説明

ランダムオレフィンコポリマー

2つ以上のオレフィンモノマーをメタロセン触媒の存在下で共重合させることを含んでなるオレフィンコポリマーの製造方法であって、前記メタロセン触媒が式R”(CpR)(FluR’)MQ(式中、Cpはシクロペンタジエニル環を含んでなり;Fluはフルオレニル環を含んでなり;R”は前記成分に立体剛性を付与する構造的架橋を含んでなり;各Rは同一であるかあるいは異なり、そして有機基であり;mは1−4の整数であり;各R’は同一であるかあるいは異なり、そして有機基であり;nは0−8の整数であり;Mは周期律表のIVB族の金属原子であるか、あるいはバナジウムであり;そして各Qは1−20個の炭素原子を有する炭化水素であるか、あるいはハロゲンである)を有するメタロセンを含んでなる方法が提供されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー、特にコポリマーを製造するための方法に関する。本発明の方法により製造されるコポリマーは、一般的に、モノマーが各ポリマー分子の長さにわたって均一に分布するオレフィンコポリマーであって、前記ポリマーが良好な光学的性質(例えば、低ヘーズおよび/または高結晶性)を有するものである。
【背景技術】
【0002】
過去には、メタロセン触媒を使用してランダムオレフィンポリマーを製造する試みが行われてきた。(非特許文献1)において、LeclereとWaymouthは、エチレンとプロピレンの共重合で使用可能なシクロペンタジエン配位子(Cp)とフルオレン配位子(Flu)を有するメタロセン化合物を記述している。特に、非置換Cp、3−メチルCp、3−tert−ブチルCpおよび3,4−ジメチルCp配位子を含んでなるジルコニウムメタロセン触媒が開示されている。これらの触媒は、擬似ランダムポリマーの製造において部分的に成功を収めているのみであり、そしてこれらの触媒を用いて製造されるポリマー製品において著しいランダム化度が常に残る。
【0003】
メタロセン触媒は種々の重合法で有用であることが知られている。例えば、(特許文献1)において、特定のメタロセン触媒がアイソタクチックポリプロピレン(iPP)の製造に有用であるとして記述されている。
【0004】
しかしながら、メタロセン触媒を使用して、ポリマー製品を形成する利点も有し、ランダム性状を望ましい程度に有するオレフィンコポリマーを製造するための方法は現在まで存在しない。このように、ランダムオレフィンコポリマーを形成する改善された方法に対する必要性はなお存在する。
【0005】
特に、既知のランダムポリマーは大量の可溶部(抽出可能部)の問題を有してきた。これらは低分子量の高共重合された種である。これは、クロム触媒とチーグラー・ナッタ触媒など第一世代の触媒の問題であった。この可溶部は表面まで移行し、特に食品および医療領域における多くの使用に対する難点であるヘーズをフィルム中に生成する。
【0006】
これらの問題を克服する観点で、これらの触媒をビス−インデニルメタロセン触媒で置き換える試みが行われた。これは、更に均質な(擬似ランダム)連鎖組成物を生み出す。しかしながら、純粋なラセミ型ビス−インデニル触媒を製造することは、困難で、費用のかかることが判明し、そして達成可能である場合でも、この純粋な触媒はメソ誘導体へのなにがしかの変換を不可避的に起こす。このメソ誘導体は、上述のように可溶部/抽出可能部であるアタクチックポリプロピレンを生成する。更なる問題は、このような触媒は、2,1−挿入が起こるために低分子量ポリマーを生じるということである。これは、金属中心における立体障害は、2,1−挿入が起こった後に増大するためである。これは、エチレンが存在する唯一の種であり、いかなる著しい程度でも更に反応することができるという効果を有する。エチレン反応はプロピレン反応よりも連鎖移動により連鎖停止を起こす傾向が大きく、そのために連鎖停止が極めて増加する。
【特許文献1】EP 0581236
【非特許文献1】LeclereおよびWaymouth,Angew.Chem.Int.Ed.1998,Vol.37,No.7、pages 922−925
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は上記の先行技術と関連する問題を解決することである。本発明の更なる目的は、モノマーが各ポリマー分子の長さにわたって均一に分布し、低ヘーズおよび高透明性などの改善された光学的性質を有するオレフィンコポリマーを形成するための改善された方法を提供することである。本発明の更なる目的は、高結晶性を有するオレフィンコポリマーを形成するための改善された方法を提供することである。
【0008】
このように、本発明は、モノマーが各ポリマー分子の長さにわたって均一に分布するオレフィンコポリマーを製造する方法であって、2つ以上のオレフィンモノマーをメタロセン触媒の存在下で共重合させ、ここでこのメタロセン触媒が式
R”(CpR)(FluR’)MQ
(式中、Cpはシクロペンタジエニル環を含んでなり;Fluはフルオレニル環を含んでなり;R”は前記成分に立体剛性を付与する構造的架橋を含んでなり;各Rは同一であるかあるいは異なり、そして有機基を含んでなり;mは1−4の整数であり;各R’は同一であるかあるいは異なり、そして有機基を含んでなり;nは0−8の整数であり;Mは周期律表のIVB族の金属原子であるか、あるいはバナジウムであり;そして各Qは1−20個の炭素原子を有する炭化水素であるか、あるいはハロゲンである)
を有するメタロセンを含んでなる方法を提供する。
【0009】
本発明の方法は共重合法を含む。本発明の文脈においては、共重合は、2つ以上のオレフィンモノマーを同一反応域中重合条件下で一緒に重合させることを意味する。本発明の方法は、2つのオレフィンモノマーを共重合させて、オレフィンコポリマーを形成することを含むが、所望ならば、3つ、4つあるいはそれ以上のオレフィンモノマーを本発明の方法において一緒に使用して、例えばターポリマーを形成することが好ましい。好ましくは、本発明でプロピレンとエチレンをモノマーとして一緒に使用して、エチレン/プロピレンコポリマーを形成する。
【0010】
本発明で使用されるシクロペンタジエニル−フルオレニル(Cp−Flu)触媒系の更なる利点は、フィード中でより少量のエチレンコモノマーを必要とするということである。結果として、得られるエチレン/プロピレンコポリマーは、ビス−インデニル触媒系により得られるエチレン/プロピレンコポリマーよりも低い融解温度を有する。本発明のエチレン/プロピレンコポリマーの融解温度は、好ましくは100−110℃、更に好ましくは103−107℃、そして最も好ましくは約105℃である。これは、フィード中の同一量のエチレンに対してビス−インデニル触媒系により得られるポリマーに対する約125℃の融解温度と比肩する。
【0011】
本発明の方法は、良好な結晶性と低ヘーズおよび高透明性などの良好な光学的性質を有する改善された擬似ランダムオレフィンコポリマーの製造が可能となるので特に有利である。上記の触媒はメソ形を有さず(単一部位の触媒である)、抽出可能部または低分子量製品を生成する問題に悩まされず、そしてレジオ欠陥を有しない。
【0012】
理論に拘束されるのではないが、本発明の方法で使用される触媒のCp環中の特定な置換パターンが擬似ランダム性状のポリマー製品を生成すると考えられる。この置換パターンは、比較的立体障害されている第1の「側」と比較的立体障害されていない第2の「側」を有する触媒点を提供するということが考えられる。重合の機構は、最初は一方の側から、次にもう一方の側から交互にオレフィンを挿入することを含む。この触媒の2つの側の立体的な環境は、立体障害のある側からのかさ高でないオレフィンモノマーの挿入を優先させ、そして立体障害のない側からのかさ高なオレフィンモノマーの挿入を優先させる。このように、このポリマー製品において本発明の触媒を用いて、第1のオレフィンモノマーと第2のオレフィンモノマーが交互になることが達成可能である。本発明の触媒を代表する触媒の立体的な環境を下記のスキームI(金属原子とQ基は図示せず)に図示する

【0013】
【化1】

モノマーの更に均一分布を有するポリマーを生成させるのはモノマーのこの高規則性挿入であると考えられている。このような高規則性挿入が起こらない場合には、モノマーは一緒にブロックを作り、最も反応性のモノマーは第1のブロックを形成し、そして低反応性のモノマーは第2のブロックを形成する。本発明のポリマーにおいては、モノマーはこのような識別できるブロックを形成せず、各ポリマー分子の長さにわたってより均一に分布する。これは、以前には「ランダム」コポリマーと記述されてきた。しかしながら、上述のモノマー挿入の性状は擬似規則性であることにより、更に正確にはこのポリマーの性状は擬似ランダムと特性付けされる。
【0014】
本発明で使用されるCp−Fluタイプの触媒のCp環の間の角度は117゜のオーダーであり、ビス−インデニル触媒の対応する角度の125゜のオーダーよりも小さいということは更に注目に値する。このことによって、モノマーとコモノマーの両方の挿入が更に困難となることが確実となる。結果として、コモノマーの消費は少なく、そして得られるコポリマーの融解温度は低下する。
【0015】
このシクロペンタジエンおよびフルオレン環(それぞれRおよびR’)上に存在し得る置換基を更に詳細に述べる。この置換基は特に限定されない。このシクロペンタジエン環(Cp)は少なくとも一置換であるが、これらの更なる置換基が擬似ランダムオレフィンコポリマーを生成する本発明の方法の性能に不利な干渉をしないことを条件に、1つ以上の更なる置換基を含んでなってもよい。このCp環は一貫して同一の置換基により、あるいは異なる置換基により置換され得る。このフルオレン環(Flu)は置換あるいは非置換であってもよく、そして一貫して同一の置換基により、あるいは異なる置換基により置換されてもよい。
【0016】
このCpおよびFlu環上の置換基は特に限定されず、そしていかなる有機基も含んでなり、そして/あるいは周期律表のIIIA、IVA、VA、VIAあるいはVIIA族のいずれかの1つ以上の原子、例えばB、Si、N、P、O、あるいはS原子またはハロゲン原子(例えば、F、Cl、BrまたはI)を含んでなってもよい。
【0017】
この置換基が有機基を含んでなる場合には、この有機基は好ましくは炭化水素基を含んでなる。この炭化水素基は直鎖、分岐鎖あるいは環状の基を含んでなってもよい。独立に、この炭化水素基は脂肪族あるいは芳香族の基を含んでなってもよい。また、独立に、この炭化水素基は飽和あるいは不飽和の基を含んでなってもよい。
【0018】
この炭化水素が不飽和基を含んでなる場合には、これは1つ以上のアルケン官能基および/または1つ以上のアルキン官能基を含んでなってもよい。この炭化水素が直線状あるいは分岐鎖の基を含んでなる場合には、これは1つ以上の一級、二級および/または三級アルキル基を含んでなってもよい。この炭化水素が環状基を含んでなる場合には、これは芳香族環、脂肪族環、ヘテロ環状基、および/またはこれらの基の融合環誘導体を含んでなってもよい。従って、この環状基は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、インデン、フルオレン、ピリジン、キノリン、チオフェン、ベンゾチオフェン、フラン、ベンゾフラン、ピロール、インドール、イミダゾール、チアゾール、および/またはオキサゾール基、ならびに上記の基のレジオ異性体を含んでなってもよい。
【0019】
この炭化水素基中の炭素原子数は特に限定されないが、好ましくはこの炭化水素基は1−40のC原子を含んでなる。このように、この炭化水素基は低炭化水素(1−6C原子)または高炭化水素(7C原子以上、例えば7−40C原子)であってもよい。この環状基の環中の原子数は特に限定されないが、好ましくはこの環状基の環は3−10原子、例えば3、4、5、6あるいは7原子を含んでなる。
【0020】
上述のヘテロ原子を含んでなる基、ならびに上記に定義した他の基のいずれかは、周期律表のIIIA、IVA、VA、VIAまたはVIIA族の1つ以上のヘテロ原子、例えばB、Si、N、P、O、あるいはS原子またはハロゲン原子(例えば、F、Cl、BrまたはI)を含んでなってもよい。このように、この置換基は、有機化学における普通の官能基、例えばヒドロキシ基、カルボン酸基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、アミン基、アミド基、イミン基、チオール基、チオエーテル基、サルフェート基、スルホン酸基、およびホスフェート基等のいずれかの1つ以上を含んでなってもよい。この置換基は、又、これらの基の誘導体、例えばカルボン酸無水物およびカルボン酸ハロゲン化物も含んでもよい。
【0021】
加えて、いかなる置換基も上記に定義した置換基および/または官能基の2つ以上の組み合わせを含んでなってもよい。
【0022】
通常、この置換基は、1−20個の炭素原子を有するアリール基とヒドロカルビル基から独立に選択される。最も好ましい置換基はメチル基である。他の好ましい置換基は、Et、n−Pr、i−Pr、n−Bu、t−Bu、Me3Si、R−O、シクロアルキル、およびハロゲンを含む。
【0023】
Cp環に関しては、少なくとも1つの基Rは、Zが周期律表のIVA族の原子であり、そして各R*が同一であるかあるいは異なり、そして水素または1−20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基から選択される、式ZR*3のかさ高の基を含んでなることが特に好ましい。場合によっては、このようなR基が存在する場合には、少なくとも1つの更なる基Rが存在してもよく、前記更なる基は式YR#(式中、Yは周期律表のIVA族の原子であり、そして各R#は同一であるかあるいは異なり、そして水素または1−7個の炭素原子を有するヒドロカルビル基から選択される)の基を含んでなる。
【0024】
この置換基の位置に関しては、架橋R”に対して遠位となるようにおおむね少なくとも1つの基Rをこのシクロペンタジエニル環上に位置させる。しかしながら、本発明のある態様においては、架橋R”に対して近位となるように少なくとも1つの基Rをこのシクロペンタジエニル環上に位置させる。このシクロペンタジエニル環は、架橋R”に対して遠位の置換基ZR*とこの架橋に対して近位で、ZR*に対してビシナルでない置換基YR#を含んでなることが特に好ましい。本発明のある態様においては、このシクロペンタジエニル環は、架橋R”に対して遠位の置換基ZR*、架橋R”に対して近位で、そしてZR*に対してビシナルでない置換基YR#3および架橋に対して近位で、そし
てZR*に対してビシナルな更なる置換基YR#を更に含んでなる。このシクロペンタジエニル環は、所望ならば、各々架橋R”に対して遠位の2つの置換基ZR*を含んでなってもよい。
【0025】
好ましい態様においては、上記の式中のZとYは炭素またはケイ素を独立に含んでなる。本発明の方法で使用される触媒化合物は、通常、ZR*がC(CH、C(CHPh、CPh、およびSi(CHから選択される化合物である。ZR*はC(CHを含んでなることが特に好ましい。本発明の更に好ましい態様においては、YR#はメチル基を含んでなる。
【0026】
フルオレン環の置換パターンは、本発明の共重合方法に不利な干渉をしないということを条件として、特に限定されない。好ましくは、このフルオレン環は、2位、および/または3位、および/または6位、および/または7位において置換基を含んでなる。更に好ましくは3位および6位の両方、または2位および7位の両方が置換される。2、3、6および7位すべてが置換されることも可能である。
【0027】
上述の触媒中の環の間に存在する架橋のタイプはそれ自身特に限定されない。通常、R”は1〜20個の炭素原子を有するアルキリデン基、ゲルマニウム基(例えば、ジアルキルゲルマニウム基)、ケイ素基(例えば、ジアルキルケイ素基)、シロキサン基(例えば、ジアルキルシロキサン基)、アルキルホスフィン基またはアミン基を含んでなる。好ましくは、この置換基は、シリル基または少なくとも1個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を含んでなり、置換あるいは非置換のエチレニル基(例えば、−CHCH−)などの架橋を形成する。最も好ましくはR”はイソプロピリデン(MeC)、PhC、エチレニル、またはMeSiである。
【0028】
本発明で使用されるメタロセン化合物は、MがTi、Zr、またはHfのものであるということが更に好ましい。通常、この金属原子に結合したQ基はClなどのハロゲン原子である。
【0029】
上記のメタロセン化合物に加えて、本発明の方法で使用される触媒は、この触媒成分のいずれか1つ以上を活性化する能力のある1つ以上の活性化剤を含んでなってもよい。通常、この活性化剤はアルミニウム−あるいはホウ素含有活性化剤を含んでなる。
【0030】
好適なアルミニウム含有活性化剤は、アルモキサン、アルキルアルミニウム化合物および/またはルイス酸を含んでなる。
【0031】
本発明で使用可能なアルモキサンはよく知られ、そして好ましくはオリゴマー状線状アルモキサンに対しては式(I)
【0032】
【化2】

により、そしてオリゴマー状環状アルモキサンに対しては式(II)
【0033】
【化3】

により表されるオリゴマー状線状および/または環状アルキルアルモキサンを含んでなり、式中、nは1−40、好ましくは10−20であり;mは3−40、好ましくは3−20であり;そしてRはC−Cアルキル基、好ましくはメチルである。一般に、例えばアルミニウムトリメチルと水からアルモキサンを製造する場合には、線状および環状化合物の混合物が得られる。
【0034】
好適なホウ素含有活性化剤は、トリフェニルカルベニウムボロネート、例えばEP−A−0427696に記述されているようなテトラキス−ペンタフルオロフェニル−ボラト−トリフェニルカルベニウム、
【0035】
【化4】

またはEP−A−0277004(6ページ、30行〜7ページ、7行)に記述されているような下記の一般式
【0036】
【化5】

のものを含んでなってもよい。
【0037】
他の好ましい活性化剤はヒドロキシイソブチルアルミニウムと金属アルミノオキシネートを含む。メタロセンに対する一般式中の少なくとも1つのQがアルキル基を含んでなる場合には、これらが特に好ましい。
【0038】
本発明で使用される触媒系は、必要とされる触媒活性が損なわれないという条件でいかなるタイプの共重合法においても使用され得る。本発明の好ましい態様においては、この触媒系は均質である溶液重合法、または不均質であるスラリー法で使用される。溶液法においては、典型的な溶媒は、ヘプタン、トルエンまたはシクロヘキサンなどの4−7個の炭素原子を有する炭化水素を含む。スラリー法においては、不活性担体、特にタルク、無機酸化物などの多孔質の固体担体とポリオレフィンなどの樹脂担体材料上にこの触媒系を固定することが必要である。好ましくは、この担体材料は微粉砕した形の無機酸化物であ
る。
【0039】
本発明により望ましくは使用される好適な無機酸化物材料は、シリカ、アルミナおよびこれらの混合物などのIIA、IIIA、IVA、あるいはIVB族の金属酸化物を含む。単独で、あるいはシリカまたはアルミナと組み合わせて使用され得る他の無機酸化物は、マグネシア、チタニア、ジルコニアなどである。しかしながら、他の好適な担体材料、例えば微粉砕したポリエチレンなどの微粉砕した官能化されたポリオレフィンが使用可能である。
【0040】
好ましくは、この担体は200−700m/gの表面積と0.5−3ml/gの細孔容積を有するシリカ担体である。
【0041】
この固体担体触媒の製造で有用に使用される活性化剤とメタロセンの量は、広範囲にわたって変動可能である。好ましくは、遷移金属に対する活性化剤のモル比は、1:1と100:1の間の範囲内、好ましくは5:1と50:1の間の範囲内にある。
【0042】
この担体材料へのこの触媒成分と活性化剤の添加順序は変動可能である。本発明の好ましい態様によれば、好適な不活性炭化水素溶媒に溶解した活性化剤を同一の、あるいは他の好適な炭化水素液体中にスラリー化された担体材料に添加し、そしてその後この触媒成分の混合物をこのスラリーに添加する。
【0043】
好ましい溶媒は反応温度で液体であり、そして個別成分と反応しない鉱油と種々の炭化水素を含む。この有用な溶媒の例示の例は、アルカン、例えばペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよびノナン;シクロアルカン、例えばシクロペンタンおよびシクロヘキサン;および芳香族、例えばベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびジエチルベンゼンを含む。
【0044】
好ましくは、この担体材料をトルエン中にスラリー化し、そして担体材料への添加前にこの触媒成分と活性化剤をトルエン中に溶解する。
【0045】
本発明のポリマーが特に適している用途はフィルムと耐衝撃性コポリマーを含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマーが各ポリマー分子の長さにわたって均一に分布するオレフィンコポリマーを製造するためのオレフィンコポリマーの製造方法であって、2つ以上のオレフィンモノマーをメタロセン触媒の存在下で共重合させ、ここで前記メタロセン触媒が式
R”(CpR)(FluR’)MQ
(式中、Cpはシクロペンタジエニル環を含んでなり;Fluはフルオレニル環を含んでなり;R”は前記成分に立体剛性を付与する構造的架橋を含んでなり;各Rは同一であるかあるいは異なり、そして有機基であり;mは1−4の整数であり;各R’は同一であるかあるいは異なり、そして有機基であり;nは0−8の整数であり;Mは周期律表のIVB族の金属原子であるか、あるいはバナジウムであり;そして各Qは1−20個の炭素原子を有する炭化水素であるか、あるいはハロゲンである)
を有するメタロセンを含んでなる方法。
【請求項2】
少なくとも1つの基Rを前記架橋R”に対して遠位であるように前記シクロペンタジエニル環上に位置させる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの基Rは式ZR*(式中、Zは周期律表のIVA族の原子であり、そして各R*は同一であるかあるいは異なり、水素または1−20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基から選択される)のかさ高の基を含んでなる請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの更なる基Rは式YR#(式中、Yは周期律表のIVA族の原子であり、そして各R#は同一であるかあるいは異なり、水素または1−7個の炭素原子を有するヒドロカルビル基から選択される)の基を含んでなる先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記シクロペンタジエニル環は前記架橋R”に対して遠位の置換基ZR*と前記架橋に対して近位で、ZR*に対してビシナルでない置換基YR#を含んでなる請求項2−4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記フルオレニル環は3位および/または6位、あるいは2位および/または7位において置換基を含んでなる先行する請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
ZR*はC(CH、C(CHPh、CPh、およびSi(CHから選択される請求項2〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
YR#はCHを含んでなる請求項3〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
R”はシリル基または少なくとも1個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を含んでなり、前記架橋を形成する先行する請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
MはTi、Zr、またはHfである先行する請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
QはClまたはメチルである先行する請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
エチレンをオレフィンモノマーとして使用する先行する請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
プロピレンをオレフィンモノマーとして使用する先行する請求項のいずれか一つに記載
の方法。
【請求項14】
モノマーが各ポリマー分子の長さにわたって均一に分布し、そして式
R”(CpR)(FluR’)MQ
(式中、Cpはシクロペンタジエニル環を含んでなり;Fluはフルオレニル環を含んでなり;R”は前記成分に立体剛性を付与する構造的架橋を含んでなり;各Rは同一であるかあるいは異なり、そして有機基であり;mは1−4の整数であり;各R’は同一であるかあるいは異なり、そして有機基であり;nは0−8の整数であり;Mは周期律表のIVB族の金属原子であるか、あるいはバナジウムであり;そして各Qは1−20個の炭素原子を有する炭化水素であるか、あるいはハロゲンである)
を有するメタロセンを含んでなる、オレフィンコポリマーを製造するためのメタロセン触媒の使用。
【請求項15】
前記メタロセン化合物は請求項2〜11のいずれかに定義される化合物である請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記モノマーが各ポリマー分子の長さにわたって均一に分布し、約105℃の融解温度を有するエチレン/プロピレンコポリマーを形成する請求項14または請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記モノマーが各ポリマー分子の長さにわたって均一に分布し、請求項1〜13のいずれかに定義される方法により入手可能なオレフィンコポリマー。

【公表番号】特表2009−513728(P2009−513728A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516192(P2006−516192)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051261
【国際公開番号】WO2005/005492
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(504469606)トータル・ペトロケミカルズ・リサーチ・フエリユイ (180)
【Fターム(参考)】