説明

リアクタユニット及びそのリアクタユニットを備えたリアクタ

本発明は、第1のチャンバ及び第2のチャンバを備え、第1のチャンバがハウジングの内部によって形成され、第2のチャンバがハウジング内に配置された複数の中空ファイバの内部によって形成されたリアクタユニットに関する。中空ファイバは、第1のチャンバの断面領域において、第1のチャンバの少なくとも1つの領域におけるその密度が10本/mmを越えないようにハウジング内に配置されている。本発明の別の局面によると、リアクタユニット内に2つの化合物封止体が配置されており、化合物封止体内に、中空ファイバの一部、好適には末端領域が埋め込まれており、2つの化合物封止体の間を中空ファイバの別の部分が延びており、中空ファイバのいくつか又は全ての中空ファイバの化合物封止体の間に配置された部分の長さは、化合物封止体の対向する面の間の距離よりも少なくとも0.5%長い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のチャンバ及び第2のチャンバを有し、第1のチャンバがハウジングの内部によって形成され、第2のチャンバがハウジング内に配置された複数の中空ファイバの内部によって形成されたリアクタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなリアクタユニットはさまざまなタイプが公知あり、例えば、異なる起源のヒト細胞又は動物細胞を成長させるのに用いたり、人工肝臓又は膵臓の置換治療に用いたりする。
【0003】
米国特許第5,437,998号に開示された公知のリアクタは、培地と成長させる細胞とを含む回転可能に設けられたリアクタユニットを備えている。細胞培地への酸素の供給及び生成された二酸化炭素の排出は、リアクタユニットの浸透壁によって行われる。
【0004】
WO03/105663A2に開示された公知の肝臓補助システムは、第1のチャンバ及び第2のチャンバを含むリアクタユニットを備えている。第1のチャンバはハウジングの内部によって形成され、第2のチャンバはハウジング内に配置された束状の中空ファイバの内部によって形成されている。第1のチャンバ内には肝細胞が含まれる。このリアクタの一実施形態において、血漿が中空ファイバの内部、つまり第2のチャンバを通過する。物質移動は、中空ファイバ膜を介して行われる。中空ファイバは、真っ直ぐな形状を有し且つハウジングの長手方向に延びるように設計されている。WO04/050864A1に開示された公知のバイオリアクタにおいて、成長させる細胞を含んだチャンバが設けられ、この細胞は栄養培地を運ぶ供給排出管から膜により分離されている。
【0005】
上述のように、上記リアクタユニットは、例えば、細胞を成長させるのに用い得る。別の用途分野は治療、例えば肝臓及び膵臓の置換治療である。したがって、従来技術のリアクタユニットは、例えば、細胞を培養する第1のチャンバを備えており、第2のチャンバによって形成された供給回路が第1のチャンバ内を通っており、その供給回路内を栄養培地若しくは血液又は血液成分が流れる。第2のチャンバは、一般に、束状の中空ファイバ膜によって形成され、第1のチャンバ内の培地と物質とが中空ファイバの膜を介して交換される。通常、より大きな単位(例えば細胞)が中空ファイバの膜を通過することができないように設計されている。そのようなリアクタユニットによって、第1のチャンバ内の細胞に栄養が供給され、代謝産物が排出され得る。上述のようにリアクタユニットを人工肝臓として用いた場合、血液由来の物質がチャンバと交換され、その後その物質が肝臓細胞によって代謝される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のプロセスは、リアクタユニットの第1のチャンバと第2のチャンバとの間において良好な物質移動を要求する。本発明の目的は、従来公知のリアクタユニットよりも向上した物質移動特性を有する上述のようなリアクタユニットを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1乃至14の特徴を備えたリアクタユニットによって達成される。したがって、中空ファイバは、第1のチャンバの断面領域において、第1のチャンバの少なくとも1つの領域におけるその密度が10本/mmを越えないようにハウジング内に配置されるものと規定される。中空ファイバが第1のチャンバの断面において所定の密度を超えない場合、第1のチャンバと第2のチャンバとの間の物質移動は最適に行われ得ることがわかった。ファイバの密度が可能最大値を有さず、それよりも小さな値をとる場合に良好な交換が行われることに注目した。血液透析機において好まれるようにファイバを最も高い密度でパッキングすることは、ここでは有利ではない。総交換表面に応じて決まる供給容量を確保した場合に、最小の密度が得られる。
【0008】
外径が約250μmの中空ファイバにおいて、最大ファイバ密度は12本/mmである。第1のチャンバの断面領域におけるファイバの密度が10本/mmを越えない場合に、特に好ましい物質移動が達成されることがわかった。
【0009】
第1のチャンバの少なくとも1つの領域において単位面積あたりの中空ファイバ密度は、0.2〜10本/mmの範囲であり、好適には0.5〜6本/mmの範囲であり、特に好適には1〜4本/mmの範囲であることが特に有利である。これらの密度は、第1のチャンバの少なくともある一点において達成され得る。
【0010】
本明細書中で言う「ファイバ密度」とは、1cmに基づく均一なファイバ密度のことである。
【0011】
本発明によるリアクタユニットの中空ファイバの単位面積あたりの密度は、一方では、ファイバが既に対応する密度で末端領域にて化合物封止体内にポッティングされている、つまり埋め込まれるように実現され得る。さらに、ファイバを可能最大密度でパッキングする形態にて埋め込み、チャンバ内の2つの化合物封止体の間の距離を低減することが可能であり、それにより、埋込表面の間の距離は、化合物封止体の間に配置されたファイバの部分の長さよりも短い。この場合、ファイバは埋込表面の間を真っ直ぐ延びずに曲がって延び、例えばスピンドル形状になる。
【0012】
したがって、第1のチャンバの断面領域におけるファイバの密度は、ファイバの長手方向において変化することを考え得る。このことは、例えば、ファイバが最も密にパッキングされるように埋め込まれ、化合物封止体の対向する表面の間の距離が、化合物封止体の間に配置されたファイバ部分の長さよりも短い場合にあてはまる。或いは、第1のチャンバの断面領域におけるファイバの密度は、ファイバの長手方向において一定であることも規定し得る。そのような実施形態は、ファイバが、可能最大密度よりも低い所望の密度で埋め込まれる場合に考え得る。
【0013】
原則的には、リアクタユニット内に1つ以上の化合物封止体が配置されており、この化合物封止体内に、中空ファイバの一部、通常は末端領域が埋め込まれている。ファイバが例えばU字形の流路を有する場合に、化合物封止体が設けられ得る。
【0014】
言うまでもないが、リアクタユニットが対向する2つの化合物封止体を含み、化合物封止体内に、中空ファイバの一部、好適には末端領域が埋め込まれており、これら2つの化合物封止体の間を中空ファイバの更なる部分が延びている。
【0015】
上述のように、中空ファイバは化合物封止体の間を真っ直ぐに又は曲がって延びており、それにより、例えば膨隆した形状又はスピンドル形の中空ファイババンドルが得られるように規定され得る。ファイバは、細長の真っ直ぐなファイバ流の場合よりも高い充填度で第1のチャンバの内部を充たしている。
【0016】
上述のように、本発明の利点は、中空ファイバの少なくともいくつか又は全ての中空ファイバの化合物封止体の間に配置された部分の長さが、化合物封止体の対向する面の間の距離よりも少なくとも0.5%長い点にある。特に好適には、中空ファイバの少なくともいくつか又は全ての中空ファイバの該部分の長さは、埋込表面の間の距離よりも少なくとも1%、好適には少なくとも3%長い。
【0017】
第1のチャンバの断面領域におけるファイバの密度が増大するように、中空ファイバを適切な手段で圧縮することが可能である。原則的には、中空ファイバ又は中空ファイバによって形成されたスピンドルを例えばOリングで圧縮して、密度を再度上方に調整することができる。
【0018】
本発明の更なる局面において、リアクタユニットが、中空ファイバ膜を介した少なくとも1種類の気体培地の移動を行う中空ファイバによって形成された第3のチャンバを含むように規定される。気体移動のための回路が実現され得る。好適には液体が通過する第2のチャンバを形成する中空ファイバに加えて、更なる中空ファイバがハウジングの内部又は第1のチャンバの内部を通過して延びるように規定し得る。好適には、第3のチャンバを形成するそのような中空気体移動ファイバが複数本設けられる。
【0019】
中空気体移動ファイバの構成は、概ね所望のように実現し得る。例えば、動作時に好適には液体培地が通過する第2のチャンバを形成する中空ファイバがリアクタユニットの中央部分に配置され、動作時に好適には気体培地が通過する中空気体移動ファイバがリアクタユニットの円周領域に配置されることを考え得る。
【0020】
本発明の更なる局面において、中空気体移動ファイバは、第2のチャンバを形成する中空ファイバよりも大きな外径及び/又は内径を有すると規定される。
【0021】
本発明の好適な局面において、第3のチャンバを形成する中空気体移動ファイバは膜を介した酸素の移動が可能なように設計されることがきていされる。この場合、第3のチャンバを形成する中空気体移動ファイバは、第1のチャンバに含まれる培地又は第1のチャンバに含まれる細胞に酸素を添加するために用いられ得る。
【0022】
第3のチャンバを形成する中空気体移動ファイバは、例えば、PTFEによって形成され得る。例えば、中空気体移動ファイバ用に疎水性の気体移動膜を用いることを考え得る。
【0023】
本発明はさらに、ハウジングの内部によって形成された第1のチャンバとハウジング内に配置された複数の中空ファイバの内部によって形成された第2のチャンバとを備えたリアクタユニットに関する。リアクタユニット内に少なくとも2つの化合物封止体が配置されており、化合物封止体内に、中空ファイバの一部、好適には末端領域が埋め込まれており、2つの化合物封止体の間を中空ファイバの更なる部分が延びており、中空ファイバのいくつか又は全ての中空ファイバの化合物封止体の間に配置された部分の長さは、対向する埋込表面の間の距離よりも少なくとも0.5%長いことが規定される。このようにして、対向する埋込表面の間の距離が中空ファイバの該埋込表面間を延びる部分の長さに対応している場合よりも、単位面積あたりのファイバ密度が低くなる。そのようなリアクタユニットは、請求項1乃至13のいずれかの特徴部に応じて設計されるのが有利である。
【0024】
ハウジング内の中空ファイバの流れは、概ね所望の通りであり得る。中空ファイバが、中空ファイバ内を流れる培地が1つの方向又は少なくとも2つの異なる方向に導かれるように配置されることを考え得る。後者の場合、中空ファイバ内を流れる培地は、少なくとも1回方向が変化する。例えば、中空ファイバ内を流れる培地の流路が略U字形であるか又はU字形の中空ファイバを用いることを考え得る。
【0025】
少なくとも1回方向が変わる場合、特に2つのチャンバ間の物質移動が少なくとも対流によって起こる場合に、本発明の有利な局面が得られる。対流による物質移動は、中空ファイバ膜の両側の圧力差に正比例する。中空ファイバにおける圧力降下は、ファイバの長さに正比例し且つファイバの直径の4乗に反比例する。したがって、中空ファイバ内を流れる培地の流路の方向が少なくとも1回変わる(例えば方向が反転する)、例えば少なくとも1回順方向及び逆方向に導かれる場合、それに対応してハウジング内の全流路が増大する。この結果、中空ファイバ膜内の圧力が上昇し、中空ファイバ膜の両側の圧力差が増大し、したがって、対流による交換が増大する。
【0026】
特に有利な点として、中空ファイバの入口及び出口は、ハウジングの同じ側に配置される。中空ファイバ内を導かれる培地の流路はU字形であるか又は複数回方向転換する流路であり得る。第1のチャンバと第2のチャンバとの圧力差又は第1のチャンバに含まれる培地と第2のチャンバに含まれる培地との圧力差は、中空ファイバが反転する箇所においてゼロになるように調節され得る。この反転箇所より前には、圧力差によって、中空ファイバから第1のチャンバ内への対流が起こり、反転箇所に隣接する流路において、第1のチャンバから第2のチャンバへの、つまり、ハウジングに含まれる培地から中空ファイバ内への対流が起こる。
【0027】
上述のように、中空ファイバは、中空ファイバ内を流れる培地が略U字形の流路を通るようにハウジング内に配置され得る。
【0028】
中空ファイバは略U字形であり得る。中空ファイバが真っ直ぐであり且つその両端の領域において化合物封止体内に埋め込まれるように設計され、何よりも先ず培地が1以上の中空ファイバを通過し、その末端領域において方向が変化し、他の中空ファイバ内を逆方向に流れて戻るように流路が設計されることも同様に考え得る。
【0029】
ハウジングは回転対称なデザイン、好適には円筒形のデザインを有し得る。
【0030】
本発明の更なる局面において、中空ファイバは、入口から中空ファイバの流れの方向が変化する領域に至るまで第1の方向に延びており、該方向が変化する領域からは第1の方向と異なる第2の方向に延びており、第1の方向に延びている中空ファイバは半径方向内側を延びており、第2の方向に延びている中空ファイバは半径方向外側を延びている。そのような実施形態は、例えば、中空ファイバが既に化合物封止体内に比較的低い密度で埋め込まれている場合に考え得る。例えば、第1のチャンバと第2のチャンバとの圧力差は、供給中空ファイバと排出中空ファイバとの間に空間的分離が存在するように選択されることが考えられる。これにより、完全な混合が提供され得る。例えば、供給ファイバを半径方向内側に配置し、排出ファイバを供給ファイバに対して平行になるように半径方向外側に配置することが考えられる。原則的には、異なる局面も考え得る。即ち、供給ファイバを外側に配置し、排出ファイバを内側に配置した逆配置も可能である。
【0031】
上述のように、中空ファイバにおける圧力降下は、ファイバの直径の4乗に反比例する。このことを鑑みれば、小さなファイバ径を選択するのが好ましい。好適には、中空ファイバの内径は、300μm以下であり、好適には200μm以下であり、特に好適には約100μmであると規定される。
【0032】
中空ファイバ膜の多孔度が高いので、良好な物質移動が同様に提供される。該膜の水力学的透過率(hydraulic permeability)は、少なくとも200ml/mmHg×h×mであり、好適には少なくとも500ml/mmHg×h×mである。
【0033】
本発明の更なる局面において、中空ファイバを形成する膜のカットオフは、10〜10Daの範囲であり、好適には10〜10Daの範囲であると規定される。特に好適なカットオフは、700,000〜900,000Daの範囲である。言うまでもないが、異なる多孔度又はカットオフが可能である。意図した用途に応じて、多孔度の低い中空ファイバ膜を用いることもまた考え得る。
【0034】
特に好適には、リアクタユニットは使い捨てユニットとして設計される。
【0035】
さらに、リアクタユニットは、蒸気で殺菌し得る材料で形成するのが有利である。使用する材料は、好適には、透析フィルタにも用いられる材料に対応している。したがって、ハウジングがPPで形成され且つ/又は化合物封止体がポリウレタンで形成され且つ/又は中空ファイバがポリアリールエーテルスルフォン、好適にはポリスルフォン、特に好適にはPVPで親水化されたポリスルフォンで形成されている。本発明の更なる局面において、全ての材料は、121℃の蒸気で殺菌した場合に寸法が安定している。
【0036】
本発明はさらに、回転可能に設けられた本発明のリアクタユニットを少なくとも1つ備えたリアクタに関する。リアクタユニットが停止状態でなく回転している場合、第1のチャンバと第2のチャンバとの間で特に良好な物質移動が得られる。それに対応して、本発明の有利な局面は、回転可能な状態で設けられたリアクタユニットを備えたリアクタに関する。リアクタユニットを回転動作させる対応する駆動手段が設けられ得る。
【0037】
本発明の更なる局面において、リアクタは、リアクタユニットを1個だけでなく複数個を備えるものと規定される。この複数のリアクタユニットは、所望の様態で相互接続され得る。例えば、リアクタユニットを直列に配置し、1つのリアクタユニットの出口が別のリアクタユニットの入口を形成することが考えられる。リアクタユニットを並列に配置し、リアクタユニットに例えば同じ栄養溶液などの同一の供給物を供給することが考えられる。
【0038】
上記直列接続は、リアクタユニット間の流路がある方向に延びる、つまり、第1のリアクタユニットの出口が連続する第2のリアクタユニットの入口を形成するように設計され得る。また、第2のリアクタユニットの出口が第1のリアクタユニットの入口を形成し、物質移動が2方向に起こることも考えられる。
【0039】
直列及び並列の構成にリアクタユニットを組み合わせることにより、高度に革新的なアプリケーションを実現し得る。特に有利なこととして、複数のリアクタユニットを備えたリアクタを用いて「代謝プロセスをインビボで」シミュレートすることができる。
【0040】
本発明の更なる局面において、フローティングリングシールを用いずにリアクタを構成することが規定される。中空ファイバを通る流れの方向が少なくとも1回反転される場合、中空ファイバの入口及び出口は、ハウジングの同じ側に配置され得る。特にこの場合、例えばEP1270079A2及びDE19803534C2において細胞分離器の例について説明されているように、フローティングリングシールを用いずにリアクタユニットを設計することができる。その限りでは、これらの文献を参考として援用する。フローティングリングシールを用いない場合、殺菌可能性及び汚染安全性に関して重要な利点が得られる。さらに、リアクタユニットの製造コストが低減する。
【0041】
本発明はさらに、請求項1乃至29のいずれかに記載のリアクタユニット又は請求項30乃至34のいずれかに記載のリアクタを用いて、1つ以上の中空ファイバにより物質移動を行う方法であって、中空ファイバの内部によって形成された第2のチャンバ内の圧力及びハウジングによって形成された第1のチャンバ内の圧力は、前記中空ファイバを通る物質移動が少なくとも部分的に対流によって実現されるように調節されることを特徴とする方法に関する。この対流による物質移動の上に、拡散による物質移動が重畳され得る。対流による物質移動は、好適には双方向に起こり、特に低拡散速度の中間分子(medium-molecular)合成生成物又は栄養分並びに高分子(higher-molecular)合成生成物又は栄養分について考慮される。
【0042】
更なる局面において、第1のチャンバと第2のチャンバとの圧力比は、中空ファイバのある部分おいて、中空ファイバに含まれる培地からハウジングに含まれる培地内へと対流物質移動が起こり、中空ファイバの別の部分において逆方向に対流物質移動が起こるように選択されることが規定される。本発明のこの局面において、供給中空ファイバ又は供給中空ファイバ部と排出中空ファイバ又は排出中空ファイバ部とに分割される。
【0043】
細胞を成長させる方法を用いる場合、例えば、中空ファイバ又は中空ファイバ部が提供され、これにより栄養分が第1のチャンバに含まれる培地に供給される。さらに、中空ファイバ又は中空ファイバ部が提供され、これにより第1のチャンバに含まれる培地から生じた代謝産物が中空ファイバ内へと移動され、その後排出される。
【0044】
本発明は、請求項1乃至29のいずれかに記載のリアクタユニット又は請求項30乃至34のいずれかに記載のリアクタを備えたシステムであって、リアクタユニットに接続されたレザバであって、レザバから中空ファイバによって形成されたリアクタユニットの第2のチャンバ内に培地を導入するか又は第2のチャンバから培地を排出できるようにリアクタユニットに接続されたレザバと、好適には蠕動ポンプとして設計された培地を給送する給送ポンプと、給送される培地に酸素を含ませる酸素添加器とを備えたことを特徴とするシステムに関する。酸素添加は、例えば、外部で行われ、酸素消費に応じてさまざまに調節可能である。この場合、酸素の供給は血漿又は供給される栄養培地を介して行われる。酸素添加器は、好適には、培地の流れる方向において、リアクタの上流に設けられている。さらに、給送される培地を加熱する加熱手段が提供され得る。原則的には、酸素添加はまた、リアクタユニット内に配置された気体移動中空ファイバ膜によって実施され得る。
【0045】
本発明の更なる詳細及び利点は、図面を参照しつつ説明する実施形態から理解可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図1は、使い捨てユニットとして設計された本発明のリアクタユニット12の斜視図を示す。リアクタユニット12は、中空ファイバが中空ファイババンドルの形に配置されたハウジング20を備えている。さらに、入口40及び出口50が設けられ、これらを介して中空ファイバを透過する培地が供給又は排出される。
【0047】
図2は、リアクタユニットがない状態のリアクタ10を示す。図1に示したリアクタユニットを固定する回転可能シートが図示されている。回転可能シートは電気モータによって回転される。シート又はリアクタユニットを有するリアクタが、加熱されたハウジング内に収容される。
【0048】
図3は、回転可能な状態で設けられたリアクタユニット12の模式図を示す。考え得る用途領域は以下の通り:
・異なるアプリケーションのための肝細胞の培養
・人工肝臓/膵臓の置換治療
・異なる起源のヒト細胞及び動物細胞の成長
・抗体の生成
・トランスフェクトされた酵母及びバクテリアからの物質の回収
【0049】
図3に示したドットは、ハウジング20によって規定されたリアクタユニット12の第1のチャンバに含まれる細胞を示す。第1のチャンバにおいて、中空ファイバ30が配置される。第1のチャンバは入口40及び出口50を有する。細胞培養の場合、入口40を介して栄養培地が供給される。肝臓又は膵臓置換治療の場合、入口40を介して血漿が供給される。消費された栄養培地又は処理された血漿は、出口50を介して排出される。
【0050】
さらに図3に示すように、ハウジング20は、2つのポート22を含む。ポート22は、第1のチャンバを充填する、真空にする、又はそこからサンプルを抽出するために用いられる。充填又はサンプリングを行うと、ポート22を閉鎖することが考え得る。原則として、連続動作を行い、その結果、ポート22を介して培地が第1のチャンバに連続的に導入又は第1のチャンバから放出されることが同様に可能になり得る。さらに図3からわかるように、中空ファイバ30は、リアクタユニット12の回転軸の近傍において、中央に配置される。中空ファイバ30は、比較的高い圧力が存在する中空ファイバ部32cを形成し、それにより、中空ファイバ30の中空ファイバ部32cからハウジング20によって規定されたリアクタユニット12の第1のチャンバ内への対流性物質移動が矢印で示すように起こる。中空ファイバ部32cの末端領域において、先ずハウジング20の端面に対して平行な方向で方向の変化が起こり、その後、中空ファイバ部32cにおける流れの方向に逆らって方向の変化が起こる。圧力損失の結果、中空ファイバ30内では比較的圧力が低いので、細胞を含む第1のチャンバから中空ファイバ30への対流性物質移動が、中空ファイバ部32dにおいて、中空ファイバ部32dの近傍に矢印で示すように起こる。したがって、中空ファイバ又は中空ファイバ部32cへの供給と中空ファイバ又は中空ファイバ部32dからの排出とに分割される。
【0051】
最後に、さらに図3からわかるように、中空ファイバの入口40及び出口は、ハウジング20の同じ側に配置されている。図3に示した実施形態では、円筒形のハウジング20の右手側の端面に配置されている。そのような設計により、フローティングリングシールのないリアクタを提供することができる。固定部品と移動部品との間の相対的な動きは、EP1270079A2及びDE19803534C2に記載の公知のシステムによって達成され得る。
【0052】
リアクタユニット12は、好適には、使い捨てユニットとして設計されている。リアクタユニット12は、射出成形された構成を有し得、PURを用いたポッティング、切断及び殺菌などの、従来の方法で製造された血液透析器の製造に類似の基本的な方法工程を含んでいる。このようにして、リアクタユニットを経済的に製造することができる。
【0053】
図4は、別のタイプのリアクタユニット12を示す。円筒形の回転対称形状のハウジング20によって規定された第1のチャンバにおいて、ヒトの肝細胞が適切な培地内に含まれている。半径方向の中央部分において、独立した中空ファイバによって形成された中空ファイババンドルが配置されている。中空ファイババンドルは、回転軸の近傍に配置された多数の中空ファイバ30aを含んでいる。図4では、例示として中空ファイバ30aのうちの数本のみを図示している。さらに、複数の中空ファイバ30bが、半径方向において外側にずれた状態で設けられている。中空ファイバ30bは、中空ファイババンドルの外周領域に配置されている。中空ファイバ30bも、同様に1本のみを図示する。そのような実施形態は、例えば、中空ファイバが既に比較的低い密度で化合物封止体内に埋め込まれている場合に考慮される。中空ファイバ30a,30bは、平行に配置され且つそれらの2つの端部領域において化合物封止体内に固定されている。中空ファイバ30a,30bは、適切な方法でハウジング20内に固定される。入口40を介して、培地が中空ファイバ30a内に流入し、中空ファイバ30aを通過して、その末端領域(図の左側)において中空ファイバ30aから外に出る。ここで、培地は、中空ファイバ30aの末端領域を中空ファイバ30bの冒頭領域に接続するフロー空間に入る。中空ファイバ30aの末端領域において矢印で示すように、培地の流れる方向は、ファイバ30aの末端領域において変化する。フロー空間を通過すると、培地は中空ファイバ30bに流入し、中空ファイバ30b内を、中空ファイバ30aを流れた時とは反対の方向に流れる。図面の右側に示す中空ファイバ30bの末端領域において、中空ファイバ30bは出口50に接続されており、この出口50によって、対応する様態で処理された培地がリアクタユニット12から排出される。培地は、例えば、栄養培地若しくは体液(血液又は特に好適には血漿)であり得る。
【0054】
図4に示すリアクタユニットは、当然、細胞培養などの他の用途にも用い得る。
【0055】
ハウジング20によって規定される第1のチャンバは、2つのポート22を含む。第1のチャンバへの培地の供給又は第1のチャンバからの培地の排出若しくはサンプルの抽出を行うために用い得る。
【0056】
さらに図4に矢印で示すように、リアクタユニット12は動作時に回転される。回転軸は中空ファイバに対して平行に延びている。好適には、中空ファイバ30aは、回転軸の近傍に配置されるように配列され、中空ファイバ30bは、中空ファイバ30aに対して半径方向外側にずれて配置されている。圧力比は、中空ファイバ30a内の圧力がハウジング20によって規定される第1のチャンバの圧力よりも高く、且つ、中空ファイバ30b内の圧力が第1のチャンバ内の圧力よりも低くなるように選択され得る。曲線の矢印で示される反転位置において、第1のチャンバと第2のチャンバとの圧力差がゼロであるように規定し得る。当然、異なる圧力比も可能である。
【0057】
本発明は、リアクタユニット内に設けられた中空ファイババンドルの中空ファイバは、可能最大密度で配置されないが、第1のチャンバの断面積に基づくファイバ密度は10本/mmを越えないか、又は、2つの化合物封止体の間に収容された中空ファイバ部の長さが、化合物封止体の対抗する表面の間の距離を少なくとも0.5%は超えないようにリアクタユニットが設計されるという点で従来技術の実施形態とは異なる。
【0058】
図6aは、従来技術に応じて設計されたリアクタユニット12を示す模式図である。中空ファイバ膜は、プラスチックメッシュ内に封入され、硬い円筒形の構造体を形成する。中空ファイババンドルの直径はD=34mmである。図6aに示すリアクタユニットにおいて、化合物封止体32の2つの断面領域の間の長さはL=257mmである。11,000本の中空ファイバを用いた場合、第1のチャンバの断面積に基づくファイバ密度は、約12本/mmとなる。
【0059】
図6bは、本発明による模式的に示したリアクタユニット12の一実施形態を示す。図6bに模式的に示すように、化合物封止体32の断面領域の距離Lは、図6aに示した従来技術の実施形態よりも10mm減少している。この場合、中空ファイバは、化合物封止体32間でひっくり返されて、スピンドルを形成する。ポッティング面の距離、つまり化合物封止体の対向する面の距離に基づき、図6aに示した実施形態よりも低いファイバ密度が得られる。図6bに示す実施形態において、ファイババンドルの最大直径は95mmである。化合物封止体32においては、ファイバ密度が図6aを参照して説明したそれに対応している。これらの寸法の結果、図6bに示した本発明のリアクタユニット12におけるファイバ密度は1.5本/mm〜12本/mmの範囲である。
【0060】
図6cは、化合物封止体32の断面領域の距離Lが図6aの距離Lに対応している実施形態を示す。しかし、ファイババンドルはOリングによって締め付けられ、ファイバ密度が、図6bに示した実施形態と比較して、再度上方に調整される。締め付けた部位の近傍において、ファイババンドルの直径は34mmである。ファイババンドルの最大直径は60mmであり、単位面積あたりの総ファイバ密度は3.9本/mm〜12本/mmの範囲となる。
【0061】
図7及び図8の比較により、従来技術のリアクタユニットと比べて、物質移動に関して、本発明のリアクタユニットが優れていることが示される。
【0062】
図7及び図8に示す濃度曲線は、以下の試験設定又は以下の実験手続によって得られた。
【0063】
チャンバを組み立てた後、圧力(圧縮空気)を加えて組み立てたチャンバの気密性及び「気泡点(bubble points)」をチェックした。
【0064】
実験のために、400mlの交換培地を以下のように調製した:
1血漿バッグ+0.5mlのEDTA 100mM(図7の実験では用いない)+50mlの緩衝液B ad 400mlとA.d.緩衝液B:尿素7.5mg/ml、NaCl22.5mg/ml(385mmol)、KCl1.25mm/ml(16.7mmol)
【0065】
全ての実験において、中空ファイバは、交換培地が充填され、時間「0」から減少すると、リアクタユニット又は第1のチャンバに接続された。
【0066】
交換実験の間、リアクタユニットは、200ml/minの流量で25℃にて供給され、15rpmにて回転され、対流及び拡散によってサンプルの交換を試験した。
【0067】
サンプリングは以下のように実施された。
【0068】
各判定について、チャンバに入流する前のポイント及びチャンバ内のサンプルポート1にて、Monovette(Sarstedt 2ml LH; CE 0197)により2mlのサンプルを抽出した。各サンプリングの前に、約2〜3mlの液体を回収ポートから洗い流し、その後、測定サンプルを取りだした。チャンバにおいて、サンプルポート2によって、取り出されたサンプルを水と置換した。中空ファイバによって形成された供給回路において、取り出されたサンプルを緩衝液レザバによって置換した。
【0069】
図7による実験のための試験設定において、チャンバの容量は約1.7リットルとした。中空ファイバ膜は、2つのプラスチックファイバによって固定される。化合物封止体の低減された距離により、チャンバは、図8の試験結果が得られた試験設定よりも約1cm短い。その結果、膜はひっくり返されて、チャンバの内部を充たすスピンドル形の構造体を形成する。
【0070】
図8に示す試験結果が得られた試験設定において、チャンバ容量は1.8リットルとした。膜はプラスチックメッシュ内に封入されて、硬い円筒形の構造体を形成する。
【0071】
図7及び図8の比較からわかるように、膜又は中空ファイババンドルの束ね方に応じて、孔径が60kdの膜におけるイオン及び有機分子の伝達速度に明らかな差異が存在する。
【0072】
ひっくり返された開放膜(スピンドル形)(ファイバ密度:1.5本/mm)は、第1のチャンバの内腔の大部分を埋め、それにより非常に良好な物質移動が実現する。図7a及び図7bのグラフからわかるように、中空ファイバと第1のチャンバとの間の物質移動は、回路を開始して初めの数分以内に起こる。イオン及び尿素の場合の濃度の完全な移動は、約30〜60分後に検出され得る。その分子重量が高いので、タンパク質の交換はより低速であり且つ不完全である。図7及び図8において、「SC」及び「chamber」は、それぞれ、供給回路(SC)内の濃度、つまり中空ファイバを通過する培地における濃度及びリアクタユニットの第1のチャンバ内の濃度を指す。
【0073】
図8に示す試験結果が得られた通常の束ねられた膜(円筒形)(最大ファイバ密度)は、比較的移動効率の低い、複数の導管からなるコンパクトな円筒形のストランドを形成する。図8a及び図8bのグラフからわかるように、中空ファイバと第1のチャンバとの間の物質移動は、図7と比べてかなり遅い速度で起こる。イオン及び尿素の場合の濃度の完全な平滑化は、120〜180分後に測定され得る。つまり、本発明によるスピンドル形膜と比べて3〜4倍遅いことになる。同様に、タンパク質の交換は低速且つ不完全である。
【0074】
上述のように、本発明のリアクタユニットは、治療、例えば肝臓置換又は肝臓補助治療に用い得る。
【0075】
図5は、肝臓補助治療のためのシステム全体を示す模式図である。このシステムは、治療対象の患者から取り出した血漿を溜める血漿レザバ60を備えている。血漿は、蠕動ポンプ70によって血漿レザバ60から取り出され、ガス交換器80に供給される。ガス交換器80において、酸素の供給は酸素源及び殺菌フィルタを介して行われ、それにより酸素を豊富に含んだ血漿が得られる。同様に、ガス交換器は2つのチャンバを備えており、一方のチャンバを酸素が流れ、他方のチャンバを血漿が流れる。これらのチャンバは、酸素などの気体の血漿への移動が可能な透過膜によって互いに分離されている。ガス交換器によって、酸素を供給し得るだけでなく、CO又はN等の他の気体の供給又は交換が可能である。本発明の特に好適な局面に置いて、ガス交換器は、酸素交換のための酸素添加器として設計される。
【0076】
酸素添加器80内で血漿に酸素を含ませた後、血漿は加熱装置90を通過して、リアクタ10に流入する。リアクタ10は、使い捨てユニットとして設計された、本発明の回転可能に設けられたリアクタユニット12を備えている。リアクタユニット12は、リアクタ10の回転可能シートに配置され、システムの動作中に回転運動する。回転軸は、リアクタユニット12の長手軸と一致している。図2及び図5からわかるように、リアクタは加熱されたハウジング内に収容される。このシステムは、フローティングリングシールを用いずに設計されている。
【0077】
図5に示す構成とは異なり、蠕動ポンプ70は回路の別の場所に配置され得る。例えば、リアクタ10の後ろ、つまりリアクタ10の下流に配置することを考え得る。
【0078】
更なる構成要素として、図5に示す構成は、好適には、流れ方向に見てリアクタ10の手前に加熱装置をさらに備え得る。この加熱装置により、リアクタ10に供給される培地が加熱される。
【0079】
本発明のいくつかの有利な局面を以下に説明する。
【0080】
中空ファイバとして、好適には、利用可能な交換面積が大きな(好適には0〜2m)、好適には可変調節可能な900,000MG迄の多孔度を有する、ポリスルフォンプラズマファイバ(polysulfone plasma fibers)を用い得る。上述のように、物質移動は、好適には、主に対流によって行われて、中空ファイバ膜を介した双方向交換が増大する。
【0081】
細胞又は交換する物質の特性に応じて、親水性及び/又は疎水性の膜を中空ファイバに用い得る。
【0082】
上述のように、供給ファイバを排出ファイバから分離し得る。その結果、ファイババンドルは、リアクタ内部にさまざまな様態で割り当てられ得る。一例として、供給ファイバ及び排出ファイバを中央に配置し得る。また、供給ファイバを中央に配置し、排出ファイバを外周領域に配置することも考え得る。したがって、細胞培養において向流を生じさせることができる。
【0083】
好適には、上述の定常部分から回転部分への「チューブ給送原理(tube feeding principle)」を用いることにより、フローティングリングシールを用いなくて済む。
【0084】
リアクタユニットは、殺菌した使い捨て部品であり得、無殺菌の回転ユニットから分離されている。殺菌した使い捨て部品は、好適には蒸気で殺菌され得る。
【0085】
酸素添加は、好適には外部で行われ、酸素消費に応じてさまざまに調節可能である。したがって、酸素の供給は、好適には血漿又は栄養培地を介して行われる。しかし、図9に示す内部酸素添加も可能であり、本発明の範囲に含まれるものである。この実施形態において、リアクタユニット12は、第1のチャンバを形成するハウジング20を備えている。第1のチャンバ内に中空ファイバ30が配置され、中空ファイバ30を液体の培地が通過する。さらに、気体移動ファイバ130が設けられ、これにより、ハウジング20の第1のチャンバ内に含まれる培地の酸素添加が行われる。原則的には、中空気体移動ファイバを用いて、気体状の物質の除去若しくは酸素以外の気体の供給及び/又は排出を行うことも考え得る。
【0086】
したがって、本発明は、外部気体移動又は外部気体供給だけでなく、リアクタユニット内部での気体供給又は気体移動も含む。
【0087】
細胞への栄養供給は、好適には血漿又は栄養培地を介して行われる。
【0088】
本発明の更なる局面において、単に充填、追加及びサンプリングを行うことが可能である。このようにして、機能性の永久制御が達成される。さらに、補正又は調整を行うことが可能である。
【0089】
図10の上段に、同じリアクタ内の、直列に配置された複数のリアクタユニット1〜nを示す。矢印で示されるように、リアクタユニットは回転可能な状態で設けられている。その構成から得られる利点は以下の通りである。
【0090】
・さまざまな種類の細胞を同じリアクタの異なるリアクタユニット内で培養する。
【0091】
・さまざまな種類の細胞が同じ回路によって均一に供給される。
【0092】
・中間代謝生成物を、リアクタユニット1内の細胞タイプ1からリアクタユニット2内の細胞タイプ2へと特定的に配送することができる。例えば、ヒトの肝臓細胞がリアクタユニット1に含まれ、ヒトの腎臓細胞がリアクタユニット2に含まれる。リアクタユニット1の回路に薬剤が追加された場合、リアクタユニット1内の肝臓細胞によって生成される代謝産物が、リアクタユニット2に含まれる腎臓細胞に直接供給され、それにより更なる代謝が特徴付けられ得る。
【0093】
・どの代謝段階のどの時点においても物質の追加又は中間代謝生成物の排出が可能である。
【0094】
・細胞条件を特徴付けるために、サンプルを細胞材料と共に細胞チャンバから何時でも排出することができる。
【0095】
・長期に亘る実験においても、異なる種類の細胞に対する化学物質、薬物及び化粧用物質の影響を判定することができる。
【0096】
図10の中段に示す構成は、回転可能に設けられたリアクタユニットの並列構成である。これらのリアクタユニットにおいて、直列的な通過は行われず、互いに並列の関係になっている。この構成の利点は以下の通りである。
【0097】
・さまざまな種類の細胞を同じリアクタの異なるリアクタユニット内で培養する。
【0098】
・各々の独立したリアクタユニットに、化学組成、酸素含有量などの点で厳密に全く同じ栄養溶液が同一に供給される。
【0099】
・例えば、同じ細胞のバッチ間の差異を特徴付けるのに適している。例えば、同じリアクタ内で3つのリアクタユニットが並列に接続される。リアクタユニット1がドナー1のヒト肝臓細胞を含み、リアクタユニット2がドナー2のヒト肝臓細胞を含み、リアクタユニット3がドナー3のヒト肝臓細胞を含む。並列構成で同一供給が行われるので、それぞれの細胞培養の進行を特徴付けることができる。細胞コンパートメントからの対応するサンプリングによって、各バッチの進行の様子を定性的且つ定量的に特徴付けることができる。例えばリアクタユニットに流入する前の栄養培地に薬剤が追加された場合で、且つ、リアクタユニットから排出された栄養溶液がそれ以上循環されないが、その栄養溶液内に、肝臓細胞のそれぞれのバッチから得られる薬剤から生成された代謝産物が検出された場合、このシステムにより、異なる細胞源(バッチ)の同じ細胞の代謝活量の個々の差異を定性的且つ定量的に判定できる。
【0100】
図10の下段において、逆向きの流れ及び横向きの流れを、それぞれ、同様に回転可能な状態で設けられたリアクタユニット1〜nの間に示す。この図からわかるように、リアクタユニットは2つの入口及び2つの出口を有し、第1のリアクタユニットの出口が第2のリアクタユニットの入口を形成し、第2のリアクタユニットの入口が第1のリアクタユニットの入口を形成するように互いに接続されている。このシステムはまた、更なるリアクタユニット間に続いている。
【0101】
図10の下段に示す構成の利点は以下の通りである。
【0102】
・さまざまな種類の細胞を同じリアクタの異なるリアクタユニット内で培養する。
【0103】
・異なる細胞バッチ(細胞及び/又は細胞源/細胞バッチの種類について異なる)を有するリアクタユニットを配列することにより、代謝プロセスを、インビトロの条件下にてインビボでシミュレーションできる。
【0104】
・図10の上段に示す構成と異なり、最後のリアクタユニットから排出された栄養溶液はリアクタユニット1へと再循環されず、上流のリアクタユニットに送られる。例えば、リアクタユニット1は皮膚細胞を含み、リアクタユニット2は肝臓細胞を含み、リアクタユニット3はウイルス細胞を含む。皮膚細胞に所定の化学薬品を与えると、リアクタユニット2において肝臓細胞により代謝産物が生成され、その代謝産物は腎臓物質によって代謝され得る。肝臓細胞のリアクタユニットへの再循環によって、肝臓細胞の活量に対する直接的な影響が判定され得る。
【0105】
原則的には、上記構成、つまり直列接続及び並列接続の組合せも可能である。そのような組合せの利点は以下の通りである。
【0106】
・細胞チャンバ及び異なる中間工程を組み合わせることにより、高度に革新的なアプリケーションを実現し得る。
【0107】
・例えば、栄養培地に薬剤を添加した後、この栄養培地が第1のリアクタユニット内の肝臓細胞培養上を通過し得、ここで複数の代謝産物が生成される。代謝産物の生成直後に、例えばクロマトグラフィー法の形態で代謝産物が分離される。その後、例えば並列構成において、異なる代謝産物が異なる細胞へと送られて、異なる細胞に対する異なる代謝産物の影響が特徴付けられる。
【0108】
・このことは、具体的な試験設定に応じて、図10に示した3つの構成を用いた全ての可能な組合せが可能であることを意味する。
【0109】
図10からわかるように、図示したリアクタユニットは1つのリアクタ内に配置される。原則的には、複数のリアクタを用いること、つまり全てのリアクタユニットを1つのリアクタ内に配置しないことも同様に考え得る。
【0110】
図2に示したシステムによって、リアクタユニットの統合的な温度調節を実施し得る。
【0111】
治療又は培養に関して、例えば以下に挙げる起源の細胞を用い得る:
一次細胞、幹細胞から分化した細胞、不死化した細胞 − それぞれ新鮮な状態で単離/培養され凍結保存されている。
【0112】
本発明の更なる局面において、微量〜1kg以上の量の細胞を培養し得る。
【0113】
対応する設計を用いると、本発明は以下の利点を提供する。
【0114】
・大きな交換表面及びさまざまに調節可能な多孔度を有するポリスルフォン中空ファイバの使用 − 不活性材料を用いた場合により良好な物質移動が得られる。
【0115】
・特に中間分子(medium-molecular)合成生成物及び高分子(higher-molecular)合成生成物について、低い拡散速度にて、対流による双方向の物質移動効率が明らかに向上する。
【0116】
・親水性及び/又は疎水性の膜を用いるので、物質移動の制御性/調整性が向上する。
【0117】
・供給ファイバが排出ファイバから分離され且つファイバの配列を自由に変更できるので、細胞の供給が向上し、細胞性能(cell performance)が向上する。
【0118】
・向流及び回転のおかげで、混合及び物質輸送がさらに向上する。
【0119】
・定常部分から回転部分への「チューブ給送原理」を用いることにより、フローティングリングシールを用いなくて済む − チューブの捻れが起こらず(臨床用途においてトラブルを起こすことなく施術できる)且つチューブが摩耗しない。
【0120】
・ヒトの体液を用いることができるので、市販の栄養溶液(例えばRPMI)を用いずに済み、したがって、使用時に非生理的物質との接触が回避される。
【0121】
・殺菌した使い捨て部品と無殺菌の回転ユニットとが分離される − ユーザにとって取扱が簡単で安全性が高い。
【0122】
・使い捨て部品を蒸気で殺菌する − 毒性の分解生成物(ETO)が発生せず、微生物汚染に関して可能な限り最も高い安全性がユーザに提供される。
【0123】
・肝臓細胞/膵臓細胞の酸素添加及び栄養供給は、血漿/培養培地を介して回転ユニットの内部又は外部にて行われる。外部酸素添加(回転部に回路が1つだけ含まれる)の場合、セルモジュールに追加の膜が設けられない − したがってユーザにより高い安全性が提供される。
【0124】
・充填、追加及びサンプリングが容易に可能である。充填方法のおかげで汚染が最小化され、したがってより高い安全性がユーザに提供される。
【0125】
・サンプリングが可能なので、細胞を永久に監視することが可能である − 機能性及び無害性(不稔性、pH、毒性代謝産物の形成など)に関してより高い安全性が提供される。
【0126】
・ヒト由来の凍結保存された細胞を用いるので、移植の利用可能性に依存しない。
【0127】
・システムは、即座に(組み立て、利用可能性、細胞材料)且つ安全に(不稔性、ユーザの使い易さ)動作する準備ができている。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、本発明のリアクタユニットの斜視図である。
【図2】図2は、ハウジングを備えた本発明のリアクタの斜視図である。
【図3】図3は、本発明のリアクタユニットの模式図である。
【図4】図4は、本発明の別の実施形態のリアクタユニットの模式図である。
【図5】図5は、本発明のリアクタを備えた物質移動システムの模式図である。
【図6a】図6aは、異なる形状を有する従来技術のリアクタ及び本発明のリアクタユニットの模式図である。
【図6b】図6bは、異なる形状を有する従来技術のリアクタ及び本発明のリアクタユニットの模式図である。
【図6c】図6cは、異なる形状を有する従来技術のリアクタ及び本発明のリアクタユニットの模式図である。
【図7a】図7aは、本発明のリアクタユニットを用いた場合の、尿素、タンパク質及び各種イオンの濃度曲線を時間軸上に示した図である。
【図7b】図7bは、本発明のリアクタユニットを用いた場合の、尿素、タンパク質及び各種イオンの濃度曲線を時間軸上に示した図である。
【図8a】図8aは、従来技術のリアクタユニットを用いた場合の、尿素、タンパク質及び各種イオンの濃度曲線を時間軸上に示した図である。
【図8b】図8bは、従来技術のリアクタユニットを用いた場合の、尿素、タンパク質及び各種イオンの濃度曲線を時間軸上に示した図である。
【図9】図9は、液体培地が通過する第2のチャンバを形成する中空ファイバと第3のチャンバを形成する酸素添加用の中空気体移動ファイバとを備えた本発明のリアクタユニットの模式図である。
【図10】図10は、直列又は並列に接続された複数のリアクタユニットの異なる構成を示す模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のチャンバ及び第2のチャンバを備え、前記第1のチャンバはハウジングの内部によって形成され、前記第2のチャンバは前記ハウジング内に配置された複数の中空ファイバの内部によって形成されたリアクタユニットであって、
前記中空ファイバは、前記第1のチャンバの断面領域において、前記第1のチャンバの少なくとも1つの領域におけるその密度が10本/mmを越えないように前記ハウジング内に配置されている
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のリアクタユニットにおいて、
前記第1のチャンバの断面領域において、前記第1のチャンバの少なくとも1つの領域における前記中空ファイバの密度が、0.2〜10本/mmの範囲であり、好適には0.5〜6本/mmの範囲であり、特に好適には1〜4本/mmの範囲である
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のリアクタユニットにおいて、
前記第1のチャンバの断面領域における前記ファイバの密度は、前記ファイバの長手方向において変動する
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のリアクタユニットにおいて、
前記第1のチャンバの断面領域における前記ファイバの密度は、前記ファイバの長手方向において一定である
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
前記リアクタユニット内に1つ以上の化合物封止体が配置されており、前記化合物封止体内に、前記中空ファイバの一部、好適には末端領域が埋め込まれている
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
前記リアクタユニット内に2つの化合物封止体が配置されており、前記化合物封止体内に、前記中空ファイバの一部、好適には末端領域が埋め込まれており、前記2つの化合物封止体の間を前記中空ファイバの別の部分が延びている
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項7】
請求項6に記載のリアクタユニットにおいて、
前記中空ファイバは、前記化合物封止体の間を真っ直ぐに又は曲がって延びており、それにより、具体的には膨隆した形状又はスピンドル形の中空ファイババンドルが得られる
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のリアクタユニットにおいて、
前記中空ファイバのいくつか又は全ての中空ファイバの前記化合物封止体の間に配置された部分の長さは、前記化合物封止体の対向する面の間の距離よりも少なくとも0.5%長い
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項9】
請求項8に記載のリアクタユニットにおいて、
前記中空ファイバの前記化合物封止体の間に配置された部分の長さは、前記化合物封止体の対向する面の間の距離よりも少なくとも1%長く、好適には少なくとも3%長い
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
前記中空ファイバを取り囲む手段が、前記第1のチャンバの断面領域における前記ファイバの密度が前記手段を用いない場合の密度よりも高くなるように設けられている
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項11】
前記請求項のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
前記リアクタユニットは第3のチャンバを備えており、前記第3のチャンバは、前記第1のチャンバ内に配置された1つ以上の中空気体移動ファイバの内部によって形成されている
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項12】
請求項11に記載のリアクタユニットにおいて、
前記中空気体移動ファイバは、前記第2のチャンバを形成する前記中空ファイバよりも大きな外径及び/又は内径を有する
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のリアクタユニットにおいて、
前記中空気体移動ファイバは、膜を介した酸素の移動に適し且つ好適にはPTFEによって形成されるか又はPTFEを含むように設計されている
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項14】
第1のチャンバ及び第2のチャンバを備え、前記第1のチャンバはハウジングの内部によって形成され、前記第2のチャンバは前記ハウジング内に配置された複数の中空ファイバの内部によって形成されたリアクタユニットであって、
前記リアクタユニット内に2つの化合物封止体が配置されており、前記化合物封止体内に、前記中空ファイバの一部、好適には末端領域が埋め込まれており、前記2つの化合物封止体の間を前記中空ファイバの別の部分が延びており、前記中空ファイバのいくつか又は全ての中空ファイバの前記化合物封止体の間に配置された部分の長さは、前記化合物封止体の対向する面の間の距離よりも少なくとも0.5%長い
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項15】
請求項14に記載のリアクタユニットにおいて、
前記リアクタユニットは、請求項1乃至13のうちの1つの請求項の特徴部に応じて設計されている
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
前記中空ファイバは、前記中空ファイバ内を流れる培地が1つの方向又は少なくとも2つの異なる方向に導かれるように、前記ハウジング内に配置されている
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
前記中空ファイバは入口及び出口を有している
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項18】
請求項17に記載のリアクタユニットにおいて、
前記中空ファイバの前記入口及び出口は、前記ハウジングの同じ側に配置されている
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
前記中空ファイバは、前記中空ファイバ内を流れる培地が略U字形の流路を有するように、前記ハウジング内に配置されている
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
前記中空ファイバは略U字形に設計されている
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項21】
請求項1乃至20のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
前記ハウジングは回転対称なデザイン、好適には円筒形のデザインを有している
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項22】
請求項1乃至21のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
前記中空ファイバは入口を有し、前記入口から前記中空ファイバの流れの方向が変化する領域に至るまで第1の方向に延びており、前記方向が変化する領域からは前記第1の方向と異なる第2の方向に延びており、前記第1の方向に延びている前記中空ファイバは半径方向内側を延びており、前記第2の方向に延びている前記中空ファイバは半径方向外側を延びている
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項23】
請求項1乃至22のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
前記ハウジングは、充填、排出又は前記第1のチャンバからのサンプリングのために少なくとも1つのポートを有している
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項24】
請求項1乃至23のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
前記中空ファイバの内径は、300μm以下であり、好適には200μm以下であり、特に好適には約100μmである
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項25】
請求項1乃至24のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
前記中空ファイバの膜の水力学的透過率(hydraulic permeability)は、少なくとも200ml/mmHg×h×mであり、好適には少なくとも500ml/mmHg×h×mである
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項26】
請求項1乃至25のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
前記中空ファイバを形成する膜のカットオフは、10〜10Daの範囲であり、好適には10〜10Daの範囲であり、特に好適には700,000〜900,000Daの範囲である
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項27】
請求項1乃至26のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
前記リアクタユニットは、蒸気で殺菌し得る材料で形成されている
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項28】
請求項1乃至27のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
前記リアクタユニットは、使い捨てユニットとして設計されている
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項29】
請求項1乃至28のいずれかに記載のリアクタユニットにおいて、
中空ファイバの端部を受け取る化合物封止体が設けられ、前記ハウジングがPPで形成され且つ/又は前記化合物封止体はポリウレタンで形成され且つ/又は前記中空ファイバはポリスルフォン、好適にはポリアリールエーテルスルフォン、特に好適にはPVPで親水化されたポリスルフォンで形成されている
ことを特徴とするリアクタユニット。
【請求項30】
請求項1乃至29のいずれかに記載のリアクタユニットを1つ以上有するリアクタであって、
前記リアクタユニットは回転可能な状態で設けられている
ことを特徴とするリアクタ。
【請求項31】
請求項30に記載のリアクタであって、
前記リアクタは、請求項1乃至29のいずれかに記載のリアクタユニットを複数含んでいる
ことを特徴とするリアクタ。
【請求項32】
請求項31に記載のリアクタであって、
前記複数のリアクタユニットは直列又は並列に配置されている
ことを特徴とするリアクタ。
【請求項33】
請求項32に記載のリアクタであって、
前記複数のリアクタユニットは、2つの隣接するリアクタ間の物質移動が1つの方向又は同時に2つの方向のみに可能となるように、直列に配置されている
ことを特徴とするリアクタ。
【請求項34】
請求項30乃至33のいずれかに記載のリアクタであって、
前記リアクタユニットがフローティングリングシールを用いずに設計されている
ことを特徴とするリアクタ。
【請求項35】
請求項1乃至29のいずれかに記載のリアクタユニット又は請求項30乃至34のいずれかに記載のリアクタを用いて、1つ以上の中空ファイバにより物質移動を行う方法であって、
前記中空ファイバの内部によって形成された第2のチャンバ内の圧力及び前記ハウジングによって形成された第1のチャンバ内の圧力は、前記中空ファイバを通る物質移動が少なくとも部分的に対流によって実現されるように調節される
ことを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの圧力比は、前記中空ファイバのある部分おいて、前記中空ファイバに含まれる培地から前記ハウジングに含まれる培地内へと対流物質移動が起こり、前記中空ファイバの別の部分において、前記ハウジング内に受け取られた培地から前記中空ファイバに含まれる培地内へと対流物質移動が起こるように選択される
ことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項1乃至29のいずれかに記載のリアクタユニット又は請求項30乃至34のいずれかに記載のリアクタを備えたシステムであって、
前記リアクタユニットに接続されたレザバであって、前記レザバから前記中空ファイバによって形成された前記リアクタユニットの前記第2のチャンバ内に培地を導入するか又は前記第2のチャンバから培地を排出できるように前記リアクタユニットに接続されたレザバと、
前記培地を給送する給送ポンプと、
給送される前記培地に酸素を含ませる酸素添加器と
を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項38】
請求項37に記載のシステムであって、
前記酸素添加器は、前記培地の流れる方向において、前記リアクタ又は前記リアクタユニットの上流に設けられている
ことを特徴とするシステム。
【請求項39】
請求項37又は38に記載のシステムであって、
前記培地を加熱する加熱手段が、流れの方向において、前記リアクタの上流に設けられている
ことを特徴とするシステム。
【請求項40】
請求項37乃至39のいずれかに記載のシステムであって、
前記給送ポンプは蠕動ポンプである
ことを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−524997(P2008−524997A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547373(P2007−547373)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013906
【国際公開番号】WO2006/069737
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(599117152)フレゼニウス メディカル ケアー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (50)
【氏名又は名称原語表記】Fresenius Medical Care Deutschland GmbH
【Fターム(参考)】