説明

ライセンス配信システム,ライセンスサーバ,ユーザ端末,ライセンス処理方法,およびプログラム

【課題】 ユーザの所望するタイミングで,ライセンスの売却,返還を可能にし,コンテンツの利便性を高め得る。
【解決手段】 ユーザは,コンテンツ240が不要になった場合,ユーザ端末110のライセンス返還部318によって,コンテンツに対応付けられたライセンス250もしくはライセンスの署名データを,発行元のライセンスサーバ100にユーザの所望する自由なタイミングで返還し,さらに,対価受信部322によって,その返還したライセンスに応じた対価,例えば購入価格の半額の金銭を取得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,コンテンツを利用するためのライセンスを管理する,ライセンス配信システム,ライセンスサーバ,ユーザ端末,ライセンス処理方法,およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日では,携帯電話やパーソナルコンピュータ等のユーザ端末にインターネット等の公衆通信網から様々なコンテンツをダウンロードし,利用するといったことが当然の如く行われている。
【0003】
また,そのようなコンテンツの著作権を保護するため,かかるコンテンツには著作権保護技術が施され,コンテンツを利用するためのライセンスと共に配信される。従って,このライセンスを取得しない限り,コンテンツを利用することができない。さらに,不正なユーザによって上記コンテンツが改竄されるのを防止するため,コンテンツおよびライセンスには暗号化技術も施されている。
【0004】
このようなコンテンツの販売や流通は,インターネットや携帯情報端末の発達に伴って活発化している。しかし,従来の技術では,購入したコンテンツが不要になった場合においても,そのコンテンツを放置するといった対応しかできなかった。
【0005】
また,コンテンツのレンタルシステムでは,例えば,コンテンツの利用期限を超えると自動的にコンテンツが利用できなくなるといった方法を取っているが,不要になったコンテンツを再利用するといったことは想定されていない。
【0006】
さらに,上記コンテンツを複数のユーザ端末で利用するため,ライセンスをサーバ側に保持させ,各ユーザ端末において利用時に上記ライセンスを参照する技術(例えば,特許文献1)も提供される。しかし,かかる技術もコンテンツとユーザが一対一の関係であり,ライセンスの売却もしくは返還といったコンテンツの再利用を意図したものではない。
【0007】
【特許文献1】特開2004−303108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は,従来のライセンスの付与状況が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり,本発明の目的は,ユーザの所望するタイミングで,ライセンスの売却,返還を可能にし,コンテンツの利便性を高め得る,新規かつ改良されたライセンス配信システム,ライセンスサーバ,ユーザ端末,ライセンス処理方法,およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,ライセンスサーバと,該ライセンスサーバに通信網を介して接続され,コンテンツを利用することが可能なユーザ端末と,を含むライセンス配信システムであって:上記ライセンスサーバは,特定のコンテンツと対応付けることにより該コンテンツを利用できるライセンスを発行するライセンス発行部と;上記コンテンツを購入したユーザのユーザ端末に,上記ライセンスを送信するライセンス送信部と;上記ユーザ端末から上記ライセンスを回収するライセンス回収部と;上記ライセンス回収部によって回収されたライセンスが,上記ライセンス発行部で発行されたライセンスであるかどうかを判断するライセンス判断部と;上記ライセンス発行部からのライセンスであることが確認された場合,上記ユーザ端末に対して上記ライセンスの対価を供給する対価供給部と;を備え,上記ユーザ端末は,上記ライセンスサーバからライセンスを受信するライセンス受信部と;少なくとも上記ライセンスを記憶するライセンス記憶部と;上記ライセンス記憶部に上記ライセンスが存在している場合のみコンテンツを利用させるコンテンツ利用部と;上記ライセンスをライセンスサーバに返還するライセンス返還部と;上記ライセンス返還部から返還したライセンスが上記ライセンスサーバで発行されたライセンスである場合,上記ライセンスサーバから上記ライセンスの対価を受信する対価受信部と;を備えることを特徴とする,ライセンス配信システムが提供される。上記ライセンスには,ユーザID,サーバID,ライセンスID,コンテンツID,署名,利用期間,利用(再生)回数,チェックアウト回数等の利用条件(Usage Right)が含まれ得る。
【0010】
本発明は,コンテンツに対応付けられたライセンスを発行元のライセンスサーバに返還し,さらに,その返還したライセンスに応じて対価を取得することを特徴としている。従って,コンテンツまたはライセンスの売却,返還といった新たな流通が可能となり,ユーザにとってのコンテンツの利便性を高めることができる。
【0011】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,コンテンツを利用することが可能なユーザ端末に通信網を介して接続されるライセンスサーバであって:特定のコンテンツと対応付けることにより該コンテンツを利用できるライセンスを発行するライセンス発行部と;上記コンテンツを購入したユーザのユーザ端末に,上記ライセンスを送信するライセンス送信部と;上記ユーザ端末からライセンスを回収するライセンス回収部と;上記ライセンス回収部によって回収されたライセンスが,上記ライセンス発行部で発行されたライセンスであるかどうかを判断するライセンス判断部と;上記ライセンス発行部からのライセンスであることが確認された場合,上記ユーザ端末に対して上記ライセンスの対価を供給する対価供給部と;を備えることを特徴とする,ライセンスサーバが提供される。
【0012】
かかる構成により,ライセンスサーバは,一度売却したライセンスを回収することが可能となり,ライセンスもしくはそのライセンスに対応付けられたコンテンツの再利用が可能となる。
【0013】
また,返還されたライセンスに応じて対価を供給する構成により,妥当な価格で上記コンテンツを供給することが可能となり,販売の促進につながる。
【0014】
上記ライセンス発行部は,上記ライセンスに,上記ライセンスサーバが発行したライセンスであることの署名を施してライセンスを発行し,上記ライセンス判断部は,上記署名を検証することにより判断を行うとしても良い。かかる署名は,単独で秘密鍵によって暗号化処理を施すとしても良く,その場合,ライセンス判断部は,かかる署名を一旦復号してから判断する。
【0015】
かかる構成により,ライセンスサーバ側でどのユーザがどのコンテンツを購入したかの情報を保持する必要が無くなり,データの管理や保守に関するコストを削減できる。
【0016】
上記対価は,上記コンテンツの利用状況に基づくライセンスの状態によって変化するとしても良い。また,上記対価はコンテンツの購入額に対する払い戻しであって,上記コンテンツの利用可能時間の経過に応じて金額が下がるとしても良い。かかる構成により,コンテンツの価値,例えば,販売初日からの経過時間に応じた妥当な対価を供給することが可能となる。
【0017】
上記ライセンス発行部からのライセンスであることが確認された場合,上記ユーザ端末におけるライセンスを削除するライセンス削除部をさらに備えるとしても良い。かかる構成により,ユーザ端末のライセンス記憶部に当該ライセンスが残っていたとしてもそのライセンスを無効にすることができ,ユーザの不正なコンテンツ利用を防止することができる。
【0018】
かかるライセンスの削除は,ライセンスの返還時におけるライセンスを,上書きすることによって達成され得る。このとき,ライセンスサーバは,上記ライセンスが上書きされたことを確認して対価を供給することができる。
【0019】
上記ライセンス送信部がライセンスを送信する前に,上記ライセンスを特定の鍵で暗号化するライセンス暗号化部と;上記ライセンス回収部が回収したライセンスを上記特定の鍵で復号化するライセンス復号化部とをさらに含むとしても良い。かかる構成により,コンテンツやライセンスを不正ユーザが改竄することを防止でき,著作権の保護も可能となる。
【0020】
上記ユーザ端末に,上記ライセンスと対応付けられたコンテンツを送信するコンテンツ送信部をさらに備えるとしても良い。かかる構成により,同一のライセンスサーバでコンテンツとライセンスの提供を行うことができ,両者の一貫した管理が可能となる。
【0021】
また,コンテンツを利用することが可能なユーザ端末に通信網を介して接続されるコンピュータで実行されるプログラムであって:コンピュータを,上記ライセンスサーバとして機能させるプログラムが提供される。さらに,コンテンツを利用することが可能なユーザ端末に通信網を介して接続されるライセンスサーバにおいて,上述のライセンスサーバとしての機能を実施するライセンス処理方法も提供される。
【0022】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,ライセンスサーバに通信網を介して接続され,コンテンツを利用することが可能なユーザ端末であって:上記ライセンスサーバからライセンスを受信するライセンス受信部と;少なくとも上記ライセンスを記憶するライセンス記憶部と;上記ライセンス記憶部に上記ライセンスが存在している場合(有効な場合)のみコンテンツを利用させるコンテンツ利用部と;上記ライセンスをライセンスサーバに返還するライセンス返還部と;上記ライセンス返還部から返還したライセンスが上記ライセンスサーバで発行されたライセンスである場合,上記ライセンスサーバから上記ライセンスの対価を受信する対価受信部と;を含むことを特徴とする,ユーザ端末が提供される。
【0023】
かかる構成により,ユーザは,一度購入したライセンスを売却もしくは返還することが可能となり,不要になったライセンスもしくはそのライセンスに対応付けられたコンテンツを対価に交換することができる。
【0024】
また,ユーザ側は,そのコンテンツを,購入時ではなく,コンテンツが不要になった時点において自由に返還することができ,コンテンツの利用期間を自由に調整することが可能となる。従って,コンテンツの利用期限を気にする必要がなくなり,安心してコンテンツを購入でき,その結果,かかるコンテンツの販売促進につながる。
【0025】
さらに,上記ライセンスのみを返還する構成により,返還するデータの送信量を削減することができる。ここで,ライセンスの代わりにライセンスに付された署名を示した署名データのみを返還することもできる。また,コンテンツ自体はユーザ端末に残るので,再度そのコンテンツを利用できるライセンスを購入すると,コンテンツを再びダウンロードすることなく,コンテンツの利用が可能となる。
【0026】
上記対価は,上記コンテンツの利用状況に基づくライセンスの状態によって変化するとしても良い。また,上記対価は,コンテンツの購入額に対する払い戻しであって,上記コンテンツの利用可能時間の経過に応じて金額が下がるとしても良い。
【0027】
例えば,コンテンツを購入してから短期間でライセンスを返還した場合,購入時の50%を対価として取得でき,長期間経過後であれば,購入時の20%を対価として取得する。かかる構成により,コンテンツの価値,例えば,販売初日からの経過時間に応じた妥当な対価を取得することが可能となる。
【0028】
上記ライセンス利用部は,ライセンスの存否の代わりに,ライセンスが有効か無効かを判断するとしても良い。かかる構成により,ライセンス自体の存否を管理する必要が無くなり,ライセンス自体がユーザ端末に残っていたとしても,その有効無効を例えばフラグによって管理することで,ライセンス利用の判断を行うことが可能となる。
【0029】
上記ライセンスサーバからコンテンツを受信するコンテンツ受信部をさらに備えるとしても良い。かかる構成により,同一のライセンスサーバでコンテンツとライセンスの提供を行うことができ,両者の一貫した管理が可能となる。
【0030】
また,ライセンスサーバに通信網を介して接続され,コンテンツを利用することが可能なコンピュータで実行されるプログラムであって:コンピュータを,上記ユーザ端末として機能させるプログラムが提供される。また,ライセンスサーバに通信網を介して接続され,コンテンツを利用することが可能なユーザ端末において,上述のユーザ端末としての機能を実施するライセンス処理方法も提供される。
【0031】
上記ライセンスサーバやユーザ端末は,パーソナルコンピュータ,PDA(Personal Digital Assistant),携帯電話,携帯型音声プレーヤ,家庭ゲーム機,情報家電,テレビ会議システムを含んで構成されるとしても良い。
【0032】
かかるライセンスサーバとユーザ端末は,1つの装置で構成することもでき,互いの機能部を交換して備えることもできる。また,ライセンスサーバやユーザ端末の各機能部を独立した装置に分散して備え,組み合わせて利用するとすることも可能である。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように本発明によれば,ユーザの所望するタイミングで,ライセンスの売却,返還を可能にすることで,ライセンスサーバを有するサービス事業者およびユーザのコンテンツの利便性を高めることができる。
【0034】
また,ライセンスまたはライセンス中の署名のみを返還,判断する構成により,ユーザ端末側ではコンテンツを残したまま返還処理を実行でき,ライセンスサーバ側では余分なデータを保持する必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0036】
従来から,著作権保護や不正な改竄を防止するためライセンスを付与したコンテンツの販売が行われていた。しかし,従来の技術においては,ユーザが購入したコンテンツが不要になったとしてもそのコンテンツを売却もしくは返還することができず,ユーザ端末の記憶媒体に単に蓄積され続けていた。
【0037】
以下に示す実施形態では,ユーザが,コンテンツが不要になった場合に,コンテンツに対応付けられたライセンスを発行元のライセンスサーバに返還し,さらに,その返還したライセンスに応じて,購入元のライセンスサーバの合意の下,対価を取得できる。従って,コンテンツまたはライセンスの売却,返還といった新たな流通が可能となり,ユーザにとってのコンテンツの利便性を高めることができる。
【0038】
(第1の実施形態:ライセンス配信システム)
図1は,本実施形態におけるライセンス配信システムの概略的な構成を示したブロック図である。かかるライセンス配信システムは,ライセンスサーバ100と,ユーザ端末110と,通信網120とを含んで構成される。
【0039】
上記ライセンスサーバ100は,コンテンツと,該コンテンツに付されるライセンスとを管理し,コンテンツの利用を希望するユーザに対して,コンテンツおよびライセンスを配信する。ここで,ライセンスサーバ100はライセンスのみを配信し,コンテンツは他のサーバから供給されるとしても良い。
【0040】
上記ユーザ端末110は,通信網120を介して,ライセンスサーバ100からのコンテンツおよびライセンスを取得し,ユーザの利用要求に応じて,かかるライセンスによるコンテンツを再生する。ここで,ユーザ端末110は,ライセンスサーバ100からライセンスのみを取得し,コンテンツは他のサーバからファイルとして,もしくはストリーミング等によりリアルタイムに取得することができる。
【0041】
上記通信網120は,例えば公衆回線網であるインターネットのネットワーク網を含み,電話回線等によりライセンスサーバ100,他のサーバ,ユーザ端末110等が接続される。
【0042】
通常,ユーザは,ライセンスサーバ100を管理するサービス事業者に対して,ライセンスの取得要求を行い,料金の支払いを済ませた後ライセンスを取得する。次に,ユーザは,ユーザ端末110において,かかるライセンスと共に,もしくは他のサーバから取得したコンテンツを組合せ,コンテンツを利用する。
【0043】
以下に,上記ライセンスサーバ100およびユーザ端末110に関して詳細に説明する。
【0044】
(第2の実施形態:ライセンスサーバ100)
図2は,本実施形態におけるライセンスサーバ100の概略的な構成を示したブロック図である。かかるライセンスサーバ100は,サーバ制御部210と,サーバ記憶部212と,コンテンツ送信部214,ライセンス発行部216と,ライセンス暗号化部218と,ライセンス送信部220と,ライセンス回収部222と,ライセンス復号化部224と,ライセンス判断部226と,ライセンス削除部228と,対価供給部230とを含んで構成される。
【0045】
上記サーバ制御部210は,中央処理装置(CPU)を含む制御装置によりライセンスサーバ100を管理および制御する。本実施形態においてサーバ制御部210は,通信網120を介して接続されるユーザ端末110からの要求に従い,コンテンツ240やライセンス250の配信処理を支援する。
【0046】
上記サーバ記憶部212は,ROM,RAM等のメモリ,HDD,ストレージ,光磁気ディスク等の記憶媒体に形成され,ライセンスサーバ100から送信可能なコンテンツ240を記憶する。
【0047】
上記コンテンツ送信部214は,ユーザのコンテンツ取得要求に応じて,コンテンツ240を,コンテンツ取得要求を行ったユーザのユーザ端末110に送信する。当該ライセンスサーバ100において,かかるコンテンツ240と後述のライセンス250を合わせて発行することにより,一貫した管理が可能となる。また,ユーザ(ユーザ端末110)は,コンテンツ240を,当該ライセンスサーバ100以外のサーバから取得することも可能である。
【0048】
上記ライセンス発行部216は,ユーザに送信するコンテンツ240と対応付けることによりコンテンツ240を利用できるライセンス250を発行する。このライセンス250は,ユーザID,サーバID,ライセンスID,コンテンツID,利用期間,署名,利用回数,チェックアウト回数等の利用条件(Usage Right)が含まれ得る。
【0049】
上記署名は,当該ライセンスサーバ100が発行したライセンス250であることの署名であっても良い。この署名は,単独で秘密鍵によって暗号化処理を施すとしても良い。また,上記利用期間は,本実施形態における,コンテンツ240の利用期間をユーザが自由に調整できるという前提を考慮すると,ライセンス250の利用条件に含まなくとも良い。
【0050】
上記ライセンス暗号化部218は,著作権保護のためライセンス250を特定の鍵,例えば秘密鍵で暗号化する。かかる暗号化は,秘密鍵方式,公開鍵方式の何れを利用しても良く,具体的な暗号化の方法は,既に開示されている様々な方法を取り入れることができる。
【0051】
上記ライセンス送信部220は,コンテンツ240を購入したユーザのユーザ端末110に,ライセンス250を送信する。
【0052】
上記ライセンス回収部222は,ユーザ端末110から送信された,ユーザが売却もしくは返還を希望するコンテンツ240のライセンス252もしくはそのライセンス252に付された署名データを回収する。
【0053】
上記ライセンス復号化部224は,ライセンス暗号化部218に対応して,ライセンス回収部222が回収したライセンス252を特定の鍵で復号化する。また,ライセンス252に付された署名データも単独で暗号化されている場合,その署名データも復号する。
【0054】
上記ライセンス判断部226は,ライセンス回収部222によって回収されたライセンス252が,上記ライセンス発行部216で発行されたライセンス250であるかどうかを判断する。例えば,ライセンス発行部216において,署名データが付されてライセンス250が発行されている場合,ライセンス判断部226は,この署名データにおける署名を検証することにより発行元ライセンスサーバの判断を行う。従って,ライセンス判断部226は,その署名を確認するだけで,ライセンス252を認証できる。また,ライセンス判断部226は,ユーザ端末110から上記署名データのみを受信して,即ちライセンス252自体を受信することなく上記の判断を行うこともできる。
【0055】
かかる構成により,ライセンスサーバ100側でどのユーザがどのコンテンツを購入したかの情報を保持する必要が無くなり,データの管理や保守に関するコストを削減できる。
【0056】
上記ライセンス削除部228は,ライセンス判断部226において,ライセンス回収部222によって回収されたライセンス252がライセンス発行部216からのライセンス250であること,もしくは,ライセンス回収部222によって回収された署名データがライセンス発行部216で生成された署名データであることが確認されると,ユーザ端末110におけるライセンス252を削除する。
【0057】
ユーザ端末110は,ライセンス252をライセンスサーバ100に返還することにより,後述するように対価260を受けることができるが,当該コンテンツ240は利用できなくなる。しかし,ライセンス252自体やそのコピーがユーザ端末110上に残ってしまうと,対価260を受け取っているにも拘わらずコンテンツ240を引き続き利用することが可能となる。かかるライセンス削除部228の構成により,ユーザ端末110に当該ライセンス252が残っていたとしてもそのライセンス252を無効にすることができ,ユーザの不正なコンテンツ利用を防止することができる。
【0058】
また,かかるライセンス252の削除は,ライセンス252の返還時におけるライセンス252を上書きすることによって達成するとしても良い。このとき,ライセンスサーバ100は,上記ライセンス252が上書きされたことを確認した後,対価260を供給する構成にすることができる。
【0059】
上記対価供給部230は,ライセンス判断部226において,ライセンス回収部222によって回収されたライセンス252がライセンス発行部216からのライセンス250であることが確認され,ライセンス削除部228によるライセンス252の削除が確認された場合,ユーザ端末110に対してライセンス252の対価260を供給する。かかる返還されたライセンス252に応じて対価260を供給する構成により,妥当な価格で上記コンテンツを供給することが可能となり,販売の促進につながる。
【0060】
対価供給部230によって供給される対価260は,金銭,金券,引換券,割引券,サービスポイント等であるとしても良く,コンテンツ240の利用状況に基づくライセンス252の状態,例えば,利用期間,利用回数,チェックアウト回数等によって変化するとしても良い。
【0061】
例えば,対価260がコンテンツ240の購入額に対する払い戻しであるとした場合,その対価の額をコンテンツ240の利用可能時間の経過(販売初日からの経過時間等)に応じて下げることもできる。ユーザがコンテンツ240を購入して短期間でライセンス252を返還してきた場合,購入時の50%を対価として供給し,長期間経過後であれば,購入時の20%を対価として供給する。
【0062】
このように,ライセンスサーバ100は,一度売却したライセンスを回収することが可能となり,ライセンスに対応付けられたコンテンツ240の再利用が可能となる。
【0063】
また,コンテンツ240を利用することが可能なユーザ端末110に通信網120を介して接続されるコンピュータで実行されるプログラムであって,コンピュータを,上記ライセンスサーバ100として機能させるプログラム,および,そのプログラムが記憶された記憶媒体が提供される。
【0064】
(第3の実施形態:ユーザ端末110)
図3は,本実施形態におけるユーザ端末110の概略的な構成を示したブロック図である。かかるユーザ端末110は,端末制御部310と,コンテンツ受信部312と,ライセンス受信部314と,ライセンス記憶部316と,ライセンス返還部318と,コンテンツ利用部320と,対価受信部322とを含んで構成される。
【0065】
上記端末制御部310は,中央処理装置(CPU)を含む制御装置によりユーザ端末110を管理および制御する。本実施形態において端末制御部310は,ユーザインターフェースにより指定された命令に従い,通信網120を介したライセンス配信の諸手続を支援する。
【0066】
上記コンテンツ受信部312は,ライセンスサーバ100から,ユーザが所望するコンテンツ240を受信する。
【0067】
上記ライセンス受信部314は,ライセンスサーバ100からユーザが所望するコンテンツ240に付随したライセンス250を受信する。
【0068】
上記ライセンス記憶部316は,ROM,RAM等のメモリ,HDD,ストレージ,光磁気ディスク等の記憶媒体に形成され,コンテンツ受信部312によって受信されたコンテンツ240およびライセンス受信部314によって受信されたライセンス250を記憶する。上記ライセンス250は,コンテンツ240の利用状況(利用期間,利用回数,チェックアウト回数)に応じて,その権利範囲が変動する。従って,後述するライセンスの返還時には,その内容も変化している(ライセンス252)。
【0069】
上記ライセンス返還部318は,コンテンツ240が不要になった場合等,ユーザがコンテンツ240を売却もしくは返還するときに,ライセンス記憶部316に記憶されたライセンス252をライセンスサーバ100に返還する。また,かかるライセンス252に付された署名データのみをライセンスサーバ100に返還するとしても良い。
【0070】
かかるライセンス返還部318によって,ユーザは,そのコンテンツ240を,購入時ではなく,コンテンツ240が不要になった時点において自由に返還することができ,コンテンツ240の利用期間を自由に調整することが可能となる。従って,コンテンツ240の利用期限を気にする必要がなくなり,購入時の1回のみの支払でコンテンツを保持し続けることも可能となる。このようにして,ユーザは安心してコンテンツを購入でき,かかるコンテンツの販売促進につながる。
【0071】
このとき,ユーザ端末110の設定によっては,ライセンス252の返還に基づいて,コンテンツ240も削除されるとしても良い。その結果,ユーザ端末110の記憶容量の無駄な消費を回避できる。
【0072】
また,ライセンス252のみが返還される構成により,返還するデータの送信量を削減することができる。ここでコンテンツ240自体はユーザ端末110のライセンス記憶部316に残るので,ユーザが再度そのコンテンツ240を利用しようと考えた場合,コンテンツ240を再びダウンロードすることなく,新たにライセンス250のみを購入することによって,ユーザ端末110におけるコンテンツ240の利用が可能となる。
【0073】
上記コンテンツ利用部320は,ライセンス記憶部316にライセンス252が存在している場合,即ち,ライセンス252により正規の利用が可能な場合,ユーザ端末110におけるコンテンツ240の利用を許可する。
【0074】
また,ライセンス利用部320は,ライセンス252の存否の代わりに,ライセンス252が有効か無効かを判断するとしても良い。こうして,ライセンス252自体の存否を管理する必要が無くなり,ライセンス252自体がユーザ端末110に残っていたとしても,その有効無効を例えばフラグによって管理することで,ライセンス利用の判断を行うことが可能となる。
【0075】
上記対価受信部322は,ライセンス返還部318から返還したライセンス252が,元々ライセンスサーバ100で発行されたライセンス250である場合,ライセンスサーバ100からライセンス252の対価260を受信する。
【0076】
かかる対価260は,上述のライセンスサーバ100同様に,コンテンツ240の利用状況に基づくライセンス252の状態によって変化するとすることもできる。従って,例えば,ユーザが販売初日から余り時間が経過していない時点で,コンテンツ240のライセンス252を返還した場合,購入額の50%とした金銭を得ることができ,ある程度期間が過ぎてしまうと一律20%の金銭しか得られない,といったことが考えられる。
【0077】
このようなユーザ端末110を通じて,ユーザは,一度購入したライセンス252を売却もしくは返還することが可能となり,不要になったライセンス252もしくはそのライセンス252に対応付けられたコンテンツ240を対価260に交換することができる。また,返還したライセンス252に応じた対価260を取得できる構成により,その対価260を考慮してライセンス252を返還することが可能となる。
【0078】
また,ライセンスサーバ100に通信網120を介して接続され,コンテンツ240を利用することが可能なコンピュータで実行されるプログラムであって,コンピュータを,上記ユーザ端末110として機能させるプログラム,および,そのプログラムが記憶された記憶媒体が提供される。
【0079】
(第4の実施形態:ライセンス処理方法)
次に,コンテンツを利用することが可能なユーザ端末110と,そのユーザ端末110に通信網120を介して接続されるライセンスサーバ100とを利用したライセンス処理方法について詳細に説明する。
【0080】
図4A〜Cは,ライセンス処理方法の流れを概略的に示した説明図である。図4Aは,ユーザがコンテンツ240を購入する場合を説明している。先ず,ユーザは,ユーザ端末110からライセンスサーバ100に対してコンテンツ購入要求を出す。かかる購入に際し,ユーザはコンテンツ240の料金として200円を支払う(S400)。ユーザからの入金を確認したライセンスサーバ100は,コンテンツ240と共にそのライセンス250をユーザ端末110に送信する(S410)。上記ライセンス250では,少なくともチェックアウト(CO)3回,再生回数10回の実施が可能である。
【0081】
図4Bは,ユーザがコンテンツ240のライセンス250を更新する場合を説明している。先ず,ユーザは,ユーザ端末110からライセンスサーバ100に対してライセンス更新要求を出す(S420)。ライセンスサーバ100は,ユーザ端末110を認証した後,ユーザ端末110に記憶されているライセンス252を更新する(S430)。ここでは,上記ライセンス252の利用条件におけるチェックアウト(CO)の回数を10回に増やしている。
【0082】
図4Cは,ユーザがコンテンツ240のライセンス252を売却する場合を説明している。先ず,ユーザは,ユーザ端末110からライセンスサーバ100に対してライセンス売却要求を出す(S440)。ライセンスサーバ100は,ユーザ端末110を認証した後,ユーザ端末110に記憶されているライセンス252を上書きし(S450),今後当該ライセンス252によりコンテンツ240を利用できないようにする。こうして上書きされたライセンス252は,チェックアウト(CO)0回,再生回数0回となる。
【0083】
以下,ライセンス処理方法における,ユーザ登録処理,ユーザ認証処理,コンテンツ購入処理,コンテンツ売却処理,コンテンツ再購入処理について,さらに詳細に説明する。以下の処理において説明は省略されているが著作権保護のため適宜暗号化および復号化が実施されている。
【0084】
(ユーザ登録処理)
図5は,ライセンス処理方法におけるユーザ登録処理の流れを示したフローチャートである。先ず,ユーザはユーザ端末110からユーザの登録要求を行い(S500),それに応じてライセンスサーバ100は,ユーザ端末110に,当該ライセンスサーバ100により発行されていることを示すサーバ証明書を送信する(S502)。
【0085】
ユーザ端末110は,ライセンスサーバ100からのサーバ証明書を検証し(S504),所望のライセンスサーバ100であることを確認すると,自己のユーザ端末IDとして乱数を発生し,ライセンスサーバ100に送信する(S506)。それに応じてライセンスサーバ100は,自己のサーバIDとして乱数を発生し,ユーザ端末110に送信する(S508)。かかる両者のID(乱数)を合わせて,その伝送処理が継続している間(セッション)にのみ有効なセッション鍵が計算され(S510),上記セッション中に両者のセッション鍵が共有される(S512)。以降の処理では,両者間において上記セッション鍵により暗号化されたデータを送受する。
【0086】
ユーザ端末110は,上記ユーザ端末IDを上記セッション鍵を使って暗号化し(S514),ライセンスサーバ100に送信する(S516)。これに応じて,ライセンスサーバ100は,ユーザ証明書,サーバ証明書,鍵情報をユーザ端末110に対して発行する(S518)。このようにして,ユーザ登録処理が行われる。
【0087】
(ユーザ認証処理)
図6は,ライセンス処理方法におけるユーザ認証処理の流れを示したフローチャートである。先ず,ユーザは,上述したユーザ登録処理で取得し,かつ,ユーザ端末110内に保持されているユーザ証明書をライセンスサーバ100に送信する(S600)。ライセンスサーバ100は,かかるユーザ証明書を検証し(S602),ユーザ端末110にサーバ証明書,および自己のサーバIDとしての乱数を送信する(S604)。
【0088】
ユーザ端末110は,かかるサーバ証明書を検証し(S606),その後,自己のユーザ端末IDとして乱数を発生させ,ライセンスサーバ100に返信する(S608)。かかる両者のID(乱数)を合わせて,そのセッション中有効なセッション鍵が計算され(S610),両者でセッション鍵が共有される(S612)。このようにして,ユーザ認証処理が行われる。
【0089】
(コンテンツ購入処理)
図7は,ライセンス処理方法におけるコンテンツ購入処理の流れを示したフローチャートである。先ず,ユーザは,図6に示したユーザ認証処理を行い(S700),ユーザ端末110とライセンスサーバ100間でセッション鍵を共有する。以下の処理では,かかるセッション鍵で暗号化したデータが送受信される。ユーザ端末110上で,ユーザは,配信可能なコンテンツ240のリストを要求する(S702)。ライセンスサーバ100は,かかる要求に応じて,ユーザ端末110にコンテンツリストを配信する(S704)。
【0090】
続いて,ユーザは,ユーザ端末110上でかかるコンテンツリストから所望するコンテンツ240を選択し(S706),ライセンスサーバ100に対して,ユーザ端末ID,現在所有しているライセンスを示すライセンスIDおよび鍵情報を,その選択したコンテンツ情報と共に送信する(S708)。また,ユーザは,ユーザ端末110上でかかるコンテンツの料金を支払い(S710),ライセンスサーバ100は,ユーザからの課金を確認した後,上記選択されたコンテンツ240に対応付けられ,ライセンスサーバ100が発行したライセンス250であることの署名を付したライセンス250を発行し(S712),ユーザ端末110に対して,課金情報と共にそのライセンス250を送信する(S714)。
【0091】
ユーザ端末110では,かかるライセンス250を記憶し(S716),その結果をライセンスサーバ100に送信する(S718)。ライセンスサーバ100は,ライセンス250がユーザ端末110に到達したことを確認した後,かかるライセンス250と対応付けられたコンテンツ240を抽出して(S720),ユーザ端末110に送信する(S722)。
【0092】
ユーザ端末110において受信されたコンテンツ240およびライセンス250によって,ユーザは,上記ライセンス250が該ユーザ端末110に存在している間,コンテンツ240を利用することができる(S724)。このようにして,コンテンツ購入処理が行われる。
【0093】
(コンテンツ売却処理)
図8は,ライセンス処理方法におけるコンテンツ売却処理の流れを示したフローチャートである。先ず,ユーザは,図6に示したユーザ認証処理を行い(S800),ユーザ端末110とライセンスサーバ100間でセッション鍵を共有する。以下の処理では,かかるセッション鍵で暗号化したデータが送受信される。ユーザ端末110上で,ユーザは,不要となったコンテンツ240を選択し(S802),かかるコンテンツ240のライセンス252もしくはライセンス252中の署名を記した署名データをライセンスサーバ100に返還する(S804)。
【0094】
このように,ユーザ側では,そのコンテンツ240を,購入時ではなく,コンテンツ240が不要になった時点において自由に返還することができ,コンテンツ240の利用期間を自由に調整することが可能となる。従って,コンテンツ240の利用期限を気にする必要がなくなり,安心してコンテンツを購入できる。
【0095】
ライセンスサーバ100は,ユーザ端末110から上記ライセンス252もしくは署名データを回収すると,回収されたライセンス252が,コンテンツ購入処理(S714)によって発行されたライセンス250であるかどうかを判断する(S806)。ここで,コンテンツ購入処理で発行されたライセンス250もしくは署名データであることが確認された場合,ユーザ端末110に対し,ライセンス252が削除されていることを確認して,ライセンス252の対価260を供給する(S808)。ここでライセンス252が削除されていない場合,かかるライセンス252の不正な再利用が行われないようにライセンス252を削除もしくは無効にする。
【0096】
ユーザ端末110は,ライセンスサーバ100からライセンス252の対価260を受信し(S810),かかるコンテンツ240の売却が完了する。上記署名を判断するステップ(S806)により,ライセンスサーバ100でどのユーザがどのコンテンツ240を購入したかの情報を保持する必要が無くなり,データの管理や保守に関するコストを削減できる。
【0097】
また,ここでは,ライセンス252もしくは署名データのみを返還することとなるので,返還するデータの送信量を削減することができる。また,コンテンツ240自体はユーザ端末110に残るので,後述のコンテンツ再購入処理において示されるように,コンテンツ240を再びダウンロードすることなく,再度そのコンテンツ240を利用できるライセンス250を購入するだけでコンテンツ240の利用が可能となる。
【0098】
(コンテンツ再購入処理)
図9は,ライセンス処理方法におけるコンテンツ再購入処理の流れを示したフローチャートである。先ず,ユーザは,図6に示したユーザ認証処理を行い(S900),ユーザ端末110とライセンスサーバ100間でセッション鍵を共有する。以下の処理では,かかるセッション鍵で暗号化したデータが送受信される。ユーザ端末110上で,ユーザは,配信可能なコンテンツ240のリストを要求する(S902)。ライセンスサーバ100は,かかる要求に応じて,ユーザ端末110にコンテンツリストを配信する(S904)。
【0099】
続いて,ユーザは,ユーザ端末110上でかかるコンテンツリストから所望するコンテンツ240を選択し(S906),ライセンスサーバ100に対してユーザ端末110を特定するユーザ端末ID,現在所有しているライセンスを示すライセンスIDおよび鍵情報を,その選択したコンテンツ情報と共に送信する(S908)。このライセンスIDによって,ライセンスサーバ100は,ユーザ端末110において既に取得されているライセンス252もしくはコンテンツ240を知ることができる。
【0100】
ユーザは,ユーザ端末110上でかかるコンテンツの料金を支払い(S910),ライセンスサーバ100は,ユーザからの課金を確認した後(S912),上記選択されたコンテンツ240に対応付けられ,ライセンスサーバ100が発行したライセンス250であることの署名を付した新たなライセンス250を発行し,課金情報と共にユーザ端末110に送信する(S914)。
【0101】
ユーザ端末110では,かかるライセンス250を記憶し(S916),その結果をライセンスサーバ100に送信する(S918)。ユーザ端末110では,ライセンスサーバ100から受信したライセンス250と,ユーザ端末110に保存されているコンテンツ240とが結びつけられ,ユーザはコンテンツ240を利用することができる。
【0102】
上記のようなライセンス処理方法により,コンテンツまたはライセンスの売却,返還といった新たな流通が可能となり,ユーザにとってのコンテンツの利便性を高めることができる。
【0103】
(第5の実施形態:Graphical User Interface(GUI))
図10は,ユーザ端末110においてコンテンツを売却する場合を説明する説明図である。ここでは,ユーザ端末110の表示装置に表示されるGUI 950が示されている。
【0104】
ユーザは,購入希望するコンテンツ240を既に選択しており,かかるGUI 950には,そのコンテンツ240に関する無料で視聴できるプロモーションビデオ952が再生されている。ユーザは,このプロモーションビデオ952を参照し,本編のコンテンツ240を購入するかどうかを購入金額960である「200円」を踏まえて決定し,購入ボタン962である「PURCHASE」を押す。こうして,ユーザは本編であるコンテンツ240を視聴可能となる。
【0105】
また,GUI 950には,ライセンス250購入からの時間の経過等に応じて変化する売却金額970も表示される。この売却金額970は,一定の期間中例えば購入金額の半額「100円」を維持するが,その期間を経過した後には,「80円」「60円」…「0円」と言った具合に減額される。ユーザは,コンテンツ240が不要になったときに,その売却金額970を踏まえて売却ボタン972である「SALE」を選択する。こうして,ユーザはコンテンツ(ライセンス)を売却できる。
【0106】
また,そのコンテンツ240を再度利用しようと考えたときには,新規と同じ価格もしくは,再購入による値引きされた価格で購入することができる。ライセンスサーバ100は,ユーザ端末110に保持されたライセンス252の取得状況を示す情報を取得することによって上記値引きを行うことができる。
【0107】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0108】
例えば,上記実施形態では,一人のユーザに関するコンテンツもしくはライセンスの購入や売却を示したが,レンタルシステムやギフトシステムにも適用可能である。ここで,レンタルシステムは,少なくともライセンスを貸与するシステムであり,ギフトシステムは,例えば,ライセンスのみを購入して他のユーザにギフトとして与え,かかる他のユーザが当該ライセンス配信システムを利用することを含む。
【0109】
また,上記実施形態においては,コンテンツとライセンスを一対一に対応させて説明しているが,一つのライセンスで複数のコンテンツを対応付けるとしても良く,逆に,一つのコンテンツを,利用期間の違う複数のライセンス等により管理する場合にも適用可能である。
【0110】
なお,本明細書のライセンス処理方法における各工程は,必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく,並列的あるいは個別に実行される処理(例えば,並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は,コンテンツを利用するためのライセンスを管理する,ライセンス配信システム,ライセンスサーバ,ユーザ端末,ライセンス処理方法,およびプログラムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】第1の実施形態におけるライセンス配信システムの概略的な構成を示したブロック図である。
【図2】第2の実施形態におけるライセンスサーバの概略的な構成を示したブロック図である。
【図3】第3の実施形態におけるユーザ端末の概略的な構成を示したブロック図である。
【図4A】第4の実施形態におけるライセンス処理方法の流れを概略的に示した説明図である。
【図4B】第4の実施形態におけるライセンス処理方法の流れを概略的に示した説明図である。
【図4C】第4の実施形態におけるライセンス処理方法の流れを概略的に示した説明図である。
【図5】ライセンス処理方法におけるユーザ登録処理の流れを示したフローチャートである。
【図6】ライセンス処理方法におけるユーザ認証処理の流れを示したフローチャートである。
【図7】ライセンス処理方法におけるコンテンツ購入処理の流れを示したフローチャートである。
【図8】ライセンス処理方法におけるコンテンツ売却処理の流れを示したフローチャートである。
【図9】ライセンス処理方法におけるコンテンツ再購入処理の流れを示したフローチャートである。
【図10】ユーザ端末においてコンテンツを売却する場合を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0113】
100 ライセンスサーバ
110 ユーザ端末
120 通信網
214 コンテンツ送信部
216 ライセンス発行部
218 ライセンス暗号化部
220 ライセンス送信部
222 ライセンス回収部
224 ライセンス復号化部
226 ライセンス判断部
228 ライセンス削除部
230 対価供給部
240 コンテンツ
250 ライセンス
260 対価
312 コンテンツ受信部
314 ライセンス受信部
316 ライセンス記憶部
318 ライセンス返還部
320 コンテンツ利用部
322 対価受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライセンスサーバと,該ライセンスサーバに通信網を介して接続され,コンテンツを利用することが可能なユーザ端末と,を含むライセンス配信システムであって:
前記ライセンスサーバは,
特定のコンテンツと対応付けることにより該コンテンツを利用できるライセンスを発行するライセンス発行部と;
前記コンテンツを購入したユーザのユーザ端末に,前記ライセンスを送信するライセンス送信部と;
前記ユーザ端末から前記ライセンスを回収するライセンス回収部と;
前記ライセンス回収部によって回収されたライセンスが,前記ライセンス発行部で発行されたライセンスであるかどうかを判断するライセンス判断部と;
前記ライセンス発行部からのライセンスであることが確認された場合,前記ユーザ端末に対して前記ライセンスの対価を供給する対価供給部と;
を備え,
前記ユーザ端末は,
前記ライセンスサーバからライセンスを受信するライセンス受信部と;
少なくとも前記ライセンスを記憶するライセンス記憶部と;
前記ライセンス記憶部に前記ライセンスが存在している場合のみコンテンツを利用させるコンテンツ利用部と;
前記ライセンスをライセンスサーバに返還するライセンス返還部と;
前記ライセンス返還部から返還したライセンスが前記ライセンスサーバで発行されたライセンスである場合,前記ライセンスサーバから前記ライセンスの対価を受信する対価受信部と;
を備えることを特徴とする,ライセンス配信システム。
【請求項2】
コンテンツを利用することが可能なユーザ端末に通信網を介して接続されるライセンスサーバであって:
特定のコンテンツと対応付けることにより該コンテンツを利用できるライセンスを発行するライセンス発行部と;
前記コンテンツを購入したユーザのユーザ端末に,前記ライセンスを送信するライセンス送信部と;
前記ユーザ端末からライセンスを回収するライセンス回収部と;
前記ライセンス回収部によって回収されたライセンスが,前記ライセンス発行部で発行されたライセンスであるかどうかを判断するライセンス判断部と;
前記ライセンス発行部からのライセンスであることが確認された場合,前記ユーザ端末に対して前記ライセンスの対価を供給する対価供給部と;
を備えることを特徴とする,ライセンスサーバ。
【請求項3】
前記ライセンス発行部は,前記ライセンスに,前記ライセンスサーバが発行したライセンスであることの署名を施してライセンスを発行し,
前記ライセンス判断部は,前記署名を検証することにより判断を行うことを特徴とする,請求項2に記載のライセンスサーバ。
【請求項4】
前記対価は,前記コンテンツの利用状況に基づくライセンスの状態によって変化することを特徴とする,請求項2に記載のライセンスサーバ。
【請求項5】
前記対価は,コンテンツの購入額に対する払い戻しであって,前記コンテンツの利用可能時間の経過に応じて金額が下がることを特徴とする,請求項4に記載のライセンスサーバ。
【請求項6】
前記ライセンス発行部からのライセンスであることが確認された場合,前記ユーザ端末におけるライセンスを削除するライセンス削除部をさらに備えることを特徴とする,請求項2に記載のライセンスサーバ。
【請求項7】
前記ライセンス送信部がライセンスを送信する前に,前記ライセンスを特定の鍵で暗号化するライセンス暗号化部と;
前記ライセンス回収部が回収したライセンスを前記特定の鍵で復号化するライセンス復号化部とをさらに含むことを特徴とする,請求項2に記載のライセンスサーバ。
【請求項8】
前記ユーザ端末に,前記ライセンスと対応付けられたコンテンツを送信するコンテンツ送信部をさらに備えることを特徴とする,請求項2に記載のライセンスサーバ。
【請求項9】
コンテンツを利用することが可能なユーザ端末に通信網を介して接続されるコンピュータで実行されるプログラムであって:
コンピュータを,
特定のコンテンツと対応付けることにより該コンテンツを利用できるライセンスを発行するライセンス発行部と;
前記コンテンツを購入したユーザのユーザ端末に,前記ライセンスを送信するライセンス送信部と;
前記ユーザ端末からライセンスを回収するライセンス回収部と;
前記ライセンス回収部によって回収されたライセンスが,前記ライセンス発行部で発行されたライセンスであるかどうかを判断するライセンス判断部と;
前記ライセンス発行部からのライセンスであることが確認された場合,前記ユーザ端末に対して前記ライセンスの対価を供給する対価供給部と;
して機能させることを特徴とする,プログラム。
【請求項10】
コンテンツを利用することが可能なユーザ端末に通信網を介して接続されるライセンスサーバにおけるライセンス処理方法であって:
特定のコンテンツと対応付けることにより該コンテンツを利用できるライセンスを発行するライセンス発行ステップと;
前記コンテンツを購入したユーザのユーザ端末に,前記ライセンスを送信するライセンス送信ステップと;
前記ユーザ端末からライセンスを回収するライセンス回収ステップと;
前記回収されたライセンスが,前記ライセンス発行ステップで発行されたライセンスであるかどうかを判断するライセンス判断ステップと;
前記ライセンス発行ステップで発行されたライセンスであることが確認された場合,前記ユーザ端末に対して前記ライセンスの対価を供給する対価供給ステップと;
を含むことを特徴とする,ライセンス処理方法。
【請求項11】
ライセンスサーバに通信網を介して接続され,コンテンツを利用することが可能なユーザ端末であって:
前記ライセンスサーバからライセンスを受信するライセンス受信部と;
少なくとも前記ライセンスを記憶するライセンス記憶部と;
前記ライセンス記憶部に前記ライセンスが存在している場合のみコンテンツを利用させるコンテンツ利用部と;
前記ライセンスをライセンスサーバに返還するライセンス返還部と;
前記ライセンス返還部から返還したライセンスが前記ライセンスサーバで発行されたライセンスである場合,前記ライセンスサーバから前記ライセンスの対価を受信する対価受信部と;
を含むことを特徴とする,ユーザ端末。
【請求項12】
前記ライセンス返還部は,前記ライセンスサーバが発行したライセンスであることの署名を示した署名データのみを返還することを特徴とする,請求項11に記載のユーザ端末。
【請求項13】
前記対価は,前記コンテンツの利用状況に基づくライセンスの状態によって変化することを特徴とする,請求項11に記載のユーザ端末。
【請求項14】
前記対価は,コンテンツの購入額に対する払い戻しであって,前記コンテンツの利用可能時間の経過に応じて金額が下がることを特徴とする,請求項13に記載のユーザ端末。
【請求項15】
前記ライセンス利用部は,ライセンスの存否の代わりに,ライセンスが有効か無効かを判断することを特徴とする,請求項11に記載のユーザ端末。
【請求項16】
前記ライセンスサーバからコンテンツを受信するコンテンツ受信部をさらに備えることを特徴とする,請求項11に記載のユーザ端末。
【請求項17】
ライセンスサーバに通信網を介して接続され,コンテンツを利用することが可能なコンピュータで実行されるプログラムであって:
コンピュータを,
前記ライセンスサーバからライセンスを受信するライセンス受信部と;
少なくとも前記ライセンスを記憶するライセンス記憶部と;
前記ライセンス記憶部に前記ライセンスが存在している場合のみコンテンツを利用させるコンテンツ利用部と;
前記ライセンスをライセンスサーバに返還するライセンス返還部と;
前記ライセンス返還部から返還したライセンスが前記ライセンスサーバで発行されたライセンスである場合,前記ライセンスサーバから前記ライセンスの対価を受信する対価受信部と;
して機能させることを特徴とする,プログラム。
【請求項18】
ライセンスサーバに通信網を介して接続され,コンテンツを利用することが可能なユーザ端末におけるライセンス処理方法であって:
前記ライセンスサーバからライセンスを受信するライセンス受信ステップと;
前記ライセンスが該ユーザ端末に存在している場合のみコンテンツを利用させるコンテンツ利用ステップと;
前記ライセンスをライセンスサーバに返還するライセンス返還ステップと;
前記ライセンス返還ステップで返還したライセンスが前記ライセンスサーバで発行されたライセンスである場合,前記ライセンスサーバから前記ライセンスの対価を受信する対価受信ステップと;
を含むことを特徴とする,ライセンス処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−293555(P2006−293555A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−111304(P2005−111304)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】