説明

ラベル供給装置

【課題】ラベル供給装置において、長さの同じラベルセグメントからなるラベル基材はもちろんのこと、長さの異なるラベルセグメントからなるラベル基材に対しても、ラベルを精度良く切り出すことが目的とされる。
【解決手段】ラベル供給装置のマークセンサ26は、ラベル基材に対してラベルセグメント毎の目標切断位置と一定の相対位置に付されたマークを検出する。ラベル供給装置の制御手段13は、マークセンサ26から得られる検出信号に基づいて、搬送機構3の搬送速度を制御する。具体的には、制御手段13は、マークセンサ26によって1つのマークが検出された後、当該マークがラベル基材の搬送経路に沿って切断機構4に到達するまでの時間を、搬送速度を制御することによって調整することにより、当該マークと一定の相対位置に設定されている目標切断位置を、切断機構4による実切断位置に合致せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル供給装置に関し、特にラベル基材の切断精度の向上に関連した技術である。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲料水用のボトルなどに装着されるラベルの供給に、ラベル供給装置が用いられている。当該ラベル供給装置は、複数のラベルセグメントが一方向に連続してなるラベル基材を、ラベルセグメント毎に切断してラベルを供給する。
【0003】
そして、上記ラベル供給装置において、ラベル基材の切断に関連した制御技術が提案されている。例えば下掲の特許文献1には、切断刃によってラベル基材が切断されてから、ラベル基材に付されたマークがマークセンサによって検出されるまでのラベル基材の搬送距離を、予め設定された距離と比較することによって、ラベル基材の切断タイミングが正確であるか否かを判断する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ラベル基材の取り付け直後に行う初期設定に関する技術が開示されている。具体的には、ラベル基材を低速で搬送しながら、ラベル基材に付されたマークをマークセンサによって検出する。そして、マークを検出した時点からラベル基材を所定の距離だけ搬送させることによって、検出したマーク近傍の切断位置とは別の切断位置を、切断刃での切断が実行される位置に合わせる。
【特許文献1】特開2007−45423号公報
【特許文献2】特開2007−76671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1及び2の制御は、ラベル基材に印刷されているラベルセグメントの1つあたりの長さが同一であることを前提としたものである。このため、ラベルセグメントの長さが異なったラベル基材に対して特許文献1及び2の制御を適用すると、切断位置が所定の位置からずれてしまい、精度良くラベルを切り出すことが困難である。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、長さの同じラベルセグメントからなるラベル基材はもちろんのこと、長さの異なるラベルセグメントからなるラベル基材に対しても、ラベルを精度良く切り出すことが目的とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るラベル供給装置は、複数のラベルセグメント(Seg(n))が一方向に連続してなるラベル基材(S)をその長手方向に搬送しつつ、当該ラベル基材をラベルセグメント毎に切断して後段装置へ供給する。当該ラベル供給装置は、搬送機構(3)と、切断機構(4)と、マークセンサ(26)と、制御手段(13)とを備える。搬送機構(3)は、ラベル基材を所定の搬送経路に沿って搬送する。切断機構(4)は、ラベル基材の搬送経路に沿って設置され、ラベル基材をラベルセグメント毎に切断する。マークセンサ(26)は、ラベル基材の搬送経路に沿って切断機構から離れて設置され、ラベル基材に対してラベルセグメント毎の目標切断位置と一定の相対位置に付されたマークを検出する。制御手段(13)は、マークセンサから得られる検出信号に基づいて、搬送機構の搬送速度を制御する。具体的には、制御手段(13)は、マークセンサによって1つのマークが検出された後、当該マークがラベル基材の搬送経路に沿って切断機構に到達するまでの時間を、搬送速度を制御することによって調整することにより、当該マークと一定の相対位置に設定されている目標切断位置(R(n))を、切断機構による実切断位置(Rc)に合致せしめる。
【0008】
上記ラベル供給装置によれば、マークセンサによって1つのマークが検出された後、搬送速度を制御することにより、当該1つのマークと一定の相対位置に設定されている目標切断位置を実切断位置に合致させているので、ラベルセグメント毎の長さにバラツキがあったとしても、当該バラツキは切断の精度にほとんど影響しない。
【0009】
具体的な態様において、ラベル供給装置は、信号出力手段(70)と、カウント手段(11)と、算出手段(12)とを更に備える。信号出力手段(70)は、搬送機構(3)によるラベル基材の搬送に伴って所定の周期で信号を出力する。カウント手段(11)は、信号出力手段から出力された信号をカウントしてカウント数を累積する。算出手段(12)は、マークセンサ(26)によるマークの検出時の累積カウント数(PM(n))に、マークセンサによる検出位置(Rs)から実切断位置(Rc)までの搬送経路に沿った距離(L)をカウント数に換算した値(PL)を加算し、当該マークと一定の相対位置に設置されている目標切断位置(R(n))と当該マークとの間の距離(ΔLc)をカウント数に換算した値(ΔPc)を加算または減算することによって、当該目標切断位置が実切断位置に合致するときの目標累積カウント数(PM(n))を算出する。そして、制御手段(13)は、カウント手段の累積カウント数(P)が目標累積カウント数(PC(n))に合致する合致タイミングが、切断機構(4)によってラベル基材の切断が実行させる切断タイミングに合うように、搬送機構(3)の搬送速度を制御する。
【0010】
上記具体的な態様によれば、搬送機構によるラベル基材の搬送に伴って所定の周期で出力される信号をカウントすることによって、ラベル基材の絶対的な位置が累積カウント数として得られる。そして、目標切断位置が実切断位置に合致するときのラベル基材の絶対的な位置が、目標累積カウント数として正確に得られる。
【0011】
より具体的な態様においては、制御手段(13)は、ラベル基材(S)の搬送経路に沿って互いに隣接する2つのマークのそれぞれについてのマークセンサ(26)による検出時の累積カウント数(PM(n−1),PM(n))の差分(ΔPM(n))に基づいて、合致タイミングが切断タイミングに合うように、搬送機構(3)の搬送速度を制御する。
【0012】
上記具体的な態様によれば、互いに隣接する2つのマークについての検出時の累積カウント値の差分は、当該マーク間にあるラベルセグメントの長さをカウント数に換算したものであるので、制御手段では、当該ラベルセグメントの長さに基づいた搬送速度の制御が行われる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るラベル供給装置によれば、長さの同じラベルセグメントからなるラベル基材はもちろんのこと、長さの異なるラベルセグメントからなるラベル基材に対しても、ラベルを精度良く切り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
【0015】
1.ラベル供給装置の構成
1−1.機械系統
本発明の実施の形態に係るラベル供給装置は、飲料水用のボトルなどに装着されるラベルを供給する装置であって、図1に示す如く、搬送機構3と、切断機構4と、マークセンサ26とを備える。当該ラベル供給装置は、ラベル基材Sをその長手方向に搬送しつつ、当該ラベル基材Sを切断してラベルLを生成し、当該ラベルLを後段装置へ供給する。以下、ラベル供給装置及び後段装置について具体的に説明する。
【0016】
<搬送機構3>
搬送機構3は、図1に示されている送りローラ23及び従動ローラ24と、図3に示されている送りモータ68とによって構成されている。送りローラ23は、図3に示す様に送りモータ68によって駆動され、図1に示す方向921へと回転する。従動ローラ24は、図1に示す様に、送りローラ23との間にラベル基材Sを挟み込む。そして、従動ローラ24に取り付けられているギアを、送りモータ68に取り付けられているギアに噛み合わせることによって、従動ローラ24は、図1に示す方向922へと従動回転する。
【0017】
搬送機構3によれば、送りローラ23の回転に伴って、送りローラ23と従動ローラ24とによって挟まれたラベル基材Sは、所定の搬送経路に沿って方向91(以下、「搬送方向91」と称す。)へと移動する。
【0018】
送りモータ68には、パルスエンコーダ70が取り付けられている。パルスエンコーダ70は、送りモータ68の回転に伴って所定の周期でパルスを出力する。尚、当該パルスを信号と把握すれば、当該パルスエンコーダ70は、搬送機構3によるラベル基材Sの搬送に伴って所定の周期で信号を出力する信号出力手段と把握することができる。
【0019】
<切断機構4>
切断機構4は、図1に示す如く、搬送方向91において搬送機構3の下流側の位置にて設置されており、図1に示されている固定刃27及び回転刃28と、図3に示されている回転刃モータ71とによって構成されている。固定刃27は、ラベル基材Sの一方の表面に刃先が沿うように固定されている。
【0020】
回転刃28は、図1に示す様にラベル基材Sに対して固定刃27とは反対側の位置にて、刃先が固定刃27の刃先に接触できるように配置されている。回転刃28は、図3に示す様に回転刃モータ71によって駆動され、図1に示す方向93へと回転する。
【0021】
切断機構4を駆動させることによって、回転刃28が1回転する毎に、回転刃28の刃先は固定刃27の刃先に接触する。これにより、ラベル基材Sが切断されて、ラベルLが生成される。
【0022】
回転刃モータ71には、パルスエンコーダ76が取り付けられている。パルスエンコーダ76は、回転刃28の回転に伴って所定の周期でパルスを出力する。
【0023】
<ラベル基材S>
ラベル基材Sは、図2に示す如く、複数のラベルセグメントSeg(n)が一方向に連続してなる。具体的にはラベル基材Sは、長尺状の透明なシートを基材として、ラベルセグメントSeg(n)毎にラベル用の印刷が施されている。ここで符号nは整数を表す。
【0024】
そして、当該一方向に沿って隣接するラベルセグメントSeg(n−1),Seg(n)間には、印刷のない光透過部S1が形成されている。尚、光透過部S1がラベルセグメント間に形成されていることに鑑みれば、光透過部S1は所定の箇所に形成されているといえ、以って光透過部S1はラベル基材Sに対して付されたマークと把握することができる。
【0025】
ラベル基材Sの目標切断位置R(n)は、図2に示す如く、光透過部S1(n)と一定の相対位置、具体的には光透過部S1(n)の下流端の位置RS1(n)と一定の相対位置R(n)に設定されている。より具体的には、目標切断位置R(n)は、搬送方向91において光透過部S1(n)の中央付近に設定されており、光透過部S1(n)の下流端の位置RS1(n)に対して上流に向かって一定の相対距離ΔLcだけ離れた位置にある。
【0026】
<マークセンサ26>
マークセンサ26は、図1に示す如く、ラベル基材Sの搬送経路に沿って切断機構4から離れて設置されている。マークセンサ26は透過型の光学式センサであり、ラベル基材Sに向けて光を発すると共に、ラベル基材Sを透過した光を検知することによって、ラベル基材Sに形成されている光透過部S1を検出する。光透過部S1を検出することによってマークセンサ26は、当該検出を表す検出信号を出力する。
【0027】
具体的に、ラベル基材Sが搬送方向91へ搬送されている場合について説明する。ラベル基材Sを搬送方向91に搬送することで、図2に示す様にマークセンサ26よりも上流側にある光透過部S1(n)は、ラベル基材Sの搬送に伴ってマークセンサ26の検出位置Rsに近づく。図2に示す様にラベル基材Sのうち印刷の施された部分が検出位置Rsにある場合、マークセンサ26からラベル基材Sに向けて発せされた光はラベル基材Sを透過することができない。よって、マークセンサ26は透過光を検知することができず、待機状態のままである。
【0028】
他方、図6に示すように光透過部S1の下流端の位置RS1(n)が検出位置Rsに一致することによって、マークセンサ26から発せされた光はラベル基材Sを透過する。よって、マークセンサ26は透過光を検知し、当該透過光の検知を知らせる検出信号を出力する。
【0029】
<後段装置>
後段装置には、ボトルにラベルLを装着する装着機構、及び当該ラベルLを当該装着機構に受け渡す受渡機構などがある。受渡機構は、図1に示す様に、ラベル供給装置から供給されるラベルLを受け取る受取部46を有する。受取部46の表面には、受け取ったラベルLを当該表面に吸着させておくための吸引口が形成されている。
【0030】
尚、ラベル基材Sを切断機構4によって切断することで生成されたラベルLは、図1に示す様に搬送機構5によって、受取部46がラベルLを受け取る位置K6まで搬送される。搬送機構5は、ラベル供給装置の一部を構成するものであってもよいし、後段装置としてラベル供給装置とは別個に設置されてもよい。
【0031】
1−2.制御系統
ラベル供給装置は、図3に示す如く、搬送機構3、切断機構4、及びマークセンサ26を制御する制御部1を備える。具体的には制御部1は、サーボアンプ69を介して送りモータ68の駆動を制御することによって、送りローラ23の回転速度を制御する。これにより、搬送機構3によるラベル基材Sの搬送速度が調節される。そして制御部1には、送りモータ68の回転に伴ってパルスエンコーダ70から出力されるパルスが、サーボアンプ69を介して入力される。
【0032】
更に制御部1は、サーボアンプ72を介して回転刃モータ71の駆動を制御することによって回転刃28の回転速度を制御する。そして、回転刃モータ71の回転に伴ってパルスエンコーダ76から出力されるパルスが、サーボアンプ72を介して制御部1に入力される。また、制御部1には、マークセンサ26から出力された検出信号も入力される。
【0033】
ラベル供給装置は更に、図3に示す如く、メモリ2、カウント手段11、算出手段12、及び制御手段13を備える。図3では、カウント手段11、算出手段12、及び制御手段13は、制御部1内に構成されているが、例えば制御部1とは別個に構成されてもよい。
【0034】
カウント手段11は、パルスエンコーダ70から出力されたパルスをカウントして、カウント数を累積する。累積されたカウント数は、累積カウント数Pとしてカウント手段11から出力される。これにより、ラベル基材Sの絶対的な位置を、累積カウント数として得ることができる。
【0035】
尚、算出手段12、制御手段13、及びメモリ2については、「ラベル供給装置の制御」のところで詳細に説明する。
【0036】
2.ラベル供給装置の制御
ラベル供給装置の制御は、目標累積カウント数PC(n)及びラベルセグメントSeg(n)の長さΔL(n)を算出する制御と、搬送速度の制御とから構成されている。そこで、前者を第1制御、後者を第2制御と称して、以下、具体的に説明する。
【0037】
2−1.第1制御(目標累積カウント数、及びラベルセグメントの長さの算出)
ラベル供給装置の第1制御について、図4に示されるフローチャート並びに図3、図6を用いて説明する。ラベル供給装置によるラベル供給が開始されると、まずステップ401にて、マークセンサ26によってマークが検出されたかどうかを判断する。当該マークは、上述したようにラベル基材Sに付されたマークである光透過部S1(n)である。
【0038】
光透過部S1(n)の検出がないとステップ401にて判断された場合には、再びステップ401にて、光透過部S1(n)が検出されたどうかの判断を行う。他方、光透過部S1(n)の検出があったとステップ401にて判断された場合には、ステップ402に移行する。ステップ402では、マークセンサ26による光透過部S1(n)の検出時の累積カウント数Pを、累積カウント数PM(n)としてメモリ2に記憶する(図3)。ステップ402の実行後、ステップ403及びステップ404に移行する。
【0039】
ステップ403では、ステップ402で得られた累積カウント数PM(n)に基づいて、算出手段12が目標累積カウント数PC(n)を算出する。ここで、目標累積カウント数PC(n)は、ラベルセグメントSeg(n)に対して設定された目標切断位置R(n)が、切断機構4による実切断位置Rcに合致するときの累積カウント数Pである(図6)。算出された目標累積カウント数PC(n)は、メモリ2に記憶される(図3)。
【0040】
具体的には算出手段11は、ステップ402で得られた累積カウント数PM(n)に、2つの値PL,ΔPcを加算することによって、目標累積カウント数PC(n)を算出する(図6)。ここで累積カウント数PM(n)に加算する値PLは、マークセンサ26による検出位置Rsから実切断位置Rcまでの搬送経路に沿った距離L(図6)をカウント数に換算した値である。また、累積カウント数PM(n)に加算する値ΔPcは、光透過部S1(n)の下流端RS1(n)と目標切断位置R(n)との一定の相対距離ΔLcをカウント数に換算した値である。
【0041】
ステップ403によれば、目標切断位置R(n)が実切断位置Rcに合致するときのラベル基材Sの絶対的な位置を、目標累積カウント数PC(m)として正確に得ることができる。
【0042】
ステップ404では、ラベルセグメントSeg(n)の搬送方向91についての長さΔL(n)をカウント数に換算したものが求められる。具体的にステップ404では、光透過部S1(n)に対して下流側から隣接する光透過部S1(n−1)に関する累積カウント数PM(n−1)が、算出手段11によってメモリ2から読み出される(図3)。そして、光透過部S1(n),S1(n−1)のそれぞれに関する累積カウント数PM(n),PM(n−1)の差分ΔPM(n)が、算出手段12によって算出される(図6)。算出された差分ΔPM(n)はメモリ2に記憶される(図3)。尚、差分ΔPM(n)の算出は、制御手段13によって実行してもよいし、算出手段12及び制御手段13とは別に設けられた手段によって実行してもよい。
【0043】
図4のフローチャートでは、ステップ403とステップ404とを並列に実行しているが、直列に実行してもよい。すなわち、ステップ403,404のいずれか一方を実行した後で、他方を実行することができる。
【0044】
ステップ403,404の実行後、ステップ405に移行する。ステップ405では、ラベル供給装置によるラベル供給を停止する指令があったかどうかを判断する。停止指令があったとステップ405にて判断された場合には、ラベル供給装置の制御が終了する。他方、停止指令がないとステップ405にて判断された場合には、ステップ406に移行する。
【0045】
ステップ406では、整数nに1を加算した値(n+1)を再び整数nとする。ステップ406の実行後、再びステップ401に移行し、次のセグメントSeg(n)及び光透過部S1(n)について、上述したのと同様の制御を行う。そして、ステップ405にて停止指令があったと判断されるまで、ステップ401〜406が繰り返し実行される。
【0046】
2−2.第2制御(搬送速度の制御)
ラベル供給装置の第2制御について、図5に示されるフローチャート並びに図3、図6を用いて説明する。ラベル供給装置によるラベル供給が開始されると、最初の切断が実行される。当該最初の切断では、目標切断位置は実切断位置Rcに合致している。
【0047】
最初の切断の実行後、ステップ501にて、第1制御(図4)のステップ403で算出された目標累積カウント数PC(m−1)(符号mは整数を表す。)、及びステップ404で算出された差分ΔPM(m)を読み出す(図3)。
【0048】
ステップ501の実行後、ステップ502に移行する。ステップ502では、差分ΔPM(m)に基づいて制御手段13が、搬送機構3の搬送速度、具体的には送りモータ68の回転速度ω1(m)(rad/sec)を数式1によって算出する。ここで、符号Tは回転刃の回転周期を、符号Δsは1パルスあたりの搬送距離を、符号r1は送りモータ68の回転半径をそれぞれ表す。
【0049】
(数式1)
ω1(m)=ΔL(m)/(r1・T)=ΔPM(m)・Δs/(r1・T)
【0050】
数式1によって算出される回転速度ω1(m)は、回転刃28の回転速度が一定である場合において、切断機構4による切断が実行される切断タイミングに合わせて目標切断位置R(m)が実切断位置Rcに合致するのに必要な、送りモータ68の回転速度である。
【0051】
ステップ502の実行後、ステップ503に移行する。ステップ503では、カウント手段11から得られる累積カウント数Pが、ステップ501で読み出した目標累積カウント数PC(m−1)に合致しているかどうかを判断する。
【0052】
累積カウント数Pが目標累積カウント数PC(m−1)に合致していないとステップ503にて判断された場合には、再びステップ503にて、累積カウント数Pが目標累積カウント数PC(m−1)に合致しているかどうかの判断を行う。
【0053】
他方、累積カウント数Pが目標累積カウント数PC(m−1)に合致しているとステップ503にて判断された場合には、その時点からステップ504にて制御手段13が、送りモータ68の回転速度を回転速度ω1(m)に変更する。具体的には制御手段13は、図7に示す様なパターンの速度指令値を、サーボアンプ69を介して送りモータ68に与える。
【0054】
つまり、制御手段13は、累積カウント数Pが次の目標累積カウント数PC(m)に合致する合致タイミングが、切断機構4によってラベル基材Sの切断が実行される切断タイミングに合うように、送りモータ68の回転速度を制御する。
【0055】
ステップ504の実行後、ステップ505に移行する。ステップ505では、ラベル供給装置によるラベル供給を停止する指令があったかどうかを判断する。停止指令があったとステップ505にて判断された場合には、ラベル供給装置の制御が終了する。他方、停止指令がなかったとステップ505にて判断された場合には、ステップ506に移行する。
【0056】
ステップ506では、整数mに1を加算した値(m+1)を再び整数mとする。ステップ506の実行後、再びステップ501に移行し、次のセグメントSeg(m)について、上述したのと同様の制御を行う。そして、ステップ505にて停止指令があったと判断されるまで、ステップ501〜506が繰り返し実行される。
【0057】
2−3.ラベル供給装置の制御による効果
上述したラベル供給装置の制御によれば、目標切断位置R(m−1)の切断が実行された時点から、ラベルセグメントSeg(m)の長さΔL(m)に基づいて送りモータ23の回転速度を制御しているので、累積カウント数Pの目標累積カウント数PC(m)への合致タイミングが、次の目標切断位置R(m)の切断タイミングに一致する。
【0058】
よって、所定の回転速度で回転刃28を回転させている場合において、ラベル基材Sが長さの同じラベルセグメントからなる場合はもちろんのこと、長さの異なるラベルセグメントからなる場合、例えばラベルセグメントの長さにバラツキがある場合であっても、その長さの異なりの影響を受けることなしに、ラベル基材Sを切断目標位置R(n)にて精度良く切断することができる。
【0059】
しかも、累積カウント数Pが目標累積カウント数PC(m−1)に合致したかどうかを判断するだけで、目標切断位置R(m−1)の切断タイミングを知ることができるので、切断タイミングを別途に検知する必要がなく、以って制御が簡略化される。
【0060】
3.変形例
<変形例1>
上述した第2制御のステップ504では、図7に示す様に、累積カウント数Pが目標累積カウント数PC(m−1)に合致した時点から、送りモータ68に対して速度指令値として回転速度ω1(m)を与えている。ところが、図3に示す様にサーボアンプ69によって制御される送りモータ68は、速度指令値に対する追従性が高い。よって、送りモータ68の回転速度は、著しく大きな変化率で回転速度ω1(m)まで変更されてしまう。このため、ラベル基材Sは大きな衝撃を受け、ラベル基材Sに皺が生じたり、搬送機構3に対してラベル基材Sが滑ったりするなどの不具合の生じるおそれがある。
【0061】
そこで、送りモータ68に対して、図8に示す様なパターンの速度指令値を、サーボアンプ69を介して与える。これにより、ラベル基材Sへの衝撃を緩和することができる。具体的には送りモータ68を、所定の加速度Aで、数式2によって表わされる時間T1だけ加速させる。ここで、所定の加速度Aは、ラベル基材Sに不具合が生じない程度の加速度である。
【0062】
(数式2)
T1=T−√{T−{2(ΔPM(m)−ΔPM(m−1))・Δs/A}}
【0063】
<変形例2>
上述したラベル供給装置の第2制御で行った搬送速度の制御に代えて、回転刃28の回転速度を制御してもよい。以下、図9に示されるフローチャートを用いて具体的に説明する。
【0064】
ラベル供給装置によるラベル供給が開始されると、最初の切断が実行される。当該最初の切断では、目標切断位置は実切断位置Rcに合致している。
【0065】
最初の切断の実行後、ステップ901にて、第1制御(図4)のステップ403で算出された目標累積カウント数PC(m−1)、及びステップ404で算出された差分ΔPM(m)を読み出す(図3)。ここで符号mは整数を表す。
【0066】
ステップ901の実行後、ステップ902に移行する。ステップ902では、差分ΔPM(m)に基づいて制御手段13が、回転刃28の回転速度、具体的には回転刃モータ71(図3)の回転速度ω2(m)(rad/sec)を数式3によって算出する。ここで、符号Vは搬送速度を表す。
【0067】
(数式3)
ω2(m)=2π・V/ΔL(m)=2π・V/(ΔPM(m)・Δs)
【0068】
数式3によって算出される回転速度ω2(m)は、搬送速度Vが一定である場合において、目標切断位置R(m)が実切断位置Rcに合致するタイミングに合わせて切断機構4による切断を実行するのに必要な、回転刃モータ71の回転速度である。
【0069】
ステップ902の実行後、ステップ903に移行する。ステップ903では、カウント手段11から得られる累積カウント数Pが、ステップ901で読み出した目標累積カウント数PC(m−1)に合致しているかどうかを判断する。
【0070】
累積カウント数Pが目標累積カウント数PC(m−1)に合致していないとステップ903にて判断された場合には、再びステップ903にて、累積カウント数Pが目標累積カウント数PC(m−1)に合致しているかどうかの判断を行う。
【0071】
他方、累積カウント数Pが目標累積カウント数PC(m−1)に合致しているとステップ903にて判断された場合には、その時点からステップ904にて制御手段13が、回転刃モータ71の回転速度を回転速度ω2(m)に変更する。
【0072】
つまり、制御手段13は、切断機構4によってラベル基材Sの切断が実行される切断タイミングが、累積カウント数Pが次の目標累積カウント数PC(m)に合致する合致タイミングに合うように、回転刃モータ71の回転速度を制御する。
【0073】
ステップ904の実行後、ステップ905に移行する。ステップ905では、ラベル供給装置によるラベル供給を停止する指令があったかどうかを判断する。停止指令があったとステップ905にて判断された場合には、ラベル供給装置の制御が終了する。他方、停止指令がなかったとステップ905にて判断された場合には、ステップ906に移行する。
【0074】
ステップ906では、整数mに1を加算した値(m+1)を再び整数mとする。ステップ906の実行後、再びステップ901に移行し、次のセグメントSeg(m)について、上述したのと同様の制御を行う。そして、ステップ905にて停止指令があったと判断されるまで、ステップ901〜906が繰り返し実行される。
【0075】
本変形例に係る制御によれば、目標切断位置R(m−1)の切断が実行された時点から、ラベルセグメントSeg(m)の長さΔL(m)に基づいて回転刃モータ23の回転速度を制御しているので、切断タイミングが、累積カウント数Pが次の目標累積カウント数PC(m)に合致する合致タイミングに一致する。
【0076】
よって、所定の搬送速度Vでラベル基材Sを搬送している場合において、ラベル基材Sが長さの同じラベルセグメントからなる場合はもちろんのこと、長さの異なるラベルセグメントからなる場合、例えばラベルセグメントの長さにバラツキがある場合であっても、その長さの異なりの影響を受けることなしに、ラベル基材Sを切断目標位置R(n)にて精度良く切断することができる。
【0077】
<変形例3>
ラベルセグメント間に光透過部が形成されているラベル基材に代えて、光反射部が形成されたラベル基材を用いてもよい。この場合は、透過型の光学式センサに代えて反射型の光学式センサが、マークセンサ26として採用される。
【0078】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、マークセンサ26によって1つのマーク(光透過部S1(n))が検出された後、当該マークがラベル基材Sの搬送経路に沿って切断機構4に到達するまでの時間を、搬送機構3の搬送速度を制御手段13が制御することによって調整することにより、目標切断位置R(n)を、切断機構4による実切断位置Rcに合致せしめるものであれば、上記実施の形態に限らず、他の実施の形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態に係るラベル供給装置を示す正面図である。
【図2】ラベル基材及びマークセンサの検出位置を示し平面図である。
【図3】ラベル供給装置の構成を示したブロック図である。
【図4】ラベル供給装置の第1制御を示したフローチャートである。
【図5】ラベル供給装置の第2制御を示したフローチャートである。
【図6】ラベル基材の位置と累積カウント数との関係を説明する図である。
【図7】時間と速度指令値との関係を示したタイムチャートである。
【図8】変形例1に係る時間と速度指令値との関係を示したタイムチャートである。
【図9】変形例2に係るラベル供給装置の第2制御を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0080】
3 搬送機構
4 切断機構
11 カウント手段
12 算出手段
13 制御手段
26 マークセンサ
70 パルスエンコーダ(信号出力手段)
S ラベル基材
Seg(n) ラベルセグメント
R(n) 目標切断位置
Rc 実切断位置
Rs 検出位置
P 累積カウント数
PM(n) マーク検出時の累積カウント数
PC(n) 目標累積カウント数
L,ΔLc 距離
PL,ΔPc カウント数に換算した値
ΔPM(n) 差分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のラベルセグメント(Seg(n))が一方向に連続してなるラベル基材(S)をその長手方向に搬送しつつ、当該ラベル基材をラベルセグメント毎に切断して後段装置へ供給するラベル供給装置において、
ラベル基材を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送機構(3)と、
ラベル基材の搬送経路に沿って設置され、ラベル基材をラベルセグメント毎に切断する切断機構(4)と、
ラベル基材の搬送経路に沿って前記切断機構から離れて設置され、ラベル基材に対してラベルセグメント毎の目標切断位置と一定の相対位置に付されたマークを検出するマークセンサ(26)と、
前記マークセンサから得られる検出信号に基づいて、前記搬送機構の搬送速度を制御する制御手段(13)と
を備え、
前記制御手段は、前記マークセンサによって1つのマークが検出された後、当該マークがラベル基材の搬送経路に沿って切断機構に到達するまでの時間を、前記搬送速度を制御することによって調整することにより、当該マークと一定の相対位置に設定されている目標切断位置(R(n))を、前記切断機構による実切断位置(Rc)に合致せしめる、
ことを特徴とする、ラベル供給装置。
【請求項2】
前記搬送機構(3)によるラベル基材の搬送に伴って所定の周期で信号を出力する信号出力手段(70)と、
前記信号出力手段から出力された信号をカウントしてカウント数を累積するカウント手段(11)と、
前記マークセンサ(26)によるマークの検出時の累積カウント数(PM(n))に、マークセンサによる検出位置(Rs)から前記実切断位置(Rc)までの前記搬送経路に沿った距離(L)をカウント数に換算した値(PL)を加算し、当該マークと一定の相対位置に設置されている前記目標切断位置(R(n))と当該マークとの間の距離(ΔLc)をカウント数に換算した値(ΔPc)を加算または減算することによって、当該目標切断位置が実切断位置に合致するときの目標累積カウント数(PM(n))を算出する算出手段(12)と
を更に備え、
前記制御手段(13)は、前記カウント手段の累積カウント数(P)が前記目標累積カウント数(PC(n))に合致する合致タイミングが、前記切断機構(4)によってラベル基材の切断が実行させる切断タイミングに合うように、前記搬送機構(3)の搬送速度を制御する、請求項1に記載のラベル供給装置。
【請求項3】
前記制御手段(13)は、ラベル基材(S)の搬送経路に沿って互いに隣接する2つのマークのそれぞれについての前記マークセンサ(26)による検出時の累積カウント数(PM(n−1),PM(n))の差分(ΔPM(n))に基づいて、前記合致タイミングが前記切断タイミングに合うように、前記搬送機構(3)の搬送速度を制御する、請求項2に記載のラベル供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−234649(P2009−234649A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85921(P2008−85921)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】