説明

モータ

【課題】耐衝撃性及び耐振動性を向上させると共に、低電流によるモータ駆動ができるようにして性能及び寿命を向上させるモータを提供すること。
【解決手段】モータ400のシャフト110が挿入されシャフト110の回転を支持する固定部材200と、シャフト110と連動して回転する回転部材300と、固定部材200及び回転部材300の一方に形成され、回転部材300の浮上を防止するストッパー部140と、固定部材200及び回転部材300の他方に形成され、ストッパー部140と干渉して回転部材300の浮上を防止する浮上防止部130と、ストッパー部140と浮上防止部130の間でオイルがシーリングされるようにし、ストッパー部140と浮上防止部130のうち少なくとも一方に突出して形成され、ストッパー部140と浮上防止部130の間のオイルシーリング間隔170を最小化する流出防止部145とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータに関し、さらに詳しくは、耐衝撃性・耐振動性を向上させることができるモータに関する。
【背景技術】
【0002】
情報保存装置の一つであるハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)は、記録再生ヘッド(read/write head)を使用してディスクに保存されたデータを再生、またはディスクにデータを記録する装置である。
【0003】
このようなハードディスクドライブは、ディスクを駆動させるためのディスク駆動装置が必要であり、上記ディスク駆動装置には小型のスピンドルモータが使用される。
【0004】
このような小型のスピンドルモータには流体動圧軸受アセンブリーが利用されており、上記流体動圧軸受アセンブリーの回転部材の一つであるシャフトと固定部材の一つであるスリーブの間にはオイルが介在し、上記オイルから発生する流体圧力によってシャフトを支持するようになる。
【0005】
また、スピンドルモータの回転部材と固定部材の間に充填されるオイルはシーリングされているが、これは毛細管現象と上記オイルの表面張力を用いて上記オイルをシーリングしているものである。
【0006】
このような流体動圧軸受アセンブリー及びオイルのシーリング構造を採択しているスピンドルモータは、衝撃や振動が加わったとしても、シーリングされた上記オイルの漏れを防ぐことが重要である。
【0007】
衝撃や振動によってシーリングされたオイルが漏れた場合、モータ高速回転時のノイズ騒音、振動及びNRRO(Non−Repeatable Runout)が発生するようになり、これがモータの寿命に深刻な影響を及ぼす。
【0008】
したがって、スピンドルモータに衝撃または振動が加わったとしても、回転部材の動きを抑制し、シーリングされたオイルの界面移動を防ぐ必要がある。
【0009】
結果的に、衝撃または振動によるシーリングされたオイルの漏れを防止し、モータの特性及び寿命を向上させる方案が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は回転部材と固定部材の間またはストッパー部と浮上防止部との間の隙間を調節して耐衝撃性及び耐振動性を向上させると共に、低電流によるモータ駆動ができるようにして性能及び寿命を向上させるモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施例によるモータは、シャフトが挿入され、上記シャフトの回転を支持する固定部材と、上記シャフトと連動して回転する回転部材と、上記固定部材及び回転部材の一方に形成され、上記回転部材の浮上を防止するストッパー部と、上記固定部材及び回転部材の他方に形成され、上記ストッパー部と干渉して上記回転部材の浮上を防止する浮上防止部と、上記ストッパー部と上記浮上防止部の間でオイルがシーリングされるようにし、上記ストッパー部と上記浮上防止部のうち少なくとも一方に突出して形成され、上記ストッパー部と上記浮上防止部の間のオイルシーリング間隔を最小化する流出防止部と、を含むことができる。
【0012】
本発明の一実施例によるモータにおいて、上記流出防止部が形成された上記ストッパー部または上記浮上防止部の一面は、上記流出防止部の一端から上記オイルの界面方向に段差のある平面であることを特徴とすることができる。
【0013】
本発明の一実施例によるモータにおいて、上記流出防止部が形成された上記ストッパー部または上記浮上防止部の一面は、上記流出防止部の一端から上記オイルの界面方向に増加するオイルシーリング間隔を備えるよう、テーパー状に形成されることを特徴とすることができる。
【0014】
本発明の一実施例によるモータにおいて、上記流出防止部が形成された上記ストッパー部または上記浮上防止部の一面のうち、上記オイルの界面と上記流出防止部の間に上記オイル界面から上記流出防止部の方向にオイルをポンピングするポンピング溝が形成されたことを特徴とすることができる。
【0015】
本発明の一実施例によるモータにおいて、上記ポンピング溝は、スパイラル形状またはヘリングボーン形状のうち少なくとも一方の形状に形成されたことを特徴とすることができる。
【0016】
本発明の他の一実施例によるモータは、シャフトの上端が軸方向上側に突出するように上記シャフトを支持するスリーブと、上記シャフトと連動して回転する回転部材と、上記スリーブの軸方向上側に突出した上記シャフトに結合され、スラスト動圧を提供するスラストプレートと、上記スラストプレートの上側から上記スリーブに結合され、上記スラストプレートの間でオイルがシーリングされるようにするキャップ部材と、上記スラストプレートと上記キャップ部材の間でオイルがシーリングされるようにし、上記スラストプレートと上記キャップ部材のうち少なくとも一方に突出して形成され、上記スラストプレートと上記キャップ部材の間のオイルシーリング間隔を最小化する流出防止部と、を含むことができる。
【0017】
本発明の他の一実施例によるモータにおいて、上記流出防止部が形成された上記スラストプレートまたは上記キャップ部材の一面は、上記流出防止部の一端から上記オイルの界面方向に段差のある平面であることを特徴とすることができる。
【0018】
本発明の他の一実施例によるモータにおいて、上記流出防止部が形成された上記スラストプレートまたは上記キャップ部材の一面は、上記流出防止部の一端から上記オイルの界面方向に増加するオイルシーリング間隔を備えるよう、テーパー状に形成されることを特徴とすることができる。
【0019】
本発明の他の一実施例によるモータにおいて、上記流出防止部が形成された上記スラストプレートまたは上記キャップ部材の一面のうち、上記オイルの界面と上記流出防止部の間に上記オイル界面から上記流出防止部の方向にオイルをポンピングするポンピング溝が形成されたことを特徴とすることができる。
【0020】
本発明の他の一実施例によるモータの上記ポンピング溝は、スパイラル形状またはヘリングボーン形状のうち少なくとも一方の形状に形成されたことを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるモータによると、耐衝撃性及び耐振動性の向上及び低電流による駆動が可能となる。
また、オイルがシーリングされる回転部材と固定部材、またはストッパー部と浮上防止部の間のギャップ調節により、回転部材の過浮上を防止しモータ駆動時の損失を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例によるモータを示した概略断面図である。
【図2】本発明の一実施例によるモータに提供される流体動圧軸受アセンブリーを示した概略断面図である。
【図3】図2のAの他の実施例による拡大図である。
【図4】本発明の一実施例によるモータに提供されるキャップ部材のポンピング溝を示すためのキャップ部材の概略底面図である。
【図5】本発明の一実施例によるモータに提供されるキャップ部材のポンピング溝を示すためのキャップ部材の概略底面図である。
【図6】本発明の他の一実施例によるモータを示した概略断面図である。
【図7】図6のBの他の実施例による拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では図面を参照し本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。但し、本発明の思想は提示される実施例に限らず、本発明の思想を理解する当業者は同一思想の範囲内で他の構成要素の追加、変更、削除等を通して退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施例を容易に提案することができ、これも本願発明の思想の範囲内に含まれる。
【0024】
また、各実施例の図面に示す同一または類似する思想の範囲内で機能が同一の構成要素は同一または類似する参照符号を用いて説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施例によるモータを示した概略断面図である。
【0026】
図1を参照すると、本発明の一実施例によるモータ400は、流体動圧軸受アセンブリー100、固定部材200、及び回転部材300を含むことができる。
【0027】
まず、方向に対する用語を定義すると、軸方向は図1及び図2においてシャフト110を基準に上下方向を意味し、外径または内径方向はシャフト110を基準に上記ローターケース310の外側端方向またはローターケース310の外側端を基準にシャフト110の中心方向を意味する。
【0028】
上記流体動圧軸受アセンブリー100は、シャフト110、スリーブ120、スラストプレート130、キャップ部材140及びベースカバー150を含むことができ、上記シャフト110及びスラストプレート130は上記回転部材300に含まれ、それ以外の構成は上記固定部材200に含まれることができる。
【0029】
ここで、上記流体動圧軸受アセンブリー100については図2を参照して後述することにして、まずは、固定部材200及び回転部材300のうち、上記流体動圧軸受アセンブリー100に含まれない構成について説明する。
【0030】
上記固定部材200は、コイル210、コア220及びベース230を含むことができる。
【0031】
即ち、上記固定部材200は電源印加の際一定の大きさの電磁力を発生させるコイル210と、上記コイル210が巻線される複数のコア220とを備える固定構造物であることができる。
【0032】
上記コア220は、パターン回路が印刷された印刷回路基板(図示せず)が備えられるベース230の上部に固定配置され、上記コイル210と対応するベース230の上部面には、上記コイル210を下部へ露出させるよう一定の大きさのコイル孔が複数貫通形成されることができ、上記コイル210は外部電源が供給されるよう上記印刷回路基板(図示せず)と電気的に連結されることができる。
【0033】
上記ベース230は、後述するスリーブ120の外周面が圧入固定され、上記コイル210が巻線されるコア220が挿入されることができ、上記ベース230の内面または上記スリーブ120の外面に接着剤を塗布して組み立てられることができる。
【0034】
上記回転部材300は、上記固定部材200に対して回転可能に備えられる回転構造物で、上記コア220と一定の間隔をおいて交互対応する環状のマグネット320を外周面に備えるローターケース310を含むことができる。
【0035】
また、上記マグネット320は、円周方向にN極とS極が交互に着磁され一定の強度の磁力を発生させる永久磁石として備えられる。
【0036】
ここで、上記ローターケース310は、シャフト110の上端に圧入固定されるようにするハブベース312と、上記ハブベース312から外径方向に延長され、軸方向下側に曲げられて上記マグネット320を支持するマグネット支持部314からなることができる。
【0037】
図2は、本発明の一実施例によるモータに提供される流体動圧軸受アセンブリーを示した概略断面図であり、図3は、図2のAの他の実施例による拡大図である。
【0038】
図2を参照すると、本発明の一実施例によるモータ400に提供される流体動圧軸受アセンブリー100は、シャフト110、スリーブ120、スラストプレート130、キャップ部材140及び流出防止部145を含むことができる。
【0039】
上記スリーブ120は、上記シャフト110の上端が軸方向上側に突出するように上記シャフト110を支持することができ、CuまたはAlを鍛造したり、Cu−Fe系合金粉末またはSUS系粉末を焼結することによって形成されることができる。
【0040】
ここで、上記シャフト110は、上記スリーブ120の軸孔と微細な隙間を有するように挿入され、上記微細な隙間にはオイルが充電され上記シャフト110の外径及び上記スリーブ120の内径のうち少なくとも一方に形成されるラジアル動圧溝によって回転部材300である上記シャフト110の回転をさらに柔らかく支持することができる。
【0041】
上記ラジアル動圧溝は、上記スリーブ120の軸孔の内部である上記スリーブ120の内側面に形成され、上記シャフト110の回転時に一方に偏るように圧力を形成させるようになる。
【0042】
但し、上記ラジアル動圧溝は、上述したように、上記スリーブ120の内側面に設けられるものに限らず、上記シャフト110の外径部に設けられることもでき、その数も制限されていない。
【0043】
上記スリーブ120は、スリーブ120の上部と下部を連通するように形成されるバイパスチャンネル105を備え、流体動圧軸受アセンブリー100の内部のオイルの圧力を分散してバランスを保つことができ、かつ上記流体動圧軸受アセンブリー100の内部に存在する気泡などが循環により排出されるように移動させることもできる。
【0044】
ここで、上記スリーブ120の軸方向下部は隙間を保った状態で上記スリーブ120と結合し、上記隙間ではオイルを収容するベースカバー150が結合されることができる。
【0045】
上記ベースカバー150は、上記スリーブ120の間の隙間にオイルを収容し、それ自体で上記シャフト110の下面を支持する軸受としての機能を行うことができる。
【0046】
上記スラストプレート130は、上記スリーブ120の軸方向上部に配置され上記シャフト110に結合され、中央にシャフト110の断面に相応するホールを備えるが、このホールには上記シャフト110が挿入されることができる。
【0047】
この時、上記スラストプレート130は、別に製造されて上記シャフト110に結合されてもよいが、製造時から上記シャフト110と一体に形成されてもよく、上記シャフト110の回転運動時に上記シャフト110に沿って回転運動するようになる。
【0048】
また、上記スラストプレート130は、後述するキャップ部材140との干渉による上記回転部材300の浮上を防止することができ、この側面から、上記スラストプレート130は機能的に浮上防止部130とも言える。
【0049】
上記スラストプレート130の上面には、上記シャフト110にスラスト動圧を提供するスラスト動圧溝が形成されることができる。
【0050】
上記スラスト動圧溝は、上述したように、上記スラストプレート130の上面に形成されるものに限らず、上記スラストプレート130の上面に対応する、後述するキャップ部材140の内周面または上記スラストプレート130の下面に対応するスリーブ120の上面にも形成されることができる。
【0051】
また、上記スラストプレート130は、後述するキャップ部材140の間に流出防止ギャップ160とオイルシーリングギャップ170を形成することができ、これについては後述する。
【0052】
キャップ部材140は、上記スラストプレート130の上側から上記スリーブに結合され、上記スラストプレート130の間でオイルがシーリングされるようにする部材であり、上記スリーブ120に圧入されるよう上記スリーブ120の上面は内径方向に段差のある溝を備えて上記キャップ部材140が挿入されることができる。
【0053】
但し、図示していないが、上記キャップ部材140は、上記スラストプレート130と上記スリーブ120に圧入されるよう、外径方向に円周方向の溝が形成されて上記スリーブ120の外周面に挿入されることができる。
【0054】
また、上記キャップ部材140は、上記スラストプレート130との関係から上記回転部材300の浮上を防止する機能をするため、ストッパー部140とも言え、上記浮上防止部130と上記ストッパー部140は互いに逆作用の機能をすることができる。
【0055】
ここで、上記キャップ部材140と上記スラストプレート130の間の微細な隙間にはオイルが充填されることができ、上記オイルが外部に流出されることを防止するための流出防止ギャップ160が形成されることができる。
【0056】
即ち、上記流出防止ギャップ160を形成するために、上記キャップ部材140は突出して形成される流出防止部145を備えることができ、上記流出防止部145は上記スラストプレート130と上記キャップ部材140の間の間隔を最小化することができる。流出防止部145により規定されるスラストプレート130とキャップ部材140との間の間隔は、オイルの粘度に応じて定めてもよい。
【0057】
即ち、上記キャップ部材140は上記スリーブ120に固定される固定部材200であり、スラストプレート130は回転するシャフト110に固定される回転部材300であるため、上記流出防止ギャップ160は回転部材300と固定部材200の間に形成されることができる。
【0058】
また、機能的に説明すると、上記流出防止ギャップ160は上記ストッパー部140と上記浮上防止部130の間に形成されることができる。
【0059】
したがって、以下キャップ部材140及びスラストプレート130はそれぞれストッパー部140及び浮上防止部130に置換可能であり、逆置換も可能である。
【0060】
上記固定部材200と上記回転部材300の間には上記流出防止ギャップ160とともに、上記流出防止ギャップ160と連続的に形成されるオイルシーリングギャップ170が形成されることができる。
【0061】
上記オイルシーリングギャップ170は、上記流出防止ギャップ160より大きいギャップを有することができ、上記オイルの界面を形成させることができる。
【0062】
ここで、上記オイルシーリングギャップ170も上記流出防止ギャップ160と同様に上記固定部材200と上記回転部材300の間で形成されることができ、明確には、上記スラストプレート130の上面と上記キャップ部材140の下面の間で形成されることができるものである。
【0063】
また、前述したように、上記オイルシーリングギャップ170が上記流出防止ギャップ160より大きくなるよう、上記キャップ部材140は下面の一部が突出して形成される流出防止部145を備えることができる。
【0064】
ここで、上記キャップ部材140は固定部材200を意味するため、上記流出防止部145は上記流出防止ギャップ160を形成する上記固定部材200下面の一部が突出して形成されることができる。
【0065】
上記流出防止ギャップ160の形成のために上記固定部材200の下面の一部が突出して形成される場合、突出した下面は平坦に形成されることができ、同様に、上記オイルシーリングギャップ170を形成する上記固定部材200の下面も平坦に形成されることができる。
【0066】
即ち、上記流出防止部145が形成された上記キャップ部材140の一面は、上記流出防止部145の一端から上記オイルの界面方向に段差のある平面であることができる。
【0067】
数値的には、上記流出防止ギャップ160と上記オイルシーリングギャップ170の差αは、0μm超過〜30μm以下が好ましい。
【0068】
但し、上記ギャップの差αは、上記数値に限らず、本発明の思想を理解する当業者によって変更可能である。
【0069】
また、上記オイルシーリングギャップ170を形成するキャップ部材140の一面、即ち上記流出防止部145が形成された上記キャップ部材140の一面のうち上記オイルの界面と上記流出防止部145の間には上記オイル界面から上記流出防止部145の方向に上記オイルをポンピングするポンピング溝180が形成されることができ、これについては図4及び図5を参照して後述する。
【0070】
図3を参照すると、上記一実施例と同様に、流出防止ギャップ160を形成する上記キャップ部材140の下面は突出して流出防止部145を備えることができる。
【0071】
但し、上記オイルシーリングギャップ170を形成する上記キャップ部材140の下面がテーパー状に形成されるという点のみ異なる。
【0072】
即ち、上記流出防止部145が形成された上記キャップ部材140の一面は、上記流出防止部145の一端から上記オイルの界面方向に増加するオイルシーリング間隔を備えるよう、テーパー状に形成されることができる。
【0073】
ここで、上記オイルシーリングギャップ170を形成するキャップ部材140の下面が軸方向上側に傾いた角度βは、1°以上〜10°以下であることがある。
【0074】
即ち、上記キャップ部材140が意味する固定部材200の下面が軸方向上側にテーパー状に形成されることができるのである。
【0075】
上記オイルシーリングギャップ170を形成するキャップ部材140の一面、即ち上記流出防止部145が形成された上記キャップ部材140の一面のうち上記オイルの界面と上記流出防止部145の間には上記オイル界面から上記流出防止部145の方向に上記オイルをポンピングするポンピング溝180が形成されることができ、これについては図4及び図5を参照して後述する。
【0076】
ここで、上記キャップ部材140の一構成要素である上記流出防止部145によって形成される上記流出防止ギャップ160と上記オイルシーリングギャップ170を纏めて説明すると、上記キャップ部材140と上記スラストプレート130の間の微細な隙間は上記流出防止部145による流出防止ギャップ160のみを備えるだけでなく、上記流出防止ギャップ160より大きいオイルシーリングギャップ170も備えるため、回転部材300の過浮上を防止することができ、その結果、耐衝撃性及び耐振動性を向上させ、モータ駆動のための電流を低減できる効果がある。
【0077】
即ち、ポンピング溝180は、ギャップが大きいオイルシーリングギャップ170を形成する固定部材200または回転部材300の一面に形成されるため、オイルポンピング力が強くならず、回転部材300の過浮上を防止し上記のような効果を得ることができる。
【0078】
即ち、上記ポンピング溝180は、上記オイルシーリングギャップ170を形成する上記キャップ部材140の一面に形成されるため、上記回転部材300の過浮上を防止することができる。
【0079】
上述では、流出防止ギャップ160を形成する流出防止部145がキャップ部材140、即ち固定部材200に形成される場合について説明したが、逆に、上記流出防止部145はスラストプレート130、即ち回転部材300に形成されてもよい。
【0080】
図4及び図5は、本発明の一実施例によるモータに提供されるキャップ部材のポンピング溝を示すためのキャップ部材の概略底面図である。
【0081】
図4及び図5を参照すると、キャップ部材140の底面にはスパイラル形状の溝が連続的に形成されるか、または、ヘリングボーン溝が連続的に形成されることができる。
【0082】
ここで、上記キャップ部材140は固定部材200に含まれる構成であるため、固定部材200の一面に上記のようなポンピング溝180が形成されることができ、上記ポンピング溝180が形成されることで、衝撃または振動によってオイルが外部に漏れず、モータ内部でポンピングが行われることができる。
【0083】
また、上記ポンピング溝180は、スパイラル形状やヘリングボーン形状に限らず、オイル界面を形成するオイルがモータ駆動時にモータ内部でポンピングできる構造であればよい。
【0084】
図6は、本発明のまた他の一実施例によるモータを示した概略断面図であり、図7は、図6のBの他の実施例による拡大図である。
【0085】
図6を参照すると、本発明のまた他の一実施例によるモータ600は、シャフト110を支持するスリーブ120の一面と、周壁部316に取り付けられたストッパー部330の一面との間にオイル界面が形成されることができる。
【0086】
ここで、上記ストッパー部330は、シャフト110及びローターケース310を含んだ回転部材300が浮上しすぎるのを防止する機能をし、回転部材300を意味することができる。
【0087】
したがって、上記ストッパー部330と対応するよう、上記スリーブ120の端部は外径方向に延長形成される浮上防止部125を備えることができ、上記浮上防止部125によって回転部材300が浮上しすぎるのを防止することができる。
【0088】
即ち、上記浮上防止部125と上記ストッパー部330の間にはオイルが充填されることができ、上記オイルが外部に流出するのを防止するための流出防止ギャップ160が形成されることができる。
【0089】
上記浮上防止部125はスリーブ120の一構成であって固定部材200であり、ストッパー部330はローターケース310に結合されたもので回転部材300であるため、上記流出防止ギャップ160は上記回転部材300と上記固定部材200の間に形成されることができる。
【0090】
また、上記固定部材200と上記回転部材300の間には上記流出防止ギャップ160とともに、上記流出防止ギャップ160と連続的に形成されるオイルシーリングギャップ170が形成されることができる。
【0091】
上記オイルシーリングギャップ170は、上記流出防止ギャップ160より大きいギャップを有することができ、上記オイルの界面を形成することができる。
【0092】
また、上記オイルシーリングギャップ170が上記流出防止ギャップ160より大きくなるよう、上記浮上防止部125の下面の一部が突出して形成される流出防止部145を備えることができる。
【0093】
ここで、上記浮上防止部125は固定部材200を意味するため、上記流出防止部145は上記流出防止ギャップ160を形成する上記固定部材200の下面の一部が突出して形成されることができる。
【0094】
上記流出防止ギャップ160の形成のために上記浮上防止部125下面の一部が突出して形成される場合、突出した下面は平坦に形成されることができ、同様に、上記オイルシーリングギャップ170を形成する上記浮上防止部125の下面も平坦に形成されることができる。
【0095】
即ち、上記流出防止部145が形成された上記浮上防止部125の一面は、上記流出防止部145の一端から上記オイルの界面方向に段差のある平面であることができる。
【0096】
数値的には、上記流出防止ギャップ160と上記オイルシーリングギャップ170の差αは、0μm超過〜30μm以下が好ましい。
【0097】
但し、上記ギャップの差αは、上記数値に限らず、本発明の思想を理解する当業者によって変更可能である。
【0098】
また、上記浮上防止部125はスリーブ120に、ストッパー部330は周壁部316に形成されると説明したが、上記浮上防止部125と上記ストッパー部330は逆作用の機能をすることができる。
【0099】
ここで、上記オイルシーリングギャップ170を形成する上記浮上防止部125の一面または上記ストッパー部330の一面のうち少なくとも一方には、オイルのポンピングのためのポンピング溝180が形成されることができ、上記ポンピング溝180はスパイラル形状またはヘリングボーン形状のうちいずれか一方であることができる。
【0100】
即ち、上記オイル界面から上記流出防止部145の方向に上記オイルをポンピングするポンピング溝180は、上記流出防止部145が形成された上記浮上防止部125の一面のうち上記オイルの界面と上記流出防止部145との間に形成されることができる。
【0101】
図7を参照すると、上記一実施例と同様に、流出防止ギャップ160を形成する上記スリーブ120の一面は突出しているが、上記オイルシーリングギャップ170を形成する上記浮上防止部125の一面がテーパー状に形成されたことを除いては、同様の構成及び効果を有するため説明は省略する。
【0102】
即ち、上記流出防止部145が形成された上記浮上防止部125の一面は、上記流出防止部145の一端から上記オイルの界面方向に増加するオイルシーリング間隔を備えるよう、テーパー状に形成されることができる。
【0103】
ここで、上記オイルシーリングギャップ170を形成する浮上防止部125の一面が軸方向上側に傾く角度βは、1°以上〜10°以下であることができる。
【0104】
即ち、上記浮上防止部125が意味する固定部材200の下面が軸方向上側にテーパー状に形成されることができるのである。
【0105】
上述した実施例を通じて、モータ400、500、600の回転部材300と固定部材200との間、または浮上防止部125、130とストッパー部140、330に形成される流出防止ギャップ160及びオイルシーリングギャップ170により回転部材300の過浮上を防止することができ、その結果、耐衝撃性及び耐振動性を向上させ、モータ駆動のための電流を低減できる。
【0106】
即ち、ポンピング溝180は、流出防止ギャップ160よりギャップが大きいオイルシーリングギャップ170を形成する固定部材200または回転部材300の一面に形成されるため、オイルポンピング力が強くならず、回転部材300の過浮上を防止し上記のような効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0107】
100 流体動圧軸受アセンブリー
110 シャフト
120 スリーブ
125 浮上防止部
130 スラストプレート(浮上防止部)
140 キャップ部材(ストッパー部)
145 流出防止部
160 流出防止ギャップ
170 オイルシーリングギャップ
180 ポンピング溝
200 固定部材
210 コイル
220 コア
230 ベース
300 回転部材
310 ローターケース
316 周壁部
320 マグネット
330 ストッパー部
400、500、600 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトが挿入され、前記シャフトの回転を支持する固定部材と、
前記シャフトと連動して回転する回転部材と、
前記固定部材及び前記回転部材の一方に形成され、前記回転部材の浮上を防止するストッパー部と、
前記固定部材及び前記回転部材の他方に形成され、前記ストッパー部と干渉して前記回転部材の浮上を防止する浮上防止部と、
前記ストッパー部と前記浮上防止部の間でオイルがシーリングされるようにし、前記ストッパー部と前記浮上防止部のうち少なくとも一方に突出して形成され、前記ストッパー部と前記浮上防止部の間のオイルシーリング間隔を最小化する流出防止部と
を含むモータ。
【請求項2】
前記流出防止部が形成された前記ストッパー部または前記浮上防止部の一面は、前記流出防止部の一端から前記オイルの界面方向に段差のある平面であることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記流出防止部が形成された前記ストッパー部または前記浮上防止部の一面は、前記流出防止部の一端から前記オイルの界面方向に増加するオイルシーリング間隔を備えるよう、テーパー状に形成されることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記流出防止部が形成された前記ストッパー部または前記浮上防止部の一面のうち、前記オイルの界面と前記流出防止部の間に前記オイルの界面から前記流出防止部の方向にオイルをポンピングするポンピング溝が形成されることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記ポンピング溝は、スパイラル形状またはヘリングボーン形状のうち少なくとも一方の形状に形成されることを特徴とする請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
シャフトの上端が軸方向上側に突出するように前記シャフトを支持するスリーブと、
前記シャフトと連動して回転する回転部材と、
前記スリーブの軸方向上側に突出した前記シャフトに結合され、スラスト動圧を提供するスラストプレートと、
前記スラストプレートの上側から前記スリーブに結合され、前記スラストプレートの間でオイルがシーリングされるようにするキャップ部材と、
前記スラストプレートと前記キャップ部材の間でオイルがシーリングされるようにし、前記スラストプレートと前記キャップ部材のうち少なくとも一方に突出して形成され、前記スラストプレートと前記キャップ部材の間のオイルシーリング間隔を最小化する流出防止部と
を含むモータ。
【請求項7】
前記流出防止部が形成された前記スラストプレートまたは前記キャップ部材の一面は、前記流出防止部の一端から前記オイルの界面方向に段差のある平面であることを特徴とする請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記流出防止部が形成された前記スラストプレートまたは前記キャップ部材の一面は、前記流出防止部の一端から前記オイルの界面方向に増加するオイルシーリング間隔を備えるよう、テーパー状に形成されることを特徴とする請求項6に記載のモータ。
【請求項9】
前記流出防止部が形成された前記スラストプレートまたは前記キャップ部材の一面のうち、前記オイルの界面と前記流出防止部の間に前記オイルの界面から前記流出防止部の方向にオイルをポンピングするポンピング溝が形成されることを特徴とする請求項6から8の何れか1項に記載のモータ。
【請求項10】
前記ポンピング溝は、スパイラル形状またはヘリングボーン形状のうち少なくとも一方の形状に形成されることを特徴とする請求項9に記載のモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−55151(P2012−55151A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20055(P2011−20055)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】