説明

リヤアクスル

【課題】アクスルエンドの剛性を確保しつつ、軽量で、製造コストの低減を図ることのできるリヤアクスルを提供する。
【解決手段】端部にドラムブレーキ16を取り付けたアクスルシャフト14をアクスルチューブ12に挿通させ、アクスルチューブ12の端部に、アクスルシャフト14を回転自在に支持するアクスルエンド18を取り付け、アクスルエンド18のフランジ部22をブレーキアセンブリ20に取り付けたリヤアクスル10において、アクスルエンド18のフランジ部22の上下部に折り返しリブ24、26をプレス加工にて形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に用いるリヤアクスルに関し、特に、アクスルエンドに工夫を加えたリヤアクスルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両に用いるリヤアクスルは、端部にブレーキドラムを取り付けたアクスルシャフトをアクスルチューブに挿通させ、このアクスルチューブの端部にアクスルシャフトを回転自在に支持するアクスルエンドを取り付け、このアクスルエンドのフランジ部をブレーキアセンブリに取り付けるようにしている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−142014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなリヤアクスルにおけるアクスルエンドにあっては、通常、剛性を確保するため、熱間鍛造またはプレス加工によって製造されている。
【0004】
しかし、アクスルエンドを熱間鍛造によって製造する場合には、製造コストが高くなってしまい、また、プレス加工により製造する場合には、ブレーキ周りの取り付けスペースの制約から厚肉にして剛性を確保しているのが現状であり、この状態では熱間鍛造同様に製造コストが高くなり、しかも、厚肉になった分だけブレーキ周りの取付部の重量が増加してしまうこととなる。
【0005】
本発明の目的は、アクスルエンドの剛性を確保しつつ、軽量で、製造コストの低減を図ることのできるリヤアクスルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のリヤアクスルは、端部にドラムブレーキを取り付けたアクスルシャフトをアクスルチューブに挿通させ、前記アクスルチューブの端部に、前記アクスルシャフトを回転自在に支持するアクスルエンドを取り付け、前記アクスルエンドのフランジ部をブレーキアセンブリに取り付けたリヤアクスルにおいて、
前記アクスルエンドのフランジ部の上下部に折り返しリブをプレス加工にて形成したことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、アクスルエンドのフランジ部の上下部に折り返しリブをプレス加工にて形成することにより、アクスルエンドの板厚を上げることなく、ブレーキ取付面の剛性を確保することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0008】
また、アクスルエンドの軽量化を図って、ブレーキ周りの取付部を軽量化し、乗り心地、燃費の向上を図ることができる。
【0009】
本発明においては、前記アクスルエンドのフランジ部には、前記ブレーキアセンブリへの取付部がプレス絞り加工にて一体に形成されるようにすることができる。
【0010】
このような構成とすることにより、ブレーキアセンブリへの取付部における溶接工程等を省略して製造工程を減少させ、より製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1〜図4は、本発明の一実施の形態に係るリヤアクスルを示す図で、図1はリヤアクスルの取付け状態を示す断面図である。
【0013】
図1に示すように、リヤアクスル10は、アクスルチューブ12の内部にアクスルシャフト14が回転可能に挿通され、このアクスルシャフト14の端部にドラムブレーキ16が取り付けられた状態となっている。
【0014】
なお、図中32はハブ、34はベアリングである。
【0015】
ドラムブレーキ16には、図示せぬが、ディスクホイールが取り付けられ、このディスクホイールにタイヤがセットされるようになっている。
【0016】
アクスルチューブ12は、図示せぬブラケットを介して車体に支持されるようになっており、このアクスルチューブ12の端部にアクスルシャフト14を回転可能に支持するアクスルエンド18が配設されるようになっている。
【0017】
アクスルエンド18の車両中央側の端部は、アクスルチューブ12の端部に溶接にて固定され、他端側は、ブレーキアセンブリ20にボルトにて取り付けられるようになっている。
【0018】
また、アクスルエンド18は、プレエス加工にて形成されるようになっており、図2及び図3にも示すように、ブレーキアセンブリ20側の端部(他端部)に取り付け用のフランジ部22が設けられ、このフランジ部22の上下部に車体中央側に曲折する折り返しリブ24、26を形成するようにしている。
【0019】
このように、アクスルエンド18のフランジ部22の上下部に折り返しリブ24、26をプレス加工にて形成することにより、アクスルエンド18の板厚を上げることなく、ブレーキ取付面の剛性を確保することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0020】
また、アクスルエンド18の軽量化を図って、ブレーキ周りの取付部を軽量化し、乗り心地、燃費の向上を図ることができる。
【0021】
さらに、アクスルエンド18のフランジ部22には、ブレーキアセンブリ20への取付部として4箇所にナット28が溶接され、ブレーキアセンブリ20側からボルト締めできるようにされている。
【0022】
また、図4では、図3に示すフランジ部22の取付部であるナット28の溶接に代えて、プレス絞り加工にてフランジ部22の4箇所にナット部30を一体に形成するようにしている。
【0023】
このようにすることで、ブレーキアセンブリ20への取付部における溶接工程等を省略して製造工程を減少させ、より製造コストを低減することができるようにしている。
【0024】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の形態に変形可能である。
【0025】
例えば、前記実施の形態では、アクスルエンドのフランジ部の形状がほぼ八角形状とされているが、この例に限らずブレーキ周りの取付部の状況に応じて種々の形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態におけるリヤアクスルの取付け状態を示す断面図である。
【図2】図1のアクスルエンドをフランジ部側から見た正面図である。
【図3】図2のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】図3のナットの変形例を示す図3対応の断面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 リヤアクスル
12 アクスルチューブ
14 アクスルシャフト
16 ドラムブレーキ
18 アクスルエンド
20 ブレーキアセンブリ
22 フランジ部
24、26 折り返しリブ
28 ナット
30 ナット部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部にドラムブレーキを取り付けたアクスルシャフトをアクスルチューブに挿通させ、前記アクスルチューブの端部に、前記アクスルシャフトを回転自在に支持するアクスルエンドを取り付け、前記アクスルエンドのフランジ部をブレーキアセンブリに取り付けたリヤアクスルにおいて、
前記アクスルエンドのフランジ部の上下部に折り返しリブをプレス加工にて形成したことを特徴とするリヤアクスル。
【請求項2】
請求項1において、
前記アクスルエンドのフランジ部には、前記ブレーキアセンブリへの取付部がプレス絞り加工にて一体に形成されていることを特徴とするリヤアクスル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−308107(P2008−308107A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159844(P2007−159844)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(390005670)豊生ブレーキ工業株式会社 (104)
【Fターム(参考)】