説明

ラベル材料の加工方法およびその加工装置、ならびにラベル連続体の製造方法およびその製造機

【課題】ラベル材料1として、フィルム系のラベル基材3や柔らかい冷凍糊などの粘着剤4Aを採用した場合であっても、ラベルカットの端から粘着剤4Aが浸み出すことを防止し、印字する際のジャミングや印字障害を回避可能なラベル材料の加工方法およびその加工装置、ならびにラベル連続体の製造方法およびその製造機を提供すること。
【解決手段】ラベル材料1ないしラベル片11の切断予定線21に合わせて押し刃19により事前に形成した凹状の切断用溝22においてラベル基材3および粘着剤層4を切断刃23により切断することに着目し、ラベル材料1における切断予定線21に合わせて押し刃19を押し付けることにより、ラベル基材3および粘着剤層4を台紙5の方向に変形させて、ラベル基材3の表面側に切断予定線21に合わせて凹状の切断用溝22を形成し、凹状の切断用溝22の部位におけるラベル基材3および粘着剤層4を切断刃23により切断することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラベル材料の加工方法およびその加工装置、ならびにラベル連続体の製造方法およびその製造機にかかるもので、とくにラベル基材、粘着剤層および台紙を有するラベル材料の加工方法およびその加工装置、ならびにラベル連続体の製造方法およびその製造機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のラベル材料の加工方法について、図4ないし図7にもとづき概説する。
図4は、ラベル材料1およびラベル材料1を加工するための打抜き刃2(切断刃)を示す断面図であって、ラベル材料1は、ラベル基材3と、粘着剤層4と、台紙5と、を有し、その総厚が一般的には、100〜240μm程度である。
【0003】
ラベル基材3は、厚さたとえば20〜100μm程度の上質紙あるいは合成樹脂材などによる帯状の基材であって、あらかじめ所定の情報を印刷してあるか、所定のプリンター(図示せず)に装填して必要な情報を印字可能である。
【0004】
粘着剤層4は、ラベル基材3の裏面に必要な粘着特性の粘着剤4Aを塗布することにより厚さたとえば20〜30μm程度にこれを形成し、台紙5をはがした状態のラベル基材3を所定の物品(図示せず)に貼り付け可能とするものである。
【0005】
台紙5は、厚さたとえば60〜110μm程度であって、その表面に剥離剤層(図示せず)を有しており、粘着剤層4の裏面側にこれを仮着し、使用時にはがして、粘着剤層4を露出可能とする。
【0006】
打抜き刃2は、打抜き台6との間にラベル材料1を位置させて、ラベル材料1に対して、ラベル基材3の上方から台紙5に向かって打ち込むことにより、ラベル基材3および粘着剤層4を分離切断する。
【0007】
図5は、打抜き刃2をラベル基材3および粘着剤層4に向かって打ち込んだ状態を示す断面図であって、打抜き刃2の刃先2Aが台紙5の表面部分まで達しており(ただし刃先2Aが台紙5を切断することなく)、ラベル基材3および粘着剤層4を切断している。
【0008】
図6は、打抜き刃2をラベル材料1の部分から引き抜いた状態を示す断面図であって、ラベル基材3の切断端部3Aの部分において粘着剤層4が外部に向かって露出しているために、引き抜かれる打抜き刃2やその刃先2Aに粘着剤層4の粘着剤4Aが付着して引き上げられる結果、ラベル基材3の切断端部3Aに粘着剤層4の粘着剤4Aが浸み出してくるという問題がある。
また、切断した当初は粘着剤4Aの浸出し現象がない場合にも、時間の経過とともに粘着剤4Aが浸み出してくるという問題もある。
したがって、ラベル材料1の製造時に、その製造装置内の、たとえばローラーなどにラベル材料1の一部が貼り付いて運転を停止せざるを得ないという問題がある。
【0009】
また、図7は、ラベル材料1を製品としてロール状に巻いてロール状ラベル1Aとした状態を示す斜視図であって、図示のように、粘着剤層4から浸み出した粘着剤4Aが外周側の台紙5の裏面に貼り付いて、そのラベル基材3が本来仮着している台紙5から脱落したり、所定のプリンター(図示せず)に装填して印字する際のジャミングや印字障害を引き起こすという問題がある。
とくに、ラベル基材3が、その厚さが数十μm(たとえば20〜80μm程度)のごく薄いフィルム状である場合(とくに厚さが薄いネーマ紙などのフィルム系のラベル基材3の場合)、逆に粘着剤層4の厚さが厚い場合、さらには粘着剤層4における粘着剤4Aがたとえば冷凍糊など比較的弱粘タイプである場合に、こうした問題が発生しやすいという問題がある。
【0010】
このようなラベルカット部の端から粘着剤4Aが浸み出すトラブルに対して、打抜き刃2の刃先2Aを鋭角にしたり、刃先2Aにシリコーン剤を塗布するような対策を講じているが、抜本的な解決には至っていないというのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−178825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、ラベル基材の切断端部部分からの粘着剤層の粘着剤の外部への浸出し現象を防止可能としたラベル材料の加工方法およびその加工装置、ならびにラベル連続体の製造方法およびその製造機を提供することを課題とする。
【0013】
また本発明は、ラベルを製品としてロール状に巻いた状態であっても、台紙の裏側にラベル基材が貼り付いてしまうトラブルや、プリンターに装填して印字する際のジャミングや印字障害を回避可能としたラベル材料の加工方法およびその加工装置、ならびにラベル連続体の製造方法およびその製造機を提供することを課題とする。
【0014】
また本発明は、ラベル基材の切断端部の部分において粘着剤層の粘着剤を閉じ込めるようにすることができるラベル材料の加工方法およびその加工装置、ならびにラベル連続体の製造方法およびその製造機を提供することを課題とする。
【0015】
また本発明は、ラベル材料として、フィルム系のラベル基材や、柔らかい冷凍糊などの粘着剤を採用した場合であっても、ラベルカットの端から粘着剤が浸み出すことを防止可能なラベル材料の加工方法およびその加工装置、ならびにラベル連続体の製造方法およびその製造機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
すなわち本発明は、ラベル材料ないしラベル片の切断予定線に合わせて押し刃により凹状の切断用溝を事前に形成しておくこと、この凹状の切断用溝においてその下層側に位置するラベル基材および粘着剤層を切断刃(打抜き刃)により切断するという二段工程を採用することに着目したもので、第一の発明は、ラベル基材と、このラベル基材の裏面に形成した粘着剤層と、この粘着剤層に仮着する台紙と、を有するラベル材料に対して、上記ラベル基材の上方から上記台紙に向かって切断刃を打ち込むことにより、上記ラベル基材および上記粘着剤層を切断するラベル材料の加工方法であって、上記ラベル基材および上記粘着剤層に対して、上記ラベル材料における切断予定線に合わせて押し刃を押し付けることにより、上記ラベル基材および上記粘着剤層を上記台紙の方向に変形させて、上記ラベル基材の表面側に上記切断予定線に合わせて凹状の切断用溝を形成し、ついで、この凹状の切断用溝の部位における上記ラベル基材および上記粘着剤層を切断刃により切断することを特徴とするラベル材料の加工方法である。
【0017】
第二の発明は、ラベル基材と、このラベル基材の裏面に形成した粘着剤層と、この粘着剤層に仮着する台紙と、を有するラベル材料に対して、上記ラベル基材の上方から上記台紙に向かって切断刃を打ち込むことにより、上記ラベル基材および上記粘着剤層を切断するラベル材料の加工装置であって、上記ラベル材料における切断予定線に合わせて上記ラベル基材および上記粘着剤層を上記台紙の方向に押し付け可能な押し刃を有する押し刃ユニットと、上記切断予定線の部位における上記ラベル基材および上記粘着剤層を切断可能な切断刃を有する切断刃ユニットと、を有することを特徴とするラベル材料の加工装置である。
【0018】
第三の発明は、ラベル基材と、このラベル基材の裏面に形成した粘着剤層と、この粘着剤層に仮着する台紙と、を有するラベル材料に対して、上記ラベル基材の上方から上記台紙に向かって切断刃を打ち込むことにより、上記ラベル基材および上記粘着剤層を切断して上記台紙上に複数枚のラベル片を形成し、ラベル連続体として製造するラベル連続体の製造方法であって、上記ラベル材料の上記ラベル基材および上記粘着剤層に対して、上記ラベル片の切断予定線に合わせて押し刃を押し付けることにより、上記ラベル基材および上記粘着剤層を上記台紙の方向に変形させて、上記ラベル基材の表面側に上記切断予定線に合わせて凹状の切断用溝を形成し、ついで、この凹状の切断用溝の部位における上記ラベル基材および上記粘着剤層を切断刃により切断することを特徴とするラベル連続体の製造方法である。
【0019】
第四の発明は、ラベル基材と、このラベル基材の裏面に形成した粘着剤層と、この粘着剤層に仮着する台紙と、を有するラベル材料に対して、上記ラベル基材の上方から上記台紙に向かって切断刃を打ち込むことにより、上記ラベル基材および上記粘着剤層を切断して上記台紙上に複数枚のラベル片を形成し、ラベル連続体として製造するラベル連続体の製造機であって、上記ラベル材料の供給部と、この供給部から供給された上記ラベル材料の上記ラベル基材および上記粘着剤層を上記ラベル片の切断予定線に合わせて上記台紙の方向に押し付け可能な押し刃を有する押し刃ユニットと、上記切断予定線の部位における上記ラベル基材および上記粘着剤層を切断可能な切断刃を有する切断刃ユニットと、を有することを特徴とするラベル連続体の製造機である。
【0020】
上記切断刃ユニットの下流側に位置するとともに、上記ラベル材料からラベルカス部分をカス取りするカス取りユニットを有することができる。
【0021】
上記押し刃は、上記ラベル基材および上記粘着剤層を上記台紙の方向に変形させて、上記ラベル基材の表面側に上記切断予定線に合わせて凹状の切断用溝を形成可能とすることができる。
【0022】
上記押し刃は、上記ラベル基材および上記粘着剤層を上記台紙の方向に変形させて、上記切断予定線の部位における上記ラベル基材と上記台紙との間の上記粘着剤層の厚さを薄くすることができる。
【0023】
上記押し刃は、その先端部が上記ラベル基材に向かって凸状であることができる。
【0024】
上記押し刃は、その先端部が上記ラベル基材に向かって断面台形状であることができる。
【0025】
上記切断刃は、上記切断予定線において上記ラベル基材および上記粘着剤層を切断することにより、上記ラベル基材の切断端部が上記ラベル基材と上記台紙との間に上記粘着剤層を閉じ込めることができるようにすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によるラベル材料の加工方法およびその加工装置、ならびにラベル連続体の製造方法およびその製造機においては、加工すべきラベルないしラベル片の形状に合わせた切断予定線の部分においてラベル基材の表面を押し刃で所定の押圧力で押し付けることにより、ラベル基材の表面に押し型ないし押し跡(凹状の切断用溝)を形成し、この凹状の切断用溝に合わせて切断刃によりラベル材料(ラベル基材および粘着剤層)を切断するようにしたので、最初に押し刃で押し付けた部分の粘着剤層の粘着剤が切断用溝の左右に分かれてラベルカット部(すなわち、凹状の切断用溝)の部分には粘着剤が事実上ほとんど残っていない状態になり、この切断用溝の部分のラベル基材および粘着剤層を切断することにより、ラベル基材の切断端部がラベル基材と台紙との間に粘着剤層を閉じ込める状態となって、当該切断端部には粘着剤がほとんどなくなっていることになり、粘着剤層から外部への粘着剤の浸み出しが発生しないラベル(ラベル片、あるいはラベル連続体)を加工、製造することができる。
【0027】
とくに第一の発明のラベル材料の加工方法によれば、ラベル材料の切断予定線に合わせて押し刃を押し付けることにより、この切断予定線の部位におけるラベル基材および粘着剤層のみを台紙の方向に変形させて、ラベル基材の表面側に切断予定線に合わせて凹状の切断用溝を形成し、ついで、この凹状の切断用溝の部位におけるラベル基材および粘着剤層を切断刃により切断するようにしたので、ラベル基材の切断端部から粘着剤を浸み出させることがないラベル製品に加工することができる。
【0028】
とくに第二の発明のラベル材料の加工装置によれば、ラベル基材および粘着剤層をラベル材料の切断予定線に合わせて押し付け可能な押し刃を有する押し刃ユニットと、切断予定線の部位におけるラベル基材および粘着剤層を切断可能な切断刃を有する切断刃ユニットと、を設けたので、押し刃ユニットによる押し型(凹状の切断用溝)に合わせて切断刃ユニットによる切断操作を行うことができ、ラベル基材の切断端部を台紙の方向に変形させて、粘着剤層を閉じ込めることができるようなラベル加工が可能となる。
【0029】
とくに第三の発明のラベル連続体の製造方法によれば、ラベル材料のラベル基材および粘着剤層に対して、ラベル片の切断予定線に合わせて押し刃を押し付けることにより、この切断予定線の部位におけるラベル基材および粘着剤層のみを台紙の方向に変形させて、ラベル基材の表面側に切断予定線に合わせて凹状の切断用溝を形成し、ついで、この凹状の切断用溝の部位におけるラベル基材および粘着剤層を切断刃により切断するようにしたので、それぞれのラベル片の切断端部から粘着剤が浸み出すことがないラベル連続体を製造することができる。
【0030】
とくに第四の発明のラベル連続体の製造機によれば、供給部から供給されたラベル材料のラベル基材および粘着剤層をラベル片の切断予定線に合わせて押し付け可能な押し刃を有する押し刃ユニットと、切断予定線の部位におけるラベル基材および粘着剤層を切断可能な切断刃を有する切断刃ユニットと、を設けたので、押し刃ユニットおよび切断ユニットのそれぞれの協働操作により、ラベル片の切断端部から粘着剤が浸み出すことがないラベル連続体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の本発明の実施例によるラベル連続体の製造機10の概略側面図である。
【図2】同、押し刃ユニット14において押し刃19をラベル材料1に向かって押し付けた状態の拡大断面図である。
【図3】同、切断刃ユニット15において切断刃23をラベル材料1に向かって打ち込んだ状態の拡大断面図である。
【図4】従来からの、ラベル材料1およびラベル材料1を加工するための打抜き刃2(切断刃)を示す断面図である。
【図5】同、打抜き刃2をラベル基材3および粘着剤層4に向かって打ち込んだ状態を示す断面図である。
【図6】同、打抜き刃2をラベル材料1の部分から引き抜いた状態を示す断面図である。
【図7】同、ラベル材料1を製品としてロール状に巻いてロール状ラベル1Aとした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、押し刃による凹状の切断用溝の形成、および切断刃によるこの切断用溝の部分におけるラベル基材および粘着剤層の切断という二段工程を採用したので、ラベル基材の切断端部における粘着剤層の厚さを極力薄くして、その外方への浸み出しを回避可能としたラベル材料の加工方法およびその加工装置、ならびにラベル連続体の製造方法およびその製造機を実現した。
【実施例】
【0033】
つぎに本発明の実施例によるラベル材料の加工方法およびその加工装置、ならびにラベル連続体の製造方法およびその製造機を図1ないし図3にもとづき説明する。ただし、図4ないし図7と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、ラベル連続体の製造機10の概略側面図であって、この製造機10は、前記ラベル材料1(図4)のラベル基材3および粘着剤層4を切断して台紙5上に複数枚のラベル片11を形成し、ラベル連続体12として製造するものであって、ラベル材料1の供給部13と、押し刃ユニット14と、切断刃ユニット15と、カス取りユニット16と、巻取り部17と、を有する。
なお、必要であれば、切断刃ユニット15とカス取りユニット16との間に、熱転写方式あるいは熱発色方式その他任意の方式による印刷部18(図1中、仮想線)を設けることもできる。
【0034】
供給部13は、帯状のラベル材料1をロール状に保持し、押し刃ユニット14方向にラベル材料1を帯状に繰り出し可能とする。
なお、図1において、供給部13と押し刃ユニット14との間におけるラベル材料1の拡大断面図を示し、押し刃ユニット14と切断刃ユニット15との間におけるラベル材料1の拡大断面図を示し、切断刃ユニット15と印刷部18との間におけるラベル材料1の拡大断面図を示し、カス取りユニット16と巻取り部17との間におけるラベル材料1(ラベル連続体12)の平面図をそれぞれ示している。
【0035】
押し刃ユニット14は、ラベル片11の形状に打ち抜くための形状に形成した押し刃19と、前記打抜き台6(図4)に対応する打抜き台20と、を有する。
押し刃19は、加工すべきラベルないしラベル片11の外周形状と同じ形状およびサイズを有するもので、供給部13から供給されたラベル材料1のラベル基材3および粘着剤層4をラベル片11の切断予定線21に合わせて厚さ方向すなわち、台紙5の方向に押し付け可能である。
【0036】
図2は、押し刃ユニット14において押し刃19をラベル材料1に向かって押し付けた状態の拡大断面図であって、押し刃19は、その断面円弧状の先端部19Aがラベル基材3に向かって凸状であり、ラベル基材3および粘着剤層4を台紙5の方向に強制的に変形させて、ラベル基材3の表面側に切断予定線21に合わせて凹状の切断用溝22を形成可能とする。
なお、押し刃19の直径は、たとえば1〜2mm程度とすることができる。
かくして、押し刃19は、ラベル基材3および粘着剤層4を台紙5の方向に変形させて、切断予定線21(凹状の切断用溝22)の部位におけるラベル基材3と台紙5との間の粘着剤層4の厚さを薄くすることができるようにしている。
なお、図2に仮想線で示すように、押し刃19は、ラベル基材3に向かって断面台形状の先端部19Bを有するように構成することもできる。
この場合の、押し刃19の直径は、たとえば1〜2mm程度とするとともに、その台形の上底の長さは1mm以下とすることが望ましい。
【0037】
本発明における押し刃の形状は、ラベル基材3の表面に当接するその先端部が上述のような断面円弧状あるいは断面台形状以外にも、ラベル片11の外縁部においてラベル基材3および粘着剤層4の断面形状が台紙5側に漸次変形させた状態でその内方領域に粘着剤4Aを閉じ込めることができる形状であれば、任意の形状を採用可能である。
【0038】
切断刃ユニット15は、切断予定線21の部位におけるラベル基材3および粘着剤層4を切断可能な切断刃23と、前記打抜き台6(ないし打抜き台20)に対応する打抜き台24と、を有する。
【0039】
図3は、切断刃ユニット15において切断刃23をラベル材料1に向かって打ち込んだ状態の拡大断面図である。
切断刃23は、上記押し刃ユニット14における押し刃19と同様に、加工すべきラベルないしラベル片11の外周形状と同じ形状およびサイズを有するもので、その鋭利な切断用先端部23Aが切断予定線21においてラベル基材3および粘着剤層4を切断することにより、ラベル基材3の切断端部3Aがラベル基材3と台紙5との間に粘着剤層4を閉じ込めることができるようにしている。
なお、切断刃23の直径は、たとえば0.5〜1mm程度とし、従来の前記打抜き刃2(図4)と同様のものを用いることができる。
【0040】
カス取りユニット16は、切断刃ユニット15および印刷部18の下流側に位置するとともに、カス取りローラー25の部分においてラベル材料1からラベル片11の周囲のラベル基材3をラベルカス部分26としてカス巻取り部27に巻き取る。
【0041】
巻取り部17は、かくして加工製造されたラベル連続体12をロール状に巻き取り可能とし、ラベル製品とする。
【0042】
上述のような押し刃ユニット14および切断刃ユニット15からラベル材料1の加工装置28を構成する。
【0043】
こうした構成のラベル連続体12の製造機10およびラベル材料1の加工装置28において、まず押し刃ユニット14において、とくに図2に示すように、ラベル基材3および粘着剤層4に対し、ラベル材料1における切断予定線21に合わせて押し刃19を押し付けることにより、ラベル基材3および粘着剤層4を台紙5の方向に変形させて、ラベル基材3の表面側に切断予定線21に合わせて凹状の切断用溝22を形成する。
ついで、図3に示すように、切断刃ユニット15において、この凹状の切断用溝22の部位におけるラベル基材3および粘着剤層4を切断刃23により切断する。
【0044】
かくして、ラベル基材3の切断端部3Aが粘着剤層4を外部に対して閉鎖するように変形しているので、この切断刃23によるラベル基材3および粘着剤層4の切断、さらには切断刃23の上方(ラベル基材3から離反する方向)への引き上げ操作によっても、切断刃23に付着する粘着剤4Aはきわめて少なく、図6において従来の加工方法について説明したような、ラベル基材3の切断端部3Aから外方に粘着剤層4の粘着剤4Aが浸み出してくるということはない。
【0045】
なお上述の実施例においては、本発明としてラベル連続体12の製造機10を例示して説明したが、ラベル連続体12の製造機10以外にも、ラベル材料1から単葉のラベル片11を加工、製造する際にも本発明を応用可能である。
【0046】
また、押し刃ユニット14および切断刃ユニット15については、フラットダイカットの場合を例示したが、ロータリーダイカットの構成によってこれらを構成することもできる。
【符号の説明】
【0047】
1 ラベル材料(図1、図7)
1A ロール状ラベル(図7)
2 打抜き刃(切断刃、図4)
2A 打抜き刃2の刃先
3 ラベル基材
3A ラベル基材3の切断端部(図1〜3、図6)
4 粘着剤層
4A 粘着剤層4の粘着剤
5 台紙
6 打抜き台
10 ラベル連続体の製造機(実施例、図1)
11 ラベル片
12 ラベル連続体
13 供給部
14 押し刃ユニット
15 切断刃ユニット
16 カス取りユニット
17 巻取り部
18 印刷部
19 押し刃ユニット14の押し刃
19A 押し刃19の断面円弧状の先端部(図2)
19B 押し刃19の断面台形状の先端部(図2、仮想線)
20 押し刃ユニット14の打抜き台
21 切断予定線
22 凹状の切断用溝
23 切断刃ユニット15の切断刃
23A 切断刃23の切断用先端部
24 切断刃ユニット15の打抜き台
25 カス取りローラー
26 ラベルカス部分
27 カス巻取り部
28 ラベル材料の加工装置(実施例、図1)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル基材と、
このラベル基材の裏面に形成した粘着剤層と、
この粘着剤層に仮着する台紙と、を有するラベル材料に対して、前記ラベル基材の上方から前記台紙に向かって切断刃を打ち込むことにより、前記ラベル基材および前記粘着剤層を切断するラベル材料の加工方法であって、
前記ラベル基材および前記粘着剤層に対して、前記ラベル材料における切断予定線に合わせて押し刃を押し付けることにより、前記ラベル基材および前記粘着剤層を前記台紙の方向に変形させて、前記ラベル基材の表面側に前記切断予定線に合わせて凹状の切断用溝を形成し、
ついで、この凹状の切断用溝の部位における前記ラベル基材および前記粘着剤層を切断刃により切断することを特徴とするラベル材料の加工方法。
【請求項2】
ラベル基材と、
このラベル基材の裏面に形成した粘着剤層と、
この粘着剤層に仮着する台紙と、を有するラベル材料に対して、前記ラベル基材の上方から前記台紙に向かって切断刃を打ち込むことにより、前記ラベル基材および前記粘着剤層を切断するラベル材料の加工装置であって、
前記ラベル材料における切断予定線に合わせて前記ラベル基材および前記粘着剤層を前記台紙の方向に押し付け可能な押し刃を有する押し刃ユニットと、
前記切断予定線の部位における前記ラベル基材および前記粘着剤層を切断可能な切断刃を有する切断刃ユニットと、
を有することを特徴とするラベル材料の加工装置。
【請求項3】
前記押し刃は、前記ラベル基材および前記粘着剤層を前記台紙の方向に変形させて、前記ラベル基材の表面側に前記切断予定線に合わせて凹状の切断用溝を形成可能とすることを特徴とする請求項2記載のラベル材料の加工装置。
【請求項4】
前記押し刃は、前記ラベル基材および前記粘着剤層を前記台紙の方向に変形させて、前記切断予定線の部位における前記ラベル基材と前記台紙との間の前記粘着剤層の厚さを薄くすることができるようにしたことを特徴とする請求項2または3記載のラベル材料の加工装置。
【請求項5】
前記押し刃は、その先端部が前記ラベル基材に向かって凸状であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のラベル材料の加工装置。
【請求項6】
前記押し刃は、その先端部が前記ラベル基材に向かって断面台形状であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のラベル材料の加工装置。
【請求項7】
前記切断刃は、前記切断予定線において前記ラベル基材および前記粘着剤層を切断することにより、前記ラベル基材の切断端部が前記ラベル基材と前記台紙との間に前記粘着剤層を閉じ込めることができるようにしたことを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載のラベル材料の加工装置。
【請求項8】
ラベル基材と、
このラベル基材の裏面に形成した粘着剤層と、
この粘着剤層に仮着する台紙と、を有するラベル材料に対して、前記ラベル基材の上方から前記台紙に向かって切断刃を打ち込むことにより、前記ラベル基材および前記粘着剤層を切断して前記台紙上に複数枚のラベル片を形成し、ラベル連続体として製造するラベル連続体の製造方法であって、
前記ラベル材料の前記ラベル基材および前記粘着剤層に対して、前記ラベル片の切断予定線に合わせて押し刃を押し付けることにより、前記ラベル基材および前記粘着剤層を前記台紙の方向に変形させて、前記ラベル基材の表面側に前記切断予定線に合わせて凹状の切断用溝を形成し、
ついで、この凹状の切断用溝の部位における前記ラベル基材および前記粘着剤層を切断刃により切断することを特徴とするラベル連続体の製造方法。
【請求項9】
ラベル基材と、
このラベル基材の裏面に形成した粘着剤層と、
この粘着剤層に仮着する台紙と、を有するラベル材料に対して、前記ラベル基材の上方から前記台紙に向かって切断刃を打ち込むことにより、前記ラベル基材および前記粘着剤層を切断して前記台紙上に複数枚のラベル片を形成し、ラベル連続体として製造するラベル連続体の製造機であって、
前記ラベル材料の供給部と、
この供給部から供給された前記ラベル材料の前記ラベル基材および前記粘着剤層を前記ラベル片の切断予定線に合わせて前記台紙の方向に押し付け可能な押し刃を有する押し刃ユニットと、
前記切断予定線の部位における前記ラベル基材および前記粘着剤層を切断可能な切断刃を有する切断刃ユニットと、
を有することを特徴とするラベル連続体の製造機。
【請求項10】
前記切断刃ユニットの下流側に位置するとともに、前記ラベル材料からラベルカス部分をカス取りするカス取りユニットを有することを特徴とする請求項9記載のラベル連続体の製造機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−35122(P2013−35122A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170114(P2011−170114)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】