説明

リヤアクスル

【課題】アクスルエンドの剛性を確保しつつ、軽量で、製造コストの低減を図ることができ、しかも、十分な取付ねじ強度を確保することのできるリヤアクスルを提供する。
【解決手段】端部にドラムブレーキ16を取り付けたアクスルシャフト14をアクスルチューブ12に挿通させ、アクスルチューブ12の端部に、アクスルシャフト14を回転自在に支持するアクスルエンド18を取り付け、アクスルエンド18のフランジ部22をブレーキアセンブリ20に取り付けたリヤアクスル10において、アクスルエンド18にアクスルシャフト14を挿通させる筒部38をバーリング加工にて形成し、筒部38の外周と一部重複させて筒部38の外周からフランジ部22にかけてねじ部42、44を有する取付部46を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に用いるリヤアクスルに関し、特に、アクスルエンドに工夫を加えたリヤアクスルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両に用いるリヤアクスルは、端部にブレーキドラムを取り付けたアクスルシャフトをアクスルチューブに挿通させ、このアクスルチューブの端部にアクスルシャフトを回転自在に支持するアクスルエンドを取り付け、このアクスルエンドのフランジ部をブレーキアセンブリに取り付けるようにしている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−142014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなリヤアクスルにおけるアクスルエンドにあっては、近年ベアリングのコンパクト化によって、ブレーキ取付部とベアリングとの関係が接近しており、このような状態では、通常のプレス加工ではブレーキ取付部のピッチを縮めるのが困難で、製造が難しく、そのため、熱間鍛造によって製造しているのが現状である。
【0004】
しかし、アクスルエンドを熱間鍛造によって製造する場合には、製造コストが高くなってしまい、熱間鍛造による場合には厚肉になってしまい、重量が増加して、ブレーキ周りの取付部の重量が増加してしまうこととなる。
【0005】
また、逆に、薄肉にして重量を減少しようとすると、ベアリング取付部のねじ長さが不足して、十分なねじ強度が得られなくなってしまうこととなる。
【0006】
本発明の目的は、アクスルエンドの剛性を確保しつつ、軽量で、製造コストの低減を図ることができ、しかも、十分な取付ねじ強度を確保することのできるリヤアクスルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明のリヤアクスルは、端部にブレーキドラムを取り付けたアクスルシャフトをアクスルチューブに挿通させ、前記アクスルチューブの端部に、前記アクスルシャフトを回転自在に支持するアクスルエンドを取り付け、前記アクスルエンドのフランジ部をブレーキアセンブリに取り付けたリヤアクスルにおいて、
前記アクスルエンドに前記アクスルシャフトを挿通させる筒部をバーリング加工にて形成し、前記筒部外周と一部重複させて前記筒部外周から前記フランジ部にかけてねじ部を有する取付部を形成したことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、アクスルエンドにアクスルシャフトを挿通させる筒部をバーリング加工にて形成することで、プレス加工によってアクスルエンドを形成することが可能となり、製造コストを削減することができ、しかも、筒部外周と一部重複させて筒部外周からフランジ部にかけてねじ部を有する取付部を形成することにより、アクスルエンドの板厚を上げることなく、必要最小限の板圧で、ねじ強度を確保することができ、取付部の軽量化を図って、ブレーキ周りの取付部を軽量化し、乗り心地、燃費の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1及び図2は、本発明の一実施の形態に係るリヤアクスルを示す図で、図1はリヤアクスルの取付け状態を示す断面図である。
【0011】
図1に示すように、リヤアクスル10は、アクスルチューブ12の内部にアクスルシャフト14が回転可能に挿通され、このアクスルシャフト14の端部にドラムブレーキ16が取り付けられた状態となっている。
【0012】
なお、図中32はハブ、34はベアリングである。
【0013】
ドラムブレーキ16には、図示せぬが、ディスクホイールが取り付けられ、このディスクホイールにタイヤがセットされるようになっている。
【0014】
アクスルチューブ12は、図示せぬブラケットを介して車体に支持されるようになっており、このアクスルチューブ12の端部にアクスルシャフト14を回転可能に支持するアクスルエンド18が配設されるようになっている。
【0015】
アクスルエンド18の車両中央側の端部は、アクスルチューブ12の端部に溶接にて固定され、他端側は、ブレーキアセンブリ20にボルト36にて取り付けられるようになっている。
【0016】
また、アクスルエンド18は、プレス加工、具体的にはバーリング加工にて形成されるようになっており、図2(1)及び(2)にも示すように、アクスルエンド18のほぼ中央位置にアクスルシャフト14を挿通させる筒部38がブレーキアセンブリ20側の端部内方に内側のフランジ部40を増肉させた状態で形成され、この筒部38のブレーキアセンブリ20側の端部外方に(他端部)に取り付け用の外側のフランジ部22が形成されるようになっている。
【0017】
そして、筒部38の外周と一部重複させて筒部22の外周から外側のフランジ部22にかけて雌ねじを切削形成し、筒部38の外周面に形成した外周ねじ部42と、フランジ部22を貫通するねじ部44とを連続して有する4箇所の取付部46を形成している。
【0018】
このように、アクスルエンド18にアクスルシャフト14を挿通させる筒部38をバーリング加工にて形成することで、プレス加工によってアクスルエンド18を形成することが可能となり、製造コストを削減することができ、しかも、筒部38の外周と一部重複させて筒部38の外周からフランジ部22にかけて外周ねじ部42、ねじ部44を有する取付部46を形成することにより、アクスルエンド18の板厚を上げることなく、必要最小限の板圧で、ねじ強度を確保することができ、取付部46の軽量化を図って、ブレーキ周りの取付部を軽量化し、乗り心地、燃費の向上を図ることができる。
【0019】
前記実施の形態では、RRドラム車用の場合について説明したが、本発明ではRRディスク車用にも応用ができ、この場合、図3(1)及び(2)に示すように、リヤアクスルエンド50を前記実施の形態と同様にバーリング加工によって、アクスルシャフト挿通用の筒部38と共に、内側のフランジ部40及び外側のフランジ部52、さらに他の取付孔54を形成するようにしている。
【0020】
そして、筒部38の外周と一部重複させて筒部22の外周から外側のフランジ部52にかけて雌ねじを切削形成し、筒部38の外周面に形成した外周ねじ部42と、フランジ部52を貫通するねじ部44とを連続して有する4箇所の取付部46を形成するようにしている。
【0021】
他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様につき説明を省略する。
【0022】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の形態に変形可能である。
【0023】
例えば、前記実施の形態では、アクスルエンドのフランジ部の形状は、前記各実施の形態に限らずブレーキ周りの取付部の状況に応じて種々の形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態におけるリヤアクスルの取付け状態を示す断面図である。
【図2】(1)は図1のアクスルエンドをフランジ部側から見た正面図、(2)はその断面図である。
【図3】(1)はRRディスク車用のリヤアクスルにおけるアクスルエンドを示す正面図、(2)はその断面図である。
【符号の説明】
【0025】
10 リヤアクスル
12 アクスルチューブ
14 アクスルシャフト
16 ドラムブレーキ
18、50 アクスルエンド
20 ブレーキアセンブリ
22、52 外側のフランジ部
36 ボルト
38 筒部
40 内側のフランジ部
42 外周ねじ部
44 ねじ部
46 取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部にブレーキドラムを取り付けたアクスルシャフトをアクスルチューブに挿通させ、前記アクスルチューブの端部に、前記アクスルシャフトを回転自在に支持するアクスルエンドを取り付け、前記アクスルエンドのフランジ部をブレーキアセンブリに取り付けたリヤアクスルにおいて、
前記アクスルエンドに前記アクスルシャフトを挿通させる筒部をバーリング加工にて形成し、前記筒部外周と一部重複させて前記筒部外周から前記フランジ部にかけてねじ部を有する取付部を形成したことを特徴とするリヤアクスル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−308108(P2008−308108A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159845(P2007−159845)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(390005670)豊生ブレーキ工業株式会社 (104)
【Fターム(参考)】