説明

リチウム二次電池用アノード活物質とこれを含むリチウム二次電池

【構成】本発明は、リチウム二次電池用アノード活物質及びこれを含むリチウム二次電池に関するものである。本発明によるエッジの一部または全部が炭化物層によって被覆された芯材炭素材を含むリチウム二次電池用アノード活物質は、微細粒子が特定範囲の含量で含まれることを特徴とする。
【効果】本発明によるリチウム二次電池用アノード活物質は、適正レベルの微粒子を含むことで、電極の接着力を高めることができ、バインダーの使用量を減らすことができ、電池の性能を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池用アノード活物質とこれを含むリチウム二次電池に関するものであって、より詳しくは、エッジの一部または全部が炭化物層によって被覆された芯材炭素材を含むリチウム二次電池用アノード活物質とこれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、ノートPC、電気自動車など電池を用いる電子機器の急速な普及に伴って、小型・軽量でありながらも相対的に高容量である二次電池の需要が急速に増大している。特に、リチウム二次電池は、軽量で高エネルギー密度を持っており携帯機器の駆動電源として脚光を浴びている。これによって、リチウム二次電池の性能向上のための研究開発努力が活発に行われている。
【0003】
リチウム二次電池は、リチウムイオンの挿入(intercalation)及び脱離(deintercalation)が可能な活物質からなるアノードとカソードの間に有機電解液またはポリマー電解液を充填させた状態で、リチウムイオンがカソード及びアノードで挿入/脱離されるときの酸化、還元反応によって電気エネルギーを生産する。
【0004】
リチウム二次電池のカソード活物質としては、リチウムコバルトオキサイド(LiCoO)、リチウムニッケルオキサイド(LiNiO)、リチウムマンガンオキサイド(LiMnO)などのような遷移金属化合物が主に用いられる。
【0005】
そして、アノード活物質としては、一般的に軟化程度が大きい天然黒鉛や人造黒鉛のような結晶質系炭素材料、または1000〜1500℃の低い温度で炭化水素や高分子などを炭化させて得られた擬グラファイト(pseudo‐graphite)構造または乱層構造(turbostratic structure)を持つ非晶質系(low crystalline)炭素材料が用いられる。
【0006】
結晶質系炭素材料は密度(true density)が高いので、活物質をパッキングするのに有利であり、電位平坦性、初期容量及び充・放電可逆性に優れているという長所があるが、電池が使用されるにつれて充・放電効率とサイクル容量とが劣化する問題がある。このような問題は、電池の充・放電サイクルが増加するにつれて結晶質系炭素材料のエッジ部分で電解液の分解反応が誘発されるからであると分析されている。
【0007】
特許文献1(日本特許公開第2002‐348109号公報)は、結晶質系炭素材料のエッジ部分で電解液の分解反応が誘発されることを防止するために、炭化物層をコートした炭素材料系アノード活物質を開示している。前記炭素材料系アノード活物質において、炭化物層は、炭素材料の表面に被覆材(ピッチを含む石炭または石油系の重質油である)をコートした後、1000℃以上で熱処理して形成する。炭素材料に炭化物層をコートすれば、二次電池の初期容量は小量減少するが、充・放電効率とサイクル容量特性とが改善される効果が発生する。特に、高温の熱処理を通じて被覆材コーティング層を人造黒鉛化する場合、初期容量の減少量を減らすことができながらも電解液の分解反応を有効に抑制することができる。
【0008】
しかし、アノード活物質は微細粉末の形態で集電体に塗布されてアノードを形成し、その状態で電解液と相互作用をするので、微細粒子が形成する微細気孔や微細粒子間の相互作用などが電池の性能に影響を及ぼす可能性がある。従って、微細粒子の物性に対する考慮が必要とされるが、今までこれに対する研究が十分に行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】日本特許公開第2002‐348109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】

本発明者は、アノードを構成しているアノード活物質のうち微細粒子の平均粒径及び含量がリチウム二次電池の電気化学的特性に大きな影響を及ぼすという事実を新しく見出した。
【0011】
よって、本発明は、優れた電池性能を発揮することができる特定範囲の微細粒子の含量を有するアノード活物質を提供することにその目的がある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、前記アノード活物質を用いて製造されたリチウム二次電池用アノード及びこれを含むリチウム二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本発明によってエッジの一部または全部が炭化物層によって被覆された芯材炭素材を含むリチウム二次電池用アノード活物質は、下記数式1で表されるK値が5ないし40であることを特徴とする。
【0014】
【数1】

【0015】
前記数式1において、
Aは、レーザ散乱法で測定されたアノード活物質の平均粒径D50であり、
Bは、電気抵抗法(Coulter counter法)で測定されたアノード活物質の平均粒径D50である。
【0016】
本発明のアノード活物質は、電極密度が1.6g/ccになるように圧搾したとき、(圧搾後気孔体積)/(圧搾前気孔体積)の値が0.3〜0.9であり得るが、これに限定されるのではない。
【0017】
本発明のアノード活物質において、前記芯材炭素材は、高結晶性の天然黒鉛である。望ましくは、前記天然黒鉛は、球状化された天然黒鉛である。
【0018】
本発明のアノード活物質において、前記芯材炭素材は、楕円形状、破砕状、鱗状またはウィスカー状を持つ天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、メソフェーズピッチ微粉、等方性ピッチ微粉、樹脂炭、及び擬グラファイト構造または乱層構造を有する非晶質系炭素微粉からなる群より選択された何れか一つまたはこれらの混合物であり得る。
【0019】
望ましくは、前記炭化物層は、前記芯材炭素材に、石炭系または石油系から由来するピッチ、タールまたはこれらの混合物をコートした後炭化焼成して形成した低結晶性炭化物層である。
【0020】
前述の本発明のアノード活物質は、リチウム二次電池用アノード及びリチウム二次電池に用いることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のリチウム二次電池用アノード活物質は、特定範囲の微細粒子の含量を持つことで、アノード製造時に作業性を向上させバインダーの含量を減らすことができる。また、電解液の分解を最小化してリチウム二次電池の性能を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を詳しく説明する。本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはいけず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念とに解釈されなければならない。
【0023】
本発明において、アノード活物質の「微細粒子」とは、平均粒径が5μm以下である粒子をいう。
【0024】
一般に、アノード活物質は粉末状に製造され、バインダー、有機溶媒などと混合されてペースト状でアノード集電体に塗布されてアノードを形成するので、粉末をなす粒子の物性に対する考慮が必要である。よって、本発明の発明者らは、アノード活物質粒子の平均粒径、粒度分布、微細粒子の含量などが電池の性能に大きな影響を及ぼすことを見出した。
【0025】
従って、本発明のアノード活物質は、エッジの一部または全部が炭化物層によって被覆された芯材炭素材を含むリチウム二次電池用アノード活物質であって、前記数式1で表されるK値が5ないし40であることを特徴とする。
【0026】
本発明で定義されるK値は、アノード活物質内の微細粒子の含量を表示するパラメータである。具体的に、K値は、レーザ散乱法で測定されたアノード活物質の平均粒径D50と電気抵抗法で測定されたアノード活物質の平均粒径D50との差を、レーザ散乱法で測定されたアノード活物質の平均粒径D50で割った値である。
【0027】
レーザ散乱法とは、粒子の表面にレーザを照射するとき発生する回折(diffraction)、屈折(refraction)、反射(reflection)、吸収(absorption)の同時複合的現象、すなわち光散乱を利用し、散乱強度は粒子のサイズに比例し、散乱角は粒子のサイズに反比例するという原理を利用して粒子のサイズを算出する方法である。レーザビームを通過する粒子は光を散乱させ、散乱光は角度ごとに相違なる散乱パターンを形成するが、これがフォトディテクタアレイ(photodetector array)によって測定され分析される。しかし、このようなレーザ散乱法は、微細粒子の場合には測定範囲を外れるので、測定はほとんどなされない。
【0028】
一方、電気抵抗法を説明すれば、下記のようである。電解質溶液に(+)、(−)電極を設置すれば、二電極間に電流が流れることになる。分析しようとする粒子を電解質溶液によく分散させた後、真空ポンプを利用して電極が設置されたオリフィスチューブ(orifice tube)の外部より内部へとその溶液を吸い込めば、溶液中の粒子が感知領域(sensing zone)であるオリフィスを通過し、その粒子体積に該当すると同じだけ電解質の体積が減少する効果によって瞬間的に電気抵抗が発生する。この抵抗は、粒子のサイズ(体積)が大きいほど大きくなる。抵抗の変化は、すなわち電圧の変化であり、この電圧の変化はパルスとして示されることになる。この電気抵抗のパルスの大きさは粒子の体積に比例し、パルスの数は粒子の個数の示す。従って、このパルスの個数と大きさを通じて粒子の個数と大きさを測定することができる。その結果、電気抵抗法は、下記のような特徴を持つ:
1.粒子の体積を基準にして球に換算した大きさを求めるので、粒子の形態に関係なく同一体積を持つものは常に一定な大きさとして測定する。
【0029】
2.光を利用しないので、粒子の光学的特性に影響されない。
【0030】
3.粒子の絶対個数が測定できる。
【0031】
従って、電気抵抗法は、微細粒子の場合にも平均粒径の測定が可能である。
【0032】
結局、同一のアノード活物質の平均粒径をレーザ散乱法と電気抵抗法とで各々測定すれば、粒径が小さい粒子までも測定可能な電気抵抗法の測定結果が、レーザ散乱法で測定した値より多少小さい値を有する。従って、アノード活物質に微細粒子の含量が多いほど、レーザ散乱法で測定した値と電気抵抗法で測定した値との差はさらに大きくなる。
【0033】
本発明によるK値は、アノード活物質内の微細粒子の含量を、前述のように、レーザ散乱法で測定したアノード活物質の平均粒径D50値と電気抵抗法で測定したアノード活物質の平均粒径D50値との差を利用して表示する。K値が大きくなるほど、アノード活物質内の微細粒子の含量が多いことを意味する。
【0034】
特に、本発明のアノード活物質は、K値が5ないし40であることを特徴とする。K値が5未満であればアノード活物質粒子間の接着力が低下してバインダーの含量を増加させなければならない問題点があり、40を超えれば微細粒子があまりにも多く存在することになるので、アノード製造時に作業性が低下して一貫した電池性能の発現が難しく、電解液の分解を促進することになって、電池の寿命を短縮させる問題点がある。
【0035】
また、本発明のアノード活物質は、電極密度が1.6g/ccになるように圧搾したとき、(圧搾後気孔体積)/(圧搾前気孔体積)の値が0.3〜0.9であることを特徴とする。アノードの製造時にはアノード活物質の圧搾過程を経ることになり、このときアノード活物質内の微細粒子の比率に従ってアノードに形成される気孔の比率が定められる。すなわち、微細粒子の量が少ないほど、気孔の比率が大きくなる。前述のように、本発明のアノード活物質は、K値に従ってアノード活物質内の微細粒子量が定められるので、それにしたがって適切な(圧搾後気孔体積)/(圧搾前気孔体積)の値を持つ。前記値が0.3未満であれば電極に気孔が足りなくて電気化学的特性が低下し電極工程性(注液特性)をも劣化し、0.9を超えれば粒子の圧搾が容易ではなく粒子の破壊が予想される。
【0036】
本発明によるアノードは、微細粒子の比率だけでなく、タップ密度及び比表面積も一定の条件を満足することが望ましい。すなわち、本発明によるアノード活物質のタップ密度は0.7g/cm3以上であり、比表面積が5m2/g以下である。
【0037】
ここで、タップ密度はJIS‐K5101に準ずるものであって、ホソカワミクロン(hosokawa micron)社の「パウダーテスターPT‐R」を使用して測定する。すなわち、炭素材料系アノード活物質粉末を目盛り間隔が200μmであるふるいを使って20cc容量のタッピングセルに落下させてタッピングセルをいっぱいに充填させた後、1秒当たり1回でストローク長さ18mmのタッピングを3000回実施した後、タッピングされたアノード活物質の密度を測定してタップ密度を測定した。
【0038】
タップ密度は、炭素材料系アノード活物質粉末の直径、断面形状、表面形状などによって影響を受ける。従って、タップ密度はアノード活物質粒子の平均粒径が同一であっても、粒度分布、すなわちPSD(Particle Size Distribution)に従ってその値が異なる。大体にタップ密度は芯材炭素材の被覆によって増加する。その反面、芯材炭素材の粉末のうち、鱗状の粒子が多いか、PSDを基準にしてd未満のサイズを有する微粉が多ければ、タップ密度は高くならない。本発明による炭素材料系アノード活物質は、d未満の微粉がなく芯材炭素材のエッジの一部または全部が炭化物層によって被覆されているので、0.7g/cm3以上の比較的高いタップ密度を持つ。アノード活物質のタップ密度が前記条件を満足すれば、電解液がアノード活物質に浸透することを妨げないものの、集電体金属にアノード活物質を圧着するとき充填密度を高くすることができる。
【0039】
本発明によるアノード活物質の比表面積は、マイクロメリティクス(Micromeritics)社の窒素吸着BET比表面積測定装置のASAP2400を使用して測定する。本発明によるアノード活物質は、芯材炭素材の細孔が石炭系または石油系から由来する炭素の付着または被覆によって塞がれているので、5m2/g以下の比表面積を有する。このように、比表面積が小さければ電解液の分解反応が発生可能なサイトが減少するので、電解液の分解反応による二次電池の長期サイクル特性の低下を防止することができる。
【0040】
前記本発明によるアノード活物質の粒子の中で芯材炭素材は、球状の高結晶性天然黒鉛である。対案として、前記芯材炭素材は、楕円形状、破砕状、鱗状、ウィスカー状などを持つ天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、メソフェーズピッチ微粉、等方性ピッチ微粉、樹脂炭、及び擬グラファイト構造または乱層構造を有する非晶質系炭素微粉からなる群より選択された何れか一つまたはこれらの混合物であり得る。
【0041】
望ましくは、前記炭化物層は、芯材炭素材に石炭系または石油系から由来するピッチ、タールまたはこれらの混合物をコートした後炭化焼成して形成した低結晶性炭化物層である。ここで、低結晶性というのは、芯材炭素材に比べて炭化物層の結晶化度が低いということを意味する。炭化物層が芯材炭素材より結晶性が低いと、芯材炭素材のエッジ部分で電解液の分解反応が誘発されることを有効に防止することができる。また、電極の製造工程時に、圧搾性などの工程性を向上させることができる。
【0042】
本発明による一定範囲のK値を有するアノード活物質を製造する方法は、アノード活物質を構成する材料の種類、アノード活物質分子の分級方法などに従って多様である。特に、当分野においては、エアーサーキュレーター(air circulator)などのアノード活物質を分級する多様な機器及び方法が紹介されており、当業者は各方法に従って本発明のK値の範囲を有するアノード活物質を得ることができるであろう。具体的な製造例を挙げれば、芯材炭素材と炭化物層を形成するピッチ及び/またはタールとを混合した後焼成する。焼成過程が完了すれば、分級器を使用して微細粒子の量を調節することができる。空気循環式分級器の例を挙げれば、適切な空気の流れを生成してアノード活物質内の余剰の微細粒子を除去し、本発明によるK値を示すことができる一定レベルの微細粒子の量を有するようにすることで、本発明のアノード活物質を得ることができる。
【0043】
前述の本発明によるアノード活物質は、導電材、バインダー及び有機溶媒と混合して活物質ペーストに製造することができる。それから、活物質ペーストを銅箔のような金属集電体に塗布した後、乾燥、熱処理及び圧着してリチウム二次電池用アノードを製造することができる。
【0044】
前述のように、本発明に従って製造されたアノード及びリチウム系遷移金属化合物が所定厚さでカソード集電体にコートされて製造されたカソードをセパレーターを挿んで対向させた後、セパレーターにリチウム二次電池用電解液を含浸させれば、繰り返して充・放電が可能なリチウム二次電池の製造も可能である。このようなリチウム二次電池の製造方法は、本発明が属する技術分野において通常の知識を持つ者に広く知られているので詳細な説明は省略する。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は多くの形態に変形でき、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはいけない。本発明の実施例は、当業界において通常の知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
実施例1
球状の天然黒鉛100重量部に対して10重量部のピッチを高速で約10分間乾式混合して混合物を製造し、この混合物を1000℃で焼成した。焼成を終えた活物質を1時間当たり80kgバッチの大きさを持つ空気サイクロン方式を用いた分級器を使用してブロワー圧を25Hzにして微細粒子を除去し、さらにブロワー圧を40Hzにして分級してアノード活物質を製造した。
【0046】
このように製造されたアノード活物質100gを500mlの反応器に入れ、カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液と、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)水分散液とを投入した後、ミキサーを用いて混練し、約100μmの厚さで銅箔上に塗布した。以後、結果物を乾燥しロール圧縮を通じて成形してアノードを製造した。前記製造されたアノードの体積当たりの密度は1.6g/cm3になるようにした。
【0047】
それから、リチウム二次電池の通常の製造工程を適用して前記製造したアノードとリチウム箔(相対電極)とを使用してコイン型電池(coin cell)を製作した。コイン型電池の製作時に、セパレーターとしては多孔性ポリエチレン膜(Celgard 2300、厚さ20μm、Celgard社製)を使用し、液体電解液としては1M LiPF溶液(エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:エチル‐メチルカーボネート=1:1:1(体積比)の混合溶媒)を使用した。
実施例2
前記実施例1において微粉を除去するブロワー圧を25Hzにして微細粒子を除去し、さらにブロワー圧を43Hzにして分級したアノード活物質を製造したことを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施した。
実施例3
前記実施例1において微粉を除去するブロワー圧を27Hzにして微細粒子を除去し、さらにブロワー圧を40Hzにして分級したアノード活物質を製造したことを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施した。
比較例1
前記実施例1において微粉を除去するブロワー圧を30Hzにして微細粒子を除去し、さらにブロワー圧を43Hzにして分級したアノード活物質を製造したことを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施した。
比較例2
前記実施例1において微粉を除去するブロワー圧を32Hzにして微細粒子を除去し、さらにブロワー圧を43Hzにして分級したアノード活物質を製造したことを除いては、前記実施例1と同一の方法で実施した。
試験例
前記実施例及び比較例のアノード活物質に対して以下のような試験を実施し特性を評価した。その評価結果は、下記表1のようである。
(1)レーザ回折散乱法による平均粒径の測定
実施例に従って製造されたアノード活物質1gをエタノール20mlに添加して分散させた後、測定機器(clias920)を使用して平均粒径を測定した。
(2)電気抵抗法による平均粒径の測定
実施例に従って製造されたアノード活物質1gをエタノール20mlに添加して分散させた後、コールターカウンター(Coulter counter)を使用して平均粒径を測定した。
【0048】
前記測定された(1)及び(2)項目の平均粒径値を前記数式1に代入して各実施例及び比較例のK値を算出し、その結果を下記表1に記載した。
(3)圧搾前後の気孔比の測定
実施例に従って製造されたアノード活物質を集電体に塗布した後、オートマチック ポロシメーター(Automatic Porosimeter)(AutoPore IV 9520、マイクロメリティクス社製)を使用して圧搾前後の気孔比を測定した。
(4)比表面積(SSA)
マイクロメリティクス社製の窒素吸着BET比表面積測定装置のASAP2400を使用して測定した。
(5)タップ密度(TD)
ホソカワミクロン社のパウダーテスターPT‐Rを使用して測定した。すなわち、炭素材料系アノード活物質の粉末を目盛り間隔が200μmであるふるいを使って20cc容量のタッピングセルに落下させてタッピングセルをいっぱいに充填させた後、1秒当たり1回でストローク長さ18mmのタッピングを3000回実施した後、タッピングされたアノード活物質の密度を測定してタップ密度を得た。
(6)電解液の含浸性
前記実施例及び比較例に従って製造されたアノード活物質を銅箔上にコートし圧着した後乾燥して圧着した後の密度が1.65g/cm3である電極を3cm×3cmの大きさに切った後、1M LiPFの電解液(EC/DECの混合溶媒)1μlを滴下して極板に吸収される時間を測定した。
(7)電池特性
1)充・放電試験
充・放電試験は、電位を0.01〜1.5Vの範囲に規制しながら充電電流0.5mA/cm2で0.01Vになるまで充電し、また0.01Vの電圧を維持しながら充電電流が0.02mA/cm2になるまで充電し続けた。そして、放電電流は0.5mA/cm2で1.5Vまでの放電を行った。寿命特性(サイクル効率)は同一の条件で25回以上繰り返してその特性を分析し、充電特性は(0.5mA/cm2で充電した容量)/(総充電容量)×100で表した。
【0049】
【表1】

【0050】
前記表1に示すように、本発明の特定範囲でK値を有する実施例1ないし実施例3のアノード活物質から製造されたリチウム二次電池は、電解液の含浸性に優れており、また電池特性、即ち放電容量、サイクル効率、容量維持率が比較例の電池より優れていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッジの一部または全部が炭化物層によって被覆された芯材炭素材を含むリチウム二次電池用アノード活物質において、
前記アノード活物質は、下記数式1で表されるK値が5ないし40であることを特徴とするリチウム二次電池用アノード活物質:
【数1】

前記数式1において、
Aは、レーザ散乱法で測定されたアノード活物質の平均粒径D50であり、
Bは、電気抵抗法(Coulter counter法)で測定されたアノード活物質の平均粒径D50である。
【請求項2】
前記アノード活物質は、電極密度が1.6g/ccになるように圧搾したとき、(圧搾後気孔体積)/(圧搾前気孔体積)の値が0.3〜0.9であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用アノード活物質。
【請求項3】
前記アノード活物質のタップ密度が0.7g/cm3以上であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用アノード活物質。
【請求項4】
前記アノード活物質の比表面積が5m2/g以下であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用アノード活物質。
【請求項5】
前記芯材炭素材は、高結晶性の球状化された天然黒鉛であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用アノード活物質。
【請求項6】
前記芯材炭素材は、楕円形状、鱗状、ウィスカー状または破砕状を持つ天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、メソフェーズピッチ微粉、等方性ピッチ微粉、樹脂炭、及び擬グラファイト(pseudo‐graphite)構造または乱層構造を有する非晶質系(low crystalline)炭素微粉からなる群より選択された何れか一つまたはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用アノード活物質。
【請求項7】
前記炭化物層の結晶化度が芯材炭素材の結晶化度より低いことを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用アノード活物質。
【請求項8】
前記炭化物層は、石炭系または石油系から由来するピッチ、タールまたはこれらの混合物をコートした後炭化焼成して形成した低結晶性炭化物層であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用アノード活物質。
【請求項9】
アノード活物質及びバインダーがアノード集電体上にコートされて形成されたリチウム二次電池用アノードにおいて、
前記アノード活物質は、請求項1ないし請求項8のうち何れか一項に記載のアノード活物質であることを特徴とするリチウム二次電池用アノード。
【請求項10】
アノード、カソード、前記アノードとカソードの間に介されたセパレーター、及び電解液を備えるリチウム二次電池において、
前記アノードが、請求項9に記載のアノードであることを特徴とするリチウム二次電池。

【公開番号】特開2010−262925(P2010−262925A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101930(P2010−101930)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(508303139)エルエス エムトロン リミテッド (16)
【Fターム(参考)】