説明

リフロー装置

【課題】局部的に加熱および冷却を行い、基板表面の温度分布の不均一性を低減する構造を追加することで、タクトタイムを増加させることなく、温度分布の不均一性を低減できるリフロー装置。
【解決手段】プリント配線板を搬送しながら加熱する複数の加熱ゾーンを持ったリフロー装置であって、少なくとも、前記プリント配線板を搬送するコンベアと、前記プリント配線板の一部分を局部的に加熱する局部加熱ユニットであって、前記加熱ゾーンごとに設けた複数の局部加熱ユニットと、前記プリント配線板が通過したことを検知する被加熱物通過検知センサと、を備えており、前記局部加熱ユニットは、前記プリント配線板への接触および非接触が制御可能に個々に駆動でき、且つ、個々に温度制御が可能であることを特徴とするリフロー装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板(以降、基板と略す)への電子部品実装に使用されるリフロー装置に関する。更には、基板をリフロー装置で加熱するにあたり、基板面内の温度分布の不均一性を低減する機構を持ったリフロー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コストの削減を目的としての多面付けや大型の製品の登場から、基板の製造プロセスで使用される基板サイズは大型化している。
【0003】
従来のリフロー装置は、複数のエリアに分かれた加熱ゾーンを持った構造をしており、各ゾーンはそれぞれ設定された温度で加熱されている。被加熱物である基板は、任意の温度プロファイル(基板が経験する温度と時間)で加熱される。複数のエリアに分かれた加熱ゾーンは異なった温度に設定される場合があるため、その場合は隣り合ったゾーンの境目を基板が通過する際に、各加熱ゾーン間の温度の差から、基板の加熱は、加熱ゾーン内の雰囲気による加熱に加え、基板の温度の高いゾーン側から温度の低い加熱ゾーン側への伝熱によって行なわれる。そのため、基板の搬送方向に対して先頭と末尾の基板の温まり方に差が生じ、同一基板面内でも温度プロファイルが異なる。各加熱ゾーンのサイズに対して小さいサイズの基板ではあまり問題とならないが、2つ以上の加熱ゾーンに亘るようなサイズの大型基板では、同一基板の部分によって温度プロファイルに差が生じる。この温度プロファイルの差によって、温度の低い部分では局所的なはんだの未溶融が起こり、逆に温度の高い部分では基板の熱的ダメージが大きくなると言った問題が発生する。
【0004】
この問題に対し、特許文献1では、基板に局部的に、加熱ゾーン内の雰囲気とは異なる温度のガスを吹き付け、ガスを吹き付けた基板の部分とその周辺の温度を調整する機構を備えている。しかし、温度が異なるガスを基板に吹き付けると加熱ゾーン内の雰囲気の温度が変化してしまい、設定の温度に戻るまでは次の基板を流すことが出来ず、タクトタイムが大幅に増加する、と言う問題が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2001−567023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、局部的に加熱および冷却を行い、基板表面の温度分布の不均一性を低減する構造を追加することで、タクトタイムを増加させることなく、温度分布の不均一性を低減できるリフロー装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、本発明の請求項1は、プリント配線板を搬送しながら加熱する複数の加熱ゾーンを持ったリフロー装置であって、
少なくとも、前記プリント配線板を搬送するコンベアと、前記プリント配線板の一部分を局部的に加熱する局部加熱ユニットであって、前記加熱ゾーンごとに設けた複数の局部加熱ユニットと、前記プリント配線板が通過したことを検知する被加熱物通過検知センサと、を備えており、
前記局部加熱ユニットは、前記プリント配線板への接触および非接触が制御可能に個々に
駆動でき、且つ、個々に温度制御が可能であることを特徴とするリフロー装置である。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、局部加熱ユニットのプリント配線板への接触および非接触の制御が、被加熱物通過検知センサからの信号に従って行われることを特徴とする請求項1に記載のリフロー装置である。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、局部加熱ユニットが棒状体であって、棒状体の断面で被加熱物に接触することを特徴とする請求項1または2に記載のリフロー装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるリフロー装置は、温度補償する構造を追加することで、タクトタイムを大幅に増加させることなく、平面基板面内の温度リフロープロファイルムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来のリフロー装置の基本構成の一例を示す概略図
【図2】本発明のリフロー装置の基本構成の一例を示す概略図
【図3】本発明の棒状局部加熱ユニットが動作し、被加熱物と接触している一例を示す概略図
【図4】本発明の棒状局部加熱ユニットの断面の一例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜4は本発明の一形態に係り、図1は従来のリフロー装置の基本構成の一例を示す概略図、図2は本発明のリフロー装置の基本構成の一例を示す概略図、図3は本発明のリフロー装置が動作している一例であり、本発明の棒状局部加熱ユニットが動作し、被加熱物と接触している一例を示す概略図である。図4は本発明の棒状局部加熱ユニットの断面の一例を示す概略図である。
【0013】
図1は、従来のリフロー装置の一例を示すものである。図1において、1はヒーター、2は冷却ファン、3は基板搬送用コンベア、4は小型基板である。図2は本発明におけるリフロー装置の一例を示すものであり、5は局部加熱ユニット、6は被加熱物通過検知センサである。図3は本発明の局部加熱ユニット5が大型基板7を加熱している一例を示したものである。
【0014】
図4は、本発明の棒状局部加熱ユニット5の一例であり、被加熱物と接触する面を見たものである。本発明の局部加熱ユニット5は、複数の棒状のものから構成され、この棒状ものが基板に接触することで基板温度を調整する。局部加熱ユニット5は、リフロー装置のヒーター1からの気流を妨げない構造となっていることが必要であり、局部加熱ユニットの形態は、これに限らず、例えばヒーター1からの気流が流れ込むための格子状開口を持った形状でも良い。
【0015】
以上のように構成されたリフロー装置の動作について、以下にその動作について説明する。
半導体素子が実装された基板4は、図2の入口(図1に示した入口と同じ位置にある。)より基板搬送用コンベア3によって、リフロー装置内を搬送される。ヒーター1により小型基板4は上下から加熱され、任意の温度プロファイルによりフラックスの活性、金属表面の酸化膜除去、はんだ金属の溶融による半導体素子と基板のはんだ金属を介した接合、冷却の後に継手部の形成を行なう。
【0016】
本発明の実施形態の1つとして、図3の入口から基板搬送用コンベア3によってリフロ
ー装置内を搬送された大型基板7が、被加熱物通過検知センサ6の下を通過すると、搬送速度に応じて局部加熱ユニット5が上昇し大型基板7と接触、局部加熱もしくは冷却を行なうことができる。この局部加熱ユニット5は、1つ1つの温度設定をすることができるようになっている。リフロー装置で処理する基板4のサイズやその他の仕様の違いによって処理される基板4の温度プロファイルの不均一性を小さくするように、局部加熱ユニット5の個々の温度設定を行う。
【0017】
具体的な温度条件としては、フラックスの活性化を行うプリヒートを行う加熱ゾーンは150℃〜170℃、30秒間〜120秒間の加熱処理を行う。その次のはんだ付けを行う加熱ゾーンは、250℃〜255℃、10秒間〜20秒間の加熱処理を行う。
【0018】
この時に、処理する基板サイズがはんだ付けを行う加熱ゾーンより長いために、前段のプリヒートを行う加熱ゾーンにはみ出してしまう場合は、そのはみ出した基板4の部分は温度が低くなってしまうため、局部加熱ユニット5を基板4に接触させて加熱する。また、はみ出していない場合にも、1つの加熱ゾーンの中で基板4の温度に不均一性がある場合は、設定温度に近づけるために、同様に、局部加熱ユニット5を基板4に接触させて、加熱または冷却を行う。
この様にすることで、1つの基板の各部の温度プロファイルの不均一性が従来より低減された。その結果、フラックスの活性化が不十分なために発生するはんだ付け不良や局所的なはんだの未溶融の発生の低減を、タクトタイムを変えずに達成することが可能となった。
【0019】
この局部加熱ユニット5の配置は、大型基板7の下側に限られず、上側もしくは上下の両方に設置しても良いし、上下方向とは垂直方向の、側方の片側または両側に設置しても良い。
【0020】
また、本発明の局部加熱ユニット5の実施形態として、局部加熱ユニット5の内部に温度調整用の機構が内蔵されているのであるが、その温度調整用の機構の一例として電熱線を使用することができる。また温度調整用の機構の一例として、局部加熱ユニット5の内部に液体循環用導管を有しており、この中を液体が循環することで、局部加熱ユニット5の温度を調整することができる。また、この導管を循環する物質は、液体に限らず気体であっても良い。また温度調整用の機構の一例として、ヒートパイプを使用することができる。また温度調整用の機構の一例として、ペルチェ素子を使用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 ヒーター
2 冷却ファン
3 基板搬送用コンベア
4 小型基板
5 局部加熱ユニット
6 被加熱物通過検知センサ
7 大型基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板を搬送しながら加熱する複数の加熱ゾーンを持ったリフロー装置であって、
少なくとも、前記プリント配線板を搬送するコンベアと、前記プリント配線板の一部分を局部的に加熱する局部加熱ユニットであって、前記加熱ゾーンごとに設けた複数の局部加熱ユニットと、前記プリント配線板が通過したことを検知する被加熱物通過検知センサと、を備えており、
前記局部加熱ユニットは、前記プリント配線板への接触および非接触が制御可能に個々に駆動でき、且つ、個々に温度制御が可能であることを特徴とするリフロー装置。
【請求項2】
局部加熱ユニットのプリント配線板への接触および非接触の制御が、被加熱物通過検知センサからの信号に従って行われることを特徴とする請求項1に記載のリフロー装置。
【請求項3】
局部加熱ユニットが棒状体であって、棒状体の断面で被加熱物に接触することを特徴とする請求項1または2に記載のリフロー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−4789(P2013−4789A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135197(P2011−135197)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】