説明

モール用固定具

【課題】溝を覆うように装飾するモールのための、固定力が高く長期の車体の振動によっても固定が外れるおそれのない、接着テープを必要としないモール用固定具を提供する。
【解決手段】モール用固定具1は、溝底面に固着される、板状体のベース2を備え、ベースには、一方の縁部にモールの第1内曲げ縁部に係止する第1モール縁部係止部9が形成され、また、2つのブラインドリベット5が保持され、ベース上にはスライドリテーナ3がベースの対角方向にスライドできるように組付けられ、スライドリテーナには、モールの第2内曲げ縁部に係止する第2モール縁部係止部19と、第2モール縁部係止部のある縁部の側において突出するストッパ21とが形成され、ベースがブラインドリベットによって溝底面に固着された状態において、スライドリテーナがスライドされるとストッパが側壁に当接して第2モール縁部係止部と側壁との間が一定の長さにされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モール用固定具に関し、詳細には、少なくとも1つの側壁を有する溝の底面に固着されて、その溝を覆うように装飾するモールの両縁部から垂下する内曲げ縁部のそれぞれに係止するモール縁部係止部を有する、モール用固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
ルーフパネルの縁部の溝を覆うように装飾するルーフモール用固定具は知られている。特許文献1には、ルーフパネルとボデーパネルとの連結部分に形成された、車体の長手方向に延びる溝を覆うように装飾するモール用固定具が記載されている。この固定具は、溝底面に第2部材が接着テープで固着され、第2部材には第1部材がスライドによって連結されて、第1部材は基準となる側壁に接着テープで固着されて、第1部材に形成された、2つのモール縁部係止部に、モールの両縁部の内曲げ縁部が係止して、モールが取付けられる構成である。
【0003】
【特許文献1】実開平4−084907号公報
【特許文献2】実開平1−136045号公報
【特許文献3】特開平3−092444号公報
【特許文献4】特開2000−142102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のモール用固定具は、溝底面に接着テープで固着する構成である。かかる接着テープは、熱硬化性であるので、乾燥炉を通す必要があり、そのための設備を必要とする難点があり、また、接着テープの接着力を一定に確保するための保管設備等も必要としているので、総合的に、コストを高くしていた。
【0005】
特許文献2のモールの固定構造では、溝の中央にボタン型のTスタッドを溶接等によって固着させ、このTスタッドに固定クリップを連結させ、更に、固定クリップに移動クリップをスライドによって連結させて、移動クリップに形成されたモール縁部係止部にモールの内曲げ縁部を係止させている。このモールの固定構造では、接着テープを使用していないが、車体側の溝にTスタッドを溶接等によって固着せねばならず、車体への溶接ロボットの設置等を必要とする。また、Tスタッドに連結される固定クリップは、Tスタッドへの連結部においてぐらつきがあり、強固な固着を望めない。特許文献3のモールの固定構造でも、溝の中央にボタン型のTスタッドを溶接等によって固着させ、Tスタッドに固定クリップを連結させ、更に、固定クリップに移動クリップをスライドによって連結させている。移動クリップにはモール縁部係止部が形成されて、モールの内曲げ縁部を係止させている。特許文献3のモールの固定構造は、接着テープを使用していないが、特許文献2の固定構造と同様に、車体側の溝にTスタッドを溶接等によって固着せねばならず、車体への溶接ロボットの設置等を必要とする。また、Tスタッドに連結される固定クリップは、Tスタッドへの連結部においてぐらつきがあり、強固な固着を望めない。長期の車体の振動等によって固定が外れるおそれがある。
【0006】
特許文献4は、フロントガラス等のガラス端部と車体縁部の間の隙間を塞ぐモールの固定構造を記載している。モールのクリップが、車体縁部の直立側壁にブラインドリベットによって固定される。ブラインドリベットは、フランジ付きの中空のリベット本体とリベット本体に挿入されたマンドレルとから成り、パネル等の取付穴にマンドレル頭部を先頭にしてリベット本体のフランジが接面するまで挿入し、フランジから突出するマンドレルを工具を用いてマンドレルがその小径部分で破断する程に強く引っ張ると、マンドレルの拡径頭部がリベット本体の軸部を拡膨させ、この拡膨軸部とフランジとにより複数のパネル等を相互に連結するようになっている。ブラインドリベットは、その締結作業が一方向から行えるので便利なものである。クリップがブラインドリベットで側壁に固定されるので、クリップの固定力は、強固で且つ長期の車体の振動によっても固定が外れるおそれはない。しかし、このクリップは、溝底面に取付けられて、その溝を覆うように装飾するモールを取付ける固定具ではない。
【0007】
従って、本発明の目的は、溝底面に取付けられて溝を覆うように装飾するモールを取付ける、接着テープを必要としない、また、固定力が高く、長期の車体の振動によっても固定が外れるおそれのない、モール用固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、本発明に係るモール用固定具は、少なくとも1つの側壁を有する溝の底面に固着されて、溝を覆うように装飾するモールの両縁部から垂下する内曲げ縁部のそれぞれに係止するモール縁部係止部を有する、モール用固定具であって、溝底面に固着されるベースを備え、ベースは、溝の長手方向に延びる縦辺と溝を横切る方向に延びる横辺とを持つ板状体で成り、ベースには、溝の一方の縁部に隣接する縦辺に沿った一方の縁部に、モールの一方の側縁から垂下する第1内曲げ縁部に係止する第1モール縁部係止部が、立ち上がるように形成されており、ベースには、ベースを溝底面に固着するため、縦辺方向に間隔をおいて2つのブラインドリベットが保持されており、ベース上には、スライドリテーナが、ベースの対角方向にスライドできるように組付けられており、スライドリテーナには、モールの他方の側縁から垂下する第2内曲げ縁部に係止する第2モール縁部係止部が、ベースの第1モール縁部係止部と反対側の縁部の側に、ベースから立ち上がるように形成されており、スライドリテーナには、第2モール縁部係止部のある縁部の側から、ベースの一方の縁部と反対側に突出するストッパが形成されており、ストッパは、側壁に当接する端面を有しており、ベースは、スライドリテーナの第2モール縁部係止部及びストッパが側壁に対向するように、ブラインドリベットによって溝底面に固着されるものであり、その固着状態において、スライドリテーナがベースにおいて対角方向にスライドされるとストッパが側壁に当接して第2モール縁部係止部と側壁との間が一定の長さにされる、ことを特徴とする。
【0009】
上記固定具によれば、2つのブラインドリベットによって溝底面に不動に固着できるので、接着テープを必要としない、固定力が高く、長期の車体の振動によっても固定が外れるおそれがない。また、溝底面に固着されたベース上のスライドリテーナは、ベースを対角方向に移動させるだけで、ストッパが側壁に当接させられて、第2モール縁部係止部と側壁との間の間隔が一定に維持されるので、モールの第2内曲げ縁部を第2モール縁部係止部と側壁との間に押込むと、そのまま、モールが溝を覆って装飾する位置に適正に取付けられる。
【0010】
上記固定具は、ベースとスライドリテーナと2本のブラインドリベットとの、3種類の部品で成る。ベースには、縦辺に沿った一方の縁部側に第1モール縁部係止部が2つ形成され、スライドリテーナには、第1モール縁部係止部と反対側の側縁側に第2モール縁部係止部が1つ形成されている。ベースには、スライドリテーナがベースの対角方向にスライドできるように連結される構成と、スライドリテーナがスライドした後の位置でロックされる構成とが設けられている。スライドリテーナがベースの対角方向にスライドできるように連結される構成は、スライドリテーナの先端ガイドをスライド可能に受入れるガイド溝構造と、スライドリテーナの一対の後端ガイドを受入れる、一対のガイドレール構造とから成る。スライドリテーナがスライドした後の位置でロックされる構成は、一対のガイドレール構造の中間の位置に、一定高さの板状体で形成された戻り止め構造を包含し、戻り止め構造には、その両面に多段の逆止爪となるラチェット爪が形成されており、スライドリテーナには、戻り止め構造のラチェット爪に係合する一対の逆止爪形成されて、ラチェット爪と協働して、スライドリテーナは対角方向に前進できるが逆方向への移動が阻止されて、ストッパが側壁に当接して第2モール縁部係止部と側壁との間が一定の長さにされるのがロックされる。スライドリテーナは、中空の直方体の箱形のハウジングとして形成され、ハウジングの上面の一部には、一対の逆止爪が、戻り止め構造のラチェット爪に係合しているのを確認する窓が形成されている。
【0011】
上記の固定具において、スライドリテーナには、第2モール縁部係止部に隣接した位置に、第2モール縁部係止部と同様に側壁側に張り出すモール支持部が形成されており、モール支持部は、モールの内曲げ縁部に隣接するモール部分の平坦な面に当接してモールのぐらつきを防止する。ブラインドリベットは、マンドレルとリベット本体を有し、リベット本体のスリーブには被覆体が被せてあるのが好ましい。モールは、ルーフパネルに形成された溝を覆うように装飾するルーフモールである。側壁は、溝の底面から立ち上がる、基準となる直立側壁であるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の1実施形態に係るモール用固定具1を、図面を参照して説明する。本発明の1実施形態に係る固定具1は、自動車のルーフパネルとサイドパネルとを連結するルーフ縁部に形成された溝部分を装飾するように塞ぐルーフモールを固定するのに適している。図示の実施形態においても、自動車のルーフパネルの溝を装飾して塞ぐルーフモールを固定する固定具1として説明する。しかし、本発明の固定具1は、少なくとも1つの側壁を有する溝をモールで塞ぐために、溝の底面に固着されて、その溝を塞ぐようにモールを取付けることができるものであり、溝を塞ぐのであれば、ルーフモールだけでなく、他のモール用固定具としても用いることができる。
【0013】
固定具1は、図1〜図4に図示のように、ベース2と、スライドリテーナ3と、2本のブラインドリベット5の、3種類の部品で成る。ベース2の詳細な構成は、図5〜図10に示され、スライドリテーナ3の詳細な構成は、図11〜図15に示され、更に、ブラインドリベット5の1例が、図16及び図17に示されている。図18は、ベース2にスライドリテーナ3と2本のブラインドリベット5とが保持された、固定具1の組付け操作を示している。
【0014】
ベース2は、熱可塑性プラスチックで一体成形され、少なくとも1つの側壁をもつ溝を形成する、自動車のルーフパネル等の被取付部材の溝の底面に固着される。固着されたベース2には、スライドリテーナ3が連結され、ベース2とスライドリテーナ3とには、モールの両側の縁部の係止縁部が係止するモール縁部係止部9、19があり、モールが溝を塞いだ状態で被取付部材に取付けられる。ベース2を被取付部材の溝底面に固着するのに2本のブラインドリベット5が用いられる。ブラインドリベット5でベース2を溝底面に固着するのには、溝底面の2つの所定位置にブラインドリベット5のリベット本体が挿入される穴が形成される。この穴の位置及び大きさには許容範囲内の一定のばらつきがある。穴の位置及び大きさのばらつきを吸収するため、ベース2には、スライドリテーナ3が、ベース2の対角方向にスライドできるように組付けられており、ベース2を対角方向にスライドして、スライドリテーナ3のストッパが溝底面から立ち上がる1の側壁(例えば、サイドパネルが連結のためにルーフパネルまで延びて形成された、連結部分(溝)に隣接するサイドパネル側の車体縁部の基準の側壁)に当接させられる。これによって、スライドリテーナ3のモール縁部係止部19が側壁に対して適正に位置決めされ、モールの取付け位置を適正に定めることができる。
【0015】
すなわち、モール用固定具1の基本構成は、溝底面に固着されるベース2を備え、ベースは、溝の長手方向に延びる縦辺と溝を横切る方向に延びる横辺とを持つ板状体で成り、ベース2には、溝の一方の縁部に隣接する縦辺に沿った一方の縁部に、モールの一方の側縁から垂下する第1内曲げ縁部に係止する第1モール縁部係止部9が、立ち上がるように形成されており、ベースには、ベースを溝底面に固着するため、縦辺方向に間隔をおいて2つのブラインドリベット5が保持されている。そして、ベース上には、スライドリテーナ3が、ベース2の対角方向にスライドできるように組付けられている。スライドリテーナ3には、モールの他方の側縁から垂下する第2内曲げ縁部に係止する第2モール縁部係止部19が、ベースの第1モール縁部係止部と反対側の縁部の側に、ベースから立ち上がるように形成されており、スライドリテーナには、第2モール縁部係止部のある縁部の側から、ベースの一方の縁部と反対側に突出するストッパ21が形成されており、ストッパは、側壁に当接する端面を有している。ベース2は、スライドリテーナ3の第2モール縁部係止部19及びストッパ21が側壁に対向するように、ブラインドリベット5によって溝底面に固着される。その固着状態において、スライドリテーナ3がベース2において対角方向にスライドされるとストッパ21が側壁(基準側壁)に当接して第2モール縁部係止部19と側壁との間が一定の長さにされる。
【0016】
ベース2の詳細について図1〜図4と図5〜図10を参照して説明する。ベース2は、被取付部材の溝の底面に安定して着座する形状であって、組付けられたスライドリテーナ3が対角方向にスライドできる形状に形成されている。具体的には、ベース2は、全体の形状が、図20及び図21に示す溝の長手方向に沿って一定長さ延びた縦辺(長さ)と溝を横切る方向に一定長さの横辺(幅)とを持つ、ほぼ長方形の板状体に形成されている。ベース2には、一方の長辺の縁部側であって長手方向の両端のそれぞれに、ブラインドリベット5を保持するブラインドリベット保持部6が1つずつ形成されている。それぞれのブラインドリベット保持部6には、ブラインドリベット5のリベット本体が貫通する穴7が形成されている。穴7の大きさは、ブラインドリベット5のリベット本体の直径に等しいかやや小さく形成されて、リベット本体が貫通した場合、ブラインドリベット5が摩擦抵抗によって自然には落下しないようになっている。また、ベース2には、2つのブラインドリベット保持部6のそれぞれに隣接して、モールの一方の内曲げ縁部に係止する第1モール縁部係止部9が、2つ形成されている。更に、ベース2の縁部には、板状体でなるベース2の強度を高くするため、リブ10が縁部周縁をぐるり囲むように、形成されている。
【0017】
ベース2には、スライドリテーナ3が、一方のブラインドリベット保持部6(図1及び図5の左側のブラインドリベット保持部6)の方向から他方のブラインドリベット保持部6(図1及び図5の右側のブラインドリベット保持部6)の側であってそのブラインドリベット保持部6から離れた側のコーナに向けて、ベース2の対角方向にスライドできるように連結される構成と、スライドした後の位置でロックされる構成とが設けられている。具体的には、スライドリテーナ3の先端ガイド25をスライド可能に受入れるガイド溝構造11が、前記他方のブラインドリベット保持部6の側であって該ブラインドリベット保持部6から離れたコーナに形成されている。このガイド溝構造11は、前記コーナから前記一方のブラインドリベット保持部6に向けて、スライドリテーナ3の先端ガイド25のための直線状のガイド溝を形成する。また、前記一方のブラインドリベット保持部6とガイド溝構造11との間のベース2表面には、スライドリテーナ3がベース2の表面を対角方向にスライドできるように、スライドリテーナ3の一対の後端ガイドを受入れる、一対のガイドレール構造13が形成されている。各ガイドレール構造13は、ベース2に形成された直線状の細長い溝14と、その溝14を一部開放してそれ以外の部分をスライドリテーナ3の後端ガイドが抜け出ないように塞ぐ直線状の細長い規制部15とから成る。ガイドレール構造13の延びる方向は、スライドリテーナ3がベース2の前記対角方向に移動できる方向である。また、一対のガイドレール構造13の中間には、ガイドレール構造13に延びる方向に細長く延びて、一定高さの「ついたて」状に形成された板状体の戻り止め構造17が設けられている。戻り止め構造17には、その両面に多段の逆止爪となるラチェット爪18が形成されている。ラチェット爪18は、スライドリテーナ3を、前記一方のブラインドリベット保持部6の側から前記他方のブラインドリベット保持部6の側の前記コーナに向けて移動できるが、逆方向への移動を阻止するものである。戻り止め構造17の高さはスライドリテーナ3のハウジング22の内側の高さより低いがスライドリテーナ3の内側の逆止爪23に確実に係合する高さに選定される。
【0018】
スライドリテーナ3の詳細について、図1〜図4と図11〜図15とを参照して説明する。スライドリテーナ3には、モールの他方の内曲げ縁部(ベース2の第1モール縁部係止部9に係止する内曲げ縁部ではない側の内曲げ縁部)に係止する第2モール縁部係止部19が1つ形成されている。図示の実施形態において、第2モール縁部係止部19は、基準となる側壁(サイドパネルが連結のためにルーフパネルまで延びて形成された、連結部分(溝)に隣接するサイドパネル側の車体縁部の基準の側壁)に対向するモール縁部係止部となる。スライドリテーナ3には、ベース2において、スライドリテーナ3が対角方向に移動して前記側壁に当接するストッパ21が形成されている。ストッパ21が前記側壁に当接すると、第2モール縁部係止部19と前記基準側壁との間が一定の長さに維持される。これによって、取付けられるモールの内曲げ縁部は、適正な姿勢で且つ適正な配置で被取付部材に固定具1を介して取付けられる。従って、ストッパ21がハウジング22から延び出る長さは、ストッパ21の端面が前記基準となる側壁に当接した状態で、該側壁と第2モール縁部係止部19との間が、モールの係止のために定められた前記所定の長さになる長さに選定される。
【0019】
スライドリテーナ3は、全体として、中空の直方体の箱形のハウジング22として形成され、前記第2モール縁部係止部19及び前記ストッパ21は、ハウジング22の外側に形成されている。ハウジング22は、スライドリテーナ3が前記一方のブラインドリベット保持部6の側から前記他方のブラインドリベット保持部6の側の前記コーナに向けて移動できる方向に長い中空箱として形成されている。ハウジング22の内側には、板状体の戻り止め構造17の両面に係合するように、一対の逆止爪23が形成されている。逆止爪23の各々は、戻り止め構造17のラチェット爪18に係止するよう形成されており、ラチェット爪18と協働して、スライドリテーナ3が、前記一方のブラインドリベット保持部6の側から前記他方のブラインドリベット保持部6の側の前記コーナに向けて移動できるが、逆方向への移動を阻止するように機能する。
【0020】
スライドリテーナ3の下面側には、スライドリテーナ3の移動可能方向において先端側に先端ガイド25が形成されていて、ベース2のガイド溝構造11に係合して、スライドリテーナ3が、前記移動可能方向に移動するのがガイドされる。また、スライドリテーナ3の下面側には、スライドリテーナ3の移動可能方向において後端側に、一対の後端ガイド26、27が形成されていて、それぞれが、ベース2の一対のガイドレール構造13の対応するものに係合して、スライドリテーナ3が前記移動可能方向に移動されるのがガイドされる。先端ガイド25及び後端ガイド26、27のそれぞれは、先端近くにネック部が形成されて、そのネック部によって、スライドリテーナ3はベース2に、ガイド溝構造11の細長い溝部分及びガイドレール構造13の細幅の溝部分に嵌められて、スライドリテーナ3が溝方向に移動できるが、ベース2から離脱する方向に移動できないように連結される。ベース2のガイドレール構造13の細長い溝14のうち、細長い規制部15がない部分は、後端ガイド26、27がそのまま挿入できる大きさであり、細長い規制部15の部分まで押し下げる(移動)することによって、前記ネック部が、細幅の溝14を移動できるように嵌められる。
【0021】
また、ハウジング22の上面の一部であって、一対の逆止爪23が、戻り止め構造17の両面のラチェット爪18に係合しているのを確認する窓29が形成されている。窓29は、スライドリテーナ3をベース2に組付けるとき、適正な組み付けの確認に利用でき、あるいは、逆止爪23がラチェット爪18に適正に係合しているのを確認できる。
【0022】
図示のスライドリテーナ3においては、第2モール縁部係止部19に隣接した位置に、第2モール縁部係止部19の係止爪以外の本体部分と同じ長さで張り出す、モール支持部30が形成されている。モール支持部30は、第2モール縁部係止部19に係止したモールの内曲げ縁部に隣接するモール部分の平坦な面に当接することができ、モールが第2モール縁部係止部19に係止するのを助けるとともに、モールのぐらつきを防止してモールを第2モール縁部係止部19に安定して保持できるようにする。
【0023】
ブラインドリベット5について、図1〜図4と図16及び図17を参照して説明する。本発明の1実施形態に用いられるブラインドリベットは任意の公知のブラインドリベットでよく、ベース2を溝底面に固着でき、固着後においてモールの取付けを邪魔しないブラインドリベットであればよい。図示の1実施形態に用いられるブラインドリベット5は、アルミニウム等の金属製の、スリーブ31及びスリーブ31の端部のフランジ32から成る中空のリベット本体33と、スチール等の金属製のリベット本体33の中空穴に挿入されるリベット本体33より長いマンドレル34とから成る。マンドレル34には一端に拡径した頭部35が形成されている。ブラインドリベット5において、図示のように、マンドレル34は、リベット本体33に対し、拡径頭部35がリベット本体フランジ32とは反対のスリーブ31の端部に位置するように挿入されている。マンドレル34の、リベット本体33のスリーブ31に隠れた部分には、マンドレル34を強く引っ張った場合に破断部分となる小径部分36が形成されている。かかるブラインドリベット5を用いて、パネルに締結するには、図17に図示のように、例えば、2つのパネル37及び38の取付穴に、マンドレル頭部35を先頭にしてフランジ32が接面するまでリベット本体33を挿入する。その状態でマンドレル34の露出部分を把持した締結工具を動作させて、マンドレル34がその小径部分36で破断する程に強く引っ張ると、マンドレル34の拡径頭部35がリベット本体33のスリーブ31を部分39で拡径するように座屈させ、スリーブ31の座屈した拡径部分39とフランジ32とによりパネル37と38とが相互に連結される。連結は、マンドレル34の破断力と同じ締結力で得られるので強力である。かかるブラインドリベット自体はよく知られているので、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0024】
固定具1に用いられるブラインドリベット5には、リベット本体33に、プラスチック製の被覆体40が取付けられているのが好ましい。被覆体40は、マンドレル34の拡径頭部35及びリベット本体33のスリーブ31を被覆するキャップ形状に形成される。被覆体40は、締結時において被締結部材の穴の密封性(特に、水密性)を向上する利点があり、また、金属製のブラインドリベットを被締結部材に対して電気的に絶縁する利点がある。被覆体40を有するブラインドリベットは、例えば、特開平7−180712号公報に記載されている。
【0025】
本発明の実施形態に係る固定具1は、図1及び図18に図示のように、ベース2には、スライドリテーナ3と2本のブラインドリベット5が組付けられる。図18において、スライドリテーナ3は、ベース2に対して、先端ガイド25がベース2のガイド溝構造11に挿入でき、後端ガイド26、27が対応するガイドレール構造13のそれぞれの溝に挿入される位置に位置決めされて押下げられ(下向き矢印41V)、次に、スライドリテーナ3は、ベース2の対角方向に少し移動させられる(左向き矢印41H)。この移動は、スライドリテーナ3の先端ガイド25がベース2のガイド溝構造11によって、スライドリテーナ3の後端ガイド26、27がベース2のガイドレール構造13によって、それぞれ、案内される。スライドリテーナ3がベース2上を対角方向に少し前進すると、スライドリテーナ3の一対の逆止爪23が、ベース2の戻り止め構造17のラチェット爪18の最初のものに係合する。このとき、その抵抗が作業者に伝わるので、作業者は更にスライドリテーナ3を前進させて最初のラチェット爪18に逆止爪23が係合し終えるのをクリック感又はクリック音によってその移動を止める。この状態では、スライドリテーナ3はベース2に対して、ベース2からの離脱が防止されるとともに、前記一方のブラインドリベット保持部6の側から前記他方のブラインドリベット保持部6の側の前記コーナに向けて前進できるように連結される。これが、スライドリテーナ3の仮止め連結状態である。この仮止め連結状態は、スライドリテーナ3のハウジング22に形成された逆止爪23の上の窓29から逆止爪23の係合状態を目視することによって確認できる。
【0026】
次に、2つのブラインドリベット5がベース2のブラインドリベット保持部6に取付けらる。ブラインドリベット5のそれぞれは、ベース2のブラインドリベット保持部6にフランジ32が接面し、穴7をスリーブ31(被覆体40)が貫通するように配置される。穴7の大きさは、ブラインドリベット5のリベット本体33のスリーブ31の直径(被覆体40の直径)に等しいかやや小さく形成されている。従って、穴7を貫通したリベット本体33のスリーブ31(又は被覆体40)が貫通した場合、ブラインドリベット5が摩擦抵抗によって自然には落下しないように保持される。この状態が、図1(及び図2〜図4)に示されている。
【0027】
上記のように、固定具1において、ベース2にスライドリテーナ3とブラインドリベッブラインドリベット5とが仮止め保持されている。ブラインドリベット5とスライドリテーナ3とがベース2に仮止め連結された状態が、固定具1の納品状態となり、作業者は、1物品として容易に取外うことができる。
【0028】
上記構成で成るモール用固定具1を用いて、モールを、被取付部材としての自動車のルーフパネルの縁部において、ルーフパネルとサイドパネルの連結部に形成された、溝を装飾するように塞ぐ操作を、図19〜図23を参照して説明する。なお、図19〜図23において、ルーフパネルやサイドパネル(連結部分の溝や側壁等を含む)、モールは、それぞれ、説明の便宜上、短く示されているが、実際には長い(又は広い)形状であることを了解されたい。
【0029】
図19(A)及び(B)において、自動車のルーフパネル42とサイドパネル43の連結部に形成された溝45は、側壁46と47の間に形成されており、連結部が底面49に形成されている。図示の実施形態の場合において、側壁47は、サイドパネル43が連結のためにルーフパネル42まで延びて形成された、連結部分である溝45に隣接するサイドパネル47側の車体縁部の基準の側壁となる。溝45の底面には、2つの所定位置に、固定具1のブラインドリベット5のリベット本体33(のスリーブ31又は被覆体40)を通す穴(図示せず)が形成されている。2つの穴は、許容範囲内であるが、その大きさと位置及び間隔にばらつきがある。固定具1は、2つブラインドリベット5のリベット本体33が、対応する穴を通るように位置決めされ、そのまま、ベース2が溝45の底面49に着座するように配置される。その状態で、ベース2のブラインドリベット保持部6に保持された2つのブラインドリベット5のそれぞれが、ブラインドリベット締結工具によって、被取付部材であるルーフパネル42に締結される。ベース2がルーフパネル42に締結された状態が、図19(A)及び(B)に示されている。ブラインドリベット5の締結は、図17を参照して説明したやり方で行われる。すなわち、マンドレル34が締結工具で強く引き抜かれ、マンドレル34が小径部分36(図16)で破断するとともに、リベット本体33のスリーブ31(及び被覆体40)の一部39が拡径されて、その拡径部分39とフランジ32とにより、ベース2とルーフパネル42とが強く連結される。2つのブラインドリベット5による締結であるので、ベース2は溝底面49に強固に且つ不動に固着される。
【0030】
この固着状態では、通常、図19(B)に図示のように、基準となる側壁47とストッパ19の間には、ブラインドリベット用の穴の大きさ及び位置のばらつきによって、隙間50が形成される。隙間50がある状態では、第2モール縁部係止部19と基準側壁47の間な長さが所定の長さにされず、モールの取付け姿勢は安定しない。
【0031】
ベース2の取付け姿勢を安定させるため、図20及び図21に図示のように、スライドリテーナ3を、仮止め状態から前記一方のブラインドリベット保持部6の側から前記他方のブラインドリベット保持部6の側の前記コーナに向けて前進させる。すなわち、スライドリテーナ3を、図20の矢印51に示す方向に、前進させる。この前進によってスライドリテーナ3が対角方向に移動して、ストッパ21の端面が徐々に基準側壁47に接近して、ストッパ21の端面が側壁47に当接すると、スライドリテーナ3の前進が停止させられる。スライドリテーナ3の一対の逆止爪23は、ベース2の戻り止め構造17の両面のラチェット爪18のいずれかに係合しており、スライドリテーナ3の前進が停止させられると、スライドリテーナ3の後進が阻止されてその位置でロックされる。すなわち、ストッパ21の端面と側壁47との間には、図19(B)の隙間51がなくなり、それによって、第2モール縁部係止部21と側壁47との間の間隔53(図21)が所定の長さに維持される。
【0032】
第2モール縁部係止部19と基準側壁47との間が一定に維持されるので、モールの取付け位置を適正に定めることができる。上記のように、スライドリテーナ3の前進は、ストッパ19の端面が側壁47に当接するときに停止され、これによって、溝底面のブラインドリベット5のリベット本体を受入れる穴の大きさ及び位置のばらつきを吸収できる。なお、ベース2がブラインドリベット5によって被取付部材の溝底面に固着されるとき、ストッパ19の端面が側壁47に当接してしまう場合には、それだけで、ベース2が溝底面に適正に固着されていることになり、スライドリテーナ3による調整は不要になる。
【0033】
図22及び図23を参照して、固定具1によって、モール(ルーフモール)55を、溝45を装飾するように覆って取付ける作業を説明する。モール54は、図22に示すように、溝45を覆って装飾する形状に形成されており、表面の装飾部分はプラスチック材料で形成されており、裏面側(下面側)の本体部分は、取付け強度を高く維持するため、例えば、スチール等の金属製の材料で形成されている。モールの本体の両側の縁部は、モール固定具に係止するための、第1内曲げ縁部55と第2内曲げ縁部58とが形成されている。モール54において、第2内曲げ縁部58は、装飾面から垂直に延びた取付基準の縁部として利用される。
【0034】
図22に示すモール54を、溝45を覆い装飾するように取付けるには、モール54をもって、モール54の第2内曲げ縁部58を、溝45の底面49に固着された固定具1のベース2に形成された第2モール縁部係止部19と側壁47の間の所定の一定長さに維持された隙間に押込み、モール54の第1内曲げ縁部57を第1モール縁部係止部9に係止するように向けて押込むだけでよい。この押込によって、モールの取付け姿勢は所望の安定した姿勢で取付けられる。更に、モール支持部30が第2モール縁部係止部19に隣接して設けられているので、第2内曲げ縁部58の姿勢を適正に維持しており、第2内曲げ縁部58は第2モール縁部係止部19へ一層確実に係止される。他の第1内曲げ縁部55も、前記押込みによって第1モール縁部係止部9にそのまま係止させられる。モール54は、溝45の長さを覆う長さと幅に形成されており、固定具1は、その溝45の長手方向の複数の個所、例えば、両端付近、必要であれば、中間部分にも、固定されているのが好ましい。これらの固定具1のいずれにも、モール54の第1及び第2内曲げ縁部57及び58がベース2の第1及び第2モール縁部係止部6及び7に向けて押込まれる。押込みによって、図23に示すように、モール54の第1及び第2内曲げ縁部57及び58がベース2の第1及び第2モール縁部係止部6及び7に係止し、モール54によって、溝45が覆われて装飾される。モール固定具1は、ブラインドリベット5によって強固に溝45の底面49に固着され、ストッパ19がスライドリテーナ3によって側壁47に当接しているので、固定具1は溝45の底面49に適正な姿勢で安定して固着され、更に、第2モール縁部係止部19と側壁47との間が一定に維持されるので、モール54は、適正な姿勢で且つ強固にパネルに取付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の1実施形態に係る固定具の斜視図である。
【図2】図1の固定具を垂直軸回りにほぼ180度回転した状態の平面図である。
【図3】図2の固定具の正面図である。
【図4】図2の固定具の左側面図である。
【図5】図1の固定具のベースの斜視図である。
【図6】図5のベースを垂直軸回りにほぼ180度回転した状態の平面図である。
【図7】図6のベースの正面図である。
【図8】図6のベースの右側面図である。
【図9】図6のベースのA−A線断面図である。
【図10】図6のベースのB−B線断面図である。
【図11】図1の固定具のスライドリテーナの斜視図である。
【図12】図11のスライドリテーナの平面図である。
【図13】図11のスライドリテーナの正面図である。
【図14】図11のスライドリテーナの底面図である。
【図15】図12のスライドリテーナのC−C線断面図である。
【図16】本発明の1実施形態に係る固定具に用いるのに適したブラインドリベットの、一部破断した正面図である。
【図17】図16のブラインドリベットによって2つのパネルを締結した後の様子を示す図である。
【図18】図5のベースに、図11のスライドリテーナを組付ける操作を示す図である。
【図19】(A)はルーフパネル縁部に形成された溝の底面に図1の固定具を位置決めして固着した状態を示す斜視図であり、(B)は別の角度から見た(A)と同様な斜視図であってスライドリテーナのストッパと基準側壁との関係を示す図である。なお、図示の便宜上、ルーフパネル、サイドパネル、溝等は短い長さに破断されている。
【図20】図19の固定具のスライドリテーナを十分に前進させた後の固定具とモールと溝等とを示す平面図である。
【図21】図20の固定具とモールと溝等との斜視図である。
【図22】ルーフモールの一部の斜視図である。
【図23】図1の固定具によってルーフモールが溝に固着された状態を破断して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 モール用固定具
2 ベース
3 スライドリテーナ
5 ブラインドリベット
6 ブラインドリベット保持部
7 穴
9 第1モール縁部係止部
10 リブ
11 ガイド溝構造
13 ガイドレール構造
14 細長い溝
15 細長い規制部
17 戻り止め構造
18 ラチェット爪
19 第2モール縁部係止部
21 ストッパ
22 ハウジング
23 逆止爪
25 先端ガイド頭部
26、27 後端ガイド空洞
29 窓
30 モール支持部
31 スリーブ
32 フランジ
33 リベット本体
34 マンドレル
35 頭部
36 小径部分(破断可能部分)
37、38 パネル
39 拡径部分
40 被覆体
42 ルーフパネル
43 サイドパネル
45 溝
46、47 側壁
49 溝の底面
50 隙間
54 モール(ルーフモール)
55、56 モールの内曲げ縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの側壁を有する溝の底面に固着されて、前記溝を覆うように装飾するモールの両縁部から垂下する内曲げ縁部のそれぞれに係止するモール縁部係止部を有する、モール用固定具であって、
前記溝底面に固着されるベースを備え、該ベースは、前記溝の長手方向に延びる縦辺と前記溝を横切る方向に延びる横辺とを持つ板状体で成り、
前記ベースには、前記溝の一方の縁部に隣接する前記縦辺に沿った一方の縁部に、前記モールの一方の側縁から垂下する第1内曲げ縁部に係止する第1モール縁部係止部が、立ち上がるように形成されており、
前記ベースには、該ベースを前記溝底面に固着するため、前記縦辺方向に間隔をおいて2つのブラインドリベットが保持されており、
前記ベース上には、スライドリテーナが、該ベースの対角方向にスライドできるように組付けられており、
前記スライドリテーナには、前記モールの他方の側縁から垂下する第2内曲げ縁部に係止する第2モール縁部係止部が、前記ベースの前記第1モール縁部係止部と反対側の縁部の側に、該ベースから立ち上がるように形成されており、
前記スライドリテーナには、前記第2モール縁部係止部のある前記縁部の側から、前記ベースの前記一方の縁部と反対側に突出するストッパが形成されており、該ストッパは、前記側壁に当接する端面を有しており、
前記ベースは、前記スライドリテーナの前記第2モール縁部係止部及び前記ストッパが前記側壁に対向するように、前記ブラインドリベットによって前記溝底面に固着されるものであり、その固着状態において、前記スライドリテーナが前記ベースにおいて前記対角方向にスライドされると前記ストッパが前記側壁に当接して前記第2モール縁部係止部と前記側壁との間が一定の長さにされる、
ことを特徴とするモール用固定具。
【請求項2】
請求項1に記載の固定具において、前記ベースと、前記スライドリテーナと、2本の前記ブラインドリベットとの、3種類の部品で成る、ことを特徴とする固定具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の固定具において、前記ベースには、前記縦辺に沿った前記一方の縁部側に前記第1モール縁部係止部が2つ形成され、前記スライドリテーナには、前記第1モール縁部係止部と反対側の側縁側に前記第2モール縁部係止部が1つ形成されている、ことを特徴とする固定具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の固定具において、前記ベースには、前記スライドリテーナがベースの対角方向にスライドできるように連結される構成と、前記スライドリテーナがスライドした後の位置でロックされる構成とが設けられている、ことを特徴とする固定具。
【請求項5】
請求項4に記載の固定具において、前記スライドリテーナがベースの対角方向にスライドできるように連結される構成は、前記スライドリテーナの先端ガイドをスライド可能に受入れるガイド溝構造と、前記スライドリテーナの一対の後端ガイドを受入れる、一対のガイドレール構造とから成る、ことを特徴とする固定具。
【請求項6】
請求項5に記載の固定具において、前記スライドリテーナがスライドした後の位置でロックされる構成は、前記一対のガイドレール構造の中間の位置に、一定高さの板状体で形成された戻り止め構造を包含し、該戻り止め構造には、その両面に多段の逆止爪となるラチェット爪が形成されており、更に、前記スライドリテーナには、前記戻り止め構造のラチェット爪に係合する一対の逆止爪形成されて、前記ラチェット爪と協働して、該スライドリテーナは前記対角方向に前進できるが逆方向への移動が阻止されて、前記ストッパが前記側壁に当接して前記第2モール縁部係止部と前記側壁との間が一定の長さにされるのがロックされる、ことを特徴とする固定具。
【請求項7】
請求項6に記載の固定具において、前記スライドリテーナは、中空の直方体の箱形のハウジングとして形成され、該ハウジングの上面の一部には、前記一対の逆止爪が、前記戻り止め構造の前記ラチェット爪に係合しているのを確認する窓が形成されている、ことを特徴とする固定具。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の固定具において、前記スライドリテーナには、前記第2モール縁部係止部に隣接した位置に、該第2モール縁部係止部と同様に前記側壁側に張り出すモール支持部が形成されており、該モール支持部は、前記モールの内曲げ縁部に隣接するモール部分の平坦な面に当接してモールのぐらつきを防止する、ことを特徴とする固定具。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の固定具において、前記ブラインドリベットは、マンドレルとリベット本体を有し、前記リベット本体のスリーブには被覆体が被せてある、ことを特徴とする固定具。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の固定具において、モールは、ルーフパネルに形成された溝を覆うように装飾するルーフモールである、ことを特徴とする固定具。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の固定具において、前記側壁は、溝の底面から立ち上がる、基準となる直立側壁である、ことを特徴とする固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−228883(P2009−228883A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78445(P2008−78445)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(390025243)ポップリベット・ファスナー株式会社 (159)
【Fターム(参考)】