リーフシール
【課題】リーフシールの性能の向上を図る。
【解決手段】二つの構成要素間でシールを行うリーフシールで使用するためのリーフ−スペーサ対を形成するための方法であって、(a)厚さがほぼ一様なシート領域を提供する工程であって、シート領域は、リーフ区分部分、ルート区分部分、及びルート区分部分に折り目線に沿って連結されたスペーサ部分を有し、前記ルート区分部分からリーフ区分部分が延びる、工程と、(b)ルート区分部分及び/又はスペーサ部分を薄くし、リーフ区分部分は前記厚さを保持する工程と、(c)スペーサ部分をルート区分部分上に折り目線に沿って折り畳み、スペーサがルート区分と重なり且つリーフ区分が延びるリーフ−スペーサ対を形成する工程とを含む、方法を提供する。
【解決手段】二つの構成要素間でシールを行うリーフシールで使用するためのリーフ−スペーサ対を形成するための方法であって、(a)厚さがほぼ一様なシート領域を提供する工程であって、シート領域は、リーフ区分部分、ルート区分部分、及びルート区分部分に折り目線に沿って連結されたスペーサ部分を有し、前記ルート区分部分からリーフ区分部分が延びる、工程と、(b)ルート区分部分及び/又はスペーサ部分を薄くし、リーフ区分部分は前記厚さを保持する工程と、(c)スペーサ部分をルート区分部分上に折り目線に沿って折り畳み、スペーサがルート区分と重なり且つリーフ区分が延びるリーフ−スペーサ対を形成する工程とを含む、方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーフシールで使用するためのリーフスペーサ対又はリーフスタックを形成するための方法(プロセス)に関する。
【背景技術】
【0002】
図1を参照すると、全体に参照番号10を付したダクト付き(ダクテッド)ファンガスタービンエンジンは、主軸線即ち回転軸線X−Xを有する。エンジンは、軸流列で、エアインテーク11、推進ファン12、中圧コンプレッサ13、高圧コンプレッサ14、燃焼器15、高圧タービン16、中圧タービン17、低圧タービン18、及びコアエンジン排気ノズル19を含む。ナセル21がエンジン10を全体に取り囲んでおり、インテーク11、バイパスダクト22、及びバイパス排気ノズル23を形成する。
【0003】
ガスタービンエンジン10は、従来の方法で作動し、インテーク11に入った空気がファン12によって加速され、二つの空気流、即ち中圧コンプレッサ13内への第1空気流A及びバイパスダクト22を通過する空気流Bを発生し、推進力を提供する。中圧コンプレッサ13は、このコンプレッサに差し向けられた空気流Aを圧縮し、その後、この空気が高圧コンプレッサ14に送出され、高圧コンプレッサ14で更に圧縮が行われる。
【0004】
高圧コンプレッサ14から排出された圧縮空気は燃焼器15に差し向けられ、ここで燃料と混合され、混合物を燃焼する。次いで、結果的に得られた高温燃焼生成物が膨張し、これによって、ノズル19を通して排出される前に高圧タービン16、中圧タービン17、及び低圧タービン18を駆動し、その後、ノズル19を通して排出され、追加の推進力を提供する。高圧タービン16、中圧タービン17、及び低圧タービン18は、夫々、適切な相互連結シャフトによって高圧コンプレッサ14、中圧コンプレッサ13、及びファン12を駆動する。
【0005】
リーフ材料の形材で形成されたリーフシールが適切に設けられている。これは、アッセンブリの夫々のリーフの並置されたリーフ縁部からシール面を形成するためである。代表的には、リーフは、リーフ縁部及び従ってシール面をシャフトに向けて(あるいは、臨ませて)、シール障壁を構成するために、回転シャフトを中心として周方向に配置されている。代表的には、リーフ縁部及び従ってシール面をシャフトに向けてシールエレメントを正確に配置するため、各リーフ間にスペーサ部材が設けられている。これらのスペーサは、独立した構成要素であってもよいし、各リーフと一体に形成されていてもよい。リーフ縁部及び従ってシール面は、回転面に対して効果的に上下に浮動する。
【0006】
ガスタービンエンジンでは、リーフシールを使用して、定置構成要素と回転構成要素との間にシールを形成でき、相対的に回転する二つの構成要素間にシールを形成でき、又は場合によっては二つの定置構成要素間にシールを形成できる。このようにして、シールの一方の側に比較的高い圧力を維持でき、また、シールの他方の側に比較的低い圧力を維持できる。図2は、リーフシールアッセンブリ31の一部の部分断面概略斜視図を示す。リーフシールアッセンブリ31は、スペーサエレメント33から延びるシールエレメント32を含む。これらのスペーサエレメント33は、側プレート35を持つバッキングリング34を含むハウジングに固定されている。シールリーフエレメント32のリーフ縁部36が、矢印38が示す方向に回転している回転構成要素の表面37に向けて配置されている。アッセンブリ31に亘ってシールを形成するため、リーフ32、詳細にはリーフ32のリーフ縁部36が表面37に作用する。各リーフ形材32は、良好なシール効果が形成されるように表面11の回転に関して調節できるように適応性を有している。スペーサ33は、一般的には、調節自在性が得られるようにする上で必要とされている。これによって、リーフシールエレメント32を表面37に向かって適切に配置でき、図示のように、これらの間に所定の傾斜角度(inclined angle)を以て配置できる。
【0007】
リーフシールの組み立ては比較的複雑である。これは、アッセンブリに多数のリーフが含まれており、最良の効果を得るためにリーフを正確に整合し且つ離間することが重要であるためである。プリーツ状のバンド又はストリップを使用してリーフシールを形成することが、WO015933802に提案されており且つ記載されている。この構成では、打ち抜き加工によって金属製ストリップを形成して、複数のリーフシールエレメント及びストリップ又はバンドを形成する。次いで、折り畳んで、蛇腹状に圧縮することによってリーフシールを形成し、シールが行われるべき表面に向かって配置できるように、ハウジング内に取り付けられる。残念なことに、このような構成は、理想的なものではではない。これは、リーフシールエレメントの縁部が、全体として、シールされるべき表面に向かって効率的に配置できないためである。各シールエレメントは実質的に平らであり、圧縮状態で各シールエレメントの隅部のところで折り畳んだ区分に大きな歪が生じるようにエレメント自体に当接するためであり、最良のシール効果を得るにはエレメント間の空間の制御が不適切であるためである。リーフシールは、有効であるためには、リーフ縁部間の空間で決まるということは理解されよう。リーフ縁部が効果的に垂下していない場合には、リーフの下に大きな隙間が形成されるか或いはリーフ縁部がシャフトに強く押し付けられる。これらは、両方とも、シールを無効にしてしまう。
【0008】
EP A 1878955は、エッチングリーフを含むストリップが形成するリーフシールを形成する方法を提案する。各リーフは、各リーフをその隣接したリーフに対して蛇腹状に折り畳み、ストリップを折り畳んだときに段部を形成するように所定の傾斜角でエッチングがなされ、これによって、各リーフ縁部が形成するシール面を提供するようにリーフが並置される。更に、EP A 1878955には、ストリップにリーフをエッチングで形成する工程を含み、各リーフがスペーサ区分を有し、リーフ用のスペーサが、少なくとも幾つかのリーフのうちの残りのリーフの少なくとも一部を除去することによって形成されたリーフシールを形成する方法が提案されている。
【0009】
かくして、図3は、リーフシール区分51の夫々を形成するため、適切に光化学加工されたストリップ50を概略に示す。各リーフシール区分51は、シールエレメントリーフ52及びルート区分53を含む。例示を便利にするために強調した傾斜角Lのため、必要に応じて除去される側部54及び頂部55に関して無駄になる領域がある。ルート区分53は、作動リーフシールエレメント52よりも肉厚の区分であり、これは、リーフシールエレメント52に光化学加工等の適切な加工を施すことにより、ストリップ50で行われる。各リーフ区分51間には、ジグザグに折り畳むことができるように折り畳み区分56が設けられている。更に、曲げを行う際の応力を低減するため、折り畳み区分56を薄くできる。
【0010】
図4は、折り畳み区分56を設けることによって形成されたリーフ区分の折り畳みと、図3に示されたストリップ50からの廃棄領域54、55の除去とを概略に示す。かくして、廃棄領域54、55を除去した状態でわかるように、ルート区分53は、それでも、折り目線56のところで食い違い形体で取り付けられている。折り畳み区分56が比較的薄い区分であるため、これらの区分56のところでジグザグに折り畳むことができる。これは、図4(a)に示す工程を通って、図4(B)に示す適切な設置角度(lay angle) のシールエレメント52を提供する、ルート区分53が並置された圧縮スタック又はタフト60を形成するために行われる。本質的には、スタック60は、下リーフ縁部61が、使用時にシール面に対して適切に向けられるように傾斜している。
【0011】
代表的には、使用時にシールアッセンブリに亘って所望の圧力分布が得られるように、並置されたルート区分53によってプレナムチャンバを形成するため、各ルート区分53に穴62が設けられている。
【0012】
図5及び図6に示すように、折り畳み区分86間にリーフエレメント81が形成されたストリップ80を形成できる。しかし、これらの図では、交互のリーフ区分81a、81bは、
リーフ区分81aでは、ルート区分83aにリーフシールエレメント82が設けられているが、
隣接したリーフ区分81bでは、シールエレメント82が取り付けられたルート区分83a間のスペーサ83b以外のストリップ全体(即ち領域85並びに87)が取り付けられるように、
構成されている。これにより、比較的大きなリーフ間隙間を形成できる。
【0013】
次いで、ルート区分83a及びスペーサ83bが互いに交互に並置された圧縮スタック90を形成するため、折り畳み縁部86を中心として折り畳みを行うことができる。この場合も、ルート区分83a及びスペーサ83bの各々の穴92によって圧力均衡プレナムチャンバが形成される。穴92は、シール効率を得るため、シールアッセンブリに亘って環状に延びる。
【0014】
更に、リーフ−スペーサ対が提供される。複数のこのような対を組み立ててリーフシールアッセンブリにすることができる。
図7(a)に示すように、ダブルサイドアーム構成は、ルート区分103aを有している。ルート区分103aには、最終的なシールアッセンブリで圧力を分配するためのプレナムチャンバを形成する穴106が設けられている。この場合も、シールエレメント102が固定されたスペーサ103aと、スペーサ103bとの間に段部が設けられるように、折り畳み区分101が提供される。図7(a)に示すダブルアーム構成では、ルート区分103aにおいて、エレメント102の両側にアーム100が設けられている。リーフ−スペーサ折り畳み対を形成するストリップの傾斜角によって、段部をなした整合104が決定される。
【0015】
図7(b)に示すように、単アームリーフ−スペーサ折り畳み対を示す。かくして、この場合も、シールエレメント202が固定されたルート区分203aが提供される。ルート区分には、使用時に圧力を分配するためのプレナムチャンバを形成するため、穴206が設けられている。ルート区分203aとスペーサ203bとの間には段部が形成されている。この場合も、以下に説明するようにリーフシールアッセンブリに組み込むためのリーフ−スペーサ折り畳み対を形成するため、ルート区分203aとスペーサ203bとの間に折り畳み区分201が形成されている。
【0016】
図7に示すリーフ−スペーサ折り畳み対の両構成は、光化学加工することによってシートから適切に形成でき、これらの構成は、両方とも、アッセンブリの強度を向上するため、強化部材107、207を備えていてもよい。
【0017】
EP A 1878955に説明されているように、上文中に説明したリーフスタック及びリーフ−スペーサ折り畳み対をアッセンブリジグに嵌着し、例えば溶接や鑞付けによって互いに接合し、完成したリーフシールアッセンブリを形成する。接合後、折り畳み区分全体を機械加工によって除去する。例えば、図8は、二つのリーフ区分間の折り畳みを強調した図である。かくしてリーフ区分41aを押し込み当接し、鑞付けや溶接等でリーフ区分41bに所定位置に固定する。折り畳み区分45は薄くなっており、応力を低減するために図示のように丸みが付けてある。リーフ区分41a、41bを互いに鑞付けした後、破線40の左側の区分を機械加工によって除去してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】WO015933802
【特許文献2】EP A 1878955
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、リーフシールの性能の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
従って、本発明の第1の態様は、二つの構成要素間でシールを行うリーフシールで使用するためのリーフ−スペーサ対を形成するための方法であって、リーフ−スペーサ対は、
一方の構成要素と払拭接触状態を維持するリーフ区分と、他方の構成要素に対して固定されたルート区分とを有し、ルート区分からリーフ区分が延びており、リーフ−スペーサ対は、更に、ルート区分と重なったスペーサを有する、方法において、
(a)厚さがほぼ一様なシート領域を提供する工程であって、シート領域は、リーフ区分部分、ルート区分部分、及びルート区分部分に折り目線に沿って連結されたスペーサ部分を有し、前記ルート区分部分からリーフ区分部分が延びる、工程と、
(b)ルート区分部分及び/又はスペーサ部分を薄くし、リーフ区分部分は前記厚さを保持する工程と、
(c)スペーサ部分をルート区分部分上に折り目線に沿って折り畳み、スペーサがルート区分と重なり且つリーフ区分が延びるリーフ−スペーサ対を形成する工程とを含む、方法を提供する。
【0021】
本発明の第2の態様は、リーフシールで使用するためのリーフスタックを形成するための方法において、
請求項1に記載の方法を繰り返し実行することによって複数のリーフ−スペーサ対を形成する工程と、
リーフ−スペーサ対を組み合わせてスタックにする工程であって、当該スタックでは、リーフ区分が面と面とを向き合わせて配置されており、リーフ区分を制御された距離だけ離間するためにスペーサがルート区分間に配置された前記スタックにする工程を含む、方法を提供する。
【0022】
本発明の関連する第3の態様は、二つの構成要素間でシールを行うリーフシールで使用するためのリーフスタックを形成するための方法であって、スタックの各リーフは、一方の構成要素と払拭接触状態を維持するリーフ区分及び他方の構成要素に対して固定されたルート区分を有し、ルート区分からリーフ区分が延びており、スタックは、ルート区分間に配置された複数のスペーサを含む、方法において、
(a)複数のシート領域を含む、厚さがほぼ一様なシートを提供する工程であって、各シート領域は、リーフ区分部分、ルート区分部分、及びスペーサ部分を含み、ルート区分部分からリーフ区分部分が延び、スペーサ部分は、第1折り目線に沿ってルート区分部分に連結され、各シート領域のスペーサ部分は、更に、隣接したシート領域のルート区分部分に第2折り目線に沿って連結され、連結されたルート区分部分及びスペーサ部分の交互の線を形成する、工程と、
(b)各シート領域について、夫々のルート区分部分及び/又は夫々のスペーサ部分を薄くし、夫々のリーフ区分部分が厚さを保持する、工程と、
(c)各シート領域について、夫々のスペーサ部分を夫々のルート区分部分上に折り畳まれてリーフ−スペーサ対を形成するように、スペーサ部分及びルート区分部分の交互の線を、第1及び第2の折り目線に沿ってジグザグに折り畳む工程であって、リーフ−スペーサ対を組み合わせ、リーフ区分が面と面とを向き合わせて配置されており、リーフ区分を制御された距離だけ離間するためにスペーサがルート区分間に配置されたスタックにする工程とを含む、方法を提供する。
【0023】
本発明の第4の態様は、リーフシールで使用するための、第1の態様の方法によって形成されたリーフ−スペーサ対を提供する。かくして、第4の態様は、二つの構成要素間にシールを形成するリーフシールで使用するためのリーフ−スペーサ対を提供する。リーフ−スペーサ対は、リーフシールにおいて一方の構成要素と払拭接触状態を維持するリーフ区分と、リーフシールにおいて他方の構成要素に対して固定されたルート区分とを有し、ルート区分からリーフ区分が延びている。リーフ−スペーサ対は、更に、ルート区分と重なったスペーサを有する。リーフ区分、ルート区分、及びスペーサは、厚さがほぼ一様なシート領域から形成される。スペーサは、折り目線に沿ってルート区分に連結されており、折り目線に沿ってルート区分上に折り畳まれる。ルート区分及び/又はスペーサ部分は前記厚さに対して薄くされているが、リーフ区分は前記厚さを保持する。本発明の第5の態様は、リーフシールで使用するための、第2又は第3の方法によって形成されたリーフスタックを提供する。かくして、第5の態様は、リーフシールで使用するためのリーフスタックを提供する。スタックは、第2態様の複数のリーフ−スペーサ対を含む。リーフ−スペーサ対が組み合わされてスタック(すなわち、積層構造体)にされている。前記スタックでは、リーフ区分が面と面とを向き合わせて配置されており、リーフ区分を制御された距離だけ離間するためにスペーサがルート区分間に配置されている。第5の態様は、更に、リーフシールで使用するための、複数のリーフ−スペーサ対を含むリーフスタックを提供する。各リーフ−スペーサ対は、リーフシールにおいて一方の構成要素と払拭接触状態を維持するリーフ区分と、リーフシールにおいて他方の構成要素に固定されたルート区分とを含む。ルート区分からリーフ区分が延びている。各リーフ−スペーサ対は、更に、ルート区分と重なるスペーサを有する。リーフ−スペーサ対を組み合わせ、これにより、リーフ区分が面と面とを向き合わせて配置されており、リーフ区分を制御された距離だけ離間するためにスペーサがルート区分に配置されたスタックにする。スタックは、厚さがほぼ一様なジグザグに折り畳んだシートから形成される。スペーサ及びルート区分は、シートに亘り、折り目線に沿って交互の線をなして連結されている。リーフ区分はルート区分から延びており、ルート区分部分及び/又はスペーサ部分を前記厚さに対して薄くするが、リーフ区分は前記厚さを保持する。本発明の第6の態様は、第4態様の一つ又はそれ以上のリーフ−スペーサ対又は第5態様一つ又はそれ以上のリーフスタックを含むリーフシールを提供する。
【0024】
本発明は、少なくとも部分的には、リーフ区分を薄くすることには、表面仕上げが損なわれ、リーフ区分の早期破損が生じるという問題があるという認識に基づく。しかしながら、有利には、リーフ区分でなくルート区分部分及び/又はスペーサ部分を薄くすることによって、リーフ区分間の距離を制御でき、リーフ区分の厚さを元のままにしておくことができる。
【0025】
次に、本発明の随意の特徴を説明する。これらの特徴は、単独で、又は本発明の任意の態様との任意の組み合わせで適用できる。
工程(b)の選択肢は、ルート区分部分だけを薄くすること、スペーサ部分だけを薄くすること、又はルート区分部分及びスペーサ部分の両方を薄くすることである。夫々の部分の一方の側だけを薄くしてもよいし、両側を薄くしてもよい。
【0026】
工程(a)では、シートは、好ましくは圧延シートであり、工程(b)では、リーフ区分部分は圧延時の表面仕上げを保持する。例えば、シートは、冷間圧延シートであってもよい。有利には、冷間圧延仕上げが、リーフ区分の性能及び信頼性を向上するということがわかっている。
【0027】
工程(b)は、代表的には、折り目線又は各折り目線を薄くする工程を含む。
工程(b)では、薄くする工程は、光化学加工によって行われてもよい。別の態様では、工程(b)では、薄くする工程は、ミクロ機械加工によって行われてもよい。
【0028】
前記方法は、代表的には、ルート区分にプレナム穴を形成するため及び/又はルート区分部分、スペーサ部分、及びリーフ区分部分から一つ又はそれ以上の縁部を形成するため、シート領域又は各シート領域から余分の材料を除去する工程を含む。材料除去工程は、工程(b)の薄くする手順と同様の方法によって行ってもよい。
【0029】
工程(a)では、シートは、超合金等のNiベースの合金又はCoベースの合金から形成されていてもよい。別の態様では、工程(a)では、シートは、ステンレス鋼等のFeベースの合金から形成されていてもよい。
【0030】
次に、本発明の実施例及びこの他の随意の特徴を添付図面を参照して例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、ターボファンエンジンの長さ方向概略断面図である。
【図2】図2は、リーフシールアッセンブリの一部を破断した概略部分断面斜視図である。
【図3】図3は、夫々のリーフシール区分を形成するため、適切に光化学加工を施したストリップの概略図である。
【図4】図4は、図3のリーフシール区分の折り畳みの順次(連続的な)工程(a)及び(b)を示す図である。
【図5】図5は、夫々のリーフシール区分を形成するため、適切に光化学加工を施した別のストリップの概略図である。
【図6】図6は、図5のリーフシール区分の折り畳みの順次(連続的な)工程(a)及び(b)を示す図である。
【図7】図7は、折り畳んだリーフ−スペーサ対を形成するためのシールエレメント及びスペーサの概略図であり、(a)は、ダブルサイドアーム構成であり、(b)は単サイドアーム構成である。
【図8】図8は、二つのリーフ区分間の折り畳み部の拡大図である。
【図9】図9は、リーフ区分、ルート区分、及びスペーサを形成するために適切に光化学加工を施した本発明の第1実施例によるストリップの概略図である。
【図10】図10は、図9のストリップの順次(連続的な)折り畳み工程(a)及び(b)を示す図である。
【図11】図11は、図8のストリップを折り畳んだ後に形成されたリーフスタックの概略側面図である。
【図12】図12は、リーフ区分、ルート区分、及びスペーサを形成するために適切に光化学加工を施した本発明の第2実施例によるストリップの概略図である。
【図13】図13は、図12のストリップの順次(連続的な)折り畳み工程(a)及び(b)を示す図である。
【図14】図14は、図12のストリップを折り畳んだ後に形成されたリーフスタックの概略側面図である。
【図15】図15は、リーフ区分、ルート区分、及びスペーサを形成するために適切に光化学加工を施した本発明の第3実施例によるストリップの概略図である。
【図16】図16は、図15のストリップの順次(連続的な)折り畳み工程(a)及び(b)を示す図である。
【図17】図17は、図15のストリップを折り畳んだ後に形成されたリーフスタックの概略側面図である。
【図18】図18は、リーフ−スペーサ対にリーフ区分、ルート区分、及びスペーサを形成するために適切に光化学加工を施した本発明の第4実施例によるシート領域の変形例(a)及び(b)の概略図である。
【図19】図19は、図18(a)及び(b)の夫々のシート領域を折り畳んでリーフ−スペーサ対を形成した後、別の同様のリーフ−スペーサ対と積み重ねて形成したリーフスタック(a)及び(b)の概略側面図である。
【図20】図20は、リーフ−スペーサ対にリーフ区分、ルート区分、及びスペーサを形成するために適切に光化学加工を施した本発明の第5実施例によるシート領域の変形例(a)及び(b)の概略図である。
【図21】図21は、リーフ−スペーサ対にリーフ区分、ルート区分、及びスペーサを形成するために適切に光化学加工を施した本発明の第6実施例によるシート領域の変形例(a)及び(b)の概略図である。
【図22】図22は、設置角度を調節したリーフスタックの概略側面図である。
【図23】図23(a)乃至図23(d)は、各々、ルート区分の側部に設けられたタブ又は窪みの構成が異なるリーフ区分及びルート区分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図9は、リーフ区分、ルート区分(すなわち、根本区分)、及びスペーサを形成するため、光化学加工を適切に施した本発明の第1実施例によるストリップ300を示す。ストリップは、機械加工前に、冷間圧延状態にあり、実質的に一様な厚さを有する。ストリップは複数のシート領域301を含み、これらのシート領域の各々は、リーフ区分部分302、ルート区分部分303、及びスペーサ部分304を有する。ルート区分部分303からリーフ区分部分302が延び、スペーサ部分304は第1折り目線305に沿ってルート区分部分303に連結されている。各シート領域のスペーサ部分の幅は、ルート区分部分と同じである。更に、各シート領域のスペーサ部分は、隣接したシート領域のルート区分部分に第2折り目線306に沿って連結されており、これによって、連結されたルート区分部分及びスペーサ部分の交互の線を提供する。各シート領域は、更に、廃棄材料307を含む。
【0033】
スペーサ部分304及び折り目線305、306を薄くし、廃棄材料307を除去し、随意であるが、ルート区分及びスペーサ部分にプレナム穴(図示せず)を形成するのに電解加工を使用する。リーフ区分部分302及びルート区分部分303には、加工が施されず、シート300の圧延時の厚さ及び表面仕上げを保持する。
【0034】
最終的なリーフアッセンブリの設置角度θは、図9に示すように、ストリップ300でのリーフ区分部分302の傾斜角度ζを提供することによって得られる。傾斜角度ζは、以下の式1を使用して計算される。
【0035】
【数1】
【0036】
ここで、t1=ルート区分部分303の厚さであり、t2=スペーサ部分304の厚さであり、atotal =折り目線305、306間の間隔である。
次いで、図10に示すように、ルート区分及びスペーサが互いに交互に並置された圧縮リーフスタック308を形成するため、折り目線305、306を中心としてジグザグに折り畳む。図11は、スタックの概略側面図であり、折り畳み後の設置角度θを示す。
【0037】
かくして、第1実施例のストリップ300は、リーフ区分部分、ルート区分部分、及びスペーサ部分の構成に関し、図5に示すストリップ80と対応する。しかしながら、スタック308でのリーフ区分間の距離を制御するため、スペーサ部分が薄くしてあり、これによりリーフ区分は圧延時の表面仕上げを保持する。確かに、スペーサの厚さを変化することにより、設置角度を調節する。光化学加工がリーフ区分の早期破損と関連しているため(例えば表面粗さ及び水素脆による)、リーフ区分で加工が行われないようにすることにより、リーフシールの信頼性及び寿命の改善に役立つ。
【0038】
本発明の第2実施例についての図12、図13、及び図14は、夫々、図9、図10、及び図11と対応する。第2実施例では、ストリップ400は、加工前に冷間圧延状態であり、厚さがほぼ一様である。ストリップは複数のシート領域401を含み、各シート領域は、リーフ区分部分402、ルート区分部分403、及びスペーサ部分404を有する。ルート区分部分403からリーフ区分部分402が延びている。スペーサ部分404は、第1折り目線405に沿ってルート区分部分403に連結されている。各シート領域のスペーサ部分は、ルート区分部分と同じ幅であり、隣接したシート領域のルート区分部分に第2折り目線406に沿って連結されており、これによって、連結されたルート区分部分及びスペーサ部分の交互の線を提供する。各シート領域は、更に、廃棄材料407を含む。
【0039】
しかしながら、第2実施例では、スペーサ部分404を薄くする即ち薄化する代りに、ルート区分部分403を薄くする。これにも、スタック408のリーフ区分間の距離を制御すると同時に設置角度を制御する効果がある。しかしながら、薄化は、ストリップ400の両側で行われる。
【0040】
本発明の第3実施例についての図15、図16、及び図17は、夫々、図9、図10、及び図11、及び図12、図13、及び図14と対応する。第3実施例では、ストリップ500は、加工前に冷間圧延状態であり、厚さがほぼ一様である。ストリップは複数のシート領域501を含み、各シート領域は、リーフ区分部分502、ルート区分部分503、及びスペーサ部分504を有する。ルート区分部分503からリーフ区分部分502が延びている。スペーサ部分504は、第1折り目線505に沿ってルート区分部分503に連結されている。各シート領域のスペーサ部分の幅は、ルート区分部分と同じである。各シート領域のスペーサ部分は、隣接したシート領域のルート区分部分に第2折り目線506に沿って連結されており、連結されたルート区分部分及びスペーサ部分の交互の線を提供する。各シート領域は、更に、廃棄材料507を含む。
【0041】
しかしながら、第3実施例では、ルート区分部分503及びスペーサ部分504の両方をストリップ500の両側で薄くする。この二段階薄化方法により、折り目線505、506を適切に薄くする。
【0042】
図18(a)は、本発明の第4実施例に従って適切に光化学加工を施したシート領域601を概略に示す。第4実施例では、シート領域601は、機械加工前に冷間圧延状態であり、厚さがほぼ一様である。シート領域は、リーフ区分部分602、ルート区分部分603、及びスペーサ部分604を有する。ルート区分部分603からリーフ区分部分602が延びている。スペーサ部分604は、側折り目線605に沿ってルート区分部分に連結されている。スペーサ部分の幅はルート区分部分と同じである。第4実施例では、スペーサ部分を薄くする。図18(b)は、スペーサ部分604が折り目線605に沿ってルート区分部分に連結された変形例のシート領域601を示す。
【0043】
両変形例において、スペーサ部分604を折り目線605に沿ってルート区分部分603上に(図18(a)及び図18(b)に矢印で示すように)折り畳み、リーフ−スペーサ対を形成する。図19(a)及び図19(b)に示すように、これらのリーフ−スペーサ対を組み合わせてスタック608にしてもよい。スタック608では、リーフ区分は面と面とを向き合わせて配置されており、スペーサはルート区分間に配置され、リーフ区分を制御された距離だけ離間する。これには、スタックのリーフ区分間の距離を制御するという効果があるが、これにより組み立て中に設置角度を調節できる。
【0044】
本発明の第5実施例についての図20(a)及び図20(b)は、夫々、図18(a)及び図18(b)と対応する。第5実施例では、シート領域701は、加工前に冷間圧延状態であり、厚さがほぼ一様である。シート領域は、リーフ区分部分702、ルート区分部分703、及びスペーサ部分704を有する。ルート区分部分703からリーフ区分部分702が延びている。スペーサ部分704は、折り目線705に沿ってルート区分部分703に連結されている。しかしながら、第5実施例では、ルート区分部分を薄くする。
【0045】
本発明の第6実施例についての図21(a)及び図21(b)は、夫々、図18(a)及び図18(b)と対応する。第6実施例では、シート領域801は、加工前に冷間圧延状態であり、厚さがほぼ一様である。シート領域は、リーフ区分部分802、ルート区分部分803、及びスペーサ部分804を有する。ルート区分部分803からリーフ区分部分802が延びている。スペーサ部分804は、折り目線805に沿ってルート区分部分803に連結されている。しかしながら、第6実施例では、ルート区分部分及びスペーサ部分が薄くされている。第3実施例と同様に、二段階薄化方法により、折り目線805が適切に薄くする。
【0046】
上述の実施例のうちの任意の実施例において、ルート区分部分及び/又はスペーサ部分の薄化を、リーフ区分部分とルート区分部分との間の接合線に沿ったシート領域の曲げと組み合わせることができる。結果的に得られたリーフスタック908の概略側面図である図22に示すように、これにより、設置角度をΔθだけ調節できる。
【0047】
図23(a)は、最終的なシールの側プレートに嵌着するのに使用するため、単一のタブ1001がルート区分の各側から突出したリーフ区分及びルート区分を示す。突出タブのこの構成を上文中に論じた実施例に関して例示する。しかしながら、この他の構成が可能である。図23(b)では、ルート区分は、各側から突出した二つのタブ1002を有する。図23(c)では、ルート区分は、一方の側だけから突出した二つのタブ1003を有する。図23(d)では、ルート区分は、一方の側だけに設けられた二つの窪み1004を有する。
【0048】
本発明を上文中に説明した例示の実施例と関連して説明したが、本開示を読めば、当業者には、多くの均等な変形及び変更が明らかになるであろう。従って、上文中に説明した本発明の例示の実施例は例示であって、限定ではないと考えられるべきである。以上説明した実施例に対し、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な変更を行うことができる。
【0049】
出典を明示することにより、上文中に言及した全ての出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【符号の説明】
【0050】
300 ストリップ
301 シート領域
302 リーフ区分部分
303 ルート区分部分
304 スペーサ部分
305、306 折り目線
307 廃棄材料
308 圧縮リーフスタック
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーフシールで使用するためのリーフスペーサ対又はリーフスタックを形成するための方法(プロセス)に関する。
【背景技術】
【0002】
図1を参照すると、全体に参照番号10を付したダクト付き(ダクテッド)ファンガスタービンエンジンは、主軸線即ち回転軸線X−Xを有する。エンジンは、軸流列で、エアインテーク11、推進ファン12、中圧コンプレッサ13、高圧コンプレッサ14、燃焼器15、高圧タービン16、中圧タービン17、低圧タービン18、及びコアエンジン排気ノズル19を含む。ナセル21がエンジン10を全体に取り囲んでおり、インテーク11、バイパスダクト22、及びバイパス排気ノズル23を形成する。
【0003】
ガスタービンエンジン10は、従来の方法で作動し、インテーク11に入った空気がファン12によって加速され、二つの空気流、即ち中圧コンプレッサ13内への第1空気流A及びバイパスダクト22を通過する空気流Bを発生し、推進力を提供する。中圧コンプレッサ13は、このコンプレッサに差し向けられた空気流Aを圧縮し、その後、この空気が高圧コンプレッサ14に送出され、高圧コンプレッサ14で更に圧縮が行われる。
【0004】
高圧コンプレッサ14から排出された圧縮空気は燃焼器15に差し向けられ、ここで燃料と混合され、混合物を燃焼する。次いで、結果的に得られた高温燃焼生成物が膨張し、これによって、ノズル19を通して排出される前に高圧タービン16、中圧タービン17、及び低圧タービン18を駆動し、その後、ノズル19を通して排出され、追加の推進力を提供する。高圧タービン16、中圧タービン17、及び低圧タービン18は、夫々、適切な相互連結シャフトによって高圧コンプレッサ14、中圧コンプレッサ13、及びファン12を駆動する。
【0005】
リーフ材料の形材で形成されたリーフシールが適切に設けられている。これは、アッセンブリの夫々のリーフの並置されたリーフ縁部からシール面を形成するためである。代表的には、リーフは、リーフ縁部及び従ってシール面をシャフトに向けて(あるいは、臨ませて)、シール障壁を構成するために、回転シャフトを中心として周方向に配置されている。代表的には、リーフ縁部及び従ってシール面をシャフトに向けてシールエレメントを正確に配置するため、各リーフ間にスペーサ部材が設けられている。これらのスペーサは、独立した構成要素であってもよいし、各リーフと一体に形成されていてもよい。リーフ縁部及び従ってシール面は、回転面に対して効果的に上下に浮動する。
【0006】
ガスタービンエンジンでは、リーフシールを使用して、定置構成要素と回転構成要素との間にシールを形成でき、相対的に回転する二つの構成要素間にシールを形成でき、又は場合によっては二つの定置構成要素間にシールを形成できる。このようにして、シールの一方の側に比較的高い圧力を維持でき、また、シールの他方の側に比較的低い圧力を維持できる。図2は、リーフシールアッセンブリ31の一部の部分断面概略斜視図を示す。リーフシールアッセンブリ31は、スペーサエレメント33から延びるシールエレメント32を含む。これらのスペーサエレメント33は、側プレート35を持つバッキングリング34を含むハウジングに固定されている。シールリーフエレメント32のリーフ縁部36が、矢印38が示す方向に回転している回転構成要素の表面37に向けて配置されている。アッセンブリ31に亘ってシールを形成するため、リーフ32、詳細にはリーフ32のリーフ縁部36が表面37に作用する。各リーフ形材32は、良好なシール効果が形成されるように表面11の回転に関して調節できるように適応性を有している。スペーサ33は、一般的には、調節自在性が得られるようにする上で必要とされている。これによって、リーフシールエレメント32を表面37に向かって適切に配置でき、図示のように、これらの間に所定の傾斜角度(inclined angle)を以て配置できる。
【0007】
リーフシールの組み立ては比較的複雑である。これは、アッセンブリに多数のリーフが含まれており、最良の効果を得るためにリーフを正確に整合し且つ離間することが重要であるためである。プリーツ状のバンド又はストリップを使用してリーフシールを形成することが、WO015933802に提案されており且つ記載されている。この構成では、打ち抜き加工によって金属製ストリップを形成して、複数のリーフシールエレメント及びストリップ又はバンドを形成する。次いで、折り畳んで、蛇腹状に圧縮することによってリーフシールを形成し、シールが行われるべき表面に向かって配置できるように、ハウジング内に取り付けられる。残念なことに、このような構成は、理想的なものではではない。これは、リーフシールエレメントの縁部が、全体として、シールされるべき表面に向かって効率的に配置できないためである。各シールエレメントは実質的に平らであり、圧縮状態で各シールエレメントの隅部のところで折り畳んだ区分に大きな歪が生じるようにエレメント自体に当接するためであり、最良のシール効果を得るにはエレメント間の空間の制御が不適切であるためである。リーフシールは、有効であるためには、リーフ縁部間の空間で決まるということは理解されよう。リーフ縁部が効果的に垂下していない場合には、リーフの下に大きな隙間が形成されるか或いはリーフ縁部がシャフトに強く押し付けられる。これらは、両方とも、シールを無効にしてしまう。
【0008】
EP A 1878955は、エッチングリーフを含むストリップが形成するリーフシールを形成する方法を提案する。各リーフは、各リーフをその隣接したリーフに対して蛇腹状に折り畳み、ストリップを折り畳んだときに段部を形成するように所定の傾斜角でエッチングがなされ、これによって、各リーフ縁部が形成するシール面を提供するようにリーフが並置される。更に、EP A 1878955には、ストリップにリーフをエッチングで形成する工程を含み、各リーフがスペーサ区分を有し、リーフ用のスペーサが、少なくとも幾つかのリーフのうちの残りのリーフの少なくとも一部を除去することによって形成されたリーフシールを形成する方法が提案されている。
【0009】
かくして、図3は、リーフシール区分51の夫々を形成するため、適切に光化学加工されたストリップ50を概略に示す。各リーフシール区分51は、シールエレメントリーフ52及びルート区分53を含む。例示を便利にするために強調した傾斜角Lのため、必要に応じて除去される側部54及び頂部55に関して無駄になる領域がある。ルート区分53は、作動リーフシールエレメント52よりも肉厚の区分であり、これは、リーフシールエレメント52に光化学加工等の適切な加工を施すことにより、ストリップ50で行われる。各リーフ区分51間には、ジグザグに折り畳むことができるように折り畳み区分56が設けられている。更に、曲げを行う際の応力を低減するため、折り畳み区分56を薄くできる。
【0010】
図4は、折り畳み区分56を設けることによって形成されたリーフ区分の折り畳みと、図3に示されたストリップ50からの廃棄領域54、55の除去とを概略に示す。かくして、廃棄領域54、55を除去した状態でわかるように、ルート区分53は、それでも、折り目線56のところで食い違い形体で取り付けられている。折り畳み区分56が比較的薄い区分であるため、これらの区分56のところでジグザグに折り畳むことができる。これは、図4(a)に示す工程を通って、図4(B)に示す適切な設置角度(lay angle) のシールエレメント52を提供する、ルート区分53が並置された圧縮スタック又はタフト60を形成するために行われる。本質的には、スタック60は、下リーフ縁部61が、使用時にシール面に対して適切に向けられるように傾斜している。
【0011】
代表的には、使用時にシールアッセンブリに亘って所望の圧力分布が得られるように、並置されたルート区分53によってプレナムチャンバを形成するため、各ルート区分53に穴62が設けられている。
【0012】
図5及び図6に示すように、折り畳み区分86間にリーフエレメント81が形成されたストリップ80を形成できる。しかし、これらの図では、交互のリーフ区分81a、81bは、
リーフ区分81aでは、ルート区分83aにリーフシールエレメント82が設けられているが、
隣接したリーフ区分81bでは、シールエレメント82が取り付けられたルート区分83a間のスペーサ83b以外のストリップ全体(即ち領域85並びに87)が取り付けられるように、
構成されている。これにより、比較的大きなリーフ間隙間を形成できる。
【0013】
次いで、ルート区分83a及びスペーサ83bが互いに交互に並置された圧縮スタック90を形成するため、折り畳み縁部86を中心として折り畳みを行うことができる。この場合も、ルート区分83a及びスペーサ83bの各々の穴92によって圧力均衡プレナムチャンバが形成される。穴92は、シール効率を得るため、シールアッセンブリに亘って環状に延びる。
【0014】
更に、リーフ−スペーサ対が提供される。複数のこのような対を組み立ててリーフシールアッセンブリにすることができる。
図7(a)に示すように、ダブルサイドアーム構成は、ルート区分103aを有している。ルート区分103aには、最終的なシールアッセンブリで圧力を分配するためのプレナムチャンバを形成する穴106が設けられている。この場合も、シールエレメント102が固定されたスペーサ103aと、スペーサ103bとの間に段部が設けられるように、折り畳み区分101が提供される。図7(a)に示すダブルアーム構成では、ルート区分103aにおいて、エレメント102の両側にアーム100が設けられている。リーフ−スペーサ折り畳み対を形成するストリップの傾斜角によって、段部をなした整合104が決定される。
【0015】
図7(b)に示すように、単アームリーフ−スペーサ折り畳み対を示す。かくして、この場合も、シールエレメント202が固定されたルート区分203aが提供される。ルート区分には、使用時に圧力を分配するためのプレナムチャンバを形成するため、穴206が設けられている。ルート区分203aとスペーサ203bとの間には段部が形成されている。この場合も、以下に説明するようにリーフシールアッセンブリに組み込むためのリーフ−スペーサ折り畳み対を形成するため、ルート区分203aとスペーサ203bとの間に折り畳み区分201が形成されている。
【0016】
図7に示すリーフ−スペーサ折り畳み対の両構成は、光化学加工することによってシートから適切に形成でき、これらの構成は、両方とも、アッセンブリの強度を向上するため、強化部材107、207を備えていてもよい。
【0017】
EP A 1878955に説明されているように、上文中に説明したリーフスタック及びリーフ−スペーサ折り畳み対をアッセンブリジグに嵌着し、例えば溶接や鑞付けによって互いに接合し、完成したリーフシールアッセンブリを形成する。接合後、折り畳み区分全体を機械加工によって除去する。例えば、図8は、二つのリーフ区分間の折り畳みを強調した図である。かくしてリーフ区分41aを押し込み当接し、鑞付けや溶接等でリーフ区分41bに所定位置に固定する。折り畳み区分45は薄くなっており、応力を低減するために図示のように丸みが付けてある。リーフ区分41a、41bを互いに鑞付けした後、破線40の左側の区分を機械加工によって除去してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】WO015933802
【特許文献2】EP A 1878955
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、リーフシールの性能の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
従って、本発明の第1の態様は、二つの構成要素間でシールを行うリーフシールで使用するためのリーフ−スペーサ対を形成するための方法であって、リーフ−スペーサ対は、
一方の構成要素と払拭接触状態を維持するリーフ区分と、他方の構成要素に対して固定されたルート区分とを有し、ルート区分からリーフ区分が延びており、リーフ−スペーサ対は、更に、ルート区分と重なったスペーサを有する、方法において、
(a)厚さがほぼ一様なシート領域を提供する工程であって、シート領域は、リーフ区分部分、ルート区分部分、及びルート区分部分に折り目線に沿って連結されたスペーサ部分を有し、前記ルート区分部分からリーフ区分部分が延びる、工程と、
(b)ルート区分部分及び/又はスペーサ部分を薄くし、リーフ区分部分は前記厚さを保持する工程と、
(c)スペーサ部分をルート区分部分上に折り目線に沿って折り畳み、スペーサがルート区分と重なり且つリーフ区分が延びるリーフ−スペーサ対を形成する工程とを含む、方法を提供する。
【0021】
本発明の第2の態様は、リーフシールで使用するためのリーフスタックを形成するための方法において、
請求項1に記載の方法を繰り返し実行することによって複数のリーフ−スペーサ対を形成する工程と、
リーフ−スペーサ対を組み合わせてスタックにする工程であって、当該スタックでは、リーフ区分が面と面とを向き合わせて配置されており、リーフ区分を制御された距離だけ離間するためにスペーサがルート区分間に配置された前記スタックにする工程を含む、方法を提供する。
【0022】
本発明の関連する第3の態様は、二つの構成要素間でシールを行うリーフシールで使用するためのリーフスタックを形成するための方法であって、スタックの各リーフは、一方の構成要素と払拭接触状態を維持するリーフ区分及び他方の構成要素に対して固定されたルート区分を有し、ルート区分からリーフ区分が延びており、スタックは、ルート区分間に配置された複数のスペーサを含む、方法において、
(a)複数のシート領域を含む、厚さがほぼ一様なシートを提供する工程であって、各シート領域は、リーフ区分部分、ルート区分部分、及びスペーサ部分を含み、ルート区分部分からリーフ区分部分が延び、スペーサ部分は、第1折り目線に沿ってルート区分部分に連結され、各シート領域のスペーサ部分は、更に、隣接したシート領域のルート区分部分に第2折り目線に沿って連結され、連結されたルート区分部分及びスペーサ部分の交互の線を形成する、工程と、
(b)各シート領域について、夫々のルート区分部分及び/又は夫々のスペーサ部分を薄くし、夫々のリーフ区分部分が厚さを保持する、工程と、
(c)各シート領域について、夫々のスペーサ部分を夫々のルート区分部分上に折り畳まれてリーフ−スペーサ対を形成するように、スペーサ部分及びルート区分部分の交互の線を、第1及び第2の折り目線に沿ってジグザグに折り畳む工程であって、リーフ−スペーサ対を組み合わせ、リーフ区分が面と面とを向き合わせて配置されており、リーフ区分を制御された距離だけ離間するためにスペーサがルート区分間に配置されたスタックにする工程とを含む、方法を提供する。
【0023】
本発明の第4の態様は、リーフシールで使用するための、第1の態様の方法によって形成されたリーフ−スペーサ対を提供する。かくして、第4の態様は、二つの構成要素間にシールを形成するリーフシールで使用するためのリーフ−スペーサ対を提供する。リーフ−スペーサ対は、リーフシールにおいて一方の構成要素と払拭接触状態を維持するリーフ区分と、リーフシールにおいて他方の構成要素に対して固定されたルート区分とを有し、ルート区分からリーフ区分が延びている。リーフ−スペーサ対は、更に、ルート区分と重なったスペーサを有する。リーフ区分、ルート区分、及びスペーサは、厚さがほぼ一様なシート領域から形成される。スペーサは、折り目線に沿ってルート区分に連結されており、折り目線に沿ってルート区分上に折り畳まれる。ルート区分及び/又はスペーサ部分は前記厚さに対して薄くされているが、リーフ区分は前記厚さを保持する。本発明の第5の態様は、リーフシールで使用するための、第2又は第3の方法によって形成されたリーフスタックを提供する。かくして、第5の態様は、リーフシールで使用するためのリーフスタックを提供する。スタックは、第2態様の複数のリーフ−スペーサ対を含む。リーフ−スペーサ対が組み合わされてスタック(すなわち、積層構造体)にされている。前記スタックでは、リーフ区分が面と面とを向き合わせて配置されており、リーフ区分を制御された距離だけ離間するためにスペーサがルート区分間に配置されている。第5の態様は、更に、リーフシールで使用するための、複数のリーフ−スペーサ対を含むリーフスタックを提供する。各リーフ−スペーサ対は、リーフシールにおいて一方の構成要素と払拭接触状態を維持するリーフ区分と、リーフシールにおいて他方の構成要素に固定されたルート区分とを含む。ルート区分からリーフ区分が延びている。各リーフ−スペーサ対は、更に、ルート区分と重なるスペーサを有する。リーフ−スペーサ対を組み合わせ、これにより、リーフ区分が面と面とを向き合わせて配置されており、リーフ区分を制御された距離だけ離間するためにスペーサがルート区分に配置されたスタックにする。スタックは、厚さがほぼ一様なジグザグに折り畳んだシートから形成される。スペーサ及びルート区分は、シートに亘り、折り目線に沿って交互の線をなして連結されている。リーフ区分はルート区分から延びており、ルート区分部分及び/又はスペーサ部分を前記厚さに対して薄くするが、リーフ区分は前記厚さを保持する。本発明の第6の態様は、第4態様の一つ又はそれ以上のリーフ−スペーサ対又は第5態様一つ又はそれ以上のリーフスタックを含むリーフシールを提供する。
【0024】
本発明は、少なくとも部分的には、リーフ区分を薄くすることには、表面仕上げが損なわれ、リーフ区分の早期破損が生じるという問題があるという認識に基づく。しかしながら、有利には、リーフ区分でなくルート区分部分及び/又はスペーサ部分を薄くすることによって、リーフ区分間の距離を制御でき、リーフ区分の厚さを元のままにしておくことができる。
【0025】
次に、本発明の随意の特徴を説明する。これらの特徴は、単独で、又は本発明の任意の態様との任意の組み合わせで適用できる。
工程(b)の選択肢は、ルート区分部分だけを薄くすること、スペーサ部分だけを薄くすること、又はルート区分部分及びスペーサ部分の両方を薄くすることである。夫々の部分の一方の側だけを薄くしてもよいし、両側を薄くしてもよい。
【0026】
工程(a)では、シートは、好ましくは圧延シートであり、工程(b)では、リーフ区分部分は圧延時の表面仕上げを保持する。例えば、シートは、冷間圧延シートであってもよい。有利には、冷間圧延仕上げが、リーフ区分の性能及び信頼性を向上するということがわかっている。
【0027】
工程(b)は、代表的には、折り目線又は各折り目線を薄くする工程を含む。
工程(b)では、薄くする工程は、光化学加工によって行われてもよい。別の態様では、工程(b)では、薄くする工程は、ミクロ機械加工によって行われてもよい。
【0028】
前記方法は、代表的には、ルート区分にプレナム穴を形成するため及び/又はルート区分部分、スペーサ部分、及びリーフ区分部分から一つ又はそれ以上の縁部を形成するため、シート領域又は各シート領域から余分の材料を除去する工程を含む。材料除去工程は、工程(b)の薄くする手順と同様の方法によって行ってもよい。
【0029】
工程(a)では、シートは、超合金等のNiベースの合金又はCoベースの合金から形成されていてもよい。別の態様では、工程(a)では、シートは、ステンレス鋼等のFeベースの合金から形成されていてもよい。
【0030】
次に、本発明の実施例及びこの他の随意の特徴を添付図面を参照して例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、ターボファンエンジンの長さ方向概略断面図である。
【図2】図2は、リーフシールアッセンブリの一部を破断した概略部分断面斜視図である。
【図3】図3は、夫々のリーフシール区分を形成するため、適切に光化学加工を施したストリップの概略図である。
【図4】図4は、図3のリーフシール区分の折り畳みの順次(連続的な)工程(a)及び(b)を示す図である。
【図5】図5は、夫々のリーフシール区分を形成するため、適切に光化学加工を施した別のストリップの概略図である。
【図6】図6は、図5のリーフシール区分の折り畳みの順次(連続的な)工程(a)及び(b)を示す図である。
【図7】図7は、折り畳んだリーフ−スペーサ対を形成するためのシールエレメント及びスペーサの概略図であり、(a)は、ダブルサイドアーム構成であり、(b)は単サイドアーム構成である。
【図8】図8は、二つのリーフ区分間の折り畳み部の拡大図である。
【図9】図9は、リーフ区分、ルート区分、及びスペーサを形成するために適切に光化学加工を施した本発明の第1実施例によるストリップの概略図である。
【図10】図10は、図9のストリップの順次(連続的な)折り畳み工程(a)及び(b)を示す図である。
【図11】図11は、図8のストリップを折り畳んだ後に形成されたリーフスタックの概略側面図である。
【図12】図12は、リーフ区分、ルート区分、及びスペーサを形成するために適切に光化学加工を施した本発明の第2実施例によるストリップの概略図である。
【図13】図13は、図12のストリップの順次(連続的な)折り畳み工程(a)及び(b)を示す図である。
【図14】図14は、図12のストリップを折り畳んだ後に形成されたリーフスタックの概略側面図である。
【図15】図15は、リーフ区分、ルート区分、及びスペーサを形成するために適切に光化学加工を施した本発明の第3実施例によるストリップの概略図である。
【図16】図16は、図15のストリップの順次(連続的な)折り畳み工程(a)及び(b)を示す図である。
【図17】図17は、図15のストリップを折り畳んだ後に形成されたリーフスタックの概略側面図である。
【図18】図18は、リーフ−スペーサ対にリーフ区分、ルート区分、及びスペーサを形成するために適切に光化学加工を施した本発明の第4実施例によるシート領域の変形例(a)及び(b)の概略図である。
【図19】図19は、図18(a)及び(b)の夫々のシート領域を折り畳んでリーフ−スペーサ対を形成した後、別の同様のリーフ−スペーサ対と積み重ねて形成したリーフスタック(a)及び(b)の概略側面図である。
【図20】図20は、リーフ−スペーサ対にリーフ区分、ルート区分、及びスペーサを形成するために適切に光化学加工を施した本発明の第5実施例によるシート領域の変形例(a)及び(b)の概略図である。
【図21】図21は、リーフ−スペーサ対にリーフ区分、ルート区分、及びスペーサを形成するために適切に光化学加工を施した本発明の第6実施例によるシート領域の変形例(a)及び(b)の概略図である。
【図22】図22は、設置角度を調節したリーフスタックの概略側面図である。
【図23】図23(a)乃至図23(d)は、各々、ルート区分の側部に設けられたタブ又は窪みの構成が異なるリーフ区分及びルート区分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図9は、リーフ区分、ルート区分(すなわち、根本区分)、及びスペーサを形成するため、光化学加工を適切に施した本発明の第1実施例によるストリップ300を示す。ストリップは、機械加工前に、冷間圧延状態にあり、実質的に一様な厚さを有する。ストリップは複数のシート領域301を含み、これらのシート領域の各々は、リーフ区分部分302、ルート区分部分303、及びスペーサ部分304を有する。ルート区分部分303からリーフ区分部分302が延び、スペーサ部分304は第1折り目線305に沿ってルート区分部分303に連結されている。各シート領域のスペーサ部分の幅は、ルート区分部分と同じである。更に、各シート領域のスペーサ部分は、隣接したシート領域のルート区分部分に第2折り目線306に沿って連結されており、これによって、連結されたルート区分部分及びスペーサ部分の交互の線を提供する。各シート領域は、更に、廃棄材料307を含む。
【0033】
スペーサ部分304及び折り目線305、306を薄くし、廃棄材料307を除去し、随意であるが、ルート区分及びスペーサ部分にプレナム穴(図示せず)を形成するのに電解加工を使用する。リーフ区分部分302及びルート区分部分303には、加工が施されず、シート300の圧延時の厚さ及び表面仕上げを保持する。
【0034】
最終的なリーフアッセンブリの設置角度θは、図9に示すように、ストリップ300でのリーフ区分部分302の傾斜角度ζを提供することによって得られる。傾斜角度ζは、以下の式1を使用して計算される。
【0035】
【数1】
【0036】
ここで、t1=ルート区分部分303の厚さであり、t2=スペーサ部分304の厚さであり、atotal =折り目線305、306間の間隔である。
次いで、図10に示すように、ルート区分及びスペーサが互いに交互に並置された圧縮リーフスタック308を形成するため、折り目線305、306を中心としてジグザグに折り畳む。図11は、スタックの概略側面図であり、折り畳み後の設置角度θを示す。
【0037】
かくして、第1実施例のストリップ300は、リーフ区分部分、ルート区分部分、及びスペーサ部分の構成に関し、図5に示すストリップ80と対応する。しかしながら、スタック308でのリーフ区分間の距離を制御するため、スペーサ部分が薄くしてあり、これによりリーフ区分は圧延時の表面仕上げを保持する。確かに、スペーサの厚さを変化することにより、設置角度を調節する。光化学加工がリーフ区分の早期破損と関連しているため(例えば表面粗さ及び水素脆による)、リーフ区分で加工が行われないようにすることにより、リーフシールの信頼性及び寿命の改善に役立つ。
【0038】
本発明の第2実施例についての図12、図13、及び図14は、夫々、図9、図10、及び図11と対応する。第2実施例では、ストリップ400は、加工前に冷間圧延状態であり、厚さがほぼ一様である。ストリップは複数のシート領域401を含み、各シート領域は、リーフ区分部分402、ルート区分部分403、及びスペーサ部分404を有する。ルート区分部分403からリーフ区分部分402が延びている。スペーサ部分404は、第1折り目線405に沿ってルート区分部分403に連結されている。各シート領域のスペーサ部分は、ルート区分部分と同じ幅であり、隣接したシート領域のルート区分部分に第2折り目線406に沿って連結されており、これによって、連結されたルート区分部分及びスペーサ部分の交互の線を提供する。各シート領域は、更に、廃棄材料407を含む。
【0039】
しかしながら、第2実施例では、スペーサ部分404を薄くする即ち薄化する代りに、ルート区分部分403を薄くする。これにも、スタック408のリーフ区分間の距離を制御すると同時に設置角度を制御する効果がある。しかしながら、薄化は、ストリップ400の両側で行われる。
【0040】
本発明の第3実施例についての図15、図16、及び図17は、夫々、図9、図10、及び図11、及び図12、図13、及び図14と対応する。第3実施例では、ストリップ500は、加工前に冷間圧延状態であり、厚さがほぼ一様である。ストリップは複数のシート領域501を含み、各シート領域は、リーフ区分部分502、ルート区分部分503、及びスペーサ部分504を有する。ルート区分部分503からリーフ区分部分502が延びている。スペーサ部分504は、第1折り目線505に沿ってルート区分部分503に連結されている。各シート領域のスペーサ部分の幅は、ルート区分部分と同じである。各シート領域のスペーサ部分は、隣接したシート領域のルート区分部分に第2折り目線506に沿って連結されており、連結されたルート区分部分及びスペーサ部分の交互の線を提供する。各シート領域は、更に、廃棄材料507を含む。
【0041】
しかしながら、第3実施例では、ルート区分部分503及びスペーサ部分504の両方をストリップ500の両側で薄くする。この二段階薄化方法により、折り目線505、506を適切に薄くする。
【0042】
図18(a)は、本発明の第4実施例に従って適切に光化学加工を施したシート領域601を概略に示す。第4実施例では、シート領域601は、機械加工前に冷間圧延状態であり、厚さがほぼ一様である。シート領域は、リーフ区分部分602、ルート区分部分603、及びスペーサ部分604を有する。ルート区分部分603からリーフ区分部分602が延びている。スペーサ部分604は、側折り目線605に沿ってルート区分部分に連結されている。スペーサ部分の幅はルート区分部分と同じである。第4実施例では、スペーサ部分を薄くする。図18(b)は、スペーサ部分604が折り目線605に沿ってルート区分部分に連結された変形例のシート領域601を示す。
【0043】
両変形例において、スペーサ部分604を折り目線605に沿ってルート区分部分603上に(図18(a)及び図18(b)に矢印で示すように)折り畳み、リーフ−スペーサ対を形成する。図19(a)及び図19(b)に示すように、これらのリーフ−スペーサ対を組み合わせてスタック608にしてもよい。スタック608では、リーフ区分は面と面とを向き合わせて配置されており、スペーサはルート区分間に配置され、リーフ区分を制御された距離だけ離間する。これには、スタックのリーフ区分間の距離を制御するという効果があるが、これにより組み立て中に設置角度を調節できる。
【0044】
本発明の第5実施例についての図20(a)及び図20(b)は、夫々、図18(a)及び図18(b)と対応する。第5実施例では、シート領域701は、加工前に冷間圧延状態であり、厚さがほぼ一様である。シート領域は、リーフ区分部分702、ルート区分部分703、及びスペーサ部分704を有する。ルート区分部分703からリーフ区分部分702が延びている。スペーサ部分704は、折り目線705に沿ってルート区分部分703に連結されている。しかしながら、第5実施例では、ルート区分部分を薄くする。
【0045】
本発明の第6実施例についての図21(a)及び図21(b)は、夫々、図18(a)及び図18(b)と対応する。第6実施例では、シート領域801は、加工前に冷間圧延状態であり、厚さがほぼ一様である。シート領域は、リーフ区分部分802、ルート区分部分803、及びスペーサ部分804を有する。ルート区分部分803からリーフ区分部分802が延びている。スペーサ部分804は、折り目線805に沿ってルート区分部分803に連結されている。しかしながら、第6実施例では、ルート区分部分及びスペーサ部分が薄くされている。第3実施例と同様に、二段階薄化方法により、折り目線805が適切に薄くする。
【0046】
上述の実施例のうちの任意の実施例において、ルート区分部分及び/又はスペーサ部分の薄化を、リーフ区分部分とルート区分部分との間の接合線に沿ったシート領域の曲げと組み合わせることができる。結果的に得られたリーフスタック908の概略側面図である図22に示すように、これにより、設置角度をΔθだけ調節できる。
【0047】
図23(a)は、最終的なシールの側プレートに嵌着するのに使用するため、単一のタブ1001がルート区分の各側から突出したリーフ区分及びルート区分を示す。突出タブのこの構成を上文中に論じた実施例に関して例示する。しかしながら、この他の構成が可能である。図23(b)では、ルート区分は、各側から突出した二つのタブ1002を有する。図23(c)では、ルート区分は、一方の側だけから突出した二つのタブ1003を有する。図23(d)では、ルート区分は、一方の側だけに設けられた二つの窪み1004を有する。
【0048】
本発明を上文中に説明した例示の実施例と関連して説明したが、本開示を読めば、当業者には、多くの均等な変形及び変更が明らかになるであろう。従って、上文中に説明した本発明の例示の実施例は例示であって、限定ではないと考えられるべきである。以上説明した実施例に対し、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な変更を行うことができる。
【0049】
出典を明示することにより、上文中に言及した全ての出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【符号の説明】
【0050】
300 ストリップ
301 シート領域
302 リーフ区分部分
303 ルート区分部分
304 スペーサ部分
305、306 折り目線
307 廃棄材料
308 圧縮リーフスタック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの構成要素間でシールを行うリーフシールで使用するためのリーフ−スペーサ対を形成するための方法であって、
前記リーフ−スペーサ対は、一方の構成要素と払拭接触状態を維持するリーフ区分と、他方の構成要素に対して固定されたルート区分を有し、前記ルート区分から前記リーフ区分が延びており、前記リーフ−スペーサ対は、更に、前記ルート区分と重なったスペーサを有する、方法において、
(a)厚さがほぼ一様なシート領域(601;701;801)を提供する工程であって、前記シート領域は、リーフ区分部分(602;702;802)、ルート区分部分(603;703;803)、及び前記ルート区分部分に折り目線(605;705;805)に沿って連結されたスペーサ部分(604;704;804)を有し、前記ルート区分部分から前記リーフ区分部分が延びる、工程と、
(b)前記ルート区分部分及び/又は前記スペーサ部分を薄くし、前記リーフ区分部分を前記厚さに保持する工程と、
(c)前記スペーサ部分を前記ルート区分部分上に前記折り目線に沿って折り畳み、スペーサがルート区分と重なり且つリーフ区分が延びるリーフ−スペーサ対を形成する工程とを含む、方法。
【請求項2】
リーフシールで使用するためのリーフスタックを形成するための方法において、
請求項1に記載の方法を繰り返し実行することによって複数のリーフ−スペーサ対を形成する工程と、
前記リーフ−スペーサ対を組み合わせ、前記リーフ区分が面と面とを向き合わせて配置されており、前記リーフ区分を制御された距離だけ離間するために前記スペーサがルート区分間に配置されたスタック(608)にする工程を含む、方法。
【請求項3】
二つの構成要素間でシールを行うリーフシールで使用するためのリーフスタックを形成するための方法であって、前記スタックの各リーフは、一方の構成要素と払拭接触状態を維持するリーフ区分と、他方の構成要素に対して固定されたルート区分とを有し、前記ルート区分から前記リーフ区分が延びており、前記スタックは、ルート区分間に配置された複数のスペーサを含む、方法において、
(a)複数のシート領域(301;401;501)を含む、厚さがほぼ一様なシート(300;400;500)を提供する工程であって、各シート領域は、リーフ区分部分(302;402;502)、ルート区分部分(303;403;503)、及びスペーサ部分(304;404;504)を含み、前記ルート区分部分から前記リーフ区分部分が延び、前記スペーサ部分は、第1折り目線(305;405;505)に沿って前記ルート区分部分に連結され、各シート領域の前記スペーサ部分は、更に、隣接したシート領域のルート区分部分に第2折り目線(306;406;506)に沿って連結され、連結されたルート区分部分及びスペーサ部分の交互の線を形成する、工程と、
(b)各シート領域について、前記夫々のルート区分部分及び/又は前記夫々のスペーサ部分を薄くし、夫々のリーフ区分部分が前記厚さを保持する、工程と、
(c)各シート領域について、前記夫々のスペーサ部分を前記夫々のルート区分部分上に折り畳んでリーフ−スペーサ対を形成するように、前記スペーサ部分及び前記ルート区分部分の前記交互の線を、前記第1及び第2の折り目線に沿ってジグザグに折り畳む工程であって、前記リーフ−スペーサ対を組み合わせ、前記リーフ区分が面と面とを向き合わせて配置されており、前記リーフ区分を制御された距離だけ離間するために前記スペーサが前記ルート区分間に配置されたスタック(308;408;508)にする工程とを含む、方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記工程(a)では、シートは圧延シートであり、前記工程(b)では、前記リーフ区分部分は圧延時の表面仕上げを保持する、方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記工程(b)は、前記折り目線又は各折り目線を薄くする工程を含む、方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記工程(b)では、前記薄くする工程は、光化学加工によって行われる、方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記工程(b)では、前記薄くする工程は、ミクロ機械加工によって行われる、方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記工程(a)では、前記シートは、Niベースの合金又はCoベースの合金から形成されている、方法。
【請求項9】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記工程(a)では、前記シートは、Feベースの合金から形成されている、方法。
【請求項10】
リーフシールで使用するためのリーフ−スペーサ対であって、
前記リーフ−スペーサ対は、請求項1に記載の方法によって、又は請求項1に従属した請求項4乃至9のうちのいずれか一項に記載の方法によって形成された、リーフシールで使用するためのリーフ−スペーサ対。
【請求項11】
リーフシールで使用するためのリーフスタックであって、
前記スタックは、請求項2又は3に記載の方法によって、又は請求項2又は3に従属する請求項4乃至9のうちのいずれか一項に記載の方法によって形成された、リーフシールで使用するためのリーフスタック。
【請求項12】
請求項10の一つ又はそれ以上のリーフ−スペーサ対又は請求項11の一つ又はそれ以上のリーフスタックを含むリーフシール。
【請求項1】
二つの構成要素間でシールを行うリーフシールで使用するためのリーフ−スペーサ対を形成するための方法であって、
前記リーフ−スペーサ対は、一方の構成要素と払拭接触状態を維持するリーフ区分と、他方の構成要素に対して固定されたルート区分を有し、前記ルート区分から前記リーフ区分が延びており、前記リーフ−スペーサ対は、更に、前記ルート区分と重なったスペーサを有する、方法において、
(a)厚さがほぼ一様なシート領域(601;701;801)を提供する工程であって、前記シート領域は、リーフ区分部分(602;702;802)、ルート区分部分(603;703;803)、及び前記ルート区分部分に折り目線(605;705;805)に沿って連結されたスペーサ部分(604;704;804)を有し、前記ルート区分部分から前記リーフ区分部分が延びる、工程と、
(b)前記ルート区分部分及び/又は前記スペーサ部分を薄くし、前記リーフ区分部分を前記厚さに保持する工程と、
(c)前記スペーサ部分を前記ルート区分部分上に前記折り目線に沿って折り畳み、スペーサがルート区分と重なり且つリーフ区分が延びるリーフ−スペーサ対を形成する工程とを含む、方法。
【請求項2】
リーフシールで使用するためのリーフスタックを形成するための方法において、
請求項1に記載の方法を繰り返し実行することによって複数のリーフ−スペーサ対を形成する工程と、
前記リーフ−スペーサ対を組み合わせ、前記リーフ区分が面と面とを向き合わせて配置されており、前記リーフ区分を制御された距離だけ離間するために前記スペーサがルート区分間に配置されたスタック(608)にする工程を含む、方法。
【請求項3】
二つの構成要素間でシールを行うリーフシールで使用するためのリーフスタックを形成するための方法であって、前記スタックの各リーフは、一方の構成要素と払拭接触状態を維持するリーフ区分と、他方の構成要素に対して固定されたルート区分とを有し、前記ルート区分から前記リーフ区分が延びており、前記スタックは、ルート区分間に配置された複数のスペーサを含む、方法において、
(a)複数のシート領域(301;401;501)を含む、厚さがほぼ一様なシート(300;400;500)を提供する工程であって、各シート領域は、リーフ区分部分(302;402;502)、ルート区分部分(303;403;503)、及びスペーサ部分(304;404;504)を含み、前記ルート区分部分から前記リーフ区分部分が延び、前記スペーサ部分は、第1折り目線(305;405;505)に沿って前記ルート区分部分に連結され、各シート領域の前記スペーサ部分は、更に、隣接したシート領域のルート区分部分に第2折り目線(306;406;506)に沿って連結され、連結されたルート区分部分及びスペーサ部分の交互の線を形成する、工程と、
(b)各シート領域について、前記夫々のルート区分部分及び/又は前記夫々のスペーサ部分を薄くし、夫々のリーフ区分部分が前記厚さを保持する、工程と、
(c)各シート領域について、前記夫々のスペーサ部分を前記夫々のルート区分部分上に折り畳んでリーフ−スペーサ対を形成するように、前記スペーサ部分及び前記ルート区分部分の前記交互の線を、前記第1及び第2の折り目線に沿ってジグザグに折り畳む工程であって、前記リーフ−スペーサ対を組み合わせ、前記リーフ区分が面と面とを向き合わせて配置されており、前記リーフ区分を制御された距離だけ離間するために前記スペーサが前記ルート区分間に配置されたスタック(308;408;508)にする工程とを含む、方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記工程(a)では、シートは圧延シートであり、前記工程(b)では、前記リーフ区分部分は圧延時の表面仕上げを保持する、方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記工程(b)は、前記折り目線又は各折り目線を薄くする工程を含む、方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記工程(b)では、前記薄くする工程は、光化学加工によって行われる、方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記工程(b)では、前記薄くする工程は、ミクロ機械加工によって行われる、方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記工程(a)では、前記シートは、Niベースの合金又はCoベースの合金から形成されている、方法。
【請求項9】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記工程(a)では、前記シートは、Feベースの合金から形成されている、方法。
【請求項10】
リーフシールで使用するためのリーフ−スペーサ対であって、
前記リーフ−スペーサ対は、請求項1に記載の方法によって、又は請求項1に従属した請求項4乃至9のうちのいずれか一項に記載の方法によって形成された、リーフシールで使用するためのリーフ−スペーサ対。
【請求項11】
リーフシールで使用するためのリーフスタックであって、
前記スタックは、請求項2又は3に記載の方法によって、又は請求項2又は3に従属する請求項4乃至9のうちのいずれか一項に記載の方法によって形成された、リーフシールで使用するためのリーフスタック。
【請求項12】
請求項10の一つ又はそれ以上のリーフ−スペーサ対又は請求項11の一つ又はそれ以上のリーフスタックを含むリーフシール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−50210(P2013−50210A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−175800(P2012−175800)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【出願人】(591005785)ロールス・ロイス・ピーエルシー (88)
【氏名又は名称原語表記】ROLLS−ROYCE PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−175800(P2012−175800)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【出願人】(591005785)ロールス・ロイス・ピーエルシー (88)
【氏名又は名称原語表記】ROLLS−ROYCE PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】
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