説明

ライトガイド層の製造方法

【課題】薄いライトガイド層に遮光層を容易に形成することのできるライトガイド層の製造方法を提供する。
【解決手段】携帯電話の対向する接点層と操作層との間に介在され、複数のLDEからの光線を導光して操作層の複数のキーを照明するライトガイド層の製造方法で、ライトガイド層用の複数のブロック体20を別々に成形し、これらを組み合わせて一体化することにより、ライトガイド層用のブロック集合体23を形成する。この際、複数のブロック体20の間、及びブロック集合体23の周面に黒色の遮光層11A・11をそれぞれ形成する。ブロック集合体23を形成したら、このブロック集合体23を薄くスライスして薄いライトガイド層を得る。立体的な厚いブロック集合体23に黒色の遮光層11A・11を形成するので、薄いライトガイド層10に黒色の遮光層11A・11を確実に形成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話に代表される携帯機器や操作機器のキー等を照明するライトガイド層の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話1は、図2ないし図4に示すように、筐体2に相対向する接点層3と操作層6とが対設され、これら接点層3と操作層6との間に、複数のLED5からの光線を導光して操作層6の複数のキー7を照明するライトガイド層10が介在されている(特許文献1、2、3、4参照)。
【0003】
接点層3は、図3に示すように、携帯電話1の筐体2に内蔵され、表面に、押圧操作で接点機能を発揮する変形可能な複数のメタルドーム4が所定のパターンで配設されており、表面の周縁部には、ライトガイド層10の周面に光線(図3の矢印参照)を照射する複数のLED5が実装されている。この複数のLED5は、必要に応じ、同じ色の光線を照射したり、異なる色の光線(例えば、赤と青、黄色と緑、青と黄色等)を照射する。
【0004】
操作層6は、図2や図3に示すように、携帯電話1の筐体2の一部を構成し、表面には、接点層3のメタルドーム4の上方に位置する押圧操作可能な複数のキー7が所定のパターンで配設されており、この複数のキー7に光透過性が付与されている。この複数のキー7は、文字や数字を並べ備えた複数の操作キー8と、各種機能(例えば、電話機能、メール機能、カメラ機能等)の選択や決定等に使用される前後左右に揺動可能なコマンダキー9とを備えて構成されている。
【0005】
ライトガイド層10は、図3や図4に示すように、例えばシリコーンゴムやウレタンゴム等を使用して弾性変形可能な薄いシート(例えば、0.2mm以下)に成形され、周面にLED5の光線の漏洩を防止する黒色の遮光層11が形成されており、複数のLED5からの光線を内部のXY方向に導光するとともに、キー7に加わる押圧操作力を接点層3のメタルドーム4に作用させて変形させるよう機能する。
【0006】
ライトガイド層10の表面には、操作層6のキー7の直下に位置する複数の光散乱模様12が所定のパターンで印刷され、この複数の光散乱模様12がLED5からの光線を操作層6方向に導いて散乱させることにより、操作層6のキー7が照明される。
【0007】
ところで、携帯電話1の複数のキー7には、意匠性を向上させたり、誤操作を防止する観点から、異なる光線色での照明や部分的な照明が要求される場合がある。例えば、複数の操作キー8の照明に際しては黄色の光線照射が求められ、コマンダキー9の照明に際しては青色の光線が要望されることがある。
【0008】
このような場合、ライトガイド層10は、図4に示すように、内部に黒色の遮光層11Aが新たに形成されることにより、複数のLED5の光線色の数に応じて照明領域が操作キー8用の照明領域とコマンダキー9用の照明領域とに分割区画される。黒色の遮光層11Aは、例えばライトガイド層10の内部に黒色のフィルムが介装されたり、黒色のインクが塗布されることにより形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−027568号公報
【特許文献2】特開2009−187855号公報
【特許文献3】特開2009−295525号公報
【特許文献4】特開2009−295524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来における携帯電話1は、以上のように構成され、ライトガイド層10として非常に薄く撓み易いシートが使用されるので、薄いライトガイド層10の周面に黒色の遮光層11を確実に形成するのが非常に困難で、LED5の光線の漏洩防止を図り難いという問題がある。また、複数のキー7に異なる光線色での照明が要求される場合、ライトガイド層10に黒色の遮光層11Aを内蔵する必要があるが、この場合にも、ライトガイド層10が薄いシートからなるので、黒色の遮光層11Aを新たに形成するのが実に困難である。
【0011】
本発明は上記に鑑みなされたもので、薄いライトガイド層に遮光層を容易に形成することのできるライトガイド層の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明においては上記課題を解決するため、電子機器の対向する接点層と操作層との間に介在され、光源からの光線を導光して操作層の複数の操作部を照明するライトガイド層の製造方法であって、
複数のブロック体を組み合わせて一体化することにより、ライトガイド層用のブロック集合体を形成する工程と、複数のブロック体の間に遮光層を形成する工程と、ブロック集合体の周面に遮光層を形成する工程と、ブロック集合体を薄く切断してライトガイド層を得る工程とを含んでなることを特徴としている。
【0013】
なお、光源を複数としてその光線色を異ならせ、この複数の光源の光線色の数と複数のブロック体との数とを対応させることができる。
【0014】
ここで、特許請求の範囲における電子機器には、少なくとも家電製品、携帯電話等の携帯機器、情報機器、コントローラ等の操作機器、タッチパネル等の表示機器等が含まれる。また、複数のブロック体は、例えば2、3、4個等とすることができる。
【0015】
本発明によれば、薄いライトガイド層に遮光層を直接形成するのではなく、ライトガイド層用の中間品である立体的なブロック集合体に遮光層を形成し、その後、ブロック集合体を薄く切断して遮光層付きのライトガイド層を得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数のブロック体を組み合わせて一体化することにより、ライトガイド層用のブロック集合体を形成する工程と、複数のブロック体の間に遮光層を形成する工程と、ブロック集合体の周面に遮光層を形成する工程と、ブロック集合体を薄く切断してライトガイド層を得る工程とを有するので、薄いライトガイド層に遮光層を容易に形成することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るライトガイド層の製造方法の実施形態を模式的に示す斜視説明図である。
【図2】携帯電話を模式的に示す全体斜視説明図である。
【図3】接点層、操作層、複数のLED、及びライトガイド層の関係を模式的に示す側面説明図である。
【図4】ライトガイド層を模式的に示す平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明すると、本実施形態におけるライトガイド層10の製造方法は、図1ないし図4に示すように、ライトガイド層10用の複数のブロック体20を組み合わせることにより、ライトガイド層10用のブロック集合体23を形成するとともに、複数のブロック体20の間、及びブロック集合体23の周面に遮光層11A・11をそれぞれ形成した後、ブロック集合体23をスライスしてライトガイド層10を得るようにしている。
【0019】
複数のブロック体20は、図1に示すように、例えば操作層6の操作キー8とコマンダキー9とを異なる光線色(例えば、黄色と青、青と緑等)で明瞭に照明するため、照明領域を分割区画する観点から、立体的な大小二つのブロックからなる。具体的には、操作キー8用の複数のLED5からの光線を導光する平面略凹字形の大きなブロック体21と、この大きなブロック体21の凹んだ凹部に後から嵌合して一体化され、コマンダキー9用のLED5からの光線を導光する小さなブロック体22とを備え、これら21・22が別々に成形される。
【0020】
大きなブロック体21と小さなブロック体22とは、例えばシリコーンゴムやウレタンゴム等を使用して弾性を有する可撓性のブロックに成形される。この大小のブロック体21・22は、界面が光線の屈折に悪影響を及ぼさないよう、同種の成形材料で成形されることが好ましい。
【0021】
複数のブロック体20は、ブロック集合体23に組み合わされてプレス成形で一体化されるが、この際、大小のブロック体21・22の間に黒色の遮光層11Aが形成されるとともに、ブロック集合体23の周面の大部分、換言すれば、大きなブロック体21の周面の大部分に黒色の遮光層11が形成される。具体的には、大きなブロック体21の凹んだ凹部周面や小さなブロック体22の周面に黒色のフィルムが貼着されたり、流動性を有する黒色のインクや樹脂が適宜塗布される。また、ブロック集合体23の周面に黒色のフィルムが貼着されたり、黒色のインクや樹脂が塗着される。
【0022】
黒色の遮光層11を形成する際、ブロック集合体23の周面のLED5に対向する対向部には、LED5からの光線を製造後のライトガイド層10に確実に入射させる観点から、遮光層11を形成しないことが好ましい。
【0023】
こうしてブロック集合体23を形成してその内外に黒色の遮光層11・11Aをそれぞれ形成したら、図示しない裁断機によりブロック集合体23を薄くシートにスライスした後、ライトガイド層10の表面に複数の光散乱模様12を所定のパターンでスクリーン印刷すれば、完成品である薄いライトガイド層10を製造することができる。その他の部分については、従来と同様であるので説明を省略する。
【0024】
上記において、携帯電話1の筐体2が開放されて操作キー8用の複数のLED5が発光すると、各LED5の光線は、図4に示すように、ライトガイド層10のブロック体21部分に入射してXY方向に導光され、ブロック体21部分の複数の光散乱模様12から散乱して操作キー8を照明する。この際、各LED5の光線は、遮光層11により、ライトガイド層10の周面から外部に漏洩するのが防止されるとともに、遮光層11Aの遮蔽作用により、ライトガイド層10のブロック体22部分に入射するのが規制され、コマンダキー9を照明することがない。
【0025】
また、携帯電話1の筐体2が開放されてコマンダキー9用のLED5が発光すると、このLED5の光線は、図4に示すように、ライトガイド層10のブロック体22部分に入射してXY方向に導光され、ブロック体22部分の光散乱模様12から散乱してコマンダキー9やその周縁部を照明する。この際、LED5の光線は、遮光層11Aの区画作用により、ライトガイド層10のブロック体21部分に入射するのが規制され、操作キー8を照明することがない。
【0026】
上記製法によれば、ライトガイド層10用の立体的な厚いブロック集合体23に黒色の遮光層11・11Aを形成するので、結果的に薄いライトガイド層10の周面に黒色の遮光層11を確実に形成することができ、LED5の光線の漏洩防止を図ることができる。さらに、ライトガイド層10に黒色の遮光層11Aを確実に内蔵してライトガイド層10の照明領域を複数に分割区画することができるので、複数のキー7を異なる光線色で照明したり、部分的に照明することができる。
【0027】
なお、上記実施例では大小のブロック体21・22を組み合わせてブロック集合体23を形成したが、複数のLED5の光線色の数と複数のブロック体20との数とが対応するのであれば、複数のブロック体20の形や数を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 携帯電話(電子機器)
3 接点層
5 LED(光源)
6 操作層
7 キー(操作部)
8 操作キー
9 コマンダキー
10 ライトガイド層
11 遮光層
11A 遮光層
20 ブロック体
21 ブロック体
22 ブロック体
23 ブロック集合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の対向する接点層と操作層との間に介在され、光源からの光線を導光して操作層の複数の操作部を照明するライトガイド層の製造方法であって、
複数のブロック体を組み合わせて一体化することにより、ライトガイド層用のブロック集合体を形成する工程と、複数のブロック体の間に遮光層を形成する工程と、ブロック集合体の周面に遮光層を形成する工程と、ブロック集合体を薄く切断してライトガイド層を得る工程とを含んでなることを特徴とするライトガイド層の製造方法。
【請求項2】
光源を複数としてその光線色を異ならせ、この複数の光源の光線色の数と複数のブロック体との数とを対応させる請求項1記載のライトガイド層の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−187222(P2011−187222A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49260(P2010−49260)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】