説明

ライニング及びその施工方法

【課題】ライニングの耐摩耗性を向上させることができるライニングを提供する。
【解決手段】ライニング10は、第1のゴムシート12と、金属シート13と、を含む。第1のゴムシート12は、未加硫のゴムシートであれば良く、ゴムの材料は、クロロプレンが好ましい。また、金属シート13は、配水管11の材料よりも耐摩耗性や耐腐食性の高い金属の薄板であれば良く、金属シート13の厚さは、厚くしすぎると曲げにくくなり施工性の低下を招くことから、0.1mm〜1mm程度が好ましい。配水管11の内周面方向に沿って貼り付けた第1のゴムシート12と、第1のゴムシート12を覆うように貼り付けた金属シート13とを配水管11の内周面方向に接着させるために、第1のゴムシート12を加硫する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の内壁等に取り付けられるライニングの耐摩耗性を向上させることに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所等のプラントでは、冷却用の配水管の腐食を防止するために配水管内面全体をライニングで覆う場合がある。また、冷却用の配水管内には、配水管内を流れる海水の流量を調整するための弁が設けられているものがある。
【0003】
特許文献1には、耐光性や耐薬品性に優れているフッ素樹脂を容器や管の内面にライニングすることに関するものが記載されている。フッ素樹脂のように接合しにくい樹脂を他の樹脂に良好に接合することによって、両樹脂の有利な特性を有効に利用可能な且つ安価な樹脂の積層構造体を提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3767077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷却用の配水管内では、配水管内に配設された弁の下流側には、前記弁を通過した海水の影響により、配水管内に配設したライニングにエロージョンが発生する問題がある。特許文献1では、耐摩耗性のある積層構造物をライニングとして冷却用の配水管内に取り付けたとしても、ライニングにエロージョンが発生する恐れがある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ライニングの耐摩耗性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るライニングは、配水管内に一方の面を裏貼りされる第1のゴムシートと、前記第1のゴムシートの他方の面に貼り付けられた金属シートと、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るライニングは、金属シートを第1のゴムシートに接着させることで、配水管内に配設したライニングの金属シートが第1のゴムシートを防護して、第1のゴムシートに発生するエロ-ジョンを抑制することができる。このように、本発明は、ライニングの耐摩耗性を向上させることができる。そして、本発明に係るライニングを配水管内に設けることで、配水管内の耐摩耗性を飛躍的に向上する。また、金属シートを用いることで第1のゴムシートに海水が染み込むことを抑制できるため、第1のゴムシートの耐久性低下が抑制され、結果としてライニングを配水管内に長期的に配設することができる。
【0009】
本発明の好ましい態様としては、前記金属シートを覆う第2のゴムシートを有することが望ましい。
【0010】
上記構成により、本発明に係るライニングは、第2のゴムシートで前記金属シートを覆うことができるため前記金属シートの腐食を防止することができる。また、配水管内配設した第2のゴムシートにエロージョンが発生したとしても、金属シートがエロージョンの進行を抑制するので、第1のゴムシートに発生するエロージョンを抑制することができる。
【0011】
本発明の好ましい態様としては、前記金属シートは、ブラスト処理が施されたことが望ましい。
【0012】
上記構成により、本発明に係るライニングは、金属シートにブラスト処理を施すことで、金属シートとゴムシートとが接触する面積を大きくすることができる。そのため、金属シートとゴムシートとをより強固に接着することができる。
【0013】
本発明の好ましい態様としては、前記金属シートは、酸化処理が施されたことが望ましい。
【0014】
上記構成により、本発明に係るライニングは、金属シートの表面を酸化処理することで、ゴムシートに含まれる硫黄と金属シートの表面を覆う酸化膜の酸素とが化学結合するため、ゴムシートと金属シートとをより強固に接着することができる。
【0015】
本発明の好ましい態様としては、前記第1のゴムシートは、前記第2のゴムシートよりも前記配管の接着力が高いことが望ましい。
【0016】
上記構成により、第1のゴムシートを配水管に貼り付ける際に、第1のゴムシートと配水管との接着力を向上する。第1のゴムシートと配水管との接着力を向上することが可能であれば、第1のゴムシートが配水管から剥がれるような懸念も解消されて、配水管内にライニングを長期的な配設することも可能となる。
【0017】
本発明の好ましい態様としては、前記第2のゴムシートは、前記第1のゴムシートよりも耐摩耗性が高いことが望ましい。
【0018】
上記構成により、本発明に係るライニングは、配水管内に配設した第2のゴムシートにエロージョンが発生したとしても、第2のゴムシートでエロージョンを抑制することができる。更に、第2のゴムシートと第1のゴムシートとの間に、金属シートを接着しているため、エロージョンを第2のゴムシートと金属シートとで確実に抑制することが可能となるため、第1のゴムシートに発生するエロージョンを抑制することができる。
【0019】
本発明の好ましい態様としては、前記第1のゴムシートと前記金属シートとの間に接着剤層が介在されることが望ましい。
【0020】
上記構成により、本発明に係るライニングは、第1のゴムシートと金属シートとの接着力をより向上することができる。万が一、第1のゴムシートと金属シートとの加硫が十分なされていない場合でも、第1のゴムシートと金属シートとの間に接着剤層を設けているため、第1のゴムシートと金属シートとの接着力を十分に保つことができる。
【0021】
本発明の好ましい態様としては、前記第1のゴムシートと前記金属シートとの間及び前記第2のゴムシートと前記金属シートとの間に接着剤層が介在されることが望ましい。
【0022】
上記構成により、本発明に係るライニングは、第1のゴムシートと第2のゴムシートと金属シートとの接着力をより向上することができる。万が一、第1のゴムシートと第2のゴムシートと金属シートとの加硫が十分なされていない場合でも、第1のゴムシートと金属シートとの間に接着剤層を設けているため、第1のゴムシートと第2のゴムシートと金属シートとの接着力を十分に保つことができる。
【0023】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るライニング施工方法は、
前記配水管内に未加硫の第1のゴムシートの一方の面を裏貼りする手順と、前記未加硫の第1のゴムシートの他方の面に前記金属シートを貼り付ける手順と、前記配水管内に前記未加硫の第1のゴムシートと前記金属シートとが接着するように前記未加硫の第1のゴムシートを加硫する手順と、を備えることを特徴とする。
【0024】
上記構成により、本発明に係るライニング施工方法は、配水管内に施すことで配水管内の耐摩耗性を飛躍的に向上することができる。また、配水管内に配設した金属シートにエロージョンが発生したとしても、金属シートが第1のゴムシートを防護して、第1のゴムシートに発生するエロ-ジョンを抑制することができる。
【0025】
本発明の好ましい態様としては、前記未加硫の第1のゴムシートの他方の面に前記金属シートを貼り付ける手順の前に、前記未加硫の第1のゴムシートと前記金属シートとの間に接着剤を塗布する手順と、を備えることが望ましい。
【0026】
上記構成により、本発明に係るライニング施工方法は、第1のゴムシートと金属シートとの接着力をより向上することができる。万が一、第1のゴムシートと金属シートとの加硫が十分なされていない場合でも、第1のゴムシートと金属シートとの間に接着剤層を設けているため、第1のゴムシートと金属シートとの接着力を十分に保つことができる。
【0027】
本発明の好ましい態様としては、前記配水管内に未加硫の第1のゴムシートの一方の面を裏貼りする手順と、前記未加硫の第1のゴムシートの他方の面に前記金属シートを貼り付ける手順と、前記金属シートを覆うように前記未加硫の第2のゴムシートを貼り付ける手順と、前記配水管内に前記未加硫の第1のゴムシートと前記未加硫の第2のゴムシートと前記金属シートとが接着するように前記未加硫の第1のゴムシートと前記未加硫の第2のゴムシートとを加硫する手順と、を備えることが望ましい。
【0028】
上記構成により、本発明に係るライニング施工方法は、配水管内に施すことで配水管内の耐摩耗性を飛躍的に向上することができる。配水管内配設した第2のゴムシートにエロージョンが発生したとしても、金属シートでエロージョンの進行を抑制するので、第1のゴムシートに発生するエロージョンを抑制することができる。
【0029】
本発明の好ましい態様としては、前記未加硫の第1のゴムシートの他方の面に前記金属シートを貼り付ける手順の前に、前記未加硫の第1のゴムシートと前記金属シートとの間に接着剤を塗布する手順と、前記金属シートを覆うように前記未加硫の第2のゴムシートを貼り付ける手順の前に、前記未加硫の第2のゴムシートと前記金属シートとの間に接着剤を塗布する手順と、を備えることが望ましい。
【0030】
上記構成により、本発明に係るライニング施工方法は、第1のゴムシートと第2のゴムシートと金属シートとの接着力をより向上することができる。万が一、第1のゴムシートと第2のゴムシートと金属シートとの加硫が十分なされていない場合でも、第1のゴムシートと第2のゴムシートと金属シートとの間に接着剤層を設けているため、第1のゴムシートと第2のゴムシートと金属シートとの接着力を十分に保つことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、ライニングの耐摩耗性を向上させる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、実施形態1の配水管を配設する全体図を模式的に示す説明図である。
【図2】図2は、従来の配水管内の全体図を模式的に示す説明図である。
【図3】図3は、従来の配水管内の様子を模式的に示す説明図である。
【図4】図4は、実施形態1のライニングを模式的に示す説明図である。
【図5】図5は、実施形態1のライニングの断面図である。
【図6】図6は、実施形態1のライニング施工方法を示すフロー図である。
【図7】図7は、実施形態2のライニングを模式的に示す説明図である。
【図8】図8は、実施形態2のライニングの断面図である。
【図9】図9は、実施形態2のライニング施工方法を示すフロー図である。
【図10】図10は、実施形態2の配水管内の様子を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0034】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の配水管を配設する全体図を模式的に示す説明図である。以下に実施形態1の配水管を配設する箇所について説明する。配水管を配設する箇所は、高圧タービン1と、低圧タービン2と、湿分分離加熱器3と、復水器4と、循環水ポンプ5と、を含む。尚、配水管を配設する箇所は、実施形態1に限定されるものではない。
【0035】
高圧タービン1や低圧タービン2は、主に発電プラントで使用されるものである。蒸気発生器等で発生した蒸気熱エネルギーを回転エネルギーに変換するタービンである。また、発電機により回転エネルギーを電気エネルギーとして取り出される。
【0036】
湿分分離加熱器3は、高圧タービンと低圧タービンとの間に設けられるものである。高圧タービン1からの排気蒸気中の湿分を分離するとともに、排気蒸気を再加熱して高温蒸気として低圧蒸気タービン2に送るものである。
【0037】
復水器4は、高圧タービン1や低圧タービン2を回した蒸気を循環ポンプ5で取水された海水で冷やして水に戻すためのものである。また、通常、復水器4の冷却管は、高強度で耐食性の高いチタンを用いる。
【0038】
循環水ポンプ5は、高圧タービン1や低圧タービン2を回した蒸気を水に戻すために復水器4に冷却材として海水を送り込むものである。
【0039】
図2は、従来の配水管内の全体図を模式的に示す説明図であり、図3は、従来の配水管内の様子を模式的に示す説明図である。以下に、配水管7(母材)内に配設されるライニングについて説明を行う。配水管7は、例えば、海水を取水する取水口と循環水ポンプ5との間に配設されている。
【0040】
配水管7には、適宜、流れの方向に対する弁体の角度を変えて流量の調整を行うバタフライ弁30が配設されている。バタフライ弁30は、円筒形の弁箱31の中で円板状の弁体32が回転する構造である。
【0041】
配水官7に流入する海水は、バタフライ弁30により流量が調整されて循環水ポンプ5により取水される。その際に、配水管7内に配設されたバタフライ弁30により配水管7内を流れる海水の流れに乱れが生じてしまう。配水官7内では、海水の乱れによりエロージョンが発生し、ゴムシート6にエロージョン8が発生する恐れがある。
【0042】
エロージョン8は、キャビテーションに起因して発生する。初め、バタフライ弁30の弁体32と配水管7との隙間を海水が通過する際に、海水の流速が上昇し圧力が低下するので気泡が発生する。弁体32と配水管7との隙間を通過した海水は、速度が低下し圧力が上昇するため、その圧力により気泡がつぶされ、そのときに発生する衝撃力により、エロージョンが発生する。よって、エロージョン8は、バタフライ弁30と配水管7との隙間が狭いところに多く発生するおそれがある。例えば、エロージョン8は、配水管7とバタフライ弁30とを繋げるバタフライ弁30の回転軸付近である。
【0043】
図4は、実施形態1のライニングを模式的に示す説明図であり、図5は、実施形態1のライニングの断面図である。また、図6は、実施形態1のライニング施工方法を示すフロー図である。実施形態1のライニング10は、第1のゴムシート12と、金属シート13と、を含む構成である。
【0044】
実施形態1のライニングの施工方法について説明を行う。初めに、ステップS11において、配水管11の内周面方向に沿って第1のゴムシート12の一方の面12aを貼り付ける(裏貼りする)。第1のゴムシート12の一方の面12aは、例えば、配水管11の内周面全体を覆うように貼り付けて良く、エロージョン8が多く発生する恐れのあるバタフライ弁30の回転軸付近に部分的に貼り付けても良い。エロージョン8の発生具合に応じて、第1のゴムシート12を貼り付ける箇所を適宜選択して良い。
【0045】
第1のゴムシート12は、例えば、未加硫のゴムシートであれば良く、ゴムの材料は、クロロプレンが好ましい。なお、配水管11を通過する液体の種類や温度等の条件によって第1のゴムシート12の材料を選定すれば良く、上述したクロロプレンに限定されるものではない。
【0046】
第1のゴムシート12は、必要に応じて添加剤を混錬しても良い。添加剤は、例えば、充填剤、加工助剤、可塑剤、タッキファイヤー、加硫剤、加硫促進剤等である。また、第1のゴムシート12の厚さは、1mm〜5mm程度が好ましい。
【0047】
ステップS12において、配水管11の内周面方向に沿って第1のゴムシート12を貼り付けた後に、第1のゴムシート12の他方の面12bを覆うように金属シート13を貼り付ける。また、第1のゴムシート12と同様に、エロージョン8が多く発生する恐れのあるバタフライ弁30の回転軸付近に部分的に貼り付けても良い。
【0048】
金属シート13は、配水管7の材料よりも耐摩耗性や耐腐食性の高い金属の薄板であれば良い。例えば、ステンレス鋼、チタン合金、ニッケル基合金等である。また、金属シート13の厚さは、厚くしすぎると曲げにくくなり施工性の低下を招くことから、0.1mm〜1mm程度が好ましい。
【0049】
金属シート13は、金属シート13の表面を粗す処理を施しても良い。より具体的には、金属シート13の第1のゴムシート12と接触する箇所にブラスト処理を施して良い。金属シート13をブラスト処理することで、金属シート13と第1のゴムシート12とが接触する面積を広く保つことが可能となる。単位面積あたりの接着強度が同じであれば、接触面積の大きい方が接着力は大きくなるので、金属シート13と第1のゴムシート12との接着力をより向上させることができる。また、金属シート13の表面をサンドペーパー等で粗しても、同様の効果を得ることができる。
【0050】
ステップS13において、配水管11の内周面方向に沿って貼り付けた第1のゴムシート12と、第1のゴムシート12を覆うように貼り付けた金属シート13とを配水管11の内周面方向に接着させるために、第1のゴムシート12を加硫する。第1のゴムシート12を加硫することで、配水管11と第1のゴムシート12とが接着する。また、第1のゴムシート12と金属シート13とも接着するので、結果として、金属シート13は、第1のゴムシート12を介して配水管11に取り付けられる。
【0051】
金属シート13は、例えば、酸化処理を施していても良い。金属シートの表面を酸化することでゴムシートに含まれる硫黄と金属シートの表面を覆う酸化膜の酸素とで化学結合するため、ゴムシートと金属シートとの接着力がより向上する。また、金属シート13は、酸化処置のみでなく金属シート13の表面を粗す処理を施しても良い。
【0052】
例えば、第1のゴムシート12と金属シート13との間にエポキシ系接着剤などの接着剤を塗布しても良い。第1のゴムシート12と金属シート13とをより接着力が向上するため、配水官11の内周面方向に配設したライニングの強度を増すことができる。
【0053】
第1のゴムシート12の一方の面12aを配水管11の内面に取り付け、第1のゴムシートの他方の面12bを覆うように金属シート13を配水管11の内面に取り付けたことで、第1のゴムシート12のエロージョンを低減することができる。また、金属シート13を用いることで、第1のゴムシート12に海水が染み込むことも抑制できる。そのため、第1のゴムシート12の寿命を延ばすことが可能となり、エロージョンの低減により配水管11内に施したライニングを長く保て設備費用も低減することができる。
【0054】
(実施形態2)
図7は、実施形態2のライニングを模式的に示す説明図であり、図8は、実施形態2のライニングの断面図である。また、図9は、実施形態2のライニング施工方法を示すフロー図である。ライニング20は、第1のゴムシート22と、金属シート23と、第2のゴムシート24と、を含む構成である。尚、実施形態2での第1のゴムシート22と、金属シート23とは、実施形態1と同様であるため説明は省略する。
【0055】
実施形態2のライニングの施工方法について説明を行う。初めに、ステップS21において、配水管21の内周面方向に沿って第1のゴムシート22の一方の面22aを貼り付ける(裏貼りする)。第1のゴムシート22の一方の面22aは、例えば、配水管21の内周面全体を覆うように貼り付ける。また、第1のゴムシート22は、エロージョン28が多く発生する恐れのあるバタフライ弁30の回転軸付近に部分的に貼り付けても良い。エロージョン28の発生具合に応じて、第1のゴムシート22を貼り付ける箇所を適宜選択して良い。
【0056】
ステップS22において、配水管21の内周面方向に沿って第1のゴムシート22の一方の面22aを貼り付けた後に、第1のゴムシート22の他方の面22bを覆うように金属シート23を貼り付ける。また、金属シート23は、第1のゴムシート22と同様に、エロージョン28が多く発生する恐れのあるバタフライ弁30の回転軸付近に部分的に貼り付けられても良い。
【0057】
ステップS23において、金属シート23を覆うように第2のゴムシート24を貼り付ける。第2のゴムシート24は、第1のゴムシート22と金属シート23と同様に、例えば、配水管21内の内周面全体を覆うように貼り付けて良く、エロージョン28が多く発生する恐れのあるバタフライ弁30の回転軸付近に部分的に貼り付けても良い。エロージョン28の発生具合に応じて、第1のゴムシート22を貼り付ける箇所を適宜選択して良い。
【0058】
第2のゴムシート24は、第1のゴムシート22と同様に、例えば、未加硫のゴムシートであれば良く、ゴムの材料は、クロロプレンが好ましい。なお、配水管11を通過する液体の種類や温度等の条件によって第1のゴムシート12の材料を選定すれば良く、上述したクロロプレンに限定されるものではない。また、第2のゴムシート24は、第1のゴムシート22よりも耐摩耗性が高くても良い。このようにすることで、配水管内に配設した第2のゴムシートにエロージョンが発生した際に、第2のゴムシートでエロージョンを抑制することができる。
【0059】
第2のゴムシート24は、第1のゴムシート22と同様に、必要に応じて添加剤を混錬して添加しても良い。添加剤として、例えば、充填剤、加工助剤、可塑剤、タッキファイヤー、加硫剤、加硫促進剤である。また、第2のゴムシート24の厚さは、第1のゴムシート12と同様に1mm〜5mm程度が好ましい。
【0060】
金属シート23は、金属シート23の表面を粗す処理を施しても良い。より具体的には、金属シート23の第1のゴムシート22と第2のゴムシート24とが接触する箇所にブラスト処理を施して良い。金属シート23をブラスト処理することで、金属シート23と第1のゴムシート22と第2のゴムシート24とが接触する面積を広く保つことが可能となる。単位面積あたりの接着強度が同じであれば、接触面積の大きい方が接着力は大きくなるので、金属シート23と第1のゴムシート22と第2のゴムシート24との接着性をより向上することができる。また、金属シート23の表面をサンドペーパー等で粗しても同様の効果を得ることができる。
【0061】
ステップS24において、配水管21の内周面方向に沿って貼り付けた第1のゴムシート22と、金属シート23と、第2のゴムシート24とを配水管21の内周面方向に接着させるために、第1のゴムシート22と、第2のゴムシート24とを加硫する。第1のゴムシート22を加硫することで、配水管21と第1のゴムシート22とが接着する。また、第1のゴムシート22と金属シート23と第2のゴムシートも接着するので、結果として、金属シート23は、第1のゴムシート22を介して配水管21に取り付けられる。
【0062】
第1のゴムシート22は、例えば、第2のゴムシート24よりも配管21の接着力が高くても良い。例えば、第1のゴムシート22が接着性を有することで、第1のゴムシート22を配水管21に貼り付ける際に、第1のゴムシート22と配水管21との接着力が向上する。第1のゴムシート22と配水管21との接着力を向上することが可能であれば、第1のゴムシート22が配水管21から剥がれるような懸念も解消されて配水管21内に長期的な配設をすることも可能となる。
【0063】
金属シート23は、例えば、酸化処理を施していても良い。金属シート23の表面を酸化することで第1のゴムシート22や第2のゴムシート24に含まれる硫黄と金属シート23の表面を覆う酸化膜の酸素とが化学結合するため、第1のゴムシート22と第2のゴムシート24と金属シート23との接着性がより向上する。また、金属シート23は、酸化処置のみでなく金属シート23の表面を粗す処理を施しても良い。
【0064】
第1のゴムシート22と金属シート23と第2のゴムシート24との間にエポキシ性樹脂などの接着剤を塗布しても良い。第1のゴムシート22と金属シート23と第2のゴムシート24とをより接着性が向上するため、配水官21の内周面方向に配設したライニングの強度を増すことができる。
【0065】
図10は、実施形態2の配水管内の様子を模式的に示す説明図である。実施形態2のように、第1のゴムシート22と、金属シート23と、第2のゴムシート24とを配水管21の内面に取り付けたことで、配水管21内にエロージョン28が発生したとしても、金属シート23と、第2のゴムシート24と、エロージョン28を低減することができる。また、金属シート13を用いることで、第1のゴムシート22に海水が染み込むことも抑制することが可能となり、第1のゴムシート22の寿命を延ばすことができる。また、エロージョン28の低減により配水管11内に施したライニングを長く保て設備費用も低減することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 高圧タービン
2 低圧タービン
3 湿分分離加熱器
4 復水器
5 循環水ポンプ
6 ゴムシート
7 配水管
8 エロージョン
10 ライニング
11 配水管
12 第1のゴムシート
13 金属シート
20 ライニング
21 配水管
22 第1のゴムシート
23 金属シート
24 第2のゴムシート
28 エロージョン
30 バタフライ弁
31 弁箱
32 弁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配水管内に一方の面が裏貼りされる第1のゴムシートと、
前記第1のゴムシートの他方の面に貼り付けられた金属シートと、
を備えることを特徴とするライニング。
【請求項2】
前記金属シートを覆う第2のゴムシートを有することを特徴とする請求項1に記載のライニング。
【請求項3】
前記金属シートは、ブラスト処理が施されたことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のライニング。
【請求項4】
前記金属シートは、酸化処理が施されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のライニング。
【請求項5】
前記第1のゴムシートは、前記第2のゴムシートよりも前記配管の接着力が高いことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載のライニング。
【請求項6】
前記第2のゴムシートは、前記第1のゴムシートよりも耐摩耗性が高いことを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載のライニング。
【請求項7】
前記第1のゴムシートと前記金属シートとの間に接着剤層が介在されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のライニング。
【請求項8】
前記第1のゴムシートと前記金属シートとの間及び前記第2のゴムシートと前記金属シートとの間に接着剤層が介在されることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載のライニング。
【請求項9】
前記配水管内に未加硫の第1のゴムシートの一方の面を裏貼りする手順と、
前記未加硫の第1のゴムシートの他方の面に前記金属シートを貼り付ける手順と、
前記配水管内に前記未加硫の第1のゴムシートと前記金属シートとが接着するように前記未加硫の第1のゴムシートを加硫する手順と、
を備えることを特徴とするライニング施工方法。
【請求項10】
前記未加硫の第1のゴムシートの他方の面に前記金属シートを貼り付ける手順の前に、
前記未加硫の第1のゴムシートと前記金属シートとの間に接着剤を塗布する手順と、
を備えることを特徴とする請求項9に記載のライニング施工方法。
【請求項11】
前記配水管内に未加硫の第1のゴムシートの一方の面を裏貼りする手順と、
前記未加硫の第1のゴムシートの他方の面に前記金属シートを貼り付ける手順と、
前記金属シートを覆うように前記未加硫の第2のゴムシートを貼り付ける手順と、
前記配水管内に前記未加硫の第1のゴムシートと前記未加硫の第2のゴムシートと前記金属シートとが接着するように前記未加硫の第1のゴムシートと前記未加硫の第2のゴムシートとを加硫する手順と、
を備えることを特徴とするライニング施工方法。
【請求項12】
前記未加硫の第1のゴムシートの他方の面に前記金属シートを貼り付ける手順の前に、
前記未加硫の第1のゴムシートと前記金属シートとの間に接着剤を塗布する手順と、
前記金属シートを覆うように前記未加硫の第2のゴムシートを貼り付ける手順の前に、前記未加硫の第2のゴムシートと前記金属シートとの間に接着剤を塗布する手順と、
を備えることを特徴とする請求項11に記載のライニング施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−166353(P2012−166353A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26539(P2011−26539)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】