説明

リーム装置

【課題】修復用大腿骨構成部品のようなプロテーゼ構成部品に係合して骨の損失部分および/または解剖構造学的な変形部分を補うためのスリーブを受容するように骨髄管をリーム処理するためのリーム装置を提供する。
【解決手段】リーム装置は、患者の大腿骨における軸ずれした近位側で臀部側の骨の損失部分に対応する偏心した外表面部を有する補正領域106を備えたスリーブ100を受容するように骨髄管をリーム処理する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
[発明の属する技術分野]
本発明は、長手軸を有する骨の骨髄管の中に偏心した空孔部をリーム処理によって形成するためのリーム装置に関する。
【0002】
[従来の技術]
関節形成は病気および/または破損した自然の関節部をプロテーゼ関節に置き換える外科手術技法として周知である。一般に、関節形成は腰部、膝、肘等の関節について行なわれる。腰部関節形成はプロテーゼ大腿骨ステム構成部品を大腿骨の骨髄管の中に挿入する処理を含む。ボールまたはヘッド部が自然の股臼または全腰部関節形成の場合のプロテーゼ股臼構成部品の中における接合のためにステムの端部に取り付けられている。
【0003】
大腿骨ステムを大腿骨の中に配置して適当に初期的に固定すると共に当該移植部品の長期の安定性を確実にすることが重要である。そこで、大腿骨構成部品に最適の固定性を与えるために、骨の内部成長を促す表面形状や、ストレスの蓄積を減少するように構成された柔軟性や、セメント材への接着性を最大または最少にするための特別な表面特性のような種々の構成上の特徴を当該構成部品に賦与することが可能である。このような大腿骨構成部品はその移植部品としての有効な使用寿命を延ばしてはいるが、そのように延長した期間の後にプロテーゼの外科的な修復が必要になる場合がある。
【0004】
この大腿骨構成部品の修復に伴う問題の一つに初めの移植部品または元の移植部品と同一の長手軸に沿って修復用の大腿骨構成部品を移植するという困難さがある。すなわち、この主軸(元の移植部品の長手軸)に沿って修復用の大腿骨構成部品を移植して当該修復用の移植部品における解剖構造学的な関節負荷特性を元の移植部品に近似させることが望ましい。しかしながら、この主軸に沿って修復用のプロテーゼを移植する場合の困難さは一般的に大腿骨の後方側の基端側部分の損失に起因する。すなわち、対称形の基端側領域を有する修復用の大腿骨構成部品を移植する必要がある場合は、基端側の骨の損失領域によって骨髄管の中における当該移植部品の適当な固定が行なえなくなる。さらに具体的に言えば、この移植部品と骨の間に空隙部ができて、大腿骨の基端側領域における基端側構成部品の固定に欠陥が生じる。この空隙部の問題を解消するために、外科医は骨の移植片を損失した骨の部分にあてがうことができる。しかしながら、この骨の移植片は経時的に消失して永久的に有効でない。
【0005】
あるいは、外科医は骨の損失部を補うために元の構成部品よりも大きな修復用の構成部品を移植することができる。しかしながら、この大きめの移植部品に適合するために骨髄管をリーム(拡孔)処理して付加的な部分を除去する必要がある。一般に、基端側の骨の損失部を補うために、骨髄管は上記の主軸に対してずれている軸に沿ってリーム処理される。しかしながら、この軸が大腿骨の長手軸、すなわち、主軸からずれているために、この軸ずれによって修復構成部品の負荷による捩れが生じやすい。
【0006】
実質的に大きめの修復構成部品の代わりに、基端側の骨の損失部を補うのに適する形状を有するあつらえ式の移植部品を移植することができる。しかしながら、このあつらえ式移植部品は入手経路が限られている。さらに、比較的高価な構成部品の大量の在庫の維持が必要になる。
【0007】
さらに別の方法として、大腿骨の基端部にスリーブを使用することが挙げられる。しかしながら、従来のスリーブの中心は骨髄管の中心線からずれている。それゆえ、この中心のずれによって上記主軸に対する修復用大腿骨部品の位置合わせにずれが生じて、関節負荷特性が低下する。従って、このような修復用の構成部品における中心のずれによって、当該移植部品は位置ずれを起こしやすくなる。
【0008】
[発明が解決しようとする課題]
それゆえ、移植後に修復用プロテーゼ構成部品の長手軸が主軸に一致するように骨の損失部分を補うために修復用プロテーゼ構成部品と共に使用するためのスリーブを提供することが望ましい。
【0009】
[課題を解決するための手段]
本発明はプロテーゼ関節構成部品と共に使用するためのスリーブ構成部品を提供する。本発明は主に大腿骨の腰部ステム構成部品の特に外科的修復の場合について図示しかつ説明するが、上記のスリーブ構成部品が膝、肘および肩等の別の種類の関節プロテーゼに適用可能であることが理解されると考える。
【0010】
実施形態の一例において、上記のスリーブは内孔部(bore)と長手軸とを有する概ね環状の本体部を備えている。この本体部は、対称形の領域と軸ずれした骨の損失部分および/または解剖構造学的な変形部分に対応する補正領域とを有する偏心的な外表面部を備えている。例示的な実施形態において、上記のスリーブは修復用大腿骨構成部品の基端側部分に固定できるように構成されている。このスリーブは元の構成部品を移植してから一般に経時的に生じる患者の大腿骨における基端側の後方の骨の損失部分を補う。
【0011】
スリーブの上記補正領域を含む外表面部の輪郭は半径、半径の位置、円形および楕円形等の形状、および表面の傾斜の度合いを含む種々のパラメータによって決定できる。例示的な実施形態においては、上記の対称的な領域はスリーブの長手軸上に位置する第1の点から延出する第1の半径によって定められる。また、上記の補正領域はスリーブの長手軸からずれている第2の点から延出する第2の半径によって定められる。あるいは、上記対称的な領域は上記長手軸上に位置する第1の点から延出する第1の半径によって定められ、上記補正領域は同様に第1の点から延出する第1の半径よりも大きな第2の半径によって定められる。
【0012】
[発明の実施の形態]
以下、本発明を添付図面に基いて詳細に説明する。
図1および図2は患者の骨髄管12の中に移植可能な大腿骨ステムのような細長いプロテーゼ構成部品10に係合するように構成されたスリーブ100を示している図である。このステム10にはヘッド部またはボール部14が取り付けられており、当該ヘッド部14は自然の股臼またはプロテーゼ股臼構成部品(図示せず)の中に接合する。スリーブ100は一般にテーパー状で環状の本体部102を有しており、当該本体部102は対称形の領域104と大腿骨における軸ずれした基端側の後方の骨の損失部分に対応する補正領域106を備えている。このスリーブ100の補正領域106によって、修復用の大腿骨構成部品が元の大腿骨移植部品の主軸とほぼ同軸に沿って移植することが可能になると共に、基端側の骨の損失部分が補える。このように、修復用のプロテーゼ構成部品を元の移植部品と同軸に移植することによって、元の解剖学的な負荷転移特性が有効に維持できて最適な長期の固定性が得られる。
【0013】
一般に、スリーブ本体部102は内孔部(bore)108を有しており、この内孔部は傾斜した内表面部110を画定していて、当該内表面部110が大腿骨構成部品10の傾斜した外表面部に整合する。スリーブ100は大腿骨構成部品10の基端部18に形成したショルダー部16に当接するまで大腿骨ステム10に沿って摺動する。スリーブ100は、機械的結合方法、摩擦係合およびインターロック式の表面形状等を含む種々の技法によって大腿骨ステム10に固定できる。実施形態の一例においては、このスリーブ100は骨の内部成長を促進するための少なくともスリーブ外表面部の一部分を被覆する多孔質コーティングによって固定される。
【0014】
スリーブ100は本体部102から延出して大腿骨構成部品のショルダー部16に当接するための突出部112を備えている。この突出部分112はスリーブ100の長手軸114に対して鋭角を成している。この突出部分112は大腿骨の距領域(calcar region)20(図1)の中に支持されるように構成されている。
【0015】
スリーブ本体部102の外表面部は種々の形状に形成して大腿骨における骨の損失部分を補う所望の輪郭に構成できる。上記の対称形領域104および補正領域106は概ね円弧状であって、1個以上の半径によって定められる。なお、対称形領域104はリーム処理を容易にするために概ね対称形としているが、非対称形であってもよい。すなわち、外科医にとって対称形、例えば、円筒形状に骨髄管をリーム処理することが容易だからである。これらの対称形領域104および補正領域106における例示的な形状には、円形、楕円形および長円形等が含まれる。さらに、これらの対称形領域104および補正領域106は概ね傾斜していて、スリーブ100の基端部116はその先端部118よりも大きい。また、補正領域106はスリーブ100の全長あるいはその一部分にわたって延在させることができる。さらに、スリーブの外表面部が周囲の骨に対する固定および骨の内部成長を補助するための任意の適当な表面形状を備え得ることが理解されると考える。
【0016】
図3乃至図6は図1乃至図2との組み合わせでスリーブ100のさらに詳細な部分を示している図である。底部または先端部118(図3参照)において示すように、内孔部108はスリーブ本体部を貫通している。この内孔部108の内表面部110の先端部118はスリーブ100の長手軸114上に配置される第1の点120から延出する第1の半径R1によって定められる。また、この第1の点120から延出する第2の半径R2はスリーブ外表面部における対称形領域104の先端部を定めている。さらに、スリーブ100の基端部116において長手軸114から延出する第3の半径R3は対称形領域104の基端部を定めている。この対称形領域104はスリーブ100の基端部116から先端部118まで傾斜している。なお、それぞれ長手軸114から延出している第1の複数の半径はスリーブ100の基端部および先端部116,118の間において傾斜した対称形領域104を定めている。すなわち、この場合の第1の複数の半径とは第2の半径R2および第3の半径R3である。
【0017】
一方、スリーブ100の補正領域106は上記第1の点120からずれた第2の点から延出する第4の半径R4によって上部または基端部116において定められる。すなわち、この第2の点は長手軸114からずれている軸115(図6)上に配置されている。また、補正領域106の先端部はスリーブ100の先端部118における軸ずれ軸115から延出する第5の半径R5によって定められる。補正領域106は対称形領域104と同様の態様で基端部116から先端部118にかけて概ねテーパー形状を有していて、これら2個の領域104,106の間の境界部分124を形成している。すなわち、それぞれ軸ずれ軸115から延出する第2の複数の半径が補正領域106を定めていることが分かる。なお、この場合の第2の複数の半径とは第4の半径R4および第5の半径R5である。また、軸ずれ軸115はスリーブの長手軸114に対してほぼ平行か、これに対して若干の角度を成すように構成できる。
【0018】
図7乃至図9はそれぞれの半径の長さによって定められる対称形領域204および補正領域206と共に、長手軸202から延出する複数の半径によって定められる外表面部を有するスリーブ200を示している図である。図7の底面図に示すように、内孔部210の先端部209における内表面部208が第1の半径R1によって定められていて、対称形領域204の先端部が第2の半径R2によって定められている。さらに、第2の半径R2よりも大きな第3の半径R3がスリーブ200の対称形領域204における大きめの基端部211を定めている。この第3の半径R3はスリーブ200の基端部211における長手軸202から延出している。
【0019】
第4の半径R4は補正領域206の基端部211を定めており、第5の半径R5は補正領域206の先端部209を定めている。境界部分212はスリーブの外表面部において補正領域206と対称形領域204を分割している。第3の半径R3に比して第4の半径R4において増加された長さ、および第2の半径R2に比して第5の半径R5において増加された長さの組み合わせによってスリーブ外表面部における偏心的形状が構成される。このスリーブ200もまた大腿骨構成部品のショルダー部に当接するための突出部分214を備えている。
【0020】
図10乃至図13は本発明に従うスリーブ300のさらに別の実施形態を示している図である。このスリーブ300は対応する軸からそれぞれ延出する複数の半径によって定められる補正領域302を有している。このスリーブ300は突出部分306を備えており、この突出部分306は補正領域302の一部分および対称形領域308の一部分を定めている。図10は補正領域308内に延在する対称形領域308の境界部を点線で示してこれら2個の領域の間の形状の違いを強調している。
【0021】
図10の底面図に示すように、対称形領域302の基端部310はスリーブ300の長手軸304上の第1の点314から延出する第1の半径312および長手軸304から所定の距離に位置する第2の点318から延出する第2の半径316によって定められている。なお、これらの第1の点314および第2の点318はスリーブの基端部310とほぼ同一平面上にある。実施形態の一例において、第1の点314および第2の点318はスリーブ300を第1部分322aおよび第2の部分322bに分割する第1の平面320上に配置されている。つまり、第1の半径312はスリーブ本体部324に相当する対称形領域308における領域を定めて、第2の半径316はスリーブの突出部分306に相当する対称形領域308における領域を定めている。
【0022】
対称形領域308の先端部306はスリーブの先端部における長手軸304から延出する第3の半径328によって定められる。図示のように、スリーブはその基端部310から先端部326にかけて傾斜している。
【0023】
一方、補正領域302の基端部310はスリーブの本体部324によって部分的に形成されて、突出部分306によって部分的に形成されている。さらに、第4の半径329が長手軸304からずれている軸305の上の第3の点330から延出している。この第3の点330はスリーブの基端部310に配置されている。第4の半径329はスリーブ本体部324に相当する補正領域302における基端側領域を定めている。さらに、第5の半径332が第2の点318からずれた第4の点334から延出して、スリーブの突出部分306に相当する補正領域302における領域を定めている。
【0024】
補正領域302の先端部326は、上記突出部分306がスリーブの一部分のみに対応して延在しているので、スリーブ本体部324のみによって構成されている。加えて、第6の半径336がスリーブ先端部326における軸ずれ軸305から延出して、補正領域302の最も先端側の周囲を定めている。
【0025】
なお、上記の各実施形態における全体の寸法およびそれぞれの半径はスリーブにおける所望の形状に応じて種々変更することができる。例えば、上記第1の点120から第2の点122(図3)に対するずれの距離は約2ミリ乃至約10ミリの間で変えることができる。また、上記半径の長さは例えば視覚的および/またはX線画像処理技法によって決定しながら骨の損失部分を補うために変更できる。さらに、上記第4の半径は約5ミリ乃至約12ミリの範囲の例示的な長さを有し、第5の半径は約3ミリ乃至約12ミリの範囲の長さを有する。一般に、軸ずれの距離が大きくなると、スリーブ外表面部における補正領域を定める半径の長さが逆比例に小さくなる。
【0026】
本明細書に記載した実施形態に鑑みて、当該技術分野における熟練者であれば、上記スリーブを定める各半径の長さならびに当該半径が延出する各点を単一または組み合わせにおいて変更してスリーブの外表面部における特定の形状を構成することが容易に可能である。
【0027】
従って、上記スリーブは元の大腿骨構成部品が患者の大腿骨に移植されている間に生じる基端側で後方側の骨の損失を補うために修復用大腿骨構成部品と共に使用するのに適している。
【0028】
骨の損失を補うための本発明に従うスリーブの例示的な使用方法において、外科医はまず当該技術分野における通常の熟練者に周知の方法を用いて元のプロテーゼ構成部品を取り外す。その後、骨髄管をリーム処理して修復用の大腿骨構成部品を受容できるように準備する。一般に、骨髄管の寸法は骨セメント材および骨の内部成長部分を除去するために拡大する必要がある。従来的なスリーブ構成部品を使用するのに対して、本明細書に記載する大腿骨構成部品/スリーブ組立体は主軸に沿って移植される。すなわち、骨髄管が主軸または元の移植部品の長手軸と同軸に必要なだけリーム処理され、これらの軸は一般に骨の長手軸に対応している。このことは骨の負荷がこの軸に沿って転移するために好都合である。一方、移植部品が上記の主軸からずれていると、負荷によって移植部品が捩れやすくなり、これによって、骨の中の移植部品の長期固定の可能性が低減する。
【0029】
図14乃至図17は本発明に従う大腿骨構成部品/スリーブ組立体を受容するために骨に空孔部を形成するための例示的な技法および装置を示している図である。まず、元の大腿骨構成部品(図示せず)を取り外して骨の骨髄管400を露出させる(図14)。骨髄管の後方側/基端側の領域402に骨の損失部分が示されている。次に、円筒形のリーマー405を有する従来的なリーム処理装置404(図15)を用いて修復用大腿骨ステムの移植のために骨の長手軸または主軸406に沿って骨髄管400をリーム処理する。図示のように、この従来的なリーマー405は骨髄管の後方側/基端側の領域402の中の骨を除去しない。次に、円錐台形状のリーマー407を用いて骨髄管400の基端側領域における主軸406の周りに対称形の空孔部を形成する。その後、大腿骨の距領域20(図1)をリーム処理してステム10のショルダー部16に当接するスリーブ100(図1)の突出部112を支持できるようにする。スリーブの突出部12に対応する空孔部は本明細書に参考文献として含まれるNoilesに付与された米国特許第4,790,852号に図示および記載されているようにしてリーム処理できる。
【0030】
骨髄管の基端側領域402はスリーブ100の外表面部と一致するようにリーム処理する必要がある(図1乃至図2)。すなわち、骨髄管400はスリーブの偏心的な外表面部すなわち補正領域106を支持するようにリーム処理される必要がある。この場合、例えば、三角形および/または円錐形状のリーマーを用いて骨髄管の必要な偏心リーム処理を行なうことができる。実施形態の一例においては、円錐台形状のリーマー408(図17)が骨髄管400の中に挿入した円筒形のガイド412によって軸ずれ軸410に位置合わせされている。この位置合わせ処理によって、骨髄管の基端側/後方側領域をリーム処理することができ、これによって、当該領域がスリーブ102の外表面部における上記対称形領域104および補正領域106(図2)に整合する。
【0031】
当該技術分野における熟練者であれば、上記の実施形態に基づいて本発明のさらに別の特徴および利点を見出すことが可能である。従って、本発明は本明細書において特に図示しかつ説明したものによって制限されるものではなく、特許請求の範囲ならびにその実施態様によってのみ制限されると解するべきである。なお、本明細書に引用した全ての公表物および文献はそれらの全体が本明細書に参考文献として含まれる。
【0032】
本発明の実施態様は以下の通りである。
(I)患者の骨髄管の中に移植可能なプロテーゼ構成部品に係合するためのスリーブにおいて、
前記プロテーゼ構成部品が挿入可能な貫通した内孔部を有する細長い本体部から成り、当該本体部が骨の損失部分を補うための補正領域と対称形領域とを有する偏心した外表面部を備えていることを特徴とするスリーブ。
(1)前記対称形領域が第1の点から延出する第1の複数の半径によって定められる実施態様(I)に記載のスリーブ。
(2)前記補正領域が第2の点から延出する第2の複数の半径によって定められる実施態様(1)に記載のスリーブ。
(3)前記第2の点が前記第1の点からずれている実施態様(2)に記載のスリーブ。
(4)前記第1の点が前記スリーブの長手軸の上に配置されている実施態様(3)に記載のスリーブ。
(5)前記スリーブが前記プロテーゼ構成部品のショルダー部に当接するための突出領域を備えている実施態様(I)に記載のスリーブ。
【0033】
(6)前記本体部が傾斜している実施態様(I)に記載のスリーブ。
(7)前記第1の点が前記第2の点に位置合わせされている実施態様(2)に記載のスリーブ。
(8)前記第1の複数の半径における第1のものがこれに対応する前記第2の複数の半径における第1のものに比して小さい実施態様(7)に記載のスリーブ。
(9)前記補正領域が前記スリーブの全長にわたって延在している実施態様(I)に記載のスリーブ。
(II)大腿骨構成部品の基端部に連結するためのスリーブにおいて、
長手軸と、第1の端部および第2の端部と、これらを貫通する内孔部とを有する本体部から成り、当該本体部が患者の大腿骨における基端側で後方側の骨の損失部分を補うための補正領域と対称形領域とを有する偏心した外表面部を備えており、当該対称形領域が前記長手軸から延出する第1の複数の半径によって定められ、補正領域が前記長手軸からずれている軸から延出する第2の複数の半径によって定められていることを特徴とするスリーブ。
(10)前記長手軸と前記軸ずれ軸との間のずれが約2ミリ乃至約10ミリの範囲内である実施態様(II)に記載のスリーブ。
【0034】
(11)前記本体部が傾斜している実施態様(II)に記載のスリーブ。
(12)前記本体部が前記補正領域において異なる厚さを有している実施態様(II)に記載のスリーブ。
(III)大腿骨構成部品の基端部に連結するためのスリーブにおいて、
長手軸と、第1の端部および第2の端部と、これらを貫通する内孔部とを有する本体部から成り、当該本体部が患者の大腿骨における基端側で後方側の骨の損失部分を補うための補正領域と対称形領域とを有する偏心した外表面部を備えており、当該対称形領域が前記長手軸の上に位置する第1の点から延出する第1の複数の半径によって定められ、補正領域が前記長手軸から延出する第2の複数の半径によって定められており、当該第1の複数の半径における第1のものがこれに対応する第2の複数の半径における第1のものよりも短くて、前記本体部の第1の端部において、前記補正領域の厚さが前記対称形領域の厚さよりも厚いことを特徴とするスリーブ。
(13)前記スリーブが傾斜している実施態様(III)に記載のスリーブ。
(14)前記補正領域が前記スリーブの全長にわたって延在している実施態様(III)に記載のスリーブ。
(IV)大腿骨ステムに連結するためのスリーブにおいて、
突出部と長手軸を有する概ね円筒形の本体部から成り、当該突出部が本体部から延出しており、当該本体部が対称形領域と患者の大腿骨の基端側で後方側における骨の損失を補うための補正領域とによって形成される偏心した外表面部を有しており、当該補正領域が円筒形の本体部に対応する第1の部分と前記突出部に対応する第2の部分を有していることを特徴とするスリーブ。
(15)前記補正領域の第1の部分が、前記長手軸からずれている第1の軸から延出する半径によって定められている実施態様(IV)に記載のスリーブ。
(16)前記補正領域の第2の部分が、前記長手軸からずれている第2の軸から延出する半径によって定められている実施態様(15)に記載のスリーブ。
【0035】
[発明の効果]
従って、本発明によれば、移植後に修復用プロテーゼ構成部品の長手軸が主軸(元のプロテーゼ構成部品または移植した骨の長手軸)に一致するように修復用プロテーゼ構成部品と共に使用する骨の損失部分を補うためのスリーブを受容するように骨髄管をリーム処理するためのリーム装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に従うスリーブの概略図であって、当該スリーブが移植した大腿骨構成部品に係合している状態を示している図である。
【図2】図1のスリーブの斜視図である。
【図3】図1のスリーブの底面図である。
【図4】図3のスリーブの正面図である。
【図5】図3のスリーブの後面図である。
【図6】図3のスリーブの側面図である。
【図7】本発明に従うスリーブの別の実施形態の底面図である。
【図8】図7のスリーブの正面図である。
【図9】図7のスリーブの後面図である。
【図10】本発明に従うスリーブのさらに別の実施形態の底面図である。
【図11】図10のスリーブの正面図である。
【図12】図10のスリーブの後面図である。
【図13】図10のスリーブの側面図である。
【図14】従来技術における元の大腿骨構成部品を取り外した後の骨髄管の概略図である。
【図15】従来技術におけるリーム処理中の図14における骨髄管の概略図である。
【図16】従来技術におけるリーム処理中の図15における骨髄管の基端側領域の概略図である。
【図17】本発明に従うスリーブを受容するように骨髄管をリーム処理するためのリーム処理装置の概略図である。
【符号の説明】
【0037】
10 ステム
12 骨髄管
100 スリーブ
104 対称形領域
106 補正領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸を有する骨の骨髄管の中に偏心した空孔部をリーム処理によって形成するためのリーム装置において、
基端部および先端部を有する回転部材から成り、当該回転部材が骨の長手軸からずれた軸ずれ軸の回りに回転可能であり、さらに、
前記回転部材に連結して前記軸ずれ軸の回りに回転可能な円錐台形状の外表面部を有するリーマーと、
骨の長手軸に位置合わせされた状態で、前記骨髄管内に挿入されるガイド部材と、を含み、
前記リーマーが骨の損失を補うための補正領域と対称形領域を有する偏心した外表面部を有する傾斜したスリーブ構成部品の外表面部に接合するための偏心した空孔部を形成することを特徴とするリーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−119492(P2008−119492A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336368(P2007−336368)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【分割の表示】特願平11−363268の分割
【原出願日】平成11年12月21日(1999.12.21)
【出願人】(594052607)デピュイ・オーソピーディックス・インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】