説明

ユニットの収容抑止機構を備える画像形成装置

【課題】本体から引き出し可能な第1ユニットを本体へ収容するために所定の操作をさせることによって、不用意に第1ユニットが本体に収容されることのないようにした画像形成装置を提供する
【解決手段】装置本体から第1方向へ引出し可能な第1ユニットと、前記第1方向と異なる第2方向へ第1ユニットから引出し可能なユニットであって第1ユニットが本体から引き出された状態で第1ユニットからの引き出しが可能な第2ユニットと、前記本体および/または第1ユニットに設けられ、前記第1ユニットを所定位置以上に押し込むために所定の操作を行わせるための収容抑止機構を備えることを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユニットの収容抑止機構を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速の印字処理を行う画像形成装置の開発が進んでいる。例えば、標準紙(A4横搬送)での印字処理枚数は、数年前までは40〜60枚/分であったものが、100〜120枚/分と処理速度が高速化している。
【0003】
このような装置で、用紙JAMが発生した場合、搬送中の多量の用紙が機内の用紙搬送路中に滞留する結果となる。印字を再開するためには、用紙搬送路中に滞留した用紙をすべて除去させ、装置内の搬送路を開放する必要がある。ところが、前述のような高速機では、高速印字のために用紙間隔を詰めて搬送していること、高速印字に対応するために装置のサイズが大きく用紙搬送経路が複雑で長いことなどから、用紙JAMが発生すると機内の用紙搬送路の各所に合わせて5〜10枚程度の用紙が滞留する。従って、中低速機に比べると滞留した用紙を取り除く作業が煩雑になる傾向がある。これは、ユーザーへの負担を増加させることになるので、滞留した用紙を除去し易くするための工夫が求められる。
【0004】
このため、本体をユニット化して、ユニットを本体から引き出し可能にし、機内に滞留した用紙を取り除く際には用紙搬送路を大きく開放して視認性、操作性を向上させるようにしたものが提案されている。さらに、複雑な用紙搬送路の形状に対応するために複数のユニットに分割し、第1のユニットを本体から手前側(用紙搬送方向と直角方向)に引き出した後、さらに第1のユニットから第2のユニットを手前側に引き出せるようにしたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
複数のユニットに分割する手法は、特に次の場合に有効である。自動両面印字のためのスイッチバック部が用紙搬送路中にある場合、スイッチバック部が本体内に入り込むように用紙搬送路が構成されるものがある。このような場合に、第1ユニットを引き出すと主として片面印字の用紙搬送路が開放され、さらに第2ユニットを引き出すことによりスイッチバック部を含む両面印字用の用紙搬送路が開放されるようにすることができる。
【0006】
さらに複数のユニットを引き出す場合の異なる手法として、第1のユニットを本体から手前側に引き出し、第2のユニットを本体から排紙側(用紙搬送方向)または給紙側(用紙搬送と逆方向)に引き出すようにしたものが知られている。
【特許文献1】特開平10−143046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前述のように手前側へ2段に引き出すものは、ユニットを引き出すために大きなスペースを手前側に確保することが必要になる。第1ユニットを手前側、第2ユニットを排紙側または給紙側に引き出すものは、手前側には大きなスペースを必要としないが、給紙側または排紙側にスペースを必要とする。また、通常排紙側には後処理装置、給紙側には大容量給紙装置などが装着されている場合が多いため、ユニットを引き出すためにはこれらの周辺装置を移動させなければならず、操作が煩雑になる。さらに、ユーザーは手前側で用紙を取り除く作業を行った後に、排紙側または給紙側に回ってさらに用紙を取り除く作業を行う必要があり、作業者の移動を伴う点からも作業が煩雑になる。そこで、感光体、現像槽を本体側に残した状態で第1のユニットを第1の方向(たとえば、手前側)に引き出して用紙搬送路を開放し、さらに第1のユニット内の用紙搬送路を開放するために第1のユニットから第2の方向(たとえば、排紙側)へ第2のユニットを引き出すものが考えられる。
【0008】
このようにすれば、大きな占有面積を必要とせず、しかも手元で用紙を取り除くことができるので作業者の負担が少ない。
【0009】
ところが、第1ユニットを本体から第1方向へ引き出し、第2ユニットを第1ユニットから第1方向と異なる第2方向へ引き出すものにおいて、第1のユニットが本体から引き出された状態では、第1ユニットが本体に戻るか否かはフリーな状態であってもよい。しかし、その後、第2のユニットを第1ユニットから引き出した状態では、第1のユニットを本体に収容しようとすると引き出された第2のユニットが本体の側面に衝突してしまう。その結果、第2ユニット、第1ユニットまたは本体が破壊したり、歪が生じて必要なメカ精度が確保できなくなったりするおそれがある。
【0010】
この発明は、このような事情を考慮してなされたものであって、第1ユニットを本体へ収容するために所定の操作をさせることによって不用意に第1ユニットが本体に収容されることのないようにした画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、装置本体から第1方向へ引出し可能な第1ユニットと、前記第1方向と異なる第2方向へ第1ユニットから引出し可能なユニットであって第1ユニットが本体から引き出された状態で第1ユニットからの引き出しが可能な第2ユニットと、前記本体および/または第1ユニットに設けられ、前記第1ユニットを所定位置以上に押し込むために所定の操作を行わせるための収容抑止機構を備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
この発明の画像形成装置は、前記第1ユニットを所定位置以上に押し込むために所定の操作を行わせるための収容抑止機構を備えるので、不用意に第1ユニットが本体に収容されて、引き出された第2のユニットが本体に衝突し、第2ユニット、第1ユニットあるいは本体が破壊したり、歪が生じて必要なメカ精度が確保できなくなったりする事態が発生するのを防止することができる。
【0013】
ここで、前記第1ユニットと第2ユニットとは、用紙JAMが発生した場合に本体から引き出せるようにユニット化されたものを主として想定している。このように、機構をユニット化して本体から引き出せるようにすれば、用紙JAMが発生した場合に用紙搬送路を開放して機内に滞留した用紙を容易に除去することができる。しかし、この発明のユニットは、これに限定されるものではない。ユーザーあるいはサービスエンジニアが定期的に交換あるいは整備することを目的とし、装置の内部にアクセスするための機構であってもよい。そのような機構の一例としては、転写ローラや転写ベルトのクリーニングに伴う廃トナー除去、帯電部装置のクリーニングなどが挙げられる。ただし、これに限定されるものではない。
【0014】
また、本体に固定され第1ユニットの引き出し方向にのびるレールと、第1ユニットに固定されかつ前記レールに沿って移動する移動部材とをさらに備え、前記収容抑止機構が、前記レールに沿う1以上の箇所に配設される押圧部であって前記移動部が通過する際に弾性部材による所定の押圧力で前記移動部材を押圧する押圧部からなり、前記所定の操作が前記押圧部の押圧力に抗して第1ユニットを押し込む操作であってもよい。このようにすれば、第1ユニットを本体に収容する際に、所定の強さを上回る力で第1ユニットが押し込まれる必要があるので、わずかな傾きと自重バランスによって第1ユニットがスライドしたり、作業者が誤って第1ユニットに触れたりして第2ユニットが本体と衝突することを防止することができる。
【0015】
押圧部は、弾性部材を直接移動部材に当接させるものであってもよいが、当接部が弾性部材と別の部材であり、それらを組み合わせて押圧部が構成されてもよい。押圧部は、第1ユニットを引き出した終端位置付近に唯一つ設けられるものであってもよいが、引き出し途中の複数個所に設けられて第1ユニットの移動を抑止するディテント機構のようなものであってもよい。
【0016】
あるいは、前記所定の操作が、第2ユニットを第1ユニットに対する所定位置に押し込む操作であり、第2ユニットが第1ユニットに対する前記所定位置より引き出されているときに第1ユニットの本体への収容を抑止する機構であってもよい。このようにすれば、前記収容抑止機構によって、第2ユニットが第1ユニットから前記所定位置より引き出されているときに第1ユニットの本体への収容が抑止されるので、第2ユニットが引き出されているときには第1ユニットの収容が確実に抑止され、第2ユニットが本体と衝突することが防止される。
【0017】
さらに、前記収容抑止機構が、第1ユニットに装着されて移動可能な抑止部材と、前記抑止部材が本体の一部と当接することにより第1ユニットが所定位置以上に本体へ押し込まれることを抑止する抑止位置と前記抑止部材と本体の一部との当接を回避して第1ユニットの本体への収容を許容する解除位置とに前記抑止部材を移動させる移動機構とからなり、前記移動機構が、第2ユニットの第1ユニットに対する位置に応じて前記抑止部材を移動させるものであってもよい。このようにすれば、第2ユニットの位置に応じて移動させる単純な機構によって前記収容抑止機構を実現することができる。
ここで、移動可能な抑止部材とは、たとえば、前記抑止部材が回動可能に取り付けられていることを意味する。しかし、それに限定されるものではなく、抑止位置と解除位置とに変異する移動であれば、移動の形態は限定されない。たとえば、前記抑止部材が平行に移動してもよく、あるいは角度を変えて移動してもよい。
【0018】
さらに、前記第2ユニットは、当該第2ユニットに支持されて前記抑止部材と当接し得るリンク部材を有し、前記抑止部材が、前記抑止位置へ向けて移動するように付勢され、前記リンク部材が、前記第2ユニットが第1ユニットに対する所定位置に押し込まれたときに前記抑止部材に当接して前記抑止部材を前記解除位置に移動させ、前記第2ユニットが前記所定位置より引き出されたときに前記抑止部材から離間して前記抑止部材を前記抑止位置へ移動させるようにしてもよい。
【0019】
また、前記リンク部材が、第1ユニットを本体に収容しても第2ユニットと本体との接触を回避し得る位置に第2ユニットが押し込まれたときに前記抑止部材を前記解除位置に移動させるものであってもよい。このようにすれば、第2ユニットが本体との接触を回避し得る位置に押し込まれたときに前記抑止部材が前記解除位置に移動し、第1ユニットの本体への収容が許容されるので、第2ユニットと本体との衝突を確実に回避することができる。
【0020】
さらにまた、前記抑止部材が抑止位置にあることを検知する抑止部材位置検知部と、前記抑止部材位置検知部の検知に基づいて前記抑止部材が抑止位置にあるときに第1ユニットの本体への収容が抑止されている旨を報知する報知部とをさらに備えるようにしてもよい。このようにすれば、第1ユニットの本体への収容が抑止されている旨を報知することにより、前記抑止部材が抑止位置にあることに気づかずに作業者が第1ユニットを本体へ収容しようとして無理な力を加え、本体あるいは第1ユニットにダメージを与える事態を回避することができる。
【0021】
前記抑止部材位置検知部は、たとえば、マイクロスイッチや反射型のフォトセンサを所定の位置に配置して抑止部材の位置を検知するようにすればよい。あるいは透過型のフォトインタラプタを抑止部材の近傍に配置し、その光路を遮るスリット板を抑止部材に固定して構成してもよい。前記報知部は、画像形成装置に設けられ、ユーザーへのユーザインタフェースを提供する操作パネルにメッセージを表示させることによって実現してもよい。あるいは、操作パネル上に所定の表示ランプを設けて、前記表示ランプを点灯させて報知を行うようにしてもよい。しかし、前記抑止部材位置検知部および報知部の構成はそれに限定されるものではなく、たとえばメカ的に前記抑止部材の位置と本体手前側に設けた表示窓に表示する表示板とをリンク機構によってメカ的にリンクさせ、前記抑止部材の位置に応じて表示板を回転させて表示窓の表示を変えるようにするなど、機構的に構成することもできる。
【0022】
あるいはまた、第2ユニットが所定位置にあることを検知する第2ユニット位置検知部と、前記第2ユニット位置検知部の検知に基づいて第2ユニットが所定位置以外の位置にあるときに第1ユニットの本体への収容が抑止されている旨を報知する報知部とをさらに備えるようにしてもよい。前記抑止部材の位置に代えて第2ユニットの位置を検知し、第1ユニットの本体への収容が抑止されている旨を報知しても、前記抑止部材位置検知部の検知による報知と同様の効果が得られる。即ち、前記抑止部材が抑止位置にあることに気づかずに作業者が第1ユニットを本体へ収容しようとして無理な力を加え、本体あるいは第1ユニットにダメージを与える事態を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。以下の説明により、この発明をよりよく理解することが可能であろう。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、限定的なものではないと考えられるべきである。
【0024】
(画像装置の動作説明)
図2は、本実施の形態に係る画像形成装置11の構成を示す説明図である。
【0025】
画像形成装置11は、外部から受け取った画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)にモノクロ画像を形成するものである。図2に示すように、画像形成装置11は、露光ユニット13、現像器15、感光体17、帯電器19、クリーナユニット21、定着ユニット23と、給紙トレイ25、給紙トレイ25から上方に延びる給紙搬送路27、給紙搬送路27の終端からレジストローラ29、転写ベルト45および定着ユニット23を経て排紙ローラ95に至るまでの用紙搬送路31、排紙トレイ33等より構成されている。
【0026】
帯電器19は、感光体17ドラムの表面を所定の電位に均一に帯電させるための、帯電手段であり図2に示すようにチャージャー型の帯電器19が用いられているが、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器19を用いてもよい。
【0027】
露光ユニット13は、図2に示すようにレーザ照射部35および反射ミラー37を備えた、レーザスキャニングユニット(LSU)を用いる手法のほかに、発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッドを用いる手法もある。更に、本装置は高速印字処理を行う為に、複数のレーザ光を利用し、照射タイミングの高速化を低減する手法を採用し、2ビーム手法を採用している。
【0028】
そして、帯電器19によって均一に帯電された感光体17を入力された画像データに応じて露光することにより、感光体17の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。
【0029】
現像器15は感光体17上に形成された静電潜像をトナーで顕像化するものである。クリーナユニット21は、現像・画像転写後における感光体17上の表面に残留したトナーを、除去・回収するものである。
【0030】
前述のようにして感光体17上で顕像化されたトナーは、用紙搬送路31を搬送される用紙上に転写される。このための転写機構39(本装置では転写ベルト45ユニット)は、トナーが有する電荷の逆極性の電界を印加して、用紙上にトナーを転写するための機構である。例えば、静電像が(―)極性の電荷を有している時は、転写機構39への印加極性は(+)極性となる。
【0031】
本装置の転写機構39は、駆動ローラ41、従動ローラ43及び他のローラで架橋され、所定の抵抗値(1×109〜1×1013Ω・cmの範囲)を有する転写ベルト45を有する。前記感光体17と転写ベルト45の接触部47には、前記駆動ローラ41、従動ローラ43と別のローラであって転写電界を印加し得る弾性導電性ローラ49が配置されている。弾性導電性ローラ49は弾性を有する。これによって、感光体17と転写ベルト45とは、線接触でなく、互いが所定の幅(転写ニップと呼ばれる。)を有して面接触する。これによって搬送される用紙への転写効率の向上が図られる。
【0032】
更に、転写ベルト45の転写領域の下流側には、接触部47を通過する際に印加された電圧により帯電した用紙を除電し、次工程への搬送をスムーズに行う為の除電ローラ51が配置されている。除電ローラ51は、転写ベルト45の背面に配置されている。
【0033】
さらに転写機構39には、転写ベルト45のトナー汚れと転写ベルト45の除電を行うクリーニングユニット53、除電機構55が配置されている。前記除電機構55は装置を介して接地する手法、若しくは積極的に前記転写電界の極性とは逆極性を印加する手法がある。
転写機構39で用紙上に転写されたトナーは、定着ユニット23に搬送される。
【0034】
定着ユニット23は、加熱ローラ57、加圧ローラ59を備えており、加熱ローラ57の外周部には用紙剥離爪61、ローラ表面温度検出部材63(サーミスター)、ローラ表面クリーニング部材65が配置される。また、加熱ローラ57の内周部には、ローラの表面を所定温度(定着設定温度:概ね160〜200℃)に加熱するための熱源67が配置されている。
【0035】
他方、加圧ローラ59の両端部に前記加熱ローラ57に対し所定圧量で加圧ローラ59が圧接する事が可能な加圧部材が配置され、さらに加圧ローラ59の外周には加熱ローラ57の外周と同様に用紙剥離爪61、ローラ表面クリーニング部材65が配置されている。
【0036】
定着ユニット23は、前記加熱ローラ57と加圧ローラ59の圧接部(定着ニップ部と呼ばれる)において、搬送される用紙上の未定着トナーを加熱ローラ57表面の温度で過熱して溶融させ、かつ加圧ローラによる圧接力で用紙上の未定着トナーを投鋲作用で用紙上に定着させる。
【0037】
給紙トレイ25は、画像形成に使用するシート(記録用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、本装置では、画像形成部の下側、および側壁面に設けられている。本装置は、高速印字処理を行う事を目的とする為、画像形成部の下方に配置される給紙トレイ25として、定型サイズを各々のトレイに500〜1500枚収納可能な複数の給紙トレイ25が配置されている。他方、装置の側面には複数の用紙種類を多量に収納可能な大容量給紙カセット73、並びに主として不定型サイズの印字等に用いる手差しトレイ75が配置されている。
排紙トレイ33は、装置の手差しトレイ75とは反対側の側面に配置されているが、排紙トレイ33に変わって、排紙用紙の後処理装置(ステープル、パンチ処理等々)、複数段排紙トレイ33をオプションとして配置する事も可能な構成となっている。
【0038】
そして、画像形成装置11は、図示しない制御部を備える。前記制御部は、画像形成装置11の動作を制御するものであり、たとえば、マイクロコンピュータと前記マイクロコンピュータが実行する処理の手順である制御プログラムを格納するROM、作業用のワークエリアを提供するRAM、制御に必要なデータをバックアップして保持する不揮発性メモリ、センサーやスイッチからの入力信号が接続され、入力バッファやA/D変換回路を含む入力回路、モータやソレノイド、ランプなどの負荷を駆動するためのドライバを含む出力回路などから構成される。
【0039】
次に、本画像形成装置11の処理モードに対応する用紙搬送工程を詳細に記載する。前記制御部のマイクロコンピュータにより、印字要求に適合する用紙は、前記複数の給紙トレイ25の中から選択され、搬送路中の搬送ローラ93によってレジストローラ29まで搬送される。前記マイクロコンピュータの制御によってレジストローラ29に到達し一旦停止する。前記マイクロコンピュータは、前記用紙の先端と前記感光体17上の画像情報を合致させるタイミングでレジストローラ29を再回転させ、これによって前記用紙が転写機構39に搬送される。転写機構39で、前記用紙上に画像情報に対応するトナーが転写され、その後、前記用紙は定着ユニット23へ導かれて転写されたトナーが前記用紙上に固着される。さらにその後、前記用紙は排紙トレイ33に排出される。前記マイクロコンピュータは、印字のモード(コピアモード、プリンタモードもしくはFAXモードなど)、および印字処理手法(片面印字/両面印字など)に応じて、定着ユニット23以降から排紙トレイ33までの搬送方法を制御する。通常コピアモードでは、ユーザーが装置の近傍で操作を行う事から、印字面を上側にして排出するように用紙搬送制御することが多い。これは、「フェースアップ排出」と呼ばれる。一方、プリンタ、FAXの各モードでは、ユーザーが装置の近傍に居ない事から排出用紙のページ順を揃える「フェースダウン排出」手法が多く用いられている。
【0040】
従って、本装置では、印字のモードに応じてフェースアップ排出とフェースダウン排出とを切り換え得る機構を有している。前記切り換え機構は、定着ユニット23を通過した用紙が排紙トレイ33に排出されるまでの間に、複数の搬送路と複数の分岐爪を配置し、これによって印字モードに応じた用紙排出を行うように構成されている。
【0041】
図3は、画像形成装置11に配置された前記複数の分岐爪により複数の搬送路の切り替えを行う様子を示す説明図である。以下、図3を用いて給紙搬送路27の切り替えについての詳細を説明する。
【0042】
(給紙搬送路27の切り換え)
図3に示すように、分岐爪A77は、用紙を排紙トレイ33へ導く搬送路A79とスイッチバックもしくはレジストローラ29への搬送路B81とを切り換えるものであり、前記マイクロコンピュータは、爪位置切換え手段(ソレノイド等)を駆動して分岐爪Aの位置を切り換えることができる。また、分岐爪B83は、分岐爪保持シャフト125に配置される弾性部材(バネ等)によって付勢され搬送路B81を遮蔽するように構成されている。搬送ローラ93側から搬送路B81へ進入した用紙は、用紙先端の腰と搬送力とで分岐爪Bを通過することができる。しかし、分岐爪B83側から搬送路B81への進入しようとする用紙を阻止することができる。分岐爪C84は、用紙をレジストローラ29へ導く搬送路C84、スイッチバック部へ導く搬送路E90あるいはスイッチバック部からの用紙を排紙トレイ33へ導く搬送路D87のいずれかに切り換えるものである。さらにまた、分岐爪D89は、用紙をスイッチバック部へ導く搬送路F91と前記搬送路C34とを切り換えるものである。前記マイクロコンピュータは、分岐爪C85、Dにそれぞれ対応する爪位置切換え手段(ソレノイド等)を駆動して各分岐爪C85,Dの位置を独立に切り換えることができる。なお、分岐爪E92は固定されている。
【0043】
1)片面印字でフェースアップの排出
前記マイクロコンピュータは、定着ユニット23を通過した用紙が続いて搬送ローラ93を通過する直前のタイミングで、搬送路A79を開放し、搬送路B81を遮蔽するように分岐爪A77の位置を切り替える。搬送される用紙の先端部は分岐爪A77に案内されて搬送路A79を通過し、排紙ローラ95を経て排紙トレイ33に排出される。
【0044】
2)片面印字でフェースダウンの排出
前記マイクロコンピュータは、定着ユニット23を通過した用紙が搬送ローラ93を通過する直前に、搬送路B81を開放し搬送路A79を遮蔽するように分岐爪Aの位置を切り替える。更に分岐爪Cの位置を切り換えて搬送路C34を開放し搬送路E90を遮蔽する。搬送される用紙の先端部は分岐爪A77に案内されて搬送路B81を通過する。さらに、用紙先端の腰と搬送力とで分岐爪Bを通過し分岐爪Bに達する。その後、用紙の先端部は、分岐爪Cに案内されて搬送路C84に導かれる。前記用紙の後端が分岐爪E92の位置に到達したときに、前記マイクロコンピュータは用紙の搬送を一旦停止させる。そして、前記マイクロコンピュータは、分岐爪Cの位置を切り換えて搬送路D87を開放し、搬送路E90を遮蔽する。前述のように、分岐爪Bは、弾性部材で付勢されて搬送路B81を遮蔽している。以上のように分岐爪Cの位置を切り替えた後、前記マイクロコンピュータは、反転搬送ローラ94を逆回転させて用紙を進入方向と逆方向に搬送する。用紙は、前記分岐爪E90に近い側、即ち搬送路C84への進入時の後端側を先端側にして搬送路D87を通過し、排紙ローラ95を経て排紙トレイ33に排出される。
【0045】
3)両面印字の印字手法での排出
前記マイクロコンピュータは、第1面(表面)の印字が終了し、定着ユニット23を通過した用紙が搬送ローラ93を通過する直前に、分岐爪A77の位置を切り換えて搬送路B81を開放し、搬送路A79を遮蔽する。更に分岐爪Cの位置を切り換えて搬送路E90を開放し、搬送路C84を遮蔽する。また、分岐爪Dの位置を切り換えて搬送路D87を開放する。搬送される用紙の先端部は分岐爪A77に案内されて搬送路B81を通過し、用紙先端の腰と搬送力とで分岐爪Bを通過した後、分岐爪Cに案内されて搬送路E90を通過し、それに続く搬送路F91へ導かれる。前記マイクロコンピュータは、用紙の後端が搬送路F91に到達したときに用紙の搬送を一旦停止させる(第1面のスイッチバックの完了)。そして、分岐爪Dの位置を切り換えて搬送路E90を遮蔽し、搬送路C84を開放する。その後、前記マイクロコンピュータは、スイッチバックローラ105を逆回転させて用紙をスイッチバック部への進入時と逆方向に搬送する。用紙は、前記搬送路F91への進入時の後端側を先端にして分岐爪E90を通過し、搬送路C84へ導かれる。その後、用紙は、前記印字処理工程(転写機構39)の直前に配置されるレジストローラ29まで搬送され、画像と同期をとって転写ベルト45上に搬送される。第2面(裏面)印字が終了し、用紙が定着ユニット23を通過したとき、前記マイクロコンピュータは、分岐爪A77の位置を切り換えて用紙を搬送路A79へ導き、排紙トレイ33へ排出する。
【0046】
(第1ユニット101、第2ユニット103と、その引き出し機構)
画像形成装置11の機内でJAMが発生し、用紙搬送路31中に滞留した用紙を取り除く場合に操作される、ユニットとその引き出し機構について説明する。
【0047】
図4は、画像形成装置11から引き出される第1ユニット101、第2ニット103などの引き出し部分の外形を示す説明図である。より詳細には、図4には、画像形成装置11の本体に収容され、ガイドレールA97およびガイドレールB99に沿って図4の紙面手前側に引き出し可能な第1ユニット101の手前側のフレームの外形と、第1ユニットに支持されて第1フレームと共に引き出される定着ユニット23のカバーと、第1ユニットに装着された状態で本体に収容され、第1ユニット101が本体から引き出された状態で、第1ユニット101から排紙トレイ33側への引き出しが可能な第2ユニット103の手前側フレームの外形とを示している。図4で、本体から引き出される部分を判り易くするために、第1ユニット101、第2ユニット103および定着ユニット23のカバーを太い実線で記している。
【0048】
図4に示すように、第1ユニット101の上側には、用紙搬送路31があり、第1ユニット101を本体から引き出すと、用紙搬送路31が露出する。ユーザーは、用紙搬送路31に滞留している用紙を容易に取り除くことができる。
【0049】
また、図5は、第1ユニット101を本体から引き出した状態で、さらに第2ユニット103を第1ユニット101から引き出した状態を示す説明図である。図3の説明で述べたように、第2ユニット103の排紙トレイ33側には、上面に搬送路A79、上方給紙側に搬送路B81、上方排紙側に搬送路D87および搬送路E90がある。さらに、第1ユニット101に押し込まれた状態で第1ユニット101に隠れており第1ユニット101から引き出されて露出する部分には搬送路C84と搬送路F91がる。搬送路C84は上側に、搬送路F91は下側にある。ユーザーは、第2ユニット103を第1ユニット101から引き出すことによって、搬送路A79、搬送路B81、搬送路C84、搬送路D87、搬送路E90および搬送路F91に滞留している用紙を容易に取り除くことができる。
【0050】
図6は、図4に対応する状態であり、第1ユニット101を本体から引き出した状態を示す斜視図である。図6に示すように、第1ユニット101の上側には用紙搬送路31が露出している。
【0051】
また、図7は、図6の状態からさらに第2ユニット103を第1ユニット101から引き出した状態を示す斜視図である。図7は、図5の状態に対応する。図7では搬送路の詳細を省略しているが、第2ユニット103を引き出すと、第1ユニット101の下側に隠れていた搬送路C84が露出し、また、第1ユニット101と第2ユニット103との間にあった搬送路B81が露出する。搬送路A79は第2ユニット103の上側に露出し、搬送路D87、Eは第2ユニット103の排紙トレイ33側に露出している。スイッチバック部の搬送路F91は、第2ユニット103の下側になるが、ユーザーは、搬送路F91にあるスイッチバックローラ105を手で回させることにより搬送路F91に滞留した用紙を容易に取り除くことができる。
【0052】
(第1ユニット101の収容抑止機構)
図5あるいは図7に示すように、第2ユニット103が引き出された状態で第1ユニット101が自由にスライドする状態にあるとすると、第1ユニット101が本体に押し込まれるときに、第2ユニット103と本体の一部とが衝突する。第1ユニット101のように、本体から引き出す機構を有するものは、ユーザーの操作性を考慮してベアリングやローラなどを用いてすべり易くしたものが多い。この場合、ユーザー等がユニットに触れたわずかな力によって第1ユニット101がスライドすることは好ましくない。第2ユニット103と本体とが衝突して衝突部分が傷ついたり変形したりするおそれがあるからである。あるいは、設置面のわずかな傾斜などによってガイドレールが水平方向に対しわずかに傾いている場合や、ユニットの重量バランスの関係から第1ユニット101が自重でスライドすることも好ましくない。さらに、ユーザーが、第2ユニット103が引き出されていることを考慮せずに第1ユニット101を本体へ押し込むと、衝突部分が破損するおそれもある。第2ユニット103が第1ユニットから引き出された状態では、第2ユニット103と本体との衝突を回避する機構を設けることが重要である。
【0053】
≪第1の実施形態≫
この実施の形態では、第2ユニット103と本体との衝突を回避する機構の一態様として、第1ユニット101を所定位置以上に押し込むために所定以上の力を必要とする機構を設ける形態について説明する。この機構によって、不用意に第1ユニット101が収容されることが抑止される。
【0054】
図8は、この実施形態に係る収容抑止機構の一例を示す説明図である。図8の収容抑止機構は、第1ユニット101を引き出すためのガイドレールA97、ガイドレールB99と平行にのびる固定レール107を設け、第1ユニット101側のアーム109に取り付けられたコロ111が第1ユニット101のスライドに伴って固定レール107上を移動し、固定レール107にコロ111の移動を抑止する機構を設けるものである。
図9は、図8に示す抑止機構の詳細を示す説明図である。図9(a)は平面図、図9(b)は正面図である。図9で、固定レール107は、図の右方にあって図示しない本体側に取り付けられており、アーム109は、図の左方にあって図示しない第1ユニット101に取り付けられている。そして、アーム109の先端部に取り付けられたコロ111が、第1ユニット101を出し入れする際に固定レール107上を回転しながら移動する。
【0055】
図9では固定レール107に沿って2箇所に押圧部が設けられている。最初の箇所である第1位置113は、第1ユニット101を終端まで引き出したときにコロ111が位置する場所の近くの位置である。2つめの箇所は、第1ユニット101を本体へ押し入れる途中にある第2位置115である。各位置の押圧部は、固定レール107上を通過するコロ111を押圧する押圧部材117と、押圧部材117の移動方向を鉛直方向に規制するハウジング部119と、ハウジング部119内の押圧部材117を下方へ付勢する押圧バネ121と、ハウジング部119の天面に空けられたガイド穴123に挿入されるシャフト125から構成される。シャフト125の下端には、押圧部材117が固定され、上端はガイド穴123の径より大きな径のT字状の頭部を有している。これによってシャフト125は、ガイド穴123から抜け落ちないように嵌められている。また、押圧バネ121がシャフト125に通されている。
【0056】
コロ111が固定レール107に沿って移動して押圧部を通過するときに、コロ111の周と押圧部材117の下端が当接して押圧部材117が上方に持ち上げられる。これによって、押圧バネ121が圧縮され、コロ111を下方に押圧する。押圧部材117の固定レール107に沿う方向の断面形状は、上底が下底よりも大きい逆台形をしており、かつ、上底の近傍で斜辺を垂直に切り落とした形状を有している。コロ111の周が押圧部材117の下底と当接しているときに、コロ111は下方への押圧力を最も強く受ける。斜辺と当接している状態では、コロ111が押圧部材117の中心から離れるに従ってコロ111の受ける押圧力は減少する。
【0057】
第1ユニット101を出し入れすると第1および第2位置近傍の押圧部でコロ111が押圧され、第1ユニット101を操作するユーザーにクリック感を与える。従って、第1ユニット101が終端まで引き出された状態から本体側へ押し込まれる場合、コロ111が第1位置113と第2位置115を通過するときに抵抗力がはたらき、この抵抗力に抗する所定以上の強さで第1ユニット101が押し込まれなければ、第1ユニット101のスライドが停止する。即ち、第1ユニット101が不用意に本体へ押し込まれることが回避される。
【0058】
≪第2の実施形態≫
この実施の形態では、第2ユニット103が引き出されているときに、第1ユニット101の収容を抑止する抑止部材(ストッパー127)を設け、ストッパー127が本体の一部と当接して第1ユニット101を所定位置以上に押し込めないようにする収容抑止機構の一例について説明する。
【0059】
図10は、この実施形態に係る前記ストッパー127が第1ユニット101に取り付けられた状態を示す斜視図である。ストッパー127は、第1ユニット101の引き出し側を手前側とした場合に、引き出し側と反対側の側面の奥フレーム129に取り付けられている。ストッパー127は、奥フレーム129に対して移動可能に取り付けられている。
【0060】
図11は、図10のストッパー127の部分を拡大して示した説明図である。図11に示すように、ストッパー127は、奥フレーム129の下端部に設けられた支点131を中心に奥フレーム129に対して回動可能に取り付けられている。しかし、移動可能に取り付けられたストッパー127の変形例としては、たとえば、ストッパー127が上下にスライドするように取り付けられていてもよい。
【0061】
図12は、図11でストッパー127を通り奥フレーム129に直交する垂直面における断面図である。図12で、ストッパー127の一端は、奥フレーム129に対して回動の支点131の反対側にあってリンク部材133に当接している。リンク部材133は、第2ユニット103の奥側のフレームに取り付けられた部材であって、第2ユニット103が第1ユニット101に押し込まれて所定位置にある状態でストッパー127部材に当接する位置に配置されている。ストッパー127の他端は、奥フレーム129に対して支点131と同じ側にあり、支点131を通る水平面よりも高い位置にある。これは、前記一端がリンク部材133と当接しているためである。第2ユニット103が引き出されてリンク部材133がストッパー127の一端に当接しない状態では、ストッパー127の他端は支点131を通る水平面よりも下方にある回動端に位置する。この回動端は、ストッパー127の一端が、奥フレーム129の切り欠き部135の上縁に当接して決まる位置である(図13参照)。ストッパー127は、図示しないスプリングで付勢され、前述した下方の回動端へ向けて回動しようとする。
【0062】
図10は、第1ユニット101が本体から引き出され、かつ第2ユニット103が第1ユニット101から引き出されていない状態を示している。この状態では、前述のようにストッパー127の一端が第2ユニット103のリンク部材133に当接しており、他端は下方の回動端よりも上方にある。ストッパー127がこの位置にあるときは、第1ユニット101は自由に引き出したり本体に押し込んだりすることができる。すなわち、前記のストッパー127は、第1ユニット101の出し入れが可能な解除位置にある。
【0063】
図1は、第2ユニット103が第1ユニット101から引き出され、それに伴ってストッパー127とリンク部材133との当接が解除されてストッパー127の他端が下方の回動端に位置した状態を示す斜視図である。図13は、図1のストッパー127の部分を拡大して示す説明図である。ストッパー127が下方の回動端にあるとき、第1ユニット101を本体に押し入れようとすると、ストッパー127の他端が本体手前側の梁137に当接し、第1ユニット101を押し入れることができない。
【0064】
図14は、図13でストッパー127を通り奥フレーム129に直交する垂直面における断面図である。図14に示すように、ストッパー127の他端が下方の回動端にあって梁137に当接しているので、第1ユニット101をそれ以上本体へ押し込むことができない。従って、第2ユニット103が本体に衝突することがない。すなわち、前記のストッパー127は、第1ユニット101の出し入れを抑止する抑止位置にある。リンク部材133を配置する位置は、第1ユニット101を本体に収容しても第2ユニット103が本体と接触しない所定の位置まで第2ユニット103が押し込まれたときにストッパー127と梁137との当接が解除されるように決定すればよい。なお、第2ユニット103が前記所定の位置まで押し込まれると、第1ユニット101にロックされるロック機構を設けることが望ましい。第2ユニット103を引き出すときには、ロック機構を解除して引き出すようにすれば、第2ユニットが不要なときに第1ユニットから引き出された状態になることを回避することができる。
【0065】
図15は、第2ユニット103の出し入れに応じてストッパー127に当接するように配置されたリンク部材133の形状を示す説明図である。図15に示すように、リンク部材133は、ストッパー127の一端と当接する部分に斜面を有しており、第2ユニット103を第1ユニット101に押し込んでいき、終端近くまで達するとリンク部材133の斜面が、それに対応するストッパー127部材の一端部に設けられた斜面の一部と当接する。
【0066】
その位置からさらに第2ユニット103を押し込むと、ストッパー127が回動し、ストッパー127の他端が下方の回動端から上昇して梁137と当接しない位置まで上昇する。
図16は、第2ユニット103が完全に押し込まれて、ストッパー127の他端が上昇した状態を示す説明図である。図16に示すストッパー127位置は、前述の解除位置であり、図10〜13のストッパー位置と対応している。このとき、第1ユニット101はわずかな力で滑らかにスライドさせることができ、本体へ収容することができる。第1ユニット101を本体へ押し込んでいくと、ストッパー127の他端は本体の奥側のフレーム139に当接する。その位置からさらに第1ユニット101を押し込むと、ストッパー127は本体の奥側のフレーム139から受ける力でバネの力に反して回動し、ストッパー127の他端が上方へ回動する。第1ユニット101が本体へ完全に押し込まれた位置では、ストッパー127の他端は支点131とほぼ垂直な位置にある。第1ユニット101は、本体に押し込まれた位置で本体にロックされる図示しないロック機構を有していてもよい。
図17は、第1ユニット101が本体に収容された状態を示す斜視図である。図18は、図17でストッパー127を通り奥フレーム129に直交する垂直面における断面図である。
【0067】
図17の状態から、第1ユニット101を引き出すと、ストッパー127の他端はバネの力で下方の回動端へ向かって回動し、図10〜11に示す解除位置で停止する。
【0068】
ストッパー127の位置を検出するストッパー位置検知センサーを設け、ストッパー127が抑止位置にあるときに、その旨を表示してユーザーに知らせるようにしてもよい。この場合、ストッパー位置検知センサーの信号を制御部に入力し、前記マイクロコンピュータがストッパー位置検知センサーの信号を検出するようにする。前記マイクロコンピュータは、ストッパー127が抑止位置にあるときに、図示しない操作パネルにメッセージを表示する。そして、第1ユニット101を本体へ収容するためには、まず第2ユニット103を押し込む必要があることをユーザーに知らせる。ストッパー127の位置を検出するセンサーとしては、たとえば、反射型のフォトセンサやマイクロスイッチを使用することができ、これらのセンサーをストッパー127の近くの奥フレーム129上に配置してストッパー127の位置を検出すればよい。
【0069】
あるいは、ストッパー127の位置を検知するのではなく、第2ユニット103の位置を検知する第2ユニット位置検知センサーを設けるようにしてもよい。たとえば、第2ユニット位置検知センサーとして、奥フレーム129上にリンク部材133の位置を検知するマイクロスイッチあるいはフォトセンサを配置し、リンク部材133がストッパー127と当接する位置にあることを検知して、前記のメッセージを表示するようにしてもよい。
【0070】
最後に、前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得ることは明らかである。そのような変形例は、この発明の特徴及び範囲に属さないと解釈されるべきものではない。本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更とが含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】この発明に係る第2の実施形態において、第2ユニットが第1ユニットから引き出され、ストッパーの他端が下方の回動端に位置した状態を示す斜視図である。(第2の実施形態)
【図2】この発明に係る画像形成装置の構成を示す説明図である。
【図3】この発明に係る画像形成装置に配置された前記複数の分岐爪により複数の搬送路の切り替えを行う様子を示す説明図である。
【図4】この発明に係る画像形成装置から引き出される第1ユニット、第2ニットなどの引き出し部分の外形を示す説明図である。
【図5】図4の第1ユニットを本体から引き出した状態で、さらに第2ユニットを第1ユニットから引き出した状態を示す説明図である。
【図6】図4の第1ユニットを本体から引き出した状態を示す斜視図である。
【図7】図6の状態からさらに第2ユニットを第1ユニットから引き出した状態を示す斜視図である。
【図8】第1ユニットの収容を抑止する機構の一例を示す説明図である。(第1の実施の形態)
【図9】スライドを抑止するための機構の詳細を示す説明図である。(第1の実施の形態)
【図10】第2の実施形態に係るストッパーが第1ユニットに取り付けられている様子を示す斜視図である。(第2の実施形態)
【図11】図10のストッパー127の部分を拡大して示す説明図である。(第2の実施形態)
【図12】図11でストッパー127を通り奥フレーム129に直交する垂直面における断面図である。(第2の実施形態)
【図13】図1のストッパー127の部分を拡大して示す説明図である。(第2の実施形態)
【図14】図13でストッパー127を通り奥フレーム129に直交する垂直面における断面図である。(第2の実施形態)
【図15】第2ユニットの出し入れに応じてストッパーに当接するリンク部材の形状を示す説明図である。(第2の実施形態)
【図16】第2ユニットが完全に押し込まれて、ストッパーの他端が上昇した状態を示す説明図である。(第2の実施形態)
【図17】第1ユニットが本体に収容されてロックされた状態を示す斜視図である。(第2の実施形態)
【図18】図17でストッパー127を通り奥フレーム129に直交する垂直面における断面図である。(第2の実施形態)
【符号の説明】
【0072】
11 画像形成装置
13 露光ユニット
15 現像器
17 感光体
19 帯電器
21 クリーナユニット
23 定着ユニット
25 給紙トレイ
27 給紙搬送路
29 レジストローラ
31 用紙搬送路
33 排紙トレイ
35 レーザ照射部
37 反射ミラー
39 転写機構
41 駆動ローラ
43 従動ローラ
45 転写ベルト
47 接触部
49 弾性導電性ローラ
51 除電ローラ
53 クリーニングユニット
55 除電機構
57 加熱ローラ
59 加圧ローラ
61 用紙剥離爪
63 ローラ表面温度検出部材
65 ローラ表面クリーニング部材
67 熱源
73 大容量給紙カセット
75 手差しトレイ
77 分岐爪A
79 搬送路A
81 搬送路B
83 分岐爪B
84 搬送路C
85 分岐爪C
87 搬送路D
89 分岐爪D
90 搬送路E
91 搬送路F
92 分岐爪E
93 搬送ローラ
94 反転搬送ローラ
95 排紙ローラ
97 ガイドレールA
99 ガイドレールB
101 第1ユニット
103 第2ユニット
105 スイッチバックローラ
107 固定レール
109 アーム
111 コロ
113 第1位置
115 第2位置
117 押圧部材
119 ハウジング部
121 押圧バネ
123 ガイド穴
125 シャフト
127 ストッパー
129 奥フレーム
131 支点
133 リンク部材
135 切り欠き部
137 梁
139 本体奥側のフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体から第1方向へ引出し可能な第1ユニットと、
前記第1方向と異なる第2方向へ第1ユニットから引出し可能なユニットであって第1ユニットが本体から引き出された状態で第1ユニットからの引き出しが可能な第2ユニットと、
前記本体および/または第1ユニットに設けられ、前記第1ユニットを所定位置以上に押し込むために所定の操作を行わせるための収容抑止機構を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
本体に固定され第1ユニットの引き出し方向にのびるレールと、
第1ユニットに固定されかつ前記レールに沿って移動する移動部材とをさらに備え、
前記収容抑止機構が、前記レールの1以上の箇所に配設される押圧部であって前記移動部が通過する際に弾性部材による所定の押圧力で前記移動部材を押圧する押圧部からなり、
前記所定の操作が前記押圧部の押圧力に抗して第1ユニットを押し込む操作である請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記所定の操作が、引き出された第2ユニットを第1ユニットに対する所定位置に押し込む操作であり、
前記収容抑止機構が、第2ユニットが第1ユニットに対する前記所定位置より引き出されているときに第1ユニットの本体への収容を抑止する機構である請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記収容抑止機構が、第1ユニットに装着されて移動可能な抑止部材と、前記抑止部材が本体の一部と当接することにより第1ユニットが所定位置以上に本体へ押し込まれることを抑止する抑止位置と前記抑止部材と本体の一部との当接を回避して第1ユニットの本体への収容を許容する解除位置とに前記抑止部材を移動させる移動機構とからなり、
前記移動機構が、第2ユニットの第1ユニットに対する位置に応じて前記抑止部材を移動させる請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記第2ユニットは、当該第2ユニットに支持されて前記抑止部材と当接し得るリンク部材を有し、
前記抑止部材が、前記抑止位置へ向けて移動するように付勢され、
前記リンク部材が、前記第2ユニットが第1ユニットに対する所定位置に押し込まれたときに前記抑止部材に当接して前記抑止部材を前記解除位置に移動させ、
前記第2ユニットが前記所定位置より引き出されたときに前記抑止部材から離間して前記抑止部材を前記抑止位置へ移動させる請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記リンク部材が、第1ユニットを本体に収容しても第2ユニットと本体との接触を回避し得る位置に第2ユニットが押し込まれたときに前記抑止部材を前記解除位置に移動させる請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記抑止部材が抑止位置にあることを検知する抑止部材位置検知部と、
前記抑止部材位置検知部の検知に基づいて前記抑止部材が抑止位置にあるときに第1ユニットの本体への収容が抑止されている旨を報知する報知部とをさらに備える請求項4記載の装置。
【請求項8】
第2ユニットが所定位置にあることを検知する第2ユニット位置検知部と、
前記第2ユニット位置検知部の検知に基づいて第2ユニットが所定位置以外の位置にあるときに第1ユニットの本体への収容が抑止されている旨を報知する報知部とをさらに備える請求項4記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−127991(P2007−127991A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−322594(P2005−322594)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】