説明

リチウム二次電池

【課題】小型化・高エネルギー密度化が容易で、かつ、短絡時における発熱を抑制し得る信頼性の高いリチウム二次電池を提供すること。
【解決手段】本発明により提供されるリチウム二次電池100は、正極集電体の表面に正極活物質を含む正極活物質層を有する正極と、負極集電体の表面に負極活物質を含む負極活物質層を有する負極と、該正極及び負極間に配置されたセパレータとから構成された電極体と、電極体を電解液とともに収容する電池ケース50とを備え、電池ケース50の表面積と電池の満充電時におけるエネルギー容量との比の値が4.5cm/Wh以上であり、かつ、正極の電気抵抗率が10Ω・cm以上450Ω・cm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池、特に正極及び負極を備えた電極体と、該電極体を電解液とともに収容する電池ケースとを備えたリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池その他の電池(典型的には二次電池)は、車両搭載用電源あるいはパソコンや携帯端末等の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして期待されている。
【0003】
この種のリチウムイオン電池においては、電池が落下等の衝撃によって変形したり金属物の釘刺しなどによって破壊されたりすると、電池内で内部短絡が発生し、異常な発熱が生じることが想定される。このような発熱は電池劣化の要因になり得るため、発生した熱を速やかに放散し得る機構が求められている。かかる要求に応える方法の一つとして、電池ケースの表面積を大きくすることが検討されている。例えば特許文献1には、発生した熱を効率的に放熱させるために、電池ケースの表面積をエネルギー容量に対して20cm/Whよりも大きくした二次電池が開示されている。この種の電池に関する他の従来技術文献として特許文献2,3が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−106214号公報
【特許文献2】特開2008−262832号公報
【特許文献3】特開2006−100149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動車等の車両に搭載されるリチウム二次電池においては、搭載スペースが制限されることから、小型化・高エネルギー密度化を図ることが重要である。しかしながら、特許文献1のように、電池ケースの表面積をエネルギー容量に対して大きくすると、電池の放熱性は高まるが、電池ケースが占める体積が増えすぎるため、小型化・高エネルギー密度化の妨げになる。すなわち、自動車等の車両に搭載されるリチウム二次電池では、電池ケースの表面積を大きくすることに限界があり、短絡時に生じた熱を速やかに放散させることができないという問題があった。本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、小型化・高エネルギー密度化が容易で、かつ、短絡時における発熱を抑制し得る信頼性の高いリチウム二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により提供されるリチウム二次電池は、正極集電体の表面に正極活物質を含む正極活物質層を有する正極と、負極集電体の表面に負極活物質を含む負極活物質層を有する負極と、該正極及び負極間に配置されたセパレータとから構成された電極体と、上記電極体を電解液とともに収容する電池ケースとを備える。そして、上記電池ケースの表面積Sと上記電池の満充電時におけるエネルギー容量Eとの比(S/E)の値が4.5cm/Wh以上であり、かつ、上記正極の電気抵抗率が10Ω・cm以上450Ω・cm以下であることを特徴とする。
【0007】
本発明の構成によれば、小型化・高エネルギー密度化が容易で、かつ、短絡時における発熱を抑制し得る信頼性の高い電池を提供することができる。すなわち、正極と負極間に短絡が生じた場合でも、正極の電気抵抗率を10Ω・cm以上にすることによって、正極と負極間に大きい短絡電流が流れることが抑制され、リチウム二次電池の発熱を抑えることができる。したがって、電池ケースの表面積が1Whあたり少なくとも4.5cm/Whだけ確保されれば、電池内で生じた熱を電池外部に速やかに放散させることができ、電池の温度が高くなりすぎる事象を抑制して信頼性の高いリチウム二次電池を提供することができる。この構成によれば、1Whあたりに確保すべきケース表面積の下限を適切に規定することにより、リチウム二次電池の信頼性を確保しつつ小型化・高エネルギー密度化を容易に実現することができる。
【0008】
正極の電気抵抗率は、概ね10Ω・cm〜450Ω・cm程度であり、好ましくは20Ω・cm〜300Ω・cm程度であり、より好ましくは20Ω・cm〜125Ω・cm程度である。この範囲よりも小さすぎると短絡電流を抑制する効果が十分に得られない場合があり、この範囲よりも大きすぎると、内部抵抗が大きすぎて電池性能が低下する場合がある。
【0009】
また、1Whあたりのケース表面積が大きすぎると、電池ケースが占める体積が増えすぎ、小型化・高エネルギー密度化の妨げになる場合がある。したがって、電池ケースの表面積は、エネルギー容量に対して概ね4.5cm/Wh〜35cm/Wh程度が好ましく、通常は4.5cm/Wh〜10cm/Wh程度が好ましい。小型化・高エネルギー密度化の観点からは概ね4.5cm/Wh程度、例えば4.5cm/Wh〜5cm/Wh程度にすることが最適である。
【0010】
ここに開示されるリチウム二次電池の好ましい一態様では、上記電池ケースの材質が金属製であり、例えばアルミニウム、ニッケルメッキ鋼等から構成されている。それらの金属材料は放熱性に優れるため、本発明の目的に適した電池ケースの材質として好ましく用いることができる。
【0011】
ここに開示されるリチウム二次電池の好ましい一態様では、上記満充電時におけるエネルギー容量が10Wh以上である。本発明によると、このような大容量タイプのリチウム二次電池であっても、正極の電気抵抗率(10Ω・cm以上)と、1Whあたりに確保すべきケース表面積の下限(4.5cm/Wh以上)とを適切に規定することにより、信頼性を確保しつつ小型化・高エネルギー密度化を容易に実現することができる。
【0012】
このようなリチウム二次電池は、上記のとおり小型化・高エネルギー密度化が容易で、かつ、良好な電池性能を示すことから、例えば自動車等の車両に搭載される電池として好適である。したがって本発明によると、ここに開示されるいずれかのリチウム二次電池(複数の電池が接続された組電池の形態であり得る。)を備える車両が提供される。特に、良好な出力特性が得られることから、リチウム二次電池を動力源(典型的には、ハイブリッド車両または電気車両の動力源)として備える車両(例えば自動車)が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る電池を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電池の電極体を模式的に示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電池の電極体を模式的に示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る電池の要部を示す拡大断面図である。
【図6】本実施例の四端子法による抵抗測定方法を説明するための図である。
【図7】本実施例の四端子法による抵抗測定方法を説明するための図である。
【図8】本実施例の四端子法による抵抗測定方法を説明するための図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る電池を備えた車両を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。なお、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、正極および負極を備えた電極体の構成および製法、セパレータや電解質の構成および製法、電池その他の電池の構築に係る一般的技術等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。
【0015】
本実施形態のリチウム二次電池100は、図1〜図4に示すように、正極集電体12の表面に正極活物質を含む正極活物質層14を有する正極10と、負極集電体22の表面に負極活物質を含む負極活物質層24を有する負極20と、該正極10及び負極20間に配置されたセパレータ40とから構成された電極体80を備える。また、電極体80を電解液(図示せず)とともに収容する電池ケース50を備える。電池ケース50の表面積Sと電池の満充電時における満充電時におけるエネルギー容量Eとの比(S/E)の値は4.5cm/Wh以上であり、正極10の電気抵抗率は10Ω・cm以上450Ω・cm以下である。なお、ここでいう電池ケースの表面積Sとは、電池を封止した状態における表面積(電池の外部に露出している部分の面積、すなわちケースの内側表面の面積は含まない)のことである。
【0016】
本実施形態の構成によれば、小型化・高エネルギー密度化が容易で、かつ、短絡時における発熱を抑制し得る信頼性の高い電池を提供することができる。すなわち、正極10と負極20間に短絡が生じた場合でも、正極10の電気抵抗率を10Ω・cm以上にすることによって、正極10と負極20間に大きい短絡電流が流れることが抑制され、リチウム二次電池100の発熱を抑えることができる。したがって、電池ケース50の表面積が1Whあたり少なくとも4.5cm/Whだけ確保されれば、電池内で生じた熱を電池外部に速やかに放散させることができ、電池の温度が高くなりすぎる事象を抑制して信頼性の高いリチウム二次電池を提供することができる。この構成によれば、1Whあたりに確保すべきケース表面積の下限を適切に規定することにより、リチウム二次電池の信頼性を確保しつつ小型化・高エネルギー密度化を容易に実現することができる。
【0017】
正極の電気抵抗率は、概ね10Ω・cm〜450Ω・cm程度であり、好ましくは20Ω・cm〜300Ω・cm程度であり、より好ましくは20Ω・cm〜125Ω・cm程度である。この範囲よりも小さすぎると短絡電流を抑制する効果が十分に得られない場合があり、この範囲よりも大きすぎると内部抵抗が大きすぎて電池性能が低下する場合がある。
【0018】
また、1Whあたりのケース表面積が大きすぎると、電池ケースが占める体積が増えすぎ、小型化・高エネルギー密度化の妨げになる場合がある。したがって、電池ケースの表面積は、エネルギー容量に対して概ね4.5cm/Wh〜35cm/Wh程度が好ましく、通常は4.5cm/Wh〜10cm/Wh程度が好ましい。小型化・高エネルギー密度化の観点からは概ね4.5cm/Wh程度、例えば4.5cm/Wh〜5cm/Wh程度にすることが最適である。
【0019】
特に限定することを意図したものではないが、以下では扁平に捲回された電極体(捲回電極体)80と非水電解液とを扁平な箱型(直方体形状)の電池ケース50に収容した形態のリチウム二次電池(リチウムイオン電池)を例として本発明を詳細に説明する。
【0020】
このリチウムイオン電池100は、長尺状の正極シート10と長尺状の負極シート20が長尺状のセパレータ40を介して扁平に捲回された形態の電極体(捲回電極体)80が、図示しない非水電解液とともに、該捲回電極体80を収容し得る形状の電池ケース50に収容された構成を有する。
【0021】
電池ケース50は、図示しない非水電解液とともに電極体80を収容し得る形状であればよい。ここに開示される技術の好ましい適用対象として、扁平型の捲回電極体80を収容し得る扁平な角型のケース50が挙げられる。このケース50は、上端が開放された扁平な直方体状の電池ケース本体52と、その開口部を塞ぐ蓋体54とを備える。この実施形態では、電池ケース本体52が電池外部に露出している部分の面積と、蓋体54が電池外部に露出している部分の面積との合計が、エネルギー容量に対して概ね4.5cm/Wh以上となっている。電池ケース50を構成する材質としては、アルミニウム、ニッケルメッキ鋼、スチール等の金属材料が好ましく用いられる(本実施形態ではアルミニウム)。これらの金属材料は放熱性に優れるため、本発明の目的に適した電池ケースの材質として好ましく用いることができる。あるいは、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリイミド樹脂等の樹脂材料を成形してなる電池ケース50であってもよい。電池ケース50の上面(すなわち蓋体54)には、捲回電極体80の正極と電気的に接続する正極端子70および該電極体80の負極20と電気的に接続する負極端子72が設けられている。電池ケース50の内部には、扁平形状の捲回電極体80が図示しない非水電解液とともに収容される。
【0022】
電極体80は、典型的なリチウム二次電池に搭載される電極体と同様、所定の電池構成材料(正負極それぞれの活物質、正負極それぞれの集電体、セパレータ等)から構成されている。ここに開示される技術の好ましい適用対象として、扁平形状の捲回電極体80が挙げられる。この捲回電極体80は、後述する正極シート10の構成を除いては通常のリチウム二次電池の捲回電極体と同様であり、図3に示すように、捲回電極体80を組み立てる前段階において長尺状(帯状)のシート構造を有している。
【0023】
正極シート10は、正極シート10は、長尺シート状の箔状の正極集電体(以下「正極集電箔」と称する)12の両面に正極活物質を含む正極活物質層14が保持された構造を有している。ただし、正極活物質層14は正極シート10の一方の側縁(図では下側の側縁部分)には付着されず、正極集電体12を一定の幅にて露出させた正極活物質層非形成部が形成されている。
【0024】
負極シート20も正極シート10と同様に、長尺シート状の箔状の負極集電体(以下「負極集電箔」と称する)22の両面に負極活物質を含む負極活物質層24が保持された構造を有している。ただし、負極活物質層24は負極シート20の一方の側縁(図では上側の側縁部分)には付着されず、負極集電体22を一定の幅にて露出させた負極活物質層非形成部が形成されている。
【0025】
捲回電極体80を作製するに際しては、正極シート10と負極シート20とがセパレータシート40を介して積層される。このとき、正極シート10の正極活物質層非形成部分と負極シート20の負極活物質層非形成部分とがセパレータシート40の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、正極シート10と負極シート20とを幅方向にややずらして重ね合わせる。このように重ね合わせた積層体を捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平状の捲回電極体80が作製され得る。
【0026】
捲回電極体80の捲回軸方向における中央部分には、捲回コア部分82(即ち正極シート10の正極活物質層14と負極シート20の負極活物質層24とセパレータシート40とが密に積層された部分)が形成される。また、捲回電極体80の捲回軸方向の両端部では、正極シート10および負極シート20の電極活物質層非形成部分がそれぞれ捲回コア部分82から外方にはみ出している。かかる正極側はみ出し部分(すなわち正極活物質層14の非形成部分)84および負極側はみ出し部分(すなわち負極活物質層24の非形成部分)86には、正極リード端子74および負極リード端子76がそれぞれ付設されており、上述の正極端子70および負極端子72とそれぞれ電気的に接続される。
【0027】
かかる捲回電極体80を構成する構成要素は、正極シート10を除いて、従来のリチウムイオン電池の捲回電極体と同様でよく、特に制限はない。例えば、負極シート20は、長尺状の負極集電体22の上にリチウムイオン電池用負極活物質を主成分とする負極活物質層24が付与されて形成され得る。負極集電体22には銅箔その他の負極に適する金属箔が好適に使用される。負極活物質は従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム含有遷移金属酸化物や遷移金属窒化物等が挙げられる。例えば、ここに開示される技術の好ましい適用対象として、長さ2〜10m(例えば5m)、幅6〜20cm(例えば8cm)、厚さ5〜20μm(例えば10μm)程度の銅箔を負極集電体22として使用し、その両面の所定領域に常法によって厚さ40〜300μm(例えば80μm)程度の負極活物質層24が形成された負極シート20を好ましく使用することができる。
【0028】
正極シート10は、長尺状の正極集電体12の上にリチウムイオン電池用正極活物質を主成分とする正極活物質層14が付与されて形成され得る。正極集電体12にはアルミニウム箔その他の正極に適する金属箔が好適に使用される。例えば、ここに開示される技術の好ましい適用対象として、長さ2〜10m(例えば5m)、幅6〜20cm(例えば8cm)、厚さ5〜20μm(例えば15μm)程度のアルミニウム箔を正極集電体12として使用し、その両面の所定領域に常法によって厚さ40〜300μm(例えば80μm)程度の正極活物質層14が形成された正極シート10を好ましく使用することができる。
【0029】
正極活物質としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)等の層状酸化物や、リチウムマンガン酸化物(LiMn)等のスピネル系化合物や、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のポリアニオン系化合物が例示される。ここに開示される技術の好ましい適用対象として、リチウムを含むいわゆるオリビン型のリン酸化合物(例えばLiFePO,LiMnPO等)を主成分とする正極活物質が挙げられる。中でも、LiFePOを主成分とする正極活物質(典型的には、実質的にLiFePOからなる正極活物質)への適用が好ましい。オリビン型リン酸化合物は、リチウムニッケル系酸化物、リチウムコバルト系酸化物等のようなリチウム遷移金属複合酸化物に比べて、理論容量が高く、安全性に優れることから、本発明の目的に適した正極活物質として好ましく用いられる。上記オリビン型リン酸化合物は、典型的には一般式LiMPOで表される。式中のMは、少なくとも一種の遷移金属元素であり、例えば、Mn、Fe、Co、Ni、Mg、Zn、Cr、Ti、及びVから選択される一種または二種以上の元素であり得る。
【0030】
このようなオリビン型リン酸化合物(典型的には粒子状)としては、例えば、従来の方法で調製されるオリビン型リン酸化合物粉末をそのまま使用することができる。例えば、平均粒径が凡そ1μm〜25μmの範囲にある二次粒子によって実質的に構成されたオリビン型リン酸化合物粉末を正極活物質として好ましく用いることができる。
【0031】
正極活物質層14は、一般的なリチウムイオン電池において正極活物質層の構成成分として使用され得る一種または二種以上の材料を必要に応じて含有することができる。そのような材料の例として、導電材が挙げられる。該導電材としてはカーボン粉末やカーボンファイバー等のカーボン材料が好ましく用いられる。あるいは、ニッケル粉末等の導電性金属粉末等を用いてもよい。その他、正極活物質層の成分として使用され得る材料としては、上記構成材料の結着剤(バインダ)として機能し得る各種のポリマー材料が挙げられる。
【0032】
特に限定するものではないが、正極活物質層全体に占める正極活物質の割合は凡そ50質量%以上(典型的には50〜95質量%)であることが好ましく、凡そ75〜90質量%であることが好ましい。また、導電材を含む組成の正極活物質層では、該正極活物質層に占める導電材の割合を例えば3〜25質量%とすることができ、凡そ3〜15質量%であることが好ましい。また、正極活物質および導電材以外の正極活物質層形成成分(例えばポリマー材料)を含有する場合は、それら任意成分の合計含有割合を凡そ7質量%以下とすることが好ましく、凡そ5質量%以下(例えば凡そ1〜5質量%)とすることが好ましい。
【0033】
上記正極活物質層14の形成方法としては、正極活物質(典型的には粒状)その他の正極活物質層形成成分を適当な溶媒(好ましくは水系溶媒)に分散した正極活物質層形成用ペーストを正極集電体12の片面または両面(ここでは両面)に帯状に塗布して乾燥させる方法を好ましく採用することができる。正極活物質層形成用ペーストの乾燥後、適当なプレス処理(例えば、ロールプレス法、平板プレス法等の従来公知の各種プレス方法を採用することができる。)を施すことによって、正極活物質層14の厚みや密度を調整することができる。
【0034】
正負極シート10、20間に使用される好適なセパレータシート40としては多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。例えば、ここに開示される技術の好ましい適用対象として、長さ2〜10m(例えば3.1m)、幅8〜20cm(例えば11cm)、厚さ5〜30μm(例えば16μm)程度の合成樹脂製(例えばポリエチレン等のポリオレフィン製)多孔質セパレータシートを好ましく使用することができる。なお、電解質として固体電解質若しくはゲル状電解質を使用する場合には、セパレータが不要な場合(即ちこの場合には電解質自体がセパレータとして機能し得る。)があり得る。
【0035】
続いて、図5を加えて、本実施形態に係る正極シート10について詳細に説明する。図5は、本実施形態に係る捲回電極体80の捲回軸に沿う断面の一部を拡大して示す模式的断面図であって、正極集電体12およびその一方の側に形成された正極活物質層14と、負極集電体22およびその一方の側に形成された負極活物質層24と、正極活物質層14と負極活物質層24との間に挟まれたセパレータシート40とを示したものである。
【0036】
図5に示すように、正極活物質層14は、二次粒子によって実質的に構成された正極活物質粒子16及び導電剤(図示せず)を有しており、該正極活物質粒子16同士および正極活物質粒子と導電剤とは図示しない結着剤により相互に固着されている。また、正極活物質層14は、該正極活物質層14内に非水電解液を浸透させる空間(細孔)18を有しており、該空間(細孔)18は、例えば、相互に固着された正極活物質粒子16間の空隙等により形成され得る。
【0037】
ここで、正極活物質層14の電気抵抗率は、10Ω・cm〜450Ω・cm程度(好ましくは20Ω・cm〜125Ω・cm)である。正極活物質層14の電気抵抗率を上記範囲にすることにより、短絡電流が抑制され、電池の発熱を抑えることができる。すなわち、電極体80の変形や金属物の釘刺しなどによって正極10と負極20がセパレータ40を介さずに接触した場合でも、正極活物質層14の電気抵抗率が比較的高いので、正極集電体12及び負極集電体22間に大電流が流れるのを抑制することができ、電池の発熱を抑えることができる。
【0038】
正極活物質層14の電気抵抗率は、例えば、正極活物質層14の充填率を変えることによって調整するとよい。充填率は、{(正極活物質層全体の体積)−(正極活物質層中の空隙の体積)}/(正極活物質層全体の体積)×100で表わされ、相対的に充填率が小さくなると、正極活物質層の構成材料同士の接触が減るため、電気抵抗率が相対的に大きくなる。したがって、正極活物質層の充填率を変えることによって正極活物質層の電気抵抗率を調整することができる。具体的には、正極活物質層形成用ペーストを正極集電体12上に塗布して乾燥した後、適当なプレス(圧縮)処理を施すことによって正極活物質層14の厚み、密度及び充填率を調整する。このときのプレス圧を変えることによって、正極活物質層14の電気抵抗率をここに開示される好適な範囲に調整することができる。
【0039】
かかる構成の捲回電極体80を電池ケース本体52に収容し、その電池ケース本体52内に適当な非水電解液を配置(注液)する。電池ケース本体52内に上記捲回電極体80と共に収容される非水電解液としては、従来のリチウムイオン電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)等を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiAsF、LiCFSO等のリチウム塩を好ましく用いることができる。例えば、ECとEMCとDMCとを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に支持塩としてのLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させた非水電解液を好ましく用いることができる。
【0040】
上記非水電解液を捲回電極体80とともに電池ケース本体52に収容し、電池ケース本体52の開口部を蓋体54との溶接等により封止することにより、本実施形態に係るリチウムイオン電池100の構築(組み立て)が完成する。なお、電池ケース本体52の封止プロセスや電解液の配置(注液)プロセスは、従来のリチウムイオン電池の製造で行われている手法と同様にして行うことができる。その後、該電池のコンディショニング(初期充放電)を行う。必要に応じてガス抜きや品質検査等の工程を行ってもよい。
【0041】
ここに開示される技術の好ましい適用対象として、大容量タイプのリチウム二次電池が挙げられる。例えば、満充電時におけるエネルギー容量が10Wh以上(例えば10Wh〜25Wh)、さらには25Wh以上(例えば25Wh〜50Wh)、さらには50Wh以上(例えば50Wh〜100Wh)の大容量タイプのリチウム二次電池が例示される。このような大容量タイプのリチウム二次電池であっても、正極の電気抵抗率(10Ω・cm以上)と、1Whあたりに確保すべきケース表面積の下限(4.5cm/Wh以上)とを適切に規定することにより、信頼性を確保しつつ小型化・高エネルギー密度化を容易に実現することができる。
【0042】
また、ここに開示される技術の好ましい適用対象として、捲回電極体80が扁平な角型ケース50(電池ケース本体52および蓋体54)に収容された構成のリチウムイオン二次電池が挙げられる。特に限定するものではないが、図1に示すように、本実施形態の蓋体54は、長さLが12cm、幅Wが2.5cm、厚みが1mmの長方形板状であり、本実施形態のケース本体52は、長さLが12cm、幅Wが2.5cm、高さHが10cm、厚みが1mmの箱型形状(開口端を有する直方体形状)である。また、ここに開示される技術の好ましい適用対象として、電池ケースの材質が金属製のものが挙げられる。中でも、アルミニウム製またはニッケルメッキ鋼からなる電池ケースへの適用が好ましい。
【0043】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
【0044】
<正極の作製>
正極活物質としては、LiFePO粉末を用いた。まず、正極活物質粉末と導電材としてのアセチレンブラックと結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、これらの材料の質量比が90:7:3となり且つ固形分濃度が約50質量%となるようにN−メチルピロリドン(NMP)中で混合して、正極活物質層用ペーストを調製した。この正極活物質層用ペーストを長尺シート状のアルミニウム箔(正極集電体12、厚み15μm)の両面に帯状に塗布して乾燥(乾燥温度80℃)することにより、正極集電体12の両面に正極活物質層14が設けられた正極シート10を作製した。正極活物質層用ペーストの塗布量は、両面合わせて約20mg/cm(固形分基準)となるように調節した。また、乾燥後、正極活物質層14の充填率が59%となるようにロールプレスを行った。なお、充填率は、正極活物質層の見かけの体積と、空隙を含まない正極活物質層の構成材料自体が占める体積との比から算出した。具体的には、充填率は、{(正極活物質層全体の体積)−(空隙の体積)}/(正極活物質層全体の体積)×100から算出した。
【0045】
<電気抵抗率の測定>
上記得られた正極シートの電気抵抗率を四端子法で測定したところ、10Ω・cmであった。四端子法を用いた電気抵抗率の測定は次のようにして行った。まず、正極シート10の図6に示す形状(直径29mmの円部分91及び端子部分92)に打ち抜いて、測定用サンプル電極90を3枚用意した。次いで、各サンプル電極90の端子部分92の両面に塗工された正極活物質層14を剥がして下地のアルミニウム箔(正極集電体)を露出させ、次いで、図7に示すように、3枚のサンプル電極の円部分91の正極活物質層を重ね合わせた。なお、図7では見やすくするために便宜上ずらして配置しているが、実際には各サンプル電極の円部分91を完全に重ね合わせた。そして、図8に示すように、重ね合わせたサンプル電極の一端側の端子部分92に電流印加端子95を接続し、反対側の端子部分92に電圧測定端子96を接続した。そして、各サンプル電極の円部分91に押圧部材94(押圧面積2.0cm)で荷重を加えながら、重ね合わせた各サンプル電極90の端子部分A−B間に一定の電流を印加し(矢印参照)、C−D間に生じる電位差を測定した。なお、サンプル電極90に加える荷重は、ハンドプレスとロードセルにて50kg/cm,25kg/cm,10kg/cm,5kg/cmの4水準となるように調整した。そして、各荷重条件で測定した電位差の平均値から電気抵抗率を算出した。
【0046】
<リチウムイオン電池の構築>
次に、このようにして作製した正極シートを用いて試験用のリチウムイオン電池を作製した。試験用リチウムイオン電池は、以下のようにして作製した。
【0047】
負極活物質としては、黒鉛粉末を用いた。まず、黒鉛粉末と結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、これらの材料の質量比が95:5となるようにN−メチルピロリドン(NMP)中で混合して負極活物質層用ペーストを調製した。この負極活物質層用ペーストを長尺シート状の銅箔(負極集電体22、厚み10μm)の両面に帯状に塗布して乾燥(乾燥温度80℃)することにより、負極集電体22の両面に負極活物質層24が設けられた負極シート20を作製した。
【0048】
そして、正極シート10及び負極シート20を2枚のセパレータシート(多孔質ポリエチレンフィルム,厚み16μm)40を介して捲回し、該捲回した捲回体を側面方向から押し潰すことによって扁平状の捲回電極体80を作製した。このようにして得られた捲回電極体80を非水電解液とともに電池ケース50に収容し、電池ケース50の開口部を気密に封口した。電池ケース50としては、長さ12cm×幅2.5cm×高さ10cm(表面積350cm)のアルミニウム製のものを使用した。また、非水電解液としてはエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを3:7の体積比で含む混合溶媒に支持塩としてのLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させた非水電解液を使用した。このようにしてリチウムイオン電池100を組み立てた。その後、常法により初期充放電処理(コンディショニング)を行って試験用のリチウムイオン電池を得た。このリチウムイオン電池の満充電時におけるエネルギー容量は77Whであり、1Wh当たりのケース表面積は4.5cm/Whとなった。このようにして得られたリチウムイオン電池を実施例1とした。
【0049】
また、実施例2〜8として、下記の表1に示す電池の構成条件により、試験用リチウムイオン電池を作製した。具体的には、実施例2〜4では、正極活物質層14の充填率を変えることにより、正極の電気抵抗率が実施例1とは異なる試験用リチウムイオン電池を作製した。また、実施例5〜8では、電池ケースの材質を鉄ニッケルメッキに変更して試験用リチウムイオン電池を作製した。正極の電気抵抗率と電池ケースの材質を変更したこと以外は上記と同様にして試験用リチウムイオン電池を作製した。
【0050】
また、比較例1,2として下記の表1に示す電池の構成条件により、試験用リチウムイオン電池を作製した。具体的には、比較例1では、正極活物質層14の充填率を62%に調整することにより、正極の電気抵抗率が5Ω・cmとなる試験用リチウムイオン電池を作製した。比較例2では、実施例1よりも捲回電極体80のシート長を延長すること(即ち電池ケース内に収容される電極活物質量を増やすこと)により、さらに高エネルギー密度化した試験用リチウムイオン電池を作製した。比較例2のリチウムイオン電池の満充電時におけるエネルギー容量は86Whであり、1Wh当たりのケース表面積は4.0cm/Whとなった。
【0051】
【表1】

【0052】
<放電容量比の測定>
以上のようにして作製した実施例1〜8及び比較例1,2の試験用リチウムイオン電池に対し、下記の(1)及び(2)の条件で放電容量を測定し、それらの結果から放電容量比を算出した。放電容量比は[5Cの放電容量密度/0.5Cの放電容量密度]×100から算出した。
【0053】
(1)1Cで上限電圧を4.2Vとして定電流定電圧充電を行い、次いで、0.5Cの定電流で下限電圧が2.5Vになるまで放電を行った。
(2)1Cで上限電圧を4.2Vとして定電流定電圧充電を行い、次いで、5Cの定電流で下限電圧が2.5Vになるまで放電を行った。
【0054】
<釘刺し試験>
また、実施例1〜8及び比較例1,2の試験用リチウムイオン電池に対し、室温にて釘刺し試験を実施した。具体的には、各試験用電池を電圧が4.1Vになるまで充電を行った後、試験用電池の中央部分を厚み方向に貫通するように鋼鉄製の釘(直径3mm)を突き刺し、その後の電池温度を測定するとともに電解液の漏液の有無を確認した。その結果を表1に示す。
【0055】
表1に示すように、電池ケースの表面積が4.5cm/Wh以上で、かつ、電気抵抗率が10Ω・cm以上の実施例1〜8の電池は、何れも、釘刺し試験後の最高到達温度が110℃以下に抑えられ、電池の発熱が抑制されていた。また、電解液の漏液も確認されなかった。これに対し、本発明の条件を満たさない比較例1(正極の電気抵抗率が5Ω・cm)及び比較例2(1Wh当たりのケース表面積が4.0cm/Wh)の電池では、何れも、釘刺し試験後の最高到達温度が180℃を超え、電解液の漏液も確認された。このことから、正極の電気抵抗率が10Ω・cm以上で、かつ、電池ケースの表面積を4.5cm/Whにすることによって、短絡時の電池の発熱が抑制され、信頼性の高い電池を提供できることが確かめられた。
【0056】
また、電気抵抗率が20Ω・cm以上である実施例2〜4および実施例6〜8の電池では、実施例1,5の電池に比べて、電池釘刺し試験後の発熱がさらに抑制され、具体的には最高到達温度を100℃以下に抑えることができた。このことから、電気抵抗率を20Ω・cm以上にすることによって、電池の発熱をより効果的に抑制できることが分かった。また、電気抵抗率が125Ω・cm以下である実施例1〜3の電池は、実施例4の電池に比べて放電容量比が良好であった。この結果は、放電容量比の観点からは電気抵抗率を125Ω・cm以下とすることが好ましいことを支持するものである。なお、実施例5〜8では、電池ケースの材質をアルミニウムから鉄ニッケルメッキに変更しているが、実施例1〜4の試験結果に大きな変化は見られなかった。このことから本発明は電池ケースの材質によらず適用できることが分かった。
【0057】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0058】
本発明に係る電池100は、上記のとおり小型化・高エネルギー密度化が容易で、かつ、良好な電池性能を示すことから、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。したがって本発明は、図9に模式的に示すように、かかるリチウム二次電池(特にリチウムイオン電池)100(典型的には複数直列接続してなる組電池)を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)1を提供する。
【符号の説明】
【0059】
1 車両
10 正極
12 正極集電体
14 正極活物質層
20 負極
22 負極集電体
24 負極活物質層
40 セパレータシート
50 電池ケース
52 電池ケース本体
54 蓋体
70 正極端子
72 負極端子
74 正極リード端子
76 負極リード端子
80 捲回電極体
82 捲回コア部分
90 測定用サンプル電極
91 円部分
92 端子部分
94 押圧部材
95 電流印加端子
96 電圧測定端子
100 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極集電体の表面に正極活物質を含む正極活物質層を有する正極と、負極集電体の表面に負極活物質を含む負極活物質層を有する負極と、該正極及び負極間に配置されたセパレータとから構成された電極体と、
前記電極体を電解液とともに収容する電池ケースと
を備え、
前記電池ケースの表面積と電池の満充電時におけるエネルギー容量との比の値が4.5cm/Wh以上であり、かつ、前記正極の電気抵抗率が10Ω・cm以上450Ω・cm以下である、リチウム二次電池。
【請求項2】
前記正極の電気抵抗率が20Ω・cm以上125Ω・cm以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項3】
前記電池ケースの表面積とエネルギー容量との比の値が、4.5cm/Wh以上35cm/Wh以下である、請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
【請求項4】
前記電池ケースの材質が金属製である、請求項1から3の何れか一つに記載のリチウム二次電池。
【請求項5】
前記満充電時におけるエネルギー容量が10Wh以上である、請求項1から4の何れか一つに記載のリチウム二次電池。
【請求項6】
前記正極活物質として、一般式LiMPO(ここで、MはFe,Ni及びMnの群から選択される少なくとも一種の金属元素を含む。)で表わされるオリビン型リン酸化合物を備える、請求項1から5の何れか一つに記載のリチウム二次電池。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一つに記載のリチウム二次電池を搭載した車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−70932(P2011−70932A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221088(P2009−221088)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】