説明

リクライニング椅子およびこれを備える椅子式マッサージ機

【課題】背もたれのリクライニングに伴って座フレームの角度および位置を簡易な構造で変化させることが可能なリクライニング椅子を提供する。
【解決手段】リクライニング椅子は、土台フレーム20と、土台フレーム20に対して前後方向に移動する座フレーム30と、座フレーム30に接続されるとともに背もたれ12を構成する背フレーム40とを備えている。座フレーム30に走行具32が設けられ、土台フレーム20にレール部材50が設けられ、レール部材50は、走行具32が走行する走行面52を有している。背フレーム40は、背フレーム40と座フレーム30との接続部位を軸にして、座フレーム30に対して回動可能である。また、座フレーム30に対して背フレーム40が回動することによる背もたれ12のリクライニングに伴い、背フレーム40と連動して座フレーム30が前方に移動する。そして、レール部材50の走行面52が屈曲している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座部の土台となる土台フレームと、土台フレームに対して前後方向に移動する座フレームと、座フレームに接続されるとともに背もたれを構成する背フレームとを備えるリクライニング椅子およびこれを備える椅子式マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記リクライニング椅子としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1に記載の椅子においては、基本位置から快適またはリクライニング位置へ座部分が変位する際、背もたれ部分が一緒に変位する。また、座部分の後端が第2の直線案内部に取り付けられ、座部分の下に、座部分の前端近くまで延びる第3の直線案内部が取り付けられている。そして、第2及び第3の直線案内部がレールからなり、レール内に摺動部分が案内されるか、レールが摺動部分に案内されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−144262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、背もたれのリクライニングに伴って着座者が前方に移動しすぎた場合には、例えば椅子式マッサージ機においては、着座者の着座位置がマッサージに適切な位置からずれてしまう。従って、背もたれのリクライニングに伴って座フレームの角度および位置を変化することが好ましい。しかし、上記特許文献1においては、複数のレールを用いて座部分の角度および位置を変化させるため構造が複雑である。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、背もたれのリクライニングに伴って座フレームの角度および位置を簡易な構造で変化させることが可能なリクライニング椅子およびこれを備える椅子式マッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段について記載する。
・本発明のリクライニング椅子は、着座部の土台となる土台フレームと、この土台フレームに対して前後方向に移動する座フレームと、この座フレームに接続されるとともに背もたれを構成する背フレームとを備え、前記土台フレームおよび前記座フレームのうち、一方のフレームに走行具が設けられ、他方のフレームに前記走行具を支持するレール部材が設けられ、このレール部材は、前記走行具が走行する走行面を有し、前記背フレームが、前記背フレームと前記座フレームとの接続部位を軸にして、前記座フレームに対して回動可能であって、前記座フレームに対して前記背フレームが回動することによる前記背もたれのリクライニングに伴い、前記背フレームと連動して前記座フレームが前方に移動するリクライニング椅子において、前記走行面が屈曲していることを特徴とする。
【0007】
・上記リクライニング椅子において、前記走行面は、第1走行部と、この第1走行部に対して屈曲した第2走行部とを含み、前記第1走行部の前端に前記第2走行部が接続され、前記第2走行部が前方に向かうにつれて上方に延びてもよい。
【0008】
・上記リクライニング椅子において、前記走行面は、前記第2走行部に対して屈曲した第3走行部をさらに含み、前記第2走行部の前端に前記第3走行部が接続され、前記第3走行部が前方に向かうにつれて下方に延びてもよい。
【0009】
・上記リクライニング椅子において、直線状に延びる走行具取付フレームに、前記走行具としての前側走行具および後側走行具が設けられ、前記走行面は、第1走行部と、この第1走行部に対して屈曲した第2走行部とを含み、前記第2走行部の後端に前記第1走行部が接続され、前記第1走行部が前方に向かうにつれて下方に延び、前記前側走行具から前記走行具取付フレームまでの距離が、前記後側走行具から前記走行具取付フレームまでの距離に比べて大きい構成としてもよい。
【0010】
・上記リクライニング椅子において、前記走行具は、この走行具が設けられた前記一方のフレームに対して回転する回転体であることが好ましい。
・上記リクライニング椅子において、前記走行具は前記座フレームに設けられるとともに、前記レール部材は前記土台フレームに設けられていることが好ましい。
【0011】
・本発明の椅子式マッサージ機は上記リクライニング椅子を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、背もたれのリクライニングに伴って座フレームの角度および位置を簡易な構造で変化させることが可能なリクライニング椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のリクライニング椅子について、同椅子を備える椅子式マッサージ機を示す斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態のリクライニング椅子について、同椅子を構成するフレームを示す斜視図。
【図3】同実施形態のリクライニング椅子について、座フレームを案内するレール部材を示す斜視図。
【図4】同実施形態のリクライニング椅子について、同椅子の構成を模式的に示す側面図。
【図5】同実施形態のリクライニング椅子について、背もたれがリクライニングした状態を模式的に示す側面図。
【図6】本発明の第2実施形態のリクライニング椅子について、同椅子の構成を模式的に示す側面図。
【図7】同実施形態のリクライニング椅子について、背もたれがリクライニングした第2状態を模式的に示す側面図。
【図8】同実施形態のリクライニング椅子について、第2状態から背もたれがさらにリクライニングした第3状態を模式的に示す側面図。
【図9】本発明の第3実施形態のリクライニング椅子について、同椅子の構成を模式的に示す側面図。
【図10】同実施形態のリクライニング椅子について、背もたれがリクライニングした状態を模式的に示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、リクライニング椅子10を備える椅子式マッサージ機1の外観を示す斜視図である。以下の説明において、前方および後方を含む前後方向は、図中の矢印Xで示す方向である。また、左方および右方を含む左右方向は、図中の矢印Yで示す方向である。また、上方および下方を含む上下方向は、図中の矢印Zで示す方向である。
【0015】
図1に示すように、リクライニング椅子10は、使用者が座る着座部11と、着座部11の後側端部に設けられた背もたれ12と、着座部11の右側端部および左側端部に設けられた肘掛け13と、着座部11の前側端部に設けられたオットマン14とを備えている。
【0016】
椅子式マッサージ機1は、背もたれ12の内部およびオットマン14の内部にマッサージ機構(図示略)を備えている。例えば、背もたれ12の内部には、ローラ式マッサージ機構が設けられるとともに、オットマン14の内部には、エア式マッサージ機構が設けられている。これらのマッサージ機構により、着座部11に座っている着座者がマッサージされる。
【0017】
背もたれ12は、リクライニング可能に構成されている。着座部11が有する座面11aは、背もたれ12のリクライニングと連動して前後方向に移動可能に構成されている。また、座面11aの前側端部に接続されたオットマン14は、座面11aとの接続部分を軸として回動可能に構成されている。
【0018】
図2は、着座部11および背もたれ12の内部構造を示す斜視図であって、リクライニング椅子10が備える構成部品を示している。
着座部11の土台となる土台フレーム20は、水平面に設置可能な設置フレーム21と、設置フレーム21の上に立たせて設けられた支持フレーム22とを備えている。
【0019】
着座部11の下方には、設置フレーム21としての右側設置フレーム21aおよび左側設置フレーム21bが、その長手方向が前後方向となるように設けられている。そして、左右方向において間隔を空けて設けられた右側設置フレーム21aと左側設置フレーム21bとは、連結フレーム23a,23bにより互いに接続されている。
【0020】
右側設置フレーム21aには、支持フレーム22として右側支持フレーム22a,22b,22cが設けられるとともに、左側設置フレーム21bには、支持フレーム22として左側支持フレーム22d,22e,22fが設けられている。前後方向において右側支持フレーム22a,22cの間に位置する右側支持フレーム22bと、前後方向において左側支持フレーム22d,22fの間に位置する左側支持フレーム22eとは、連結フレーム23cにより互いに接続されている。
【0021】
設置フレーム21から上方に向けて立つ支持フレーム22には、レール部材50,60が固定されている。レール部材50は、前後方向における座フレーム30の移動を案内する着座部案内用フレームである。また、レール部材60は、背フレーム40の移動を案内する背もたれ案内用フレームである。
【0022】
右側支持フレーム22a,22b,22cには、レール部材50としての右側レール部材50aが固定されている。また、右側支持フレーム22a,22bよりも後方に位置する右側支持フレーム22cには、レール部材60としての右側レール部材60aが固定されている。このようにして右側レール部材50a,60aは、右側支持フレーム22a,22b,22cにより支持されている。
【0023】
さらに、左側支持フレーム22d,22e,22fには、レール部材50として左側レール部材50bが固定されている。また、左側支持フレーム22d,22eよりも後方に位置する左側支持フレーム22fには、レール部材60としての左側レール部材60bが固定されている。このようにして左側レール部材60b,60bは、左側支持フレーム22d,22e,22fにより支持されている。
【0024】
座面11a(図1参照)を含んだ着座部11を構成する座フレーム30は、レール部材50により支持されるサイドフレーム31を備えている。直線状に形成されたサイドフレーム31は走行具取付フレームであって、サイドフレーム31には走行具32(図4参照)が設けられている。走行具32は、サイドフレーム31を含む座フレーム30に対して回転する回転体であって、レール部材50の内部空間に設けられる。
【0025】
左右方向における着座部11の端部には、サイドフレーム31としての右側サイドフレーム31aおよび左側サイドフレーム31bが設けられている。左右方向において間隔を空けて設けられた右側サイドフレーム31aおよび左側サイドフレーム31bは、前側フレーム33により互いに接続されている。
【0026】
走行具32は、右側サイドフレーム31aおよび左側サイドフレーム31bの各々に設けられている。また、右側サイドフレーム31aおよび左側サイドフレーム31bの各々には、走行具32として、前側走行具32aおよび後側走行具32b(図4参照)が設けられている。前側走行具32aと後側走行具32bは、前後方向において間隔を空けて設けられている。
【0027】
右側サイドフレーム31aおよび左側サイドフレーム31bの各々には掛け具34が取り付けられるとともに、掛け具34には、座面11a(図1参照)の下に設けられる弾性体35が掛けられている。弾性体35の下方には、弾性体35の変形を規制するための変形規制フレーム36が設けられている。この変形規制フレーム36により、右側サイドフレーム31aと左側サイドフレーム31bとが連結されている。そして、連結フレーム37により、変形規制フレーム36と前側フレーム33とが連結されている。
【0028】
座フレーム30の後側端部には、背フレーム40が接続される背フレーム接続部38が設けられている。背フレーム接続部38に接続された背フレーム40は、座フレーム30に対して回動可能である。本実施形態においては、背フレーム接続部38として、右側サイドフレーム31aに右側背フレーム接続部38aが設けられるとともに、左側サイドフレーム31bに左側背フレーム接続部38bが設けられている。
【0029】
背もたれ12を構成する背フレーム40は、レール部材60および座フレーム30により支持されるサイドフレーム41を備えている。サイドフレーム41の下側端部には、背フレーム接続部38に接続される座フレーム接続部42が設けられている。また、サイドフレーム41には、走行具43(図4参照)が設けられている。走行具43は、サイドフレーム41を含む背フレーム40に対して回転する回転体であって、レール部材60の内部空間に設けられる。
【0030】
左右方向における背もたれ12の端部には、サイドフレーム41としての右側サイドフレーム41aおよび左側サイドフレーム41bが設けられている。左右方向において間隔を空けて設けられた右側サイドフレーム41aおよび左側サイドフレーム41bは、上側フレーム44により互いに接続されている。そして、右側サイドフレーム41aおよび左側サイドフレーム41bの各々に、背フレーム接続部38に接続される座フレーム接続部42が設けられている。また、右側サイドフレーム41aおよび左側サイドフレーム41bの各々に走行具43が設けられている。なお、走行具43は、スペーサ45を介してサイドフレーム41に設けられている。
【0031】
図3にレール部材50のみを示す。図3は、レール部材50の斜視図であって、右側レール部材50aを示す図である。左側レール部材50bは、右側レール部材50aを鏡面に映した出した形状であるため、左側レール部材50bのみの図示は省略する。
【0032】
図3に示すように、レール部材50は、前後方向に延び、かつ、屈曲している角材である。レール部材50は、座フレーム30に設けられた走行具32が回転可能に設けられる内部空間を有するとともに、レール部材50には、走行具32が前後方向に移動できるように、前端から後端にかけて内部空間を開放する開口51が形成されている。
【0033】
レール部材50の内部空間において、レール部材50は、走行具32が走行する走行面52を有している。走行面52は、直線状に延びる第1走行部52aおよび第2走行部52bを含んでいる。そして、第1走行部52aの前端に接続された第2走行部52bが、第1走行部52aが水平に設けられたときに、前方に向かうにつれて上方に延びるようにレール部材50が形成されている。このようにして走行面52が屈曲されている。
【0034】
また、レール部材60は、レール部材50と同様に形成された角材であって、背フレーム40に設けられた走行具43が回転可能に設けられる内部空間を有している。そして、レール部材60には、走行具43が移動できるように、レール部材50と同様に前端から後端にかけて内部空間を開放する開口61(図2参照)が形成されている。レール部材60の内部空間において、レール部材60は、走行具43が走行する走行面62(図4参照)を有している。なお、本実施形態においては、湾曲するようにレール部材60が形成されることにより、レール部材60の後側端部を除いて走行面62は大きく傾斜している。
【0035】
また、リクライニング椅子10は、電動で背もたれ12がリクライニングできるように構成されている。本実施形態においては、図2に示すように、土台フレーム20および座フレーム30に電動伸縮機構70が接続されている。
【0036】
電動伸縮機構70の一端は、土台フレーム20の連結フレーム23aに設けられた伸縮機構接続部24に接続されるとともに、電動伸縮機構70の他端は、座フレーム30の前側フレーム33に設けられた伸縮機構接続部39に接続されている。電動伸縮機構70は、電動モータ71を備えている。電動伸縮機構70は、例えばボールねじを用いた構成することができる。この場合には、電動モータ71の出力軸の回転がウォームギア等の歯車を介してボールねじを構成するナットに伝達されることによって、ねじ軸に対するナットの位置が変位して電動伸縮機構70が伸縮する。
【0037】
図4は、図2に示す構成を、前後方向および上下方向に直交する方向である左右方向から見た状態を模式的に示す図である。
図4は、電動伸縮機構70が縮んだ状態を示すとともに、背もたれ12が起きた第1状態を示している。この第1状態においては、着座部11に座っている着座者は容易に立つことができる。この第1状態において電動伸縮機構70が伸びることにより、土台フレーム20に対して座フレーム30および背フレーム40が前方に移動するとともに、座フレーム30に対して背フレーム40が回転することにより背もたれ12が倒れる。
【0038】
図5は、電動伸縮機構70が伸びた状態を示す図であって、背もたれ12が倒れた第2状態を示している。この第2状態においては、着座部11に座っている着座者はリラックスすることができる。第2状態においては、第1状態に比べて、座フレーム30が前方に配置されるとともに、座フレーム30の前側端部が上方に位置している。
【0039】
第1走行部52aが水平に設けられることにより、第2走行部52bは前方に向かうにつれて上方に延びている。第1状態から第2状態に遷移するときに、座フレーム30の後側端部に設けられた後側走行具32bは、走行面52の第1走行部52aを走行するとともに、座フレーム30の前側端部に設けられた前側走行具32aは、走行面52の第2走行部52bを走行する。すなわち、後側走行具32bは水平に移動するのに対して、前側走行具32aは斜め上方に移動する。従って、座フレーム30が移動するにつれて、換言すれば背もたれ12が倒れるにつれて、水平方向に対する座フレーム30の傾斜が大きくなる。
【0040】
本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)背もたれ12のリクライニングに伴い、背フレーム40と連動して座フレーム30は前方に移動する。この座フレーム30の移動は、走行具32がレール部材50の走行面52を走行することにより案内される。このとき、レール部材50の走行面52が屈曲されている。このため、1つのレール部材50により、座フレーム30の移動を案内する方向を変化させることができ、背もたれ12のリクライニングに伴って座フレーム30の角度および位置を簡易な構造で変化させることが可能となる。
【0041】
(2)第2走行部52bが前方に向かうにつれて上方に延びている。このため、第1走行部52aが水平に設けられている場合、または第2走行部52bよりも傾斜が小さい態様で設けられている場合であっても、座フレーム30の前側端部が持ち上げられるように移動させることができる。即ち、走行具32が第2走行部52bを走行することにより、背もたれ12のリクライニングに伴って座フレーム30の前側端部が持ち上げられるように移動させることができる。その結果、座フレーム30の後側端部を下げて、着座者が前方に移動し過ぎることを抑制することができる。
【0042】
(3)走行具32は、この走行具32が設けられたサイドフレーム31に対して回転する回転体である。このため、走行具32がレール部材50の走行面52をスライドする構成に比べて、座フレーム30の移動が案内され易い。
【0043】
(4)走行具32は座フレーム30に設けられるとともに、レール部材50は土台フレーム20に設けられている。このため、レール部材50の強固な固定を図ることができ、また、座フレーム30の軽量化を図ることができる。
【0044】
(5)椅子式マッサージ機1はリクライニング椅子10を備えるため、上記(1)に記載の効果を得ることができる。その結果、簡易な構造で、マッサージに適切な位置に着座者を着座させることが可能となる。
【0045】
(第2実施形態)
図6〜図8を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略または簡略化する。また、図6〜図8において、電動伸縮機構70の図示は省略されている。
【0046】
図6に示すように、本実施形態の走行面52は、直線状に延びる第1走行部52aおよび第2走行部52bおよび第3走行部52cを含んでいる。そして、第2走行部52bの前端に接続された第3走行部52cが、第1走行部52aが水平に設けられたときに、前方に向かうにつれて下方に延びるようにレール部材50が形成されている。
【0047】
図6は、図4と同様に、電動伸縮機構70が縮んだ状態を示す図であって、背もたれ12が起きた第1状態を示している。また、図7は、電動伸縮機構70が伸びた状態を示す図であって、背もたれ12が倒れた第2状態を示している。
【0048】
第1状態から第2状態に遷移するときに、座フレーム30の後側端部に設けられた後側走行具32bは、走行面52の第1走行部52aを走行するとともに、座フレーム30の前側端部に設けられた前側走行具32aは、走行面52の第2走行部52bを走行する。従って、上記第1実施形態と同様に、第1状態から第2状態に遷移するときには、水平方向に対する座フレーム30の傾斜が大きくなる。
【0049】
さらに、本実施形態においては、第2状態において電動伸縮機構70がさらに伸びることにより、座フレーム30および背フレーム40が前方に移動する。そして、背もたれ12がさらに倒れるとともに、水平方向に対する座フレーム30の傾斜が小さくなる。
【0050】
図8は、電動伸縮機構70がさらに伸びた状態を示す図であって、第1状態および第2状態に比べて背もたれ12が倒れた第3状態を示している。第3状態においては、着座部11に座っている着座者はよりリラックスすることができる。この第3状態においては、第2状態に比べて、座フレーム30が前方に配置されるとともに、座フレーム30の前側端部が下方に位置している。
【0051】
本実施形態においては、第1走行部52aが水平に設けられ、第2走行部52bが前方に向かうにつれて上方に延び、かつ、第3走行部52cが前方に向かうにつれて下方に延びている。第2状態から第3状態に遷移するときに、座フレーム30の後側端部に設けられた後側走行具32bは、走行面52の第1走行部52aを走行するとともに、座フレーム30の前側端部に設けられた前側走行具32aは、走行面52の第3走行部52cを走行する。すなわち、後側走行具32bは水平に移動するのに対して、前側走行具32aは斜め下方に移動する。従って、背もたれ12がさらに倒れるにつれて、水平方向に対する座フレーム30の傾斜が小さくなる。
【0052】
本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)〜(5)に記載の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
(6)第3走行部52cが前方に向かうにつれて下方に延びている。このため、走行具32が第3走行部52cを走行することにより、背もたれ12のリクライニングに伴って、倒された背もたれ12と着座部11とのなす角度を大きくすることができる。その結果、着座者がよりリラックスする姿勢をとることができる。
【0053】
(第3実施形態)
図9および図10を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略または簡略化する。また、図9および図10において、電動伸縮機構70の図示は省略されている。
【0054】
図9に示すように、本実施形態の走行面52は、直線状に延びる第1走行部52aおよび第2走行部52bを含んでいる。そして、第2走行部52bの後端に接続された第1走行部52aが、第2走行部52bが水平に設けられたときに、後方に向かうにつれて上方に延びるようにレール部材50が形成されている。
【0055】
また、本実施形態においては、後側走行具32bがサイドフレーム31に対して下垂されないで設けられているのに対して、前側走行具32aがサイドフレーム31に対して下垂された状態で設けられている。すなわち、サイドフレーム31が水平方向に延びるように設けられたときに、上下方向において複数の走行具32に高低差が生じるように構成されている。
【0056】
図9は、図4と同様に、電動伸縮機構70が縮んだ状態を示す図であって、背もたれ12が起きた第1状態を示している。また、図10は、電動伸縮機構70が伸びた状態を示す図であって、背もたれ12が倒れた第2状態を示している。本実施形態に係る第2状態においては、第1状態に比べて、座フレーム30が前方に配置されるとともに、座フレーム30の後側端部が下方に位置している。
【0057】
本実施形態においては、第2走行部52bが水平に設けられ、第1走行部52aが前方に向かうにつれて下方に延びている。従って、前側走行具32aは水平に移動するのに対して、後側走行具32bは斜め下方に移動する。従って、座フレーム30が移動するにつれて、換言すれば背もたれ12が倒れるにつれて、水平方向に対する座フレーム30の傾斜が大きくなる。
【0058】
本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)、(3)〜(5)に記載の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
(7)第1走行部52aが前方に向かうにつれて下方に延びている。そして、前側走行具32aからサイドフレーム31までの距離が、後側走行具32bからサイドフレーム31までの距離に比べて大きい。このため、第2走行部52bが水平に設けられている場合、または第1走行部52aよりも傾斜が小さい態様で設けられている場合には、後側走行具32bが第2走行部52bを走行することにより、座フレーム30の後側端部を下げることができる。従って、着座者が前方に移動し過ぎることを抑制することができる。また、座フレーム30の前側端部の高さの変化が少ないため、第2状態においても、着座部11に座っている着座者は容易に立つことができる。
【0059】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記各実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示すように変更することもできる。また以下の変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0060】
・レール部材50の屈曲態様を適宜変更してもよい。例えば、上記第3実施形態において、走行面52が、第2走行部52bの前端に接続された第3走行部を含み、この第3走行部が、前方に向かうにつれて下方に延びるようにレール部材50が形成されていてもよい。このように第3実施形態に上記第2実施形態に記載の構成を適用することにより、上記第2実施形態の(6)に準じた効果を得ることができる。
【0061】
・上記第1および第2実施形態においては、前側走行具32aからサイドフレーム31までの距離と、後側走行具32bからサイドフレーム31までの距離とが、互いに異なるように構成されていてもよい。
【0062】
・走行具32が回転体でなくてもよい。すなわち、走行具32が、走行面52の上をスライドして走行するものであってもよい。また、座フレーム30の角度を保持することができるのであれば、走行具32が複数設けられていなくてもよい。
【0063】
・土台フレーム20に走行具が設けられ、座フレーム30にレール部材が設けられる構成であってもよい。すなわち、座フレーム30の移動を案内するレール部材は、土台フレーム20および座フレーム30のうち一方のフレームに設けられていればよい。この場合には、他方のフレームに走行具が設けられる。
【0064】
・上記各実施形態においては、リクライニング椅子10を備える椅子式マッサージ機1に本発明を適用した例を示したが、マッサージ機能を有さないリクライニング椅子に本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0065】
1…椅子式マッサージ機、10…リクライニング椅子、11…着座部、12…背もたれ、20…土台フレーム、30…座フレーム、31…サイドフレーム(走行具取付フレーム)、32…走行具、40…背フレーム、50…レール部材、52…走行面、52a…第1走行部、52b…第2走行部、52c…第3走行部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座部の土台となる土台フレームと、この土台フレームに対して前後方向に移動する座フレームと、この座フレームに接続されるとともに背もたれを構成する背フレームとを備え、
前記土台フレームおよび前記座フレームのうち、一方のフレームに走行具が設けられ、他方のフレームに前記走行具を支持するレール部材が設けられ、このレール部材は、前記走行具が走行する走行面を有し、
前記背フレームが、前記背フレームと前記座フレームとの接続部位を軸にして、前記座フレームに対して回動可能であって、
前記座フレームに対して前記背フレームが回動することによる前記背もたれのリクライニングに伴い、前記背フレームと連動して前記座フレームが前方に移動するリクライニング椅子において、
前記走行面が屈曲している
ことを特徴とするリクライニング椅子。
【請求項2】
請求項1に記載のリクライニング椅子において、
前記走行面は、第1走行部と、この第1走行部に対して屈曲した第2走行部とを含み、前記第1走行部の前端に前記第2走行部が接続され、
前記第2走行部が前方に向かうにつれて上方に延びる
ことを特徴とするリクライニング椅子。
【請求項3】
請求項2に記載のリクライニング椅子において、
前記走行面は、前記第2走行部に対して屈曲した第3走行部をさらに含み、前記第2走行部の前端に前記第3走行部が接続され、
前記第3走行部が前方に向かうにつれて下方に延びる
ことを特徴とするリクライニング椅子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のリクライニング椅子において、
直線状に延びる走行具取付フレームに、前記走行具としての前側走行具および後側走行具が設けられ、
前記走行面は、第1走行部と、この第1走行部に対して屈曲した第2走行部とを含み、前記第2走行部の後端に前記第1走行部が接続され、
前記第1走行部が前方に向かうにつれて下方に延び、
前記前側走行具から前記走行具取付フレームまでの距離が、前記後側走行具から前記走行具取付フレームまでの距離に比べて大きい
ことを特徴とするリクライニング椅子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のリクライニング椅子において、
前記走行具は、この走行具が設けられた前記一方のフレームに対して回転する回転体である
ことを特徴とするリクライニング椅子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のリクライニング椅子において、
前記走行具は前記座フレームに設けられるとともに、前記レール部材は前記土台フレームに設けられている
ことを特徴とするリクライニング椅子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のリクライニング椅子を備えることを特徴とする椅子式マッサージ機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−70785(P2012−70785A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216045(P2010−216045)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】