの期間、PWM信号がローレベルとなってN型MOSFET14がオフする際、第5イネーブル信号ENB5はハイレベルとなるので、同期整流回路120の同期整流は許可される。例えば、時刻T33から時刻T34までの期間、PWM信号がローレベルとなってN型MOSFET14がオフする際、第5イネーブル信号ENB5はローレベルとなるので、同期整流回路120の同期整流は禁止される。
【0053】
前述したように、駆動コイル300は、直列接続されるN型MOSFET11及びN型MOSFET13の接続点P1と、直列接続されるN型MOSFET12及びN型MOSFET14の接続点P2と、の間に接続される。駆動コイル300に対して駆動電流I1、I´を供給する場合、N型MOSFET11、14と、N型MOSFET12、13は相補的にオンオフされる。そのとき、シンクトランジスタとしてのN型MOSFET13、14はPWM信号に従ってオンオフする。例えば、駆動コイル300に対して、駆動コイル300の一端から他端に向かう方向に駆動電流I1を供給する際、N型MOSFET11がオンしているときに、N型MOSFET14がPWM信号に従ってオンオフする。この場合、モータ駆動回路100では、N型MOSFET14がPWM信号に従ってオフする期間、オフしているN型MOSFET12をオンする同期整流が行われる。検出抵抗21と比較回路22は、N型MOSFET14からN型MOSFET11の方向へ、又は、N型MOSFET13からN型MOSFET12の方向へ流れる逆方向電流I4を検出する。例えば、逆方向電流I4を検出しない場合、比較回路22は、ハイレベルの比較信号CMPを出力し、逆方向電流I4を検出した場合、比較回路22は、ローレベルの比較信号CMPを出力する。マスク回路150は、比較回路22が逆方向電流I4を検出した際に出力される例えばローレベルの比較信号CMPを第1期間マスクして、マスク信号MSKを出力する。逆流防止回路160は、例えばローレベルのマスク信号MSKが入力された場合、同期整流を禁止するためのローレベルの第1イネーブル信号ENB1を出力する。PWM信号の各オンデューティ期間が第1期間よりも短い場合、パルス幅測定回路170は、逆流防止回路160の動作に関わらず、同期整流を禁止するためのローレベルの第2イネーブル信号ENB2を出力する。よって、例えばHブリッジ回路110で逆方向電流I4が発生した際、逆流防止回路160によって同期整流が禁止されるので、逆方向電流I4の発生を防止できる。更に、例えば、PWM信号の各オンデューティ期間が例えば第1期間よりも短く、逆流防止回路160によって同期整流が禁止できない場合、パルス幅測定回路170によって同期整流を禁止して、逆方向電流I4の発生を確実に防止できる。
【0054】
又、PWM信号の周波数が所定周波数よりも低い場合、周波数カウンタ回路180は、逆流防止回路160、パルス幅測定回路170の動作に関わらず、同期整流を禁止するためのローレベルの第3イネーブル信号ENB3を出力する。よって、逆方向電流I4の発生の原因となるブレーキ電流I3が発生する可能性がある場合、同期整流が禁止される。従って、逆方向電流I4の発生を更に確実に防止できる。又、同期整流によるブレーキ電流I3の発生を防止できるので、モータの回転速度がブレーキ電流I3によって変化するのを防止して、モータを安定的に駆動するモータ駆動回路100を提供できる。
【0055】
又、パルス幅測定回路170が同期整流を禁止するローレベルの第2イネーブル信号ENB2を出力しているとき、PWM信号の各オンデューティ期間が例えば第2期間よりも長くなると、パルス幅測定回路170は、同期整流を許可するハイレベルの第2イネーブル信号ENB2を出力する。つまり、例えば、逆流防止回路160で逆方向電流I4の発生を防止できる場合、パルス幅測定回路170は、同期整流を許可するハイレベルの第2イネーブル信号ENB2を出力する。よって、同期整流回路120の同期整流によって、駆動コイル300に対して駆動電流I1を供給するときの、モータ駆動回路100の発熱、消費電力を抑えることができる。
【0056】
又、周波数カウンタ回路180が同期整流を禁止するローレベルの第3イネーブル信号ENB3を出力しているとき、PWM信号の周波数が所定周波数よりも高くなると、周波数カウンタ回路180は、同期整流を許可するハイレベルの第2イネーブル信号ENB2を出力する。つまり、例えば、方向電流I4の発生の原因となるブレーキ電流I3が発生する可能性がない場合、周波数カウンタ回路180は、同期整流を許可するハイレベルの第3イネーブル信号ENB3を出力する。よって、同期整流回路120の同期整流によって、駆動コイル300に対して駆動電流I1を供給するときの、モータ駆動回路100の発熱、消費電力を抑えることができる。
【0057】
尚、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0058】
本実施形態においては、モータ駆動回路100が、図6、図7に示される論理に基づいて動作する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図6、図7に示された論理を反転させた論理に基づいて動作する構成としてもよい。その場合、例えばAND回路31、32を夫々OR回路に置き換えるものとする。
【0059】
本実施形態においては、単相モータの駆動コイル300に駆動電流I1を供給するモータ駆動回路100の逆方向電流I4、I4´の発生を防止する構成について説明したが、これに限定されるもではない。例えば、三相モータを駆動するモータ駆動回路の逆方向電流の発生を防止する構成としてもよい。例えば、三相モータがセンサ付きモータの場合、ロータの位置を検出するホール素子から出力されたFG信号に基づいて、通電制御回路が論理信号を生成する構成とし、同期整流制御回路400を設けて、逆方向電流の発生を防止してもよい。又、例えば、三相モータがセンサレスモータの場合、三相の駆動コイルが夫々に発生する逆起電圧に基づいて生成されたFG信号に基づいて、通電制御回路が論理信号を生成する構成とし、同期整流制御回路400を設けて、逆方向電流の発生を防止してもよい。又、三相モータを駆動する場合、図1に示される通電制御回路140を、FG信号に基づいて三相(U相、V相、V相)の駆動コイルに駆動電流を供給するための論理信号を生成する回路に置き換えるものとする。
【0060】
本実施形態においては、Hブリッジ回路110、検出抵抗21が、例えば集積回路であるモータ駆動回路100に含まれる構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、モータ駆動回路100に、Hブリッジ回路、検出抵抗を接続するための端子を設けて、モータ駆動回路100に対して、外付けのHブリッジ回路、検出抵抗を接続する構成としてもよい。つまり、Hブリッジ回路、検出抵抗のうち、少なくとも一方を外付けとしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
11、12、13、14 N型MOSFET
21 検出抵抗
22 比較回路
31、32 AND回路
100 モータ駆動回路
110 Hブリッジ回路
120 同期整流回路
130 PWM合成回路
140 通電制御回路
150 マスク回路
160 逆流防止回路
170 パルス幅測定回路
180 周波数カウンタ回路
200 マイコン
300 駆動コイル
400 同期整流制御回路
CMP 比較信号
D11、D12、D13、D14 寄生ダイオード
L1 ソース電源ライン
L2 シンク電源ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続される第1ソース側トランジスタ及び第1シンク側トランジスタの第1接続点と、直列接続される第2ソース側トランジスタ及び第2シンク側トランジスタの第2接続点と、の間に接続される駆動コイルに対して駆動電流を供給するべく、前記第1ソース側トランジスタ及び前記第2シンク側トランジスタと、前記第2ソース側トランジスタ及び前記第1シンク側トランジスタと、を相補的にオンオフする場合、前記第1又は第2シンク側トランジスタをPWM信号に従ってオンオフし、前記第1又は第2シンク側トランジスタが前記PWM信号に従ってオフする期間、オフしている前記第1又は第2ソース側トランジスタをオンする同期整流を行うモータ駆動回路であって、
前記第1シンク側トランジスタから前記第2ソース側トランジスタの方向へ、又は、前記第2シンク側トランジスタから前記第1ソース側トランジスタの方向へ流れる逆方向電流を検出する検出回路と、
前記検出回路が前記逆方向電流の検出を開始してから所定期間、前記検出回路の検出出力を無効にする無効回路と、
前記検出回路が前記逆方向電流の検出を開始してから前記所定期間が経過した場合、前記検出回路の検出出力に従って前記同期整流を禁止する第1禁止回路と、
前記第1又は第2シンク側トランジスタをオンする前記PWM信号の各オンデューティ期間が前記所定期間よりも短い場合、前記第1禁止回路の動作に関わらず、前記同期整流を禁止する第2禁止回路と、
を備えたことを特徴とするモータ駆動回路。
【請求項2】
前記PWM信号の周期が、前記駆動コイルに供給される電流の方向が前記同期整流を開始したときの方向とは反対方向に変化するような周期である場合、前記第1又は第2禁止回路の動作に関わらず、前記同期整流を禁止する第3禁止回路
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動回路。
【請求項3】
前記第2禁止回路は、
前記同期整流を前記第2禁止回路によって禁止しているとき、前記PWM信号の各オンデューティ期間が前記所定期間よりも長くなると、前記同期整流を許可する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ駆動回路。
【請求項4】
前記第3禁止回路は、
前記同期整流を前記第3禁止回路によって禁止しているとき、前記PWM信号の周期が、前記駆動コイルに供給される電流の方向が前記同期整流を開始したときの方向から変化しないような周期になると、前記同期整流を許可する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のモータ駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−90415(P2013−90415A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228168(P2011−228168)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(300057230)セミコンダクター・コンポーネンツ・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (119)
【Fターム(参考)】