説明

リリーフバルブ用火炎防壁層とこれの形成方法、およびこれを具備する内燃機関用リリーフバルブ

【課題】内燃機関用リリーフバルブを提供すること。
【解決手段】リリーフバルブは、内燃機関のクランクケースと連通される開口を具備し、本体を形成するベース、ベースに移動自在に固定(movaly fixed)され、開口を選択的に開放して、クランクケースから選択的に高温の排出ガスを流入するゲート、開口を囲むようにベース上に配置され、排出ガスを外部に排出するための排出経路を具備し、排出ガスに含まれた火炎が外部に排出されることを遮断する火炎遮断部、および排出ガスの温度を低下させるための熱伝達部が交互に配置された火炎防壁層、および火炎防壁層の上面に固定されて開口の上部に配置され、ゲートおよび火炎防壁層と共に排出ガスが保存される排出空間を形成する蓋を含む。火炎防壁層と熱伝達部の積層構造にもかかわらず、排出経路を容易に確保して、バルブの減圧特性の低下を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リリーフバルブに関わり、より詳細には、リリーフバルブ用火炎防壁層とこれの形成方法、および前記火炎防壁層を具備する内燃機関用リリーフバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関用リリーフバルブは、船舶や自動車用内燃機関のクランクケースに装着され、クランクケースの内部の誤爆などによって、異常高圧が発生する場合、クランクケースの内部のガスを外部に放出することで、クランクケースの内部の圧力が常に正常の圧力を維持するようにする装置である。
【0003】
しかし、誤爆による高温の火炎がそのまま外部に放出される場合、クランクケースの周囲の人や各種機械装置が致命的な被害を被るようになるため、前記リリーフバルブのガス排出経路には火炎が外部に噴出することを遮断するための火炎防壁層(Flame barrier)が設置される。
【0004】
図1は、従来の内燃機関用リリーフバルブの構造を示す断面図であり、図2は、図1に示したリリーフバルブに含まれた火炎防壁層を示す拡大断面図である。
図1および図2を参照すると、従来の内燃機関用リリーフバルブは、クランクケースの内部と連通する開口部1aの形成されているベースプレート1、ベースプレートと一定の間隔を置いて設置される蓋プレート2、ベースプレートと蓋プレートとの間にばね4により弾性支持され、ベースプレートの開口部1aを閉鎖/開放するバルブプレート3、およびベースプレートと蓋プレートとの間のガス排出経路上に配置され、排出ガスの火炎除去および冷却作用を行う火炎防壁層6を含む。
【0005】
火炎防壁層6は、前記クランクケースの内部で生成された高温ガスを排出する場合、前記排出ガスに沿って火炎が爆発リリーフバルブの外部に伝達されることを遮断するための火炎遮断部(flame shielder)6a、および前記排出ガスの熱を吸収するための熱伝達部(heat transfer)6bを含む。
【0006】
前記火炎遮断部6aは、前記バルブの軸方向に沿って積層された複数のしわ波形金属ストラップ(corrugated Metal Strap)を含み、隣接するように積層された二つの金属ストラップの間の空間に、前記クランクケースから発生した高温のカスガ外部に排出される。即ち、前記金属ストラップの間の空間が高温ガスを排出するための排出通路として機能する。一般的に、前記爆発型リリーフバルブは、円筒形に配置され、前記複数の金属ストラップは、前記バルブの中心軸を中心にして互いに巻き取られるように配置され、前記排出通路は、前記バルブの半径方向に沿って延長する構造を有する。積層される前記金属ストラップの間隔を十分に小さく配置して、排出ガスが前記排出通路を通過する期間、排出ガス中の火炎を徐々に減少させる。
【0007】
この際、前記排出ガスからの熱の吸収を促進するために積層される金属ストラップの面積を大きくする場合には、前記排出通路における流路抵抗が増加して、前記排出ガスの排出効率を低下させる。このため、前記火炎遮断部の前方に前記熱伝達部6bを別途に配置して、前記排出ガスの熱吸収を補助する。即ち、前記排出ガスの熱は、まず前記熱伝達部6bにより吸収された後、追加的に前記火炎遮断部6aの金属ストラップを通じて吸収される。一般的に、前記熱伝達部6bは、金属ワイヤーが格子形態に結ばれた金属網(Metal Mesh)を複数積層した積層金属網(statcked metal meshes)からなり、前記バルブの中心軸を中心に前記火炎遮断部6aの内側面に沿って配置される。即ち、前記金属網は、前記バルブの軸方向に垂直な方向に沿って積層され、前記排出ガスの進行方向に垂直となるように配置され、前記火炎遮断部の前面に位置する。
【0008】
前記クランクケースから前記開口1aを通じて流入された前記排出ガスの熱は、まず前記熱伝達部6bを構成する金属網の表面を通じて吸収され、その後、前記排出経路を通じて排出されて前記火炎遮断部6aを構成する金属ストラップを通じて再び吸収される。よって、前記排出ガスの流路抵抗を増大させないかつ冷却効率を向上させることができる。図1の図面番号5は、ベースプレートと蓋プレートとの間隔を一定に維持するためのスペイサーパイプ(Spacer Pipe)を示す。
【0009】
しかし、従来の内燃機関用リリーフバルブの火炎防壁層6は、前記火炎遮断部6aと熱伝達部6bをそれぞれ別途の部品で製作した後、ベースプレート上のそれぞれの適正位置に配置して、組み立ての作業を行わなければならなかったため、製作工程および構造が複雑であり、それによって製造コストが上昇するという問題点があった。
【0010】
また、前記金属ストラップを積層する場合、各金属ストラップの間に十分な空間が確保されないため、適切な断面積を有する排出通路を形成しにくいという問題点がある。特に、隣接する金属ストラップが互いに面接触する場合には、排出通路が形成されないため、排出ガスの流路抵抗が急激に増加して排出ガスを排出できないという場合が発生する。これによって、前記内燃機関用リリーフバルブの減圧条件を満さないようになり、不良品として処理される場合が頻繁に発生していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、火炎遮断部と熱伝達部とを交互に配置して、減圧不良を防止することが可能な、新規かつ改良されたリリーフバルブ用火炎防壁層を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、前記のような火炎防壁層の形成方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、前記のような火炎防壁層を具備する内燃機関用リリーフバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するための本発明の一実施例によるリリーフバルブ用火炎防壁層は、互いに一定距離だけ離隔されて配置され、離隔空間を具備する複数の火炎遮断部と、前記火炎遮断部とそれぞれ交互に配置されるよう、前記離隔空間に位置する複数の熱伝達部と、を具備する。少なくとも一つの排出経路が前記火炎防壁層の内部に提供され、これを通じて内燃機関のクランクケースより供給された高温のガスを、火炎を除去して温度を低下させて外部に排出する。
【0014】
一実施例で、前記火炎遮断部は、複数の貫通ホールを具備する金属ストラップを含み、前記熱伝達部は、前記離隔空間に配置された金属網を含むことができる。
一実施例で、前記火炎遮断部は、複数の凸部および凹部を具備する屈曲型金属ストラップを含み、前記熱伝達部は、前記離隔空間に配置された金属網を含むことができる。例えば、前記火炎遮断部は、複数の金属片と前記金属片の各端部とを互いに連結して金属チェーンを形成する複数の連結部を含み、前記連結部に連結する一対の金属片は、前記連結部を貫通する連結軸に対して対称に配置されることが可能である。
【0015】
一実施例で、前記火炎遮断部は、表面から一定の高さだけ突出した複数の突起部を具備して互いに隣接した前記火炎遮断部の面接触を防止する。
前記目的を達成するための本発明の一実施例によるリリーフバルブ用火炎防壁層は、次のような工程によって、一体で形成されることが可能である。まず、内燃機関の排出ガスを排出する場合、火炎を除去しうる火炎遮断部を形成する第1ストラップを第1ローラに巻き取り、前記排出ガスの温度を低下させるための熱伝達部を形成する第2ストラップを第2ローラに巻き取る。その後、前記第1ストラップおよび第2ストラップを互いに一体に結合して、一体型ストラップを形成する。前記一体型ストラップを第3ローラに巻き取って、前記火炎遮断部および熱伝達部を順序に前記第3ローラの軸方向に垂直な方向に沿って交互に積層する。
【0016】
一実施例で、前記一体型ストラップを前記第3ローラに巻き取る前に、前記一体型ストラップを転換する段階を更に含み、前記火炎遮断部および熱伝達部が前記第3ローラの軸方向に沿って交互に積層される。
【0017】
前記の目的を達成するための本発明の一実施例による内燃機関用リリーフバルブは、内燃機関のクランクケースと連通される開口を具備するベース、前記ベースに移動自在に固定され、前記開口を選択的に開放して、前記クランクケースから前記開口を通じて選択的に高温の排出ガスを流入するゲート、前記開口を囲むように前記ベース上に配置され、前記排出ガスを外部に排出するための排出経路を具備し、前記排出ガスに含まれた火炎が外部に排出されることを遮断する火炎遮断部、および前記排出ガスの温度を低下させるための熱伝達部が交互に配置された火炎防壁層、および前記火炎防壁層の上面に固定されて前記開口の上部に配置され、前記ゲートおよび前記火炎防壁層と共に前記排出ガスが保存される排出空間を形成する蓋を含む。
【0018】
一実施例として、前記火炎遮断部および前記熱伝達部は、前記火炎防壁層の厚さ方向に沿って交互に積層され、シリンダー形状を有する前記排出空間の半径方向に沿って交互に積層される。例えば、前記火炎遮断部は、それぞれ複数の貫通ホールを具備する複数の金属ストラップを含み、前記熱伝達部は、複数の金属網を含み、前記火炎防壁層は、前記半径方向に沿って前記金属ストラップと金属網が交互に配置されることが可能である。この際、互いに隣接した前記金属ストラップに配置された前記複数の貫通ホールは、前記半径方向に沿って一列に配置されて前記排出経路を形成し、前記排出ガスは、前記火炎防壁層を貫通して排出される。前記排出空間と隣接するように配置された前記金属ストラップに形成された前記貫通ホールの総断面積は、前記ベースに形成された前記開口の面積と同一であってもよい。
【0019】
一実施例で、前記火炎遮断部および前記熱伝達部は、前記火炎防壁層の高さ方向に沿って交互に積層され、シリンダー形状を有する前記排出空間の中心軸に沿って交互に積層される。例えば、前記火炎遮断部は、それぞれ複数の凸部および凹部を具備する複数の屈曲型金属ストラップを含み、前記熱伝達部は、金属網を含み、前記火炎防壁層は、前記中心軸に沿って前記金属ストラップと金属網とが交互に配置されることが可能である。この際、前記各金属ストラップの凸部は、第1ラインに沿って一列に配置され、前記各金属ストラップの凹部は、第2ラインに沿って一列に配置されるよう、前記金属ストラップは、前記中心軸に沿って配置され、前記排出経路は、互いに隣接する前記金属ストラップの間で波形の空間として形成され、前記金属網は、前記排出経路上に配置される。前記屈曲型金属ストラップは、複数の金属片と前記金属片の各端部とを互いに連結して、金属チェーンを形成する複数の連結部を含み、前記連結部に連結される一対の金属片は、前記中心軸と平行であり、前記連結部を貫通する連結軸に対して互いに対称に配置することができる。
【0020】
一実施例で、前記火炎遮断部は、表面から一定の高さだけ突出した複数の突起部を具備する金属ストラップを含み、前記熱伝達部は、隣接した火炎遮断部から離隔空間を確保するためのスペイサーを具備する金属網を含むことができる。
【0021】
一実施例で、前記クランクケースの内部および前記排出空間の内部における前記排出ガスの圧力により前記ゲートの開放を制御するゲート調節部材を更に含むことができる。この際、前記ゲート調節部材は、前記蓋および前記ゲートに連結された弾性部材を含むことができる。
【0022】
一実施例として、前記火炎防壁層は、前記排出空間を囲む第1防壁層および前記第1防壁層の郊外に配置される第2防壁層を含み、前記第1防壁層と第2防壁層との間にバッファー空間を具備することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明による内燃機関用リリーフバルブによると、クランクケースから排出される高温ガスの排出通路および冷却面積を安定的に提供しながら、前記排出通路を通した火炎の排出は効果的に遮断することができる。よって、リリーフバルブの減圧性能に悪影響を及ぼさないかつ排出ガスの冷却作用を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来の内燃機関用リリーフバルブの構造を示す断面図である。
【図2】図1に示したリリーフバルブに含まれた火炎防壁層を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施例による内燃機関用リリーフバルブの断面図である。
【図4】図2に示した内燃機関用リリーフバルブの平面図である。
【図5】図2に示した火炎防壁層を示す図である。
【図6】図4に示した火炎防壁層の火炎遮断部を示す図である。
【図7】図4に示した火炎防壁層の熱伝達部を示す図である。
【図8】図5に示した火炎遮断部の変形実施例を示す図である。
【図9】図5に示した火炎遮断部を積層した構造を示す図である。
【図10】図7に示した火炎遮断部を具備する火炎防壁層を示す構成図である。
【図11】図4に示した火炎防壁層の製造方法を示す図である。
【図12】本発明の第2実施例による内燃機関用リリーフバルブの断面図である。
【図13】図11に示した内燃機関用リリーフバルブの平面図である。
【図14】図11に示した火炎防壁層を示す図である。
【図15】図13に示した火炎防壁層の変形実施例を示す図である。
【図16】図13に示した火炎防壁層の製造方法を示す図である。
【図17】本発明の第3実施例による内燃機関用リリーフバルブの断面図である。
【図18】図16に示した内燃機関用リリーフバルブの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明は多様に変更することができ、多様な形態を有することができること、特定の実施形態を図面に例示して本文に詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に限定するのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物、乃至代替物を含むことを理解すべきである。各図面を説明しながら類似の参照符号を類似の構成要素に対して付与した。図面において、構造物の寸法は本発明の明確性のために実際より拡大して示した。第1、第2等の用語は、多様な構成要素を説明するために使用することができるが、構成要素は用語によって限定されない。用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲から逸脱することなしに、第1構成要素は第2構成要素と称されてもよく、同様に第2構成要素も第1構成要素に称されてもよい。
【0026】
本出願で用いる用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いられるものであって、本発明を限定するのではない。単数の表現は、文脈上、明白に相違が示されない限り、複数の表現を含む。
【0027】
本出願において、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを意図するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたもの等の存在または付加の可能性を予め排除しないことを理解しなければならない。
【0028】
なお、異なるものとして定義しない限り、技術的であるか科学的な用語を含めてここで用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有している。一般的に用いられる辞典に定義されているもののような用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有することと解釈すべきであり、本出願で明白に定義されない限り、異常的であるか過度に形式的な意味に解釈されない。
【0029】
本文に開示されている本発明の実施例について、特定の構造的および機能的説明は、ただ本発明の実施例を説明するための目的として例示されたものであって、本発明の実施例は、多様な形態に実施されることが可能であり、本文に説明された実施例に限定されない。
【実施例1】
【0030】
図3は、本発明の第1実施例による内燃機関用リリーフバルブの断面図であり、図4は、図3に示した内燃機関用リリーフバルブの平面図である。前記リリーフバルブは、左側部が閉鎖され、右側部が開放された状態を示している。
【0031】
図3〜図4を参照すると、本発明の第1実施例による内燃機関用リリーフバルブ100は、内燃機関のクランクケース(図示せず)に固定され、前記クランクケースと連通する開口10aを具備するベース10、前記ベース10の上部に配置される蓋20、前記ベースに移動自在に固定されて前記開口10aを選択的に開放して、前記クランクケースから前記開口を通じて選択的に高温の排出ガスを流入するゲート30、前記蓋20および前記ゲート30に連結され、前記ゲート30の運動を制御するゲート調節部材40、および排出ガスの火炎を除去して冷却する火炎防壁層60を含む。
【0032】
一実施例として、前記ベース10は、前記リリーフバルブ100の本体を構成し、前記開口10aを通じて下部に配置される内燃機関のクランクケース(図示せず)の内部と連通する。よって、前記ベース10は、下部に連結されるクランクケースの形状とサイズにより多様な形とサイズを有することができる。本実施例の場合、図4に示したように、円筒形クランクケースの上部に連結されるシリンダー形バルブを開示する。しかし、本発明がシリンダー形バルブに限定されないのは自明で、連結されるクランクケースにより多様な形状を有することができるのも自明である。
【0033】
前記ベース10の上部には、前記火炎防壁層60が配置され、前記ベース10に形成された前記開口10aの上部には、前記クランクケースから前記開口10aを通じて流入された高温の排出ガスを保存するための排出空間(S)が形成される。例えば、前記排出空間(S)は、前記ベース10上面に配置された前記火炎防壁層60、前記ゲート30、および前記蓋20により限定され、高温の排出ガスはクランクケースの内部で発生して前記排出空間(S)に流入され、前記火炎防壁層60を経由して外部に排出される。
【0034】
一実施例で、前記開口10aと隣接した前記ベース10の周辺部に前記ゲート40の一端が回転自在に固定され、前記開口10aを閉鎖或いは開放することができる。本実施例の場合、前記ゲートは、前記開口の中心軸に対して対称に配置される一対の平板で構成され、前記開口の左側部および右側部が個別的に開放されることが可能である。
【0035】
一実施例として、前記ゲート調節部材40は、前記ゲートの上面と前記蓋の下面に接触され、前記ゲートの回転運動を制御して、前記開口10aの開放または閉鎖を決定する。本実施例の場合、前記ゲート調節部材40は、弾性変形の可能な弾性部材を含み、前記蓋20と前記ゲート30との間に配置されたゲート調節部材40の長さを弾性的に変形させることによって、前記ゲート30の回転運動を制御する。例えば、前記ゲート調節部材40は、線形ばねを含む。しかし、前記蓋とゲートとを連結する長手方向の長さを伸縮的に調節しうる部材であれば、必ずしも弾性部材に限定されないことは自明である。
【0036】
前記リリーフバルブ100は、固定手段50により前記クランクケースの上部に固定される。例えば、前記固定手段50は、ボルトを含む。例えば、前記固定手段50は、前記リリーフバルブの蓋20の周辺部に沿って複数配置され、クランクケースに対する固定と共に密封性を向上させることができる。前記固定手段50と前記蓋20との間に前記排出空間(S)の密封性を強化するための密封部材(図示せず)を更に含むことができるのは自明である。
【0037】
前記火炎防壁層60は、前記排出空間(S)から外部に高温のガスを排出する場合、前記排出ガスに沿って火炎がリリーフバルブ100の外部に伝達されることを遮断するための火炎遮断部(flame shielder)および前記排出ガスの熱を吸収するための熱伝達部(heat transfer)を含む。この際、前記火炎遮断部および熱伝達部は、前記火炎防壁層60の厚さ方向に沿って互いに交互的に積層され、互いに隣接した前記火炎遮断部の間の空間を十分に確保することができる。これによって、前記火炎遮断部の間に形成された排出通路が形成されなくて、前記バルブ100の減圧特性が悪化することを防止することができる。
【0038】
第1実施例の場合、前記リリーフバルブ100は、前述したような構成を有し、z軸方向に沿って前記クランクケースの上部に配置され、z軸と平行な中心軸を有するシリンダー形状を有する。これによって、前記リリーフバルブ100は、図4に示したようx−y平面上に示される円形断面を有する。円形断面の場合には、直角座標系よりは各座標系が有用であるため、本実施例の場合、x−y平面上に示した断面を基準として説明する場合には、必要により各座標系を基準として説明する。
【0039】
これによって、第1実施例によるリリーフバルブ100は、円形の排出空間(S)と前記排出空間を限定する円形の火炎防壁層60、蓋20、およびゲート30を含み、前記排出空間(S)の円周に沿って配置された複数の固定部材50により前記クランクケースの上部に固定される。よって、前記火炎遮断部60は、図4に示した円形断面の半径方向に沿って所定の厚さを有するように配置され、前記火炎遮断部と熱伝達部は、前記バルブの半径方向に沿って互いに交互的に積層される。
【0040】
以下、前記火炎防壁層60についてより詳細に説明する。
図5は、図3に示した火炎防壁層を示す図面である。図6は、図5に示した火炎防壁層の火炎遮断部を示す図であり、図7は、図5に示した火炎防壁層の熱伝達部を示す図である。
【0041】
図5、図6、および図7を参照すると、前記火炎防壁層60は、前記バルブの半径方向に沿って交互的に積層された複数の火炎遮断部61および熱伝達部62を含む。
一実施例で、前記火炎遮断部61は、複数の貫通ホール61aを具備する金属ストラップを含み、前記熱伝達部62は、互いに隣接する前記金属ストラップの間の離隔空間に配置された金属網を含む。
【0042】
一実施例として、前記金属ストラップ(metal strap)は、熱伝導性および耐熱性の優秀な金属物質を含む。隣接した金属ストラップに形成された前記複数の貫通ホール61aは、前記バルブの中心から一定の角度を有し、かつ半径方向に沿って一列に配置され、前記排出空間に保存された高温の排出ガスを外部に排出するための排出通路(P)を形成する。
【0043】
よって、前記貫通ホール61aの直径(d1)を適切に調節することによって、前記排出ガスとともに高温の火炎が外部に排出されることを遮断することができる。例えば、火炎放出を防止し、かつ排出ガスの流路抵抗を最小化しうる直径にして、すべての貫通ホールを形成することもでき、前記半径方向に沿って段階的に直径を減少させて、前記火炎遮断部の最外郭に配置された金属ストラップの貫通ホールの直径が最小となるように構成することもできる。即ち、前記排出通路(P)は、前記バルブ100の半径方向に沿ってシリンダー形状やテーパになるシリンダー形状に形成されることが可能である。
【0044】
本実施例の場合、前記バルブ100の最も内側に配置された金属ストラップに配置された貫通ホール61aの断面積の和が前記ベース10の開口部10aの断面積より少なくても同一であるか或いは大きくなるように構成する。
【0045】
前記排出ガスは、前記排出通路(P)に沿って流動して、前記金属ストラップに熱を伝達し、十分に冷却されて外部に排出される。互いに隣接する前記火炎遮断部61の間には、前記火炎遮断部を貫通して流動する排出ガスの冷却を補助するための熱伝達部62が配置される。例えば、前記熱伝達部は、図7に示したように、熱伝導性および耐熱性の優秀な金属ワイヤーを互いに結んだ金属網を含む。前記金属ワイヤーは、前記排出経路(P)を通じた前記排出ガスの流動を十分に妨害しないほどの小さい直径を有する。
【0046】
よって、前記熱伝達部62が、互いに隣接する前記火炎遮断部61の間に配置されることによって、前記火炎遮断部が互いに面接触することを防止し、一定に離隔されて配置されるようにする。これによって、互いに隣接する前記火炎遮断部61の貫通ホール61aが整列されなくても前記排出経路が遮断されることを防止することができる。これによって、前記リリーフバルブの減圧特性をいつも一定に維持することができる。
【0047】
特に、前記火炎遮断部61と前記熱伝達部62との間には、複数のスペイサー63が前記z軸に沿って配置され、互いに隣接する火炎遮断部の間の空間を更に確保することができる。例えば、前記スペイサー63は、前記z軸に沿って前記熱伝達部62の内側面および外側面と交互に接触するように構成して、前記熱伝達部62が前記z軸方向に沿って波形となるように配置する。これによって、前記排出ガスと前記熱伝達部62との接触面積を極大化することによって、熱伝達の効率を向上させることができる。
【0048】
他の実施例で、前記火炎遮断部61は、互いに隣接する金属ストラップの間の空間を確保するための突起を更に含むことができる。
図8は、図6に示した火炎遮断部の変形実施例を示す図であり、図9は、図6に示した火炎遮断部を積層した構造を示す図である。図10は、図8に示した火炎遮断部を具備する火炎防壁層を示す構成図である。
【0049】
図8〜図10を参照すると、前記火炎遮断部61は、前記貫通ホール61aの含まれた金属ストラップの表面から所定の高さだけ突出した突起部61bを更に含む。よって、複数の前記金属ストラップを前記バルブ100の半径方向に沿って積層する場合、互いに隣接する金属ストラップは、前記突起部61bによって互いに離隔される。よって、前記金属ストラップの間に前記熱伝達部が配置されなくても隣接する金属ストラップは、互いに面接触することなく所定の空間を確保することができる。
【0050】
よって、前記火炎防壁層60は、前記突起部61bにより隣接する火炎遮断部の間の空間を容易に確保することができる。これによって、前記火炎遮断部の面接触によって、前記排出経路(P)の閉鎖を防止することができる。
【0051】
前述したような火炎防壁層60によると、前記貫通ホール61aを具備する金属ストラップを具備する火炎遮断部61および金属網を具備する熱伝達部63を前記バルブ100の半径方向に沿って交互に配置する。これによって、前記火炎防壁層の内部の空間を十分に確保することによって、前記排出経路(P)の閉鎖によるバルブの減圧不良を防止することができる。
【0052】
図8は、図5に示した火炎防壁層を製造する方法を示す図である。
図8を参照すると、金属ストラップの表面にパンチング工程を行って、複数の貫通ホール61aの形成された金属ストラップであって、火炎遮断部61を形成する第1ストラップ91を第1ローラ(A)に巻き取り、金属ワイヤーを結んだ金属網で形成され、熱伝達部62を形成する第2ストラップ92を第2ローラ(B)に巻き取る。前記第1および第2ローラ(A、B)から解いた前記第1ストラップ91および第2ストラップ92は、それぞれ第1ガイド13aおよび第2ガイド13bを通じて、結合ユニット14に案内される。前記結合ユニット14は、多様な圧着手段によって、前記第1ストラップの表面に第2ストラップを接着して一体型ストラップ93を形成する。例えば、前記結合ユニット14によって前記多孔性金属ストラップの表面に前記金属網が一体に結合され、前記一体型ストラップ93を形成する。前記一体型ストラップ93は、第3ローラ(C)に誘導されて巻き取られる。よって、前記一体型ストラップ93は、前記第3ローラ(C)の半径方向に沿って前記火炎遮断部61および熱伝達部62が交互に積層される火炎防壁層60を形成する。
【0053】
前記一体型ストラップ93が前記第3ローラ(C)に所定の厚さを有するように巻き取られると、前記金属ストラップおよび金属網を切断し、切断部にろう付け工程を行って、シリンダー形火炎防壁層60を完成する。
【0054】
よって、単一の工程により、前記火炎遮断部および熱伝達部を一体で具備する火炎防壁層を形成することによって、火炎防壁層の製作のための時間および費用を節減することができる。特に、前記貫通ホール61aを形成するためのプレス金型に、前記突起部61bを形成するための凹入部を形成することによって、別途の追加工程なしに前記突起部を形成することができる。
【実施例2】
【0055】
図12は、本発明の第2実施例による内燃機関用リリーフバルブの断面図であり、図13は、図12に示した内燃機関用リリーフバルブの平面図である。本実施例による内燃機関用リリーフバルブ200は、排出ガスを排出して冷却するための火炎防壁層70を除いては図3に示したリリーフバルブ100と構成が同一である。よって、図3に示したリリーフバルブ100と同一の構成要素は、同一の機能を果たし、同一の参照符号を付与して、これについての詳細な説明は省略する。
【0056】
図12〜図13を参照すると、本発明の第2実施例による内燃機関用リリーフバルブ200は、内燃機関のクランクケース(図示せず)の内部と連通する開口部10aを具備するベース10、前記ベース10の上部に配置される蓋20、前記開口部10aを選択的に開放または閉鎖してリリーフバルブへの排出ガスの流入を遮断するゲート30、前記蓋20および前記ゲート30に連結されて、前記ゲート30の移動を選択的に制御するゲート調節部材40、および排出ガスの火炎を除去して冷却する火炎防壁層70を含む。
【0057】
前記火炎防壁層70は、前記排出空間(S)から高温のガスを外部に排出する場合、前記排出ガスに沿って火炎がリリーフバルブ200の外部に伝達されることを遮断するための火炎遮断部および前記排出ガスの熱を吸収するための熱伝達部を含む。この際、前記火炎遮断部および熱伝達部は、前記火炎防壁層70の高さ方向に沿って互いに交互的に積層され、互いに隣接した前記火炎遮断部の間の空間を十分に確保することができる。これによって、前記火炎遮断部の間に形成された排出通路が形成されないことによって前記バルブ200の減圧特性が悪化することを防止することができる。
【0058】
第2実施例の場合にも、第1実施例と同様に前記リリーフバルブ200はz軸方向に沿って前記クランクケースの上部に配置され、z軸と平行な中心軸を有するシリンダー形状を有する。これによって、前記リリーフバルブ200は、図13に示したようにx−y平面上に示される円形断面を有する。円形断面の場合には、直角座標系よりは各座標系が有用であるため、本実施例の場合、x−y平面上に示した断面を基準として説明する場合には、必要により各座標系を基準として説明する。
【0059】
これによって、第2実施例によるリリーフバルブ200は、円形の排出空間(S)と前記排出空間を限定する円形の火炎防壁層70、蓋20、およびゲート30を含み、前記排出空間(S)の円周に沿って配置された複数の固定部材50により前記クランクケースの上部に固定される。よって、前記火炎遮断部70は、図13に示した円形断面の半径方向に沿って所定の厚さを有するように配置され、前記火炎遮断部と熱伝達部とは、前記バルブ200の軸方向であるz軸に沿って互いに交互的に積層される。
【0060】
以下、本実施例によるリリーフバルブ200に含まれた火炎防壁層70について詳細に説明する。
図14は、図12に示した火炎防壁層を示す図である。
【0061】
図14を参照すると、前記火炎防壁層70は、前記バルブの軸方向であるz軸に沿って交互的に積層された複数の火炎遮断部71および熱伝達部72を含む。
一実施例で、前記火炎遮断部71は、複数の凸部71aおよび凹部71bをそれぞれ具備する複数の屈曲型金属ストラップを含み、前記熱伝達部72は、互いに隣接する前記屈曲型金属ストラップの間の離隔空間に配置された複数の金属網を含む。
【0062】
一実施例で、前記金属ストラップは、前記凸部71aおよび凹部71bが前記z軸方向に沿って互いにそれぞれ対応するように積層され、互いに隣接するように積層された火炎遮断部71の間には、前記バルブ200の半径方向に沿って一定の幅を有して屈曲する排出経路(P)が形成される。例えば、前記各金属ストラップの凸部71aは、第1ラインに沿って一列に配置され、前記各金属ストラップの凹部71bは、第2ラインに沿って一列に配置されるよう、前記金属ストラップは、前記中心軸に沿って配置され、前記排出経路は、互いに隣接する前記金属ストラップの間で波形の空間として形成され、前記金属網は、前記排出経路の上に配置される。
【0063】
即ち、第1ストラップの凸部の下部には第2ストラップの凸部が位置し、第1ストラップの凹部の下部には第2ストラップの凹部が位置するように、前記複数の金属ストラップを積層することで前記バルブ200の半径方向に沿って一定のサイズを有する排出経路(P)を形成することができる。よって、前記バルブ200の半径方向に沿って一定の振幅で屈曲された排出経路を形成することによって、前記排出空間(S)から火炎が外部に排出されることを遮断することができる。この際、前記排出経路(P)のサイズは、前記火炎遮断部71の積層間隔を調節することで適正に調節することができる。
【0064】
前記排出ガスは、前記排出経路(P)に沿って流動しながら、前記金属ストラップに熱を伝達して十分に冷却された後、外部に排出される。
互いに隣接する前記火炎遮断部71の間には、前記排出経路(P)に沿って流動する排出ガスの冷却を補助するための熱伝達部72が配置される。即ち、前記熱伝達部72は、前記排出経路(P)上に前記排出ガスの流動方向と平行するように配置される。例えば、前記熱伝達部72は、熱伝導性および耐熱性の優秀な金属ワイヤーを互いに結んだ金属網を含む。前記金属ワイヤーは、前記排出経路(P)を通した前記排出ガス流動を十分に妨害しない程度に小さい直径を有し、前記排出ガスとの接触面積を極大化する。
【0065】
互いに隣接する前記火炎遮断部71の間に前記熱伝達部72が配置されることによって前記火炎遮断部71が互いに面接触することを防止し、一定に離隔できるようにする。これによって、前記火炎遮断部71の間の空間に形成される排出経路(P)が閉鎖されることを防止して前記リリーフバルブ200の減圧特性を一定に維持することができる。
【0066】
特に、前記熱伝達部72の上面および下面には、複数のスペイサー73が前記バルブ200の半径方向に沿って交互的に配置され、前記熱伝達部72が前記バルブ200の半径方向に沿って波形となるように配置する。これによって、前記排出ガスと前記熱伝達部72との接触面積を極大化することによって熱伝達効率を向上させることができる。
【0067】
他の実施例で、前記火炎遮断部71は、複数の凸部と凹部とを一体で具備する金属ストラップの代わりに、関節を通じて連鎖的に連結される複数の金属片(metal piece)を含む。
【0068】
図15は、図14に示した火炎防壁層の変形実施例を示す図である。図15において、前記火炎防壁層70を構成する熱伝達部72は、図14と同一であり、熱遮断部78の構成のみ相違である。 よって、熱伝達部についてはこれ以上の説明は省略し、熱遮断部78についてのみ詳細に説明する。
【0069】
図15を参照すると、前記熱遮断部78は、複数の金属片78aと前記金属片78aの各端部とを互いに連結して金属チェーンを形成するための連結部78bを含む。前記金属片78aは、平板から構成され、前記連結部78bによって連結される一対の金属片は、前記連結部78bを貫通し、前記z軸に平行な連結軸に対して対称するように配置される。これによって、前記複数の連結部78bにより連鎖的に連結された前記複数の金属片78aは、複数の凸部と凹部を具備する。前記凸部と凹部を具備する複数の熱遮断部78の配置は、図13に示した熱遮断部71の配置と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0070】
前述したような火炎防壁層70によると、複数の凸部および凹部を具備する金属ストラップと金属網を前記バルブ200の軸方向に沿って交互に配置する。これによって、前記火炎防壁層の間の空間を十分に確保することによって前記排出経路(P)の閉鎖によるバルブの減圧不良を防止することができる。
【0071】
図16は、図14に示した火炎防壁層を製造する方法を示す図である。
図16を参照すると、複数の凸部および凹部を具備する金属ストラップであって、前記火炎遮断部71を形成する第1ストラップ95を第1ローラ(A)に巻き取り、金属ワイヤーを結んだ金属網から形成され、熱伝達部72を形成する第2ストラップ96を第2ローラ(B)に巻き取る。前記第1および第2ローラ(A、B)から解けた前記第1ストップ95及び第2ストラップ96は、第1ガイド13aおよび第2ガイド13bを通じて、結合ユニット14に案内される。前記結合ユニット14は、多様な圧着手段によって、第1ストラップの表面に第2ストップを接着して一体形ストラップ97を形成する。例えば、前記結合ユニット14によって前記多孔性金属ストラップの表面に前記金属網が一体に結合され、前記一体型ストラップ97を形成する。前記一体型ストラップ97は、転換部15により垂直型ストラップから水平型ストラップに転換される。続いて、前記一体型ストラップ97は、第3ローラ(C)に誘導されて巻き取られる。よって、前記一体型ストラップ97は、前記第3ローラ(C)の回転軸の方向に沿って底面から上部に前記火炎遮断部71および熱伝達部72とが交互に積層されて、前記火炎防壁層70を形成する。
【0072】
前記一体型ストラップ97が前記第3ローラ(C)に所定の厚さを有するように巻き取られると、前記金属ストラップおよび金属網を切断し、切断部にろう付け工程を行って、シリンダー形の火炎防壁層70を完成する。
【0073】
したがって、単一の工程により前記火炎遮断部および熱伝達部を一体で具備する火炎防壁層を形成することで火炎防壁層の製作のための時間および費用を節減することができる。
【実施例3】
【0074】
図17は、本発明の第3実施例による内燃機関用リリーフバルブの断面図であり、図18は、図17に示した内燃機関用リリーフバルブの平面図である。本実施例による内燃機関用リリーフバルブ300は、排出ガスを排出して冷却するための火炎防壁層80を除いては図3に示したリリーフバルブ100とその構成が同一である。したがって、図2に示したリリーフバルブ100と同一の構成要素は同一の機能を果たし、同一の参照符号を付与してこれ以上詳細な説明は省略する。
【0075】
図17および図18を参照すると、本発明の第2実施例による内燃機関用リリーフバルブ300は、内燃機関のクランクケース(図示せず)の内部と連通する開口部10aを具備するベース10、前記ベース10の上部に配置される蓋20、前記開口部10aを選択的に開放または閉鎖して、リリーフバルブへの排出ガスの流入を遮断するゲート30、前記蓋20および前記ゲート30に連結されて前記ゲート30の移動を選択的に制御するゲート調節部材40、および排出ガスの火炎を除去して冷却する火炎防壁層80を含む。
【0076】
この際、前記火炎防壁層80は、前記排出空間(S)と隣接するように配置される第1防壁層80a、前記火炎防壁層80のサイズを増大するためのバッファー空間80b、および前記バッファー空間80bを囲む第2防壁層80cを含む。
【0077】
前記第1および第2防壁層の各構成は、第1実施例に開示された火炎防壁層80と同一であるため、これ以上の詳細な説明は省略する。望ましくは、前記リリーフバルブ300をクランクケースに固定する固定部材50は、前記排出空間(S)に沿って配置される第1固定部材50aおよび前記バッファー空間80bに沿って配置される第2固定部材50bを含むことができる。これによって、前記バルブ300とクランクケースとの固定および密封を向上させることができる。
【0078】
前記排出空間(S)に保存された排出ガスは、まず、前記第1防壁層(80a)に形成された第1排出経路(P1)を通じて、前記バッファー空間(80b)で排出されて前記バッファー空間(80b)に保存された排出ガスは前記第2防壁層80cに形成された第2排出経路(P2)を通じて、外部に排出される。したがって、前記排出ガスは、2段の排出過程を通じて外部に排出される。船舶や航空機のような大型構造物に用いられる大型内燃機関に適用されるリリーフバルブは、1回の爆発工程によって排出される排出ガスおよび火炎の量が大きいため、前記バッファー空間を配置してリリーフバルブの容量を容易に増大することができる。また、小型内燃機関に適用される火炎防壁層を並列に複数配置することによって、容易に大型内燃機関に適用しうる火炎防壁層を形成することがあるため、工程上の煩雑さも除去することができる。
【0079】
本実施例では、第1実施例に開示されたリリーフバルブ100にバッファー空間80bを形成することを例示的に開示しているが、第2実施例に開示されたリリーフバルブ200にも詳述したようなバッファー空間を形成することができるのは自明である。
【0080】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の一実施例による内燃機関用リリーフバルブによると、火炎遮断部の間を十分に離隔するように配置して、離隔空間を安定的に確保し、前記離隔空間の内部に熱伝達部を配置する。これによって、火炎防壁層の排出経路が安定的に形成され、排出ガスとの電熱面積が増加するため、リリーフバルブの減圧性能に悪影響を及ぼさないかつ排出ガスの冷却作用を効果的に行うことができる。
【0082】
また、前記火炎防壁層を構成する火炎遮断部および熱伝達部を単一の工程によって一体で形成することによって、リリーフバルブの製造工程を単純化し、費用を節減することができる。特に、火炎遮断部の表面に形成され、火炎遮断部の間隔を一定に維持する突起部を前記火炎防壁層の形成工程で同時に形成することによって、別途の追加工程なしに安定的に排出経路を形成することができる。
【符号の説明】
【0083】
10…ベース、10a…開口、20…蓋、30…ゲート、40…ゲート調節部材、50…固定部材、60、70、80…火炎防壁層、100、200、300…内燃機関用リリーフバルブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに一定距離だけ離隔されて配置され、離隔空間を具備する複数の火炎遮断部と、
前記火炎遮断部とそれぞれ交互に配置されるよう、前記離隔空間に位置する複数の熱伝達部を具備して、少なくとも一つの排出経路を通じて内燃機関のクランクケースより供給された高温のガスを、火炎を除去して温度を低下させて外部に排出することを特徴とするリリーフバルブ用火炎防壁層。
【請求項2】
前記火炎遮断部は、複数の貫通ホールを具備する金属ストラップを含み、前記熱伝達部は、前記離隔空間に配置された金属網を含むことを特徴とする請求項1に記載のリリーフバルブ用火炎防壁層。
【請求項3】
前記火炎遮断部は、複数の凸部および凹部を具備する屈曲型金属ストラップを含み、前記熱伝達部は、前記離隔空間に配置された金属網を含むことを特徴とする請求項1に記載のリリーフバルブ用火炎防壁層。
【請求項4】
前記屈曲型金属ストラップは、複数の金属片と前記金属片の各端部を互いに連結して、金属チェーンを形成する複数の連結部を含み、前記連結部に連結される一対の金属片は、前記連結部を貫通する連結軸に対して互いに対称的に配置されることを特徴とする請求項3に記載のリリーフバルブ用火炎防壁層。
【請求項5】
前記火炎遮断部は、表面から一定の高さだけ突出した複数の突起部を具備して、互いに隣接した前記火炎遮断部の面接触を防止することを特徴とする請求項1に記載のリリーフバルブ用火炎防壁層。
【請求項6】
内燃機関の排出ガスを排出する場合、火炎を除去しうる火炎遮断部を形成する第1ストラップを第1ローラに巻き取る段階と、
前記排出ガスの温度を低下させるための熱伝達部を形成する第2ストラップを第2ローラに巻き取る段階と、
前記第1ストラップおよび第2ストラップを互いに一体に結合して、一体型ストラップを形成する段階と、
前記一体型ストラップを第3ローラに巻き取って、前記火炎遮断部および熱伝達部を順序に前記第3ローラの軸方向に垂直な方向に沿って交互に積層する段階と、を含むことを特徴とするリリーフバルブ用火炎遮断部の形成方法。
【請求項7】
前記一体型ストラップを前記第3ローラに巻き取る前に、前記一体型ストラップを転換する段階を更に含み、前記火炎遮断部および熱伝達部が前記第3ローラの軸方向に沿って交互に積層される段階を含むことを特徴とする請求項6に記載のリリーフバルブ用火炎遮断部の形成方法。
【請求項8】
内燃機関のクランクケースに固定され、前記クランクケースと連通する開口を具備するベースと、
前記ベースに移動自在に固定(movably fixed)され、前記開口を選択的に開放して、前記クランクケースから前記開口を通じて選択的に高温の排出ガスを流入するゲートと、
前記開口を囲むように前記ベース上に配置され、前記排出ガスを外部に排出するための排出経路を具備し、前記排出ガスに含まれた火炎が外部に排出されることを遮断する複数の火炎遮断部、及び前記排出ガスの温度を低下させるための複数の熱伝達部が交互に配置された火炎防壁層と、
前記火炎防壁層の上面に固定されて前記開口の上部に配置され、前記ゲートおよび前記火炎防壁層と共に前記排出ガスが保存される排出空間を形成する蓋と、を含むことを特徴とする内燃機関用リリーフバルブ。
【請求項9】
前記火炎遮断部および前記熱伝達部は、前記火炎防壁層の厚さ方向に沿って交互に配置され、シリンダー形状を有する前記排出空間の半径方向に沿って交互に積層されることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関用リリーフバルブ。
【請求項10】
前記火炎遮断部は、複数の貫通ホールを具備する金属ストラップを含み、前記熱伝達部は、少なくとも一つの金属網を含み、前記火炎防壁層は、前記半径方向に沿って前記金属ストラップと金属網とが交互に配置されることを特徴とする請求項9に記載の内燃機関用リリーフバルブ。
【請求項11】
互いに隣接した前記金属ストラップに配置された前記複数の貫通ホールは、前記半径方向に沿って一列に配置され、前記排出経路を形成して、前記排出ガスは、前記火炎防壁層を貫通して排出されることを特徴とする請求項10に記載の内燃機関用リリーフバルブ。
【請求項12】
前記排出空間と隣接するように配置された前記金属ストラップに形成された前記貫通ホールの総断面積は、前記ベースに形成された前記開口の面積と同一であることを特徴とする請求項10に記載の内燃機関用リリーフバルブ。
【請求項13】
前記火炎遮断部および前記熱伝達部は、前記火炎防壁層の高さ方向に沿って交互に積層され、シリンダー形状を有する前記排出空間の中心軸に沿って交互に積層されることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関用リリーフバルブ。
【請求項14】
前記火炎遮断部は、それぞれ複数の凸部および凹部を具備する複数の屈曲型金属ストラップを含み、前記熱伝達部は、金属網を含み、前記火炎防壁層は、前記中心軸に沿って前記金属ストラップと金属網とが交互に配置されることを特徴とする請求項13に記載の内燃機関用リリーフバルブ。
【請求項15】
前記各金属ストラップの凸部は、第1ラインに沿って一列に配置され、前記各金属ストラップの凹部は、第2ラインに沿って一列に配置されるよう、前記金属ストラップは、前記中心軸に沿って配置され、前記排出経路は、互いに隣接する前記金属ストラップの間で波形の空間として形成され、前記金属網は、前記排出経路上に配置されることを特徴とする請求項14に記載の内燃機関用リリーフバルブ。
【請求項16】
前記屈曲型金属ストラップは、複数の金属片と前記金属片の各端部とを互いに連結して金属チェーンを形成する複数の連結部を含み、前記連結部に連結される一対の金属片は、前記中心軸と平行で前記連結部を貫通する連結軸に対して互いに対称に配置されることを特徴とする請求項14に記載の内燃機関用リリーフバルブ。
【請求項17】
前記火炎遮断部は、表面から一定の高さだけ突出した複数の突起部を更に含み、前記熱伝達部は、隣接した火炎遮断部から離隔空間を確保するためのスペイサーを更に含むことを特徴とする請求項8に記載の内燃機関用リリーフバルブ。
【請求項18】
前記排出ガスの圧力により前記ゲートの開放を制御するゲート調節部材を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の内燃機関用リリーフバルブ。
【請求項19】
前記ゲート調節部材は、前記蓋および前記ゲートに連結された弾性部材を含むことを特徴とする請求項18に記載の内燃機関用リリーフバルブ。
【請求項20】
前記火炎防壁層は、前記排出空間を囲む第1防壁層および前記第1防壁層の郊外に配置される第2防壁層を含み、前記第1防壁層と第2防壁層との間にバッファー空間を具備することを特徴とする請求項8に記載の内燃機関用リリーフバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−71289(P2010−71289A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217147(P2009−217147)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(509264028)ユニテック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】