説明

ルツボ保持部材およびその製造方法

【課題】小型のCIP装置で製造可能であり、周方向に強い張力が働いたときにも形状が安定し、しかも、クラックが入った場合であっても操業が継続できるルツボ保持部材を得る。
【解決手段】軸線Lと平行な縦方向に分割され放射状に配置された複数の黒鉛分割片13からなる石英ルツボ受け部15と、環状に形成され石英ルツボ受け部15の胴部17に嵌められて石英ルツボ受け部15を円周方向に集結させる外嵌部材19とを備え、外嵌部材19が、炭素繊維からなるストランドを軸線Lに対して斜めに織り合わせたメッシュ体で形成され、且つメッシュ体の炭素繊維間にマトリクスを充填した。メッシュ体は、軸線に対して傾斜する第一ストランドと、第一ストランドと同角度で逆方向に傾斜する第二ストランドとを有することが好ましい。メッシュ体は、軸線直交面内の周方向のストランドを有しないことが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属、ガラス、シリコン等の高温溶融物を収容する容器を保持するためのルツボ保持部材に関し、特にシリコン単結晶引上げに使用する石英ルツボを保持するルツボ保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコン単結晶引上げ装置には、耐熱性が高い、熱衝撃性が高い、シリコンを汚染しにくいといった理由から、カーボン材料が多用されている。特に等方性黒鉛材は高密度であるため装置内で発生するSiO等の反応性ガスと反応しにくく、シリコン融液を収容する石英ルツボの材料であるSiO2との反応速度が遅いといった特徴があることから、石英ルツボの周囲を保持する黒鉛ルツボに使用されている。
【0003】
近年、シリコンウエハーは歩留まり向上、生産性改善のため大径化が進み、300mmウエハーが主流になりつつある。更なる大口径化ウエハーの開発も進められており、400mmを超えるウエハーも開発が進められている。このため、ウエハーの大口径化に伴い、シリコン単結晶引上げ装置は大型化が進んでおり、装置に使用する黒鉛ルツボの重量が非常に大きくなり、装置へのセッティング等の取り扱いが困難になってきている。
また、等方性黒鉛材を使用する場合には、製造工程で黒鉛製品の直径の1.5倍程度のCIP(COLD ISOSTATIC PRESS)装置を用い、円柱形状や、ルツボ形状の成形体を経て黒鉛ルツボを製造する。大型の黒鉛ルツボを得るためには、従来のCIP装置では直径が足りず、より大きな装置が必要となる。
【0004】
CIP装置を使用せずに大型の黒鉛ルツボを製造しうる技術としては、フィラメントワインディング法により炭素繊維をルツボ形状に成形した後、これにマトリックスとして樹脂やピッチを含浸させ、焼成してC/C複合材製のルツボを製造する技術(例えば、特許文献1及び2参照)や、成形型に炭素繊維からなるクロスを貼り付け、成形硬化させて炭素繊維強化プラスチックを得た後、これを含浸焼成してC/C複合材製のルツボを製造する技術(例えば、特許文献3参照)等がある。
【0005】
また、従来の等方性黒鉛材からなる黒鉛ルツボを、小型のCIP装置を使用して成形する方法として、3分割以上に分割された黒鉛ルツボを個別にCIPで成形する方法も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平10−152391号公報
【特許文献2】持開平11−60373号公報
【特許文献3】特開平10−245275号公報
【特許文献4】特開平11−147199号公報
【特許文献5】特開平1−183490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、等方性黒鉛材を使用する大型の黒鉛ルツボは、より大きなCIP装置が必要になることや、等方性黒鉛材は、焼成、黒鉛化段階での変形があるため、前記CIP成形時の成形体には、変形分を見込んだ余肉を設ける必要があり、材料ロスは発生する等、製造困難な問題を包含していた。
また、C/C複合材からなるルツボ保持部材は、炭素繊維の使用量が多く非常に高価であり、シリコンのインゴットを大口径化してもウエハーの製造コストを安価にする効果は充分に得られなかった。
また、3分割以上に分割された黒鉛ルツボを個別にCIP成形する方法は、それぞれの熱膨張係数、熱伝導率に違いが有ると、シリコンの引き上げ温度まで加熱したときにルツボの分割部に段差が発生したり、ルツボの分割片ごとに温度差が発生し、良質のシリコンインゴットが得られにくい問題があった。黒鉛材の製造においても、個々の分割片が非対称形であるため、焼成や黒鉛化の際に、詰めにくいといった課題や、組立・吊り上げの際にバランスをとりにくいといった問題があった。
さらに、ルツボの分割数が多くなると分割片のサイズが小さくなり、シリコン単結晶引き上げ時にルツボにクラックが入ると、分割片が多数に分かれる。この破片が引き上げ装置内で落下すれば、ヒーターとルツボの間に引っかかりルツボが回転できなくなったり、ヒーターを機械的に破壊したり、電気的に短絡することで、加熱が停止した。また、これに伴い、石英ルツボ側においても保持部材がなくなり、変形し液面が下がることにより、引き上げするシリコンに結晶欠陥を誘発する虞があった。
また、引き上げを開始した直後に停電等のトラブルによりシリコン融液が凝固すると、シリコンは凝固に伴い膨張する(約9.6%の体積膨張)性質があるため、石英ルツボ及び黒鉛ルツボを押し広げる作用が働く。小口径の単結晶インゴットを引き上げる装置であれば、このようなトラブルが発生しルツボが割れたとしても、短時間で冷却され、装置内に流出する未凝固のシリコンの量も少量であるため大きなトラブルとはならないが、大口径の単結晶インゴットの引き上げ装置では、冷却に時間がかかり、装置内に大量の未凝固のシリコン融液が流出する虞があった。
さらに、特許文献5には単結晶引上用黒鉛ルツボにおいて、その外壁部の少なくとも応力集中部に炭素繊維を巻回し、炭素繊維と黒鉛ルツボの間を接着する技術が開示されるが、巻回した炭素繊維を接着することで黒鉛ルツボの亀裂に対する抵抗力を増強させているため、上記のように、周方向の膨張力が働いた場合には、炭素繊維の拘束力が反力となり、ルツボ自体において変形や割れ発生が顕著となる虞があった。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、小型のCIP装置であっても容易に製造可能であり、周方向に強い張力が働いたときにも形状が安定し、しかも、引き上げ時にクラックが入った場合であっても引き続き操業できる大型の単結晶引上げ装置に対応したルツボ保持部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 軸線と平行な縦方向に分割され放射状に配置された複数の黒鉛分割片からなる石英ルツボ受け部と、環状に形成され該石英ルツボ受け部の胴部に嵌められて該石英ルツボ受け部を円周方向に集結させるC/C複合材製の外嵌部材と、からなるルツボ保持部材。
【0009】
このルツボ保持部材によれば、石英ルツボ受け部が円周方向に分割された複数の分割片にて構成され、大型のルツボであっても個々の分割片のサイズが小さく形成可能となる。
【0010】
(2) 前記外嵌部材が、炭素繊維からなるストランドを前記軸線に対して斜めに織り合わせたメッシュ体で形成され、且つ該メッシュ体の前記炭素繊維間にマトリクスを充填したことを特徴とする(1)のルツボ保持部材。
【0011】
外嵌部材がストランドを斜めに織り合わせたメッシュ体で形成され、周方向に強い張力が働いても斜め織りのストランドが拡張に追随可能となる。分割片にクラックが入っても、ルツボ全体に波及する割れとならず、しかも、外嵌部材に包囲されて脱落が阻止される。また、外嵌部材を取り外して、破損した分割片を新たな分割片に交換することで、ルツボ保持部材の引き続きの使用が可能となる。
【0012】
(3) 前記メッシュ体が、前記軸線に対して傾斜する第一ストランドと、該第一ストランドと同角度で逆方向に傾斜する第二ストランドとを有することを特徴とする(1)又は(2)のルツボ保持部材。
【0013】
このルツボ保持部材によれば、周方向の剛性が低く、周方向に膨張するような力が作用した場合であっても、第一ストランド及び第二ストランドで形成される菱形の格子が歪むことによってメッシュ体が周方向に広がることができ、複数の分割片からなる石英ルツボ受け部の周方向の拡張を許容する。
【0014】
(4) 前記メッシュ体が、前記軸線と同一面内で織り合わされる縦ストランドを含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つのルツボ保持部材。
【0015】
このルツボ保持部材によれば、鉛直方向に作用する外力が縦ストランドの延在方向と一致し、メッシュ体の鉛直方向の強度が高まる。
【0016】
(5) 前記メッシュ体が、軸線直交面内の周方向のストランドを有しないことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つのルツボ保持部材。
【0017】
このルツボ保持部材によれば、周方向に膨張するような力が作用した場合であっても、周方向のストランドが存在しないので、一部のストランドに応力が集中せず、破断するストランドが発生しない。また、メッシュ体が周方向に広がることが容易となり(つまり、メッシュ体が周方向の剛体であることによる拘束力が生じず)、複数の分割片からなる石英ルツボ受け部の拡張性が良好となる。
【0018】
(6) 前記外嵌部材の脱落を規制する突起が前記石英ルツボ受け部の胴部に突設されたことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つのルツボ保持部材。
【0019】
このルツボ保持部材によれば、外嵌部材が胴部から突設された突起にて担持され、温度変化により相対変化する嵌合状態の変動(締結力の変動)に左右されず、外嵌部材が脱落することなく常に確実に保持される。
【0020】
(7) 前記外嵌部材と前記石英ルツボ受け部が、前記石英ルツボ受け部の底部に向かって拡径するテーパ面同士で嵌合されることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1つのルツボ保持部材。
【0021】
このルツボ保持部材によれば、温度変化により拡縮する嵌合状態によっても、外嵌部材が常に重力によって胴部を締め付ける方向に移動し、脱落が防止できるとともに、緩みの生じない嵌合状態を維持し続けることができる。
【0022】
(8) 放射状に配置された複数の前記分割片の下端が、前記軸線を中心とした円柱空間を包囲して集結され、
台板上面に突設された円柱体が、前記円柱空間に嵌合されたことを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1つのルツボ保持部材。
【0023】
このルツボ保持部材によれば、分割片の安定した組み付けが可能となる。ルツボは、底部からの加熱効率を高めるため、底部の中央で保持され、周囲は露出する構造となっており、ルツボの分割数が増えるに連れて、分割された個々の分割片の重心位置は軸線から離れ、不安定になり、単体では自立できなくなる。本構成によれば、分割片の下端を台板の円柱体に当接することで、位置決めが容易に行えるようになる。
【0024】
(9) 上記(1)〜(7)のいずれか1つのルツボ保持部材に用いられる前記分割片のそれぞれが、単一の等方性黒鉛ブロックから同一の板取り方向で切り出されたことを特徴とするルツボ保持部材の製造方法。
【0025】
このルツボ保持部材の製造方法によれば、それぞれの分割片における熱膨張係数、熱伝導率に違いが生じなくなり、分割片間の段差の発生や、温度差が発生しなくなる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るルツボ保持部材によれば、環状に形成されたからなる外嵌部材が石英ルツボ受け部の胴部に嵌められて複数の分割片が円周方向に集結され、且つ外嵌部材を、C/C複合材で構成したので、大型のルツボであっても個々の分割片のサイズを小さくでき、小型のCIP装置で容易に製造できる。また、シリコン単結晶引き上げ装置の操業時に分割片にクラックが入っても、ルツボ全体に波及する割れとならず、しかも、外嵌部材に包囲されて脱落が阻止されるので、安全にシリコン単結晶引き上げを継続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係るルツボ保持部材の好適な実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るルツボ保持部材の側面視を(a)、平面視を(b)で表した概略構成図である。
本実施の形態によるルツボ保持部材100は、軸線Lと平行な縦方向に分割され放射状に配置された複数(図例では8個)の黒鉛分割片13からなる石英ルツボ受け部15と、環状に形成され石英ルツボ受け部15の胴部17に嵌められて石英ルツボ受け部15を円周方向に集結させる外嵌部材19とを備える。外嵌部材19は、C/C複合材からなる。C/C複合材の構成は特には限定されないが、例えば、炭素繊維21(図4参照)からなるストランド23を軸線Lに対して斜めに織り合わせたメッシュ体25で形成され、且つメッシュ体25の炭素繊維21間にマトリクスが充填されているC/C複合材を好適に利用することが出来る。
【0028】
分割片13は、個々に製造されるのではなく、単一の等方性黒鉛ブロックから同一の板取り方向で切り出され、作製されることが望ましい。使用時に、熱膨張差による段差の発生や、熱伝導率の違いによる加熱ムラが発生しにくいからである。石英ルツボ受け部15は、分割片13が劣化によって割れた場合であっても外嵌部材19が形状を保持する作用を備えているため、ルツボの破壊に至るまで割れが広がることがない。特に、全体の均熱バランスを崩さないよう数個程度の周期で新旧の分割片13を配置すると、石英ルツボ受け部15の劣化が全体として進行しないため、ルツボ交換前後の温度特性の変化を小さくでき安定した引き上げを実施することができる。また、破壊しやすい古い分割片と、破壊しにくい新しい分割片とを混在して配置するため、古い分割片が割れても、大きな破壊へ進展しにくい。
【0029】
外嵌部材19は、周方向に弾性を備えていることが望ましい。C/C複合材の熱膨張係数は、等方性黒鉛材より小さく、温度の上昇につれて石英ルツボ受け部15に大きな力(締結力)が加わるからである。外嵌部材19と、石英ルツボ受け部15との間には組み付けし易いようクリアランスを備えていることが望ましい。さらに、外嵌部材が落下したりすることがないよう落下防止手段を備えていることが望ましい。落下防止手段としては、石英ルツボ受け部15の胴部17に突設され、外嵌部材19の脱落を規制する鍔27とすることができる。これにより、外嵌部材19が鍔27にて担持され、温度変化により相対変化する嵌合状態の変動(締結力の変動)に左右されず、外嵌部材19が脱落することなく常に確実に保持される。
【0030】
図2は外嵌部材をテーパ面で嵌めた変形例の側面視を(a)、断面視を(b)で表した概略構成図である。
落下防止手段は、外嵌部材19Aの内周面12と石英ルツボ受け部15Aの外周面14に設けたテーパ面29,31としてもよい。テーパ面29,31は、石英ルツボ受け部15の底部33に向かって拡径するテーパ面とする。テーパ面29,31同士で嵌合することにより、温度変化により拡縮する嵌合状態によっても、外嵌部材19Aが常に重力によって胴部17を締め付ける方向に移動し、脱落が防止できるとともに、緩みの生じない嵌合状態を維持し続けることができる。
【0031】
また、外嵌部材19の外側から、石英ルツボ受け部15に炭素材や、C/C複合材からなるボルト等の固定具を用いて固定や懸架してもよい。特に、外嵌部材19の弾力性が小さく、黒鉛からなる石英ルツボ受け部15の変形に追随しにくい場合においては、石英ルツボ受け部15Aと外嵌部材19Aとの嵌合する面は、上記した下向きに広がるテーパ面29,31とすることが望ましい。これにより、使用を繰り返すにつれて珪化反応が起こっても常にガタツキなく石英ルツボ受け部15Aを締結できる。
【0032】
図2に示すように、石英ルツボ受け部15Aは、必ずしも軸線Lから分割する必要はなく、軸線部分は別の部材とし、その周囲に分割片13Aを配置してもよい。そのように配置することにより、個々の分割片13Aのサイズを小さくすることができ、その結果、全体として大きなルツボを提供することができる。
【0033】
例えば、図2に示すように、石英ルツボ受け部15Aは、放射状に配置された複数(図例では16個)の分割片13Aの下端が、軸線Lを中心とした円柱空間35を包囲して集結され、台板37の上面に突設された円柱体39が、円柱空間35に嵌合された構造とすることができる。これにより、分割片13Aの安定した組み付けが可能となる。ルツボは分割数が増えるに連れて、分割された個々の分割片13Aの重心位置は軸線Lから離れ、不安定になり、単体では自立できなくなる。本構成によれば、分割片13Aの下端を台板37の円柱体39に当接することで、位置決めが容易に行えるようになる。さらに、底部33と、胴部17を別の黒鉛部材で構成すれば、個々の分割片13Aの形状が直方体に近くなり、材料の歩留まりを高めることができる。
【0034】
図3は石英ルツボ受け部の外表面からのメッシュ体の突出を抑えた変形例の側面図である。
図4に示すように、外嵌部材19Aを形成するメッシュ体25は、開口部を大きくすることにより、ヒーターからの輻射熱を効率よく石英ルツボ受け部15に伝達することが出来る。なお、図3中、16は薄厚の外嵌部材19Bの脱落を防止するために胴部17に固定された落下防止手段を示す。
【0035】
図4はメッシュ体の要部拡大正面図である。
メッシュ体25は、複数の炭素繊維21を束ねてリボン状としたストランド23を組み糸として3軸織りに織り合わせて形成されている。即ち、メッシュ体25は、メッシュ体25の軸線Lに対して+θ度方向(0<θ<90)に傾斜配向する第一ストランド23Aと、−θ度方向に傾斜配向する第二ストランド23Bと、軸線Lと略平行に配向する縦ストランド23Cとから構成される3軸織り構造を有する。
【0036】
メッシュ体25は、第一ストランド23A及び第二ストランド23Bが互いに組紐状に織り合わされているので高い強度を確保することができ、石英ルツボ受け部15をしっかりと保持することができる。しかも、第一ストランド23A及び第二ストランド23Bがメッシュ体25の軸線Lに対して傾斜しており、中心軸に直行する方向(即ち、メッシュ体25の周方向)に配向していないので、周方向の剛性が低い構造となっている。このため、何らかの原因で石英ルツボ受け部15に周方向に膨張するような力が作用した場合であっても、第一ストランド23A及び第二ストランド23Bで形成される菱形状格子が歪むことによってメッシュ体25が周方向に広がることができ、複数の分割片13からなる石英ルツボ受け部15の周方向の拡張を許容する。
【0037】
さらに、メッシュ体25は、ルツボ保持部材100の各部位に必要とされる剛性に応じて、第一ストランド23A及び第二ストランド23Bの軸線Lに対する傾斜角度θを適宜変更することができる。傾斜角度θを変更することでメッシュ体25の周方向の剛性を調整することができるので、用途に応じて周方向の剛性を変更したり、メッシュ体25の各部位によって周方向の剛性を変更したりすることができる。
【0038】
メッシュ体25は、軸線Lに平行な方向に配向する(軸線Lと同一面内で織り合わされる)縦ストランド23Cを有する。縦ストランド23Cを有することにより、鉛直方向に作用する外力が縦ストランド23Cの延在方向と一致し、メッシュ体25の鉛直方向の強度が高まる。
【0039】
ストランド23は、数百〜数万本程度の炭素繊維21を束ねて形成する。ストランド23を構成する炭素繊維21としては、ピッチ系の炭素繊維、PAN系の炭素繊維等を用いることができる。第一ストランド23A、第二ストランド23B、及び縦ストランド23Cを構成する炭素繊維21は、それぞれ同一素材でもよいし、別素材でもよい。
ストランド23の形状は、リボン状のほかに棒状等でもよい。また、ストランド23として、エポキシ樹脂等を含浸してサイジング処理したものを用いると、適度な弾力性が得られ、手作業で織り合わせる場合にも均等な周期で織り合わせやすい。
【0040】
メッシュ体25をコーティングするためのマトリックス前駆体としては、焼成により炭素質や黒鉛質のマトリックスを形成できるものであれば、どのようなものであってもかまわない。焼成することにより炭素化又は黒鉛化するマトリックス前駆体としては、コプナ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂等の炭化収率の高い熱硬化性樹脂のほか、石油系、石炭系等から得られるピッチ等を用いることができる。また、熱分解炭素やSiC等の化学気相含浸(CVI)によってマトリックスを形成することもできる。
【0041】
以上のように、ルツボ保持部材100では、石英ルツボ受け部15が円周方向に分割された複数の分割片13にて構成され、大型のルツボであっても個々の分割片13のサイズが小さく形成可能となる。外嵌部材19がストランド23を斜めに織り合わせたメッシュ体25で形成されている場合には、周方向に強い張力が働いても斜め織りのストランド23が拡張に追随可能となる。分割片13にクラックが入っても、ルツボ全体に波及する割れとならず、しかも、外嵌部材19に包囲されて脱落が阻止される。
【0042】
外嵌部材19は、室温で緩めに固定しても使用温度で締められるので組立作業が容易となる。石英ルツボ受け部15と強く嵌合することなく外嵌部材19を容易に取り外し可能な黒鉛ルツボを提供することができる。これにより、破損した分割片の交換が可能となる。なお、外嵌部材19は、編目に開口部を備えていることが望ましい。開口部を備えることにより、ヒーターから放射される幅射熱が直接石英ルツボ受け部15に到達し、シリコン融液を良好に加熱することができる。
【0043】
また、縦に分割されたルツボ保持部材100は、石英ルツボの熱膨張や、黒鉛の内面側の珪化反応によって分割面に隙間が生じる。操業時に分割面の隙間からヒーターからの幅射熱が入り石英ルツボと接触する内側のエッジ部が高温に曝され、急速に消耗することが知られている。分割片13の分割数が多くなる場合には、このような反応が起こる箇所が多くなるので、石英ルツボ受け部15の内面全面や分割片13の分割部に、容易に交換可能な高純度膨張黒鉛シート等を敷いて、石英ルツボ受け部15の珪化反応や減肉反応を防止してもよい。
【0044】
このように、上記のルツボ保持部材100によれば、環状に形成された外嵌部材19が石英ルツボ受け部15の胴部17に嵌められて複数の分割片13が円周方向に集結され、且つ外嵌部材19を、炭素繊維21からなるストランド23を斜めに織り合わせたメッシュ体25で構成したので、大型のルツボであっても個々の分割片13のサイズを小さくでき、小型のCIP装置で容易に製造できる。また、周方向に強い張力が働いても斜め織りのストランド23が拡張に追随し、形状が安定する。シリコン単結晶引き上げ装置の操業時に分割片13にクラックが入っても、ルツボ全体に波及する割れとならず、しかも、外嵌部材19に包囲されて脱落が阻止されるので、安全にシリコン単結晶引き上げを継続することができる。
【0045】
以下に、図5、図6を参照しながら、ルツボ保持部材の製造方法の一例を説明する。
図5は石英ルツボ受け部の製造方法の手順を表すフローチャート、図6は石英ルツボ受け部の製造方法の手順を表す模式図である。
石英ルツボ受け部15は回転対称体であるので、個々を構成する分割片13は同一形状を繰り返し製作するだけでよく、その製造方法も容易である。
以下にその製造方法の一例を挙げるが、本発明に係るルツボ保持部材の製造方法はこれに限定されるものではない。
【0046】
本実施の形態に係るルツボ保持部材100は、主に次の5工程、即ち、板取り工程S1と、C面加工工程S2と、固定工程S3と、加工工程S4と、分離工程S5によって製造することができる。
A)分割片の板取り工程S1
まず、個々の分割片13のサイズに合わせて、図6(a)に示す6面体40の板取りを行う。なお、このときの取り方向は、材料の異方性に配慮し、同一の板取り方向で切り出されることが望ましい。さらに、素材のばらつきの変動を抑え、個々の分割片の熱膨張係数を揃えるために単一の等方性黒鉛材から、同一の板取り方向で切り出されることが望ましい。
一般にCIP成形においては、結晶粒の配向方向から、成形時の上下方向が最も熱膨張係数が高くなり、成形時の水平2方向は、上下方向に比べ熱膨張係数が低くなる。板取りの方向がバラバラであると、ルツボ保持部材100を加熱したときに不均一な熱膨張変形をしてルツボ保持部材全体の形状が変形したり、大きな隙間が発生したりする。
【0047】
B)分割片のC面加工S2
図6(b)に示すように、分割片13の分割数に合わせて、板両面41a,41bの角度を調整する。例えば均等に分割した場合は、板両面41a,41bのなす角度θは、分割数nによって決定し、
θ=360/n(゜)
である。なお、均等に分割せずに、分割片13の形状が複数存在してもよい。
C面の加工方法は、どのような方法であっても構わない。
例えば、第1のC面加工の方法としては、前記の板両面41a,41bのなす角θの半分の角度(θ/2)に傾斜した冶具上に前記板40を固定し、平面研削盤や、砥石で加工した後、板40の反対側の面を角度θに傾斜した冶具上に固定し、平面研削盤や、砥石で加工する方法が挙げられる。このような方法であれば、両面が対称な形状のC面加工品が得られる。
第2のC面加工の方法としては、前記の板両面41a,41bのなす角度(θ)に傾斜した冶具上に前記板40を固定し、平面研削盤や、砥石で加工してもよい。このような方法であれば、一工程でC面加工を施すことができる。
第3のC面加工の方法としては、前記第2のC面加工を施した後、ルツボの軸線Lに最も近い面の角度を調整するように加工を施す。このような方法であれば、加工する面積が小さく、容易に第1の加工方法で得られるC面加工品が得られる。
【0048】
C)分割片の固定工程S3
図6(c)に示すように、S2工程で得られたC面加工品41を、ルツボの形状となるように固定する。このときの固定方法は、加工後に容易に分解できる方法であればどのような方法でもよく、加工後に加熱することによって容易に除去できるα−シアノアクリレート(瞬間接着剤)等の接着剤で固定したり、すでに加工の済んだ上下面をクランプしたりする等の方法を用いてもよい。
このとき、後に旋削するときの軸線Lと、組み合わせた石英ルツボ受け部15の軸線Lとを正確に合わせる必要がある。組み合わせたルツボが歪な形状となるからであり、特に石英ルツボ受け部15の分割片がルツボの軸線Lを含まない場合、円筒形状の冶具に突き合わせて固定することにより軸線Lを正確に合わせることができる。
【0049】
D)石英ルツボ受け部の加工工程S4
図6(d)に示すように、S3工程で固定した石英ルツボ受け部15を目的の形状に加工する。本実施の形態によるルツボ保持部材100は、シリコン単結晶引き上げ装置に用いるルツボであり、回転対称体であるため、主に旋盤を使用して加工することができる。回転対称でない形状が含まれている場合、マシニングセンター等を使用して加工することもできる。
【0050】
E)石英ルツボ受け部の分離工程S5
S4工程で加工された石英ルツボ受け部15を個々の分割片13に分離する。S4工程でα−シアノアクリレート等の接着剤で固定した場合、加熱することにより短時間で解重合させることができる。加熱の方法としては、全体を加熱炉に入れたり、接着部分をプロパンガスのバーナーであぶる等の方法を用いることができる。黒鉛の空気中での酸化開始温度は400℃であり、a−シアノアクリレートは200〜300℃程度に加熱すれば、それまでに解重合し、容易に分割片13を分離することができる。
【0051】
次に外嵌部材の製造方法の一例を挙げる。
図7は外嵌部材の製造方法の手順を表すフローチャートである。
外嵌部材19は、主に次の5工程、即ち、骨材形成工程S6と、含浸工程S7と、硬化工程S8と、炭素化工程S9と、高純炭化工程S10によって製造することができる。
F)骨材形成工程S6
炭素繊維21を円筒あるいは円錐台形の型に巻きつけ、外嵌部材19の形状を形成する。巻きつけ方法としては、単に周方向に周回した巻き方や、炭素繊維クロスを巻き付けてもよい。
特に、周方向の弾力性を制御したい場合、軸方向のストランド23と、螺旋状に対向方向に周回するストランド23からなる3軸織りの織り方であってもよい。
円錐台形の型に巻きつけて形成される外嵌部材19Aは、ルツボ外面の下向きに広がるテーパ面31(図2参照)に当接させることができ、外嵌部材19Aの備える弾力性のほかに、外嵌部材19Aが重力の作用で締め付け力を付与し、常に石英ルツボ受け部15Aの広がりを抑止できる。
外嵌部材19は、製造段階において、熱膨張係数の異なる型に巻きつけたまま焼成しても、弾力性によって繊維が切断する恐れが小さく容易に製造することができる。
【0052】
G)樹脂含浸工程S7
前記S6工程で得られた炭素繊維の巻きつけられた型を樹脂中に浸し、樹脂を含浸する。
含浸する樹脂としては、特に限定されないが、焼成することにより炭素化するものであればどのようなものでもよく、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂、ジビニルベンゼン等の合成樹脂や、石炭、石油から得られるピッチ等であってもよい。含浸前に真空引きを実施すると、ストランド23の内部に気孔が残りにくく、均質な外嵌部材19を得ることができる。また、含浸は常圧で実施しても、加圧して実施してもよい。特に短繊維が細く、含浸する樹脂との濡れ性が悪い場合には加圧含浸が有効となる。
【0053】
H)硬化工程S8
含浸する樹脂として、硬化時に多量の副生成物が発生するものを選定した場合(例えばフェノール樹脂等)、発泡を防止するため、硬化工程を経て製品を得ることが望ましい。硬化に伴うゲル化反応が激しく発生する温度(樹脂の種類によって異なるが、概ね100〜150℃前後)においてガスの拡散が十分にできるように昇温速度を落として発生ガスを十分に抜くことが重要である。
【0054】
I)炭素化工程S9
第3工程で得られた樹脂含浸された外嵌部材19に含まれる有機物を炭化し、主に炭素からなる外嵌部材19を得る。焼成に伴って寸法収縮が起こるため、ワインディングで使用した型は炭素化工程の前にあらかじめ外しておくことが望ましい。
炭素化の処理温度は、有機ガスの放出がおさまり始める温度少なくとも600℃程度であることが望ましく、寸法収縮、ガスの発生がおさまる900℃以上であることが特に望ましい。
【0055】
J)高純度化工程S10
前記の方法でそれぞれ得られた石英ルツボ受け部15、外嵌部材19を、シリコン単結晶引き上げ装置で使用できる純度レベルに高純度化する。
高純炭化の方法としては、周知のハロゲンガスを用いた高温での熱処理によって除去することができる。
【0056】
次に、本実施の形態に係るルツボ保持部材の使用例として、シリコン単結晶引上げ装置に適用した例について図8を用いて説明する。
図8は実施の形態に係るルツボ保持部材を用いたシリコン単結晶引き上げ装置を表す断面図である。
シリコン単結晶引上げ装置43は、シリコン融液45を収容する石英ルツボ47と、石英ルツボ47の外周面を外側から取り囲むような状態で保持する、ルツボ保持部材100とを備えており、これらがサポート49の上に置かれている。ルツボ保持部材100の外周にはヒータ51が配置されており、ヒータ51により石英ルツボ47及びルツボ保持部材100を介してシリコン融液45を加熱しながら、インゴット53を徐々に引き上げ、シリコン単結晶を作製する。
ここでのルツボ保持部材100は、周方向に拡張する力がかかった場合も外嵌部材19が拡張に追随することができるので、割れや未凝固の融液が流出すること等を防止でき、信頼性を向上させることができる。
【0057】
なお、ルツボ保持部材100と石英ルツボ47との間に膨張黒鉛シートや、炭素繊維の抄造シート等の炭素質あるいは黒鉛質のシートを介在させてもよい。 このような炭素質あるいは黒鉛質のシートを介在させた場合は、石英ルツボ47とルツボ保持部材100が直接触れないため、ルツボ保持部材100が石英ルツボ47との反応により劣化しにくく、炭素質あるいは黒鉛質のシートのみを交換することによって、繰り返し使用することができるというメリットがある。
【0058】
上記使用例では、シリコン単結晶引上げ装置の石英ルツボ保持部材に適用した例を示したが、本発明に係るルツボ保持部材の用途はこれに限定されず、例えば、金属、ガラス、シリコン等の溶融物を収容する容器を保持するための部材であれば、いずれの用途にも適用することができる。特に、内部に熱膨張係数の異なる容器を保持するための部材に適用すれば、前記効果が得られる。
【0059】
図9は縦ストランドの無い編成構造の変形例を表す要部拡大正面図、図10は複数の斜めストランドによる編成構造の変形例を表す要部拡大正面図である。
なお、上記の実施の形態においては3軸織りで形成したメッシュ体25を示したが、メッシュ体25は3軸織りのものに限定されず、図9に示すように軸線Lに対して斜めに配向するストランド23A,23Bのみ有する形態であってもよい。つまり、メッシュ体が、軸線Lに直交する面内の周方向(図9の横方向)のストランドを有しない。これにより、周方向に膨張するような力が作用した場合であっても、周方向のストランドが存在しないので、一部のストランドに応力が集中せず、破断するストランドが発生しない。
【0060】
さらに、図10に示すように、斜め方向に2本以上のストランド23,23を配向させた構造を有する形態であってもよい。
【実施例】
【0061】
以下に、上記した実施の形態と同様の構造を有するルツボ保持部材を製作し、分割片が割れたときの破片脱落の有無を調べた実施例を説明する。
<実施例1>
ルツボの軸線を含む16分割された石英ルツボ受け部と、炭素繊維と炭素繊維間に含浸され炭化したフェノール樹脂の炭化物のマトリックスからなる外嵌部材とによりルツボ保持部材を製作した。石英ルツボ受け部と外嵌部材との当接面は、下向きに開いたテーパ面で嵌合した。
作製されたルツボ保持部材では、外嵌部材が重力によって石英ルツボ受け部を常に締め付けるように作用し、分割片の開くことがなかった。
石英ルツボ受け部の分割片を1個、中央部が上下にほぼ2分割されるように割った後、石英ルツボをルツボ内に設置し、ルツボ全体をルツボ受け台に設置した。このとき、割れた分割片は外嵌部材の作用により落下せず、ルツボ保持部材は全体としてルツボの形状を留めていた。
【0062】
<実施例2>
ルツボの軸線を含まない16分割された石英ルツボ受け部と、軸方向のストランドと、螺旋状に対向方向で周回するストランドからなる3軸織りのメッシュと、このメッシュに含浸され炭化したフェノール樹脂の炭化物のマトリックスとからなる外嵌部材とによりルツボ保持部材を製作した。外嵌部材は、石英ルツボ受け部に外嵌し、石英ルツボ受け部の外周下部に設けた突起で落下を防止した。
外嵌部材は、弾力性を備えているため、外周に向けて押し広げた状態で嵌合させた。常に締め付ける作用が働き、分割片の開くことはなかった。
また、石英ルツボ受け部の1個を中央部が上下にほぼ2分割されるように割った後、石英ルツボをルツボ内に設置し、ルツボ全体をルツボ受け台に設置した。このとき、割れた分割片は外嵌部材の作用により落下せず、ルツボ保持部材は全体としてルツボの形状を留めていた。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係るルツボ保持部材の側面視を(a)、平面視を(b)で表した概略構成図である。
【図2】外嵌部材をテーパ面で嵌めた変形例の側面視を(a)、断面視を(b)で表した概略構成図である。
【図3】石英ルツボ受け部の外表面からのメッシュ体の突出を抑えた変形例の側面図である。
【図4】メッシュ体の要部拡大正面図である。
【図5】石英ルツボ受け部の製造方法の手順を表すフローチャートである。
【図6】石英ルツボ受け部の製造方法の手順を表す模式図である。
【図7】外嵌部材の製造方法の手順を表すフローチャートである。
【図8】実施の形態に係るルツボ保持部材を用いたシリコン単結晶引き上げ装置を表す断面図である。
【図9】縦ストランドの無い編成構造の変形例を表す要部拡大正面図である。
【図10】複数の斜めストランドによる編成構造の変形例を表す要部拡大正面図である。
【符号の説明】
【0064】
13 分割片
15 石英ルツボ受け部
17 胴部
19 外嵌部材
21 炭素繊維
23 ストランド
23A 第一ストランド
23B 第二ストランド
23C 縦ストランド
25 メッシュ体
27 鍔
29,31 テーパ面
33 底部
35 円柱空間
37 台板
39 円柱体
100 ルツボ保持部材
L 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線と平行な縦方向に分割され放射状に配置された複数の黒鉛分割片からなる石英ルツボ受け部と、環状に形成され該石英ルツボ受け部の胴部に嵌められて該石英ルツボ受け部を円周方向に集結させるC/C複合材製の外嵌部材と、からなるルツボ保持部材。
【請求項2】
前記外嵌部材が、炭素繊維からなるストランドを前記軸線に対して斜めに織り合わせたメッシュ体で形成され、且つ該メッシュ体の前記炭素繊維間にマトリクスを充填したことを特徴とする請求項1に記載のルツボ保持部材。
【請求項3】
前記メッシュ体が、前記軸線に対して傾斜する第一ストランドと、該第一ストランドと同角度で逆方向に傾斜する第二ストランドとを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のルツボ保持部材。
【請求項4】
前記メッシュ体が、前記軸線と同一面内で織り合わされる縦ストランドを含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載のルツボ保持部材。
【請求項5】
前記メッシュ体が、軸線直交面内の周方向のストランドを有しないことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のルツボ保持部材。
【請求項6】
前記外嵌部材の脱落を規制する突起が前記石英ルツボ受け部の胴部に突設されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載のルツボ保持部材。
【請求項7】
前記外嵌部材と前記石英ルツボ受け部が、前記石英ルツボ受け部の底部に向かって拡径するテーパ面同士で嵌合されることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項記載のルツボ保持部材。
【請求項8】
放射状に配置された複数の前記分割片の下端が、前記軸線を中心とした円柱空間を包囲して集結され、
台板上面に突設された円柱体が、前記円柱空間に嵌合されたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項記載のルツボ保持部材。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1項記載のルツボ保持部材に用いられる前記分割片のそれぞれが、単一の等方性黒鉛ブロックから同一の板取り方向で切り出されたことを特徴とするルツボ保持部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−269777(P2009−269777A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119948(P2008−119948)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】