説明

ルームミラー

【課題】ミラー本体の内部に、小型の物品の収納を許容する収容部を設ける。
【解決手段】ミラー本体10をバケット形状に形成して、その内部に本体収容部34を画成する。そして、ミラー本体10の外部下縁に、本体収容部34に連通する挿通口28を形成する。物品収納部52が内部に画成された物品収納体50を、常には本体収容部34内へ格納されると共に、挿通口28を介してミラー本体10から外方へ延出可能に配設する。これにより、物品収納体50をミラー本体10から延出させることで物品収納部52に対する物品の出し入れを行ない、該物品収納体50をミラー本体10内へ格納することで該物品を収納することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルームミラーに関し、更に詳細には、フロントウィンドウの上縁に取付けられるミラー本体と、このミラー本体に設けられて後方視界を付与するミラーとからなるルームミラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、図7および図8に例示するように、種々車両における乗員室前方のフロントウィンドウFWにおける上縁の略中央には、ドライバーが当該車両の後方確認を行なうためのルームミラーRM1が取付けられている。このルームミラーRM1は、ルーフを構成するルーフパネルRFの前端近傍に取付けられるルーフ取付タイプ(図7および図8)と、フロントウィンドウFWに取付けられるウィンドウタイプ(図示せず)とがある。何れのタイプにおいても、ルーフパネルRFまたはフロントウィンドウFWに固定されたステー14の先端に姿勢変位可能に取付けられ、フロントウィンドウFWの上縁の略中央に位置するミラー本体10と、このミラー本体10に設けられて後方視界を付与するミラー12とから基本的に構成されている。このようなルームミラーは、例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開平09−301070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来から実施に供されているルームミラーRM1は、レバー操作により角度変更が可能な防眩機構がミラー本体10の内側に組み込まれているだけで、基本的にはミラー12により後方視界を付与する機能しか具有していなかった。このため、図7および図8に例示したように、運転中に使用するメガネやサングラス等の物品を収納するための収納部16を、ルーフパネルRFの前端の略中央(ルームミラーRM1の手前)に設けてある場合が多い。しかしながら、ルーフパネルRFに収納部16を設けるようにした場合、該ルーフパネルRFを含むルーフ部分の構造が複雑となってコストアップを招来すると共に、該ルーフパネルRFの形状が制約されてデザインの自由度が低下してしまう問題を内在していた。また、ルーフパネルRFの前端に収納部16を設けた構成では、図8に示したように、開放した該収納部16がルームミラーRM1の前側へ傾動するようになり、場合によっては該ルームミラーRM1による後方視界を妨げる虞れもある。
【0004】
すなわち従来のルームミラーRM1では、前述したように後方視界を付与する機能だけしか有しておらず、ミラー本体10の内部に身辺小間物の物品を収納を許容する収納部を設けるという技術的思想が殆どなかった。なお、製造コスト等の関係からルーフパネルRFの前端に収納部16を有さない車両も多く、このような車両を所有するオーナーにおいて収納部を必要とする場合は、サンバイザー18等に取付けて使用するようにした小型の収納ケースを別途購入することを余儀なくされ、経済的な負担を強いられていた。
【0005】
従って本発明は、ミラー本体の内部に、小型の物品の収納を許容する収容部を設けたルームミラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため本発明に係るルームミラーは、
フロントウィンドウの上縁に取付けられるミラー本体と、このミラー本体に設けられて後方視界を付与するミラーとからなるルームミラーにおいて、
前記ミラー本体の内部に画成された本体収容部と、
前記ミラー本体の外縁に形成され、前記本体収容部に連通する挿通口と、
物品収納部が内部に画成され、常には前記本体収容部内へ格納されると共に、前記挿通口を介してミラー本体から外方へ延出可能な物品収納体とから構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るルームミラーによれば、物品収納機能が付与されているため、ルーフパネルの前端等に収納部を設ける必要がなくなり、車体構造の簡素化を図ってコスト削減が期待できると共に、該ルーフパネルの形状に制約がなくなってデザインの自由度が高められる利点がある。また、ミラー本体の姿勢を変えることなく物品収納体を延出させ得るので、物品の出し入れに際して後方視界が妨げられることがなく、後方視界を付与するというルームミラーの本来の機能は何等損なわれることがない等の有益な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明に係るルームミラーにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、図7および図8を引用して説明した従来技術の項における既出の部材・部位と同一の部材・部位については、同一の符号を付して説明する。
【実施例】
【0009】
図1は、好適実施例に係るルームミラーRMを、ミラー本体10へ収容可能な物品収納体50を延出させた状態で例示した概略斜視図、図2は図1のII−II線断面図である。また図3は、図1に例示したルームミラーRMを、ミラー本体10へ物品収納体50を収容した通常の使用状態で示した概略斜視図、図4は、図3のIV−IV線断面図である。本実施例のルームミラーRMは、図7に例示した従来のルームミラーRM1と同様に、フロントウィンドウFWの上縁の略中央に懸吊状態で取付けられるミラー本体10と、このミラー本体10に設けられて後方視界を付与するミラー12とから基本的に構成されている。なお説明の便宜上、図2の紙面右側(乗員室後方を指向する側)をルームミラーRMの前側、フロントウィンドウFWを指向する側を後側とする。
【0010】
ミラー本体10は、図7に例示した従来のルームミラーRMのミラー本体10と比べると、後壁部分20が後方側へ膨出した横長のバケット形状に形成されており、その厚み寸法Sを大きく設定してある。そして、乗員室後方を指向する部位に大きく開口形成された開口部24に、前述したミラー12が固定保持されるようになっており、該ミラー12を装着したミラー本体10の内部には空間が画成されるようになっている。また、後壁部分20の中央上部には、前述したステー14の先端部の挿通を許容する第1挿通口26が開設されていると共に、下壁部分22には、ミラー本体10の横幅寸法よりやや短い横長矩形状の第2挿通口28が開設されている。なお、図2および図4から明らかなように、ミラー本体10を後方側へ膨出させた形状としても、該ミラー本体10と傾斜したフロントウィンドウFWとの間にはまだ充分なスペースが確保されており、ルームミラーRMの機能を何等阻害することがないと共に前方視界を遮ることもない。
【0011】
前述した第1挿通口26に対応したミラー本体10の内側には、図5に例示するように、ルームミラーRMを上下方向および左右方向へ姿勢変位可能に取り付けるための姿勢保持体40が取り付けられている。この姿勢保持体40は、第1挿通口26を挟んで両側に突設した第1ボス30,30に対して図示しないビス等を締結することで、該第1挿通口26に臨んだ状態で取り付けられる。そして、前述したステー14の先端に設けたボール44が嵌合するようになる凹部42が、前述した第1挿通口26に臨む位置に形成されており、これらボール44および凹部42により所謂ボールジョイントとして機能するようになり、ルームミラーRMの上下および左右への姿勢変位が可能となっている。また姿勢保持体40には、枠状を呈する取付部46が一体的に形成されており、公知のプッシュオープン機構を備えた後述のロック装置48を取付固定するようになっている。なお図示省略したが、ミラー本体10の内部には、レバーの操作により該ミラー本体10を所定角度だけ下方へ傾動させる防眩機構が装備されている。
【0012】
そして本実施例のルームミラーRMは、ミラー本体10の内部に画成された前述の空間からなる本体収容部34と、該ミラー本体10の外縁である下縁部に形成されて、本体収容部34に連通する前述の第2挿通口28とを設けたもとで、物品収納部52が内部に画成されて、常には本体収容部34内へ格納されると共に、第2挿通口28を介してミラー本体10から外方(下方)へ延出可能な物品収納体50を設けたことを特徴としている。すなわち、ミラー本体10に収容可能に装着した物品収納体50に、身辺の小間物(具体的にはメガネやサングラス等)である物品を収納し得るようにして、物品収納機能を付与させたことを特徴としている。
【0013】
前記物品収納体50は、前述した本体収容部34に完全に収容され得ると共に前述した第2挿通口28を挿通可能なサイズで、前述した物品収納部52を内部に画成した矩形箱体状に形成され、その前側(ミラー12に対向した側)に横長の物品出入口54が開設されている。そして、物品収納体50の左側部外面および右側部外面には、ミラー本体10の内部に配設したガイド部材36,36のガイド溝(第1ガイド部)38に摺動可能に係合する突縁部(第2ガイド部)56,56が、該物品収納体50の鉛直方向へ延在するよう突設されている。すなわち物品収納体50は、ミラー本体10の内部に対向的に立設したガイド部材36,36のガイド溝38,38と、該物品収納体50に突設した突縁部56,56とを係合させることで、これらの摺接作用下にミラー本体10に対して水平姿勢に保持された状態で昇降スライド可能に取付けられ、該ミラー本体10の本体収容部34内へ完全に収容された収容状態(図3、図4)と、該ミラー本体10から下方へ延出した延出状態(図1、図2)とに昇降可能となっている。
【0014】
夫々のガイド部材36,36は、図5に例示したように、前述した第2挿通口28の左右両端において対向的に立設した状態で取付けられ、後壁部分20の内側に突設した第2ボス32,32に図示しないビス等を締結することで固定されるようになっている。
【0015】
また、物品収納体50の上部後端縁には、後方へ突出した脱抜防止片58が突設されており、該物品収納体50が延出状態まで下降した際に該脱抜防止片58が第2挿通口28の端縁部に係止して、該物品収納体50の脱落が防止されるようになっている。また上部中央には、前述した姿勢保持体40に取り付けられたロック装置48へ脱抜可能に突入する係止突部60が、物品収納体50に一体的に形成されている。
【0016】
従って本実施例のルームミラーRMは、物品収納体50が収容状態にある場合、図3および図4に例示したように、係止突部60がロック装置48内へ突入して係止されるため、物品収納部52に物品が収納されていても該物品収納体50は収容状態に保持される。そして、収容状態に保持されている物品収納体50を上方へ軽く押すと、ロック装置48のプッシュオープン機能が働いて該ロック装置48に対する係止突部60の係止が解除されるため、図1および図2に例示したように、該物品収納体50が延出状態まで下降して物品出入口54が外方へ開口するようになる。これにより、物品出入口54を介した物品収納部52への物品の収納および該物品収納部52からの物品の取出しを行なうことが可能となる。また、延出状態に保持されている物品収納体50を指先で収容状態まで押し上げると、係止突部60がロック装置48内へ突入して係止されるため、該物品収納体50は再び収容状態に保持される。
【0017】
すなわち本実施例のルームミラーRMは、物品収納機能が付与されているため、図7および図8に例示した収納部16をルーフパネルRFの前端に設ける必要がなくなり、該ルーフパネルRFを含む車体構造の簡素化を図ってコスト削減が期待できると共に、該ルーフパネルRFの形状に制約がなくなってデザインの自由度が高められる。また、ミラー本体10の姿勢を変えることなく物品収納体50を延出させ得るので、物品の出し入れに際して後方視界が妨げられることがなく、後方視界を付与するというルームミラーRMの本来の機能は何等損なわれることがない。
【0018】
(変更例)
図6は、変更例に係るルームミラーRMを、物品収納体50を延出させた状態で例示した概略斜視図である。前述した実施例のルームミラーRMは、ミラー本体10の下縁部に第2挿通口28を形成し、物品収納体50が該ミラー本体10から下方へ延出する昇降タイプを例示したが、変更例のルームミラーRMは、ミラー本体10の側縁部(左側縁部)に第2挿通口28を形成し、物品収納体50が該ミラー本体10から左側方へ延出するスライドタイプとしたものである。すなわち、ミラー本体10の内部には、横方向に延在するガイド部材(第1ガイド部)36,36が第2挿通口28を挟んで上下に対向離間して配設され、また物品収納体50の上部外面および下部外面(外部)に突縁部(第2ガイド部)56,56を設けてあり、これらガイド部材36,36と突縁部56,56との摺接作用下に、物品収納体50が水平方向へスライド可能となっている。従って、変更例のルームミラーRMにおいても、前述した実施例のルームミラーRMと同様の作用効果が得られる。なお、ミラー本体10の右側縁部に第2挿通口28を形成して、物品収納体50が該ミラー本体10から右方向へ延出するタイプとすることも可能である。
【0019】
また、ミラー本体10に対する物品収納体50のスライド機構は、前述したガイド部材36と突縁部56とによる摺接形態に限定されるものではなく、既存の種々形態のものを応用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明に係るルームミラーは、フロントウィンドウの上縁に取付けられるミラー本体と、このミラー本体に設けられて後方視界を付与するミラーとからなり、ミラー本体の内部に物品を収納し得るようにしたもので、種々の車両に広く実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】好適実施例に係るルームミラーを、ミラー本体へ収容可能な物品収納体を延出させた状態で例示した概略斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1に例示したルームミラーを、ミラー本体へ物品収納体を収容した通常の使用状態で示した概略斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図1に例示したルームミラーを構成する部品を概略的に示した分解斜視図である。
【図6】変更例に係るルームミラーを、ミラー本体へ収容可能な物品収納体を延出させた状態で例示した概略斜視図である。
【図7】従来のルームミラーを、実施状態で示した概略斜視図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【符号の説明】
【0022】
10 ミラー本体
12 ミラー
28 第2挿通口(挿通口)
34 本体収容部
36 ガイド部材(第1ガイド部)
50 物品収納体
52 物品収納部
56 突縁部(第2ガイド部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントウィンドウの上縁に取付けられるミラー本体(10)と、このミラー本体(10)に設けられて後方視界を付与するミラー(12)とからなるルームミラーにおいて、
前記ミラー本体(10)の内部に画成された本体収容部(34)と、
前記ミラー本体(10)の外縁に形成され、前記本体収容部(34)に連通する挿通口(28)と、
物品収納部(52)が内部に画成され、常には前記本体収容部(34)内へ格納されると共に、前記挿通口(28)を介してミラー本体(10)から外方へ延出可能な物品収納体(50)とから構成した
ことを特徴とするルームミラー。
【請求項2】
前記ミラー本体(10)の内部に設けた第1ガイド部(36,36)と前記物品収納体(50)の外部に設けた第2ガイド部(56,56)とを係合させることで、ミラー本体(10)に対して物品収納体(50)がスライド可能に取付けられる請求項1記載のルームミラー。
【請求項3】
前記挿通口(28)は前記ミラー本体(10)の下縁部に形成され、前記物品収納体(50)は前記ミラー本体(10)から下方へ延出する請求項1または2記載のルームミラー。
【請求項4】
前記挿通口(28)は前記ミラー本体(10)の側縁部に形成され、前記物品収納体(50)は前記ミラー本体(10)から横方向へ延出する請求項1または2記載のルームミラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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