説明

ユーザ行動認識装置および方法

【課題】 時系列的な位置情報に基づいてユーザ行動を認識するための装置および方法を提供する。
【解決手段】 ユーザ行動認識装置が、ユーザ位置データを受信し、時間に基づいてそのデータを調整して、時系列的なユーザ位置データを取得するように構成された位置データ受信手段と、時系列的なユーザ位置データを前処理するように構成されたデータ前処理手段と、前処理されたユーザ位置データに基づいて、ユーザ活動のタイプを認識するための特徴ベクトルを抽出するように構成された特徴ベクトル抽出手段と、特徴ベクトル抽出手段によって抽出された特徴ベクトルに基づいて、ユーザ活動のタイプを認識し、ユーザの行動特徴を把握するように構成されたユーザ行動認識手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ分析の分野に関し、特に、位置データに基づいてユーザの行動を認識するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全地球衛星測位システムや、無線セルラーネットワークを利用した携帯電話位置決め技術に代表される位置決め技術の急速な発達と普及に伴い、周囲の地理的環境を効率的に識別することが可能になってきた。こうした位置情報は、位置決め、ナビゲーション等の位置に基づくサービスのみならず、地理的空間内におけるユーザ行動履歴の表現においても使用することが可能である。例えば、ユーザ軌跡の履歴は、ユーザの個別の位置点を結合して時系列的な線にすることで表すことができる。そして、こうした軌跡の履歴をいくつか積み重ねることで、ユーザの生活における規則性と行動の特徴が浮き上がってくる。さらに、大量なユーザデータセットを分析することで、特定の地域における人々の生活の規則性と行動の特徴(人気のある場所、一般的な旅行ルート、交通状態など)を把握することができる。
【0003】
現在多数存在する無線位置決め技術の中で、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)は、受信可能範囲が広い、位置決め精度が高い、位置決め時間が短い、位置決めにおける依存性が低い等の利点により、高い人気を得ている。多種多様な車載型GPS、ハンドヘルド型GPS、GPSに対応したスマートフォンの出現により、位置の取得と軌跡の記録はきわめて簡単に行えるようになった。GPSによって取得される軌跡データは、個人の行動や社会的な規則性の解釈を支援する様々なアプリケーションにおいて、重要な役割を果たしている。データソースの観点に立つと、解釈の方向には2通りがある。1つは個人ユーザの軌跡データに基づく解釈と、もう1つは複数ユーザの軌跡データに基づく解釈である。
【0004】
「個人ユーザの軌跡データに基づく解釈」とは、ユーザが自分の生活を乱すことなく、その旅行ルート、活動経験、日常生活、および仕事の軌跡を記録できることを意味する。この軌跡データを、既存の地理的情報データベースや電子地図と組み合わせると、個人ユーザに様々なサービスを提供することが可能になる。こうしたサービスの例としては、ユーザが自身の過去をより効果的に思い出し、自身の生活体験を友達とより便利に共有し、自身の生活における規則性を理解するための支援を提供するサービスや、個人化サービスが挙げられる。
【0005】
単一ユーザに関する軌跡データは、個人の生活の規則性を反映する。一方、複数ユーザの軌跡データセットは、地域社会(場合によっては都市)で暮らす人々のライフスタイルを表現し、ユーザの行動を認識するために使用できる。外食、シッピング、スポーツ等の固定的な目的地における行動も、外出中のユーザ行動の解釈を含んでいる。この解釈とは、例えば、ユーザの移動手段(車、公共交通機関、自転車)を特定し、ユーザによって選択されるであろう目的地を予測するための解釈である。
【0006】
ただし、軌跡データを解釈することにより、個別ユーザの行動を認識し、さらには特定地域における複数ユーザのライフスタイルを把握するための技術を具現化できるまでには、未だ課題がある。どの位置決めスキームを使用した場合も、位置決めエラーは必ずあるので、ユーザの正確な位置と、デジタル電子地図おける関心点(POI)とを完全に一致させることは不可能である。そのため、位置決めを正確に行うことができるのは、中心業務地区(CBD)やZhongGuanCun(中関村)等のいくつかの大きな都市部領域に限定される。したがって、ユーザ位置分布の傾向を大まかに分析することはできても、ユーザ行動を正確に認識することは不可能である。その結果、単一ユーザの軌跡データを正確に解釈できないので、個人の詳細な行動パターンを把握することもできない。さらに、こうした分析では、地域社会や都市の人々の行動パターンを把握することも不可能である。
【0007】
ユーザデータを処理するためのある従来技術では、ユーザの位置情報の変化に基づいて様々なユーザデータ情報を取得し、その情報を地理的分布に基づく分類統計処理に付して、ユーザ行動と習慣を分析する。この方法は、主に次のステップで構成される。まず、ユーザの識別と、ユーザが所在する位置領域とを含む、ユーザの位置情報が取得される。次に、定義済みの条件基準に基づいて、位値情報の履歴記録から、その条件基準を満たすユーザ識別が検出される。最後に、検出されたユーザ識別に基づいてユーザ情報が抽出され、そのユーザ情報に基づいてユーザデータが発行される。以下では、この方法の具体的な動作処理について詳細に説明する。
【0008】
図1は、時間範囲と領域範囲に分布するユーザ軌跡を示す。図1に示すように、不規則な形状はユーザ軌跡が分布する時間範囲と領域範囲を表し、長方形の枠は分析対象の時間範囲と領域範囲を表す。図内の点は、ユーザの位置点を表す。横座標は領域を示し、縦座標は時間を示す。図1に示す例では、範囲内の点3および4はユーザ位置点であり、点1および2は範囲外のユーザ位置点である。
【0009】
下表1に示すように、範囲内のユーザ位置点(例:点3および4)は、携帯電話番号等のユーザの識別情報を含むセットに組み入れられる。
【表1】

その後、下表2に示すように、検出されたユーザ識別に基づいて、ユーザ情報データベースからユーザ情報が抽出される。
【表2】

このことから、範囲内にユーザ1およびユーザ2という2人のユーザが存在し、それぞれ20歳の女性と18歳の女性であることが分かる。
【0010】
最後に、検出されたユーザ情報と、ユーザデータセットの組み合わせに基づいて分類統計処理が実行され、領域内でのユーザ習慣行動データが発行される。このようにして、下の表3に示す、時間範囲と領域範囲内におけるユーザ特徴分布が取得される。
【表3】

【0011】
上記で定義された時間範囲と領域範囲は、「年齢に関しては若者が多い」および「性別に関しては女性が多い」という特徴を有する。したがって、上記で定義された時間範囲と領域範囲は「若い女性に好まれる」と結論づけることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した方法は、分布に基づいた離散的ユーザ位置データに対して分類統計処理を単純に適用しているに過ぎない。地理的分布に基づくユーザ統計結果はユ―ザの真の行動を表していないので、領域内に存在するユーザにPOIを推奨するための十分な情報は得られない。この分類統計処理方法はユーザの真の意図と行動を正確に表すことはできないため、非常に不確実である。さらに、表面的レベルの意味合いにおいて行われるこうした分析では、他のユーザに関しての情報は十分に得られないため、都市計画への優れた提案を作成することは不可能である。
【0013】
上記の問題を解決するため、本発明は、時系列的な位置情報に基づいてユーザ行動を認識するための装置および方法を提供する。まず、ユーザのトリップ(外出)に関する時系列的な位置情報がデータ前処理に付され、トリップチェーンと活動領域、およびオプション活動タイプが抽出される。その後、トリップチェーンと活動領域の時間的および空間的要因から、活動タイプを認識するための特徴が抽出され、その結果得られた特徴ベクトルが分類子に入力される。最後に、サポートベクターマシン(SVM:Support Vector Machine)に基づいてペア構成の分類子が確立され、分類子投票手法によってオプション活動セットから活動タイプが選択される。このようにして、ユーザの行動特徴、すなわちトリップ特徴および活動特徴が取得される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの態様によれば、ユーザ位置データを受信し、時間に基づいてそのデータを調整して、時系列的なユーザ位置データを取得するように構成された位置データ受信手段と、時系列的なユーザ位置データを前処理するように構成されたデータ前処理手段と、前処理されたユーザ位置データに基づいて、ユーザ活動のタイプを認識するための特徴ベクトルを抽出するように構成された特徴ベクトル抽出手段と、特徴ベクトル抽出手段によって抽出された特徴ベクトルに基づいて、ユーザ活動のタイプを認識し、ユーザの行動特徴を把握するように構成されたユーザ行動認識手段とを備える、ユーザ行動認識装置が提供される。
【0015】
時系列的なユーザ位置データは、ユーザ識別情報、地理的位置情報、および時間情報で構成されるのが望ましい。
【0016】
データ前処理手段は、時系列的なユーザ位置データからユーザトリップチェーンとユーザ活動領域とを取得し、かつデジタル電子地図の関心点情報に関連するユーザ活動のオプション位置を取得するように構成されるのが望ましい。
【0017】
特徴ベクトル抽出手段によって抽出される特徴ベクトルは、ユーザトリップチェーンに関する時間ベースおよび空間ベースのベクトルと、ユーザ活動に関する時間ベースおよび空間ベースのベクトルとで構成されるのが望ましい。
【0018】
ユーザトリップチェーンに関する時間ベースのベクトルは、1日全体に対するトリップチェーンの開始時間の比率、1日全体に対するトリップチェーンの持続時間の比率、1日全体に対する主要活動の開始時間の比率、1日全体に対する主要活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する全活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する全活動の平均持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する分散された活動の持続時間の比率における標準偏差、およびトリップチェーンにおける全活動の持続時間に対する主要活動の持続時間の比率で構成されるのが望ましい。
【0019】
ユーザトリップチェーンに関する空間ベースのベクトルは、トリップチェーンの最大長さに対するトリップチェーンの長さの比率、トリップチェーンの長さに対するトリップチェーンの半径の比率、トリップチェーンの長さに対する自宅から主要活動までの直接距離の比率、トリップチェーンの長さに対する活動間の平均距離の比率、および活動間の距離の標準偏差で構成されるのが望ましい。
【0020】
ユーザ活動に関する時間ベースのベクトルは、1日全体に対する1つの活動の開始時間の比率、1日全体に対する1つの活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間とトリップチェーンの開始時間との差の比率、トリップチェーンの持続時間に対する1つの活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間と直前の活動の終了時間との差の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の終了時間と次の活動の開始時間との差の比率、主要活動の持続時間に対する1つの活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間と主要活動の終了時間との差の比率、およびトリップチェーンの持続時間に対する、主要活動の開始時間と1つの活動の終了時間との差の比率で構成されるのが望ましい。
【0021】
ユーザ活動に関する空間ベースのベクトルは、トリップチェーンの長さに対する自宅から1つの活動までの直接距離の比率、トリップチェーンの長さに対する1つの活動から直前の活動まで距離の比率、トリップチェーンの長さに対する1つの活動から次の活動までの距離の比率、トリップチェーンの長さに対する、1つの活動から自宅までの距離と主要活動から自宅までの距離の差の比率、トリップチェーンの長さに対する、自宅から1つの活動までの直接距離と自宅から主要活動までの直接距離の差の比率で構成されるのが望ましい。
【0022】
ユーザ行動認識手段は、サポートベクターマシンをベースとする分類子を備えるのが望ましい。
【0023】
ユーザ行動認識装置は、ユーザ識別に基づいてユーザの行動特徴をユーザの情報と関連付け、特定領域における複数ユーザの特徴データを収集して当該領域の特徴情報を取得するように構成された、ユーザ行動収集手段をさらに備えるのが望ましい。
【0024】
本発明の1つの態様によれば、ユーザ位置データを受信し、そのデータを時間に基づいて調整して、時系列的なユーザ位置データを取得するステップと、時系列的なユーザ位置データを前処理するステップと、前処理されたユーザ位置データに基づいて、ユーザ活動のタイプを認識するための特徴ベクトルを抽出するステップと、ユーザ行動の特徴を把握するために、特徴ベクトルに基づいてユーザ活動のタイプを認識するステップとを備える、ユーザ行動認識方法が提供される。
【0025】
時系列的なユーザ位置データは、ユーザ識別情報、地理的位置情報、および時間情報で構成されるのが望ましい。
【0026】
データ前処理ステップは、時系列的なユーザ位置データからユーザトリップチェーンおよびユーザ活動領域を取得し、かつデジタル電子地図の関心点情報に関連するユーザ活動のオプション位置を取得するように構成されるのが望ましい。
【0027】
特徴ベクトルは、ユーザトリップチェーンに関する時間ベースおよび空間ベースのベクトルと、ユーザ活動に関する時間ベースおよび空間ベースのベクトルで構成されるのが望ましい。
【0028】
ユーザトリップチェーンに関する時間ベースベクトルは、1日全体に対するトリップチェーンの開始時間の比率、1日全体に対するトリップチェーンの持続時間の比率、1日全体に対する主要活動の開始時間の比率、1日全体に対する主要活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する全活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する全活動の平均持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する分散された活動の持続時間の比率における標準偏差、およびトリップチェーンにおける全活動の持続時間に対する主要活動の持続時間の比率で構成されるのが望ましい。
【0029】
ユーザトリップチェーンに関する空間ベースのベクトルは、トリップチェーンの最大長さに対するトリップチェーンの長さの比率、トリップチェーンの長さに対するトリップチェーンの半径の比率、トリップチェーンの長さに対する自宅から主要活動までの直接距離の比率、トリップチェーンの長さに対する活動間の平均距離の比率、および活動間の距離の標準偏差で構成されるのが望ましい。
【0030】
ユーザ活動に関する時間ベースベクトルは、1日全体に対する1つの活動の開始時間の比率、1日全体に対する1つの活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間とトリップチェーンの開始時間との差の比率、トリップチェーンの持続時間に対する1つの活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間と直前の活動の終了時間との差の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の終了時間と次の活動の開始時間との差の比率、主要活動の持続時間に対する1つの活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間と主要活動の終了時間との差の比率、およびトリップチェーンの持続時間に対する、主要活動の開始時間と1つの活動の終了時間との差の比率で構成されるのが望ましい。
【0031】
ユーザ活動に関する空間ベースのベクトルは、トリップチェーンの長さに対する自宅から1つの活動までの直接距離の比率、トリップチェーンの長さに対する1つの活動から直前の活動まで距離の比率、トリップチェーンの長さに対する1つの活動から次の活動までの距離の比率、トリップチェーンの長さに対する、1つの活動から自宅までの距離と主要活動から自宅までの距離の差の比率、およびトリップチェーンの長さに対する、自宅から1つの活動までの直接距離と自宅から主要活動までの直接距離の差の比率で構成されるのが望ましい。
【0032】
特徴ベクトルに基づいてユーザ活動のタイプを認識して、ユーザ行動の特徴を把握するために、サポートベクターマシンをベースとする分類子が採用されている。
【0033】
ユーザ行動識別方法は、ユーザ識別に基づいてユーザの行動特徴をユーザの情報と関連付けるステップと、特定領域における複数ユーザの特徴データを収集して当該領域の特徴情報を取得するステップとをさらに備えるのが望ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、ユーザの軌跡の解釈に基づいて、単一ユーザの行動およびトリップチェーンにおける特徴を把握することが可能になる。適正な特徴ベクトルを確立して分析することにより、深いレベルのユーザ行動の特徴を把握できるため、各ユーザの認識結果の精度と充実度が高まる。さらに、本発明によれば、都市部の領域であっても、その領域に存在するユーザの特徴に分類統計処理を適用することにより、ユーザ行動の特徴を把握することが可能になるので、都市部領域においても特徴認識の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明の上記および他の特徴は、図を参照しながら以下の詳細な説明を読むことで、より明らかになるであろう。
【0036】
【図1】従来技術における時間範囲と領域範囲に分布するユーザ軌跡の概略図である。
【図2】本発明の一実施例によるユーザ行動認識装置のブロック図である。
【図3】本発明の一実施例によるユーザトリップおよび活動処理の概略図である。
【図4】本発明の一実施例による、ユーザトリップチェーンに関する特徴ベクトルの抽出を示す概略図である。
【図5】本発明の他の実施例によるユーザ行動認識装置のブロック図である。
【図6】本発明の一実施例によるユーザ行動認識方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では、図面を参照しながら本発明の特定の実施例について説明する。これを読むことにより、本発明の原理と実施がより明らかになるであろう。本発明は以下で説明する特定の実施例に限定されないことに留意されたい。なお、説明の煩雑化を避けるため、本発明には直接関係のないよく知られた技法の詳細は省略する。
【0038】
図2は、本発明の一実施例によるユーザ行動認識装置20のブロック図である。図2に示すように、ユーザ行動認識装置20は、位置データ受信手段210と、データ前処理手段220と、特徴ベクトル抽出手段230と、ユーザ行動認識手段240とを備える。次に、ユーザ行動認識装置20の各構成要素の動作について詳細に説明する。
【0039】
位置データ受信手段210は、大量なユーザ位置データを受信するように構成されている。これらのデータとは、ユーザのGPS装置を介して受信されるデータ、携帯電話の位置決め装置を介して受信されるデータ、無線位置決め装置を介して受信されるデータを含むが、これに限定されるものではない。位置データ受信手段210は、ユーザ位置データを受信すると、時間に基づいてユーザ位置データを調整して、時系列的なユーザ位置データを取得する。これらの位置データは、いくつかの連続的なユーザトリップチェーンから成り、ユーザ識別情報(例:ユーザの携帯電話番号)と地理的位置座標(例:緯度と経度)および時間を含む。その後、位置データ受信手段は、調整済みのユーザ位置データをデータ前処理手段220へ供給する。
【0040】
データ前処理手段220は、位置データ受信手段210からのユーザ位置データを前処理し、当該期間中のユーザトリップチェーンおよびユーザ活動領域を判断して取得し、かつデジタル電子地図のPOI(関心点)情報に関連するユーザ活動のオプション位置を取得するように構成されている。
【0041】
図3(a)〜(d)は、本発明の一実施例によるユーザトリップおよび活動処理の概略図である。図3(a)および図3(b)において、円は位置データ受信手段210が受信したユーザのGPS位置(GPS点)を表し、四角はデジタル電子地図上のPOI位置点を表す。さらに、図3(b)の左下隅にある遠隔POIは、ユーザから遠く離れたPOIを表す。ユーザは概してこのような遠隔POI位置点まで行くことはないので、通常、これらのPOIはユーザ行動の認識には使用されない。
【0042】
ユーザトリップおよび活動位置の識別処理中には、特定の判断規則に基づいて、ユーザ軌跡内および位置決めエラー範囲内の2点間の時間間隔がしきい値を上回る点が滞留点と判断され、ユーザ軌跡内および位置決めエラー範囲内の2点間の時間間隔がしきい値を下回る点が通過点と判断される。例えば、ユーザ軌跡における2点間の滞留時間が30分より長い場合には、ユーザは何らかの活動を行っている(活動状態にある)と判断される。30分より短い場合には、ユーザは通過中(移動状態)を表わすと考えられる。上記のように判断することにより、例えば図3(c)に示すように、ユーザのオプション活動POIを決定し、オプションPOIの一部を除外する(例えば、ユーザはこれらのPOIを通過するだけで、活動を行わない)ことが可能になる。最後に、データ前処理手段220は、図3(d)に示すような、ユーザの移動ルート(トリップチェーン)と活動領域を取得する。
【0043】
その後、特徴ベクトル抽出手段230が、ユーザトリップチェーンの特徴ベクトルと活動自体の特徴ベクトルとを抽出する。ユーザトリップチェーンの特徴ベクトルは、時間ベースベクトルCTと空間ベースベクトルCSとで構成される。活動自体の特徴ベクトルは、時間ベースベクトルATと空間ベースベクトルASとで構成される。次に、各ベクトルについて詳細に説明する。
【0044】
ユーザトリップチェーンの時間ベースベクトルCT
図4は、本発明の一実施例による、ユーザトリップチェーンに関する特徴ベクトルの抽出を示す概略図である。特徴を抽出する前に、トリップチェーンに関する完全な時間および空間の情報を計算し、記述する必要がある。この情報は、居住者が自宅からトリップを開始した時刻を表すトリップチェーン開始時間t、居住者がすべての活動を完了して自宅に戻った時刻を表すトリップチェーン終了時間t、i番目の活動の開始時間tと終了時間t、およびi番目の活動とj番目の活動の間の距離lijで構成される(図4参照)。トリップチェーンにおいては、自宅は「自宅休養」という活動とみなされ、活動番号は0となる。
【0045】
具体的には、トリップチェーンの時間情報は、トリップ時間、活動時間、トリップチェーンの開始時間、トリップチェーンの終了時間、トリップチェーンの持続時間、主要活動の開始時間、主要活動の持続時間、主要活動の終了時間、および平均活動時間で構成される。これらの各変数は分単位で測定される。
【0046】
トリップチェーンに関する上記の時間情報から抽出される特徴ベクトルCTは、(1)1日全体に対するトリップチェーンの開始時間の比率CT1、(2)1日全体に対するトリップチェーンの持続時間の比率CT、(3)1日全体に対する主要活動の開始時間の比率(すなわち、自宅休養活動を除く、トリップチェーン内のすべての活動中最も持続時間の長い活動)CT、(4)1日全体に対する主要活動の持続時間の比率CT、(5)トリップチェーンの持続時間に対する全活動の持続時間の比率CT、(6)トリップチェーンの持続時間に対する全活動の平均持続時間の比率CT、(7)トリップチェーンの持続時間に対する分散された活動の持続時間の比率における標準偏差CT、および(8)トリップチェーンにおける全活動の持続時間に対する主要活動の持続時間の比率CT、で構成される。
【0047】
ベクトルCTの構成要素CT〜CTの計算式は、以下のとおりである。
【数1】

ここで、tはトリップチェーンの開始時間、tはトリップチェーンの終了時間、tmainは主要活動の開始時間、tmainは主要活動の終了時間、tはi番目の活動の開始時間、tはi番目の活動終了時間、Nは自宅休養活動を除く活動数、をそれぞれ表す。
【0048】
ユーザトリップチェーンの空間ベースベクトルCS
トリップチェーンに関する空間情報は、トリップチェーンの空間的な構成要因を記述し、ユーザトリップチェーンの空間的特徴を反映している。これらの空間的特徴は、トリップチェーンの距離の長さ、トリップチェーン内の活動間の距離、トリップチェーンの半径、自宅から1つの活動までの直接距離、および1つの活動から自宅までの距離を含む。「トリップチェーンの半径」とは、トリップチェーンの空間的広さ、すなわち、自宅からトリップチェーン内の活動までの最大距離を意味する。「自宅から1つの活動までの直接距離」とは、ユーザが自宅から活動のために目的地まで移動する距離を意味する。「1つの活動から自宅までの距離」とは、居住者がその活動の終了後に活動位置から自宅まで移動する距離を意味する。「自宅から1つの活動までの直接距離」と「1つの活動から自宅までの距離」は、同じであることも、互いに異なることもある。居住者トリップチェーンの距離の長さが活動の内容に与える影響を記述するため、トリップチェーンの最大長さが導入されている。居住者トリップチェーンの長さの程度は、トリップチェーンの最大長さに対するトリップチェーンの長さの比率に基づき、トリップチェーンの他の特徴ベクトルと同じに維持することができる。
【0049】
トリップチェーンの空間的情報から抽出される特徴ベクトルCSは、(1)トリップチェーンの最大長さ(トリップチェーンのすべての長さのうち最大の値)に対するトリップチェーンの長さの比率CS、(2)トリップチェーンの長さに対するトリップチェーンの半径の比率CS、(3)トリップチェーンの長さに対する自宅から主要活動までの直接距離の比率CS、(4)トリップチェーンの長さに対する活動間(自宅を含む)の平均距離の比率CS、(5)および活動間の距離の標準偏差CS、で構成されるのが望ましい。これらの要素の計算式は以下のとおりである。
【数2】

ここで、Lはトリップチェーンの長さを表し、
【数3】

,lN,N+1=LN,0である。Lmaxは全トリップチェーン長さのうち最大値を表す。Nは自宅以外の活動数を表す。Rはトリップチェーンの半径を表し、
【数4】

である。また、ldは自宅からi番目の活動までの直接距離を表し、lはi番目の活動から自宅までの距離を表し、lmainは自宅から主要活動までの直接距離を表す。
【0050】
活動自体の時間ベースベクトルAT
活動自体に関する時間情報は、活動自体の時間的構成要素を記述し、主に、絶対的時間特徴、相対的時間特徴、直前の活動から/直後の活動までの時間の特徴、および主要活動から/主要活動までの時間の特徴で構成される。「絶対的時間特徴」とは、1日24時間における活動自体の開始時間(時刻)、持続時間(何時から何時まで)、および終了時間(時刻)を意味する。「相対的時間特徴」とは、自宅から開始し自宅で終了する1つの閉じたトリップチェーンにおける1つの活動の開始時間、持続時間、および終了時間を意味する。
【0051】
活動自体に関する時間情報から抽出される特徴ベクトルATは、(1)1日全体に対する1つの活動の開始時間の比率AT、(2)1日全体に対する1つの活動の持続時間の比率AT、(3)トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間とトリップチェーンの開始時間との差の比率AT、(4)トリップチェーンの持続時間に対する1つの活動の持続時間の比率AT、(5)トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間と直前の活動の終了時間との差の比率AT、(6)トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の終了時間と次の活動の開始時間との差の比率AT、(7)主要活動の持続時間に対する1つの活動の持続時間の比率AT、(8)トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間と主要活動の終了時間との差の比率AT、(9)およびトリップチェーンの持続時間に対する、主要活動の開始時間と1つの活動の終了時間との差の比率AT、で構成される。i番目の活動のベクトルATは、以下の式に従って計算することができる。
【数5】

【0052】
活動自体の空間ベースのベクトルAS
活動自体に関する空間情報は、活動自体の空間的構成要素を記述し、主に、自宅から活動までの直接距離の特徴、活動から自宅までの距離の特徴、直前の活動から/直後の活動までの距離、主要活動から/主要活動までの距離等で構成される。
【0053】
活動自体に関する空間情報から抽出される特徴ベクトルASは、(1)トリップチェーンの長さに対する自宅から1つの活動までの直接距離の比率AS、(2)トリップチェーンの長さに対する1つの活動から直前の活動まで距離の比率AS、(3)トリップチェーンの長さに対する1つの活動から次の活動までの距離の比率AS、(4)トリップチェーンの長さに対する、1つの活動から自宅までの距離と主要活動から自宅までの距離の差の比率AS、および(5)トリップチェーンの長さに対する、自宅から1つの活動までの直接距離と自宅から主要活動までの直接距離の差の比率AS、で構成される。i番目の活動のベクトルASは、以下の式に従って計算することができる。
【数6】

ここで、lは自宅からi番目の活動までの直接距離、lはi番目の活動から自宅までの距離、Lはトリップチェーンの長さ、li,i+1はi番目の活動からその直後の活動までの距離、lmainは自宅から主要活動までの直接距離、およびlmainは主要活動から自宅までの距離、をそれぞれ表す。
【0054】
最後に、特徴ベクトル抽出手段230は、トリップチェーン内の1つの活動のタイプを認識するための特徴ベクトルV=(CT,CS,AT,AS)を取得する。
【0055】
ユーザ行動認識手段240は、特徴ベクトル抽出手段230によって抽出された特徴ベクトルVに基づいて、ユーザ活動のタイプを認識する。本発明の一実施例においては、サポートベクターマシン(SVM)をベースに設計された活動タイプ用分類子を使用して、いくつかのオプション活動タイプから適正なタイプを選択することが可能である。例えば、1対1の分類子を使用し、取得された特徴ベクトルVに基づいて活動を判断および認識することができる。活動タイプのオプションセットに2つのオプションがある場合には、それに対応するペア構成の分類子を選択して活動タイプを判断する。オプションセットに3つ以上のオプションがある場合には、オプション2つの各組み合わせについて、それに対応するペア構成の分類子を選択して、各活動に投票する。そして、最も得票数の多いタイプが最終的なタイプとして選択される。あるいは、各オプションタイプに得票率のパーセンテージを付与してもよい。最後に、ユーザ行動認識手段240は、下表4に示すような、単一ユーザの行動特徴(トリップ特徴および活動特徴)を取得する。
【表4】

【0056】
図5は、本発明の他の実施例によるユーザ行動認識装置50のブロック図である。図5に示すように、ユーザ行動認識装置50は、位置データ受信手段510と、データ前処理手段520と、特徴ベクトル抽出手段530と、ユーザ行動認識手段540と、ユーザ行動収集手段550ととを備える。ユーザ行動認識装置50の手段510〜540はそれぞれ、図2に示すユーザ行動認識装置20の手段210〜240と同じである。そのため、煩雑化を避けるため、以下ではユーザ行動収集手段550についてのみ詳述する。
【0057】
ユーザ行動収集手段550は、ユーザ識別に基づいて単一ユーザの行動特徴をそのユーザの情報(例:上記表2)と関連付け、特定領域における複数ユーザの特徴データを分類および収集して当該領域の特徴情報を取得する。表5に、ユーザ行動収集手段550の収集動作によって取得された領域特徴情報の例を示す。
【表5】

【0058】
本発明による領域特徴情報は、従来技術と比較して具体的なので、都市領域の特徴認識の精度を向上させることができる。
【0059】
図6は、本発明の一実施例によるユーザ行動認識方法60のフローチャートである。方法60はステップS610から始まる。
【0060】
ステップS620において、ユーザ位置データが受信される。これらのデータとしては、例えば、ユーザのGPS装置を介して受信されるデータ、携帯電話の位置決め装置を介して受信されるデータ、無線位置決め装置を介して受信されるデータなどが考えられる。受信されたユーザ位置データは、時系列的なユーザ位置データを取得するために、時間に基づいて調整される。
【0061】
ステップS630において、時系列的なユーザ位置データが前処理され、特定期間内のユーザトリップチェーンおよびユーザ活動領域が判断および取得され、かつデジタル電子地図の関心点情報に関連するユーザ活動オプション位値が取得される。
【0062】
ステップS640において、ユーザに関するトリップ特徴ベクトルと活動特徴ベクトルとが抽出される。ここで、トリップ特徴ベクトルは時間ベースベクトルCTと空間ベースベクトルCSとで構成され、活動特徴ベクトルは時間ベースベクトルATと空間ベースベクトルASとで構成される。抽出処理の詳細は、上記ですでに、図2の特徴ベクトル抽出手段230に関連して説明した。その後、ユーザのタイプを認識するための特徴ベクトルが、V=(CT,CS,AT,AS)の形式で取得される。
【0063】
ステップS650において、ユーザ活動のタイプが認識される。サポートベクターマシン(SVM)をベースに設計された活動タイプ用分類子を使用して、いくつかのオプション活動タイプから適正タイプを選択できるのが望ましい。例えば、1対1の分類子を使用し、取得された特徴ベクトルVに基づいて活動を判断および認識することができる。活動タイプのオプションセットに2つのオプションがある場合には、それに対応するペア構成の分類子を選択して活動タイプを判断する。オプションセットに3つ以上のオプションがある場合には、オプション2つの各組み合わせについて、それに対応するペア構成の分類子を選択して、各活動に投票する。そして、最も得票数の多いタイプが最終的なタイプとして選択される。あるいは、各オプションタイプに得票率のパーセンテージを付与してもよい。最後に、単一ユーザの行動特徴(トリップ特徴および活動特徴)が取得される。
【0064】
あるいは、方法60はステップS660(点線の枠で示す)を備えることもできる。ステップS660において、ユーザ識別に基づいて単一ユーザの行動特徴がユーザの情報と関連付けられ、特定領域における複数ユーザの特徴データが分類および収集されて、当該領域の特徴情報(表5に示すような情報)が取得される。
【0065】
最後に、方法60はステップS670で終了する。オプションのステップS660が実行されない場合は、方法60はステップS650から直接ステップS670に進んで終了する。
【0066】
本発明によれば、大量な履歴ユーザデータを集中的に処理することができる。適正な特徴ベクトルを確立して分析することにより、深いレベルのユーザ行動の特徴を把握できるため、各ユーザの軌跡データの認識結果がより高精度で充実度の高いものとなる。さらに、本発明によれば、単一ユーザの軌跡の解釈に基づいて、当該ユーザの行動を把握することが可能になる。本発明を使用すれば、都市部の領域であっても、その領域に存在するユーザの特徴に分類統計処理を適用することにより、ユーザ行動の特徴を把握することが可能になるので、都市部領域においても特徴把握の精度が向上する。
【0067】
以上、好ましい実施の形態をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも、上記実施の形態に限定されるものでなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0068】
さらに、上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、これに限定されない。
【0069】
(付記1)
ユーザ位置データを受信し、時間に基づいてそのデータを調整して、時系列的なユーザ位置データを取得するように構成された位置データ受信手段と、
前記時系列的なユーザ位置データを前処理するように構成されたデータ前処理手段と、
前処理された前記ユーザ位置データに基づいて、ユーザ活動のタイプを認識するための特徴ベクトルを抽出するように構成された特徴ベクトル抽出手段と、
前記特徴ベクトル抽出手段によって抽出された前記特徴ベクトルに基づいて、ユーザ活動のタイプを認識し、ユーザの行動特徴を把握するように構成されたユーザ行動認識手段と
を備えることを特徴とするユーザ行動認識装置。
【0070】
(付記2)
前記時系列的なユーザ位置データが、
ユーザ識別情報、地理的位置情報、および時間情報で構成される
ことを特徴とする付記1に記載のユーザ行動認識装置。
【0071】
(付記3)
前記データ前処理手段は、
前記時系列的なユーザ位置データからユーザトリップチェーンとユーザ活動領域とを取得し、かつデジタル電子地図の関心点情報に関連するユーザ活動のオプション位置を取得するように構成される
ことを特徴とする付記1に記載のユーザ行動認識装置。
【0072】
(付記4)
前記特徴ベクトル抽出手段によって抽出される前記特徴ベクトルは、
ユーザトリップチェーンに関する時間ベースおよび空間ベースのベクトルと、ユーザ活動に関する時間ベースおよび空間ベースのベクトルとで構成される
ことを特徴とする付記1に記載のユーザ行動認識装置。
【0073】
(付記5)
前記ユーザトリップチェーンに関する時間ベースのベクトルは、
1日全体に対するトリップチェーンの開始時間の比率、1日全体に対するトリップチェーンの持続時間の比率、1日全体に対する主要活動の開始時間の比率、1日全体に対する主要活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する全活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する全活動の平均持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する分散された活動の持続時間の比率における標準偏差、およびトリップチェーンにおける全活動の持続時間に対する主要活動の持続時間の比率で構成される
ことを特徴とする付記4に記載のユーザ行動認識装置。
【0074】
(付記6)
前記ユーザトリップチェーンに関する空間ベースのベクトルは、
トリップチェーンの最大長さに対するトリップチェーンの長さの比率、トリップチェーンの長さに対するトリップチェーンの半径の比率、トリップチェーンの長さに対する自宅から主要活動までの直接距離の比率、トリップチェーンの長さに対する活動間の平均距離の比率、および活動間の距離の標準偏差で構成される
ことを特徴とする付記4に記載のユーザ行動認識装置。
【0075】
(付記7)
前記ユーザ活動に関する時間ベースのベクトルは、
1日全体に対する1つの活動の開始時間の比率、1日全体に対する1つの活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間とトリップチェーンの開始時間との差の比率、トリップチェーンの持続時間に対する1つの活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間と直前の活動の終了時間との差の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の終了時間と次の活動の開始時間との差の比率、主要活動の持続時間に対する1つの活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間と主要活動の終了時間との差の比率、およびトリップチェーンの持続時間に対する、主要活動の開始時間と1つの活動の終了時間との差の比率で構成される
ことを特徴とする付記4に記載のユーザ行動認識装置。
【0076】
(付記8)
前記ユーザ活動に関する空間ベースのベクトルは、
トリップチェーンの長さに対する自宅から1つの活動までの直接距離の比率、トリップチェーンの長さに対する1つの活動から直前の活動まで距離の比率、トリップチェーンの長さに対する1つの活動から次の活動までの距離の比率、トリップチェーンの長さに対する、1つの活動から自宅までの距離と主要活動から自宅までの距離の差の比率、トリップチェーンの長さに対する、自宅から1つの活動までの直接距離と自宅から主要活動までの直接距離の差の比率で構成される
ことを特徴とする付記4に記載のユーザ行動認識装置。
【0077】
(付記9)
前記ユーザ行動認識手段が、
サポートベクターマシンをベースとする分類子を備える
ことを特徴とする付記1に記載のユーザ行動認識装置。
【0078】
(付記10)
ユーザ識別に基づいてユーザの行動特徴をユーザの情報と関連付け、特定領域における複数ユーザの特徴データを収集して当該領域の特徴情報を取得するように構成されたユーザ行動収集手段をさらに備える
ことを特徴とする付記1に記載のユーザ行動認識装置。
【0079】
(付記11)
ユーザ位置データを受信し、そのデータを時間に基づいて調整して、時系列的なユーザ位置データを取得するステップと、
前記時系列的なユーザ位置データを前処理するステップと、
前処理された前記ユーザ位置データに基づいて、ユーザ活動のタイプを認識するための特徴ベクトルを抽出するステップと、
ユーザ行動の特徴を把握するために、前記特徴ベクトルに基づいてユーザ活動のタイプを認識するステップと
を有することを特徴とするユーザ行動認識方法。
【0080】
(付記12)
前記時系列的なユーザ位置データが、
ユーザ識別情報、地理的位置情報、および時間情報で構成される
ことを特徴とする付記11に記載のユーザ行動認識方法。
【0081】
(付記13)
前記データ前処理ステップで、
前記時系列的なユーザ位置データからユーザトリップチェーンおよびユーザ活動領域を取得し、かつデジタル電子地図の関心点情報に関連するユーザ活動のオプション位置を取得する
ことを特徴とする付記11に記載のユーザ行動認識方法。
【0082】
(付記14)
前記特徴ベクトルは、
ユーザトリップチェーンに関する時間ベースおよび空間ベースのベクトルと、ユーザ活動に関する時間ベースおよび空間ベースのベクトルで構成される
ことを特徴とする付記11に記載のユーザ行動認識方法。
【0083】
(付記15)
前記ユーザトリップチェーンに関する時間ベースベクトルは、
1日全体に対するトリップチェーンの開始時間の比率、1日全体に対するトリップチェーンの持続時間の比率、1日全体に対する主要活動の開始時間の比率、1日全体に対する主要活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する全活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する全活動の平均持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する分散された活動の持続時間の比率における標準偏差、およびトリップチェーンにおける全活動の持続時間に対する主要活動の持続時間の比率で構成される
ことを特徴とする付記14に記載のユーザ行動認識方法。
【0084】
(付記16)
前記ユーザトリップチェーンに関する空間ベースのベクトルは、
トリップチェーンの最大長さに対するトリップチェーンの長さの比率、トリップチェーンの長さに対するトリップチェーンの半径の比率、トリップチェーンの長さに対する自宅から主要活動までの直接距離の比率、トリップチェーンの長さに対する活動間の平均距離の比率、および活動間の距離の標準偏差で構成される
ことを特徴とする付記14に記載のユーザ行動認識方法。
【0085】
(付記17)
前記ユーザ活動に関する時間ベースベクトルは、
1日全体に対する1つの活動の開始時間の比率、1日全体に対する1つの活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間とトリップチェーンの開始時間との差の比率、トリップチェーンの持続時間に対する1つの活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間と直前の活動の終了時間との差の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の終了時間と次の活動の開始時間との差の比率、主要活動の持続時間に対する1つの活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間と主要活動の終了時間との差の比率、およびトリップチェーンの持続時間に対する、主要活動の開始時間と1つの活動の終了時間との差の比率で構成される
ことを特徴とする付記14に記載のユーザ行動認識方法。
【0086】
(付記18)
前記ユーザ活動に関する空間ベースのベクトルは、
トリップチェーンの長さに対する自宅から1つの活動までの直接距離の比率、トリップチェーンの長さに対する1つの活動から直前の活動まで距離の比率、トリップチェーンの長さに対する1つの活動から次の活動までの距離の比率、トリップチェーンの長さに対する、1つの活動から自宅までの距離と主要活動から自宅までの距離の差の比率、およびトリップチェーンの長さに対する、自宅から1つの活動までの直接距離と自宅から主要活動までの直接距離の差の比率で構成される
ことを特徴とする付記14に記載のユーザ行動認識方法。
【0087】
(付記19)
前記特徴ベクトルに基づいてユーザ活動のタイプを認識して、ユーザ行動の特徴を把握するために、サポートベクターマシンをベースとする分類子が採用される
ことを特徴とする付記11に記載のユーザ行動認識方法。
【0088】
(付記20)
ユーザ識別に基づいてユーザの行動特徴をユーザの情報と関連付けるステップと、特定領域における複数ユーザの特徴データを収集して当該領域の特徴情報を取得するステップとをさらに有する
ことを特徴とする付記11に記載のユーザ行動認識方法。
【符号の説明】
【0089】
210:位置データ受信手段
220:データ前処理手段
230:特徴ベクトル抽出手段
240:ユーザ行動認識手段
20:ユーザ行動認識装置
510:位置データ受信手段
520:データ前処理手段
530:特徴点抽出手段
540:ユーザ行動認識手段
550:ユーザ行動収集手段
50:ユーザ行動認識装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ位置データを受信し、時間に基づいてそのデータを調整して、時系列的なユーザ位置データを取得するように構成された位置データ受信手段と、
前記時系列的なユーザ位置データを前処理するように構成されたデータ前処理手段と、
前処理された前記ユーザ位置データに基づいて、ユーザ活動のタイプを認識するための特徴ベクトルを抽出するように構成された特徴ベクトル抽出手段と、
前記特徴ベクトル抽出手段によって抽出された前記特徴ベクトルに基づいて、ユーザ活動のタイプを認識し、ユーザの行動特徴を把握するように構成されたユーザ行動認識手段と
を備えることを特徴とするユーザ行動認識装置。
【請求項2】
前記時系列的なユーザ位置データが、
ユーザ識別情報、地理的位置情報、および時間情報で構成される
ことを特徴とする請求項1に記載のユーザ行動認識装置。
【請求項3】
前記データ前処理手段は、
前記時系列的なユーザ位置データからユーザトリップチェーンとユーザ活動領域とを取得し、かつデジタル電子地図の関心点情報に関連するユーザ活動のオプション位置を取得するように構成される
ことを特徴とする請求項1に記載のユーザ行動認識装置。
【請求項4】
前記特徴ベクトル抽出手段によって抽出される前記特徴ベクトルは、
ユーザトリップチェーンに関する時間ベースおよび空間ベースのベクトルと、ユーザ活動に関する時間ベースおよび空間ベースのベクトルとで構成される
ことを特徴とする請求項1に記載のユーザ行動認識装置。
【請求項5】
前記ユーザトリップチェーンに関する時間ベースのベクトルは、
1日全体に対するトリップチェーンの開始時間の比率、1日全体に対するトリップチェーンの持続時間の比率、1日全体に対する主要活動の開始時間の比率、1日全体に対する主要活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する全活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する全活動の平均持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する分散された活動の持続時間の比率における標準偏差、およびトリップチェーンにおける全活動の持続時間に対する主要活動の持続時間の比率で構成される
ことを特徴とする請求項4に記載のユーザ行動認識装置。
【請求項6】
前記ユーザトリップチェーンに関する空間ベースのベクトルは、
トリップチェーンの最大長さに対するトリップチェーンの長さの比率、トリップチェーンの長さに対するトリップチェーンの半径の比率、トリップチェーンの長さに対する自宅から主要活動までの直接距離の比率、トリップチェーンの長さに対する活動間の平均距離の比率、および活動間の距離の標準偏差で構成される
ことを特徴とする請求項4に記載のユーザ行動認識装置。
【請求項7】
前記ユーザ活動に関する時間ベースのベクトルは、
1日全体に対する1つの活動の開始時間の比率、1日全体に対する1つの活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間とトリップチェーンの開始時間との差の比率、トリップチェーンの持続時間に対する1つの活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間と直前の活動の終了時間との差の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の終了時間と次の活動の開始時間との差の比率、主要活動の持続時間に対する1つの活動の持続時間の比率、トリップチェーンの持続時間に対する、1つの活動の開始時間と主要活動の終了時間との差の比率、およびトリップチェーンの持続時間に対する、主要活動の開始時間と1つの活動の終了時間との差の比率で構成される
ことを特徴とする請求項4に記載のユーザ行動認識装置。
【請求項8】
前記ユーザ活動に関する空間ベースのベクトルは、
トリップチェーンの長さに対する自宅から1つの活動までの直接距離の比率、トリップチェーンの長さに対する1つの活動から直前の活動まで距離の比率、トリップチェーンの長さに対する1つの活動から次の活動までの距離の比率、トリップチェーンの長さに対する、1つの活動から自宅までの距離と主要活動から自宅までの距離の差の比率、トリップチェーンの長さに対する、自宅から1つの活動までの直接距離と自宅から主要活動までの直接距離の差の比率で構成される
ことを特徴とする請求項4に記載のユーザ行動認識装置。
【請求項9】
ユーザ識別に基づいてユーザの行動特徴をユーザの情報と関連付け、特定領域における複数ユーザの特徴データを収集して当該領域の特徴情報を取得するように構成されたユーザ行動収集手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載のユーザ行動認識装置。
【請求項10】
ユーザ位置データを受信し、そのデータを時間に基づいて調整して、時系列的なユーザ位置データを取得するステップと、
前記時系列的なユーザ位置データを前処理するステップと、
前処理された前記ユーザ位置データに基づいて、ユーザ活動のタイプを認識するための特徴ベクトルを抽出するステップと、
ユーザ行動の特徴を把握するために、前記特徴ベクトルに基づいてユーザ活動のタイプを認識するステップと
を有することを特徴とするユーザ行動認識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−198870(P2012−198870A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−242424(P2011−242424)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(505418870)エヌイーシー(チャイナ)カンパニー, リミテッド (108)
【氏名又は名称原語表記】NEC(China)Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】