説明

ラスタ画像のスケーリング方法およびスケーリング回路

【課題】高解像度のデジタル化画像を低解像度の画面に、できるだけ大きな表示サイズで歪みなしに表示することができ、それでもなおできるだけ多くの画像デテールが可視であるような方法を提供する。
【解決手段】入力画像の選択される画素またはサブピクセルが、入力画像中の領域を定める支持点として使用される。領域の各々に対して、画素またはサブピクセルが出力画像中において割り当てられ、該出力画像中における画素またはサブピクセルは、入力画像の対応する領域に配置された画素またはサブピクセルから計算または選択される。出力画像の連続する2つの列または行の画素は、入力画像の対応する列または行の領域における画素から選択または計算され、該領域と該画素とが互いにずらされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列および行ごとに配置された第1の数の画素またはサブピクセルによって表示される入力画像を選択可能にスケーリングする方法であって、
出力画像の再生のために選択される画素またはサブピクセルが、入力画像の中から決定され、
選択される画素またはサブピクセルの各々の列ごとまたは行ごとの間隔が、前記入力画像の連続する選択される画素間またはサブピクセル間の、互いの変動が最小である整数間隔から計算される列または行の領域に少なくともわたって、出力画像に対する入力画像の有理スケーリング比が達成されるような大きさとされ、
前記入力画像の前記選択される画素またはサブピクセルが、前記入力画像中の領域を定める支持点として使用され、前記領域の各々に対して、画素またはサブピクセルが出力画像中において割り当てられ、該出力画像中における画素またはサブピクセルは、前記入力画像の対応する領域に配置された画素またはサブピクセルから計算または選択されることと、
前記出力画像の連続する2つの列または行の画素は、前記入力画像の対応する列または行の領域における画素から選択または計算され、該領域と該画素とが互いにずらされていることと、
を特徴とする方法に関する。
とりわけ本発明は、高解像度ラスタ画像を解像度の低い画面に表示する分野に関するものである。とりわけ本発明は、フィルムスキャナでのコントロールモニタに関するものである。ここでコントロールモニタは、高解像度のラスタ画像を形成するフィルムスキャナの微細な解像度よりも粗い解像度を有する。
【背景技術】
【0002】
ラスタ画像は、以下デジタル画像に対する同義語として使用する。これは、多数の離散的画素から統合された画像を意味し、その画素は列および行に配置されている。ラスタ画像は白黒画像またはカラー画像として存在することができ、画素を表わす情報は任意の構成とすることができる。これは例えば基本色、赤、緑、青(RGB)に対する色3セットなどである。画素は、以下ピクセルに対する同義語として使用する。ピクセルは英語圏で頻繁に使用されている。1つの画素を形成する要素、例えば色3セットはサブピクセルとも称される。解像度とは、画像領域を表わす画素の数である。ここで微細な解像度または高い解像度は、画像の同じ領域に対して粗い解像度または低い解像度の場合よりも多数の画素が存在することを意味する。
【0003】
従来のフィルムカメラにより撮影されたフィルムをデジタル処理またはデジタル分解するために、現像されたフィルムがデジタル化される。このときフィルムは例えば連続的にセンサの前を通過し、センサはフィルムをラインごとに走査する。ここで走査されたラインは順次連続する、ないしは順次並置された多数の画素からなる。順次連続して走査されたラインはそれぞれ1つの画像となる。フィルムの画像を面状のセンサにより走査することも可能である。この場合、画像をデジタルで表わすすべての列と行の画素が1つのセンサにより同時に走査される。
【0004】
通常フィルムスキャナでは種々異なるフィルム形式を走査することができる。一般に使用されているフィルム形式は例えば16mm、35mmおよび70mmフィルムである。現在のフィルムスキャナは画像を、1ライン当りで4000またはそれ以上の画素により走査する。16:9の横対縦のアスペクト比を有する従来のフィルムで走査された画像に対しては、1ライン当りで4000画素、1画像当りで2250ラインのデジタル化画像が得られる。通常、走査中に走査の品質は操作者によりコントロールされる。コントロールモニタには高い解像度が要求されるから、通常はコンピュータ画面が使用される。コンピュータ画面は、所定数のラインとライン当りで所定数の画素を有する画像の再生のために最適化されている。そこから生じる画面の解像度は例えば4:3のモニタに対して800×600,1280×1024または1600×1200画素である。アナログCRTモニタはアナログビデオ信号を供給すれば理論的にはそれらの間にある解像度で表示できる。しかしここでは使用されるスリットマスクまたはホールマスクにより最大解像度が制限される。最近、ますます使用されるようになったLCD画面はその解像度に関しては原理的に設定されている。従って両方のモニタ形式で画像をモニタの解像度よりも格段に高い解像度で満足のいくように表示することは不可能である。比較的に解像度の高い画像を解像度の低いモニタに表示すべき場合、水平および垂直の画像方向で画素を省略しなければならない。しかし画素を破棄することにより場合によっては表示すべき画像が縮小され、使用可能な全画面領域の幅および/または高さを埋めなくなる。例えば1ライン当りで1000画素と1画像当りで560ラインの解像度の画像は800×600画素の解像度の画面に次のように表示される。すなわち各1つおきの画素が水平方向と垂直方向で省略されて表示される。生じた500×280画素の画像は画面に表示されるが、画面の利用可能なサイズのすべてを使用しない。水平方向の解像度だけをスケーリングする、すなわちラインの画素だけを省略することも可能ではあるが、これにより画像は不所望に歪んでしまう。さらに個々の画素を破棄することにより画像の微細なデテールをモニタに表示することができず、従ってユーザによりコントロールすることができない。このことはとりわけ、フィルムスキャナのサンプリングラスタに平行な細いラインに対して当てはまる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って高解像度のデジタル化画像を低解像度の画面に、できるだけ大きな表示サイズで歪みなしに表示することができ、それでもなおできるだけ多くの画像デテールが可視であるような方法を提供するのが本発明の課題である。さらに、スケーリングをリアルタイムで実行する回路を提供することも本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、入力画像の選択される画素またはサブピクセルが、入力画像中の領域を定める支持点として使用され、領域の各々に対して、画素またはサブピクセルが出力画像中において割り当てられ、出力画像中における画素またはサブピクセルは、入力画像の対応する領域に配置された画素またはサブピクセルから計算または選択され、
出力画像の連続する2つの列または行の画素は、入力画像の対応する列または行の領域における画素から選択または計算され、該領域と該画素とが互いにずらされている。
本発明の他の態様によるスケーリング回路は、ラスタ画像をリアルタイムで自由にスケーリングできるハードウエア構成を提案する。本発明の有利な構成および改善形態は従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】従来技術によりスケーリングされた入力画像ラインと出力画像ラインの一部 を概略的に示す図である。
【図2】本発明の方法によりスケーリングされた入力画像ラインと出力画像ラインの 一部を概略的に示す図である。
【図3】出力画像を形成する、入力画像中の支持点検出を概略的に示す図である。
【図4】本発明のスケーリング方法を実施するための2進論理回路での第1回路であ る。
【図5】本発明のスケーリング方法を実施するための2進論理回路での第2回路であ る。
【図6】図5の素子の詳細な回路である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の方法によれば、入力画像の列および行における画素が選択され、これらの画素がコントロールモニタで再生される出力画像の列および行における画素となる。ここで選択された画素は整数のピクセル間隔で次のように分散される。すなわち、選択された個々の画素間の間隔が、有理スケーリング係数の場合にできるだけ相互に異ならないように分散される。ここでは少なくともラスタ画像の1つの列および/または行のそれぞれの領域について、入力画像と出力画像との有理スケーリング比が達成される。選択された画素は支持点と称される。2つの選択された画素間または支持点間の画素は1つの画素により表わされる値を形成するのに使用することができ、この画素が選択された画素の代わりに出力画像での再生のために使用される。これとは択一的に出力画像での再生のために、2つの選択された画素または支持点間にある画素の最小値または最大値を使用することもできる。さらに2つの選択された画素間の画素に適切なフィルタ関数を施し、そこから出力画像の表示すべき画素に対する値を得ることもできる。出力画像の画素の1つを計算するために、選択された画素または支持点の両方の側の画素を使用することもできる。支持点からの間隔が次に隣接する支持点からの間隔よりも大きい画素を表示すべき画素の計算に使用することもできる。
【0009】
本発明の有利な改善形態では、水平方向のスケーリングと垂直方向のスケーリングとが個別のスケーリング係数により行われる。
【0010】
本発明で使用される画素は3基本色、赤、緑、青に対する個別の画素、いわゆるサブピクセルから統合することができる。白黒画像の場合は、明度値だけが含まれる。さらに画素を検出するために色値と明度値からの任意の組合せも考えられる。本発明は選択的に、個々のサブピクセルに適用することができる。またはサブピクセルから発生し、画素を表わす全体値に適用することができる。入力画像がサブピクセルで存在する場合、基本色に所属するサブピクセルをずらして処理することもできる。すなわち出力画像の支持点にある画素を、1つまたは複数の画素またはサブピクセルだけずれている入力値により計算するのである。これにより所定のフィルタ係数が達成され、このフィルタ係数は画像を均等に出現させる。さらに出力画像の2つの順次連続する列または行を、入力画像の相応する列または行のずらされた画素により発生することも考えられる。このことにより微細なデテールがさらに確実に検出され、再生される。支持点に対する計算過程は、簡単に適切なオフセットにより開始することができる。
【0011】
本発明の方法の特に有利な実施形態では、実施されたスケーリングに応じて生じることのできる画素が変形されない場合、画像内容が損なわれることがない。
【0012】
本発明の方法並びに本発明の回路は有理にはフィルムスキャナに使用される。とりわけスケーリング回路は、コントロール画像をリアルタイムでスケーリングするのに適する。すなわち画像は表示の瞬間に画面またはコントロールモニタにスケーリングされ、中間記憶する必要はない。しかしプロセッサ能力が十分であれば、スケーリングをリアルタイムに、プログラム制御して実行することも可能である。
【実施例】
【0013】
図1は従来技術を表わすものであり、入力画像のラインZEの一部が示されている。この入力画像は高解像度を有する。ラインZEの図示の部分は画素1から32により形成される。高解像度は、画素を表わす矩形の大きさが小さいことにより表わされている。ラインZEを低解像度の出力ラインZAに変換するのである。ラインZAは図には部分的に画素101から111により示されている。低解像度は、画素を表わす矩形の大きさが比較的に大きいことにより表わされている。入力ラインZEと出力ラインZAとの間には矢印40から50が示されている。これらの矢印は入力ラインZEの画素と出力ラインZAの画素との対応関係を示す。図1では入力ラインZEの各3番目の画素が出力ラインZAの画素に割当てられる。割当てられなかった画素に含まれる画像情報は表示されず、失われてしまう。
【0014】
図2には本発明の原理が示されている。ここには図1と同様に高解像度の入力画像のラインZEの一部が示されている。ラインZEの図示された部分は画素1から32により形成される。ラインZEは低解像度の出力ラインZAに変換しなければならない。ラインZAは図1と同じように部分的に画素101から114により示されている。入力ラインZEと出力ラインZAとの間にはライン60から73が配置されている。これらのラインは統合された画素間の境界、すなわち支持点を表わす。支持点は画素間に配置されている。なぜなら、支持点間のすべての画素が1つの画素の計算のために利用されるからである。
【0015】
いくつの入力画素を1つの出力画素に統合するかという計算を図3に基づき例として説明する。ここでは1ライン当り2250画素を有する入力画像が1ライン値1000画素の画面に表示される。1ライン当りの画素数の比2250:1000から、それぞれ2.25個の画素を1つの画素にまとめなければならない。しかしデジタルラスタ画像では、画素の端数部分は評価されない。近似解は図1に示すようにそれぞれ3番目の画素を再生に使用することであるが、そのため750画素の画像を表示することとなる。従って1000画素のモニタで使用されるライン解像度が3/4しか使用されないこととなる。本発明の方法によれば、入力画像から支持点が次のようにして計算される。すなわち個々の支持点の間隔の相違が最小であり、支持点が均等に入力画像に分散されており、モニタの使用可能なライン解像度がすべて使用されるように計算される。このために必要なスケーリング係数、この場合は2.25が入力画像の画素ごとに加算するための加数に変換される。この変換は単純な反転である。上手く取り扱うためにこの実施例では、値が大きさ4/9を有する端数として示されている。支持点を検出するために、まずラインの最初の画素でさらなる画素ごとに加数を加算する。加算された加数の和が1より大きくなるときに支持点が検出される。図3の例では、第1の画素は値4/9、第2の画素2は値8/9、そして第3の画素3は値12/9を得る。図には算術演算、すなわち加算と減算が値間の矢印によりが示されている。ここで加算は実線の矢印により、減算は破線の矢印により示されている。第2画素2から第3画素3への加算ステップで加算された和が1より大きくなる。この個所に支持点が存在する。支持点は図3では、一点鎖線のライン60から66により示されている。支持点60の前にある第1画素1と第2画素2は図2の出力画素101に統合される。このことは平均値形成、前に説明したように最小値または最大値形成、または他の適切なフィルタ関数により行うことができる。第3画素3は値12/9を得ているので、こんどは1より小さな値にしなければならない。なぜなら値1を超えることが支持点を示すからである。このために値1または9/9が第3画素3の値から減算される。これにより第3画素3は新たな値3/9を得る。前記の加算と減算のシーケンスはラインのすべての画素に対して実行される。支持点はどこであっても、画素の値が1より大きい個所でマーキングされ、支持点がマークされた画素の値は値1を減算することにより1より小さくされる。この実施例では最初の3つの支持点間の間隔は2画素である。次の支持点は3画素の間隔を有している。この支持点間の2−2−2−3画素間隔のシーケンスはすべてのラインにわたって繰り返される。従ってこのラインに対して領域ごとに有理スケーリング比が得られる。
【0016】
前記の方法は同じように垂直方向にも適用される。すなわち順次連続するラインに対して適用される。ここでは水平方向と垂直方向とで異なるスケーリングを行うことができる。所望のスケーリング比に応じて別の加数が加算のために用いられ、これにより別のシーケンスが生じる。しかしこの方法は基本的に常に同じように経過する。
【0017】
図3に基づいて説明した方法は、プログラムメモリおよびワークメモリを有するマイクロプロセッサで実行することができる。しかし2進回路技術的に実現すると特に有利である。
【0018】
この場合、所定の値だけ増分する加算器を設ける。加算器の最大値は2−1である。ここでnは加算器の2進桁数を表わす。増分値、すなわち加数は2n−1×SFの大きさを得る。ここでSFはスケーリング係数である。入力画像の各画素に対して加算が実行される。加算器の最高位ビットMSBが微分され、これにより最高位ビットMSBの状態変化が識別される。加算器の最高位ビットMSBの状態変化が識別されると、入力画像の支持点がマークされる。加算はさらに続けられ、加算器の最高位ビットMSBの新たな状態変化がさらなる支持点をマークする。加算器のオーバーフローはここでは無視される。2つの支持点間にある入力画素は上に説明したように1つの出力画素に統合される。
【0019】
実施例ではスケーリング係数が水平方向と垂直方向の加算器に供給される。加算器の最高位ビットMSBの微分、およびひいては支持点を出力するための信号の発生は、MSBと1クロックサイクルだけ遅延されたMSBとの排他的OR結合を介して行われる。この信号により、カウンタ段およびサンプリング段が制御され、さらにスケーリングされた出力画像データがFIFOシフトレジスタにさらなる処理のため転送される。カウンタ段およびサンプリング段は2つの順次連続する支持点間の間隔を計算する。計算された間隔は出力される画素の計算のための制御量として用いられる。例えばフィルタマルチプレクサを制御することができ、このフィルタマルチプレクサにより、先行の支持点と新たな支持点との間の画素の平均値または最大値が出力のために選択される。
【0020】
図4には、2進回路技術で製作されたスケーラーの第1実施例が示されている。垂直画像スケーリングのためのスケーリング係数SF_Vは加算器200の入力端にビット幅nとして印加される。加算器の内容は中間記憶のため、加算器のビット幅に相応する数のフリップフロップ201に供給される。フリップフロップ201の出力は加算器にフィードバックされる。複数のフリップフロップ201のうち、加算器の最高位ビットMSBを含むフリップフロップの出力端はさらにフリップフロップ202および排他的ORゲート203と接続されている。これにより、2つの順次連続する加算の加算器の最高位ビットを微分することができる。すなわち、最高位ビットMSBの桁での状態変化を検出することができる。
【0021】
排他的ORゲート203の出力端はカウンタ204のリセット入力端およびサンプリング段206のイネーブル入力端と接続されている。フリップフリップ201と202並びにカウンタ204とサンプリング段206はさらにラインクロッキング線路L−Clkと接続されている。サンプリング段206の出力はマルチプレクサ207を制御する。信号Video−RGBはマルチプレクサ207に直接印加される。この信号Video−RGBはさらに直接、および第1の遅延回路212を介して第1の加算器211に印加される。第1の加算器211の出力端はマルチプレクサを有する乗算回路213と接続されている。
【0022】
図4では第1の乗算器213は固定の乗算係数0.5を有する。第1の遅延回路212を介して導かれた信号Video−RGBはさらに第2の遅延回路214に印加される。第2の遅延回路214の出力端から信号は第2の加算器216に達し、この加算器にはさらに第1の加算器211の出力信号も印加される。第2の加算器216の出力信号は第2の乗算回路217を介してマルチプレクサ207に達する。図4で第2の乗算回路217は固定の乗算係数0.3を有する。第1の遅延回路212と第2の遅延回路214を介して導かれたビデオ信号Video−RGBはさらに第3の遅延回路218を介して第4の遅延回路222に達する。第3の遅延回路218の出力信号は第3の加算器219で第2の加算器216の出力信号と結合される。第3の加算器219の出力信号は第3の乗算回路221を介してマルチプレクサに達する。図4で第3の乗算回路221は固定の乗算係数0.25を有する。第4の遅延回路222の出力信号は第4の加算器223で第3の加算器219の出力信号と結合される。第4の加算器223の出力信号は第4の乗算回路224を介してマルチプレクサに達する。第4の乗算器224は固定の乗算係数0.2を有する。
【0023】
水平画像スケーリングに対するスケーリング係数SF_Hは、ビット幅nの加算器230の入力端に印加される。前に垂直スケーリングについて説明したように、加算器の内容は中間記憶のため、加算器のビット幅に相応する数のフリップフロップ232に達する。フリップフロップ232の出力は加算器にフィードバックされる。複数のフリップフロップ232のうち、加算器の最高位ビットMSBを含むフリップフロップの出力端はさらに、フリップフロップ233および排他的ORゲート234と接続されている。これにより順次連続する2つの加算の加算器の最高位ビットを微分することができる。すなわち最高位ビットMSBの桁での状態変化を検出することができる。排他的ORゲート234の出力端はカウンタ236のリセット入力端およびサンプリング段237のイネーブル入力端と接続されている。フリップフロップ232および233、並びにカウンタ236とサンプリング段237はさらにピクセルクロック線路P−Clkと接続されている。サンプリング段237の出力はマルチプレクサ238を制御する。マルチプレクサ238にはマルチプレクサ207の出力が印加される。マルチプレクサ207の出力信号はさらに、前に説明した信号Video−RGBと同じように遅延回路239,243,247,251のチェーンを介して導かれる。遅延回路239,243,247,251の出力端からは出力信号が前に説明したように加算段240,244,248,252並びに乗算回路242,246,249,253を介してマルチプレクサ238に供給される。図4の乗算回路242,246,249,253はそれぞれ固定の乗算係数、0.5,0.3,0.25,0.2を有する。
【0024】
排他的ORゲート203と234の出力はさらにANDゲート254で結合される。ANDゲート254の出力はFIFOシフトレジスタ256への書き込みアクセスを制御する。FIFOシフトレジスタ256は、マルチプレクサ238から到来するデータをさらなる処理のために中間記憶する。
【0025】
図5には、2進回路技術により製作されたスケーラーの第2の実施例が示されている。図4と同じように垂直画像スケーリングのためのスケーリング係数SF_Vがビット幅nの加算器200の入力端に印加される。加算器の内容は中間記憶のために、加算器のビット幅に相応する数のフリップフリップ201に供給される。フリップフロップ201の出力は加算器にフィードバックされる。複数のフリップフロップ201のうち、加算器の最高位ビットMSBを含むフリップフロップの出力端はさらにフリップフロップ202および排他的ORゲート203と接続されている。これにより2つの順次連続する加算の加算器の最高位ビットを微分することができる。すなわち最高位ビットMSBのけたでの状態変化を検出することができる。排他的ORゲート203の出力端はカウンタ204のリセット入力端およびサンプリング段206のイネーブル入力端と接続されている。フリップフロップ201と202,並びにカウンタ204とサンプリング段206はさらにラインクロック線路L−Clkと接続されている。サンプリング段206の出力はマルチプレクサ207を制御する。信号Video−RGBはマルチプレクサ207に直接印加される。信号Video−RGBはさらに直接、および第1の遅延回路212を介して第1の比較器260に印加され、第1の比較器はそれぞれ2つの入力信号の大きい方を選択する。第1の比較器260の出力端はマルチプレクサと接続されている。第1の遅延回路212を介して導かれた信号Video−RGBはさらに第2の遅延回路214に印加される。第2の遅延回路214の出力端からは信号が第2の比較器261に達し、この第2の比較
器にはさらに第1の比較器260の信号が印加される。第2の比較器261の出力信号はマルチプレクサ207に達する。第1の遅延回路212と第2の遅延回路214を介して導かれた信号Video−RGBはさらに第3の遅延回路218を介して第4の遅延回路222に達する。第3の遅延回路218の出力信号は第3の比較器262で第2の比較器261の出力信号と比較される。第3の比較器262の出力信号も同様にマルチプレクサ207に達する。第4の遅延回路222の出力信号は第4の比較器263で第3の比較器262の出力信号と比較される。第4の比較器263の出力信号はマルチプレクサ207に供給される。
【0026】
図4に示した回路と同じように水平画像スケーリングに対するスケーリング係数SF_Hはビット幅nの加算器231の入力端に印加される。垂直スケーリングについて説明したのと同じように、加算器の内容は中間記憶のために、加算器のビット幅に相応する数のフリップフロップ232に供給される。フリップフロップ232の出力は加算器にフィードバックされる。複数のフリップフロップ232のうち、加算器の最高位ビットMSBを含むフリップフロップの出力端はさらにフリップフロップ233および排他的ORゲート234と接続されている。これにより順次連続する2つの加算の加算器の最高位ビットを微分することができる。すなわち最高位ビットMSBの桁での状態変化を検出することができる。排他的ORゲート234の出力端はカウンタ236のリセット入力端およびサンプリング段237のイネーブル入力端と接続されている。フリップフロップ232と233並びにカウンタ236とサンプリング段237はさらにピクセルクロック線路P−Clkと接続されている。サンプリング段237の出力はマルチプレクサ238を制御する。マルチプレクサ238にはマルチプレクサ207の出力信号が印加される。マルチプレクサ207の出力信号は前に説明した信号Video−RGBと同じように、遅延回路239,243,247,251のチェーンを介して導かれる。遅延回路239,243,247,251の出力端からは出力信号が前に説明したように比較器264,266,267,268を介してマルチプレクサ238に達する。
【0027】
排他的ORゲート203と234の出力端はさらにANDゲート254と接続されている。ANDゲート254の出力はFIFOシフトレジスタ256への書き込みアクセスを制御する。FIFOシフトレジスタ256はマルチプレクサ238から到来するデータをさらなる処理のために中間記憶する。ANDゲート254の出力信号並びにマルチプレクサ238の出力信号はフリップフロップ269に供給され、その出力信号は比較器260〜264および比較器266〜268に供給される。
【0028】
図4と図5に示された遅延回路と比較器ないし加算器とマルチプレクサの数はそれより多くても少なくても良い。この数は、順次連続する2つの支持点間で予期される最大間隔に依存する。しかしこの回路は簡単に相応の多重化によって該当する個所で拡張することができる。
【0029】
図6には比較器260〜264および266〜268の回路が詳細に示されている。入力端300および301を介して回路には、基本色、赤、緑、青に対する値を備える第1と第2のビデオ信号が供給される。基本色に対する比較値は回路に入力端302を介して供給される。減算器303は比較値と第1ないし第2のビデオ信号の値との差を形成する。差の絶対値は段304で形成される。加算器306は段304からの絶対値の和を第1と第2のビデオ信号に対して形成する。加算器306の和は比較器307に供給され、比較器307の出力はマルチプレクサ308を制御する。マルチプレクサ380は第1または第2のビデオ信号を、比較器307の出力信号に依存して選択し、比較器回路の出力端を形成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列および行ごとに配置された第1の数の画素またはサブピクセルによって表示される入力画像を選択可能にスケーリングする方法であって、
出力画像の再生のために選択される画素またはサブピクセルが、入力画像の中から決定され、
選択される画素またはサブピクセルの各々の列ごとまたは行ごとの間隔が、前記入力画像の連続する選択される画素間またはサブピクセル間の、互いの変動が最小である整数間隔から計算される列または行の領域に少なくともわたって、出力画像に対する入力画像の有理スケーリング比が達成されるような大きさとされ、
前記入力画像の前記選択される画素またはサブピクセルが、前記入力画像中の領域を定める支持点として使用され、前記領域の各々に対して、画素またはサブピクセルが出力画像中において割り当てられ、該出力画像中における画素またはサブピクセルは、前記入力画像の対応する領域に配置された画素またはサブピクセルから計算または選択されることと、
前記出力画像の連続する2つの列または行の画素は、前記入力画像の対応する列または行の領域における画素から選択または計算され、該領域と該画素とが互いにずらされていることと、
を特徴とする方法。
【請求項2】
それぞれ隣接する支持点までの領域における、前記入力画像の先行するまたは後続する画素またはサブピクセルは、前記出力画像における支持点に割当てられるべき画素を計算するためのフィルタリングまたは重み付けに使用される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
出力画像中における画素の選択は、
それぞれ隣接する支持点までの領域における、前記支持点に先行するまたは後続する最大値または最小値を有する画素を選択すること、または、
先行する支持点について選択された画素に対して最大の差を有する画素を選択することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記スケーリング比を表わす値が加数として加算器に供給され、
前記加数の加算は、各画素または各サブピクセルに対して列ごとまたは行ごとに実行され、
閾値を上回る場合に、その時の画素またはサブピクセルに支持点がマークされ、
支持点をマークした後、前記閾値に対応する値が前記加算器の内容から減算される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記閾値を越えることが、2進加算器で選択されたビットの状態変化によりシグナリングされる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記閾値の減算が、連続的な加算と、前記2進加算器のオーバーフローを無視することとにより行われる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
列ごとおよび行ごとに配置された画素またはサブピクセルによって表示される画像を任意に選択可能にスケーリングするスケーリング回路であって、
マイクロプロセッサと、プログラムメモリと、メインメモリと、スケーリング比に関する入力手段とを有し、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法をプログラム制御して実行するスケーリング回路。
【請求項8】
コントロールモニタ用のドライバを備えるフィルムスキャナであって、請求項7記載のスケーリング回路が設けられているフィルムスキャナ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−154535(P2010−154535A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8000(P2010−8000)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【分割の表示】特願2004−96879(P2004−96879)の分割
【原出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】