説明

リニアモータ用コイル、リニアモータ及びリニアモータ用コイルの製造方法

【課題】線材の巻き始め側の部分による凸部を無くすことができるリニアモータ用コイルを提供する。
【解決手段】コイル1は、線材5が巻かれることにより構成された2つのコイル部品3と、2つのコイル部品3の線材5を結線する結線部材(半田11、スリーブ13等)とを有する。2つのコイル部品3それぞれにおいて、線材5は、始端5s側を巻き始め側、終端5e側を巻き終わり側として、内周側から外周側へ巻かれている。2つのコイル部品3は、同軸的に、且つ、一方のコイル部品3の巻き終わり側から巻き始め側への電流と、他方のコイル部品3の巻き始め側から巻き終わり側への電流とが軸回りの同一方向に流れる向きで重ねられている。そして、結線部材は、2つのコイル部品3の巻き始め側の始端5s同士を接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモータ用コイル、リニアモータ及びリニアモータ用コイルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、リニアモータ用のコイルは、線材が、一端側を巻き始め側、他端側を巻き終わり側として、内周側から外周側へ巻かれて行くことにより形成される(特許文献1)。このようにして形成されるリニアモータ用のコイルの例を図9(a)及び図9(b)に示す。
【0003】
コイル101は、線材5が、始端5s側を巻き始め側、終端5e側を巻き終わり側として、内周面101b側から外周面101c側へ巻かれて行くことにより形成されている。コイル101は、線材5が束ねられた環状のコイル本体101a(線材5の詳細表示は省略)と、コイル本体101aから延び出る延出部5a、5b(線材5の端部側の一部)とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−17658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コイル101において、巻き始め側の延出部5aは、コイル本体101aの最内周から延出し、巻き終わり側の延出部5bは、コイル本体101aの最外周から延出する。一方、一般に、線材5の両端(5s、5e)は、コイル本体101aよりも外周側に位置し、他の配線若しくは端子に接続される。
【0006】
従って、巻き始め側の延出部5aは、図9(a)に示す領域R1において、コイル本体101aの、その軸方向(z方向)に面する端面101fに載置されることになる。そして、図9(b)に示すように、コイル101には、軸方向において端面101fから突出する凸部101jが形成される。その結果、コイル101は、凸部101jの突出量で軸方向において大型化することになり、ひいては、リニアモータも大型化する。
【0007】
本発明の目的は、線材の巻き始め側の部分による凸部を無くすことができるリニアモータ用コイル、リニアモータ及びリニアモータ用コイルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るリニアモータ用コイルは、線材が巻かれることにより構成された2つのコイル部品と、前記2つのコイル部品の前記線材を結線する結線部材と、を有し、前記2つのコイル部品それぞれにおいて、前記線材は、一端側を巻き始め側、他端側を巻き終わり側として、内周側から外周側へ巻かれており、前記2つのコイル部品は、同軸的に、且つ、一方のコイル部品の巻き終わり側から巻き始め側への電流と、他方のコイル部品の巻き始め側から巻き終わり側への電流とが軸回りの同一方向に流れる向きで重ねられており、前記結線部材は、前記2つのコイル部品の巻き始め側の端部同士を接続している。
【0009】
好適には、前記結線部材は、前記2つのコイル部品の空洞内に少なくとも一部が収容され、前記線材の巻き始め側の端部から受ける移動規制により、若しくは、前記線材の束ねられている部分に固定されることにより、その全体が前記空洞から出ることが禁止されている。
【0010】
本発明の一態様に係るリニアモータは、磁石と、前記磁石に対して移動可能なコイルと、を有し、前記コイルは、線材が巻かれることにより構成された2つのコイル部品と、前記2つのコイル部品の前記線材を結線する結線部材と、を有し、前記2つのコイル部品それぞれにおいて、前記線材は、一端側を巻き始め側、他端側を巻き終わり側として、内周側から外周側へ巻かれており、前記2つのコイル部品は、同軸的に、且つ、一方のコイル部品の巻き終わり側から巻き始め側への電流と、他方のコイル部品の巻き始め側から巻き終わり側への電流とが軸回りの同一方向に流れる向きで重ねられており、前記結線部材は、前記2つのコイル部品の巻き始め側の端部同士を接続している。
【0011】
好適には、前記コイルは、その軸方向が前記磁石の磁化方向とされて前記軸方向に面する端面が前記磁化方向において前記磁石と所定のクリアランスで対向し、前記磁石に対して前記磁化方向に直交する方向に移動可能に設けられている。
【0012】
好適には、前記クリアランスが前記線材の直径以下である。
【0013】
好適には、前記クリアランスが1.5mm以下である。
【0014】
好適には、前記コイルは、同軸的に複数設けられるとともに、その軸方向が前記磁石の磁化方向に直交する方向とされて外周面が前記磁化方向において前記磁石と対向し、前記磁石に対して前記磁化方向に直交する方向に移動可能に設けられている。
【0015】
好適には、複数の前記コイルの、前記軸方向において対向する端面同士の距離が前記線材の直径未満である。
【0016】
好適には、複数の前記コイルの、前記軸方向において対向する端面同士の距離が1.5mm未満である。
【0017】
好適には、前記端面同士が互いに当接している。
【0018】
本発明の一態様に係るリニアモータ用コイルの製造方法は、線材を、一端側を巻き始め側、他端側を巻き終わり側として、内周側から外周側へ巻いて行くことによりコイル部品を形成し、当該コイル部品を2つ形成する工程と、前記2つのコイル部品を、同軸的に、且つ、一方のコイル部品の巻き終わり側から巻き始め側への電流と、他方のコイル部品の巻き始め側から巻き終わり側への電流とが軸回りの同一方向に流れる向きで重ねる工程と、前記2つのコイル部品の巻き始め側の端部同士を接続する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0019】
上記の構成若しくは手順によれば、線材の巻き始め側の部分による凸部を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1(a)〜図1(c)は本発明の実施形態に係るリニアモータ用のコイルを示す図。
【図2】図1のコイルの2つのコイル部品を重ね合わせるときの向きを説明する模式図。
【図3】図3(a)及び図3(b)は2つのコイル部品の始端同士を接続する結線部材の例を示す断面図。
【図4】図4(a)〜図4(c)は図1のコイルの製造方法を説明する図。
【図5】図1のコイルを用いたリニアモータの例の要部を示す斜視図。
【図6】図6(a)及び図6(b)は図5のリニアモータ及び比較例のリニアモータを駆動方向に見た図。
【図7】図1のコイルを用いたリニアモータの他の例の要部を示す斜視図。
【図8】図8(a)及び図8(b)は図7のリニアモータ及び比較例のリニアモータのコイルアセンブリを駆動方向側方から見た図。
【図9】図9(a)及び図9(b)は比較例のリニアモータ用コイルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(リニアモータ用コイルの構成及び製造方法)
図1(a)〜図1(c)は、本発明の実施形態に係るリニアモータ用のコイル1を示す図である。なお、以下の説明においては、コイル1に対して設定した直交座標系xyzを適宜に参照する。
【0022】
コイル1は、第1コイル部品3A及び第2コイル部品3B(以下、単に「コイル部品3」といい、両者を区別しないことがある。)を有している。
【0023】
2つのコイル部品3は、例えば、互いに同一の構成である。各コイル部品3は、線材5が、一端(始端5s)側を巻き始め側、他端(終端5e)側を巻き終わり側として、内周面3b側から外周面3c側へ巻かれて行くことにより形成されている。
【0024】
線材5は、例えば、導電性部材が絶縁性部材により被覆されて構成されている。導電性部材は、例えば、銅により構成され、絶縁性部材は、例えば、樹脂により構成されている。なお、線材5は、断面形状が円形の丸線であってもよいし、断面形状が矩形の平角線であってもよいが、本実施形態では丸線を例にとって説明する。線材5は、例えば、その各部がコイル部品3の軸方向(z方向)及び径方向に配列されるように整列巻きされている。線材5の径及び巻き回数は適宜に設定されてよい。線材5の直径は、例えば、0.3mm〜1.5mmである。
【0025】
各コイル部品3は、線材5が束ねられた環状のコイル本体3a(線材5の詳細表示は省略)と、始端5s若しくは終端5eを含む線材5の端部側の一部である延出部5a、5bとを有している。
【0026】
コイル本体3aにおいては、線材5の隣接する部分同士が接着剤(好ましくは絶縁性)により互いに固定されている。これにより、線材5の束ねられた状態が維持され、また、コイル本体3aの形状も維持されている。
【0027】
コイル本体3aの形状は、例えば、軸方向(z方向)に見て概ね矩形若しくは長円形である。コイル本体3aの軸方向に面する端面3fは、例えば、コイル本体3aの軸方向に直交し、軸方向両側の2つの端面3fは平行である。コイル本体3aの巻き方向に直交する断面の形状は、例えば、矩形である。
【0028】
延出部5a及び5bは、線材5の束ねられていない部分である。すなわち、延出部5a及び5bは、線材5の他の部分と同様に巻かれることがされておらず、及び/又は、側面が線材の他の部分の側面と固定されていない。各コイル部品3において、巻き始め側の延出部5aは、コイル本体3aの最内周から延出し、巻き終わり側の延出部5bは、コイル本体3aの最外周から延出している。
【0029】
2つのコイル部品3は、そのコイル本体3aが同軸的に重ねられて互いに固定されている。なお、2つのコイル本体3a同士の固定は、例えば、接着剤(好ましくは絶縁性)によりなされる。2つのコイル部品3は、始端5s同士が互いに固定されて電気的に接続されている。
【0030】
なお、始端5s同士が互いに固定された2つの延出部5a(コイル本体3aに対して固定されずに浮遊状態となっている部分)は、空洞1h外へ大きく食み出さないように比較的短くされることが好ましい。例えば、浮遊状態となっている部分は、端面3fからの食み出し量が線材5の直径以下となるようにその長さが設定されていることが好ましい。より好ましくは、浮遊状態となっている部分は、端面3fから全く食み出さないようにその長さが設定されている(浮遊状態となっている部分がコイル本体3aに固定されている点同士を結ぶ直線状となっている)ことが好ましい。
【0031】
図2は、2つのコイル部品3を重ね合わせるときの向きを説明する模式図である。
【0032】
矢印y1及びy2は、2つのコイル部品3それぞれの巻き方向(始端5sから終端5eへの回転方向)を示している。矢印y1及びy2によって示されるように、2つのコイル部品3は、互いに巻き方向が逆向きとなるように重ねられる。
【0033】
2つのコイル部品3の終端5eには交流電力を供給可能な電源装置21が接続されている。ここで、矢印y3によって示すように、第1コイル部品3Aの終端5eに電流が流れ込む場合を考える。このとき、電流は、順に、第1コイル部品3Aのコイル本体3a、第1コイル部品3Aの始端5s、第2コイル部品3Bの始端5s及び第2コイル部品3Bのコイル本体3aを経由して、矢印y4によって示すように、第2コイル部品3Bの終端5eから流れ出る。
【0034】
矢印y5及びy6は、2つのコイル部品3における電流の軸回り(z軸回り)の方向を示している。2つのコイル部品3は、互いに巻き方向が逆向きとなるように重ねられ、始端5s同士が接続されていることにより、矢印y5及びy6によって示されるように、電流の軸回りの方向が同一となっている。
【0035】
従って、2つのコイル部品3は、全体として、軸回りの一方向に電流を流す一つのコイルとして機能する。なお、2つのコイル部品3が、その巻き方向が互いに同一となるように重ねられ、始端5s同士が接続されている場合においては、2つのコイル部品3における電流の軸回りの方向は逆向きとなる。
【0036】
図3(a)及び図3(b)は、2つのコイル部品3の始端5s同士を接続する結線部材の例を示す断面図である。
【0037】
図3(a)においては、結線部材は、半田11により構成されている。2つの始端5sは、絶縁性の被膜が除去されて導体が露出しており、共に半田11に覆われることにより、互いに固定されるとともに電気的に接続される。
【0038】
図3(b)においては、結線部材は、圧着用のスリーブ13により構成されている。スリーブ13は、特に図示しないが、例えば、金属性の筒と、その外周を覆う絶縁性の被膜により形成されている。2つの始端5sは、絶縁性の被膜が除去されて導体が露出しており、共にスリーブ13に挿通される。そして、矢印y11で示すように、スリーブ13をかしめることにより、2つの始端5sは、互いに固定されるとともに電気的に接続される。
【0039】
なお、図3(a)及び図3(b)では、2つの始端5s同士が平行に交差している場合を例示しているが、2つの始端5sは、互いに突き合わされたり、互いに絡められたりしていてもよい。
【0040】
結線部材(11、13)は、例えば、コイル1(2つのコイル部品3)の空洞1h(図1)に少なくとも一部(好ましくは全部)が収容されている。結線部材は、その全体が空洞1hから出てしまうことが禁止されていることが好ましい。より好ましくは、結線部材は、線材の直径以上の量で端面3fから突出することが禁止されていることが好ましい。
【0041】
上記の禁止は、例えば、2つの延出部5aの浮遊状態となっている長さが比較的短く設定され、結線部材が線材5の巻き始め側の端部から移動規制を受けることにより実現される。また、例えば、結線部材が、コイル本体101aに接着剤(結線部材が半田11である場合には、半田11自体が接着剤であってもよい)等により固定されていることにより行われる。
【0042】
図4(a)は、コイル部品3の形成方法の原理を説明する模式図である。
【0043】
線材5は、コイルボビン41に巻かれている。また、線材5の始端5sは、巻き型43に仮固定されている。巻き型43の回転軸RA回りの外周の形状は、コイル部品3の内周面3bと同一形状(本実施形態では矩形)である。そして、線材5は、巻き型43が回転軸RA回りに回転されることにより、コイルボビン41の回転を伴ってコイルボビン41から引き出され、巻き型43に巻きつけられていく。この際、線材5の回転軸RA方向の位置は、アーム45により調整され、整列巻きが実現される。
【0044】
図4(b)は、図4(a)のIVb−IVb線における断面図である。
【0045】
矢印y21で示すように、線材5は、まず、巻き型43に当接して巻かれていく。この際、線材5のうち、新たに巻き型43に巻かれる部分の位置は、アーム45により、巻き型43の一回転に対して線材5の直径に相当する量で回転軸RA方向(コイル部品3の軸方向)の一方側(図4(b)の紙面下方側)へずらされていく。これにより、コイル部品3の最も内周側の層が形成されていく。
【0046】
コイル部品3の最も内周側の層が形成されると、アーム45は、線材5のうち新たに巻き型43に巻かれる部分の位置を、回転軸RA方向の他方側(図4(b)の紙面上方側)へずらしていく。これにより、コイル部品3の内周側から2層目の部分が形成されていく。同様の動作を繰り返すことにより、線材5は、内周側から外周側へ巻かれて行くことになる。
【0047】
内周側から外周側への複数の層において、コイル部品3の軸方向(z方向、回転軸RA方向)における線材5の配列数は、軸方向に面する端面3fが概ね平面となるように設定されている。例えば、z方向における線材5の配列数は、複数の層間において互いに同一に設定されている。又は、各層のz方向における線材5の配列数は、隣接する層に対して1多く若しくは1少なく、且つ、2つ隣りの層と互いに同一に設定されている。
【0048】
線材5は、巻き型43に巻き取られている間、若しくは、巻き取られた後に、隣接する部分同士が接着剤により互いに固定される。例えば、予め接着剤が塗布された線材5(融着電線)が巻き型43に巻き取られている間に、アルコール等の溶剤が塗布されたり、熱風が吹き付けられたりすることにより、接着剤が溶融され、その後、接着剤が乾燥されることにより線材5の各部同士は固定される。また、例えば、予め接着剤が塗布された線材5が巻き型43に巻き取られた後に、線材5が通電加熱されることにより接着剤が溶融され、その後、接着剤が乾燥されることにより線材5の各部同士は固定される。また、例えば、線材5が巻き型43に巻き取られた後に接着剤が線材5間に浸透されることにより、線材5の各部同士は固定される。
【0049】
図4(c)は、2つのコイル部品3を重ねる様子を示す模式図である。
【0050】
上記のような形成方法により、コイル部品3が2つ形成されると、コイル部品3は、図2を参照して説明した向きで重ねられる。そして、接着剤により互いに固定される。例えば、2つのコイル部品3の互いに対向する端面3fに接着剤が塗布されて重ねられることにより、2つのコイル部品は互いに固定される。また、例えば、線材5に予め接着剤が塗布されている場合において、重ねる前に端面3fにアルコール等の溶剤が塗布されたり、熱風が吹き付けられたりすることにより、接着剤が溶融され、その後、接着剤が乾燥されることにより2つのコイル部品は互いに固定される。
【0051】
なお、各コイル部品3における線材5の各部の固着と、2つのコイル部品3同士の固着とは同時に行われてもよい。例えば、予め接着剤が塗布されている線材5の各部同士が固定される前の2つのコイル部品3が重ねられた後、線材5に通電加熱がなされてもよい。
【0052】
また、2つのコイル部品3の始端5sは、図3を参照して説明したように結線部材(半田11若しくはスリーブ13)により接続される。当該接続は、2つのコイル部品3が形成された後であれば、2つのコイル部品を重ねる前であってもよいし、後であってもよい。
【0053】
以上に述べたリニアモータ用のコイル1によれば、コイル1は、線材5が巻かれることにより構成された2つのコイル部品3と、2つのコイル部品3の線材5を結線する結線部材(半田11若しくはスリーブ13)とを有する。2つのコイル部品3それぞれにおいて、線材5は、始端5s側を巻き始め側、終端5e側を巻き終わり側として、内周側から外周側へ巻かれている。2つのコイル部品3は、同軸的に、且つ、一方のコイル部品3の巻き終わり側から巻き始め側への電流と、他方のコイル部品3の巻き始め側から巻き終わり側への電流とが軸回りの同一方向に流れる向きで重ねられている。そして、結線部材は、2つのコイル部品3の巻き始め側の始端5s同士を接続している。
【0054】
従って、2つのコイル部品3は全体として一つのコイルとして機能する。そして、始端5sをコイル部品3(コイル1)よりも外周へ配置させる必要が無く、ひいては、コイル部品3の最内周から延出する巻き始め側の延出部5aがコイル部品3の端面3fに載る必要性が無い。その結果、図9(b)において示した凸部101jが形成されることがなく、従来のコイル101に比較して凸部101jの突出量でコイル1を小型化することができる。
【0055】
なお、凸部101jを生じさせないような、いわゆるα巻きと呼ばれる巻き方が知られている。すなわち、線材を、線材の中央を巻き始め側、線材の両端を巻き終わり側として、内周側から外周側へ巻く方法が知られている。しかし、このような巻き方を実現する装置は、あまり普及しておらず、また、複雑且つ高価である。一方、コイル1の製造においては、そのような特殊な巻き方を実現する装置は不要である。従って、コイル1は、既存の設備を応用して安価に形成されることが期待される。
【0056】
また、コイル1において、結線部材(11、13)は、2つのコイル部品3の空洞1h内に少なくとも一部が収容され、線材5の巻き始め側の端部から受ける移動規制により、若しくは、線材5の束ねられている部分(コイル本体3a)に固定されることにより、その全部が空洞1hから出ることが禁止されている。
【0057】
従って、コイル1を含むリニアモータを組み立てるとき、及び/又は、当該リニアモータの駆動時において、結線部材及び延出部5aの結線部材周辺部分が端面3fとコイル1以外の他の部材との間に挟まれることが抑制される。従って、コイル1の取り扱い容易性の向上、及び/又は、簡便な摩耗抑制が実現される。
【0058】
(リニアモータの例)
図5は、上述したコイル1を用いたリニアモータ51の要部を示す斜視図である。図6(a)は、リニアモータ51を駆動方向に見た図である。
【0059】
リニアモータ51は、y方向(コイル1の平面方向)を駆動方向として構成されている。リニアモータ51は、磁石列53と、磁石列53に対してy方向に移動可能なコイルアセンブリ55と、磁気回路を好適に形成するためのヨーク57とを有している。なお、図6(a)に示すように、磁石列53及びヨーク57は、それぞれコイルアセンブリ55を挟んで2つ設けられるが、図5では1つのみ示している。
【0060】
各磁石列53は、駆動方向に配列された複数の磁石59を有している。各磁石列53において、複数の磁石59は、磁化方向を駆動方向に直交する方向(z方向)に向け、且つ、磁極が交互に逆転するように配列されている。また、2つの磁石列53は、対向する磁石59同士が互いに異なる磁極を向き合わせるように設けられている。複数の磁石59は、例えば、磁化方向を厚み方向とする平板状に形成されている。
【0061】
コイルアセンブリ55は、駆動方向(y方向)に配列された複数(図5では3つ)のコイル1を有している。各コイル1は、軸方向(z方向)が磁石59の磁化方向となるように、2つの磁石列53間に配置されている。そして、図6(a)に示すように、コイル1の端面3fは、磁化方向において、磁石59とクリアランスc1で対向している。駆動方向における所定長さにおいて、一の磁石列53の磁石59の数とコイル1の数との比率は2:3若しくは4:3等、2の倍数:3の倍数とされている。
【0062】
複数のコイル1は、直接的に互いに固定され、若しくは、他の部材に共通に固定されることにより間接的に互いに固定されている。固定は、例えば、接着剤若しくはボルトにより行われる。
【0063】
ヨーク57は、例えば、鉄等の磁性体で形成され、磁石列53のコイルアセンブリ55とは反対側に配置されている。ヨーク57は、例えば、磁石列53の全体を覆う広さの平板状に形成されている。
【0064】
複数のコイル1には、U相、V相若しくはW相の交流電圧が印加される。また、複数のコイル1には、各磁石59の磁束がz方向に交差する。従って、コイル1のx方向に延びる部分に電流が流れると、フレミングの左手の法則に従って、y方向の駆動力が生じる。そして、コイルアセンブリ55は、交流電圧の1周期の間に磁石59の2個分の長さをy方向に進む。なお、U相、V相及びW相のコイルアセンブリ55における並び順は、駆動方向の所定長さにおける磁石59の数とコイル1の数との比率等を考慮して適宜に設定されてよい。
【0065】
図6(b)は、比較例のリニアモータ151を示す図6(a)に相当する図である。
【0066】
リニアモータ151は、リニアモータ51において、コイル1に代えて従来のコイル101(図9)を用いたものである。コイル101においては、上述したように、コイル本体101aの軸方向に面する端面101fから凸部101jが突出している。
【0067】
従って、凸部101jが突出する側においては、コイル101と磁石59との接触を抑制するためのクリアランスc1は、凸部101jを基準に設定されなければならない。換言すれば、凸部101jが突出する端面101fと磁石59との間には、線材5の直径よりも大きいクリアランスc2が設けられなければならない。また、その結果、対向する磁石59間のギャップg2は、コイル本体101aの厚さと、2つのクリアランスc1と、線材5の直径とを足し合わせたものとなっている。
【0068】
一方、図6(a)において示すように、実施形態のリニアモータ51においては、凸部101jは生じない。従って、コイル1の軸方向両側において、クリアランスc1は、端面3fを基準に設定される。換言すれば、双方の端面3fにおいて、クリアランスc1を線材5の直径以下とすることができる。また、その結果、対向する磁石59間のギャップg1は、線材5の直径に相当する量で、比較例のギャップg2よりも小さくなっている。
【0069】
(リニアモータの他の例)
図7は、上述したコイル1を用いたリニアモータ71の要部を示す斜視図である。
【0070】
リニアモータ71は、z方向(コイル1の軸方向)を駆動方向として構成されている。リニアモータ71は、磁石列73と、磁石列73に対してz方向に移動可能なコイルアセンブリ75と、磁気回路を好適に形成するためのヨーク77A,77B及び77Cとを有している。
【0071】
磁石列72は、例えば、2つ設けられている。各磁石列73は、駆動方向に配列された複数の磁石79を有している。各磁石列73において、複数の磁石79は、磁化方向を駆動方向に直交する方向(y方向)に向け、且つ、磁極が交互に逆転するように配列されている。また、2つの磁石列73は、対向する磁石79同士が互いに同一の磁極を向き合わせるように設けられている。複数の磁石79は、例えば、磁化方向を厚み方向とする平板状に形成されている。
【0072】
コイルアセンブリ75は、駆動方向(z方向)に配列された複数(図7では3つ)のコイル1を有している。複数のコイル1は、同軸的に配列されている。また、複数のコイル1は、軸方向(z方向)が磁石79の磁化方向に直交する方向(駆動方向)とされて外周面が磁化方向において磁石79と対向している。駆動方向における所定長さにおいて、一の磁石列73の磁石79の数とコイル1の数との比率は2:3若しくは4:3等、2の倍数:3の倍数とされている。
【0073】
複数のコイル1は、直接的に互いに固定され、若しくは、他の部材に共通に固定されることにより間接的に互いに固定されている。固定は、例えば、接着剤若しくはボルトにより行われる。
【0074】
ヨーク77A、77B及び77Cは、例えば、鉄等の磁性体で形成されている。ヨーク77Aは、磁石列73のコイルアセンブリ75とは反対側に配置されている。ヨーク77Aは、例えば、磁石列73の全体を覆う広さの平板状に形成されている。ヨーク77Bは、コイルアセンブリ75に挿通されている。ヨーク77Bは、例えば、コイルアセンブリ75の空洞と相似形(図7では平板状)に形成されている。なお、ヨーク77Bは、複数のコイル1の相互インピーダンスを低減するために、非磁性且つ導電性の管状部材により覆われている。ヨーク77Cは、磁石列73の配列方向の外側に配置されている。ヨーク77Cは、例えば、ヨーク77A間の隙間を埋める広さを有する平板状に形成されている。
【0075】
複数のコイル1には、U相、V相若しくはW相の交流電圧が印加される。また、複数のコイル1には、各磁石79の磁束がy方向に交差する。従って、コイル1のx方向に延びる部分に電流が流れると、フレミングの左手の法則に従って、z方向の駆動力が生じる。そして、コイルアセンブリ75は、交流電圧の1周期の間に磁石79の2個分の長さをy方向に進む。なお、U相、V相及びW相のコイルアセンブリ75における並び順は、駆動方向の所定長さにおける磁石79の数とコイル1の数との比率等を考慮して適宜に設定されてよい。
【0076】
図8(a)は、コイルアセンブリ75をy方向に見た図である。図8(b)は、比較例のコイルアセンブリ175を示す図8(a)に相当する図である。
【0077】
図8(b)のコイルアセンブリ175は、コイル1に代えて従来のコイル101(図9)を用いたものである。コイル101においては、上述したように、コイル本体101aの軸方向に面する端面101fから凸部101jが突出している。
【0078】
従って、隣接するコイル1の互いに対向する端面101fは、少なくとも線材5の直径で互いに離間することになる。その結果、コイルアセンブリ175は、線材5の占積率が低下する。換言すれば、コイルアセンブリ175及びこれに対応する磁石列は、駆動力に比較してz方向に大型化する。
【0079】
一方、図8(a)において示すように、実施形態のコイルアセンブリ75のコイル1においては、凸部101jは生じない。従って、隣接するコイル1の互いに対向する端面3f同士を線材5の直径未満の距離で離間させたり、互いに当接させたりすることができる。その結果、比較例に比較して、コイルアセンブリ75は、線材5の占積率が向上する。換言すれば、コイルアセンブリ75及び磁石列73は、駆動力に比較してz方向に小型化可能である。
【0080】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0081】
リニアモータは、実施形態に例示したものに限定されない。例えば、リニアモータは、同期リニアモータに限定されず、いわゆるボイスコイルモータであってもよい。また、例えば、リニアモータは、複数のコイルを有するものに限定されず、一のコイルのみを有するものであってもよいし、複数の磁石を有するものに限定されず、一の磁石のみを有するものであってもよい。また、例えば、コイルアセンブリは、複数のコイルが一部を重複させながら軸方向に交差する方向に配列されるものであってもよい。リニアモータにおいて、ヨークは必須の要件ではなく、適宜に省略若しくは追加されてよい。
【0082】
また、例えば、図5に例示したリニアモータにおいては、磁石列53は一つのみとされてもよい。また、2つの磁石列53を、対向する磁石同士が互いに同一の磁極を対向させるように設けるとともに、コイルアセンブリ55をz方向においてヨークを挟んで2つ設けてもよい。また、例えば、図7に例示したリニアモータにおいては、磁石列73は一つのみとされてもよいし、逆に、x方向の一方に磁石列を追加してもよい。
【0083】
また、本発明のコイルは、図6若しくは図8を参照して説明したように、クリアランスを小さくすることが可能であるが、クリアランスが比較的大きい(例えば線材の直径以上)リニアモータに用いられてもよい。クリアランスが比較的大きくても、凸部が形成されない分、コイルの接触は抑制される。また、美観向上等の凸部が無くなることによる他の効果が奏されるし、コイル内周から外周へ線材を引き出す必要が無くなる等の凸部とは直接的には関連しない他の効果も奏される。
【0084】
コイル部品は、概ね内周側から外周側へ巻かれるものであればよく、完全に整列巻きされたものに限定されない。ただし、より完全な整列巻きに近い方が、軸方向の端面が平坦になりやすく、本発明の効果が顕著となる。また、整列巻きが行われる場合において、隣接する層間において、線材の間に線材が配置されず、線材上に線材が配置されてもよい(特に平角線の場合)。コイル部品の軸方向の線材の配列数は1であってもよい。
【0085】
コイル部品のコイル本体(線材の束ねられた部分)において、線材は各部同士が接着されている必要はない。例えば、線材自体の剛性により、束ねられた状態が維持され、ひいては、形状が維持されていてもよい。
【0086】
2つのコイル部品は、同一の構成でなくてもよい。例えば、巻き回数若しくは軸方向の厚さが互いに異なっていてもよい。ただし、2つのコイル部品の構成が互いに同一であるほうが、生産工程の完全な共通化によりコスト削減が図られる。
【0087】
巻き始め側及び巻き終わり側の延出部(5a、5b)のコイル本体(3a)からの延出位置は、コイル本体の周方向において、いずれの位置であってもよく、また、互いに同一の位置とされる必要もない。例えば、当該2つの延出位置は周方向において半周離れた位置(コイル本体の開口を挟んだ反対側の位置)であってもよい。また、当該2つの延出位置は、コイル本体が奇数層巻きとされることによりコイル本体の軸方向の両側とされてもよいし、コイル本体が偶数層巻きとされることによりコイル本体の軸方向の一方側とされてもよい。
【0088】
重ねられた2つのコイル部品において、巻き始め側の延出部(5a)の延出位置同士、若しくは、巻き終わり側の延出部(5b)の延出位置同士は、互いに対称の位置とされる必要はない。例えば、巻き始め側の延出部の延出位置同士(若しくは巻き終わり側の延出部の延出位置同士)は周方向において互いに同一の位置とされてもよい。また、当該延出位置同士は、例えば、軸方向において、一方が2つのコイル部品の対向側とされ、他方が2つのコイル部品の外側とされてもよい。
【0089】
巻き始め側の2つの延出部(5a)は、コイルの空洞を横切るように配置されるものに限定されない。例えば、巻き始め側の2つの延出部は、あたかもコイル本体を構成するかのようにコイル本体の内周面に沿って配置されてもよいし、さらにはコイル本体に固定されてもよい。また、例えば、巻き始め側の2つの延出部は、周方向の互いに同一の位置から延出し、コイルの空洞を軸方向に延びてもよい。
【0090】
2つのコイル部品のコイル本体同士は、適宜な部材(例えば可動子若しくは固定子の一部を構成する部材)に2つのコイル本体3aが共通に固定されることにより、間接的に互いに固定されてもよい。また、固定は、接着剤によるものに限定されず、例えば、ボルトにより行われてもよい。複数のコイルを有するコイルアセンブリにおいて、各コイルの2つのコイル部品は、図5若しくは図7に示したように、コイルアセンブリを構成する数で配列された後に、互いに固定されたり、結線されたりしてもよい。
【0091】
コイルの製造方法において、2つのコイル部品の線材の結線は、結線部材を用いる態様で行われなくてもよい。換言すれば、結線は、製造されたコイルにおいて2つのコイル部品間で線材が結線されたことが特定できる態様で行われなくてもよい。例えば、2つのコイル部品の線材の端部を溶融及び結合させることにより、1本の線材により2つのコイル部品が形成されたかのように、コイルを製造してもよい。
【0092】
結線部材は、半田及び圧着用のスリーブに限定されない。例えば、結線部材は、絶縁性の粘着テープであってもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…コイル、3A、3B…コイル部品、5…線材、5s…始端(線材の一端)、5e…終端(線材の他端)、11…半田(結線部材)、13…スリーブ(結線部材)、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材が巻かれることにより構成された2つのコイル部品と、
前記2つのコイル部品の前記線材を結線する結線部材と、
を有し、
前記2つのコイル部品それぞれにおいて、前記線材は、一端側を巻き始め側、他端側を巻き終わり側として、内周側から外周側へ巻かれており、
前記2つのコイル部品は、同軸的に、且つ、一方のコイル部品の巻き終わり側から巻き始め側への電流と、他方のコイル部品の巻き始め側から巻き終わり側への電流とが軸回りの同一方向に流れる向きで重ねられており、
前記結線部材は、前記2つのコイル部品の巻き始め側の端部同士を接続している
リニアモータ用コイル。
【請求項2】
前記結線部材は、前記2つのコイル部品の空洞内に少なくとも一部が収容され、前記線材の巻き始め側の端部から受ける移動規制により、若しくは、前記線材の束ねられている部分に固定されることにより、その全体が前記空洞から出ることが禁止されている
請求項1に記載のリニアモータ用コイル。
【請求項3】
磁石と、
前記磁石に対して移動可能なコイルと、
を有し、
前記コイルは、
線材が巻かれることにより構成された2つのコイル部品と、
前記2つのコイル部品の前記線材を結線する結線部材と、
を有し、
前記2つのコイル部品それぞれにおいて、前記線材は、一端側を巻き始め側、他端側を巻き終わり側として、内周側から外周側へ巻かれており、
前記2つのコイル部品は、同軸的に、且つ、一方のコイル部品の巻き終わり側から巻き始め側への電流と、他方のコイル部品の巻き始め側から巻き終わり側への電流とが軸回りの同一方向に流れる向きで重ねられており、
前記結線部材は、前記2つのコイル部品の巻き始め側の端部同士を接続している
リニアモータ。
【請求項4】
前記コイルは、その軸方向が前記磁石の磁化方向とされて前記軸方向に面する端面が前記磁化方向において前記磁石と所定のクリアランスで対向し、前記磁石に対して前記磁化方向に直交する方向に移動可能に設けられている
請求項3に記載のリニアモータ。
【請求項5】
前記クリアランスが前記線材の直径以下である
請求項4に記載のリニアモータ。
【請求項6】
前記クリアランスが1.5mm以下である
請求項4に記載のリニアモータ。
【請求項7】
前記コイルは、同軸的に複数設けられるとともに、その軸方向が前記磁石の磁化方向に直交する方向とされて外周面が前記磁化方向において前記磁石と対向し、前記磁石に対して前記磁化方向に直交する方向に移動可能に設けられている
請求項3に記載のリニアモータ。
【請求項8】
複数の前記コイルの、前記軸方向において対向する端面同士の距離が前記線材の直径未満である
請求項7に記載のリニアモータ。
【請求項9】
複数の前記コイルの、前記軸方向において対向する端面同士の距離が1.5mm未満である
請求項7に記載のリニアモータ。
【請求項10】
前記端面同士が互いに当接している
請求項8又は9に記載のリニアモータ。
【請求項11】
線材を、一端側を巻き始め側、他端側を巻き終わり側として、内周側から外周側へ巻いて行くことによりコイル部品を形成し、当該コイル部品を2つ形成する工程と、
前記2つのコイル部品を、同軸的に、且つ、一方のコイル部品の巻き終わり側から巻き始め側への電流と、他方のコイル部品の巻き始め側から巻き終わり側への電流とが軸回りの同一方向に流れる向きで重ねる工程と、
前記2つのコイル部品の巻き始め側の端部同士を接続する工程と、
を有するリニアモータ用コイルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−147630(P2012−147630A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5757(P2011−5757)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】