説明

ランキン回路及び車両の廃熱利用システム

【課題】膨張ユニット及びポンプユニットに加え、高効率で発電可能な発電ユニットを備えた小型の流体機械を用いたランキン回路及び車両の廃熱利用システムを提供する。
【解決手段】車両の廃熱利用システム(A)はランキン回路(12)を有し、ランキン回路(12)は熱媒体を循環させるための循環路に、流体機械(14)と、加熱器と、凝縮器とを有する。流体機械(14)の発電ユニット(26)は、ポンプユニット(16)の第1の回転体及び膨張ユニット(20)の第2の回転体と同軸上に配置された第3の回転体を有する。また、流体機械(14)は、第1の回転体、第2の回転体及び第3の回転体のうち、少なくとも第1の回転体と一体に連結された駆動軸(72)と、駆動軸(72)に連結され、駆動軸(72)に外部からの動力を伝達する動力伝達ユニット(30)とを有すると共に、駆動軸(72)が前記第1、第2及び第3の回転体と一体に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体機械、ランキン回路及び車両の廃熱利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両のエンジン等の内燃機関の廃熱利用システムを構成するランキン回路は、作動流体(熱媒体)が循環する循環路を有し、循環路には、ポンプ、蒸発器(熱交換器)、膨張機、及び凝縮器が順次介挿される。
ポンプは、例えば電動モータによって駆動され、作動流体を循環させる。作動流体は、蒸発器を通過する際に廃熱を受け取り、膨張機で膨張する。この際、作動流体の熱エネルギーは、トルクに変換されて外部に出力され、例えば、凝縮器を空冷するためのファンを回転させるのに用いられる。
【0003】
特許文献1は、かかるランキン回路に適したコンパクト且つ低コストな流体機械として、ポンプ、膨張機及びモータが一つの駆動軸を共有する流体機械を開示している。この流体機械では、モータが外部からの電力供給を受けて作動することでポンプが起動させられる。ポンプの起動により作動流体が循環し、熱エネルギーを受け取った作動流体が膨張機で膨張する。モータを起動させた後は、モータへの給電が停止され、膨張機から出力されるトルクによってポンプが作動させられるとともに、モータは発電機として機能させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-30386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の流体機械では、回転駆動力を発生するモータに発電機能を持たせているため、モータの発電効率は、発電機能のみを有する発電機の発電効率に比べて低くなる。
また、特許文献1の流体機械ではモータが直流モータであるが、一般に、直流モータは交流モータに比べて重量が大きく、発電機として用いた場合には発電効率が低く、その上、ブラシのメンテナンスが必要になる。
【0006】
更に、特許文献1の流体機械では、膨張機で回収した熱エネルギー、換言すれば膨張機で発生したトルクが電力に一旦変換され、回収した熱エネルギーをトルクとして外部に出力することはできない。
本発明は上述した事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、膨張ユニット及びポンプユニットに加え、高効率で発電可能な発電ユニットを備えた小型の流体機械を用いたランキン回路及び車両の廃熱利用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するべく、本発明によれば、第1の回転体を有し、前記第1の回転体の回転に伴い作動流体を吸入し、吸入した作動流体を昇圧してから吐出するポンプユニットと、第2の回転体を有し、前記第2の回転体の回転を伴いながら、作動流体を受け入れ、受け入れた作動流体を膨張させてから送出する膨張ユニットと、前記第1及び第2の回転体と同軸上に配置された第3の回転体を有し、前記第3の回転体の回転に伴い電力を発生する発電ユニットと、前記第1、第2及び第3の回転体のうち少なくとも前記第1の回転体と一体に連結された駆動軸と、前記駆動軸に連結され、前記駆動軸に外部からの動力を伝達する動力伝達ユニットとを有すると共に、前記駆動軸が前記第1、第2及び第3の回転体と一体に連結される流体機械と、加熱器と、凝縮器とを熱媒体を循環させるための循環路にそれぞれ介挿したことを特徴とするランキン回路が提供される(請求項1)。
【0008】
好ましくは、前記動力伝達ユニットは、前記駆動軸に前記外部からの動力を断続的に伝達する電磁クラッチである(請求項2)。
好ましくは、前記発電ユニットは、交流電流を発生する(請求項3)。
好ましくは、ランキン回路は、前記流体機械のポンプユニットと前記加熱器との間を延びる前記循環路の部分に介挿されたチェックバルブと、前記加熱器と前記流体機械の膨張ユニットとの間を延びる前記循環路の部分に介挿された循環路開閉弁と、前記循環路開閉弁が閉じているときに、前記第2の回転体の回転に伴い前記循環路開閉弁と前記膨張ユニットとの間を延びる前記循環路の部分の圧力低下を防止する圧力低下防止手段とを更に備える(請求項4)。
【0009】
好ましくは、前記圧力低下防止手段は、前記循環路に前記膨張ユニットと並列に設けられた外部返戻路と、前記外部返戻路を開閉する返戻路開閉弁とを有する(請求項5)。
好ましくは、前記圧力低下防止手段は、前記流体機械の膨張ユニットに設けられ、膨張過程又は膨張後の前記熱媒体を上流側に返戻する内部返戻路と、前記内部返戻路を開閉する返戻路開閉弁とを有する(請求項6)。
【0010】
好ましくは、前記返戻路開閉弁は電磁弁である(請求項7)。
好ましくは、前記返戻路開閉弁は逆止弁である(請求項8)。
好ましくは、前記膨張ユニットの容量は可変である(請求項9)。
好ましくは、前記発電ユニットは、フィールドコイルを有し、前記フィールドコイルへの通電量を調整することにより前記発電ユニットの発電量は可変である(請求項10)。
【0011】
好ましくは、ランキン回路は、前記ポンプユニットの仕事を低減するためのポンプバイパス手段を更に有する(請求項11)。
また、本発明によれば、車両に設置された請求項1乃至11の何れか1項に記載のランキン回路を備え、前記動力伝達ユニットは、前記車両の内燃機関と連結され、前記熱媒体は、前記内燃機関で発生した廃熱を前記加熱器にて受け取ることを特徴とする車両の廃熱利用システムが提供される(請求項12)。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1のランキン回路では、ポンプユニット、膨張ユニット及び発電ユニットの第1、第2及び第3の回転体が同軸上に配置されているため、流体機械の小型化が可能である。
そして、このランキン回路では、駆動軸とポンプユニットの第1の回転体とが少なくとも一体に連結され、且つ、外部からの動力を伝達する動力伝達ユニットが駆動軸に連結されており、ポンプユニットを外部からの動力により起動可能である。このため、発電ユニットが電動機としての機能を有さなくてもよい。それ故、この流体機械では、発電効率が高くなるように発電ユニットが構成され、発電ユニットは高効率にて発電する。
【0013】
また、このランキン回路によれば、膨張ユニットで発生したトルクを動力伝達ユニットを介して外部に出力可能である。
また、このランキン回路によれば、第1、第2及び第3の回転体と駆動軸とが一体に連結されているため、簡単な構成にて、ポンプユニット、膨張ユニット及び発電ユニットを同時に作動させることができる。
【0014】
また、このランキン回路によれば、1つの流体機械がポンプと、発電機と、膨張ユニットの機能をもっているため、簡単な構成を有する。
請求項2のランキン回路では、電磁クラッチを切ることにより、流体機械に動力を供給している動力源の負荷が削減される。
請求項3のランキン回路では、発電ユニットが交流電流を発生するものであるため、直流モータに比べて軽量であり、発電効率が高く、ブラシが不要なのでメンテナンスも容易である。
【0015】
請求項4のランキン回路は、外部からの動力が、チェックバルブから循環路開閉弁に亘る循環路の部分に圧力エネルギーとして蓄えられる。蓄えられた圧力エネルギーは、循環路開閉弁を開くことにより、膨張ユニットでトルクに変換され、そして、発電ユニットで電力に変換される。すなわち、このランキン回路では、状況に応じて、外部からの動力を電力以外のかたちで蓄えられる。
【0016】
この一方で、循環路開閉弁が閉じているときに、圧力低下防止手段が循環路開閉弁と前記膨張ユニットとの間を延びる循環路の部分の圧力低下を防止することにより、膨張ユニットが真空ポンプのような状態で作動することはない。このため、循環路開閉弁が閉じていても、膨張ユニットの消費動力の増大が抑制され、外部からの動力が優先的に圧力に変換されて蓄えられる。
【0017】
請求項5のランキン回路では、簡単な構成にて圧力防止手段が構成される。
請求項6のランキン回路では、簡単な構成にて圧力防止手段が構成される。
請求項7のランキン回路では、簡単な構成にて圧力防止手段が構成される。
請求項8のランキン回路では、逆止弁を用いることによって、より簡単な構成にて圧力防止手段が構成される。
【0018】
請求項9のランキン回路では、膨張ユニットの容量が可変であるため、状況に応じて、膨張ユニットの容量を最適に調整可能である。例えば、流体機械の起動直後には、膨張ユニットの容量を小さくして作動流体を膨張させないようにすることで、駆動軸にかかる負荷が軽減され、流体機械の消費動力が削減される。
請求項10のランキン回路では、発電量が可変であるため、状況に応じて発電量の最適化が可能である。例えば、このランキン回路では、外部からの動力又は膨張ユニットで発生したトルクを発電ユニットで電力に変換可能であるが、これら動力又はトルクが十分であるときには発電量を増大し、逆のときには発電量を減少させることにより、動力又はトルクが有効に活用される。あるいは、外部からの動力を圧力に変換しているときに発電量を減少させることで、外部からの動力がより優先的に圧力に変換される。
【0019】
請求項11のランキン回路では、ポンプバイパス手段によりポンプユニットの仕事を低減することにより、外部から入力された動力を発電ユニットでの発電に優先的に利用することができる。換言すれば、状況に応じて、流体機械を発電機としてのみ利用することも可能であり、これにより外部の発電機を削減することができる。
請求項12の車両の廃熱利用システムでは、1つの流体機械がポンプ、膨張器及び発電機の機能を有するため、構成が簡単である。また、内燃機関と流体機械の動力伝達装置とを連結するための構成も簡単である。これらの結果、この廃熱利用システムは、車両への設置が容易である。
【0020】
一方、この廃熱利用システムによれば、内燃機関の廃熱が電力に変換されるため、車両の燃費が向上するが、内燃機関と流体機械の動力伝達ユニットとが連結されていることにより、車両の制動時又は減速時に運動エネルギーを電力に変換することも可能である。従って、この廃熱利用システムによれば、車両の燃費が更に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る車両の廃熱利用システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】図1のシステムに適用された流体機械の概略的な縦断面図である。
【図3】第2実施形態に係る車両の廃熱利用システムの構成を概略的に示す図である。
【図4】第3実施形態に係る車両の廃熱利用システムの構成を概略的に示す図である。
【図5】第4実施形態に係る車両の廃熱利用システムの構成を概略的に示す図である。
【図6】第5実施形態に係る車両の廃熱利用システムの構成を概略的に示す図である。
【図7】変形例の圧力低下防止手段を示す図である。
【図8】変形例のポンプユニットの概略を示す図である。
【図9】変形例の発電ユニットの概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、第1実施形態に係る車両の廃熱利用システムAを示し、廃熱利用システムAは、例えば、車両のエンジン(内燃機関)10から排出される排気ガスの熱を回収する。そのために廃熱利用システムAはランキン回路12を備え、ランキン回路12は、作動流体(熱媒体)が循環する循環路13を有する。循環路13は、例えば管やパイプによって構成される。
循環路13には、作動流体を流動させるべく、流体機械14のポンプユニット16が介挿され、更に、作動流体が流動する方向でみてポンプユニット16の下流には、加熱器18、流体機械14の膨張ユニット20及び凝縮器22が順次介挿されている。すなわち、ポンプユニット16は、凝縮器22側にて作動流体を吸入し、吸入した作動流体を昇圧してから加熱器18に向けて吐出する。ポンプユニット16から吐出された作動流体は、低温高圧の液状態である。
【0023】
加熱器18は熱交換器であって、循環路13の一部を構成する低温流路18aと、低温流路18aとの間で熱交換可能な高温流路18bとを有する。高温流路18bは、例えばエンジン10から延びる排気管24に介挿されている。従って加熱器18を通過するとき、低温高圧の液状態の作動流体は、エンジン10で発生した排気ガスの熱を受け取る。これによって作動流体は加熱され、高温高圧の過熱蒸気状態となる。
【0024】
流体機械14の膨張ユニット20は、過熱蒸気状態となった作動流体を膨張させ、これにより作動流体は、高温低圧の過熱蒸気状態になる。
凝縮器22は熱交換器であり、膨張ユニット20から流出した作動流体を外気との熱交換によって凝縮させ、低温低圧の液状態にする。具体的には、凝縮器22の近傍には電動ファン(図示せず)が配置され、車両前方からの風や電動ファンからの風によって作動流体は冷却される。凝縮器22で冷却された作動流体は、再びポンプユニット16に吸入され、循環路13を循環する。
【0025】
ここで、前述した膨張ユニット20は、作動流体を膨張させるのみならず、作動流体の熱エネルギーをトルク(回転力)に変換して出力可能である。膨張ユニット20から出力されるトルクを利用可能なように、膨張ユニット20には、ポンプユニット16に加え、発電ユニット26が連結されている。発電ユニット26には、発生した電力を使用又は蓄電する、例えばバッテリー等の電気的な負荷28が適当に接続されている。
【0026】
また、流体機械14は、トルクを入出力するための動力伝達ユニット30を有し、動力伝達ユニット30は、例えば電磁クラッチである。電磁クラッチは、ECU(電子制御装置)31によって作動させられ、断続的にトルクを伝達可能である。
より詳しくは、図2に示したように、膨張ユニット20、発電ユニット26及びポンプユニット16がこの順序で直列に連結されている。
【0027】
膨張ユニット20は、例えばスクロール式の膨張機である。膨張ユニット20のカップ状のケーシング32(膨張ユニット用ケーシング)の開口は、仕切り壁34によって略覆われているが、仕切り壁34の中央には貫通孔が形成されている。
膨張ユニット用ケーシング32内には、固定スクロール36が固定され、固定スクロール36の背面側には高圧室38が区画されている。高圧室38は、膨張ユニット用ケーシング32に形成された入口ポート及び入口ポートに接続された循環路13の一部を介して加熱器18と連通している。
【0028】
固定スクロール36の正面側には、可動スクロール40が噛み合うように配置されている。固定スクロール36と可動スクロール40との間には、作動流体を膨張させる膨張室42が区画され、可動スクロール40の周囲は、膨張した作動流体を受け入れる低圧室44として区画されている。固定スクロール36の基板の略中央には、導入孔46が貫通して形成され、この導入孔46を通じて固定及び可動スクロール36,40の径方向中央に位置する膨張室42と高圧室38とが連通する。
【0029】
径方向中央の膨張室42内で作動流体が膨張すると、膨張室42の容積が増大し且つ膨張室42が固定及び可動スクロール36,40の渦巻壁に沿って径方向外側に移動する。そして、膨張室42は、最終的には低圧室44と連通し、膨張した作動流体が低圧室44に流入する。低圧室44は、図示しない出口ポート及び当該出口ポートに接続された循環路13の一部を通じて、凝縮器22と連通している。
【0030】
かかる作動流体の膨張に伴い、可動スクロール40は固定スクロール36に対して旋回運動させられるが、この旋回運動は旋回機構によって回転運動に変換される。
すなわち、可動スクロール40の基板の背面にはボスが一体に形成され、ボス内には、ニードルベアリング48を介して偏心ブッシュ50が相対回転可能に配置されている。偏心ブッシュ50にはクランクピン52が挿通され、クランクピン52は円盤形状のディスク54から偏心して突出している。ディスク54におけるクランクピン52とは反対側からは同軸にて軸部56が一体に突出し、軸部56は、ボールベアリング等のラジアルベアリング58を介して、仕切り壁34によって回転可能に支持されている。すなわち、可動スクロール40の旋回運動は、軸部56の回転運動に変換される。
【0031】
なお、旋回機構は、旋回運動中の可動スクロール40の自転を阻止するとともにスラスト圧を受けるために、例えばボールカップリング60を有し、ボールカップリング60は、可動スクロール40の基板の外周部と、当該外周部と対向する仕切り壁34の部分との間に配置される。
一方、ポンプユニット16は、例えばトロコイド型のポンプであるが、ギヤポンプであってもよい。ポンプユニット16は、両端が開口した円筒状のケーシング(ポンプユニット用ケーシング62)を有し、ポンプユニット用ケーシング62内には、所定の間隔をあけて1組の環状のカバー64が配置されている。これらカバー64の間には内歯66が回転可能に配置され、更に内歯66を囲むように外歯68が固定して配置されている。
【0032】
内歯66と外歯68との間には、内歯66の回転に伴い作動流体を昇圧するポンプ室70が区画され、ポンプ室70内には、図示しない吸入ポート及び当該吸入ポートに接続された循環路13の一部を通じて、凝縮器22から作動流体が吸入される。そして、ポンプ室70内で昇圧された作動流体は、図示しない吐出ポート及び当該吐出ポートに接続された循環路13の一部を通じて、加熱器18に向けて吐出される。
【0033】
内歯66を回転させるために、内歯66は、駆動軸72に対して一体に回転可能に固定されている。駆動軸72は、カバー64及びポンプユニット用ケーシング62を貫通しており、ポンプユニット用ケーシング62の開口端に固定された蓋部材74も貫通している。蓋部材74は、筒部76とフランジ部78とからなり、フランジ部78がポンプユニット用ケーシング62の開口端に接合されている。
【0034】
筒部76の内側には、その両端に位置してラジアルベアリング79,80が1つずつ配置され、筒部76は、これらラジアルベアリング79,80を介して、駆動軸72を回転可能に支持している。また、筒部76の内側には、例えばリップシール等の軸封止部材81が配置され、軸封止部材81は、筒部76内を気密に仕切っている。
筒部76から突出した駆動軸72の一端に、動力伝達ユニット30としての電磁クラッチが連結されている。
【0035】
具体的には、動力伝達ユニット30は、筒部76の外側にラジアルベアリング82を介して配置されたロータ83を有し、ロータ83の外周面にはプーリ84が固定されている。プーリ84とエンジン10のプーリとの間には、一点鎖線で示したけれどもベルト86が架け渡され、例えばエンジン10からの動力供給を受けて、プーリ84及びロータ83は回転可能である。また、ロータ83の内側には、ソレノイド86が配置され、ソレノイド86は、ECU31からの給電により磁場を発生する。
【0036】
ロータ83の端面近傍には、環状のアーマチュア88が配置され、アーマチュア88は、板ばね等の弾性部材90を介してボス92に連結されている。ボス92は、駆動軸72の一端にスプライン結合されており、それゆえアーマチュア88は駆動軸72と一体に回転可能である。そして、ソレノイド86の磁場によって、アーマチュア88は、弾性部材90の付勢力に抗しながらロータ83の端面に吸着可能であり、これにより、ロータ83とアーマチュア88との間で動力が伝達可能になる。
【0037】
発電ユニット26の円筒状のケーシング(発電ユニット用ケーシング)93は、仕切り壁34とポンプユニット用ケーシング62との間に挟まれており、膨張ユニットケーシング32、仕切り壁34、発電ユニット用ケーシング93、ポンプユニット用ケーシング62及び蓋部材74は、相互に連結されることにより、流体機械14のための一つのハウジングを構成している。
駆動軸72の他端は、仕切り壁34の貫通孔まで達しており、駆動軸72の他端は、ニードルベアリング94を介して、仕切り壁34により回転自在に支持されている。また、駆動軸72の他端の内側には、連結部材としてのワンウェイクラッチ95が固定され、駆動軸72の他端と旋回機構の軸部56とは、ワンウェイクラッチ95を介して連結されている。
【0038】
ワンウェイクラッチ95は、軸部56と駆動軸72とが同一方向で回転するときに、軸部56の回転数が駆動軸72の回転数よりも低いときには、軸部56と駆動軸72との間の動力伝達を遮断する。一方ワンウェイクラッチ95は、軸部56の回転数が駆動軸72の回転数よりも高くなろうとすると、軸部56と駆動軸72との間の動力伝達を許容し、軸部56と駆動軸72とが一体に回転する。
【0039】
発電ユニット用ケーシング93内を延びる駆動軸72の部分には、回転子96が固定され、回転子96は例えば永久磁石からなる。従って、回転子96は、軸部56及び内歯66と同軸上に配置されている。
発電ユニット用ケーシング93の内周面には、回転子96を囲むようにステータが固定され、ステータは、ヨーク98と、ヨーク98に巻回された例えば3組のコイル100とを有する。コイル100は、回転子96の回転に伴い、3相の交流電流を発生するように配線され、発生した交流電流は、図示しない引き出し線を通じて、外部の負荷28に供給される。
【0040】
なお、発電ユニット26は、電動機としての機能を有さないため、ヨーク98の形状やコイル100の巻数等は、発電効率が高くなるように構成される。
以下、上述した車両の廃熱利用システムAの使用方法について、流体機械14及びランキン回路12の動作を中心に説明する。
【0041】
<起動>
ランキン回路12を起動させるべく、ECU31が動力伝達ユニット30をオン作動させると、エンジン10の動力が駆動軸72に入力される。駆動軸72の回転に伴い、ポンプユニット16の内歯66が回転し、ポンプユニット16は、上流側にて作動流体を吸入し、吸入した作動流体を昇圧して下流側にて吐出する。
【0042】
これにより循環路13内を作動流体が循環し、作動流体は加熱器18で加熱され、膨張ユニット20で膨張する。
ランキン回路12の起動直後は、循環路13内の作動流体の圧力が低いため、可動スクロール40の回転数、換言すれば、旋回機構の軸部56の回転数は、駆動軸72の回転数よりも低い。このためワンウェイクラッチ95は、軸部56と駆動軸72との間での動力伝達を遮断する。
【0043】
<自律運転及び発電>
ランキン回路12の起動後、循環路13内の作動流体の圧力が十分に上昇すると、旋回機構の軸部56の回転数は、駆動軸72の回転数よりも高くなろうとする。自由状態の旋回機構の軸部56の回転数が駆動軸72の回転数よりも高くなると、ワンウェイクラッチ95はロック状態になり、軸部56と駆動軸72とが一体に回転する。
【0044】
そして、軸部56から駆動軸72に伝達されるトルクがポンプユニット16の作動に十分な大きさになると、ECU31は動力伝達ユニット30をオフ作動させ、エンジン10からの動力供給を遮断する。これにより、流体機械14は、膨張ユニット20で発生したトルクを利用してポンプユニット16を作動させる自律運転に移行する。
この一方、駆動軸72の回転に伴い、発電ユニット26の回転子96が回転し、発電ユニット26が交流電流を生成する。交流電流は負荷28に供給され、負荷28によって適当に備蓄又は消費される。負荷28は、交流電流を直流電流に変換する整流器を含んでいてもよい。
【0045】
<回生ブレーキ>
流体機械14が自律運転に移行した後は、エンジン10の負荷が軽減されるが、車両の制動時や減速時には、ECU31が動力伝達ユニット30をオン作動、即ち電磁クラッチを繋いでもよい。これにより流体機械14は回生ブレーキとしての機能を発揮し、エンジン10に減速のための補助的な負荷が加わるのみならず、発電ユニット26が発電し、車両の運動エネルギーが電力に変換される。
【0046】
<その他>
また、流体機械14を自律運転に移行させずに、流体機械14のトルクをエンジン10に供給してもよい。すなわち、膨張ユニット20で発生したトルクのうち、ポンプユニット16及び発電ユニット26で消費されるトルクを超える部分を、動力伝達ユニット30を介してエンジン10に出力してもよい。
【0047】
上述したように、第1実施形態の車両の廃熱利用システムAは、車両のエンジン10で発生した廃熱を流体機械14により電力に変換するため、車両の燃費が向上する。
そして、この廃熱利用システムAは、1つの流体機械14がポンプと、発電機と、膨張ユニットの機能をもっているため、簡単な構成を有する。
特に、流体機械14では、ポンプユニット16の内歯66、膨張ユニット20の軸部56及び発電ユニット26の回転子96が同軸上に配置されているため、流体機械14の小型化が可能である。このため、この流体機械14は軽重量で低コストであり、車両への搭載性もよい。
【0048】
また、流体機械14では、駆動軸72とポンプユニット16の内歯66とが少なくとも一体に連結され、且つ、外部からの動力を伝達する動力伝達ユニット30が駆動軸72に連結されており、ポンプユニット16を外部からの動力により起動可能である。このため、発電ユニット26が電動機としての機能を有さなくてもよい。それ故、流体機械14では、発電効率が高くなるように発電ユニット26が構成され、駆動軸72によって伝達される動力が高効率にて電力に変換される。
【0049】
更に、この流体機械14によれば、状況に応じて、膨張ユニット20で発生したトルクを外部に出力して利用可能であり、エンジン10の動力を補うことも可能である。
また、上述した廃熱利用システムAでは、外部からの動力による流体機械14のポンプユニット16の起動後、膨張ユニット20の軸部56の回転数が駆動軸72の回転数よりも低い間、連結部材としてのワンウェイクラッチ95が、軸部56と駆動軸72との間での動力伝達を遮断する。これによりポンプユニット16の起動から所定の間、駆動軸72にかかる負荷が軽減され、流体機械14の消費動力が削減される。
【0050】
本発明は上記した第1実施形態に限定されることはなく、種々の変形が可能である。
例えば、廃熱利用システムAは、排気ガスの熱を電力に変換するものであったが、エンジン10の冷却水の熱を電力に変換するものであってもよい。更に廃熱利用システムAは、車両以外にも適用可能であるが、エンジン10と動力伝達装置30との連結は容易であることから、車両に好適である。
【0051】
流体機械14の発電ユニット26は、交流電流を発生するものであったが、直流電流を発生するものであってもよい。ただし、交流電流を発生する発電ユニット26は、直流発電機(直流モータ)に比べて軽量であり、発電効率が高く、ブラシが不要なのでメンテナンスも容易である。
流体機械14の駆動軸72は、1本の部材により構成されていたが、複数の部材を継手等により一体に連結して駆動軸を構成してもよい。
【0052】
流体機械14では、動力伝達ユニット30が動力を断続可能な電磁クラッチであったけれども、常時動力を伝達する単なるプーリであってもよい。ただし、電磁クラッチであれば、流体機械14と外部との間でのトルクの入出力を適宜断続することができる。
図3は、第2実施形態に係る車両の廃熱利用システムBの概略構成を示している。なお、第1実施形態の廃熱利用システムAと同一の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0053】
廃熱利用システムBは、チェックバルブ102と循環路開閉弁104を更に備える。チェックバルブ102は、流体機械14のポンプユニット16と加熱器18との間を延びる循環路13の部分に介挿され、ポンプユニット16から加熱器18に向かう方向でのみ、作動流体の通過を許容する。循環路開閉弁104は、加熱器18と流体機械14の膨張ユニット20との間を延びる循環路13の部分に介挿され、ECU31からの信号に基づいて、循環路13を開閉可能である。
【0054】
また、廃熱利用システムBは、ポンプバイパス手段を有する。ポンプバイパス手段は、ポンプユニット16と並列にて循環路13に設けられた外部バイパス路106と、外部バイパス路106に介挿されたバイパス路開閉弁108とにより構成されている。バイパス路開閉弁108は電磁弁であり、ECU31からの信号に基づいて、外部バイパス路106を開閉可能である。
この廃熱利用システムBでは、循環路開閉弁104によって循環路13を膨張ユニット20の手前で閉じることにより、外部からの動力が、チェックバルブ102から循環路開閉弁104に亘る循環路13の部分に圧力エネルギーとして蓄えられる。蓄えられた圧力エネルギーは、循環路開閉弁104を開くことにより、膨張ユニット20でトルクに変換され、そして、発電ユニット26で電力に変換される(蓄圧回生)。すなわち、この廃熱利用システムBでは、状況に応じて、外部からの動力を電力以外のかたちで蓄えられる。
【0055】
また、廃熱利用システムBでは、ポンプバイパス手段によりポンプユニット16をバイパスすることにより、ポンプユニット16の仕事が低減される。これにより、外部から入力された動力を発電ユニット16での発電に優先的に利用することができる。換言すれば、状況に応じて、流体機械14を発電機としてのみ利用することも可能であり、これにより外部の発電機(オルタネータ)を削減し、車両の軽量化を図ることもできる。
【0056】
図4は、第3実施形態に係る車両の廃熱利用システムCの概略構成を示している。なお、第1実施形態の廃熱利用システムA及び第2実施形態の廃熱利用システムBと同一の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
廃熱利用システムCに適用された流体機械110にあっては、動力伝達ユニット30及びポンプユニット16の内歯66が第1駆動軸112と一体に連結されている。発電ユニット30の回転子96及び膨張ユニット20の軸部56は、第2駆動軸114と一体に連結され、第1駆動軸112と第2駆動軸114とは、連結部材としてのワンウェイクラッチ116により連結されている。
【0057】
ワンウェイクラッチ116は、第2駆動軸114の回転数、即ち軸部56及び回転子96の回転数が第1駆動軸112の回転数よりも低いときには、第1駆動軸112と第2駆動軸114と第1駆動軸112との間の動力伝達を遮断する。一方、ワンウェイクラッチ116は、第2駆動軸114の回転数が駆動軸72の回転数よりも高くなろうとすると、第1駆動軸112と第2駆動軸114との間の動力伝達を許容し、第1駆動軸112と第2駆動軸114とが一体に回転する。
【0058】
この廃熱利用システムCにあっても、流体機械110の起動から所定の間、ワンウェイクラッチ116によって第1駆動軸112から第2駆動軸114への動力伝達が遮断され、流体機械110の消費動力が削減される。
一方、膨張ユニット30で発生したトルクは、発電ユニット26で電力に変換されるのみならず、第2軸部114の回転数が第1駆動軸112の回転数よりも高いときは、ワンウェイクラッチ116を介して第1駆動軸112へ伝達される。第1駆動軸112に伝達されたトルクは、ポンプユニット16の動力として利用され、このトルクが十分に大きければ、流体機械110は外部からの動力を受けることなく作動可能である。更には、膨張ユニット20で発生したトルクは、動力伝達ユニット30を介し外部に出力可能である。
【0059】
また、廃熱利用システムCにおいても、循環路開閉弁104を閉じることにより圧力エネルギーを蓄え、蓄えた圧力エネルギーを電力に変換可能である。なお、廃熱利用システムAのように、廃熱利用システムCからチェックバルブ102及び循環路開閉弁104を削除してもよい。
図5は、第4実施形態に係る車両の廃熱利用システムDの概略構成を示している。なお、廃熱利用システムA〜Cと同一の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0060】
廃熱利用システムDに適用された流体機械120にあっては、動力伝達ユニット30、ポンプユニット16の内歯66、発電ユニット30の回転子96及び膨張ユニット20の軸部56は、1本の駆動軸122と一体に連結されている。
また、廃熱利用システムDは、循環路13に膨張ユニット20と並列に設けられた外部返戻路124と、外部返戻路124に介挿された返戻路開閉弁としての電磁弁126とを更に備える。電磁弁126は、ECU31からの信号に基づいて、外部返戻路124を開閉可能である。
【0061】
この廃熱利用システムDの流体機械120でも、循環路開閉弁104が循環路13を閉じている間、動力が圧力エネルギーとして蓄えられるが、この一方で、ポンプユニット20の可動スクロール40は旋回運動している。そこで、この廃熱利用システムDでは、循環路開閉弁104が循環路13を閉じているときに、電磁弁126を開作動させて外部返戻路124を開くことにより、循環路開閉弁104と膨張ユニット20との間を延びる循環路13の部分の圧力が低下するのを抑制する。これにより、膨張ユニット20が真空ポンプのように作動することが防止され、膨張ユニット20から駆動軸122にかかる負荷の増大が抑制される。
【0062】
また、流体機械120の起動後、循環路13内の作動流体の圧力が十分に上昇するまでの間は、循環路開閉弁104を開作動させて循環路13を開いていても、電磁弁126を開作動させて外部返戻路124を開けておくことで、膨張ユニット20をバイパスする。これにより、起動から所定の間、膨張ユニット20から駆動軸122にかかる負荷が削減される。
流体機械120の起動後、作動流体の圧力が十分に上昇した後は、電磁弁126を閉作動させて外部返戻路124を閉じることで、流体機械120は自律運転に移行する。
【0063】
なお、廃熱利用システムDから外部返戻路124及び電磁弁126を削除してもよく、チェックバルブ102及び循環路開閉弁104を削除してもよい。
図6は、第5実施形態に係る車両の廃熱利用システムEの概略構成を示している。なお、廃熱利用システムA〜Dと同一の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
廃熱利用システムEは、返戻路開閉弁として逆止弁128を備えている。逆止弁128は、膨張ユニット20の直下流の圧力が直上流の圧力よりも低くなったとき、下流から上流に向けて作動流体が流動するのを許容する。この逆止弁128は、循環路開閉弁104と膨張ユニット20との間を延びる循環路13の部分の圧力が低下するのを自律的に抑制する。これにより逆止弁128は、電磁弁126と同様に、圧力エネルギーを蓄えているときや、起動から所定の間、膨張ユニット20から駆動軸122にかかる負担を低減する。
【0064】
上述した廃熱利用システムD及びEでは、外部返戻路124及び返戻路開閉弁が、循環路開閉弁104と膨張ユニット20との間を延びる循環路13の部分の圧力の低下を防止する手段として機能していたが、圧力低下防止手段はこれらに限定されない。
例えば圧力低下防止手段は、膨張ユニット20の容量可変手段であってもよい。容量可変手段は、例えば図7に示したように、固定スクロール36の基板に形成されたバイパス孔130を有する。バイパス孔130は、内部流路132によって導入孔46又は高圧室38と連通し、内部流路132には、容量制御弁134が介挿される。ECU31は、容量制御弁134の開閉作動を制御可能であり、これにより膨張ユニット20の容量は可変である。この場合、容量制御弁134を開作動させて内部流路132を開くことにより、返戻開閉弁を開作動させて返戻路124を開くのと同様の効果を得られる。そして、容量可変手段を圧力低下防止手段として用いる場合には、返戻路開閉弁に相当する容量制御弁134を逆止弁としてもよい。
【0065】
更に、上述した廃熱利用システムB、D及びEでは、外部バイパス路106及びバイパス路開閉弁がポンプバイパス手段を構成していたが、ポンプバイパス手段はこれに限定されない。
例えば、図8に示したように、上流側のポンプ室70と下流側のポンプ室70とを連通する内部バイパス路140を設け、この内部バイパス路140にバイパス路開閉弁142を介挿してもよい。バイパス路開閉弁142の開閉作動は、ECU31により制御される。
【0066】
この場合、ECU31がバイパス路開閉弁142を開作動させて内部バイパス路140を開くと、昇圧過程の作動流体が逃がされる。これによりポンプユニット16での仕事を低減し、外部から入力されたトルクを発電ユニット26での発電にのみ利用することができる。
第1乃至第5実施形態では、発電ユニット26の回転子96として永久磁石を使用していたが、電磁石を使用してもよい。この場合、図9に示したように、回転子に設けられたフィールドコイル(モータコイル)150に供給する電流量をECU31により調整すれば、発電量を制御することができ、発電ユニット26で消費されるトルクも調整可能になる。これを利用すれば、状況に応じて、外部からの動力をポンプユニット16、発電ユニット26及び膨張ユニット20に適当に配分することができ、あるいは、膨張ユニット20で発生したトルクをポンプユニット16及び発電ユニット26に適当に配分することができる。
【0067】
具体的には、流体機械14,120の起動時には、発電量を少なくして発電ユニット26の駆動トルクを抑制し、自律運転に移行してから、発電量を増やすことができる。また、圧力エネルギーを蓄えるときに、発電量を少なくして発電ユニット26の駆動トルクを抑制することもできる。更に、車両の制動時や減速時には、発電量を増やして発電ユニット26の駆動トルクを増大して、エンジン10への制動力を増やしてもよい。
【0068】
第1乃至第5実施形態では、ポンプユニット16はトロコイド型であったが、ポンプユニットの型式は特に限定されない。また、膨張ユニット20はスクロール式であったが、膨張ユニットの型式も特に限定されない。例えば、膨張ユニット20は往復動式であってもよく、この場合には、ポンプユニット16、発電ユニット26及び膨張ユニット20の配列も特に限定されない。
【符号の説明】
【0069】
A 車両の廃熱利用システム
12 ランキン回路
14 流体機械
16 ポンプユニット
20 膨張ユニット
26 発電ユニット
56 軸部(第2の回転体)
66 内歯(第1の回転体)
72 駆動軸
96 回転子(第3の回転体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回転体を有し、前記第1の回転体の回転に伴い作動流体を吸入し、吸入した作動流体を昇圧してから吐出するポンプユニットと、
第2の回転体を有し、前記第2の回転体の回転を伴いながら、作動流体を受け入れ、受け入れた作動流体を膨張させてから送出する膨張ユニットと、
前記第1及び第2の回転体と同軸上に配置された第3の回転体を有し、前記第3の回転体の回転に伴い電力を発生する発電ユニットと、
前記第1、第2及び第3の回転体のうち少なくとも前記第1の回転体と一体に連結された駆動軸と、
前記駆動軸に連結され、前記駆動軸に外部からの動力を伝達する動力伝達ユニットと
を有すると共に、前記駆動軸が前記第1、第2及び第3の回転体と一体に連結される流体機械と、加熱器と、凝縮器とを熱媒体を循環させるための循環路にそれぞれ介挿したことを特徴とするランキン回路。
【請求項2】
前記動力伝達ユニットは、前記駆動軸に前記外部からの動力を断続的に伝達する電磁クラッチであることを特徴とする請求項1に記載のランキン回路。
【請求項3】
前記発電ユニットは、交流電流を発生することを特徴とする請求項1又は2に記載のランキン回路。
【請求項4】
前記流体機械のポンプユニットと前記加熱器との間を延びる前記循環路の部分に介挿されたチェックバルブと、
前記加熱器と前記流体機械の膨張ユニットとの間を延びる前記循環路の部分に介挿された循環路開閉弁と、
前記循環路開閉弁が閉じているときに、前記第2の回転体の回転に伴い前記循環路開閉弁と前記膨張ユニットとの間を延びる前記循環路の部分の圧力低下を防止する圧力低下防止手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3に記載のランキン回路。
【請求項5】
前記圧力低下防止手段は、
前記循環路に前記膨張ユニットと並列に設けられた外部返戻路と、
前記外部返戻路を開閉する返戻路開閉弁と
を有することを特徴とする請求項4に記載のランキン回路。
【請求項6】
前記圧力低下防止手段は、
前記流体機械の膨張ユニットに設けられ、膨張過程又は膨張後の前記熱媒体を上流側に返戻する内部返戻路と、
前記内部返戻路を開閉する返戻路開閉弁と
を有することを特徴とする請求項5に記載のランキン回路。
【請求項7】
前記返戻路開閉弁は電磁弁であることを特徴とする請求項5又は6に記載のランキン回路。
【請求項8】
前記返戻路開閉弁は逆止弁であることを特徴とする請求項5又は6に記載のランキン回路。
【請求項9】
前記膨張ユニットの容量は可変であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のランキン回路。
【請求項10】
前記発電ユニットは、フィールドコイルを有し、前記フィールドコイルへの通電量を調整することにより前記発電ユニットの発電量は可変であることを特徴とする請求項1乃至9に記載のランキン回路。
【請求項11】
前記ポンプユニットの仕事を低減するためのポンプバイパス手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載のランキン回路。
【請求項12】
車両に設置された請求項1乃至11の何れか1項に記載のランキン回路を備え、
前記動力伝達ユニットは、前記車両の内燃機関と連結され、
前記熱媒体は、前記内燃機関で発生した廃熱を前記加熱器にて受け取る
ことを特徴とする車両の廃熱利用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−41933(P2012−41933A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233744(P2011−233744)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【分割の表示】特願2011−209496(P2011−209496)の分割
【原出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】