説明

リーダ・ライタ盗難防止システム

【課題】リーダ・ライタの存在を監視し、確実にリーダ・ライタの盗難を防止することができるリーダ・ライタ盗難防止システムを提供する。
【解決手段】機器に搭載されるリーダ・ライタ11a〜14a,16aからの信号が到達可能な範囲内に監視センサ15,17を設け、監視センサからの信号を受信する監視サーバ18を備え、リーダ・ライタは、信号送信手段を備え、機器は、機器の稼働を停止したときに稼働停止を検知する稼働停止検知手段を備え、稼働停止検知手段は、機器の稼働を停止したことを検知したら、信号送信手段に稼働停止検知信号を送り、信号送信手段は、稼働停止検知信号を受けたら、リーダ・ライタから所定の時間間隔で監視センサへ信号を送信し、監視サーバは、機器の稼働停止時に監視センサがリーダ・ライタからの信号の受信を途絶したならば、リーダ・ライタの盗難、あるいは故障と判断する判断手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリーダ・ライタ盗難防止システムに関し、特に、リーダ・ライタを搭載する機器からリーダ・ライタが盗難されるのを防止するリーダ・ライタ盗難防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードやモバイルIC機(携帯電話機やPAD)等により定期券機能とSF(ストアドフェア)乗車券機能を有する乗車用媒体(以下「ICカード等」ともいう)を利用して、駅の改札処理を行う改札システムが開発されてきた。そして、現在、そのICカード等を利用して電車に乗車する人が多くなってきている。改札システムで設置されている自動改札機や自動券売機等は、ICカードやモバイルIC機に記憶される情報を読み取り、情報を書き込むリーダ・ライタを搭載している。そのリーダ・ライタがあれば、ICカード等に記憶される情報を改竄される可能性がある。それゆえ、リーダ・ライタが盗まれ悪用される可能性がある。そこで、リーダ・ライタ等の機器を盗まれるのを防止する装置が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−266977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1では、リーダ・ライタ等が盗難にあったときに、そのリーダ・ライタが使えなくするようにしたものであるが、リーダ・ライタを盗難することを事前に監視するものではなかった。
【0004】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、リーダ・ライタの存在を監視し、確実にリーダ・ライタの盗難を防止することができるリーダ・ライタ盗難防止システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るリーダ・ライタ盗難防止システムは、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0006】
第1のリーダ・ライタ盗難防止システム(請求項1に対応)は、ICカードのリーダ・ライタを搭載する機器からのリーダ・ライタの盗難を防止するリーダ・ライタ盗難防止システムであって、機器に搭載されるリーダ・ライタからの監視信号が到達可能な範囲内に設けられる監視センサと、監視センサからの信号を受信し、異常判定用判断手段を有する監視サーバとを備え、リーダ・ライタは監視信号送信手段を有し、かつ機器は機器の稼働を停止したときに稼働停止を検知する稼働停止検知手段を有し、稼働停止検知手段は、機器の稼働を停止したことを検知したとき、監視信号送信手段に稼働停止検知信号を送り、監視信号送信手段は、稼働停止検知信号を受けたとき、リーダ・ライタから所定の時間間隔で監視センサへ監視信号を送信し、監視サーバの判断手段は、機器の稼働停止時に監視センサがリーダ・ライタからの監視信号の受信を途絶したならば、リーダ・ライタの盗難、あるいは故障と判断することで特徴づけられる。
【0007】
上記のリーダ・ライタ盗難防止システムによれば、稼働停止検知手段は、機器の稼働を停止したことを検知したとき、監視信号送信手段に稼働停止検知信号を送り、監視信号送信手段は、稼働停止検知信号を受けたとき、リーダ・ライタから所定の時間間隔で監視センサへ監視信号を送信し、監視サーバの異常判定用判断手段は、機器の稼働停止時に監視センサがリーダ・ライタからの監視信号の受信を途絶したならば、リーダ・ライタの盗難、あるいは故障と判断するため、リーダ・ライタの存在を監視し、確実にリーダ・ライタの盗難を防止する。
【0008】
第2のリーダ・ライタ盗難防止システム(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、監視センサは、1台につき、複数台のリーダ・ライタからの監視信号を受信し、監視センサは、複数台のリーダ・ライタを個別に識別する識別手段を備えていることで特徴づけられる。
【0009】
第3のリーダ・ライタ盗難防止システム(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、複数のリーダ・ライタの各々は、リーダ・ライタと監視センサの間での通信での監視信号の衝突を避けるための信号衝突回避手段を備えていることで特徴づけられる。
【0010】
第4のリーダ・ライタ盗難防止システム(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは、リーダ・ライタからの監視信号は、暗号化されていることで特徴づけられる。
【0011】
第5のリーダ・ライタ盗難防止システム(請求項5に対応)は、上記の構成において、好ましくは、機器は、稼働停止中にリーダ・ライタが取り外され、リーダ・ライタから発信される監視信号が途絶えたら、警報を発する警報手段を備えることで特徴づけられる。
【0012】
第6のリーダ・ライタ盗難防止システム(請求項6に対応)は、上記の構成において、好ましくは、機器は駅務機器であることで特徴づけられる。この構成によれば、本発明に係るリーダ・ライタ盗難防止システムは、駅構内に配備される自動券売機、自動改札機、自動精算機、またはICカードチャージ機等の駅務機器に適用される。なお本発明に係るリーダ・ライタ盗難防止システムは、駅務機器には限定されず、リーダ・ライタを搭載する各種の機器に広く応用される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、稼働停止検知手段は、機器の稼働を停止したことを検知したとき、監視信号送信手段に稼働停止検知信号を送り、監視信号送信手段は、稼働停止検知信号を受けたとき、リーダ・ライタから所定の時間間隔で監視センサへ監視信号を送信し、監視サーバの異常判定用判断手段は、機器の稼働停止時に監視センサがリーダ・ライタからの監視信号の受信を途絶したならば、リーダ・ライタの盗難、あるいは故障と判断するため、リーダ・ライタの存在を監視し、確実にリーダ・ライタの盗難を防止する。
また、本発明によれば、監視センサは複数台のリーダ・ライタを個別に識別する識別手段を備えているため、1台の監視センサにより複数のリーダ・ライタを確実に監視することができる。
さらに、本発明によれば、リーダ・ライタは、信号衝突回避手段を備えているため、リーダ・ライタが存在し故障をしていない限りは、リーダ・ライタから発信される監視信号を監視センサにより確実に受信することができる。
また、本発明によれば、リーダ・ライタからの監視信号は暗号化されているため、にせのリーダ・ライタによるなりすましを防止することができる。
さらに、本発明によれば、機器は、稼働停止中にリーダ・ライタが取り外され、リーダ・ライタから発信される監視信号が途絶えたら、警報を発する警報手段を備えるため、リーダ・ライタが盗まれそうになったときに、例えば駅の係員が容易に気付くことができ、また、リーダ・ライタが盗まれることを未然に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図5を参照して本発明の本実施形態に係るリーダ・ライタ盗難防止システムの基本的構成を説明する。本実施形態において、リーダ・ライタ盗難防止システムは、リーダ・ライタを含む各種の駅務機器に適用される。しかし、本発明に係るリーダ・ライタ盗難防止システムの適用は、駅務機器に限定されるものではない。
【0016】
図1に示すように、リーダ・ライタ盗難防止システム10は、駅の改札口に設けられた自動改札機11,12,13,14と、各自動改札機11,12,13,14にそれぞれ搭載されたリーダ・ライタ11a,12a,13a,14aからの監視信号を受信できる範囲に設けられた監視センサ15を備えている。また、リーダ・ライタ盗難防止システム10は、自動券売機16と、自動券売機16に搭載されたリーダ・ライタ16aからの監視信号を受信する監視センサ17を備えている。さらに、リーダ・ライタ盗難防止システム10は、監視センサ15,17からの信号を受け取り、各リーダ・ライタ11a,12a,13a,14a,16aの存在の監視を行う監視サーバ18と、監視サーバ18からの信号に基づいて動作する、自動改札機11,12,13,14と自動券売機16の各機器にそれぞれ設けられた警報装置11b,12b,13b,14b,16bと、監視サーバ18に設けられた警報装置18bと、自動改札機11,12,13,14と自動券売機16の各機器の稼働状態を観測し、その稼働状態の情報を監視サーバ18に送る稼働状態観測部19とから構成される。また、監視センサ15からの信号は、配線20によって監視サーバ18に送られ、監視センサ17からの信号は配線21によって監視サーバ18に送られる。さらに、自動改札機11,12,13,14と自動券売機16の稼働状態に係る信号は配線22によって稼働状態観測部19に送られ、稼働状態観測部19からの稼働状態の情報は、配線23によって監視サーバ18に送られる。また、監視サーバ18からの警報装置11b,12b,13b,14b,16bへの信号は、配線24によって送られる。
【0017】
稼働状態観測部19によって、自動改札機11,12,13,14と自動券売機16が稼働している状態であることを観測した場合には、稼働状態観測部19は、各機器が稼働中であるという情報を監視サーバ18に送る。それにより、監視サーバ18は、監視を行わない状態を保っている。一方、図示しない上位コンピュータからの停止指令により、自動改札機11,12,13,14と自動券売機16が稼働停止となった場合、稼働状態観測部19は、各機器が稼働停止状態であることを観測し、その観測された稼働停止に係る情報を監視サーバ18に送る。それにより、監視サーバ18は、監視処理プログラムの実行を始める。自動改札機11,12,13,14と自動券売機16は、図2と図3で示される稼働停止検知部34,54で稼働停止を検知し、その稼働停止に係る情報をリーダ・ライタ11a,12a,13a,14a,16aに送り、それにより、リーダ・ライタ11a,12a,13a,14a,16aの監視信号送信部35,55によって監視信号が所定の時間間隔で監視センサ15あるいは監視センサ17に向けて発信する。このときの監視信号は、図2と図3でそれぞれ示す暗号化処理部36,56によって暗号化された信号として送られる。監視センサ15は、リーダ・ライタ11a,12a,13a,14aからの監視信号を受信する。そのとき、図4で示すリーダ・ライタ識別部61によってどの監視信号がどの自動改札機のリーダ・ライタからの監視信号かを識別して、その識別した情報と共に監視信号を受け取ったという情報を監視サーバ18に送る。監視センサ17は、リーダ・ライタ16aからの監視信号を受信する。そのとき、図4で示すリーダ・ライタ識別部によってどの監視信号がどの自動券売機のリーダ・ライタからの監視信号を識別して、その識別した情報と共に監視信号を受け取ったという情報を監視サーバに送る。もし、リーダ・ライタ11a,12a,13a,14a,16aのいずれかが盗難にあうかあるいは故障した場合には、その盗難にあうかあるいは故障したリーダ・ライタからの監視信号を監視センサ15あるいは監視センサ17は受信できない。そのとき、監視サーバ18は、監視センサ15,17からの信号に盗難あるいは故障したリーダ・ライタからの監視信号を受信できないという情報が入っているので、図5で示す監視サーバ18の盗難・故障判断部74は、警報装置作動信号を出力し、対応する警報装置と監視サーバ18の警報装置18bが作動する。それによって、駅の係員は、リーダ・ライタが盗まれそうになっているか故障をしているかに気付くことができる。また、リーダ・ライタが盗まれそうになると警報装置が作動するので、盗難にあうことを阻止することができる。
【0018】
次に、自動改札機、自動券売機、監視センサ、監視サーバの各機器の内部構成を図2〜図5に基づいて詳細に説明する。
【0019】
自動改札機11の内部構成は、図2に示される。自動改札機12,13,14の内部構成も、自動改札機11と同様であるので、説明は自動改札機11に対してのみ行う。自動改札機11は、機能部として、ゲート30と、ICカード等の情報を読み込み、残額を書き込むリーダ・ライタ11aと、読み込んだ情報を上位コンピュータ40に送信する送信部31と、送信した情報に基づいて上位コンピュータ40が送信してくるゲートを開けるかどうかの情報を受信する受信部32と、受信部32で受信した情報に基づいてゲート30の開閉を制御するゲート制御部33を備えている。また、自動改札機11は、機器の稼働を検知し、検知信号をリーダ・ライタ11aに送る稼働停止検知部34を備えている。リーダ・ライタ11aは、監視信号送信部35と暗号化処理部36を備え、稼働停止検知部34からの稼働停止検知に係る信号を受けると、暗号化処理部36によって暗号化された監視信号が監視信号送信部35から監視センサ15に向けて発信される。この暗号化処理部36は、リーダ・ライタ11aを盗み、エミュレータのようなもので偽通信を監視センサに対して行うリーダ・ライタなりすましを防止するため、時刻などの変動パラメータを用いて秘密鍵方式で監視信号を暗号化する。また、監視信号送信部35は、機器が停止したことを検知したら、例えば、数分に1回程度監視信号を監視センサ15に送る。このとき、このリーダ・ライタ11aは、バックアップ電源での稼働であるため、監視信号の発信の時間間隔は、極力消費電力を抑えるように決定され、通信休止中は、極力消費電力を抑えるよう制御を行う。さらに、リーダ・ライタ11aは、信号衝突回避部37を備え、アンチコリジョン制御による通信復元や時分割により信号の衝突回避を行い、監視領域に複数のリーダ・ライタがあるときのリーダ・ライタ間での監視信号の交錯や衝突が起こらないように監視信号送信部35からの監視信号の発信を制御している。また、自動改札機11には、監視サーバ18からの信号に基づいて動作する警報装置11bを備えている。リーダ・ライタ11aと送信部31と受信部32とゲート制御部33と稼働停止検知部34の各動作は、制御部38によって制御される。なお、機器が停止中のリーダ・ライタ11aは、バックアップ電源により、監視センサとの通信が可能な状態になっている。
【0020】
上位コンピュータ40は、自動改札機11の電源のオンオフを指令し、稼働の停止指令を発したら、自動改札機11は稼働を停止する。稼働を停止するとその停止状態を稼働停止検知部34は検知し、リーダ・ライタ11aにその稼働停止検知に係る信号を送る。それにより、リーダ・ライタ11aは、暗号化処理部36で暗号化された監視信号を監視信号送信部35から監視センサ15に向けて所定の時間間隔で発信する。また、送信部31は、稼働停止状態に係る信号を稼働状態観測部19に送る。稼働状態観測部19は停止状態に係る信号を監視サーバ18に送る。監視サーバ18は、監視処理プログラムの実行を開始し、監視状態に入る。この状態で、もし、リーダ・ライタ11aが盗難にあいそうになったり、故障したときは、リーダ・ライタ11aの監視信号送信部35からの監視信号が監視センサ15で受信できなくなる。それにより、監視サーバ18は、リーダ・ライタ11aの盗難にあいそうな状態あるいは故障を判断し、対応する警報装置11bに警報動作指令信号を送る。それにより、警報装置11bは動作する。これによって、駅の係員がリーダ・ライタ11aが盗まれそうな状態であることあるいは故障であることに気づき、また、盗もうとしている人に警報を発するので、盗難を未然に防ぐことができる。
【0021】
自動券売機16の内部構成は、図3に示される。自動券売機16は、機能部として、ICカード等の情報を読み込み、残額を書き込むリーダ・ライタ16aと、読み込んだ情報を上位コンピュータ40に送信する送信部51と、送信した情報に基づいて上位コンピュータ40が送信してくる発券あるいはICカードへの書き込みの情報を受信する受信部52と、受信部52で受信した情報に基づいて発券する発券処理部53を備えている。また、自動券売機16は、機器の稼働を検知し、検知信号をリーダ・ライタ16aに送る稼働停止検知部54を備えている。リーダ・ライタ16aは、監視信号送信部55と暗号化処理部56を備え、稼働停止検知部54からの稼働停止検知に係る信号を受けると、暗号化処理部56によって暗号化された監視信号が監視信号送信部55から監視センサ17に向けて発信される。なお、このリーダ・ライタ16aも自動改札機11が備えたリーダ・ライタ11aと同様に信号衝突回避部57を備えている。そして、信号衝突回避部57は、信号衝突回避部37と同様の機能を持つので、詳細な説明は省略する。暗号化処理部56と監視信号送信部55もそれぞれ自動改札機11に設けられた暗号化処理部36と監視信号送信部35と同様の機能を有するので、詳細は省略する。また、自動券売機16には、監視サーバ18からの信号に基づいて動作する警報装置16bを備えている。リーダ・ライタ16aと送信部51と受信部52と発券処理部53と稼働停止検知部54の各動作は、制御部58によって制御される。
【0022】
上位コンピュータ40は、自動券売機16の電源のオンオフを指令し、稼働の停止指令を発したら、自動券売機16は稼働を停止する。稼働を停止するとその停止状態を稼働停止検知部54は検知し、リーダ・ライタ16aにその稼働停止検知に係る信号を送る。それにより、リーダ・ライタ16aは、暗号化処理部56で暗号化された監視信号を監視信号送信部55から監視センサ17に向けて所定の時間間隔で発信する。また、送信部51は、稼働停止状態に係る信号を稼働状態観測部19に送る。稼働状態観測部19は停止状態に係る信号を監視サーバ18に送る。監視サーバ18は、監視処理プログラムの実行を開始し、監視状態に入る。この状態で、もし、リーダ・ライタ16aが盗難にあいそうになったり、故障したときは、リーダ・ライタ16aの監視信号送信部55からの監視信号が監視センサ17で受信できなくなる。それにより、監視サーバ18は、リーダ・ライタ16aの盗難にあいそうな状態あるいは故障を判断し、対応する警報装置16bに警報動作指令信号を送る。それにより、警報装置16bは動作する。これによって、駅の係員がリーダ・ライタ16aが盗まれそうな状態であることあるいは故障であることに気づき、また、盗もうとしている人に警報を発するので、盗難を未然に防ぐことができる。
【0023】
監視センサ15の内部構成は、図4に示される。なお、監視センサ17も監視センサ15の内部構成と同様であるので、ここでは、監視センサ15のみに対して説明を行う。監視センサ15は、リーダ・ライタ11a,12a,13a,14aからの監視信号を受信するセンサ部60と、受信した監視信号がどの機器から発信された監視信号かを識別するリーダ・ライタ識別部61と、識別された信号を監視サーバ18に送る送信部63を備えている。また、センサ部60とリーダ・ライタ識別部61と送信部63の制御を行う制御部64を備えている。
【0024】
この監視センサ15では、リーダ・ライタ11a,12a,13a,14aから発信される監視信号をセンサ部60で受信し、リーダ・ライタ識別部61によって、どのリーダ・ライタから発信された監視信号かを識別し、その識別した情報とともに監視信号を受信していることを送信部63から監視サーバ18に送る。
【0025】
監視サーバ18は、各機器に搭載されるリーダ・ライタ11a,12a,13a,14a,16aの存在を監視するために、監視センサ15,17からの信号を受け、稼働停止状態で監視信号を受信しなくなったときに、警報装置11b,12b,13b,14b,16bのいずれかに警報動作信号を送ることを行う。図5に示すごとく、機能部として、受信部71と稼働情報処理部72とデータベース73と盗難・故障判断部74を備えたリーダ・ライタ監視情報処理部75と警報装置76と送信部77と制御部78を備えている。受信部71は、稼働状態観測部19からの稼働状態に係る情報と監視センサ15,17からの信号を受信する装置である。データベース73は、稼働状態と監視センサ15,17からの信号の時間変動の情報を記憶する装置である。稼働情報処理部72は、稼働状態が稼働中か停止中かを判断し、停止中になったならば、その停止中に係る信号をリーダ・ライタ監視情報処理部75に送る装置である。リーダ・ライタ監視情報処理部75は、監視処理プログラムを備え、稼働情報処理部72からの稼働停止中の情報を得たならば、監視処理プログラムの実行が開始される。監視処理プラグラムには、稼働停止中において監視センサ15,17からの信号から、リーダ・ライタからの監視信号が途絶えた情報を得たとき、リーダ・ライタの盗難あるいは故障を判断するプログラムを備え、そのプログラムによって盗難・故障判断部74を形成している。受信部71と稼働情報処理部72とデータベース73、リーダ・ライタ監視情報処理部75、警報装置76、送信部77、の各動作は、制御部78に基づいて制御される。
【0026】
次に、本実施形態のリーダ・ライタ盗難防止システム10における処理を詳細に説明する。図6は例えば機器に備えられた稼働停止検知部34,54とリーダ・ライタ11a,12a,13a,14a,16aと監視センサ15,17と監視サーバ18と警報装置11b,12b,13b,14b,16bのそれぞれでの処理を示すフローチャートである。
【0027】
本実施形態のリーダ・ライタ盗難防止システム10の処理は、各機器の稼働が停止されたときから開始される。稼働停止検知部34,54は、稼働停止を検知したかどうか判断する(ステップS11)。もし、稼働が停止されないときは、それを繰り返す。もし、上位コンピュータ40の指令により、稼働が停止されたならば、稼働停止検知部34,54は、稼働停止を検知し、リーダ・ライタ11a,16aに稼働停止検知信号を送る(ステップS12)。リーダ・ライタ11a,16aは、稼働停止検知信号を受信したかどうか判断する(ステップS21)。稼働停止検知信号を受信しないときは、それを繰り返す。もし、稼働停止検知信号を受けたら、リーダ・ライタ11a,16aから所定の時間間隔で監視センサ15,17へ信号を送信する(ステップS22)。監視センサ15,17は、監視信号の受信をする(ステップS31)。そして、監視センサ15,17は、リーダ・ライタ11a,16aを識別する(ステップS32)。識別した情報とともに監視信号受信したかどうかの情報を監視サーバ18に送る(ステップS33)。監視サーバ18は、その情報の中に機器の稼働停止時にリーダ・ライタ11a,16aからの監視信号があるかどうか判断する(ステップS41)。もし、すべてのリーダ・ライタ11a,12a,13a,14a,16aからの監視信号があるならば、監視を続行する。
【0028】
ステップS41で監視信号が途絶えた情報を得たならば、対応する警報装置11b,16b,76に警報装置作動信号を送信する(ステップS42)。警報装置11b,16b,76は、警報装置作動信号を受信したかどうか判断する(ステップS51)。もし、受信していなければ、それを繰り返す。もし、警報装置作動信号を受信したならば、警報装置11b,16b,76を作動する(ステップS52)。それにより、駅の係員がリーダ・ライタの盗難あるいは故障に気付くことができる。また、リーダ・ライタを盗もうとしている人は、盗難をためらい、それにより、未然に盗難を阻止することができる。
【0029】
以上のように、リーダ・ライタの存在を監視し、確実にリーダ・ライタの盗難を防止することができる。
【0030】
なお、機器が稼働中のリーダ・ライタの盗難は、搭載機器自体がリーダ・ライタと通信が途絶するため、盗難に気付くことができる。
【0031】
また、本実施形態では、自動改札機と自動券売機に搭載されたリーダ・ライタの盗難を防止するシステムを説明したが、このリーダ・ライタ盗難防止システムは、自動精算機、ICカードチャージ機等の他の駅務機器に搭載されたリーダ・ライタの盗難を防止するシステムとしても応用することができる。さらに、本発明に係るリーダ・ライタ盗難防止システムは、リーダ・ライタを搭載する一般的な機器、例えば駅構内のショップでのICカードや携帯電話による料金支払機、コンビニでの同様な料金支払い機、銀行等の金融機関の端末装置等にも適用できる。
【0032】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、駅務機器等のリーダ・ライタ搭載機器からのリーダ・ライタの盗難を防止するリーダ・ライタ盗難防止システムとして利用される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係るリーダ・ライタ盗難防止システムの構成を説明するための図である。
【図2】本実施形態の自動改札機の構成を説明するためのブロック図である。
【図3】本実施形態の自動券売機の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】本実施形態の監視センサの構成を説明するためのブロック図である。
【図5】本実施形態の監視サーバの構成を説明するためのブロック図である。
【図6】本実施形態のリーダ・ライタ盗難防止システムにおける処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
10 リーダ・ライタ盗難防止システム
11,12 自動改札機
13,14 自動改札機
11a,12a リーダ・ライタ
13a,14a リーダ・ライタ
11b,12b 警報装置
13b,14b 警報装置
15 監視センサ
16 自動券売機
16a リーダ・ライタ
16b 警報装置
17 監視センサ
18 監視サーバ
18b 警報装置
19 稼働状態観測部
34 稼働停止検知部
35 監視信号送信部
36 暗号化処理部
37 信号衝突回避部
74 盗難・故障判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードのリーダ・ライタを搭載する機器からの前記リーダ・ライタの盗難を防止するリーダ・ライタ盗難防止システムであって、
前記機器に搭載される前記リーダ・ライタからの監視信号が到達可能な範囲内に設けられる監視センサと、
前記監視センサからの信号を受信し、異常判定用判断手段を有する監視サーバとを備え、
前記リーダ・ライタは監視信号送信手段を有し、かつ前記機器は前記機器の稼働を停止したときに稼働停止を検知する稼働停止検知手段を有し、
前記稼働停止検知手段は、前記機器の稼働を停止したことを検知したとき、前記監視信号送信手段に稼働停止検知信号を送り、前記監視信号送信手段は、前記稼働停止検知信号を受けたとき、前記リーダ・ライタから所定の時間間隔で前記監視センサへ前記監視信号を送信し、
前記監視サーバの前記判断手段は、前記機器の稼働停止時に前記監視センサが前記リーダ・ライタからの監視信号の受信を途絶したならば、前記リーダ・ライタの盗難、あるいは故障と判断することを特徴とするリーダ・ライタ盗難防止システム。
【請求項2】
前記監視センサは、1台につき、複数台のリーダ・ライタからの前記監視信号を受信し、前記監視センサは、前記複数台のリーダ・ライタを個別に識別する識別手段を備えていることを特徴とする請求項1項に記載のリーダ・ライタ盗難防止システム。
【請求項3】
前記複数のリーダ・ライタの各々は、前記リーダ・ライタと前記監視センサの間での通信での前記監視信号の衝突を避けるための信号衝突回避手段を備えていることを特徴とする請求項2記載のリーダ・ライタ盗難防止システム。
【請求項4】
前記リーダ・ライタからの前記監視信号は暗号化されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリーダ・ライタ盗難防止システム。
【請求項5】
前記機器は、稼働停止中に前記リーダ・ライタが取り外され、前記リーダ・ライタから発信される前記監視信号が途絶えたら、警報を発する警報手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリーダ・ライタ盗難防止システム。
【請求項6】
前記機器は駅務機器であることを特徴とする請求項1記載のリーダ・ライタ盗難防止システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−226331(P2007−226331A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−44161(P2006−44161)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】