説明

ラベル貼付用接着組成物におけるマメ科澱粉の使用

本発明は、ラベル貼付用接着組成物を製造するための、天然または改質マメ科澱粉の使用に関する。前記マメ科澱粉は、25〜60重量%(乾燥/乾燥)の範囲のアミロース含有量を有し、エンドウマメ澱粉、特に、重量で少なくとも30%であるが50%未満のアミロース含有量を有するエンドウマメ澱粉として具体化できる。該接着組成物は、ガラスまたはプラスチック瓶にラベルを貼付するのに有利に使用することができ、マメ科澱粉に加え、その他天然の多糖またはタンパク質ポリマー、例えばその他の天然もしくは改質したマメ科または非マメ科澱粉、特に少なくとも80重量%(乾燥/乾燥)のアミロペクチン含有量を有する澱粉を含むことができる。マメ科澱粉を使用すると、貯蔵安定性、レオロジー、および耐水性に関する優れた特性を有する、場合によっては乾燥物質量の多い(>40%)、ラベル貼付用接着剤を得ることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、ラベル貼付用接着組成物におけるマメ澱粉の使用である。
【0002】
最も特に、瓶、特にガラス瓶に対するラベル貼付業務を目的とした水性糊におけるこのような澱粉の使用に関する。
【0003】
また、前記ラベル貼付分野における、マメ澱粉と、その他天然由来の少なくとも1種のポリマー、多糖類またはタンパク質類の組合せ使用に関する。
【背景技術】
【0004】
ラベル貼付用接着剤の調製において天然由来の材料を使用することは、数十年に渡り広く発表され、工業的に活用されてきた。ガラス基材に紙ラベルを貼付することを目的とした、カゼインおよび/または澱粉質材料をベースにした水性糊の場合には特にそうである。
【0005】
一般に、ラベル貼付用接着剤は、以下のa)からi)までの評価基準をすべて満たすべきである。
【0006】
すなわち、
a)ラベルと基材が付着する実際の工程に先行する単位工程に適した、特に、糊の調製、移送および塗布のためのますます迅速で効率的な方法および装置に適した、基材にラベルを配置するのに適した、および瓶詰工程に適した一般的レオロジー特性を有すること。
【0007】
ガラス瓶にラベルを貼付することを意図した糊の場合、望ましい粘度、例えば20,000〜150,000mPa.s(25℃)の粘度を有すると同時に、比較的大きな、すなわち40%を超える乾燥固体含有量を有する接着剤に適したこれらのレオロジー特性を獲得することが可能でなければならない。
【0008】
b)特に、十分な「タック」特性、すなわち、実際の結合現象を起こす接着剤から相当量の水分が失われる前に、2つの接着基面(ラベルおよび基材)の一方を他方に重ねると直ぐに、2つの接着基面を重ねたままで保持するに十分な能力を有すること。
【0009】
この最小タックは、例えば、ガラス瓶に貼り付けたばかりの紙ラベルが瓶に沿って滑動するのを回避できるものでなければならない。この結果は、表面が湿ったまたは乾燥したいずれの瓶についても達成されなければならない。
【0010】
c)特に、いわゆる「ショート」テクスチャー(切れのよい特質)、すなわち、高速の場合を含め、糊の効果的で完全な配分を可能にし、および特に、ラベル貼付機の汚点源である、「フィラメント」、しみおよび/またははみ出しの形成を抑えるテクスチャーを有すること。
【0011】
d)その基材にラベルを配置した後、十分な接着特性を発揮し、次には、その特性を維持し、すべての種類の環境でそうであること。接着剤は、特に、結露水を含め、水に対して良好な耐水性をもつべきである。瓶(ワイン、シャンパン、ビールなどの)は、中身を冷やすために、冷蔵庫、アイスバケット、または冷水中に置かれることが多い。それ故、このような環境でラベルが基材から剥離しないことが、美的観点からも含め極めて重要である。
【0012】
e)ガラスまたはプラスチック物品を再使用またはリサイクルするためのますます頻繁になる業務を考慮し、前記物品にマークまたは残渣を残すことなく簡単かつ費用の安い条件でラベルを剥がすことが可能であること。接着剤は、特に、従来からの高温洗浄処理、場合によってはアルカリ浴中での洗浄処理によって、物品の表面から容易にかつ完全に除去されるべきである。
【0013】
f)接着剤の製造業者さらに塗布者(例えば瓶詰業者)、およびそれに続くラベルを貼った市販商品の取扱者またはユーザーにとって、許容できる感覚刺激特性(透明性、色、匂いを含む)を有すること。
【0014】
g)貯蔵中、可能なら少なくとも数ヶ月間、上記a)〜f)の箇所で言及したような、一般的または特定のレオロジー特性、接着特性、除去特性および感覚刺激特性を保持すること。
【0015】
h)特に、人間および環境の保護に関するこれまでの規制に関して、違反することがなく、かつ生物分解性を有すること。
【0016】
i)可能なら最も単純でかつ最も「自然」な組成を有し、および可能なら価格が最も安いこと。
【0017】
しかし、カゼインおよび澱粉質材料の両者とも、上記評価基準a)〜i)のすべてを満たすことは必ずしも可能でないと思われる。
【0018】
カゼインは、動物起源のタンパク質(牛乳から取り出したタンパク質)であり、塩基性媒質に可溶であり、冷却すると極めて著しく粘稠になる特性を有する。この特性のため、このポリマーは、冷たくかつ濡れた瓶にラベルを貼る作業において特に重要である。さらに、この現象は熱的に可逆なので、高温度で洗浄することによってカゼインを比較的容易に除去できる。
【0019】
しかし、カゼインは、次の欠点を有する。すなわち、
-まさにその粘度の温度条件に対する依存性が高いため、熱いガラス(例えば殺菌した瓶)にラベルを貼る作業に対する適合性が乏しく、
-瓶およびその他の物品をリサイクルするための業務では、塩基性媒質中で洗浄する必要があり、
-特有の臭気が強く、着色が著しく、
-コストが、特に澱粉質材料と比較して高く、かつ大きな価格変動を受けやすい。
【0020】
澱粉質材料は、全般的にみて、コストが比較的低くかつ安定しており、水で除去することが容易であり、感覚刺激特性が適切であるという利点がある。
【0021】
これらの澱粉質材料の中で、いわゆる「アミロペクチン-リッチ」またはもち澱粉は、それらの澱粉を導入した糊に対して、極めて良好な貯蔵安定性、および化学改質により前に定義した「ショート」テクスチャーを最高に著しく付与する。例えば、本出願人が開発し、市販している、「DEXYLOSE(登録商標)I231」と呼ぶ製品がそうである。
【0022】
しかし、一般に、澱粉質材料をベースにした糊には、次の欠点がある、すなわち、
-冷たいおよび/または濡れた基材に対するタックが不足しており、
-耐水性が乏しい。
【0023】
したがって、前記ポリマー(カゼイン、澱粉質材料)が、前記評価基準a)〜i)のすべてを満たす接着剤を提供できるとは必ずしも限らない。
【0024】
ラベル貼付用接着剤におけるこれらポリマーの使用に関連した問題の1つは、特に、良好な耐水性(前記評価基準d)参照)および熱水を用いる簡単な洗浄による除去の容易さ(前記評価基準f))という、矛盾しているとも考えられる特性を同時に達成することにある。
【0025】
これら特性間の許容できる妥協案を得る目的で、澱粉とスチレン-無水マレイン酸コポリマーのアンモニウム塩などの合成樹脂とを組み合わせた水性接着剤が提案されている。それほど生物分解性ではないこのような樹脂は、環境問題、特にリサイクル瓶を洗浄するのに使用する水に関する環境問題を引き起こす。さらに、米国特許第4,336,166号で強調されているように、これらの接着剤は、望ましいレオロジー特性および安定性を示さない。この結果に対して、前記特許は、前記アンモニウム塩を同じスチレン-無水マレイン酸樹脂の亜鉛塩で置き換えることを提案している。
【0026】
しかし、この米国特許4,336,166号で推奨されている水性組成物は、実際問題として、
-その組成物が特にベントナイトおよび安息香酸グリコールをベースにした可塑剤系も含んでいるので、比較的複雑であり、
-樹脂エマルジョンの比率が比較的高く(乾燥/乾燥で3〜20%)、かつ澱粉(類)含有量が比較的低い(乾燥/乾燥で最大35%)ので、比較的高価であり、それほど生物分解性ではない。
【0027】
ガラス物品にラベルを貼付することを目的とした水性糊のレオロジー特性および安定性を改善するために、別の解決法が提案されている。
【0028】
米国特許第4,462,838号には、酸化澱粉エーテル、一般には酸化ジャガイモ澱粉のヒドロキシプロピル化エーテル、および天然由来(その他の澱粉誘導体、カゼインおよび/またはセルロース誘導体)または合成起源(ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン)の少なくとも1種の第二ポリマーを必ず含有し、該第二ポリマーが必ず水溶性でかつ接着剤の調製に際し酸化澱粉エーテルの前に使用される、ポリマー組成物が記載されている。
【0029】
この文献に例示されている接着組成物は、ほとんどの場合、少なくとも3種の異なるポリマーを使用し、その中の2種は、改質澱粉、すなわち、厳密な指定で必ず存在する、水可溶化カチオン澱粉、さらに酸化澱粉エーテルであるので、複雑でありかつ高価である。
【0030】
さらに、この米国特許第4,462,838号では、これら組成物の耐水性および熱水によるこれら組成物の除去可能性について検討していない。
【0031】
その役割に関し、米国特許第4,675,351号は、適切なレオロジー特性を有する水性ラベル貼付糊を得るために、可溶化ダイズタンパク質(類)、合成ポリマー、および澱粉もしくは穀物粉の組合せを推奨しており、酸化亜鉛を使用することによって前記糊に耐水性を付与する。
【0032】
得られる接着剤は、熱アルカリ水洗浄によって容易に除去できるものとして提供される。
【0033】
しかし、これらの糊を貯蔵した後に、これら特性のすべてが保持されるのか否かについては示されていない。
【0034】
さらに、これら接着剤の製造方法は、比較的複雑でかつ費用が嵩むと思われる。いずれの場合も、かなりの量(1〜10重量%)の合成ポリマー(ポリ酢酸ビニルエマルジョン)を使用し、かつ、澱粉の使用量を制限する(最大で15重量%)ことが必ず必要である。
【0035】
米国特許第4,804,414号は、これらの水性澱粉糊に対して良好な耐水性およびアルカリ水中での除去特性を付与するように選択された、アルカリ性基材を中和して作った可溶化生成物およびロジン組成物からなる樹脂の使用を推奨している。しかし、実際にこれらの特性を得るためには、澱粉が、必ず、a)いわゆる「アミロペクチン-リッチ」またはもち澱粉、すなわち重量で5%を超えるアミロースを含む澱粉であり、かつb)高比率の特定ロジン樹脂(重量で澱粉の40〜50%)と組み合わせなければならない。
【0036】
より最近、米国特許第5,455,066号および5,441,562号に記載されているように、水性ラベル貼付糊の調製において、ロジンをベースにした特定の樹脂またはガムを、カゼインおよび場合によっては澱粉と組み合わせてもいる。しかし、前記特許の実施例によれば、やはり、前記樹脂またはガムが、その糊の乾燥固体含有量の中で極めて高い比率を占める(少なくとも重量で30〜35%)。さらに、良好な特性、特にレオロジーおよび/または接着特性を得るためには、前記糊にメタノール、エチレングリコールまたはグリセロールなどの一価または多価アルコールをかなりのレベルで含有させなければならない。
【0037】
米国特許第5,641,349号には、その実施例31に、特定のいわゆる熱的抑制法によって処理したキャッサバ澱粉をベースにした、瓶用水性ラベル貼付糊が記載されている。
【0038】
それほど生物分解性ではないこの接着剤は、高比率の、すなわちキャッサバ澱粉の重量に対する重量で表して50%の、エチレン-酢酸ビニル(EVA樹脂)型合成樹脂を含んでいる。
【0039】
得られる糊の応用性能に関する特徴、特に、耐水性および熱(アルカリ)水による除去についての詳細な記載は、まったくない。
【0040】
さらに最近になって、EVA樹脂の使用が推奨されており、
-特許出願WO01/08984に記載されているように、カゼインをベースにした、チクソトロピーの改善された水性ラベル貼付糊を調製するに際しての、特に酸化亜鉛との組合せ、および
-特許出願WO01/85866に記載されているように、良好な耐冷水性を有する、カゼインまたは澱粉混合物(組成を特定しない澱粉ブレンド物)をベースにした水性ラベル貼付糊を調製するに際しての、特に水酸化アンモニウムおよびロジン樹脂との組合せが例示されている。
【0041】
最後に、US2003/0064178、またはそれに相当する出願WO03/029378中で、ガラス製容器に透明プラスチックラベルを配置するのに特に適し、特徴としてゼラチンおよび少なくとも1種の澱粉を含む、水性ラベル貼付糊を調製することが提案されている。
【0042】
極めて広い意味で、前記澱粉は、穀類、塊茎、根茎、豆果、または果実から取り出すことが可能であり、用語「エンドウマメ」は、潜在的に使用可能な天然澱粉を列挙したリストに記載されていることを申し述べたい。
【0043】
しかし、極めて好ましくは、これらの糊は、「アミロペクチン-リッチ」またはもち澱粉を含み、後者は、特に、本明細書のすべての実施例で使用される前記製品「DEXYLOSE(登録商標)I231」など、α化して改質したもちトウモロコシ澱粉から構成できる。
【0044】
さらに、この特許出願US2003/0064178またはWO03/029378の幾つかの教示は、
-一方で、「アミロペクチン-リッチ」澱粉を「アミロース-リッチ」澱粉と有利に組み合わせることができると述べられているが、
-他方で、前記DEXYLOSE(登録商標)I231と組み合わせて言及または例示された唯一の澱粉は、それぞれ、a)本出願者が上市している、「COLLYS(登録商標)BR」と称され、架橋小麦澱粉からなる製品、またはb)AVEBE社が上市している、「SOLVICOL GP45」と称され、加水分解ジャガイモ澱粉として提供される製品である、という意味で、不明瞭で、かつ矛盾している。
【0045】
前者は、小麦澱粉から取り出され、したがって24〜28%程度のアミロース含量を有し、後者は、ジャガイモ澱粉から取り出され、したがって20〜23%程度のアミロース含量を有するので、これら2つの製品のいずれも「アミロース-リッチ」澱粉ではないことを認識すべきである。
【0046】
したがって、前記例のいずれも、本当に「アミロース-リッチ」澱粉の使用を記載していない。さらに、例示された組成物のすべてが、とりわけ炭酸亜鉛からなる架橋剤を含んでいる。さらに、調製した接着剤は、良好な濡れタックおよび良好な清澄および透明特性を有することが、この出願の中で一般的な用語で簡単に言及されている。特に、これら接着剤の、耐水性、熱水による除去可能性、および貯蔵安定性、プラスチック製以外のその他のラベル、特に紙ラベルに対する適用可能性に関する、詳細な説明または数字を提供していない。
【特許文献1】米国特許第4,336,166号
【特許文献2】米国特許第4,462,838号
【特許文献3】米国特許第4,675,351号
【特許文献5】米国特許第4,804,414号
【特許文献6】米国特許第5,455,066号
【特許文献7】米国特許第5,441,562号
【特許文献8】米国特許第5,641,349号
【特許文献9】WO01/08984
【特許文献10】WO01/85866
【特許文献11】US2003/0064178
【特許文献12】WO03/029378
【非特許文献1】CAN.J.PHYSIOL.PHARMACOL.69巻、1991年、79〜92頁
【非特許文献2】Proceedings of the Symposium of the Industrial Biochemistry and Biotechnology Group of the Biochemical Society、1996年、77〜87頁
【非特許文献3】Starch/Starke、54巻、2002年、217〜234頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0047】
以上の結果として、現在、前記評価基準a)〜i)のすべてを満たす、特に紙をベースにしたラベルに適用できるラベル貼付用接着剤の提供を可能にする手段は存在しない。
【0048】
特に、この分野において、簡単、安価、かつ環境保護上許容できる方法の中で、よい妥協案、すなわち
a)一方で、良好な耐水性(前記評価基準d)参照)、および簡単な熱水洗浄で容易に除去できる可能性(前記評価基準e)参照)、および高い生物分解性(前記評価基準h)参照)の間の妥協案、
b)他方、良好な耐水性、良好なレオロジー特性、(前記評価基準a)〜c)参照)、および良好な貯蔵安定性(前記評価基準g)参照)の間の妥協案
を得ることを可能にする手段はない。
【課題を解決するための手段】
【0049】
このような手段は、この場合、マメ澱粉から選択される澱粉を使用することから構成できる可能性があり、さらに後者が特定のアミロース含有量を有することを見出したのは本出願会社らの功績である。
【0050】
より具体的には、本発明の主題は、パーセントを澱粉の乾燥重量に対するアミロースの乾燥重量で表して、少なくとも25%に等しく、かつ最大60%に等しいアミロース含有量を有する天然または改質マメ澱粉の、ラベル貼付用接着組成物を調製するための使用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
表現「ラベル貼付用接着組成物」は、ある種類の物品または容器(ガラス、プラスチック、木材またはその他の材料で作られた)に、ある種類のラベル(紙および/またはその他の材料、特にプラスチック材料をベースにした)を少なくとも一時的に貼り付けることを可能にすることを目的としたある組成物を意味すると解される。
【0052】
これらの組成物は、特に、前記先行技術文献のいずれか1つに記載または例示されたラベルを貼付する方法および/または装置、特に、ガラスまたはプラスチック瓶に対して紙またはプラスチックをベースにしたラベルを少なくとも一時的に貼り付けることを可能にする方法および/または装置に使用することができる。
【0053】
これらの組成物は、特に、40%未満またはそれを超える広範に渡る乾燥固体含有量、および20,000mPa.s未満または150,000mPa.sを超える、25℃で測定したブルックフィールド粘度を含む広範に渡る粘度を有することができる。
【0054】
本発明の有利な変形形態によれば、マメ澱粉を、ガラス瓶に紙をベースにしたラベルを貼ることを可能にする水性糊に使用する。
【0055】
表現「マメ」は、本発明の目的の場合、ジャッケイバラ科(Caesalpiniaceae)、ネムノキ科(Minosaceae)またはマメ科(Papilionaceae)に属するいずれかの植物、特に、例えばエンドウマメ(pea)、インゲンマメ(haricot bean)、ソラマメ(broad bean)、ソラマメ(field bean)、レンズマメ(lentil)、アルファルファ(alfalfa)、クローバ(clover)またはルピナス(lupine)などのマメ科(Papilionaceae)に属するいずれかの植物を意味すると解される。
【0056】
この定義には、特に、R.HOOVERらによる「Composition,Structure,functionality and chemical modification of legume starches:a review」(CAN.J.PHYSIOL.PHARMACOL.69巻、1991年、79~92頁)と題する論文に含まれる表のいずれかに記載されている植物のすべてが含まれる。
【0057】
好ましくは、マメは、エンドウマメ、インゲンマメ、ソラマメ(broad bean)、ソラマメ(field bean)を含む群から選択される。
【0058】
有利には、マメは、エンドウマメであり、本明細書で用語「エンドウマメ」は、その広義の意味で考えられ、特に、
-毛なしエンドウマメ(「smooth pea」)の野生変種のすべて、および
-該変種が一般に予定される用途(人間による消費、動物の栄養物および/またはその他の用途)に関わりなく、特定のアミロース含有量を有する突然変異種のエンドウマメのすべてを含む。
【0059】
前記突然変異種は、特に、a)C-L HEYDLEYらによる「Developing novel pea starches」(Proceedings of the Symposium of the Industrial Biochemistry and Biotechnology Group of the Biochemical Society、1996年、77〜87頁)と題する論文、b)W.S.RATNAYAKEらによる「Pea starch:Composition,Structure and Properties-A review」(Starch/Starke、54巻、2002年、217~234頁)と題する論文中に記載されている「突然変異体rug4」または「突然変異体rug5」と呼ばれるものである。
【0060】
もう1つの有利な変形形態によれば、マメは、植物、例えば、重量で少なくとも25%、好ましくは少なくとも40%(乾燥/乾燥)の澱粉を含有する種子を与える、エンドウマメまたはソラマメ(field bean)の変種である。
【0061】
表現「マメ澱粉」は、マメ、特にマメ科(Papilionaceae)からなんらかのある方法で抽出される組成物を意味すると解され、その澱粉含有量は、該組成物の乾燥重量に対する乾燥重量で表現して、40%を超え、好ましくは50%を超え、さらにより好ましくは75%を超える。
【0062】
有利には、この澱粉含有量は90%(乾燥/乾燥)を超える。特に、98%超を含め95%を超えてもよい。
【0063】
他の変形形態によれば、前記組成物のタンパク質含有量は、前記組成物の乾燥重量に対する乾燥重量で表現して、25%未満、好ましくは10%未満である。この含有量は、特に、1%未満を含め5%未満でよい。有利には、0.1〜0.8%(乾燥/乾燥)である。
【0064】
本発明の目的の場合、「マメ澱粉」として使用できる組成物は、澱粉およびタンパク質以外の各種成分、特に、脂肪物質、コロイド状物質、繊維および無機成分を一般に10%(乾燥/乾燥)未満の総含有量でさらに含んでいてもよい。この総含有量は、特に、1%未満を含む5%未満でよい。本発明に従って使用できるマメ澱粉の繊維含有量について具体的に言えば、この含有量は、一般に最大8%に等しい。有利には、この含有量は、4%(乾燥/乾燥)未満であり、1%未満でもよい。
【0065】
最初の変形形態によれば、前記組成物に含まれる澱粉中のアミロース含有量は、28〜55%(乾燥/乾燥)である。
【0066】
さらに、本出願会社は、エンドウマメまたはその他のマメの野生種または突然変異種から得られる多くの澱粉の中で、とりわけ「中間の」、すなわち少なくとも30%に等しく、かつ50%未満のアミロース含有量を有する澱粉が、ラベル貼付用接着剤、特に、紙をベースにしたラベルをガラス物品に貼り付けることを目的とした水性糊における効果的使用に極めて適していることを見出した。
【0067】
そして、本発明者が驚くべきことに観察したように、さらには例示するように、マメ澱粉、特に、「中間の」アミロース含有量を有するマメ澱粉が、天然状態を含め、何の改質も加えないで、
-一般にはアミロース含有量がより低い穀類または塊茎から得られる改質澱粉、特に架橋澱粉に有利に取って代る、そして望むなら完全に取って代るだけではなく、
-アミロペクチン含有量の高い、改質澱粉、特に架橋澱粉に部分的に取って代る可能性があることは、強調するに値する。
【0068】
直鎖ポリマーであるアミロースは、水性澱粉糊の貯蔵安定性を達成できないか、著しく減少させることが以前より確証されているので、このことは、なおさら驚きである。
【0069】
本発明によりラベル貼付用接着組成物を調製するのに使用できるマメ澱粉は、天然澱粉、すなわち、いかなる改質処理も受けていない澱粉、または、好ましくは化学処理、物理処理および酵素処理からなる群から好ましくは選択される少なくとも1種の改質を受けたマメ澱粉でよい。
【0070】
化学処理には、特に、エステル化(特にアセチル化)、エーテル化(特にカチオン化またはヒドロキシアルキル化)、架橋、または酸および酸化経路による加水分解のすべての既知操作が含まれる。
【0071】
物理処理には、特に、予備加熱、加熱、押出し、噴霧乾燥または乾燥のすべての既知操作、あるいは用語「熱加湿処理」またはマイクロ波もしくは超音波で処理する「アニーリング」操作として知られている操作、可塑化、または顆粒化が含まれる。
【0072】
また、本発明者が観察したように、改質マメ澱粉を使用すると、カゼインを含まず、かつそれにもかかわらず、特に、接着特性、一般的耐水性および貯蔵安定性に関してカゼインをベースにした市販の接着剤に極めて類似した挙動を示すラベル貼付用接着剤を調製することが可能になることは、強調するに値する。
【0073】
本発明が関与するラベル貼付用接着剤には、前に規定した少なくとも1種のマメ澱粉に加え、市販のラベル貼付用接着剤で通例として使用される、かつ/または引用した先行技術文献のいずれかで推奨されている成分のいずれか1種を含めることができる。
【0074】
好ましくは、特定のマメ澱粉を、とりわけ、天然由来の、多糖類またはタンパク質類の別種のポリマーと組み合わせる。
【0075】
本発明の主題は、特に、ラベル貼付用接着剤の調製において、選択したマメ澱粉と、澱粉、植物タンパク質、動物タンパク質、およびこれら産物の少なくともいずれか2種のあらゆる混合物とを一緒にして使用することである。
【0076】
既に述べたように、それぞれ場合によっては改質された、または改質されていない2種以上のマメ澱粉を、互いに組み合わせることができる。また、少なくとも1種のマメ澱粉をマメ澱粉以外の少なくとも1種の澱粉(例えば、トウモロコシ、小麦、ジャガイモ、キャッサバまたはコメから得られる)と組み合わせることも可能であり、後者は、天然または改質の澱粉でよい。極めて有利な変形形態によれば、マメ澱粉を、マメ澱粉以外の少なくとも80重量%(乾燥/乾燥)のアミロペクチン含有量を有する少なくとも1種の天然または改質澱粉と、特に、天然のまたは改質した、トウモロコシ、小麦、ジャガイモまたはコメのもち澱粉と組み合わせる。
【0077】
特に効率的な方法においては、天然または改質マメ澱粉を、もちトウモロコシ澱粉、特に、物理的に、特に(予備)加熱、噴霧乾燥または押出しによって改質された、および場合によっては化学的に改質されたもちトウモロコシ澱粉と組み合わせる。
【0078】
このようなα化もちトウモロコシ澱粉は、DEXYLOSE(登録商標)の商品名で本出願会社が市販している。
【0079】
別の変形形態によれば、天然または改質マメ澱粉を、他の澱粉の存在下または不存在下で植物タンパク質(例えば、トウモロコシ、小麦、ジャガイモなど、またはマメから得られる)、カゼイン、ゼラチン、魚タンパク質およびこれら産物の少なくともいずれか2種のあらゆる混合物を含む群から選択されるタンパク質と組み合わせる。
【0080】
別の変形形態によれば、本発明により調製されるラベル貼付用接着剤は、タンパク質、特に、カゼインまたはゼラチンを含まない。さらに、広範に変更できる比率で、レオロジー改善剤、特に、可塑化、流動化、可溶化、増粘、架橋、不溶化または安定化剤、アルカリ剤、天然または合成起源の樹脂またはガム、無機フィラー、合成ポリマー、消泡剤、防腐剤および着色剤を含む群から選択される製品を含めることができる。
【0081】
本発明は、「ホットメルト」型接着剤の場合の約100%を含む、極めて高い乾燥固体含有量を有するラベル貼付用接着剤にマメ澱粉を使用することを排除しないが、前記乾燥固体含有量は、好ましくは30〜60%であり、液体相は、一般に、完全にまたは部分的に水性である。
【0082】
本出願会社は、特に、本発明に従って少なくとも1種のマメ澱粉を使用すると、前記評価基準a)〜i)を満たすと同時に、40%を超える乾燥固体含有量すなわち、工業的に、特にガラス物品にラベルを貼り付けるのに使用される、澱粉(類)および/またはカゼインをベースにした多数の水性糊より大きな乾燥固体含有量を有する、ラベル貼付用接着剤を調製することが可能になる。
【0083】
この乾燥固体含有量は、特に41〜50%でよい。
【0084】
好ましくは、さらに、本発明により調製されるラベル貼付用接着剤は、25℃で測定して、20,000〜150,000mPa.s、特に40,000〜130,000mPa.sのブルックフィールド粘度を有する。
【0085】
さらに、本発明により調製されるラベル貼付用接着剤は、すぐ水に分散できる粉末、または即時使用可能な液体もしくはペースト組成物の形態で提供できる。
【0086】
これより本発明を、以下の実施例を援用して極めて詳細に説明するが、実施例は、本発明を制約するものではない。
【実施例】
【0087】
(実施例1)
・対照組成物T1
α化改質もちトウモロコシ澱粉DEXYLOSE(登録商標)I231および架橋小麦澱粉COLLYS(登録商標)BRをベースにした対照のラベル貼付組成物(以下、組成物T1)を調製する。
【0088】
276gのDEXYLOSE(登録商標)I231、69gのCOLLYS(登録商標)BRおよび6.9gの酢酸アンモニウムを、150回転/分で撹拌しながら25℃で533gの水道水に分散する。
【0089】
さらに撹拌しながら、この混合物を72℃まで加熱し、この温度で10分間保持する。112gの尿素を添加し、次いで、混合物を再び30分間撹拌する。得られた組成物を50℃まで冷却し、3.1gのBAYER社が市販している防腐剤PREVENTOL(登録商標)D2を添加する。
【0090】
得られる組成物T1は、約43.5%の乾燥固体(MS)含有量、および25℃で測定して約65,000mPa.sの初期粘度(ブルックフィールド粘度、20回転/分)を有する。その初期pHは、6.9である。
【0091】
25℃で1ヶ月間貯蔵した後、その粘度値は、約60,000mPa.sで安定している。pHは、7.7に達する。
【0092】
前記組成物T1は、さらに、45℃で約47,000mPa.sの初期粘度を有する。慣例上25℃、9ヶ月貯蔵に相当する45℃、1ヶ月間の貯蔵後に、この45℃での粘度値は、約85,000mPa.sに増加した。pHは8.3に到達し、これは初期pHに対して8.3-6.9=1.4pH単位程度の増加である。
【0093】
・本発明による組成物
さらに、本発明によるラベル貼付用組成物(以下、それぞれ組成物1A〜3Aと呼ぶ)を、架橋小麦澱粉COLLYS(登録商標)BRを、以下に記載する、それぞれ等しい重量の各マメ澱粉、澱粉1〜3で置き換えること以外は、対照組成物T1について前記した一般的プロトコールに従って調製する。
【0094】
-組成物1A:澱粉1=98%(乾燥/乾燥)を超える澱粉含有量を有する天然エンドウ澱粉、該澱粉は、約35%(乾燥/乾燥)のアミロース含有量、および約0.35%(乾燥/乾燥)のタンパク質含有量を有する。
【0095】
-組成物2A:澱粉2=澱粉1を押出しによって物理的に改質した澱粉。
【0096】
-組成物3A:澱粉3=ドラム型乾燥機中で加熱することによって物理的に改質した、98%を超える澱粉含有量を有するエンドウ澱粉、該澱粉は、約38%のアミロース含有量、および約0.20%のタンパク質含有量を有する。
【0097】
組成物1Aは、初め、7.2のpH、25℃で約75,000mPa.sの粘度、および45℃で約54,000mPa.sの粘度を有する。
【0098】
組成物2Aは、初め、6.6のpH、25℃で約130,000mPa.sの粘度、および45℃で約60,000mPa.sの粘度を有する。
【0099】
組成物3Aは、初め、6.6のpH、25℃で約125,000mPa.sの粘度、および45℃で約70,000mPa.sの粘度を有する。
【0100】
・貯蔵安定性試験
25℃で1ヶ月間行った貯蔵試験により、全般的に、本発明による組成物1A〜3Aは、組成物T1の安定性と少なくとも同じくらい良好な貯蔵安定性を有することが判る。
【0101】
さらに、45℃で1ヶ月実施した貯蔵試験(25℃、9ヶ月に相当)により、組成物1Aおよび2Aは全般的に組成物T1より安定であることが判った。
【0102】
例を挙げれば、45℃で1ヶ月の貯蔵後に、
-組成物1Aは、45℃での初期粘度(54,000mPa.s)に比較的近い63,000mPa.sの粘度を有し、pH増加は1pH単位程度であり、
-組成物2Aは、45℃での初期粘度(60,000mPa.s)に極めて近い66,000mPa.sの粘度を有し、pH増加は1.2pH単位程度であった。
【0103】
・乾燥接着力測定試験
これらの試験は、「APPAREIL POUR LE CONTROLE DE L'ADHERENCE FIPAGO SYSTEME PKL(接着力モニター装置FIPAGO SYSTEM PKL)と題した文献に従って実施し、該文献および該装置はSTROHLEIN Instruments社が提供。
【0104】
前記文献で指示されているように、前記装置は、一般にAFNOR(フランス規格協会)T76-501基準に従って糊をモニターするのに使用できる。
【0105】
本発明の場合、前記紙ラベルの剥離抵抗を、紙ラベルを糊付けした直後(T0での測定)または糊付けの5分後(T5での測定)に測定する。
【0106】
各測定において、ラベル(寸法=15cm×5cm)を、一方を固定された支持材に、他方を装置のレバーに取り付けられた乾いて移動するガラス板上に配置する。
【0107】
ラベルにローラーをかけて糊付けし、次いで、レバーを直ちに(T0での測定)または約5分後(T5での測定)に開放し、それによってガラスからラベルを剥離する。「FIPAGO-SYSTEM PKL」装置は、剥離の際の応力を測定し、応力を0〜100の範囲の尺度で評価し、理論値100は剥離しないことに、値0はまったく接着力のない完全剥離に相当する。
【0108】
このように説明される乾燥接着力測定試験(以下、「FIPAGO試験」と呼ぶ)を、対照組成物(組成物T1)および前記本発明による組成物1A〜3Aに関して実施する。
【0109】
前記組成物についてT0およびT5で得られた結果(0〜100の値)を下表に示す。
【0110】
【表1】

【0111】
これらの結果は、この評価基準に関して、マメ澱粉が、架橋小麦澱粉に有利に取って代り得ることを示している。特に、化学的に改質されていない、あるいは化学的もしくは物理的のいずれでも改質されていないエンドウマメ澱粉(組成物1Aに含まれる澱粉1参照)は、申し分なく適合する。
【0112】
組成物3Aに含まれる澱粉3のようにドラム型乾燥機でα化されたエンドウマメ澱粉は、ここでも、架橋小麦澱粉よりもかなり高いレベルの性能を有することが判る。
【0113】
・結露水で濡れたガラスに対する貼付け試験
この試験は、室温で、試験すべき糊を塗布したラベルの挙動を評価することを目的とし、結露水で常に濡れたガラス表面にラベルを貼り付ける。この試験により、冷却液体を室温で充填した瓶に貼り付けたラベルの室温での付着挙動(最終包装前および糊接着部を乾燥する前の)を予測できる。
【0114】
使用する装置は、垂直に立てたガラス板から構成され、冷水を循環してそのガラス板の一方の側面を5℃まで冷却する。蒸気は、冷たい表面と接触してガラス板の他方の側面で凝結し、この他方の側面で試験すべき糊を塗布したラベルを受け入れる。
【0115】
貼り付ける予定のラベルを調製するために、薄膜塗布具を用いて別なガラス板に糊の薄膜を塗りつける。
【0116】
重量および表面積が既知の、ビールのラベル型をしたラベルを、この糊の薄膜に貼り付ける。ラベルの上で800gのローラーを1回かけて(すなわち往復して)圧力を加え、30g/m2±10%の糊を付着させる。重量を測定して、実際に転写した糊の量がこの程度の付着量に一致するることを確認する。必要なら、所望の付着量を得るために、ローラーを数回かける。
【0117】
このようにして糊付けしたラベルを、次いで、垂直に立てたガラス板の結露水が形成された側面に当てる。
【0118】
結果は、時間の数値として表し、結露水の作用の下でラベルがその最初の位置から2mm滑動するのに必要な時間(分)を表す。
【0119】
上記の試験により、組成物T1(対照)および本発明による組成物1A〜3Aについて、以下の結果が得られた。すなわち、
-組成物T1:30分
-組成物1A:20分
-組成物2A:90分
-組成物3A:45分。
【0120】
これらの結果は、この評価基準に関して、全般的に、マメ澱粉が架橋小麦澱粉に取って代り得ることを示している。
【0121】
化学的に改質されていないが、物理的にのみ(それぞれ、押出しおよびドラム型乾燥機で)改質された澱粉2および3(それぞれ、組成物2Aおよび3Aに含まれる)は、架橋小麦澱粉よりもかなり高いレベルの性能を有することを、ここで証明している。
【0122】
この試験を詳細に見ると、天然のエンドウマメ澱粉をベースにした組成物1Aは、組成物T1よりも性能レベルが低いが、濡れたガラスに対するかなりの付着特性を有し、接着剤の成分を質的または量的に調節することによって性能を改善できる潜在的能力がある。
【0123】
・耐結露性試験
この試験は、試験すべき糊でガラス表面に貼り付けたラベルの耐結露性を評価することを目的とし、ガラス表面は、初め乾燥しているが、ラベルを貼り付けてからある時間後から水の凝結により常に濡れている。
【0124】
この試験により、特に、冷蔵装置から取り出したラベル付き瓶の挙動を予測することが可能になる。
【0125】
使用する装置および手順は、この場合、乾燥ガラス板にラベルを糊付けすること(30g/m2±10%)、および結露現象を始める前に全体を室温で24時間乾燥状態に放置すること以外は、「結露水で濡れたガラスに対する貼り付け試験」について前記したものと同じである。
【0126】
結果は、時間の数値として表し、結露にさらされた場合にラベルがその最初の位置から2mm滑動する時間(分)を表す。
【0127】
この試験により、組成物T1(対照)および本発明による組成物1A〜3Aについて、以下の結果が得られた。すなわち、
-組成物T1:90分
-組成物1A:30分
-組成物2A:120分
-組成物3A:90分。
【0128】
「結露水で濡れたガラスに対する貼り付け試験」の場合と同様の一般的結論付けができる。
【0129】
・その他の試験
本出願会社は、さらに、本発明による接着組成物が、
-それら接着組成物の工業的使用に際して汚れまたははね返しの形成を抑えるに違いない「ショート」テクスチャー、
-それら接着組成物の工業的使用と完全に適合する感覚刺激特性(特に、色、におい)、
-冷水または氷冷水に浸漬することを想定した瓶にラベルを貼り付けるための良好な能力、
-ガラス製物品の表面から熱水(50℃)で完全に組成物T1と同じように容易に除去されるための能力、
を有していることを見出した。
【0130】
・結論
この実施例1に記載した試験の結果は、全般的に、マメ澱粉は、必ずしも予備化学改質をしなくても、ラベル貼付用接着組成物の調製に有利に使用できることを示している。
【0131】
このことは、澱粉2および澱粉3のように単に物理的に処理したマメ澱粉の場合に特にそうである。
【0132】
さらに、天然マメ澱粉、すなわち、澱粉1のように予備物理的処理さえ施していない澱粉により、優れた貯蔵安定性および乾燥接着力特性を有すると同時に、濡れたガラスに対する付着特性および耐結露性を有する接着組成物を調製することが可能になる。この場合、これらの特性は、かなりのものであり、実際に改善可能である。
【0133】
(実施例2)
・対照組成物T2
対照のラベル貼付用組成物(以下組成物T2と呼ぶ)を、この場合、DEXYLOSE(登録商標)I231澱粉を別のα化もちトウモロコシ澱粉で置き換えること以外は組成物T1について前記したと同様の一般的プロトコールにより調製する。前記もちトウモロコシ澱粉と架橋小麦澱粉COLLYS(登録商標)BRの重量比は4/1のままである。
【0134】
組成物T2は、
-約46.8%の乾燥固体(MS)含有量、
-45℃で1日間貯蔵した後に、約25,000mPa.sの粘度、
-45℃で1ヶ月間貯蔵した後に、約27,000mPa.sの粘度、
を有する。
【0135】
・本発明による組成物
さらに、本発明によるラベル貼付用組成物(以下、組成物1B〜7Bと呼ぶ)を、組成物T2について前記したプロトコールと以下のそれぞれの相違点によって区別できる操作プロトコールにより調製する。すなわち、
-組成物1B:架橋小麦澱粉を実施例1に記載の澱粉1で置き換え、
-組成物2B:架橋小麦澱粉を実施例1に記載の澱粉2で置き換え、
-組成物3B:α化もちトウモロコシ澱粉/澱粉2の重量比として4/1の変わりに3/2を使用すること以外は、組成物2Bの場合と同様、
-組成物4B:架橋小麦澱粉を、前記澱粉1をカチオン化(約0.45%の窒素濃度)および架橋(トリメタリン酸ナトリウムを用いて)することによって得られる澱粉4で置き換え、
-組成物5B:架橋小麦澱粉を、本発明者の名義による特許EP1094082の教示(塩酸および尿素-ホルムアルデヒド樹脂の使用)による澱粉1の乾燥相での流動化および安定化によって得られる澱粉5で置き換え、
-組成物6B:架橋小麦澱粉を、2/1の重量比の澱粉2/澱粉4混合物で置き換え、さらに、α化もちトウモロコシ澱粉と前記混合物の重量比は7/3、
-組成物7B:架橋小麦澱粉を、澱粉4/澱粉6混合物(重量比:1/1)で置き換え、前記澱粉6は澱粉1の水相での流動化およびアセチル化によって得る。
【0136】
・一般的特性
下表に、組成物T2(対照)および1B〜7B(本発明による)に対する、ならびにカゼインをベースにした従来組成物(対象組成物T3)に対する、乾燥固体含有量(MS、%)、25℃で測定したブルックフィールド粘度(Vi25)、45℃で1日間貯蔵した後のブルックフィールド粘度(Vi45)および45℃で1ヶ月間貯蔵した後のブルックフィールド粘度(Vf45)(mPa.sの千の位(103)で表示)を示す。
【0137】
【表2】

【0138】
・結論
これらの結果は、全般的に、天然の澱粉、物理的および/または化学的に改質したマメ澱粉、またはこれら澱粉の組合せを使用することによって、今や、安定または極めて安定で、
-41〜50%を含め、40%未満または40%を超えてもよい、広範に変更可能な乾燥固体含有量、
-広範に変更可能な粘度、例えば、25℃で測定して40,000〜130,000mPa.sのブルックフィールド粘度
を有するラベル貼付用接着剤を調製することが可能である。
【0139】
(実施例3)
・乾燥接着力測定試験(「FIPAGO試験」)
実施例1に記載したプロトコールに従って、本発明による組成物1B〜7B、および実施例2に記載の組成物T2およびT3(対照)の乾燥接着力(「FIPAGO試験」)を評価した。
【0140】
T0およびT5で得られた結果(0〜100の値)を下表に示す。
【0141】
【表3】

【0142】
これらの結果から、ここで検討される評価基準に関して、全般的に、架橋小麦澱粉を置き換えるのに、天然マメ澱粉(組成物1B参照)および物理的に改質したマメ澱粉(組成物2B)の両方を有利に使用できることが確認される。
【0143】
さらに、これらの結果は、この場合、
-組成物4Bおよび5Bに含まれる澱粉など、化学的に、例えばカチオン化または安定化によって改質したマメ澱粉、または
-組成物6Bおよび7Bに含まれる澱粉など、少なくとも2種のマメ澱粉の組合せ
を使用して、架橋小麦澱粉を用いて得られるレベルよりも高い注目すべき性能レベルを得ることが可能にもなることを示している。
【0144】
これらの性能レベルは、そのレベルが、T0および/またはT5において、カゼインをベースにした組成物T3を用いて得られるレベルより高くないにしても、少なくとも同等であることを立証できるので、なおさら注目すべきである。
【0145】
このことは、本発明による組成物5Bおよび7Bに関して特にそうである。
【0146】
・その他の貼り付け試験
それぞれ、「結露水で濡れたガラスに対する貼り付け試験」(以下、「試験1」と呼ぶ)および「耐結露性試験」(以下、「試験2」と呼ぶ)について実施例1に記載したプロトコールに従って、本発明による組成物1B〜7Bならびに組成物T2およびT3(対照)の性能レベルを評価する。
【0147】
得られた値を下表に示す。値は分で表し、表現「HR」(「高耐性」)は、時間が24時間を超えること、すなわち、24時間の試験の後でも、ラベルが滑動していないか、あるいは2mm未満の滑動であることを意味する。
【0148】
【表4】

【0149】
これらの結果は、この場合、本発明による組成物のすべて(天然エンドウマメ澱粉をベースにした組成物1Bを含め)が、架橋小麦澱粉をα化もちトウモロコシ澱粉と組み合わせた対照組成物T2に少なくとも同等な性能レベルを有することを示している。
【0150】
ここで試験した本発明による組成物のほとんどは、試験1および試験2の両方で、組成物T2を用いて得られる結果よりも有意に優れた結果を与える。
【0151】
このことは、さらに注目すべきことに、試験1および試験2の少なくとも一方、あるいは両方に関して、カゼインをベースにした組成物T3を用いて得られるレベルと同等の性能レベルを達成することを可能にする、組成物3B、5Bおよび6Bの場合に特にそうである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル貼付用接着組成物を調製するための、少なくとも25重量%(乾燥/乾燥)に等しく、かつ最大60重量%に等しいアミロース含有量を有する天然または改質マメ澱粉の使用。
【請求項2】
前記マメ澱粉が、28〜55重量%(乾燥/乾燥)、好ましくは少なくとも30重量%(乾燥/乾燥)に等しく、かつ50重量%未満のアミロース含有量を有することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記マメ澱粉が、1重量%未満(乾燥/乾燥)、特に0.1〜0.8重量%(乾燥/乾燥)のタンパク質含有量を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記マメ澱粉が、化学処理、物理処理および酵素処理を含む群から選択される少なくとも1種の改質処理を受けていることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の使用。
【請求項5】
前記ラベル貼付用接着組成物が、タンパク質を含まない、特に、カゼインまたはゼラチンを含まないことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記ラベル貼付用接着組成物が、澱粉、植物タンパク質、動物タンパク質、およびこれら産物の少なくともいずれか2種のあらゆる混合物を含む群から好ましくは選択される、多糖類またはタンパク質類の天然由来のもう1種のポリマーを含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記天然由来ポリマーが、天然または改質マメ澱粉以外の澱粉、植物タンパク質、カゼイン、ゼラチン、魚タンパク質、およびこれら産物の少なくともいずれか2種のあらゆる混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記天然由来ポリマーが、少なくとも80重量%(乾燥/乾燥)のアミロペクチン含有量を有する天然または改質澱粉であることを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記澱粉が、もちトウモロコシ澱粉、特に、物理的に、特に、(予備)加熱処理、噴霧乾燥または押出しによって改質されたもちトウモロコシ澱粉であることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記ラベル貼付用接着組成物が、少なくとももう1種の天然または改質マメ澱粉を含むことを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項11】
前記ラベル貼付用接着組成物が、30〜60%の乾燥固体含有量を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記ラベル貼付用接着組成物が、40%を超える、特に41〜50%の乾燥固体含有量を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
前記ラベル貼付用接着組成物が、25℃で測定して、20,000〜150,000mPa.s、特に40,000〜130,000mPa.sのブルックフィールド粘度を有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記接着組成物が、ガラス物品へのラベルの貼付を目的とすることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記接着組成物が、水に分散できる粉末組成物、または即時使用可能な液体もしくはペースト状組成物であることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の使用。

【公表番号】特表2007−507573(P2007−507573A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530389(P2006−530389)
【出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001331
【国際公開番号】WO2004/108853
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(592097428)ロケット・フルーレ (58)
【Fターム(参考)】