説明

ラジアルマウント型キャリパ

【課題】キャリパ組付け時における組付け状態の調整を可能とし、かつ確実な固定状態を保つことのできるラジアルマウント型キャリパを提供する。
【解決手段】キャリパ支持部32に設けられた取付孔40a,40bに締結ボルト60を挿通させて、車両に固定された取付台座20にキャリパ30を固定するディスクブレーキ装置用ラジアルマウント型キャリパであって、前記取付孔40a,40bはロータ10の軸方向に長軸を配置した長孔とし、前記長孔における長軸と交差する方向に位置する壁部を前記締結ボルト60から離間させる方向、前記壁部を前記締結ボルト60に引き付ける方向にシフトさせて、前記長孔中における前記締結ボルト60の配置位置を定める位置決め手段を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクブレーキ装置用のキャリパに係り、特に固定形態をラジアルマウント型とするキャリパに関する。
【背景技術】
【0002】
固定部材に対する取付部材の組付けを、2つ以上の締結ボルトを用いて行う場合、取付部材側に形成する貫通孔(取付孔)は締結ボルトの直径よりも大きな開口部を有する孔とし、固定部材側に設けたネジ孔とのピッチ誤差の吸収が図られることが一般的である。
【0003】
しかし、ラジアル型のディスクブレーキ装置におけるキャリパの組付けにおいては、この取付孔と締結ボルトとの間に生ずる隙間が、取付台座に対するキャリパの組付け誤差を生じさせる原因となってしまう。すなわち、図8に示すように、一方の締結ボルト2の締め込みにより、その締め付けトルクを受けたキャリパ1が、締結ボルト2の回転方向(矢印A)に倣って矢印Bで示す方向に回動するという現象が生ずるのである。
【0004】
このようなズレが生ずると、ブレーキパッドがロータに対して斜めに接触することとなり、ライニングに偏摩耗を生じさせるばかりでなく、制動性能も低下させる要因となる。
【0005】
このようなキャリパ組付け時におけるズレの解消や、ズレに起因するブレーキ性能の低下を解消するための技術が、特許文献1や特許文献2に開示されている。例えば、特許文献1に開示されている技術は、キャリパと取付台座の合わせ面に、ロータの軸と直交する面を備え、この面のガイドにより締結ボルト締め付け時におけるキャリパの回動を防止するというものである。また、特許文献2に開示されている技術は、キャリパに形成した2つの取付孔のうちの一方に、スリーブを配置し、締結ボルトと取付孔との間に隙間が生じないようにし、前記スリーブの長さを前記取付孔の深さよりも若干長く設定するという点を特徴とするものである。このような構成とすることにより、キャリパは前記一方の取付孔に配した締結ボルトを基点として回動可能な状態で固定されることとなる。このため、ブレーキパッドがロータを挟み込んだ際にはキャリパの自動調芯機能が働くこととなり、ブレーキパッドをロータに対して平行に接触させることが可能となる。
【特許文献1】特開2000−18291号公報
【特許文献2】特開平7−12149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献に開示されている技術は、理論的に解釈することによれば、確かに問題を解決することができると考えられる。しかし実状では、車体取付台座とロータとの間の距離や、キャリパ側の取付孔と取付台座のネジ孔とのズレには個体差があり、特許文献1のように一概に位置決めを行うガイドを設けた場合には、かえって不具合を生じさせることとなる虞がある。また、特許文献2に開示されたような構成でキャリパの組付けを行った場合には、車体に対する振動等を受け、キャリパがロータの半径方向にズレるといった虞がある。また、振動によりキャリパが回動した場合には、ブレーキパッドがロータ主面を殴打し、ロータが傷つくといった虞もある。
そこで本発明では、キャリパ組付け時における組付け状態の調整を可能とし、かつ確実な固定状態を保つことのできるラジアルマウント型キャリパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係るラジアルマウント型キャリパは、キャリパ支持部に設けられた取付孔に締結ボルトを挿通させて、車両に固定された取付台座にキャリパを固定するディスクブレーキ装置用ラジアルマウント型キャリパであって、前記取付孔はロータの軸方向に長軸を配置した長孔とし、前記長孔における長軸と交差する方向に位置する湾曲したあるいは平面の壁部を前記締結ボルトから離間させる方向、あるいは前記壁部を前記締結ボルトに引き付ける方向にシフトさせて、前記長孔内部における前記締結ボルトの配置位置を定める位置決め手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、上記のような特徴を有するラジアルマウント型キャリパでは、前記位置決め手段は、前記長孔の壁部に設けた貫通した雌ネジ孔と、前記長孔の外側から前記雌ネジ孔を貫くように螺合された位置決めボルトとにより構成し、前記位置決めボルトの締め込みにより、前記壁部を前記締結ボルトから離間させる方向にシフトさせることを特徴とするものであると良い。
【0009】
また、このような構成を有するラジアルマウント型キャリパでは、前記位置決めボルトをソケットボルトとすることが望ましい。
また、上記のような特徴を有するラジアルマウント型キャリパにおいて前記位置決め手段は、前記長孔の壁部に、前記長孔の形成方向に沿って設けたスリットと、環状の保持部と当該保持部の一側に固定されたボルト部とから成る保持ボルトと、前記保持ボルトにおける保持部を前記長孔に配置した状態で前記スリットより前記長孔外部に突出させた前記ボルト部に螺合させるナットとにより構成し、前記保持部に前記締結ボルトを挿通させて前記ナットを締め込むことにより、前記壁部を前記締結ボルトに引き付ける方向にシフトさせることを特徴とするものであっても良い。
【0010】
さらに、上記のような構成のラジアルマウント型キャリパでは、前記位置決めボルトと前記雌ネジ部との間、あるいは前記ボルト部と前記ナットとの間に、回り止めを成す樹脂を配置することが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
上記のような特徴を有するラジアルマウント型キャリパによれば、キャリパ組付け時における組付け状態の調整が可能となり、確実な固定状態を保つこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明のラジアルマウント型キャリパに係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明に係るラジアルマウント型キャリパの特徴的構成は、4輪車、2輪車等を問わず適応させることが可能であるが、以下の実施形態では2輪車、特に自転車用に設計されたキャリパを例に挙げて説明を行うこととする。速度領域の違い等により、自転車用のキャリパにおける支持部の取付孔加工精度は、自動車や自動2輪車のキャリパにおける取付孔の加工精度に比べて加工誤差の許容範囲が広く組付け時のズレ等が生じやすいためである。
【0013】
まず、図1を参照して本発明に係るキャリパを含むディスクブレーキ装置についての概要を説明する。なお、図1において図1(A)はディスクブレーキ装置の斜視構成を示す図であり、図1(B)はディスクブレーキ装置の平面構成を示す図である。
【0014】
ディスクブレーキ装置は、ロータ10、キャリパ取付台座(以下、単に取付台座と称す)20、及びキャリパ30を基本的な構成要素とする。前記ロータ10は図示しない回転軸、あるいは回転する車輪等に直接または間接的に組付けられ、組付け先の回転要素と共に回転する。
【0015】
また、前記取付台座20は、詳細を後述するキャリパ30を固定するための台座であり、図示しない車体フレーム、フロントフォーク等の車両の一部に組付け固定される。取付台座20には、キャリパ30を固定するための締結ボルト60を螺合するための2つ以上(図1に示す実施形態では2つ)のネジ孔22a,(22b)を有する(図3(A)参照)。そして本実施形態では、この2つのネジ孔22a,(22b)を結ぶ直線と、前記ロータ10の主面とが平行となるように、当該取付台座20を固定するようにしている。
【0016】
また、前記キャリパ30は、その本体が前記ロータ10を跨ぐような状態で、前記取付台座20に組付けられる。そしてキャリパ30は、内部に実装したブレーキパッド(不図示)により前記ロータ10の両主面(インナ側主面およびアウタ側主面)を狭持し、図示しない回転要素と共に回転する前記ロータ10の回転を妨げることにより制動力を発生させる作用を担う。
【0017】
本実施形態に係るキャリパ30は、液圧により駆動するオポーズド型のものであり、ロータ10を介して対向するように配置される2つのシリンダ部36a,36bと、この2つのシリンダ部36a,36bを繋ぐブリッジ部38a,38bとを有するキャリパ本体34と、当該キャリパ本体34を前記取付台座20に固定するための支持部32とを有する。
【0018】
前記シリンダ部36a,36bにはそれぞれ、駆動用の液(例えば作動油)が流入するためのシリンダ(不図示)と、シリンダに対する作動油の流入により、対向する側のシリンダ部36b,36aへ向けて突出するピストン(不図示)とが備えられている。前記ブリッジ部38a,38bは、前記ロータ10のインナ側とアウタ側にそれぞれ配置される2つのシリンダ部36a,36bを、前記ロータ10を跨ぐようにして繋ぐ締結部である。キャリパ本体34に対する作動油の流入ラインは1つであることより、ブリッジ部38a,38bのうちの少なくとも一方には2つのシリンダ部36a,36bにおける作動油流入経路(不図示)を繋ぐ経路(不図示)が形成されている。
【0019】
そして、キャリパ30におけるシリンダ部36a,36bとロータ10との間には、それぞれ図示しないブレーキパッドが配置されている。ブレーキパッドは、ロータ10に当接されて摩擦力を発生させるライニング部と、前記シリンダ部に備えられたピストンに押圧される金属板であるプレッシャプレートとから構成されている。そして、前記プレッシャプレートを前記ピストンが押圧することにより、前記ライニングが前記ロータ10の主面に押し付けられ、ロータ10とライニングとの間に摩擦力が発生する。ここで、ロータ10とライニングとの間に摩擦力が生ずると、ブレーキパッドにはロータ10に倣って回転しようとする力が作用する。このため、ロータ10と共に回転しようとするブレーキパッドをキャリパ30等に形成されたトルク受け部(不図示)により受け止めることで、制動力が発生することとなる。
【0020】
前記支持部32には、前記取付台座20に対してキャリパを固定する際に使用する締結ボルト60を貫通させるための2つの取付孔40a,40bが形成されている(図2参照)。2つの取付孔40a,40b間のピッチは、前記取付台座20に設けられたネジ孔22a,(22b)のピッチと同一、または近似させている。そして、取付孔40a,40bの開口径は、前記締結ボルト60におけるボルト部分62の直径よりも若干大きく形成されており、前記ネジ孔22a,(22b)との間のピッチ誤差を吸収可能な構成とされている。
【0021】
そして、取付台座20にキャリパ30の支持部32を載置し、取付孔40a,40bを挿通させた締結ボルト60をネジ孔22a,(22b)に螺号させ、当該締結ボルト60を締め込むことによりディスクブレーキ装置が形成される。
【0022】
次に、図2、図3を参照して本発明のラジアルマウント型キャリパにおける特徴部分について説明する。ここで、図2は取付状態にある支持部と締結ボルトとの関係を示す図である。また、図3はキャリパ支持部における取付孔と、取付台座におけるネジ孔との関係を示す部分拡大断面図(図3(A))と、図3(A)におけるA−A矢視(図3(B))とを示す図である。
【0023】
本実施形態では、キャリパ30の支持部32に設ける取付孔40a,40bを、図2に示すような長孔としている。詳細には、ロータ10における回転軸の配置方向(以下、軸方向と称す)に沿って長軸を配置した長孔である。取付孔40a,40bをこのような構造とすることにより、軸方向におけるキャリパ30の位置合わせが可能となるのである。そして、前記長孔には、長軸と交差する位置にある壁部に、支持部32の外壁に向けた貫通孔42a,42bが形成されている。貫通孔42a,42bには、ネジ溝が設けられており、支持部32の外壁側から取付孔40a,40bの中心に向けて配置する位置決めボルト44を螺合可能に形成されている。
【0024】
ここで、前記貫通孔42a,42bは、支持部32の一端部を手前に向けた時に、当該一端部に形成された取付孔40a,(40b)の右側に位置する壁部に設けるようにする。貫通孔42a,(42b)に螺合され、その先端部を締結ボルト60(詳細には締結ボルトのボルト部分62)に当接させた位置決めボルト44は、増し締めされることにより貫通孔42a,42b形成側壁部を締結ボルト60から離間させる方向にシフトさせるようにキャリパ30の支持部32を移動させる。そして、締結ボルト60の締め込みが成されたキャリパ30には、供回りにより、締め込み対象とした締結ボルト60を中心として時計回りにトルク(締結ボルト60が右ネジの場合)が発生する。このため、取付孔40a側に配置した締結ボルト60が締め込まれた場合には、取付孔40bの右側壁部は締結ボルト60に近づくように移動することとなる。よって、支持部32の一端部を手前に向けた時に取付孔40b(締め込み対象の締結ボルト60を取付孔40b側とした場合には取付孔40a)の右側に位置する壁部に位置決めボルト44を取り付けることにより、供回りにより生じたズレを補正することが可能となるのである。
【0025】
貫通孔42a,42bに螺合させる位置決めボルト44は、一般的な六角ボルトやキャップボルト等でも良いが、ソケットボルトとすることが望ましい。締め込み後のボルト頭部が邪魔にならないからである。また、位置決めボルト44のネジ部には、図4に示すように、樹脂コーティングを施すことが望ましい。締め込み後の位置決めボルト44が、車両の振動等を受けて脱落することを防止するためである。なお、脱落防止の観点からは、位置決めボルト44のネジ部に、ネジ止め剤等を塗布するようにしても良い。
【0026】
図2に示す実施形態では、位置決めボルト44は、取付孔の右側のみに設ける旨記載した。しかしながら、図5に示すように、取付孔40a,40bの長軸と交差する2つの壁部の双方(左右両方)に、ネジ溝を備えた貫通孔42a〜42dを形成し、双方の貫通孔42a〜42dに位置決めボルト44をそれぞれ設け、締結ボルト60を両サイドから締め付けて位置決めを行うようにしても良い。このような構成とすることにより、取付孔40a,40bの壁部と締結ボルト60とのシフト量の増減を図ることが容易となり、キャリパ30の位置決めを高い精度で行うことが可能となる。
【0027】
次に、図6、図7を参照して本発明のラジアルマウント型キャリパに係る第2の実施形態について説明する。
本実施形態に係るキャリパも、その基本的構成は第1の実施形態に示したキャリパと同じである。従って、その機能を同一とする箇所には図面に同一の符号を付してその詳細な説明は省略することとする。
【0028】
本実施形態に係るキャリパ30aと第1の実施形態に係るキャリパ30との相違点は、支持部32に設けた位置決め手段の構造であり、第1の実施形態に係る位置決め手段がボルトの押付け力を利用するものであったのに対し、本実施形態に係る位置決め手段は引張り力を利用する点で異なる。
【0029】
具体的には、本実施形態における支持部32には、長孔(図6に示す例は略矩形)状に形成された取付孔40a,40bが形成されている。また、端部を手前にした際の取付孔40a,40bの左側壁部には、スリット状の溝50a,50bが形成されている(図7参照)。そして、前記取付孔40a,40bには、保持ボルト52が配置される。保持ボルト52は、締結ボルト60を挿通保持するために環状に形成された保持部54と、前記保持部54の一側部に取り付けられたボルト部56とから構成されるアイボルトに類似する形態のボルトである。
【0030】
前記保持ボルト52は、保持部54を取付孔40a,40b内に配置すると共に、取付孔40a,40bの壁部に形成した溝50a,50bを介して前記ボルト部56を支持部32の外壁側へと突出させるように配置する。支持部32の外壁側へと突出させたボルト部56には、ナット58を螺号させる。このような構成とすることによれば、前記ナット58を締め込むことで、前記保持部54を溝50a,50bを形成した側の壁部に引き付けることが可能となる。
【0031】
ここで、取付孔40a側に配置した締結ボルト60を締め込んだ場合のキャリパ30は、締め込み対象とした締結ボルト60を中心として時計回りに回動することとなる。このため、支持部32の一端部を手前とした場合における取付孔40bの右側壁部は、締結ボルト60に近づくこととなる。
【0032】
上記のように配置した保持ボルト52における保持部54に、前記締結ボルト60のボルト部分62を挿通させておくことによれば、前記ナット58を締め込むことで締結ボルト60と取付孔40bの左側壁部とを引き付けることが可能となる。
【0033】
よって、位置決め手段を上記のような構成とした場合であっても、キャリパの組付け位置の調整が可能となる。なお、このような構成の位置決め手段を採用した場合であっても、保持ボルト52のボルト部56の一部に、樹脂コーティングを施し、ナット58の脱落防止を図るようにすることができる。
【0034】
上記実施形態では、キャリパ30,30aとしてオポーズド型のものを例に挙げて説明しているが、フローティング型のキャリパ等、他の形態のキャリパであっても、本発明における特徴的要素を適用することができる。
【0035】
また、上記実施形態では、2つの取付孔40a,40bの双方に位置決め手段を設ける旨記載した。しかしながら、締結ボルト60を本締めする際の順番を予め定めておく場合には、いずれか一方の取付孔のみに位置決め手段を設けるようにしても、同様な効果を得ることができる。締結ボルト60を本締めした後の一方の取付孔は、他方の取付孔に配置した締結ボルト60を本締めした場合であっても、そのトルクの影響を受けてズレることは少ないからである。よって、取付孔を2つとした場合には、2番目に本締めを行う側の取付孔に、位置決め手段を備えるようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1の実施形態に係るラジアルマウント型キャリパを備えたディスクブレーキ装置を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係るラジアルマウント型キャリパを示す図である。
【図3】第1の実施形態に係るラジアルマウント型キャリパにおける特徴部分を示す図である。
【図4】樹脂コーティングを施した位置決めボルトの例を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係るラジアルマウント型キャリパに関連する形態を示す図である。
【図6】第2の実施形態に係るラジアルマウント型キャリパを示す図である。
【図7】第2の実施形態に係るラジアルマウント型キャリパにおける特徴部分を示す図である。
【図8】従来のラジアルマウント型キャリパの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
10………ロータ、20………取付台座、22………ネジ孔、30………キャリパ、32………支持部、34………キャリパ本体、36a,36b………シリンダ部、38a,38b………ブリッジ部、40a,40b………取付孔、42a〜42d………貫通孔、44………位置決めボルト、60………締結ボルト、62………ボルト部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリパ支持部に設けられた取付孔に締結ボルトを挿通させて、車両に固定された取付台座にキャリパを固定するディスクブレーキ装置用ラジアルマウント型キャリパであって、
前記取付孔はロータの軸方向に長軸を配置した長孔とし、
前記長孔における長軸と交差する方向に位置する湾曲したあるいは平面の壁部を前記締結ボルトから離間させる方向、あるいは前記壁部を前記締結ボルトに引き付ける方向にシフトさせて、前記長孔内部における前記締結ボルトの配置位置を定める位置決め手段を備えたことを特徴とするラジアルマウント型キャリパ。
【請求項2】
前記位置決め手段は、前記長孔の壁部に設けた貫通した雌ネジ孔と、
前記長孔の外側から前記雌ネジ孔を貫くように螺合された位置決めボルトとにより構成し、
前記位置決めボルトの締め込みにより、前記壁部を前記締結ボルトから離間させる方向にシフトさせることを特徴とする請求項1に記載のラジアルマウント型キャリパ。
【請求項3】
前記位置決めボルトをソケットボルトとしたことを特徴とする請求項2に記載のラジアルマウント型キャリパ。
【請求項4】
前記位置決め手段は、前記長孔の壁部に、前記長孔の形成方向に沿って設けたスリットと、
環状の保持部と当該保持部の一側に固定されたボルト部とより成る保持ボルトと、
前記保持ボルトにおける保持部を前記長孔に配置した状態で前記スリットより前記長孔外部に突出させた前記ボルト部に螺合させるナットとにより構成し、
前記保持部に前記締結ボルトを挿通させて前記ナットを締め込むことにより、前記壁部を前記締結ボルトに引き付ける方向にシフトさせることを特徴とする請求項1に記載のラジアルマウント型キャリパ。
【請求項5】
前記位置決めボルトと前記雌ネジ部との間、あるいは前記ボルト部と前記ナットとの間に、回り止めを成す樹脂を配置したことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1に記載のラジアルマウント型キャリパ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−232381(P2008−232381A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76306(P2007−76306)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】