説明

リターンガイド及びそれを備えた直動案内軸受装置

【課題】転動体が方向転換路を通過する際の転走方向へのズレと傾きを小さくし、スキューを軽減することができるリターンガイド及びそれを備えた直動案内軸受装置を提供する。
【解決手段】直動案内軸受装置は、案内レール10と、多数の円筒ころ30の転動を介して軸方向に沿って相対移動可能に案内レール10に跨架されたスライダ20と、エンドキャップ40とを有する。円筒ころ30には、周方向に沿って1以上の溝部が形成されている。エンドキャップ40には、円筒ころ30の循環路の一部として方向転換路70を形成するリターンガイド50が設置される。このリターンガイド50には、円筒ころ30の溝部に遊嵌する突条が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば製造装置や加工機械、測走機器等の各種機械に用いられる直動案内軸受装置及びそれに備えられるリターンガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の直動案内軸受装置としては、例えば図8に示すものが知られている。図8に示すように、この直動案内軸受装置100は、軸方向に延びる案内レール110と、該案内レール110上に軸方向に相対移動可能に跨架されたスライダ120とを備えている。
案内レール110の幅方向の両側面にはそれぞれ軸方向に延びる転動体転動溝111が片側上下二条列ずつ、合計4条列形成されており、スライダ120のスライダ本体120Aには、その両袖部120Bの内側面にそれぞれ転動体転動溝111に対向する転動体転動溝121が片側上下二条列ずつ、合計4条列形成されている。
【0003】
両転動体転動溝111,121の間には転動体としての多数の円筒ころ130が転動自在に装填され、これらの円筒ころ130の転動を介してスライダ120が案内レール110上を軸方向に沿って相対移動できるようになっている。
この移動につれて、案内レール110とスライダ120との間に介在する円筒ころ130は転動してスライダ120の軸方向の端部に移動するが、スライダ120を軸方向に継続移動させていくためには、これらの円筒ころ130を無限に循環させる必要がある。
【0004】
このため、スライダ本体120Aの両袖部120B内に軸方向に貫通する孔120Cを片側上下2箇所ずつ、合計4箇所形成して該孔120Cに内部が円筒ころ130の通路(転動体通路)123aとされた循環スリーブ123を嵌め込むと共に、スライダ本体120Aの軸方向の両端にそれぞれ転動体循環部品としての一対のエンドキャップ140を、ねじ等を介して固定し、このエンドキャップ140に上記両転動体転動溝111,121間と上記転動体通路123aとを連通するR状の方向転換路(図示せず)を形成することにより、円筒ころ130の無限循環軌道を形成している。
ところで、無限循環する多数の円筒ころ130はころ軸を中心に同一方向に回転するため、互いに隣り合う円筒ころ130同士が接触した場合、その接触部分のころ速度の向きは互いに逆方向になり、それにより発生する力は円筒ころ130の円滑な転動を妨げることになる。
【0005】
また、転動体に円筒ころ130を使用することで、ボールを使用する場合に比べて剛性及び負荷能力が高くなる反面、転走中の円筒ころ130の軸振れ、いわゆるスキューが発生して作動性を悪化させる要因になる。
このような事情から、従来においては、互いに隣り合う円筒ころ130間にセパレータ150を介装することで、円筒ころ130同士の直接接触を防止すると共に、前記スキューを抑制し、これにより、スライダ120の走行を滑らかにすると共に、走行中の騒音低減を図るようにしたものも提案されている。
【0006】
セパレータ150は、互いに隣り合う円筒ころ130間に介装されるセパレータ本体151と、円筒ころ130の軸方向の両端面を挟むように配置されてセパレータ本体151と一体に設けられた腕部152とを備えており、セパレータ本体151の円筒ころ130の外周面に対向する部分には該円筒ころ130の外周形状に応じた凹曲面が形成されている。なお、図8において符号153は、案内レール110の外側面とスライダ本体120Aの袖部120Bの内側面との間に配置されたセパレータ案内部材である。
そして、両転動体転動溝111,121間、方向転換路及び転動体通路123aを円筒ころ130が循環する際には、セパレータ150の腕部152は、セパレータ案内部材153、転動体通路123a及び方向転換路にそれぞれ設けられた案内溝154によって円筒ころ130の循環方向に沿って案内されるようになっている。
【0007】
ところで、従来の直動案内軸受装置においては、エンドキャップ140をスライダ本体120Aの端面に固定する際には、両転動体転動溝111,121間及び転動体通路123aとエンドキャップ140側の方向転換路との位置合わせが円筒ころ140の円滑な循環を確保する上で重要になる。この位置合わせが不完全だと、円筒ころ140の循環経路に段差ができて円筒ころ140の循環が阻害され、スライダ120の摺動抵抗が大きく変動して直動案内軸受装置を用いた機械等の運動制御を困難にするので望ましくない。
そのため、エンドキャップとスライダ本体との位置合わせを正確に行うことで良好な作動性を確保するために、位置決め用の凸部と補助用の凸部とを有する直動案内軸受装置が特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−163909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された直動案内軸受装置においては、エンドキャップとスライダ本体との位置合わせが正確になされても、円筒ころの挙動に改善の余地があった。具体的には、図9(a)〜(c)に示すように、転動体通路123a(図8参照)から方向転換路に移動した円筒ころ130において、方向転換路124を構成するリターンガイド160において転走方向と直交する方向(図中、破線で表示)と軸方向とのズレと傾きが生じ、結果としてスキューに至ることがあり、改善の余地があった。
そこで、本発明は上記の問題点に着目してなされたものであり、その目的は、転動体が方向転換路を通過する際の軸方向へのズレと傾きを小さくし、スキューを軽減することができるリターンガイド及びそれを備えた直動案内軸受装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための請求項1に係る発明は、軸方向に延びる案内レールと、該案内レールに跨設されたスライダ本体の両端部に設けられたエンドキャップに収納され、前記スライダ本体の軸方向に貫通して形成された転動体通路に連通する方向転換路を形成するリターンガイドであって、
前記転動体通路及び前記方向転換路内で転動する転動体の全周にわたって形成された溝部に遊嵌する突条が形成されたことを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、転動体に形成された溝部に遊嵌する突条を転動体の転走方向に沿うように設けたので、方向転換路内における転動体の転走方向がガイドされ、その結果、転動体の姿勢が維持される。従って、転走方向に対する転動体のズレと傾きを小さくすることができ、スキューを軽減するリターンガイドを提供することができる。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のリターンガイドにおいて、U字形状をなし、湾曲する外周面を外循環路の内周面とし、内周面の底部を内循環路の外周面として前記方向転換路を構成し、前記外循環路の内周面に前記突条が形成されたことを特徴としている。
請求項2に係る発明によれば、転動体が方向転換路から転動体通路に移る際、方向転換路の構成部材としての外循環路の外周面が途中までしか形成されていないため、外循環路の内周面に形成された前記突条によって、転動体が方向転換路を出る際に転走方向に対する転動体のズレと傾きを確実に小さくすることができる。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のリターンガイドにおいて、前記突条が複数形成されたことを特徴としている。
請求項3に係る発明によれば、方向転換路内における転動体の転走方向をより確実にガイドし、転走方向に対する転動体のズレと傾きをさらに小さくすることができる。その結果として、スキューをさらに軽減するリターンガイドを提供することができる。
【0013】
また、上記目的を達成するための請求項4に係る発明は、両側部に軸方向に延びる転動体転動溝を有して軸方向に延長された案内レールと、該案内レールの前記転動体転動溝に対向する転動体転動溝を有し、これらの両転動体転動溝間に挿入された転動体の転動を介して軸方向に沿って相対移動可能に前記案内レールに跨架されたスライダとを備え、前記スライダは、前記転動体転動溝及び軸方向に貫通する転動体通路が設けられたスライダ本体と、前記両転動体転動溝間と前記転動体通路とを連通する湾曲状の方向転換路を有して前記スライダ本体の軸方向の両端面に固定された一対のエンドキャップとを具備する直動案内軸受装置であって、
前記転動体には、その全周にわたって溝部が形成され、
前記方向転換路を形成するリターンガイドには、前記溝部に遊嵌する突条が形成されたことを特徴としている。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、転動体に形成された溝部に遊嵌する突条を転動体の転走方向に沿うようにリターンガイドに設けたので、方向転換路内における転動体の転走方向がガイドされ、その結果、転動体の姿勢が維持される。従って、転走方向に対する転動体のズレと傾きを小さくすることができ、スキューを軽減する直動案内軸受装置を提供することができる。
【0015】
また、請求項5に係る発明は、請求項4に記載の直動案内軸受装置において、前記リターンガイドがU字形状をなし、湾曲する外周面を外循環路の内周面とし、内周面の底部を内循環路の外周面として前記方向転換路を構成し、前記外循環路の内周面に前記突条が形成されたことを特徴としている。
請求項5に係る発明によれば、転動体が方向転換路から転動体通路に移る際、方向転換路の構成部材としての外循環路の外周面が途中までしか形成されていないため、外循環路の内周面に形成された前記突条によって、転動体が方向転換路を出る際に転走方向に対する転動体のズレと傾きを確実に小さくすることができる。
【0016】
また、請求項6に係る発明は、請求項4又は5に記載の直動案内軸受装置において、前記突条が複数形成されたことを特徴としている。
請求項6に係る発明によれば、方向転換路内における転動体の転走方向をより確実にガイドし、転走方向に対する転動体のズレと傾きをさらに小さくすることができる。その結果として、スキューをさらに軽減する直動案内軸受装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、転動体が方向転換路を通過する際の転走方向へのズレと傾きを小さくし、スキューを軽減することができるリターンガイド及びそれを備えた直動案内軸受装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る直動案内軸受装置の一実施形態における構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る直動案内軸受装置の一実施形態におけるエンドキャップの構成を示す背面図である。
【図3】本発明に係る直動案内軸受装置の一実施形態におけるリターンガイドを装着する前のエンドキャップの構成を示す背面図である。
【図4】図2の4−4線を切断線としてスライダの軸方向に沿う断面図である。
【図5】本発明に係るリターンガイドの一実施形態における構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は背面図、(d)は底面図、(e)は側面図である。
【図6】本発明に係るリターンガイドの一実施形態における円筒ころの挙動を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図7】本発明に係るリターンガイドの他の実施形態における構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は背面図、(d)は底面図、(e)は側面図である。
【図8】従来の直動案内軸受装置の構成を説明するための一部を切り欠いた図である。
【図9】従来の直動案内軸受装置において転動体が方向転換路を通過する際の挙動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るリターンガイド及びそれを備えた直動案内軸受装置の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る直動案内軸受装置の一実施形態における構成を示す斜視図である。また、図2は、本発明に係る直動案内軸受装置の一実施形態におけるエンドキャップの構成を示す背面図である。また、図3は、本発明に係る直動案内軸受装置の一実施形態におけるリターンガイドを装着する前のエンドキャップの構成を示す背面図である。また、図4は、図2の4−4線を切断線としてスライダの軸方向に沿う断面図である。また、図5は、本発明に係るリターンガイドの一実施形態における構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は背面図、(d)は底面図、(e)は側面図である。また、図6は、本発明に係るリターンガイドの一実施形態における円筒ころの挙動を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図1〜図4に示すように、直動案内軸受装置1は、軸方向に延びる案内レール10と、該案内レール10上に軸方向に相対移動可能に跨架されたスライダ20とを備える。
【0020】
<スライダ>
スライダ20は、スライダ本体20Aと、エンドキャップ40とを有する。スライダ本体20Aとエンドキャップ40との間には、スライダ20内に入ってきた異物の侵入を阻止するサイドシール(図示せず)が設けられてもよい。
スライダ本体20Aは略コ字状の断面形状をなし、その開口部を案内レール10に向けて案内レール10上に跨架される。エンドキャップ40は、略コ字状の断面形状をなし、スライダ本体20Aの軸方向(移動方向)の両端部に設置される。サイドシールは、略コ字状の断面形状をなし、エンドキャップ40,40の軸方向(移動方向)のそれぞれの外側端部に設置される。
【0021】
案内レール10の両側面にはそれぞれ軸方向に延びる転動体転動面11,11が2条ずつ形成されている。また、スライダ20のスライダ本体20Aには、その両袖部20B,20Bの内側面には、それぞれ転動体転動面11に対向する転動体転動溝21,21が2条ずつ形成されている。そして、案内レール10の転動体転動面11とスライダ本体20Aの転動体転動溝21との間には転動体30としての多数の円筒ころが転動自在に装填されている。すなわち、これら転動体(円筒ころ)30の転動を介してスライダ20が案内レール10上を軸方向に沿って相対移動できるようになっている。
【0022】
また、スライダ本体20Aの両側の袖部20B内には、図4に示すように、それぞれ軸方向に貫通する上下二つ(合計4つ)の転動体通路60が形成されている。また、スライダ本体20Aの軸方向の両端にねじ等を介して固定された一対のエンドキャップ40,40は、それぞれ、転動体通路60に連通する方向転換路70を備えた転動体循環部品として機能する。
【0023】
<エンドキャップ>
エンドキャップ40には、図4に示すように、両転動体転動溝11,21間と転動体通路60とに連通する半円弧状に湾曲した方向転換路70がスライダ20の軸方向の内側と外側とに形成されている。すなわち、転動体転動溝11,21間と、転動体通路60と、内側の方向転換路70(内循環路71)又は外側の方向転換路70(外循環路72)によって、転動体30の無限循環軌道が形成されている。
【0024】
また、図3に示すように、エンドキャップ40のスライダ本体20Aに対向する端面40aには、軸方向(エンドキャップ40がスライダ本体20Aに対して取り付けられる方向)にリターンガイド50が嵌め込まれる外循環路形成溝41と、内循環路形成溝42とが形成されている。
外循環路形成溝41と、内循環路形成溝42とは、端面40aからの深さを異ならせて直交するように形成されている。具体的には、外循環路形成溝41のほうが内循環路形成溝42よりも端面40aから離れて形成されている。
【0025】
また、図3に示すように、内循環路形成溝42は、外循環路形成溝41によって分断されており、外循環路形成溝41に嵌め込まれたリターンガイド50の内周面50a(図5(a)〜(e)参照)によって面一にされる。このとき、リターンガイド50は、その側面50c,50c(図5(a)〜(e)参照)と外循環形成溝41の側面41b,41bとを当接させて外循環形成溝41に嵌め込まれる。
【0026】
ここで、外循環路形成溝41の底面41aは、外循環路72の外周面を形成する。また、リターンガイド50の外周面50aは、外循環路72の内周面を形成する。外循環路72内に装填された転動体30は、外循環路72の外周面及び内周面に当接しながら転送する。また、内循環路形成溝42の分断された底面42a,42aは、リターンガイド50の内周面50bとともに内循環路71の外周面を形成する。さらに、内循環路71の内周面は、別途設置される内周ガイド43(図4参照)によって形成される。内循環路71内に装填された転動体30は、内循環路71の外周面及び内周面に当接しながら転送する。
【0027】
また、図3に示すように、エンドキャップ40には、転動体通路60及び方向転換路70に転動体30を装填するために、方向転換路70に連通する装填用貫通孔44がエンドキャップ40を貫通して形成されている。この装填用貫通孔44は、図示しない蓋部を嵌め込むことで塞がれると共に、この蓋部の内面が外循環路形成溝41の底面41aとともに外循環路72の外周面を形成する。
【0028】
[リターンガイド]
リターンガイド50は、図5(a)〜(e)に示すように、U字形状をなし、エンドキャップ40と同様に、樹脂材料(例えばポリアセタール、ポリアミド等)の射出成形で作製される。
リターンガイド50は、湾曲する外周面50aを外循環路72の内周面とし、内周面50bの底部50bbを内循環路71の外周面として方向転換路70を構成するように成形されている。そして、リターンガイド50は、外周面50aをエンドキャップ40の端面40aに対向させて外循環路形成溝41に嵌め込まれる。
ここで、図5(a)に示すように、本実施形態の直動案内装置で用いられる転動体30は、転動面である周面30aの全周にわたって溝部31が1条以上形成されている。
【0029】
そして、リターンガイド50は、外循環路72を形成する内周面50b、及び内循環路71を形成する外周面50aの少なくともいずれか一方に、方向転換路70における転動体30の転走方向に沿って突条51が形成されている。この突条51は、溝部31に遊嵌する形状で形成され、方向転換路70内における転動体30の転走を妨げない限り、数や形状に制限はなく、目的に応じて適宜設定される。突条51は、外循環路72を形成するリターンガイド50の内周面50bに形成されることが好ましい。その理由は、図4に示すように、転動体30が方向転換路70から転動体通路60に移る際、方向転換路70の構成部材としての外循環路72の外周面が途中までしか形成されていないため、外循環路72の内周面(リターンガイド50の内周面50b)に形成された突条51によって、転動体30が方向転換路70を出る際に転走方向に対する転動体30のズレと傾きを確実に小さくすることができるからである。
【0030】
また、突条51は、図3に示すように、外循環路形成溝41及び内循環路形成溝42の少なくともいずれか一方に転動体の転走方向に沿って形成されてもよい。
このように、内循環路71を形成するリターンガイド50の外周面50a、及び外循環路72を形成するリターンガイド50の内周面50bの少なくともいずれか一方に突条51が形成されることによって、図6(a),(b)に示すように、方向転換路70内における転動体30の転走方向がガイドされ、その結果、転動体30の姿勢が維持される。従って、転走方向に対する転動体30のズレと傾きを小さくすることができ、スキューを軽減するリターンガイド50及びそれを備えた直動案内軸受装置1を提供することができる。
【0031】
(他の実施形態)
図7は、本発明に係るリターンガイドの他の実施形態における構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は背面図、(d)は底面図、(e)は側面図である。図7(a)〜(d)に示すように、本実施形態では、転動体の全周にわたって複数の溝部31,31が形成され、これら溝部31,31に遊嵌する複数の突条51がリターンガイド50に形成されている。このようにリターンガイド50に複数の突条51が形成されることによって、方向転換路70内における転動体30の転走方向をより確実にガイドし、転走方向に対する転動体30のズレと傾きをさらに小さくすることができる。そして、その結果として、スキューをさらに軽減するリターンガイド50及び直動案内軸受装置1を提供することができる。なお、図7では、リターンガイド50に形成される突条51の数を2条としているが、該突条51の数は、転動体30に形成される溝の数以下であり、転動体30の転動を妨げなければ特に制限はなく、目的に応じて適宜設定される。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。
【符号の説明】
【0032】
1 直動案内軸受装置
10 案内レール
11 転動体転動溝
20 スライダ
20A スライダ本体
21 転動体転動溝
30 転動体(円筒ころ)
40 エンドキャップ
50 リターンガイド
51 突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる案内レールと、該案内レールに跨設されたスライダ本体の両端部に設けられたエンドキャップに収納され、前記スライダ本体の軸方向に貫通して形成された転動体通路に連通する方向転換路を形成するリターンガイドであって、
前記転動体通路及び前記方向転換路内で転動する転動体の全周にわたって形成された溝部に遊嵌する突条が形成されたことを特徴とするリターンガイド。
【請求項2】
U字形状をなし、湾曲する外周面を外循環路の内周面とし、内周面の底部を内循環路の外周面として前記方向転換路を構成し、前記外循環路の内周面に前記突条が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のリターンガイド。
【請求項3】
前記突条が複数形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のリターンガイド。
【請求項4】
両側部に軸方向に延びる転動体転動溝を有して軸方向に延長された案内レールと、該案内レールの前記転動体転動溝に対向する転動体転動溝を有し、これらの両転動体転動溝間に挿入された転動体の転動を介して軸方向に沿って相対移動可能に前記案内レールに跨架されたスライダとを備え、前記スライダは、前記転動体転動溝及び軸方向に貫通する転動体通路が設けられたスライダ本体と、前記両転動体転動溝間と前記転動体通路とを連通する湾曲状の方向転換路を有して前記スライダ本体の軸方向の両端面に固定された一対のエンドキャップとを具備する直動案内軸受装置であって、
前記転動体には、その全周にわたって溝部が形成され、
前記方向転換路を形成するリターンガイドには、前記溝部に遊嵌する突条が形成されたことを特徴とする直動案内軸受装置。
【請求項5】
前記リターンガイドがU字形状をなし、湾曲する外周面を外循環路の内周面とし、内周面の底部を内循環路の外周面として前記方向転換路を構成し、前記外循環路の内周面に前記突条が形成されたことを特徴とする請求項4に記載の直動案内軸受装置。
【請求項6】
前記突条が複数形成されたことを特徴とする請求項4又は5に記載の直動案内軸受装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−225441(P2012−225441A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94463(P2011−94463)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】