説明

ラベンダスチンの医薬組成物

式I
【化1】


〔式中、Rはメチル、メトキシまたはエチルである。〕のラベンダスチン誘導体またはその薬学的に許容される塩、およびエモリエント、ならびに所望によりさらなる賦形剤を含む、例えばエマルジョンの形の、局所用医薬組成物。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ラベンダスチン誘導体を含む、エマルジョンの形の局所用医薬組成物に関する。
【0002】
特に、式I
【化1】

〔式中、Rはメチル、メトキシまたはエチルである。〕
のラベンダスチン誘導体またはその薬学的に許容される塩、
およびエモリエントを含む、局所用医薬組成物に関する(以後、短く“本発明の組成物”と呼ぶ)。
【0003】
式Iの化合物は、例えばUSP5'990'116の実施例6(R=エチル、以後化合物A)、実施例16(R=メトキシ、以後化合物B)、および実施例17(R=メチル、以後化合物C)として既知であり、その内容を本明細書に引用して包含する。
好ましいのは6−[2−(2,5−ジメトキシフェニル)エチル]−4−エチル−キナゾリン(化合物A)である。
【0004】
これらの化合物は、光線性角化症、肛門生殖器疣贅および脂漏性角化症、ならびに皮膚癌のような過増殖性障害の局所処置に有用である。過増殖性皮膚障害は、しばしば過角化症を伴う。特に、光線性角化症は、角状および乾燥皮膚病巣を伴う皮膚疾患である。
【0005】
過増殖性障害の処置は、破壊的方法(寒冷療法、電気的乾燥および掻爬、切除療法)および局所化学療法を含み得る。破壊的方法および手術は疼痛、水疱、瘢痕および色素変化の原因となり得、従って、とりわけ複数の病巣がある患者では局所化学療法が好ましい。
【0006】
例えば上記で定義の式Iのラベンダスチンの作用の機構についてはほとんど知られていないが、他の抗増殖剤と同様、皮膚刺激の原因となり得る。例えば、エタノール/水中に0.5%w/wの式Iのラベンダスチンを含む組成物はインビトロヒト表皮モデルにおいて重篤な皮膚刺激の可能性を示す。
【0007】
上記で定義の式Iのようなラベンダスチンまたはラベンダスチン誘導体およびエモリエントを含む組成物を、良好な物理化学的安定性で、良好な浸透および良好な耐容性を有し、皮膚、例えば顔、および粘膜への投与を可能とする組成物に製剤できることが、本発明により発見された。それは皮膚および粘膜へのラベンダスチンの高局所濃度を避け、従って、良好な耐容性である。
【0008】
従って本発明は、一つの局面で、例えば、上記で定義の式Iの、ラベンダスチンまたはラベンダスチン誘導体または薬学的に許容されるその塩、およびエモリエントを含む、局所用医薬組成物を提供する。
【0009】
適当なエモリエントは、例えば下記から選択し得る:
i)飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝の、例えばCからC24鎖を有する液体脂肪アルコール。好ましいのは、例えば既知であり、HD Eutanol(登録商標)の商品名で例えばHenkel, Germanyから市販されているオレイルアルコールである;
ii)液体蝋、例えば天然、合成、半合成または乳化蝋、好ましくは、例えば既知であり、Henkel, Germanyから市販されているような、イソプロピルミリステート;既知であり、例えばHenkel, GermanyからCetiol(登録商標)J600の商品名で市販されているオレイルエルケート;例えば既知であり、Isopat(登録商標)1794の商品名で、例えばDargoco, Germanyから市販されているジイソプロピルアジペート;および/または例えば既知であり、Cetiol(登録商標)の商品名で、例えばHenkel, Germanyから市販されているオレイルオレエート;
iii)例えばCからC24脂肪酸を有するジ−およびトリグリセリド、例えば中鎖脂肪酸トリグリセリド、例えばMiglyol(登録商標)812。Miglyol(登録商標)812は、カプリリック−カプリン酸トリグリセリドを含む分画ココナッツ油であり、約520ダルトンの分子量を有する。脂肪酸組成:C最大約3%、C約50から65%、C10約30から45%、C12最大5%;酸価約0.1;鹸化価約330から345;ヨウ素価最大1。Miglyol(登録商標)812は、例えばHuels Chemie AG, Germanyから市販されている;
iv)プロピレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、例えば商品名Miglyol(登録商標)840(H.P. Fiedler, Lexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete 2 [2002] 5th Ed., Editio Cantor Verlag Aulendorf, p. 1130 1131)で市販されているプロピレングリコールカプリレート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールヒドロキシステアレート、プロピレングリコールイソステアレート、プロピレングリコールラウレート、プロピレングリコールリシノレート、およびプロピレングリコールステアレート;
v)ワセリン、例えば市販であり、例えばMineral Chemie AG, Germanyから入手できる、例えば白色ワセリン;および
vi)成分i)からv)の任意の混合物。
【0010】
ラベンダスチンまたはラベンダスチン誘導体は、本発明の組成物中に、組成物の総重量に基づいて、約0.01から約10重量%、例えば約0.05から約3重量%、例えば約0.1から約2重量%、例えば約0.2から約1重量%、例えば約0.2または約0.8重量%存在する。
【0011】
エモリエントは、組成物の総重量に基づいて、約5から約40重量%、好ましくは約5から約30重量%存在する。
【0012】
本発明の組成物は、好ましくはエマルジョンの形、より好ましくは水中油型エマルジョンの形である。従って、本発明はさらに、例えば、式Iのラベンダスチンまたはラベンダスチン誘導体またはその薬学的に許容される塩、およびエモリエントを含む、エマルジョンの形、例えば水中油型エマルジョンの形の局所用医薬組成物を提供する。
【0013】
好ましくは、例えば、式Iのラベンダスチンまたはラベンダスチン誘導体またはその薬学的に許容される塩を、親油性成分、例えばエモリエント(複数もある)に溶解し、該製剤から均質かつ持続性の方法で放出され、それにより、皮膚または粘膜におけるラベンダスチン誘導体の、高局所濃度、すなわち刺激をもたらし得る濃度を避ける。
【0014】
他の局面において、本発明は、故に、例えば、式Iのラベンダスチンまたはラベンダスチン誘導体またはその薬学的に許容される塩を含む、局所用医薬組成物であり、皮膚または粘膜におけるラベンダスチンの高局所濃度を避け、従って良好な耐容性である組成物を提供する。
【0015】
本発明の組成物は、さらに、親油性成分、例えばプロピレングリコール;ヘキシレングリコール;液体ポリエチレングリコール、例えばPEG 200、300、400または600;および/またはグリセロール(グリセリン)を含み得る。親油性成分は、組成物の総重量に基づいて、約1から約20重量%まで、例えば約1から約5重量%の量で含まれる。
【0016】
本発明の組成物は、さらに水、例えば精製水を含み得る。水は、組成物の総重量に基づいて、約20から約90重量%まで、例えば約35から約80重量%まで含まれる。
【0017】
本発明の組成物はさらに乳化剤を含み得る。このような乳化剤は、Fiedler, loc. cit. ;およびA.H. Kibbe Handbook of Pharmaceutical Excipients(2000), a joint publication of Pharmaceutical Press, London(UK)and American Pharmaceutical Association, Washington(US)のような標準テキストに記載されている。適当な乳化剤の例は、下記を含む:
i)既知であり、Span(登録商標)またはArlacel(登録商標)の商品名で市販されている、ソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビタンモノC12−18脂肪酸エステル;ソルビタンセスキC12−18脂肪酸エステル;およびソルビタントリC12−18脂肪酸エステル。特に好ましいのは、製品
−Span(登録商標)20、約1のD25、約8.6のHLB、および約3900から4900mPa'sの粘性を有するソルビタンモノラウレート;
− Arlacel(登録商標)83、約3.7のHLB、および約1500mPa'sの粘性を有するソルビタンモノセスキオレエート、約1のD25;および
− Span(登録商標)60、約4.7のHLB、および約5から10の酸価を有するソルビタンモノステアレート(Fiedler, loc. cit., p. 1571-1572;Handbook of Pharmaceutical Excipients, loc. cit., page 511);
ii)既知であり、商品名Tween(登録商標)で市販されている、ポリソルベートともまた呼ばれるタイプのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えばモノ−およびトリ−ラウリル、パルミチル、ステアリルおよびオレイルエステル(Fiedler, loc. cit. p.1754 1757;Handbook of Pharmaceutical Excipients, loc. cit., p. 416)であり、製品Tween(登録商標)
20[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート];
21[ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート];
40[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート];
60[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート];
65[ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート];
80[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート];
81[ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート];
85[ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート]を含む。
このクラスのとりわけ好ましい製品は、Tween(登録商標)20およびTween(登録商標)60である;
【0018】
iii)脂肪アルコールスルフェートの塩、例えばナトリウムラウリルスルフェートおよびナトリウムセチルステアリルスルフェート、好ましくは既知であり、Lanette(登録商標)E(Fiedler, loc. cit., p. 1007 1008)の商品名でHenkel, Germanyから市販されているナトリウムセチルステアリルスルフェート;
iv)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、既知であり、Brij(登録商標)(Fiedler, loc. cit., p. 325 327;Handbook of Pharmaceutical Excipients, loc. cit., page 407)の商品名で市販されている、例えばC12からC18アルコールのポリオキシエチレングリコールエーテル例えばポリオキシエチレンセチルエーテルまたはポリオキシエチレンオレイルエーテル、またはポリオキシエチレンステアリルエーテル;
v)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えば既知であり、商品名Myrj(登録商標)で市販されているタイプのポリオキシエチレンステアリン酸エステル(Fiedler, loc. cit., p. 1166 1167;Handbook of Pharmaceutical Excipients, loc. cit., page 420)。このクラスのとりわけ製品は、例えばMyrj(登録商標)52、約1.1のD25、約40から44℃の融点、約16.9のHLB価、約0から1の酸価および約25から35の鹸化価を有するポリオキシエチレン40ステアレート;
【0019】
vi)既知であり、商品名Pluronic(登録商標)、Emkalyx(登録商標)、およびPoloxamer(登録商標)で市販されているもののような、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーおよびブロックコポリマー(Fiedler, loc. cit., p. 1330 1332, 1334;Handbook of Pharmaceutical Excipients, loc. cit., page 386)および特に約1.1のD25、約40から44℃の融点、および約16.9のHLB価を有する、Poloxamer(登録商標)188およびPluronic(登録商標)F68;
vii)少なくとも1個のヒドロキシル基および脂肪族C−C22カルボン酸を有するポリエチレン−グリコールグリセロールエーテルのエステル。例は、グリセリンモノステアレート(PEG 20)を含む;
viii)天然または水素化ヒマシ油およびエチレンオキシドの反応産物。ポリエチレングリコール水素化ヒマシ油は、商品名Cremophor(登録商標)(Fiedler, loc. cit., p. 472 475)で市販されている。特に適当なのは:
−約50から60の鹸化価、約1未満の酸価、約2%未満の水含量(Fischer)、約1.453から1.457のn60および約14から16のHLBを有するCremophor(登録商標)RH 40;
−約40から50の鹸化価、約1未満の酸価、約1未満のヨウ素価、約4.5から5.5%の水含量(Fischer)、約1.453から1.457のn25および約15から17のHLBを有するCremophor(登録商標)RH 60;および
−約1630の分子量(蒸気浸透圧系で)、約65から70の鹸化価、約2の酸価、約28から32のヨウ素価および約1.471のn25を有するCremophor(登録商標)ELである。
また適当なのは、商品名Nikkol(登録商標)(Fiedler, loc. cit., p. 1210 1211)、Emulgin(登録商標)(Fiedler, loc. cit., p. 637)、Mapeg(登録商標)(Fiedler, loc. cit., p. 1086)およびIncrocas(登録商標)(Fiedler, loc. cit., p. 908)で入手可能な種々の界面活性剤である;
ix)商品名Labrafil(登録商標)で市販されているポリエチレングリセリド(Fiedler, loc. cit., p. 880)、特にLabrafil(登録商標)M2130 CS;
x)約630の分子量、および約4.5のHLB価を有する、商品名Arlacel(登録商標)481で市販されているようなグリセリンソルビタン脂肪酸エステル(Fiedler, loc. cit., p. 247 249);および
xi)成分i)からx)の任意の混合物。
【0020】
乳化剤は、その製造に関与する副産物また未反応出発物質を含む複合混合物であってよく、例えば、ポリオキシエチル化により製造した乳化剤は、他の副産物、例えばポリエチレングリコールを含み得ることは認識されよう。
【0021】
組成物が油中水型エマルジョンであるとき、選択した乳化剤は、好ましくは約10から15のHLB価を有する。エマルジョンが水中油型エマルジョンであるとき、選択した乳化剤は、好ましくは約4から8のHLB価を有する。異なるHLB価を有する乳化剤の混合物を、所望のHLB価を得るために使用し得る。好ましくは乳化剤は、組成物の総重量に基づいて約1から約30重量%、より好ましくは10から約25重量%の量で存在する。
【0022】
好ましくは、本発明の組成物は、クリーム、ローションまたはエマルジョンゲル、とりわけクリームの形である。
【0023】
所望により、本発明の組成物は、増粘剤(consistency agent)、好ましくは増粘剤の混合物を含み得る。適当な増粘剤は、例えば下記を含む:
i)例えばC12からC24鎖を有する、固体アルコール、例えばセチルアルコールおよび/またはステアリルアルコール。セチルアルコールおよびステアリルアルコールは、例えば、Henkel, Germanyから、各々商品名Lorol(登録商標)C16およびLorol(登録商標)C18で市販されているものであり得る;
ii)脂肪酸のエステルおよび脂肪アルコール。それらは、例えば、飽和または不飽和C12からC24鎖を有する脂肪酸のエステル化化合物、および例えばC12からC24鎖を有する一級アルコール、例えばHenkel, Germanyから、商品名Cutina(登録商標)CPで市販されているセチルパルミテート;
iii)既知であり、商品名Imwitor(登録商標)で市販されているグリセリンモノステアレート(Fiedler, loc. cit., p. 906 907;Handbook of Pharmaceutical Excipients, loc. cit., page 225)、特にImwitor(登録商標)960;
iv)例えばC12からC24鎖を有する固体脂肪酸、例えばステアリン酸およびその塩、例えばアルミニウムステアレートまたはステアリン酸マグネシウム;
v)固体蝋、例えば蜜蝋またはカルナウバ蝋;および
vi)成分i)からv)の任意の混合物。
【0024】
増粘剤は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは約1から約30重量%、例えば約4から約10重量%の量で存在する。
【0025】
所望により、本発明の組成物は、ゲル化剤を含み得る。適当なゲル化剤は、既知であり、Carbopol(登録商標)(Fiedler, loc. cit., p. 367 372;Handbook of Pharmaceutical Excipients, loc. cit., page 79)の商品名で市販されているようなカルボマー、例えば架橋ポリ(アクリル酸)ポリマーである。Carbopol(登録商標)974PおよびCarpopol(登録商標)1342が好ましい。ゲル化剤は、好ましくは組成物の総重量に基づいて、約0.2から約2重量%、より好ましくは約1重量%未満の量で存在する。
【0026】
本発明の組成物は、さらに防腐剤、例えばメチル−またはプロピルパラベン、フェニルアルコール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、ソルビン酸、およびクロロクレゾールのような微生物増殖阻害剤を、適当であれば含み得る。防腐剤は、好ましくは組成物の総重量に基づいて、約0.05から約1重量%の量で存在する。
【0027】
本組成物は、さらに、抗酸化剤、例えば、ブチル−ヒドロキシトルエン、アスコルビルパルミテート、ナトリウムピロスルフィト、ブチル−ヒドロキシアニソール、プロピルp−ヒドロキシベンゾエート、メチルp−ヒドロキシベンゾエートおよびトコフェロールを、適当であれば含み得る。抗酸化剤は、好ましくは組成物の総重量に基づいて、約0.01から約2.5重量%の量で存在する。
【0028】
所望により、組成物のpHを例えば約4から6の間にするように、pH調整剤を含んでよく、または薬学的に許容される緩衝系の添加により、または水酸化ナトリウムの溶液(10%)の添加による。4から6の間のpHは、皮膚および粘膜刺激を避けるために望ましい。
【0029】
賦形剤を特定の機能を言及して上記しているが、ある特定の賦形剤は、別のまたは複数の機能を有し得て、例えばプロピレングリコールは例えば親水性成分および/または防腐剤として作用し得ることは認識されよう。
【0030】
本発明の組成物は、適当量のラベンダスチンを、親油性担体および増粘剤のような親油性成分に、高温、例えば約60から約80℃の温度で溶解させ、水性相を撹拌および均質下に添加することによる、慣用法で製造し得る。さらに、緩衝剤、ゲル化剤および防腐剤のような親水性賦形剤を、好ましくは水相に添加する。乳化剤を、そのHLB価に依存して親油性または親油性成分のいずれかに添加し得る。均質化の後、得られた組成物を撹拌下に室温に冷却する。
【0031】
従って、他の局面において、本発明は、上記で定義の式Iのラベンダスチン誘導体またはその薬学的に許容される塩を、エモリエントおよび所望により存在するならば増粘剤のようなさらなる親油性成分に、好ましくは高温、例えば約60から約80℃の温度で溶解し、そして、存在するならば水相を撹拌および均質化しながら添加することを含む、本発明の組成物の製造法を提供する。
【0032】
本発明の組成物は、ラベンダスチンの既知の適応症、特に光線性角化症、肛門生殖器疣贅および脂漏性角化症、ならびに皮膚癌のような過増殖性障害の処置への使用が指示される。
【0033】
従って、さらなる局面において、本発明は、光線性角化症、肛門生殖器疣贅および脂漏性角化症、ならびに皮膚癌のような過増殖性障害の処置に使用するための、本発明の組成物を提供する。
【0034】
他の局面において、本発明は、処置を必要とする患者の皮膚または粘膜に本発明の組成物を投与することを含む、光線性角化症、肛門生殖器疣贅および脂漏性角化症、ならびに皮膚癌のような過増殖性障害を処置する方法を提供する。
【0035】
さらに別の局面において、本発明は、光線性角化症、肛門生殖器疣贅および脂漏性角化症、ならびに皮膚癌のような過増殖性障害の処置用医薬の製造のための、本発明の組成物の使用を提供する。
【0036】
本発明の組成物の有用性は、標準臨床試験で観察し得る。
代表的臨床試験は下記の通り行い得る:
約0.1から1mg/cmに対応する、例えば10cmにわたる、組成物の総重量に基づいて0.1から2重量%活性剤の用量の本発明の組成物での無作為、一施設、二重盲、対象内媒体制御試験を、光線性角化症、肛門生殖器疣贅および/または脂漏性角化症、および/または皮膚癌の患者において行う。合計15名から36名の対象を1日1回または2回、2週間まで処置する。紅斑、浮腫、痒み、灼熱感/刺痛/疼痛、および糜爛に対する治療効果を、別々に各処置病巣について評価する。各処置の局所耐容性および美容上の結果ならびに、組織学および血液化学を含む通常の安全性パラメーターを評価する。本発明の組成物は有効であることが判明した。
【0037】
投与すべきラベンダスチンおよび組成物の正確な量は、数種の因子、例えば所望の処置期間および活性剤の放出速度に依存する。大型哺乳類、例えばヒトで組成物の総重量に基づいて、0.01から10重量%濃度、例えば0.05から3重量%、好ましくは0.1から2重量%、より好ましくは0.2から1重量%、最も好ましくは約0.8重量%のラベンダスチンを、1日1回から数回(例えば1日あたり1回から5回)、処置すべき領域上へ局所投与して、充分な結果が得られる。一般に、該組成物は最低1cmから最大1mまでの皮膚および粘膜の領域に投与し得る。適当な皮膚および粘膜への投薬は、0.1mg/cmから10mg/cm、例えば2mg/cmのラベンダスチン組成物の範囲内に入る。
【0038】
下記実施例は、本発明を説明する。下記略語を使用する:
Ex.=実施例番号
v=容量
【0039】
実施例1から9:水中油型クリームエマルジョン
【表1】

【0040】
実施例1から9の製剤は、良好な物理化学的安定性を示し、インビトロでヒト表皮モデルで、およびまた臨床試験で測定して、軽度から中程度の刺激性である(実施例11参照。
実施例1から9において、化合物Aを化合物Bまたは化合物Cに置き換え得る。
【0041】
実施例10:インビトロ浸透
実施例1から4の化合物Aのヒト皮膚へのインビトロ浸透は良好であった;8時間後の化合物Aの表皮での濃度は0.4から1.3μg/cm(仔ウシ血清/PBS 1:2v/v;pH=7.4)の間であった。
【0042】
実施例11:臨床試験
光線性角化症の合計36名の対象を、実施例4の組成物で1日1回または2回、2週間まで処置した。実施例4の製剤は有効であった。局所耐容性および美容上の結果は良好であった。有害事象は少なかった。化合物Aの血漿レベルは低く、0.034から3.3ng/mlの範囲であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

〔式中、Rはメチル、メトキシまたはエチルである。〕
のラベンダスチン誘導体またはその薬学的に許容される塩、
およびエモリエントを含む、局所用医薬組成物。
【請求項2】
エモリエントがイソプロピルミリステートである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
エマルジョンの形である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
水中油型エマルジョンの形である、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
皮膚または粘膜におけるラベンダスチンの局所高濃度を避け、かつ、良好な耐容性である、請求項1から4のいずれかに記載の局所用医薬組成物。
【請求項6】
請求項1で定義の式Iのラベンダスチン誘導体またはその薬学的に許容される塩を、エモリエントおよび所望により存在するならば増粘剤(consistency agent)のようなさらなる親油性成分に、好ましくは高温、例えば約60から約80℃の温度で溶解し、そして、存在するならば水相を撹拌および均質化しながら添加することを含む、請求項1記載の組成物の製造法。
【請求項7】
光線性角化症、肛門生殖器疣贅および脂漏性角化症、ならびに皮膚癌のような過増殖性障害の処置に使用するための、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
光線性角化症、肛門生殖器疣贅および脂漏性角化症、ならびに皮膚癌のような過増殖性障害の処置用医薬の製造のための、請求項1から4のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項9】
処置を必要とする患者の皮膚または粘膜に請求項1から4のいずれかに記載の組成物を投与することを含む、光線性角化症、肛門生殖器疣贅および脂漏性角化症、ならびに皮膚癌のような過増殖性障害を処置する方法。


【公表番号】特表2007−502799(P2007−502799A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523603(P2006−523603)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009273
【国際公開番号】WO2005/016322
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】