説明

ラジアントチューブバーナ

【課題】ガスバーナの取付部の周辺を金属等を用いて構成できると共に、ガスバーナを小型化でき、かつNOx発生量を低減できるラジアントチューブバーナを提供すること。
【解決手段】ラジアントチューブバーナ1は、ラジアントチューブ2及び一対のガスバーナ3を有し、ガスバーナ3は、バーナボディ4、燃焼筒5及びバーナガン6を有している。ラジアントチューブ2と燃焼筒5との間には、外側通路51が形成してあり、燃焼筒5とバーナガン6との間には、内側通路52が形成してある。ガスバーナ3は、バーナガン6から噴出させた燃料ガスFにより、バーナボディ4内における第2蓄熱体72に接触した後、内側通路52内における第1蓄熱体71に接触したメイン空気A1を用いて、1段目の燃焼を行うと共に、バーナボディ4内における第2蓄熱体72に接触した後、外側通路51内を通過したサブ空気A2を用いて、2段目の燃焼を行うよう構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のガスバーナにおいて交互に燃焼を行い、ラジアントチューブからの輻射熱によって熱処理炉内を加熱するよう構成したラジアントチューブバーナに関する。
【背景技術】
【0002】
一対のガスバーナにおいて交互に燃焼を行うラジアントチューブバーナにおいては、燃焼を行った燃焼ガスが熱処理炉内の雰囲気ガスと直接接触することを防止するために、ラジアントチューブ内において燃焼を行うものがある。このラジアントチューブバーナにおいては、燃焼後の排気ガスの排熱を利用するために、ガスバーナにおける通路内に蓄熱体を配置している。そして、排気ガスの排熱を蓄熱体に回収し、この蓄熱体に燃料ガスと燃焼させるための空気を接触させ、加温された空気を燃焼に利用している。
【0003】
このようなラジアントチューブバーナとしては、例えば、特許文献1に開示された蓄熱式ラジアントチューブ燃焼装置がある。
この蓄熱式ラジアントチューブ燃焼装置においては、燃焼炉内にW字状のラジアントチューブを配設し、炉壁に固定したラジアントチューブの両端部にバーナを配設している。このバーナにおいては、燃料供給部及び蓄熱体を収容する給排路を配設してなる蓄熱体用ケース(外筒)を炉壁の外面に配設し、給排路に、燃料供給部から噴出させたガス燃料を燃焼させて火炎を形成する燃焼筒を連結させている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1においては、蓄熱体は、炉壁の外部に配置してあるのみである。これにより、ラジアントチューブ内を通過した高温の排気ガスは、炉壁に対するバーナの取付部の周辺に直接接触した後、蓄熱体によって排熱が回収される。そのため、バーナの取付部の周辺の温度が高温になり、この部分に使用する部材の材質に制約が生じる。
また、上記特許文献1においては、蓄熱体による蓄熱容量を増大させるためには、上記炉壁の外面に配設した蓄熱体用ケースの容量を増大させる必要があり、装置のサイズが大きくなってしまう。
【0005】
【特許文献1】特開2003−279002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、ガスバーナの取付部の周辺を金属等を用いて構成することができると共に、ガスバーナのサイズを増大させることなく、蓄熱体による蓄熱容量を増大させることができ、かつ燃焼によって生ずるNOxの量を低減させることができるラジアントチューブバーナを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、熱処理炉内に配設するラジアントチューブと、該ラジアントチューブの両端部に配設し、該ラジアントチューブ内に交互に燃焼火炎を形成する一対のガスバーナとを備え、上記ラジアントチューブからの輻射熱によって上記熱処理炉内を加熱するよう構成したラジアントチューブバーナにおいて、
上記ガスバーナは、上記熱処理炉の炉壁外面に配設するバーナボディと、該バーナボディの炉壁内面側の開口部から上記ラジアントチューブ内に挿入配置した燃焼筒と、上記バーナボディから上記燃焼筒内に挿入配置したバーナガンとを有しており、
上記ラジアントチューブと上記燃焼筒との間には、上記バーナボディ内に連通する外側通路が形成してあり、上記燃焼筒と上記バーナガンとの間には、上記バーナボディ内に連通する内側通路が形成してあり、
上記内側通路内には、排熱を回収する第1蓄熱体が配置してあり、上記バーナボディ内には、排熱を回収する第2蓄熱体が配置してあり、
上記バーナガンから噴出させた燃料ガスにより、上記バーナボディ内における上記第2蓄熱体に接触した後上記内側通路内における上記第1蓄熱体に接触したメイン空気を用いて、1段目の燃焼を行うと共に、上記バーナボディ内における上記第2蓄熱体に接触した後上記外側通路内を通過したサブ空気を用いて、2段目の燃焼を行うよう構成してあることを特徴とするラジアントチューブバーナにある(請求項1)。
【0008】
本発明のラジアントチューブバーナにおいては、熱処理炉の炉壁外面に配設するバーナボディ内の通路を、ラジアントチューブと燃焼筒との間に形成した外側通路と、燃焼筒とバーナガンとの間に形成した内側通路とに連通させている。そして、内側通路内に第1蓄熱体を配置し、バーナボディ内に第2蓄熱体を配置している。
【0009】
そして、一方のガスバーナによって燃焼を行い、ラジアントチューブ内を通過した後の排気ガスの排熱は、他方のガスバーナにおける第1蓄熱体及び第2蓄熱体によって回収される。このとき、排気ガスが内側通路内における第1蓄熱体に接触することにより、1段目の排熱回収が行われ、この排気ガスの温度が低下する。また、このとき、外側通路を通過する排気ガスは、ラジアントチューブ及び燃焼筒と接触することにより抜熱され、温度が低下する。これにより、炉壁の外面へのガスバーナの取付部の周辺においては、温度が低下した状態の排気ガスを通過させることができる。そのため、ガスバーナの取付部の周辺の構造物は、セラミックス等の耐火物を用いて構成する必要がなく、金属を用いて構成することができる。
【0010】
また、1段目の排熱回収が行われた後の排気ガスがバーナボディ内における第2蓄熱体に接触することにより、2段目の排熱回収が行われ、この排気ガスの温度がさらに低下する。これにより、排気ガスの排熱回収を十分に行うことができる。
また、本発明においては、燃焼筒とバーナガンとの間の内側通路を利用して、第1蓄熱体を配置していることにより、ガスバーナのサイズを増大させることなく、蓄熱体による蓄熱容量を増大させることができる。
【0011】
また、排熱回収を行った側のガスバーナにおいて燃焼を行う際には、バーナボディ内における第2蓄熱体に接触した後、内側通路内における第1蓄熱体に接触したメイン空気と、バーナガンから噴出させた燃料ガスと燃焼させて、1段目の燃焼を行う。これにより、燃焼筒内からラジアントチューブ内に向けて、1段目の燃料リッチな不完全な燃焼による火炎が形成される。
【0012】
そして、バーナボディ内における第2蓄熱体に接触した後、外側通路内を通過したサブ空気が上記火炎に供給されることにより、2段目の燃焼が行われる。これにより、ラジアントチューブ内において、1段目の燃焼における未燃分が完全に燃焼することができる。
このように、2段階の燃焼を行って、急激な燃焼を抑えることにより、NOxの発生量を低減させることができる。
【0013】
それ故、本発明のラジアントチューブバーナによれば、ガスバーナの取付部の周辺を金属等を用いて構成することができると共に、ガスバーナのサイズを増大させることなく、蓄熱体による蓄熱容量を増大させることができ、かつ燃焼によって生ずるNOxの量を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記バーナガンは、冷却用空気を通過させて噴出させる冷却空気管内に、上記燃料ガスを通過させて噴出させる燃料管を挿入配置してなり、該燃料管から噴出させた上記燃料ガスの一部と、上記冷却空気管から噴出させた上記冷却用空気とを燃焼させて保炎を行うよう構成することが好ましい(請求項2)。
【0015】
この場合には、冷却用空気によって燃焼管の先端部におけるガスノズルが高温になることを抑制することができ、ガスノズルを熱から保護することができる。
また、冷却用空気を用いて燃料ガスの一部を燃焼させることにより、ガスノズル部における保炎を安定して行うことができる。これにより、ガスバーナにおける燃焼を一層安定させることができる。
【0016】
また、上記燃焼筒は、上記バーナガンとの間に上記内側通路を形成する第1燃焼筒部と、該第1燃焼筒部の先端部に連結した第2燃焼筒部とからなり、上記第1燃焼筒部は、金属から構成し、上記第2燃焼筒部は、セラミックスから構成することができる(請求項3)。
この場合には、第1燃焼筒部を金属から構成したことにより、燃焼筒の端部に、径方向外方へ突出するフランジ部を形成したり、加工を行ったりすることが容易になる。また、第2燃焼筒部をセラミックスから構成することにより、燃焼筒において、より高温の排気ガス又は燃焼火炎と接触する先端側の部分の耐熱性を向上させることができる。
【実施例】
【0017】
以下に、本発明のラジアントチューブバーナにかかる実施例につき、図面と共に説明する。
本例のラジアントチューブバーナ1は、図1に示すごとく、熱処理炉8内に配設するラジアントチューブ2と、ラジアントチューブ2の両端部に配設し、ラジアントチューブ2内に交互に燃焼火炎を形成する一対のガスバーナ3とを備え、ラジアントチューブ2からの輻射熱によって熱処理炉8内を加熱するよう構成してある。
【0018】
同図に示すごとく、上記ガスバーナ3は、熱処理炉8の炉壁外面801に配設するバーナボディ4と、バーナボディ4の炉壁内面802側の開口部401からラジアントチューブ2内に挿入配置した燃焼筒5と、バーナボディ4から燃焼筒5内に挿入配置したバーナガン6とを有している。また、ラジアントチューブ2と燃焼筒5との間には、バーナボディ4内に連通する外側通路51が形成してあり、燃焼筒5とバーナガン6との間には、バーナボディ4内に連通する内側通路52が形成してある。
【0019】
また、内側通路52内には、排熱を回収する第1蓄熱体71が配置してあり、バーナボディ4のボディ通路41内には、排熱を回収する第2蓄熱体72が配置してある。本例のガスバーナ3は、バーナガン6から噴出させた燃料ガスFにより、バーナボディ4内における第2蓄熱体72に接触した後、内側通路52内における第1蓄熱体71に接触したメイン空気A1を用いて、1段目の燃焼を行うと共に、バーナボディ4内における第2蓄熱体72に接触した後、外側通路51内を通過したサブ空気A2を用いて、2段目の燃焼を行うよう構成してある。
【0020】
以下に、本例のラジアントチューブバーナ1につき、図1〜図4と共に詳説する。
本例において、先端部とは、熱処理炉8の炉壁内面802側の端部をいい、後端部とは、熱処理炉8の炉壁外面801側の端部をいう。また、先端側とは、炉壁内面802側をいい、後端側とは、炉壁外面801側をいう。
また、本例においては、一対のガスバーナ3のうち一方のガスバーナ3について図示するが、他方のガスバーナ3についても同様の構造を有する。
【0021】
図1に示すごとく、本例のラジアントチューブ2は、耐熱性に優れた耐熱鋳鋼からなる。ラジアントチューブ2の両端部には、このラジアントチューブ2の端部を炉壁外面801に固定するためのラジアントチューブフランジ21が形成してある。
本例のバーナボディ4は、燃焼筒5の断面外形よりも大きな断面外形を有している。バーナボディ4は、バーナガン6を挿通配置するための挿通穴411を有しており、この挿通穴411の周りに、空気(フレッシュエア)を通過させる環状のボディ通路41を形成してなる。また、バーナボディ4には、ボディ通路41内へ空気を流入させるための空気流入口412が形成してある。
【0022】
また、同図に示すごとく、炉壁外面801に対向するバーナボディ4の端部には、ラジアントチューブフランジ21に対面させて、炉壁外面801に取り付けるためのボディ取付フランジ42が形成してある。また、バーナボディ4は、ラジアントチューブフランジ21との間にパッキン422を挟持して、炉壁外面801に固定される。
【0023】
また、図1、図2に示すごとく、バーナボディ4のボディ取付フランジ42には、ラジアントチューブ2の外径よりも大きな内径のフランジ穴421が形成してある。また、バーナボディ4における挿通穴411の周囲を構成する筒状壁部410の炉壁外面801に対向する端部には、径方向外方に突出する仕切り板43が形成してあり、この仕切り板43には、バーナボディ4内のボディ通路41と、燃焼筒5内の内側通路52とを連通させる連通口431が形成してある。この連通口431は、仕切り板43の周方向における複数箇所に形成してある。
【0024】
図1〜図3に示すごとく、本例の燃焼筒5の炉壁外面801側の端部の外周には、この燃焼筒5の外周との間に空気通過用隙間54を形成して、リング形状の燃焼筒支持フランジ53が配置される。
燃焼筒支持フランジ53には、燃焼筒5の外径よりも大きな内径の隙間形成用穴531が形成してある。また、燃焼筒支持フランジ53の周方向における複数箇所(本例では周方向の4箇所)には、径方向に向けて当該燃焼筒支持フランジ53を貫通するピン配置用穴532が形成してある。
【0025】
そして、同図に示すごとく、燃焼筒5は、燃焼筒支持フランジ53のピン配置用穴532内に挿入したピン533によって、隙間形成用穴531との間に、空気通過用隙間54を形成して、燃焼筒支持フランジ53に固定してある。また、燃焼筒支持フランジ53の外周は、円形状に形成してあり、燃焼筒支持フランジ53は、ボディ取付フランジ42に形成したフランジ穴421内に挿入配置される。これにより、燃焼筒5は、燃焼筒支持フランジ53を介してバーナボディ4に支持させることができる。
【0026】
このように、燃焼筒支持フランジ53を用いて、燃焼筒5を支持することにより、燃焼筒5に複雑な加工を行う必要がなくなり、燃焼筒5の全体を、金属等よりも耐熱性に優れたセラミックスから構成することも容易である。
また、図2に示すごとく、空気通過用隙間54は、ラジアントチューブ2と燃焼筒5との間の外側通路51と、バーナボディ4内のボディ通路41とを連通させている。
【0027】
図1、図2に示すごとく、本例のバーナガン6の一部(先端側部分)は、燃焼筒5における炉壁外面801側の後端側部分まで挿入配置してある。そして、本例の第1蓄熱体71は、燃焼筒5の後端側部分とバーナガン6の先端側部分との間のスペースを埋めるようにして配置してある。第1蓄熱体71は、上記仕切り板43と、燃焼筒5の内周に突出形成した抜け防止突起55との間に保持される。また、抜け防止突起55は、燃焼筒5に形成した穴に溶接し、抜け防止突起55と第1蓄熱体71との間には、リング状の支持具551を配置した。
【0028】
また、本例の第1蓄熱体71は、燃焼筒5の内周とバーナガン6の外周との間の形状に沿った円筒形状を有している。また、本例の第1蓄熱体71としては、多数の孔を有する多孔質体からなるセラミックスフォームを用いた。なお、第1蓄熱体71としては、格子状の多数のセルを形成してなるセラミックスハニカムを用いることもできる。また、第1蓄熱体71としては、単位体積当たりの表面積が大きくかつ圧力損失が低いものを使用することが好ましい。
【0029】
図1に示すごとく、本例の第2蓄熱体72は、玉状のセラミックスであるセラミックスボールを多数配置して構成してある。この第2蓄熱体72は、バーナボディ4のボディ通路41内のスペースを埋めるように配置してある。なお、第2蓄熱体72としては、セラミックスフォーム又はセラミックスハニカムを用いることもできる。また、第2蓄熱体72は、これに接触する排気ガスの温度がそれほど高くないため、金属製のものを使用することもできる。
【0030】
図4に示すごとく、本例のバーナガン6は、冷却用空気A3を通過させて噴出させる冷却空気管61内に、燃料ガスFを通過させて噴出させる燃料管62を挿入配置してなる。本例のガスバーナ3は、燃料管62から噴出させた燃料ガスFの一部と、冷却空気管61から噴出させた冷却用空気A3とを燃焼させて保炎を行うよう構成してある。また、冷却空気管61内には、燃焼の着火を行うためのスパークロッド65が挿入配置してある。
また、燃料管62の先端部には、ガスノズル63が形成してあり、このガスノズル63には、燃料ガスFを燃焼筒5内へ噴出させるための燃料噴出孔631が形成してある。
【0031】
本例のラジアントチューブバーナ1においては、熱処理炉8の炉壁外面801に配設するバーナボディ4内のボディ通路41を、ラジアントチューブ2と燃焼筒5との間に形成した外側通路51と、燃焼筒5とバーナガン6との間に形成した内側通路52とに連通させている。そして、内側通路52内に第1蓄熱体71を配置し、ボディ通路41内に第2蓄熱体72を配置している。
【0032】
そして、一方のガスバーナ3によって燃焼を行い、ラジアントチューブ2内を通過した後の排気ガスの排熱は、他方のガスバーナ3における第1蓄熱体71及び第2蓄熱体72によって回収される。このとき、排気ガスが内側通路52内における第1蓄熱体71に接触することにより、1段目の排熱回収が行われ、この排気ガスの温度が低下する。これにより、炉壁外面801へのガスバーナ3の取付部31(ラジアントチューブフランジ21、燃焼筒5の後方端部、燃焼筒支持フランジ53、仕切り板43等の部位)の周辺においては、温度が低下した状態の排気ガスを通過させることができる。そのため、ガスバーナ3の取付部31の周辺の構造物は、セラミックス等の耐火物を用いて構成する必要がなく、金属を用いて構成することができる。
【0033】
また、1段目の排熱回収が行われた後の排気ガスがバーナボディ4内における第2蓄熱体72に接触することにより、2段目の排熱回収が行われ、この排気ガスの温度がさらに低下する。これにより、排気ガスの排熱回収を十分に行うことができる。
また、本例においては、燃焼筒5とバーナガン6との間の内側通路52を利用して、第1蓄熱体71を配置していることにより、ガスバーナ3のサイズを増大させることなく、蓄熱容量を増大させることができる。
【0034】
また、排熱回収を行った側のガスバーナ3において燃焼を行う際には、ガスノズル63における燃料噴出孔631から噴出された燃料ガスFと、冷却空気管61内を通過して噴出される冷却用空気A3とを燃焼させて、保炎用の火炎を形成する。このとき、冷却用空気A3によってガスノズル63と冷却空気管61の先端とが高温になることを抑制することができ、これらを熱から保護することができる。
【0035】
また、空気流入口412からバーナボディ4のボディ通路41内に流入した空気は、第2蓄熱体72に接触して加温される。そして、この加温された空気の一部は、上記仕切り板43に形成した複数の連通口431内を通過して、内側通路52における第1蓄熱体71に接触してさらに加温されてメイン空気A1となる。
そして、このメイン空気A1は、ガスノズル63における燃料噴出孔631から噴出された燃料ガスFと混合され、この混合気が上記保炎用の火炎によって着火されて、1段目の燃焼が行われる。これにより、燃焼筒5内からラジアントチューブ2内に向けて、1段目の燃料リッチな不完全な燃焼による火炎が形成される。
【0036】
また、上記第2蓄熱体72に接触して加温された空気の残部は、上記燃焼筒5と燃焼筒支持フランジ51との間に形成した空気通過用隙間54を通過した後、外側通路51内を通過して、サブ空気A2となる。そして、このサブ空気A2が上記火炎に供給されることにより、2段目の燃焼が行われる。これにより、ラジアントチューブ2内において、1段目の燃焼における未燃分が完全に燃焼することができる。
このように、2段階の燃焼を行って、急激な燃焼を抑えることにより、NOxの発生量を低減させることができる。
【0037】
それ故、本例のラジアントチューブバーナ1によれば、ガスバーナ3の取付部31の周辺を金属等を用いて構成することができると共に、ガスバーナ3のサイズを増大させることなく、蓄熱体71、72による蓄熱容量を増大させることができ、かつ燃焼によって生ずるNOxの量を低減させることができる。
【0038】
なお、本例においては、1段目の燃焼に用いるメイン空気A1の温度に比べて、2段目の燃焼に用いるサブ空気A2の温度は、同等もしくはより高温に加熱されていると考える。より具体的には、2段目の燃焼に用いるサブ空気A2は、外側通路51内を通過する際に燃焼筒5とラジアントチューブ2とによって加熱されることにより、熱処理炉8内の温度よりも30〜50℃高い温度に加熱され、1段目の燃焼に用いるメイン空気A1の温度よりも60〜80℃高い温度になっていると考える。
【0039】
(実施例2)
本例は、図5に示すごとく、上記バーナガン6との間に上記内側通路52を形成する第1燃焼筒部56と、この第1燃焼筒部56の先端部に連結した第2燃焼筒部57とから上記燃焼筒5を構成した例である。そして、第1燃焼筒部56とバーナガン6との間には、上記第1蓄熱体71を配置している。また、第1燃焼筒部56は、金属から構成してあり、第2燃焼筒部57は、セラミックスから構成してある。
【0040】
また、第2燃焼筒部57の後端部には、径方向外方に突出したフランジ部571が形成してある。そして、第2燃焼筒部57は、このフランジ部571を第1燃焼筒部56の先端開口部561内に挿入して、ピン(ビス等)572によって抜け防止を行った状態で、第1燃焼筒部56に連結してある。また、第1蓄熱体71は、第2燃焼筒部57のフランジ部571によって抜け防止がなされている。
【0041】
本例においては、第1燃焼筒部56を金属から構成したことにより、燃焼筒5の後端部に、径方向外方へ突出するフランジ部を形成したり、加工を行ったりすることが容易になる。また、第2燃焼筒部57をセラミックスから構成することにより、燃焼筒5において、より高温の排気ガス又は燃焼火炎と接触する先端側部分の耐熱性を向上させることができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例における、ラジアントチューブバーナのガスバーナの周辺を示す断面説明図。
【図2】実施例における、ガスバーナの取付部の周辺を示す断面説明図。
【図3】実施例における、ガスバーナの取付部の周辺を軸方向から見た状態で示す断面説明図。
【図4】実施例における、バーナガンのガスノズルの周辺を示す断面説明図。
【図5】実施例における、ガスバーナの周辺を示す断面説明図。
【符号の説明】
【0043】
1 ラジアントチューブバーナ
2 ラジアントチューブ
3 ガスバーナ
31 取付部
4 バーナボディ
401 開口部
41 ボディ通路
42 ボディ取付フランジ
5 燃焼筒
51 外側通路
52 内側通路
56 第1燃焼筒部
57 第2燃焼筒部
6 バーナガン
61 冷却空気管
62 燃料管
63 ガスノズル
71 第1蓄熱体
72 第2蓄熱体
8 熱処理炉
801 炉壁外面
802 炉壁内面
F 燃料ガス
A1 メイン空気
A2 サブ空気
A3 冷却用空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理炉内に配設するラジアントチューブと、該ラジアントチューブの両端部に配設し、該ラジアントチューブ内に交互に燃焼火炎を形成する一対のガスバーナとを備え、上記ラジアントチューブからの輻射熱によって上記熱処理炉内を加熱するよう構成したラジアントチューブバーナにおいて、
上記ガスバーナは、上記熱処理炉の炉壁外面に配設するバーナボディと、該バーナボディの炉壁内面側の開口部から上記ラジアントチューブ内に挿入配置した燃焼筒と、上記バーナボディから上記燃焼筒内に挿入配置したバーナガンとを有しており、
上記ラジアントチューブと上記燃焼筒との間には、上記バーナボディ内に連通する外側通路が形成してあり、上記燃焼筒と上記バーナガンとの間には、上記バーナボディ内に連通する内側通路が形成してあり、
上記内側通路内には、排熱を回収する第1蓄熱体が配置してあり、上記バーナボディ内には、排熱を回収する第2蓄熱体が配置してあり、
上記バーナガンから噴出させた燃料ガスにより、上記バーナボディ内における上記第2蓄熱体に接触した後上記内側通路内における上記第1蓄熱体に接触したメイン空気を用いて、1段目の燃焼を行うと共に、上記バーナボディ内における上記第2蓄熱体に接触した後上記外側通路内を通過したサブ空気を用いて、2段目の燃焼を行うよう構成してあることを特徴とするラジアントチューブバーナ。
【請求項2】
請求項1において、上記バーナガンは、冷却用空気を通過させて噴出させる冷却空気管内に、上記燃料ガスを通過させて噴出させる燃料管を挿入配置してなり、
該燃料管から噴出させた上記燃料ガスの一部と、上記冷却空気管から噴出させた上記冷却用空気とを燃焼させて保炎を行うよう構成してあることを特徴とするラジアントチューブバーナ。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記燃焼筒は、上記バーナガンとの間に上記内側通路を形成する第1燃焼筒部と、該第1燃焼筒部の先端部に連結した第2燃焼筒部とからなり、
上記第1燃焼筒部は、金属からなり、上記第2燃焼筒部は、セラミックスからなることを特徴とするラジアントチューブバーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−14581(P2008−14581A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−186901(P2006−186901)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【出願人】(000140362)株式会社横井機械工作所 (9)
【Fターム(参考)】