説明

ラベル貼付装置

【課題】 吸着板の移動を1つの駆動手段で行ない、部品点数を減らし、機構を簡単にできるようにする。
【解決手段】 ラベルLを吸着する吸着位置X及び物品WにラベルLを貼付する貼付位置Yに移動させられる吸着板10を備え、吸着板10に吸着されるラベルLの良・不良を検出し、不良を検出したとき吸着板10を当該不良に係るラベルLを捨てるための捨て位置Zに移動させるようにし、吸着位置X,貼付位置Y及び捨て位置Zへの吸着板10の移動を1つの駆動手段により行なう。駆動手段は、吸着板10を保持しシリンダ21から進退動可能なピストン22を備え、ピストン22を所望の位置に停止可能な電動シリンダ20で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルを吸着板で吸着して物品に貼付するラベル貼付装置に係り、特に、ラベルの良・不良を検出し、不良を検出したとき不良に係るラベルの吸着を解除して捨てることのできるラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のラベル貼付装置としては、先に、本願出願人が提案し、特開2005−104521号公報(特許文献1)に掲載されたものが知られている。
これは、図6に示すように、コンベアCにより所定の搬送方向に沿って搬送させられる物品WにラベルLを貼付するものである。ラベルLとしては、RFID(Radio Frequency IDentification)タグが付設されている。RFIDタグは、種々の情報を記憶するメモリチップに接続されたループ状の通信用アンテナを備えて構成されている。ラベルLは、帯状の台紙Dに等間隔に順に仮着されている。
【0003】
このラベル貼付装置は、ラベルLを吸着する吸着位置X及び物品WにラベルLを貼付する貼付位置Yに移動させられる吸着板100と、機台1に回動可能に設けられた支持体102に支持され吸着板100を吸着位置X及び貼付位置Yに移動させるエアシリンダ装置101とを備えている。また、吸着板100に吸着されるラベルLの良・不良を検出し、不良を検出したとき、支持体102を回動させ、不良に係るラベルLを吸着した吸着板100を、上記貼付位置Yとは異なる位置であって当該不良に係るラベルLの吸着を解除して捨てるための捨て位置Zに移動させる別のエアシリンダ装置103を備えている。ラベルの良・不良の検出は、RFIDタグTのメモリチップに対し通信用アンテナを介して特定の情報を書き込むとともに当該書き込んだ情報を再び読み込むリードライト器104を用いて行なう。
【0004】
このラベル貼付装置によれば、ラベルLが仮着させられた台紙Dが供給リール105から搬送されており、この搬送過程において剥離板106によりラベルLが引き剥がされ、この引き剥がされたラベルLを吸着位置Xに位置させられた吸着板100が吸着する。この吸着時に、リードライト器104によりラベルLに対して情報の書き込み及び読み込みが行なわれるとともに、ラベルの良・不良が判断される。
良と判断したときは、異常がないので、図6(a)に示すように、所定のタイミングで、エアシリンダ装置101が進出し、これにより、吸着板100が吸着位置Xから貼付位置Yに位置させられ、物品Wに当接させられてラベルLが物品Wに貼付される。
【0005】
一方、不良と判断したときは、異常なので、図6(b)に示すように、別のエアシリンダ装置103を進出駆動して支持体102を回動させ吸着板100を吸着位置Xから捨て位置Zに移動させる。吸着板100が捨て位置Zに至ると、ラベルLの吸着が無効にされ、不良と判断されたラベルLが廃棄箱107内に捨てられる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−104521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来のラベル貼付装置にあっては、捨て位置Zに吸着板100を移動させるために、支持体102を機台1に回動可能に設け、更に、吸着板100を吸着位置X及び貼付位置Yに移動させるエアシリンダ装置101の他に、支持体102を移動させるための別のエアシリンダ装置103を設けているので、それだけ構造が複雑になっており、また、部品点数も多くなっているという問題があった。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、吸着板の移動を1つの駆動手段で行ない、部品点数を減らし、機構を簡単にできるようにしたラベル貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のラベル貼付装置は、ラベルを吸着する吸着位置及び物品にラベルを貼付する貼付位置に移動する吸着板を備え、該吸着板に吸着されるラベルの良・不良を検出し、不良を検出したとき当該不良に係るラベルを吸着した吸着板を上記吸着位置から上記貼付位置とは異なる位置であって、上記不良に係るラベルを捨てるための捨て位置に移動させるようにしたラベル貼付装置において、上記吸着位置,貼付位置及び捨て位置への上記吸着板の移動を1つの駆動手段により行なうことを特徴とする。
【0010】
これによれば、ラベルを物品に貼付する際、ラベルの良・不良を検出し、良のときは、駆動手段により、ラベルを吸着した吸着板を吸着位置から貼付位置に移動し、ラベルを物品に貼付する。
一方、ラベルの不良を検出したときは、上記と同じ駆動手段により、ラベルを吸着した吸着板を吸着位置から捨て位置に移動し、ラベルをその吸着を解除して捨てる。
この場合、吸着位置,貼付位置及び捨て位置への吸着板の移動が、1つの駆動手段により行なわれるので、部品点数が低減され、機構を簡単にすることができるようになる。
【0011】
そして、必要に応じ、上記駆動手段を、上記吸着板を保持しシリンダから進退動可能なピストンを備え、該ピストンを所望の位置に停止可能な電動シリンダで構成したことを特徴とする。
これにより、電動シリンダにおいては、ピストンを所望の位置に停止できるので、吸着板を1つの電動シリンダで吸着位置,貼付位置及び捨て位置のいずれかに移動保持できるので、確実に部品点数を減らし、機構を簡単にすることができる。
【0012】
そして、必要に応じ、上記吸着位置を上記ピストンの進出途中位置に設定し、上記貼付位置を上記ピストンの途中位置より更に進出した位置に設定し、上記捨て位置を上記ピストンの途中位置より後退した位置に設定したことを特徴とする。
捨て位置を吸着位置よりピストンの後退した位置に設定したので、捨てられたラベルを受ける廃棄箱等の設置スペースを確保し易くなる。
【0013】
また、必要に応じ、上記捨て位置における上記吸着板の吸着面の向きが、上記吸着位置における上記吸着板の吸着面の向きとは異なるように、上記吸着板を方向転換可能にしたことを特徴とする。捨て位置において吸着板を方向転換しラベルを廃棄するので、捨てられたラベルを受ける廃棄箱等の設置を最適のところに設定できるなど、設計の自由度が増す。
【0014】
この場合、必要に応じ、上記吸着板を、その吸着面が上記ピストンの進退動方向に直交した向きに位置する上記吸着位置及び貼付位置における定位置と上記吸着面が上記ピストンの進退動方向に直交した向きとは異なる向きに位置する上記捨て位置における異位置との2位置に回動可能に支持し、上記吸着板を上記定位置及び異位置の2位置に回動させる回動機構を備え、該可動により上記吸着板を方向転換可能にしたことを特徴とする。
ピストンの進退動経路外に、ラベルを捨てることができ、捨てられたラベルを受ける廃棄箱等の設置を容易にすることができる。
【0015】
更にまた、必要に応じ、上記回動機構を、上記吸着板を上記異位置から定位置に付勢する付勢手段と、上記吸着板が吸着位置から捨て位置に至る過程で上記付勢手段の付勢力に抗して該吸着板を押圧して上記定位置から異位置に回動せしめ、該吸着板が捨て位置から吸着位置へ移動するときに該吸着板の押圧を解除して上記付勢手段の付勢力により該吸着板を上記異位置から定位置に回動せしめる押圧部材とを備えて構成したことを特徴とする。押圧部材で吸着板を押圧するだけで方向転換できるので、機構を簡単にすることができる。
【0016】
また、上記ラベルは、種々の情報を記憶するメモリチップ及び該メモリチップに接続された通信用アンテナを備えたRFIDタグが付設されたラベルであることを特徴とする。
RFIDタグのメモリチップやアンテナを容易に別途取出して処理することができ、廃棄物処理上極めて有用になる。また、不良RFIDタグが物品に貼付されることがない。
【発明の効果】
【0017】
本発明のラベル貼付装置によれば、吸着位置,貼付位置及び捨て位置への吸着板の移動を、1つの駆動手段により行なうので、部品点数を低減して、機構を簡単にすることができるようになる。そして、不良に係るラベルを自動的に廃棄することができ、廃棄効率が向上させられる。特に、RFIDタグが付設されたラベルの場合には、RFIDタグのメモリチップやアンテナを容易に別途取出して処理することができ、廃棄物処理上極めて有用になるなど、種々の効果を奏する。
また、駆動手段を電動シリンダにより構成した場合には、確実に部品点数を減らし、機構を簡単にすることができ、小型化、軽量化を図って、コストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置について詳細に説明する。尚、上記と同様のものには同一の符号を付して説明する。
図1乃至図4に示すように、本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置は、コンベアCで搬送される物品Wにこの物品Wの搬送過程でラベルLを貼付するもので、ラベルLとして、種々の情報を記憶するメモリチップ及び該メモリチップに接続された通信用アンテナを備えたRFIDタグが付設されたラベルLを貼付するものである。ラベルLは、帯状の台紙Dに等間隔に順に仮着されている。
【0019】
本発明の実施の形態に係るラベルL貼付装置は、機台1に設けられラベルLが仮着された帯状台紙Dを台紙搬送経路に供給する供給リール2を備え、機台1に設けられ供給される帯状台紙DからラベルLを剥離して巻取リール(図示せず)に送る剥離板3を備えている。剥離板3は、台紙搬送経路を搬送されてきた帯状台紙Dを先端部で折り返すことにより、ラベルLを帯状台紙Dから剥がすものである。
また、剥離板3の前位には、台紙Dの搬送過程において、ラベルLに所要の印字を行なう印字機構4が設けられている。印字機構4の前位には、ラベルLの印字基点を検知するために、ラベルLを検知するセンサ5が設けられている。
【0020】
また、本発明の実施の形態に係るラベルL貼付装置は、剥離板3の後流側近傍に設けられ、ラベルLを吸着する矩形盤状の吸着板10を備えている。吸着板10は、吸着面10aに剥離板3により剥離されたラベルLを吸着するものである。吸着板10にはラベルLの表面を吸着するためのエアを吸引する複数の小孔(図示せず)が設けられている。
吸着板10は、ラベルLを吸着する吸着位置X及び物品WにラベルLを貼付する貼付位置Yに移動させられる。図2に示すように、吸着板10は、貼付位置Yにおいて、エアを小孔から吹き出すことにより、ラベルLを物品Wに吹き付け貼付するタイプのものである。
【0021】
また、このラベルL貼付装置においては、吸着板10に吸着されるラベルLの良・不良を検出し、不良を検出したとき、不良に係るラベルLを吸着した吸着板10を、上記吸着位置Xから上記貼付位置Yとは異なる位置であって、上記不良に係るラベルLを捨てるための捨て位置Zに移動させられる。ラベルLの良・不良の検出は、ラベルLに付設されたRFIDタグの良・不良を検出する。
ラベルLに付設されたRFIDタグの良・不良を検出は、図1に示すように、上記ラベルLの移動経路に沿う位置に設けられ、RFIDタグのメモリチップに対し通信用アンテナを介して特定の情報を書き込むとともに当該書き込んだ情報を再び読み込むリードライト器11を用い、リードライト器11が、書き込んだ情報を読み込んだとき当該読み込んだ情報と予め記憶した正規の情報とを比較して良・不良を判断する。即ち、書き込んだ情報と読み込んだ情報とが違うとき、あるいは、書き込んだ情報が読み込めないときなど、不良と判断する。
【0022】
実施の形態に係るラベルL貼付装置において、上記吸着位置X,貼付位置Y及び捨て位置Zへの吸着板10の移動は、1つの駆動手段により行なわれる。
駆動手段は、吸着板10を保持しシリンダ21から進退動可能なピストン22を備え、このピストン22を所望の位置に停止可能な電動シリンダ20で構成されている。電動シリンダ20は機台1に固定されている。
そして、この電動シリンダ20により、吸着位置Xがピストン22の進出途中位置に設定され、貼付位置Yがピストン22の途中位置より更に進出した位置に設定され、捨て位置Zがピストン22の途中位置より後退した位置に設定されている。
【0023】
電動シリンダ20としては、例えば、シリンダ21のピストン22の出入りする一端部とは反対側の他端部側に設けられピストン22を進退動させるための電動モータ20aと、電動モータ20aの回転運動をピストン22の直線運動に変換する変換機構(図示せず)とを備えて構成されている。変換機構は、電動モータ20aによりシリンダ21内で回転させられるナット部材(例えばボールナットで構成)と、前記のピストン22を構成しナット部材に螺合しているねじ軸(例えばボールネジで構成)とを備えて構成され、ナット部材を回転させてねじ軸を移動させて、これを伸縮動させるようにしている。電動シリンダ20は電動モータ20aに対する動作パルス間隔の調整でピストン22の伸縮する速度を自在に変更でき、電動モータ20aの回転数によって伸縮する長さを自在に調整して、所要の位置に停止させることができる特徴がある。
そのため、エアシリンダに比べ、吸着体10を吸着位置X,貼付位置Yおよび捨て位置Zに精度良く停止させることができ、吸着位置Xから捨て位置Zおよび吸着位置Xから貼付位置Yへの移動速度を自由に設定できる。
【0024】
また、実施の形態に係るラベルL貼付装置は、捨て位置Zにおける吸着板10の吸着面10aの向きが、吸着位置Xにおける吸着板10の吸着面10aの向きとは異なるように、吸着板10の方向を方向転換可能にしている。
具体的には、吸着板10を、その吸着面10aが電動シリンダ20のピストン22の進退動方向に直交した向きに位置する上記吸着位置X及び貼付位置Yにおける定位置Aと、吸着面10aが電動シリンダ20のピストン22の進退動方向に直交した向きとは異なる向き(実施の形態では定位置Aとはθ=90°異なるピストン22の進退動方向に沿う向き)に位置する上記捨て位置Zにおける異位置Bとの2位置に回動軸23を介して回動可能になるように保持体24に支持されている。そして、吸着板10を定位置A及び異位置Bの2位置に回動させる回動機構30を備え、この可動により吸着板10を方向転換可能にしている。
【0025】
詳しくは、図3及び図4に示すように、吸着板10の裏面側には、回動軸23が架設される一対の軸支持部25a,25aと、この軸支持部25a,25aを連設する連設部25bとを備えたコ字状の突出部材25が設けられている。一方、保持体24は、回動軸23が挿通支持され突出部材25の軸支持部25a,25a間に臨む一対の軸受部24a,24aと、この軸受部24a,24aを連設し電動シリンダ20のピストン22が取付けられる取付部24bとを備えて構成されている。そして、回動(図3中反時計回りRaの回動)により突出部材25の連設部25bが保持体24の取付部24bに当接して停止した位置が上記の定位置Aとして設置されている。また、回動(図3中時計回りRbの回動)により突出部材25の連設部25bが保持体24の取付部24bから離間して、吸着板10の吸着面10aをピストン22の進退動方向に沿わせる位置が異位置Bとして設置されている。尚、異位置Bにおいて、吸着板10の吸着面10aの定位置Aに対する角度θは、上記に限らず適宜の角度範囲に設定して良い。
【0026】
回動機構30は、図3及び図4に示すように、吸着板10を異位置Bから定位置Aに付勢する付勢手段としてのコイルスプリング31と、吸着板10が吸着位置Xから捨て位置Zに至る過程でコイルスプリング31の付勢力に抗して吸着板10を押圧して定位置Aから異位置Bに回動せしめ、吸着板10が捨て位置Zから吸着位置Xへ移動するときに吸着板10の押圧を解除してコイルスプリング31の付勢力により吸着板10を異位置Bから定位置Aに回動せしめる押圧部材32とを備えて構成されている。
【0027】
コイルスプリング31は、図4に示すように、回動軸23に挿通され一端が吸着板10に係止され他端が保持体24に係止されて、吸着板10を定位置A側(図3中反時計回り方向Ra)に付勢する。押圧部材32は、突出部材25に当接するカム面を有したカム板形状に形成され、吸着板10の吸着位置X近傍において機台1に固定され、吸着板10が吸着位置Xから捨て位置Zに到る際、捨て位置Zの前位において吸着板10の突出部材25に当接して、コイルスプリング31の付勢力に抗して吸着板10を異位置B側(図3中時計回り方向Rb)に押圧していき、捨て位置Zに至ったとき異位置Bに位置決め保持する。
【0028】
そして、吸着板10が捨て位置Zに位置しかつ異位置Bに位置させられたとき、吸着板10からエアを吹き出し、ラベルLを廃棄する。機台1には、図1に示すように、捨てられたラベルLを受ける廃棄箱40が設けられている。
また、上記の吸着板10の吸着制御、電動シリンダ20の動作制御等の種々の制御は、図示外の制御部により行なわれる。
【0029】
従って、この実施の形態に係るラベルL貼付装置によれば、以下のようにラベルLが物品Wに貼付される。図5に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、供給リール2からラベルLが台紙Dに仮着させられた状態で搬送されており、センサ5がラベルLを検知すると、印字機構4により、ラベルLに所要の印字が行なわれる(S11)。
その後、剥離板3によりラベルLが引き剥がされると、吸着位置Xに位置させられた吸着板10がラベルLを吸着する(S12)。この吸着前においては、RFIDタグTのメモリチップに対し通信用アンテナを介してリードライト器11の送受信アンテナから特定の情報を書き込むとともに当該書き込んだ情報を再び読み込んでいる。
【0030】
そして、制御部においては、リードライト器11が書き込んだ情報を読み込んだとき当該読み込んだ情報と予め記憶した正規の情報とを比較し、良・不良を判断する(S13)。即ち、書き込んだ情報と読み込んだ情報とを整合し、整合したとき、良と判断する。一方、整合しないとき、即ち、書き込んだ情報と読み込んだ情報とが違うとき、あるいは、書き込んだ情報が読み込めないとき、不良と判断する。
【0031】
良と判断したとき(S13 NO)は、異常がないので、図1に示すように、所定のタイミングで、電動シリンダ20のピストン22が進出し吸着板10を貼付位置Yに位置させる。貼付位置Yでは、吸着板10からエアが吹き出され、このエア力によりラベルLが物品Wに貼付される(S14)。そして、貼付後は、吸着板10は再び吸着位置Xに復帰させられて待機する。
【0032】
一方、不良と判断したとき(S13 YES)は、異常なので、電動シリンダ20のピストン22を後退させて吸着板10を吸着位置Xから捨て位置Zに移動させる。この移動過程においては、図2及び図3に示すように、吸着板10の突出部材25が押圧部材32に当接し、コイルスプリング31の付勢力に抗して定位置Aから異位置B側に押圧され、捨て位置Zに至ったとき異位置Bに位置決め保持される。
【0033】
そして、捨て位置Zにおいては、図1及び図2に示すように、吸着板10からエアを吹き出し、廃棄箱40内に向けラベルLを廃棄する。(S15)。この場合、捨て位置Zにおいては、吸着板10の吸着面10aの向きが、吸着位置Xにおける吸着板10の吸着面10aの向きとは異なっているので、ピストン22の進退動経路外に、ラベルLを捨てることができ、そのため、廃棄箱40等の設置を最適のところに設定し、通常のピストン22の貼付動作に支障を与える事態が防止される。その後、吸着板10は再び吸着位置Xに復帰し、再度、良なラベルLを吸着板10で吸着するまでS11からS13の処理を繰り返し行う。
【0034】
この場合、不良に係るラベルLは、廃棄箱40にストックされるので、RFIDタグTのメモリチップやアンテナを容易に別途取出して処理することができる。また、不良に係るラベルLは、捨て位置Zという吸着位置Xとは異なる位置に移動させられて捨てられるので、物品W側に落ちたり他の機器に入り込むような事態が防止され、確実に廃棄される。更に、電動シリンダ20は、吸着位置X,貼付位置Y及び捨て位置Zへの吸着板10の移動を、一台で行なうので、駆動が確実であり、部品点数を低減して、機構を簡単にすることができるようになる。
【0035】
尚、上記実施の形態においては、吸着板10を、エアを吹き出してエア力によりでラベルLを物品Wに貼付するタイプで構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、押圧ローラでラベルLを貼付するタイプ、あるいは、吸着板10そのものを押し付けてラベルLを貼付するタイプのものでもよく、適宜変更して差し支えない。
また、上記実施の形態では、不良のラベルLを廃棄箱40に廃棄するように説明したが、これに限定するものではなく、不良のラベルLを貼付させる板状の廃棄板や受け皿でも良く、適宜変更して差し支えない。
さらにまた、上記実施の形態では、ラベルLとしてRFIDタグが付設されているもので説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、RFIDタグが付設されない通常のラベルLであっても良い。この場合は、例えば、ラベルLに情報を書き込んだバーコードを付設し、バーコードの情報を読んで、良否を判断する等すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置の要部を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置の回動機構を吸着板の動作工程(a)(b)(c)とともに示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置の回動機構を示す吸着板の平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置の動作工程を示すフローチャートである。
【図6】従来のラベル貼付装置の一例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0037】
W 物品
C コンベア
L ラベル
D 帯状台紙
1 機台
2 供給リール
3 剥離板
4 印字機構
10 吸着板
10a 吸着面
11 リードライト器
X 吸着位置
Y 貼付位置
Z 捨て位置
20 電動シリンダ(駆動手段)
20a 電動モータ
21 シリンダ
22 ピストン
23 回動軸
24 保持体
25 突出部材
30 回動機構
A 定位置
B 異位置
31 コイルスプリング(付勢手段)
32 押圧部材
40 廃棄箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルを吸着する吸着位置及び物品にラベルを貼付する貼付位置に移動する吸着板を備え、該吸着板に吸着されるラベルの良・不良を検出し、不良を検出したとき当該不良に係るラベルを吸着した吸着板を上記吸着位置から上記貼付位置とは異なる位置であって、上記不良に係るラベルを捨てるための捨て位置に移動させるようにしたラベル貼付装置において、
上記吸着位置,貼付位置及び捨て位置への上記吸着板の移動を1つの駆動手段により行なうことを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項2】
上記駆動手段を、上記吸着板を保持しシリンダから進退動可能なピストンを備え、該ピストンを所望の位置に停止可能な電動シリンダで構成したことを特徴とする請求項1記載のラベル貼付装置。
【請求項3】
上記吸着位置を上記ピストンの進出途中位置に設定し、上記貼付位置を上記ピストンの途中位置より更に進出した位置に設定し、上記捨て位置を上記ピストンの途中位置より後退した位置に設定したことを特徴とする請求項2記載のラベル貼付装置。
【請求項4】
上記捨て位置における上記吸着板の吸着面の向きが、上記吸着位置における上記吸着板の吸着面の向きとは異なるように、上記吸着板を方向転換可能にしたことを特徴とする請求項2または3記載のラベル貼付装置。
【請求項5】
上記吸着板を、その吸着面が上記ピストンの進退動方向に直交した向きに位置する上記吸着位置及び貼付位置における定位置と上記吸着面が上記ピストンの進退動方向に直交した向きとは異なる向きに位置する上記捨て位置における異位置との2位置に回動可能に支持し、上記吸着板を上記定位置及び異位置の2位置に回動させる回動機構を備え、該可動により上記吸着板を方向転換可能にしたことを特徴とする請求項4記載のラベル貼付装置。
【請求項6】
上記回動機構を、上記吸着板を上記異位置から定位置に付勢する付勢手段と、上記吸着板が吸着位置から捨て位置に至る過程で上記付勢手段の付勢力に抗して該吸着板を押圧して上記定位置から異位置に回動せしめ、該吸着板が捨て位置から吸着位置へ移動するときに該吸着板の押圧を解除して上記付勢手段の付勢力により該吸着板を上記異位置から定位置に回動せしめる押圧部材とを備えて構成したことを特徴とする請求項4記載のラベル貼付装置。
【請求項7】
上記ラベルは、種々の情報を記憶するメモリチップ及び該メモリチップに接続された通信用アンテナを備えたRFIDタグが付設されたラベルであることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載のラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−176590(P2007−176590A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379817(P2005−379817)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】