説明

ラベル連続体の製造方法および製造装置

【課題】 感磁性線材が折れ曲がったりすることなく基材上に供給可能で、効率よくラベル連続体を製造することができる、ラベル連続体の製造方法および製造装置を得る。
【解決手段】 フレーム52内に帯状の基材32を通し、基材32の幅方向の両側から感磁性線材20を通した案内管116を中央部に向かって送り出す。感磁性線材20の先端部を押圧具62で基材32の接着剤層上に押し付け、案内管116のみを引き戻す。さらに、感磁性線材20の中間部を別の押圧具70で基材32の接着剤層上に押し付け、上刃68と下刃64で感磁性線材20を切断する。感磁性線材20を貼り付けた基材32に、接着用台紙と剥離台紙の積層体を貼着し、基材32および接着用台紙の不要な部分を除去して、剥離台紙上にラベルを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ラベル連続体の製造方法および製造装置に関し、特にたとえば、盗難防止用として用いられる感磁性線材を有するラベルが連続的に形成されたラベル連続体の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、商店などにおいて、商品の盗難防止のために、店舗の出入口に監視装置を設置し、不法に商品を持ち出そうとしたときに、警報を発する監視システムが採用されている。このような監視システムにおいて、監視装置に反応するものの1つとして、感磁性線材が用いられる。感磁性線材は、たとえば外部磁界の印加によって磁化状態が変化する材料で形成される。このような感磁性線材を有するラベルを貼着した商品を不法に持ち出そうとすれば、監視装置によって感磁性線材の磁化状態の変化が検出され、警報が発せられる。
【0003】
このような感磁性線材を有するラベルが帯状の剥離台紙上に連続的に仮着されたラベル連続体を製造する際に、感磁性線材を剥離台紙の長手方向に沿って配置するラベル連続体の製造方法がある。しかしながら、感磁性線材が剥離台紙の長手方向に沿って配置されると、ラベル連続体を巻いたときに、感磁性線材に巻き癖がついて、ラベルの取り扱いに不便となる。そこで、図14に示すように、感磁性線材1が剥離台紙2の長手方向に沿うようにラベル3を形成し、図15に示すように、別の剥離台紙4にラベル3を貼りかえて、感磁性線材1を剥離台紙の幅方向に沿うように配置させる方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、このような方法では、一旦剥離台紙上に形成したラベルを別の剥離台紙に貼りかえるという工程が必要となり、製造が煩雑となる。そこで、図16に示すように、接着剤層が形成された帯状の基材5の幅方向に感磁性線材1を貼着させる製造装置が考えられた。この製造装置では、プレス装置6において、ガイド7に形成された基材5の幅方向に延びる隙間に感磁性線材1が送り出され、ガイド7内で上下動する刃によって感磁性線材1を切断するとともに、切断した感磁性線材1が基材5の接着剤層に押し付けられる。感磁性線材1が貼り付けられた基材5上にフィルム8が被せられ、フィルム8に切れ目を形成して不要部分を除去することにより、ラベル連続体が形成される(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平7−77938号公報
【特許文献2】特開2002−245561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に示された方法では、帯状の基材の幅方向に沿って、直接感磁性線材を貼り付けることができるが、切断した感磁性線材を基材に押し付けるためのプレス装置が1つしかないため、感磁性線材を1本ずつしか基材上に貼り付けることができず、製造効率が悪いという問題がある。そこで、プレス装置を複数台並べて、多数の感磁性線材を同時に基材上に貼り付けることが考えられるが、プレス装置が嵩張るため、複数台のプレス装置を並べると、ラベル間隔が広くなりすぎて実用的でない。また、感磁性線材はガイドの隙間内に送り出されるため、基材の面に平行な向きにおいては感磁性線材の曲がりを防止することができるが、基材方向への曲がりを防止することができない。そのため、たとえば感磁性線材が基材方向に曲がってその先端が基材の面に引っ掛かったりすると、感磁性線材が送り出されたときに、感磁性線材が折れ曲がってしまうことが考えられる。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、感磁性線材が折れ曲がったりすることなく基材上に供給可能で、効率よくラベル連続体を製造することができる、ラベル連続体の製造方法および製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、感磁性線材を有する複数のラベルが帯状の剥離台紙上に並んで仮着されたラベル連続体の製造方法であって、接着剤層が形成された帯状の基材を準備する工程と、感磁性線材を切断するための2つの刃を準備する工程と、基材の幅方向の端部近傍において接着剤層上に2つの刃が位置するように基材を通す工程と、基材の幅方向の端部から中央部又は他方端部に向かって、案内管の先端からその先端部が突出するように案内管に通された感磁性線材を案内管とともに送り出す工程と、感磁性線材の先端部を接着剤層に押し付ける工程と、接着剤層上に感磁性線材を残して案内管のみを引き戻す工程と、2つの刃で感磁性線材を切断する工程とを含む、ラベル連続体の製造方法である。
感磁性線材を案内管に通して基材の幅方向に送り出すことにより、感磁性線材が曲がることなく基材上に供給される。そして、案内管から突出した感磁性線材の先端部を基材の接着剤層に押し付けた状態で、案内管のみを引き戻すことにより、接着剤層上に感磁性線材が延びるように配置される。この状態で、2つの刃によって感磁性線材を切断することにより、基材の幅方向に沿って、接着剤層に感磁性線材が貼り付けられる。ここで、基材の幅方向の端部近傍において接着剤層上に2つの刃が配置されているため、基材が切断されることなく、基材の幅方向の内側で感磁性線材が切断される。
このようなラベル連続体の製造方法において、感磁性線材を切断する工程は、感磁性線材の先端部、および感磁性線材の先端部と刃側との間を接着剤層に押し付けた状態で感磁性線材を切断するものであってもよい。
このように、感磁性線材が基材の幅方向に延びた状態で、感磁性線材の先端部と中間部とが基材の接着剤層に押し付けられて切断されるので、その感磁性線材は延びた状態のままで接着剤層に十分に貼り付けられる。
【0009】
また、この発明は、接着剤層が形成された帯状の基材の幅方向の端部近傍において接着剤層上において感磁性線材を切断するための2つの刃と、感磁性線材を通すための案内管と、案内管に通された感磁性線材を案内管とともに基材の幅方向に向かって送り出し、かつ接着剤層上に感磁性線材を残したまま案内管のみを引き戻すための移動装置と、感磁性線材の先端部を基材の接着剤層に押し付けるための押圧具を含む、ラベル連続体の製造装置である。
さらに、感磁性線材の先端部と刃側との間を基材の接着剤層に押し付けるための別の押圧具が設けられてもよい。
このような構造の製造装置を用いることにより、上述のような製造方法でラベル連続体を製造することができる。このとき、移動装置によって感磁性線材を通した案内管を基材の幅方向に送り出したり、引き戻したりすることができる。さらに、移動装置は、感磁性線材を通した案内管を移動させるものであり、細い感磁性線材を通す案内管を複数配置して移動させることは容易である。したがって、複数の案内管を用いることにより、同時に複数の感磁性線材を基材上に貼り付けることができる。
【0010】
また、移動装置は、案内管を保持して基材の幅方向に往復移動する基台と、感磁性線材の案内管に入る前の部分を基台との間で挟持するローラとを含み、基台が基材に向かって移動するときにはローラが回転しないで、感磁性線材をローラと基台との間で固定して基台とともに基材側に移動させ、基台が基材から離れるように移動するときにはローラが回転し、基台が感磁性線材の下を滑るように移動して感磁性線材を移動させないようにすることができる。
このような移動装置では、基台を基材側に移動させることにより、案内管に通された感磁性線材は延びた状態で基材の幅方向に案内管とともに送り出される。そして、感磁性線材は、その先端部が基材の接着剤層に押し付けられて延びた状態のままで、案内管のみが引き戻される。そのため、基材の接着剤層に感磁性線材をきれいに延びた状態で貼り付けることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、感磁性線材が通った案内管が基材の幅方向に送り出され、感磁性線材の先端を基材の接着剤層に押し付けた状態で案内管のみを引き戻すことにより、感磁性線材が折れ曲がったりすることなく、基材上に配置させることができる。しかも、感磁性線材を通すための案内管の数は、容易に増やすことができるため、同時に多数の感磁性線材を基材上に貼り付けることができ、効率的なラベル連続体の製造が可能である。
【0012】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1はこの発明の製造方法で製造されるラベル連続体の一例を示す斜視図であり、図2はその断面図である。ラベル連続体10は、帯状の剥離台紙12を含む。剥離台紙12上には、複数の長方形状のラベル14が仮着される。ラベル14は接着用台紙16を含み、接着用台紙16の一方面に接着剤層18が形成されている。そして、この接着剤層18が、剥離台紙16上に仮着されている。さらに、接着用台紙16の他方面上には、感磁性線材20が配置され、接着剤層22が形成された表面紙24が、感磁性線材20を覆うようにして接着用台紙16の他方面上に貼着されている。
【0014】
感磁性線材20は、ラベル14の長手方向に延びるように配置される。そして、ラベル14は、その長手方向が剥離台紙12の幅方向に沿うように配置される。したがって、感磁性線材20は、剥離台紙12の幅方向に添って配置される。そして、このようなラベル14が、剥離台紙12の長手方向に1列に連続して配置される。このラベル連続体10は、ハンドラベラー等のラベル貼付機に装着して用いられる。
【0015】
ここで、感磁性線材20としては、たとえば、パーマロイ、センダストなどの高透磁率材料、Co−B系、Co−Fe−B系、Co−Fe−Ni−B系、Fe−Ni−Mo−B系、Fe−Ni−P−B系、Fe−Ni−B系、Fe−B系、Fe−Mo−B系、Co−Fe−Mo−B−Si系などの非晶質金属材料、Fe−Si系、Ni−Fe系などの大バルクハウゼンジャンプを示す金属材料、ソフトフェライトなどの酸化物材料などの比較的弱い外部磁界の変化で磁化状態が変化する、いわゆる軟磁性の各種磁性材料を用いることができる。
【0016】
また、接着用台紙16および表面紙24としては、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリ塩化ビニルなどのフィルムあるいはシート、アート紙、クラフト紙、上質紙、コート紙、樹脂含浸紙などの紙および合成紙などを用いることができる。さらに、接着剤層18および接着剤層22は、たとえば、接着用台紙16や表面紙24の主面に感圧性接着剤を塗布することにより、あるいは接着用台紙16や表面紙24の主面に剥離紙上に形成された感圧性接着剤層を転移させることにより形成される。
【0017】
このラベル14を用いる際には、ラベル14が剥離台紙12から剥離され、接着剤層18によって物品に貼着される。そして、その物品が検知領域を通過するとき、感磁性線材20に、所定の変化をする磁界、たとえば交番磁界が印加される。このような磁界が印加されることにより、感磁性線材20の磁化状態が変化し、その磁化状態の変化に対応して、感磁性線材20から発せられる磁界が変化する。そして、この磁界の変化が検出されたときに、警報が発せられる。
【0018】
ラベル連続体10を製造するために、図3に示すような製造装置が用いられる。この製造装置30においては、最終的に表面紙24となる帯状の基材32が巻回されたロール34から基材32が引き出される。なお、ロール34に巻回されているのは、基材32の一方面上に接着剤層22が形成され、この接着剤層22上に剥離紙36が仮着されたものである。そして、引き出された基材32から剥離紙36が剥離されて、ローラ38に巻き取られる。それにより、基材32の上面に、接着剤層22が露出する。
【0019】
基材32の接着剤層22が形成されていない面には、図4に示すように、幅方向の一端に等間隔でマーク40が印刷される。そして、基材32の移動経路上に、マーク40を読み取るためのセンサ42が取り付けられる。このセンサ42でマーク38を読み取ることにより、基材32の移送量を制御することができる。なお、図3は基材32の流れを示す図であり、基材32の向きを正確に表していない。実際には、図4に示すように、基材32が上になるように引き出され、その上側にセンサ42が配置される。そして、センサ42の下流側において、ローラ44により基材32と剥離紙36とが反転させられ、剥離紙36が上になるようにして移送される。そののち、剥離紙36が剥離されることにより、基材32上に接着剤層22が露出した状態で移送される。
【0020】
接着剤層22が露出した基材32は、線材貼着装置50に移送される。線材貼着装置50は、図5に示すように、フレーム52を含む。フレーム52は、4つの脚部54と、脚部54上の天板部56とで構成される。このフレーム52内に、基材32が矢印の方向に通される。基材32は、図6に示すように、フレーム52内のテーブル58上に通される。基材32の幅方向の両側において、テーブル58は徐々に低くなるように傾斜して形成され、テーブル58上に通された基材32は、その幅方向の両側が低くなるように屈曲しながらフレーム52内を通過する。
【0021】
天板部56の中央部上面には、エアシリンダ60が取り付けられ、エアシリンダ60のシャフトがフレーム52内に延びるように形成される。エアシリンダ60のシャフトには、2つの押圧具62が取り付けられる。押圧具62は、フレーム52内を通る基材32の長手方向に沿って、長尺状に形成される。押圧具62の下面には、スポンジなどの柔軟な材料が取り付けられ、エアシリンダ60の動作によって、押圧具62が基材32上の接着剤層22の表面に押し付けられる。押圧具62の基部62aは、エアシリンダ60のシャフトに取り付けられる。基部62a内にはバネなどが設けられ、押圧具62が接着剤層22の表面に押し付けられたときに、バネによって接着剤層22方向に付勢される。
【0022】
フレーム52内に通された基材32の幅方向の両側に、感磁性線材20を切断するための下刃64が配置される。下刃64は、基材32の長手方向における脚部54の内側に取り付けられた支持部材66間に掛け渡されるように形成される。ここで、下刃64は、その刃先がテーブル58の幅方向の両端部よりもやや内側において、接着剤層22の上方に配置される。さらに、支持部材66には、スライド可能に上刃68が取り付けられる。上刃68は、基材32の長手方向に沿って形成され、下刃64と協働して感磁性線材20が切断される。
【0023】
さらに、上刃68には、別の押圧具70の基部70aが取り付けられる。押圧具70は、上刃68に沿って長尺状に形成され、その下面には、スポンジなどの柔軟な材料が取り付けられる。押圧具70の下面は、上刃68の刃先より下側に位置するよう上刃68に取り付けられ、上刃68が下がったとき、押圧具70が基材32の面に押し付けられた後に、上刃68と下刃64とが咬合する。押圧部70の基部70aにはバネなどが設けられ、押圧具70が基材32の接着剤層22の表面に押し付けられたときに、バネによって接着剤層22方向に付勢される。
【0024】
上刃68には、図6に示すように、アーム72の一端が取り付けられ、アーム72の他端には、L型アーム74の一端側が取り付けられる。L型アーム74は、その曲がり部において回転可能に取り付けられ、その他端側には長孔76が形成される。この長孔76には、回転体78に取り付けられたボルト80などが通され、モータなどによって回転体78が回転させられることにより、L型アーム74が一定角度だけ回動した後、再度元の位置にもどる。それにより、アーム72が上下に往復運動し、上刃68が上下運動する。なお、図6には一方の上刃68について、アーム72、L型アーム74、回転体78などが示されているが、他方の上刃68にも同様の構成が設けられている。
【0025】
さらに、フレーム52の両側には、感磁性線材20を移動させるための移動装置100が配置される。移動装置100は、図5に示すように、フレーム52内に通される基材32の幅方向の両側に配置される。移動装置100は、図7に示すように、レール102を含み、レール102上に基台104が取り付けられる。基台104は、レール102上において、フレーム52方向に往復移動することができるように形成される。
【0026】
基台104上には、ローラ106が設けられる。ローラ106には、ワンウェイクラッチ108を介して、ギア110が取り付けられる。そして、ギア110は、基台104の側部に固定されたラック112に噛み合わされる。したがって、基台104がフレーム52方向に移動するとき、ギア110とラック112との組み合わせにより、ワンウェイクラッチ108に回転力が伝達されても、ローラ106には回転力は伝達されず、ローラ106は回転しない。逆に、基台104がフレーム52から離れるように移動するとき、ワンウェイクラッチ108に伝達された回転力によってローラ106が回転する。
【0027】
ローラ106に対して、フレーム52側に、保持具114が形成され、この保持具114によって複数の案内管116が保持される。保持具114から延びる案内管116は、フレーム52に取り付けられた摺動保持具118によってスライド可能に保持される。摺動保持具118においては、案内管116がスライドして、基材32側に送り出されたり引き戻されたりする。
【0028】
ローラ106に対して、保持具114の反対側には、図7に示すように、導入部120が設けられ、この導入部120を通して、感磁性線材20が導入される。すなわち、感磁性線材20は、まずこの導入部120に通され、次いで基台104上を経て、その先端が下刃64と上刃68との咬合位置に至るよう案内管116に通される。この操作は、基台104からローラ106を上げて(離して)行う。感磁性線材20を通し終わったら、ローラ106を下げて、感磁性線材20が基台104とローラ106とで挟持されるようにする。案内管116としては、たとえば内径が0.2mmの管が用いられ、感磁性線材20としては、たとえば直径が0.16mmのものが用いられる。フレーム52内においては、感磁性線材20の先端部が案内管116の先端(出口側)から突出して、図6に示すように、上刃68と下刃64の咬合位置に配置されている。
【0029】
基材32がフレーム52内に送られてくると、基台104がフレーム52方向に向かって移動し、図8に示すように、摺動保持具118において案内管116がスライドして基材32の幅方向の中央部付近まで移動する。移動装置100は、フレーム52の両側に設けられているため、基材32の幅方向の中央部付近において、両側から案内管116が移動してくる。基台104が移動するとき、ギア110とラック112とが噛み合っているが、ワンウェイクラッチ108によってローラ106は回転しない。そのため、ローラ106と基台104とで挟持された感磁性線材20は、案内管116とともに案内管116の先端からその先端部が突き出た状態で基材32の中央部近傍まで移動する。
【0030】
移動してきた感磁性線材20の先端部は、基材32の幅方向の中央部付近で対向した状態となり、図9に示すように、エアシリンダ60が作動することにより、押圧具62によって感磁性線材20の先端部が基材32の接着剤層22に押し付けられる。そののち、基台104がフレーム52から離れるように移動し、図10に示すように、案内管116も元の位置に引き戻される。このとき、ギア110とラック112とが噛み合っていることにより、ワンウェイクラッチ108を介してローラ106に回転力が加わり、ローラ106が感磁性線材20上で回転する。ローラ106が回転することにより、感磁性線材20がローラ106と基台104とで固定されなくなり、感磁性線材20が押圧具62で押さえ付けられたままで残されて、感磁性線材20の下を基台104が滑るように移動し、案内管116のみが引き戻される。
【0031】
次に、回転体78が回転して、図11に示すように、上刃68が下刃64方向に移動する。それにより、まず押圧具70によって、感磁性線材20の先端部と下刃64との間の部分が、接着剤層22に押し付けられる。さらに上刃68が下刃64方向に移動することにより、図12に示すように、上刃68と下刃64とが咬合して、感磁性線材20が切断される。このとき、基材32の幅方向の両端部は屈曲し、下刃64の刃先より下側で、かつやや外側に配置されているため、切断された感磁性線材20の端部は、基材32の幅方向の両端より内側に配置される。
【0032】
このようにして、基材32の幅方向の両側に、複数の感磁性線材20が貼り付けられる。これらの感磁性線材20が基材32に貼り付けられると、押圧具62,70および上刃68は上昇し、感磁性線材20の先端は上刃68と下刃64の咬合位置にあり、図6に示すような元の状態となる。このように、基材32に感磁性線材20が貼り付けられると、基材32が移動し、基材32の新しい面がフレーム52内に入ったところで基材32が停止する。このような動作(段落[0029]以降の動作)が繰り返されて、基材32の長手方向に、連続して感磁性線材20が貼り付けられる。基材32の送り量は、センサ42によって基材32の端部に形成されたマーク40を読み取ることによって制御される。
【0033】
感磁性線材20が貼り付けられた基材32上に、剥離台紙12と接着用台紙16とが積層された積層体130が接着剤層22を介して積層される。つまり、図3に示すように、巻回された積層体130が引き出され、接着用台紙16側が基材32の接着剤層22上に重ねられる。したがって、感磁性線材20は、基材32と接着用台紙16とで挟まれて、感磁性線材20の周囲において、接着剤層22によって基材32と接着用台紙16とが貼着される。
【0034】
次に、切断装置140において、上記の積層体の基材32、接着剤層18,22、接着用台紙16に切れ目142が形成される。つまり、積層体の剥離台紙12の反対側から剥離台紙12の表面に至る切れ目142が形成される。切れ目142は、感磁性線材20の周囲に形成され、その外側の不要部は基材32、接着剤層18,22、接着用台紙16ごと剥離台紙12から剥離される。剥離された不要部は、ローラ150で巻き取って除去され、図13に示すように、剥離台紙12の幅方向に2列となるようにラベル14が形成されたラベル連続体が得られる。得られたラベル連続体は、剥離台紙12の幅方向の中央部でスリットし、分離されたものを2つのローラ152で巻き取ることにより、図1に示すようなラベル連続体10が得られる。なお、剥離台紙12の幅方向の中央部でスリットせずに巻き取ってから、それを巻き戻してスリットし、分離されたものを巻き取ることによっても、図1に示すようなラベル連続体10を得ることができる。基材32の幅方向の端部に印刷されていたマーク40は不要部側にあり、不要部を巻き取って除去することによりマーク40はラベル連続体10には残らない。また、感磁性線材20上を被覆する基材32がラベル14の表面紙24となる。
【0035】
なお、上述の例では、最終的に表面紙24となるものを基材32としたが、剥離台紙12、接着剤層18、接着用台紙16を積層した積層体130を基材32として用いてもよい。この場合、積層体130の接着用台紙16上に接着剤層22が形成され、この接着剤層22上に感磁性線材20が貼着される。そして、感磁性線材20を覆うようにして、最終的に表面紙24となる基材が積層される。このように、基材32としては、表面紙24側を用いてもよいし、剥離台紙12および接着用台紙16の側を用いてもよい。
【0036】
また、ラベル14としては、図2に示す断面図において、接着用台紙16および接着剤層18がなく、表面紙24の一方面に形成された接着剤層22に感磁性線材20が貼り付けられたものであってもよい。このようなラベル14を有するラベル連続体10の場合、図3に示す積層体130に代えて剥離台紙12が用いられ、感磁性線材20が貼り付けられた基材32上の接着剤層22に、剥離台紙12が積層される。このようなラベル14は、感磁性線材20の周囲の接着剤層22によって物品に貼着される。
【0037】
さらに、図5に示す線材貼着装置50において、基材32の幅方向の一方側にのみ移動装置100が設けられてもよい。このような線材貼着装置50では、感磁性線材20の先端部が突出した案内管116が、基材32の幅方向の一端側から他端側に向かって送り出される。そして、基材32の幅方向の他端側において、感磁性線材20の先端部が押圧具62により、接着剤層22に押し付けられる。したがって、このような線材貼着装置50を用いることにより、図1に示すようなラベル連続体10が直接製造される。
【0038】
この製造装置30を用いれば、基材32上に、多数の感磁性線材20を同時に貼着することができ、効率的にラベル連続体10を製造することができる。また、感磁性線材20を基材32上に貼着する際に、感磁性線材20を通した案内管116が基材32上に送り出されるため、感磁性線材20が曲がったりすることなく、基材32上に貼着することができる。さらに、線材貼着装置50において基材32の幅方向の端部側が傾斜し、下刃64の下側に入り込んでいるため、感磁性線材20は、基材32の幅方向の端部より内側で切断される。そのため、最終的に得られるラベル14は、感磁性線材20が端部に露出しない構造となる。そのため、ラベル14の取り扱いが容易で、手などが傷つけられることもない。また、接着用台紙16と表面紙24とで感磁性線材20が完全に覆われている場合、ラベル14を物品に貼着する際などに、感磁性線材20が脱落する心配もない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の製造方法で製造されるラベル連続体の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すラベル連続体の断面図である。
【図3】この発明のラベル連続体の製造装置を示す図解図である。
【図4】図3に示す製造装置の基材引き出し部の一例を示す斜視図である。
【図5】図3に示す製造装置の線材貼着装置を示す斜視図である。
【図6】図5に示す線材貼着装置に用いられるフレームの内部を示す図解図である。
【図7】図5に示す線材貼着装置に用いられる移動装置を示す斜視図である。
【図8】フレーム内の基材上に感磁性線材および案内管が送り出された状態を示す図解図である。
【図9】送り出された感磁性線材の先端部を押圧具で押さえ付けた状態を示す図解図である。
【図10】感磁性線材を残して案内管のみを引き戻した状態を示す図解図である。
【図11】押圧具と下刃との間で別の押圧具により感磁性線材を押さえ付けた状態を示す図解図である。
【図12】基材に押し付けられた感磁性線材を切断した状態を示す図解図である。
【図13】図5に示す線材貼着装置を用いて得られるラベル連続体を示す斜視図である。
【図14】従来の製造方法によって剥離台紙の長手方向に沿って感磁性線材を配置したラベルを形成したラベル連続体を示す平面図である。
【図15】図14に示すラベルを別の剥離台紙に貼り直して得られたラベル連続体を示す平面図である。
【図16】従来の別の製造方法に用いられるラベル製造装置を示す図解図である。
【符号の説明】
【0040】
10 ラベル連続体
12 剥離台紙
14 ラベル
16 接着用台紙
18 接着剤層
20 感磁性線材
22 接着剤層
24 表面紙
30 製造装置
32 基材
50 線材貼着装置
60 エアシリンダ
62 押圧具
64 下刃
68 上刃
70 押圧具
100 移動装置
104 基台
106 ローラ
108 ワンウェイクラッチ
110 ギア
112 ラック
116 案内管
130 積層体
140 切断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感磁性線材を有する複数のラベルが帯状の剥離台紙上に並んで仮着されたラベル連続体の製造方法であって、
接着剤層が形成された帯状の基材を準備する工程、
前記感磁性線材を切断するための2つの刃を準備する工程、
前記基材の幅方向の端部近傍において前記接着剤層上に2つの前記刃が位置するように前記基材を通す工程、
前記基材の幅方向の端部から中央部または他方端部に向かって、案内管の先端からその先端部が突出するように前記案内管に通された前記感磁性線材を前記案内管とともに送り出す工程、
前記感磁性線材の先端部を前記接着剤層に押し付ける工程、
前記接着剤層上に前記感磁性線材を残して前記案内管のみを引き戻す工程、および
2つの前記刃で前記感磁性線材を切断する工程を含む、ラベル連続体の製造方法。
【請求項2】
前記感磁性線材を切断する工程は、前記感磁性線材の先端部、および前記感磁性線材の先端部と前記刃側との間を前記接着剤層に押し付けた状態で前記感磁性線材を切断することを特徴とする、請求項1に記載のラベル連続体の製造方法。
【請求項3】
接着剤層が形成された帯状の基材の幅方向の端部近傍において前記接着剤層上において感磁性線材を切断するための2つの刃、
前記感磁性線材を通すための案内管、
前記案内管に通された前記感磁性線材を前記案内管とともに前記基材の幅方向に向かって送り出し、かつ前記接着剤層上に前記感磁性線材を残したまま前記案内管のみを引き戻すための移動装置、および
前記感磁性線材の先端部を前記基材の前記接着剤層に押し付けるための押圧具を含む、ラベル連続体の製造装置。
【請求項4】
前記感磁性線材の先端部と前記刃側との間を前記基材の前記接着剤層に押し付けるための別の押圧具をさらに含む、請求項3に記載のラベル連続体の製造装置。
【請求項5】
前記移動装置は、前記案内管を保持して前記基材の幅方向に往復移動する基台と、前記感磁性線材の前記案内管に入る前の部分を前記基台との間で挟持するローラとを含み、
前記基台が前記基材に向かって移動するときには前記ローラが回転しないで、前記感磁性線材を前記ローラと前記基台との間で固定して前記基台とともに前記基材側に移動させ、前記基台が前記基材から離れるように移動するときには前記ローラが回転し、前記基台が前記感磁性線材の下を滑るように移動して前記感磁性線材を移動させないようにしたことを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のラベル連続体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−27050(P2006−27050A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208557(P2004−208557)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000205306)大阪シーリング印刷株式会社 (90)
【Fターム(参考)】